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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132065
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】包装体の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/894 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01N21/894 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042710
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑野 修至
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AA41
2G051AB01
2G051AB02
2G051AB04
2G051AB07
2G051AB13
2G051CA04
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】シール部を平面状態とすることにより高精度で欠陥を発見でき、シール部と内容物が封入されている部分とで厚みが異なる包装体であっても効率よく検査可能な検査装置を提供する。
【解決手段】第1シート部(210)と第2シート部(220)とシール部(204)とを有している包装体(20)の検査装置(10)であって、包装体(20)の一部が載置されている載置台(30)と、包装体(20)を起点側(Do)から終点側(Dt)に搬送する第1ローラー(41)と、第1ローラー(41)との間をシール部(204)が通過可能であるように配置されている第2ローラー(42)と、載置台(30)を移動する第3ローラー(43)と、カメラ(60)と、を有しており、シール部(204)は載置台(30)に載置されておらず、第1ローラー(41)と第3ローラー(43)は回転軸(50)を共有している検査装置(10)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、を有している包装体の検査装置であって、
前記包装体の一部が載置されている載置台と、
前記包装体を起点側から終点側に搬送する第1ローラーと、
前記第1ローラーとの間を前記シール部が通過可能であるように配置されている第2ローラーと、
前記載置台を前記起点側から終点側に移動する第3ローラーと、
前記シール部を撮像するカメラと、を有しており、
前記シール部の少なくとも一部は前記載置台に載置されておらず、
前記第1ローラーと前記第3ローラーは回転軸を共有している検査装置。
【請求項2】
前記カメラは、前記第1ローラー及び前記第2ローラーよりも前記終点側に配置されている請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記包装体は、前記第1シート部の外縁部と前記第2シート部の外縁部が互いに固定されており第1方向に延在している第1直線状固定部と、前記第1シート部の外縁部と前記第2シート部の外縁部が互いに固定されており第2方向に延在している第2直線状固定部及び第3直線状固定部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有しており、
前記シール部は前記第1方向に延在しており、
前記第2方向において、前記シール部の両側に前記非固定部が配されている請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記包装体は、前記第1方向が前記包装体の搬送方向となるように前記載置台に載置されている請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記包装体の一部を前記載置台に固定する固定機構をさらに有している請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記包装体は、前記載置台に固定されていない請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項7】
前記第1シート部は樹脂フィルムで構成されており、前記第2シート部は不織布で構成されており、前記第2シート部側が前記第1ローラー側になるように前記載置台に載置されている請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記第1ローラーと前記第2ローラーの間には隙間が形成されている請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項9】
前記隙間は前記カメラの被写界深度以下である請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記第2ローラーはフリーローラーである請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項11】
前記カメラはラインスキャンカメラである請求項1又は2に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な製品は、製品本来の性能を発揮させたり、製品の安全性を確保したりするために、製造後に製品に欠陥がないかを検査する必要があり、対象製品に応じて検査方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、織布や不織布といったシートにおいて、紡糸や撚糸の工程で残留した毛羽やロール等の部品に接触したことによる欠陥を検査するために、回転体に接触して搬送されるシートの欠陥を検査する欠陥検査装置であって、シートと回転体とが接触して形成される面の中心点Pにおけるシートの搬送方向に対向する位置に受光面を有する撮像手段を備え、中心点Pと回転体の回転軸とで形成される面と受光面とのなす角度が10度以内であることを特徴とする装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、主に縫製品の欠陥検査に用いられ、部分的に弛んだ弛み部を持つ検査対象物に存在する欠陥を検出する装置であって、検査対象物を保持するワークホルダと、ワークホルダに保持された検査対象物の画像データを取得する撮像部と、画像データ、又は画像データに画像処理を施すことにより生成された処理画像データに基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを備え、ワークホルダは、検査対象物が置かれる載置面を持った検査テーブルと、検査テーブルの載置面に設けられた台座と、押え板とを有し、台座は載置面上の所定位置に検査対象物が置かれたときに弛み部の背後に潜り込んだ状態となる欠陥検査装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、シート状ワークに変形やたわみが生じている場合でも検査精度を向上できる検査方法及び装置を提供することを課題とし、検査ステージ上に載置され、且つ、ステージと上に重ねられたガラス板とにより挟持されているシート状ワークを、ステージの上方に配された撮像手段により、該撮像手段をステージに沿って移動させながら撮像し、ガラス板の表面に接触するローラーを撮像手段と共に回転移動させ、該ローラーにより撮像手段の視野近傍に位置するガラス板の表面を実質的に同一の押圧力で押さえつける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-156343号公報
【特許文献2】特開2015-190899号公報
【特許文献3】特開2002-5638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、食品や医薬品、医療機器等の高衛生状態を保つことが求められる物品を包装する際には、包装体の内部に雑菌が混入したり内容物が外気に触れたりして不衛生な状態とならないように、内容物を入れた後に包装体の開口部をシールして包装体を密閉することが行われる。このとき、シール部にピンホールや異物混入等の欠陥が生じていないかどうかを検査することにより、包装体の気密性を確認する必要がある。
【0008】
このような包装体は、シール部を形成する際や形成した後に、シール部が反り返ったり波打ったりする等の平面状態ではない状態になることがあり、内容物を封入後にシールして密閉した包装体のシール部を従来の検査方法により高精度で検査することは容易ではなかった。また、包装体を搬送しながらシール部を検査することで検査効率を向上しようとしても、包装体の搬送が安定しないという課題もあった。さらに、シール部は比較的薄い厚みを有しているものの、内容物が封入されている部分は比較的分厚くなっているため、部分により厚みの異なる包装体のシール部を検査することは困難であった。
【0009】
上記の事情に鑑み、本発明は、検査時にシール部を平面状態とすることにより高精度で欠陥を発見でき、シール部と内容物が封入されている部分とで厚みが異なる包装体であっても効率よく検査可能な検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係る検査装置は、以下の通りである。
[1]第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、を有している包装体の検査装置であって、前記包装体の一部が載置されている載置台と、前記包装体を起点側から終点側に搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーとの間を前記シール部が通過可能であるように配置されている第2ローラーと、前記載置台を前記起点側から終点側に移動する第3ローラーと、前記シール部を撮像するカメラと、を有しており、前記シール部の少なくとも一部は前記載置台に載置されておらず、前記第1ローラーと前記第3ローラーは回転軸を共有している検査装置。
【0011】
上記検査装置によれば、載置台に包装体の一部が載置されシール部の少なくとも一部は載置されていないことにより、第1ローラーと第2ローラーの間に載置台に載置されていないシール部を容易に通過させることができる。これにより、シール部を平面状態とすることができるため、シール部とカメラとの距離を一定とでき、カメラの撮像画像から欠陥を検出する際の精度を向上できる。また、第1ローラーと第2ローラーの間に通過させるのはシール部であるため、内容物が封入されている部分の厚みが比較的厚くなっていても検査が可能となる。さらに、包装体を搬送する第1ローラーと載置台を移動する第3ローラーは回転軸を共有しているため、包装体が第1ローラーと第2ローラーの間を通過する際に位置ずれが起こりにくい。これにより、包装体を搬送しながら効率的な検査を行うことができる。
【0012】
本発明の実施形態に係る検査装置は、以下の[2]~[11]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記カメラは、前記第1ローラー及び前記第2ローラーよりも前記終点側に配置されている[1]に記載の検査装置。
[3]前記包装体は、前記第1シート部の外縁部と前記第2シート部の外縁部が互いに固定されており第1方向に延在している第1直線状固定部と、前記第1シート部の外縁部と前記第2シート部の外縁部が互いに固定されており第2方向に延在している第2直線状固定部及び第3直線状固定部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有しており、前記シール部は前記第1方向に延在しており、前記第2方向において、前記シール部の両側に前記非固定部が配されている[1]又は[2]に記載の検査装置。
[4]前記包装体は、前記第1方向が前記包装体の搬送方向となるように前記載置台に載置されている[3]に記載の検査装置。
[5]前記包装体の一部を前記載置台に固定する固定機構をさらに有している[1]~[4]のいずれかに記載の検査装置。
[6]前記包装体は、前記載置台に固定されていない[1]~[4]のいずれかに記載の検査装置。
[7]前記第1シート部は樹脂フィルムで構成されており、前記第2シート部は不織布で構成されており、前記第2シート部側が前記第1ローラー側になるように前記載置台に載置されている[1]~[6]のいずれかに記載の検査装置。
[8]前記第1ローラーと前記第2ローラーの間には隙間が形成されている[1]~[7]のいずれかに記載の検査装置。
[9]前記隙間は前記カメラの被写界深度以下である[8]に記載の検査装置。
[10]前記第2ローラーはフリーローラーである[1]~[9]のいずれかに記載の検査装置。
[11]前記カメラはラインスキャンカメラである[1]~[10]のいずれかに記載の検査装置。
【発明の効果】
【0013】
上記検査装置によれば、シール部が第1ローラーと第2ローラーの間を通過できることにより、シール部を平面状態としてカメラで撮像することができる。これにより、カメラの撮像画像から欠陥を検出する際の精度を向上できる。また、第1ローラーと第2ローラーの間を通過するのはシール部であるため、内容物を封入した状態の包装体を検査することができる。さらに、包装体が第1ローラーと第2ローラーの間を通過する際の位置ずれを防止することにより、包装体を搬送しながら行う効率的な検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る検査装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る検査装置の斜視図である。
図3図1に示した検査装置を包装体の上側から見た平面図である。
図4図2に示した検査装置を包装体の上側から見た平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る包装体の側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る包装体の側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る包装体の平面図である。
図8図7に示した包装体のVIII-VIII断面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る検査装置の斜視図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態に係る検査装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
図1図10を参照しつつ、本発明の実施形態に係る検査装置を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る検査装置の斜視図であり、第1ローラーと第2ローラーの間をシール部が通過する前の時点における検査装置の構成を表す。図2は、図1に示した検査装置において、第1ローラーと第2ローラーの間をシール部が通過している時点における検査装置の構成を表す斜視図である。図3は、図1に示した検査装置を包装体の上側から見た平面図である。図4は、図2に示した検査装置を包装体の上側から見た平面図である。なお、図3図4では、カメラを省略している。図5は、本発明の一実施形態に係る包装体の側面図であり、シール部が反った状態を表す。図6は、本発明の一実施形態に係る包装体の側面図であり、シール部が平面状である状態を表す。図7は本発明の一実施形態に係る包装体の平面図であり、図8図7に示した包装体のVIII-VIII断面図である。図9は、本発明の他の実施形態に係る検査装置の斜視図であり、さらに固定機構を有している構成を表す。図10は、本発明のさらに他の実施形態に係る検査装置の斜視図であり、第1ローラーと第2ローラーの間に隙間が形成されている構成を表す。
【0017】
図1図4に示すように、検査装置10は、第1シート部210と、第1シート部210に対向する第2シート部220と、第1シート部210と第2シート部220が互いに固定されているシール部204と、を有している包装体20を検査する装置であって、包装体20の一部が載置されている載置台30と、包装体20を起点側Doから終点側Dtに搬送する第1ローラー41と、第1ローラー41との間をシール部204が通過可能であるように配置されている第2ローラー42と、載置台30を起点側Doから終点側Dtに移動する第3ローラー43と、シール部204を撮像するカメラ60と、を有しており、シール部204の少なくとも一部は載置台30に載置されておらず、第1ローラー41と第3ローラー43は回転軸50を共有している。
【0018】
第3ローラー43は、図1及び図3に示されている状態から図2及び図4に示されている状態になるように、載置台30を起点側Doから終点側Dt(移動方向M)に移動させる。これにより、載置台30に一部が載置されている包装体20も載置台30の移動に伴って移動方向Mに移動する。このとき、シール部204の少なくとも一部は載置台30に載置されていないことから、載置台30に載置されていないシール部204を含む包装体20の先頭部分が第1ローラー41に接触したときに第1ローラー41が包装体20を起点側Doから終点側Dtに搬送することができ、載置台30に載置されていないシール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過することができる。
【0019】
包装体20の先頭部分が第1ローラー41に接触するまでの間、包装体20の自重が載置台30にかかり、包装体20と載置台30との間の摩擦力によって包装体20と載置台30が互いに移動しないことにより、包装体20が載置台30の移動に伴って移動方向Mに移動してもよいし、或いは、後述するように、固定機構31により包装体20が載置台30に固定されることにより、包装体20が載置台30の移動に伴って移動方向Mに移動してもよい。
【0020】
包装体20は、先頭部分が第1ローラー41に接触した後、第1ローラー41と第3ローラー43の両方から移動方向Mへの力を受けるが、第1ローラー41と第3ローラー43は回転軸50を共有しているため第1ローラー41と第3ローラー43の回転が同期でき、包装体20が第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過する際に位置ずれが起こりにくい。これにより、包装体20を搬送しながら効率的な検査を行うことができる。
【0021】
包装体20は第1ローラー41の外周に直接接触することにより搬送され、載置台30は第3ローラー43の外周に直接接触することにより移動されることが好ましく、第1ローラー41と第3ローラー43は同じ径を有していることが好ましい。回転軸50を共有している第1ローラー41と第3ローラー43は同じ回転数で回転するため、第1ローラー41と第3ローラー43が同じ径を有していることにより、第1ローラー41と第3ローラー43の周速度を同じにすることができる。これにより、載置台30により搬送される包装体20の部分と第1ローラー41により搬送される包装体20の部分とが同じ速度で移動方向Mに移動でき、包装体20の位置ずれを容易に防止することができる。或いは、第1ローラー41の径は載置台30の厚み分以下の範囲で第3ローラー43の径よりも大きくてもよい。第1ローラー41の径が第3ローラー43の径よりも大きくても、その差が載置台30の厚み分以下であることにより、周速度の違いを所定以下とすることができるため、包装体20の位置ずれを誤差範囲内とすることができる。第1ローラー41の径、第3ローラー43の径、及び載置台30の厚みは、包装体20が安定して搬送されるように適宜設定されることが好ましい。
【0022】
或いは、包装体20は第1ローラー41の外周に直接接触することにより搬送され、載置台30は第3ローラー43の外周に間接的に接触することにより移動されてもよい。この場合、載置台30により搬送される包装体20の部分と第1ローラー41により搬送される包装体20の部分とが同じ速度で移動方向Mに移動できるように、第1ローラー41と第3ローラー43の径が調整されることが好ましい。これにより、包装体20の位置ずれを容易に防止することができる。
【0023】
回転軸50は、水平に配置されていてもよいし、水平から僅かに傾いて配置されていてもよい。回転軸50が水平から傾いて配置されている場合、第1ローラー41側が第3ローラー43側よりも鉛直方向において上になるように傾いていることが好ましい。このとき、鉛直方向における第1ローラー41の上端と第3ローラー43の上端との距離が載置台30の厚み以下となるように傾いていることが好ましい。これにより、例えば第1ローラー41と第3ローラー43が同じ径を有している場合であっても、包装体20を水平に搬送することが容易になる。
【0024】
シール部204は、例えば、熱溶着等の公知の方法により形成することができるが、第1シート部210と第2シート部220の熱収縮率の違いや熱溶着の条件等により、図5に示すようにシール部204が反り返ったり、或いは図示していないが、シール部204が波打ったり等の変形が生じて平面状態ではない状態になることがある。このように変形すると、包装体20の厚み方向Tにおけるシール部204の最大長さLが長くなるが、第1ローラー41と第2ローラー42の間をシール部204が通過することにより、シール部204を平面状態に近づけ、シール部204の厚み方向Tの最大長さLを図6に示すように小さくすることができる。これにより、シール部204をカメラ60で撮像する際に、ピントのずれを防止して撮像箇所にかかわらず同じ条件で画像を得られるため、撮像画像から高精度で欠陥を検出することが可能となる。
【0025】
シール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過する際、シール部204の少なくとも一部は第1ローラー41及び/又は第2ローラー42の表面に当接することが好ましい。これにより、シール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過することで、シール部204の厚み方向Tの最大長さLを小さくすることができる。
【0026】
図7及び図8に示すように、包装体20は、第1シート部210と、第1シート部210に対向する第2シート部220と、第1シート部210と第2シート部220が互いに固定されているシール部204とを有しており、第1シート部210と第2シート部220が互いに固定されていない非固定部205に内容物70が封入されることができる。
【0027】
図1図4に示すように、検査装置10では、包装体20の一部、例えば内容物70を内包した非固定部205を含む部分が載置台30に載置され、シール部204は載置台30に載置されていない。このような構成により、第3ローラー43が図1及び図3に示されている状態から図2及び図4に示されている状態になるように載置台30を起点側Doから終点側Dt(移動方向M)に移動させたとき、非固定部205に内容物70が内包され非固定部205の厚みが比較的厚くなっていても、第1ローラー41と第2ローラー42の間にシール部204を通過させることができる。これにより、内部に内容物70を封入した状態の包装体20を移動方向Mに移動させながら、平面状態となったシール部204をカメラ60で撮像することにより欠陥の検査を行うことができる。
【0028】
図7に示すように、包装体20は、その平面形状が例えば四角形であってもよい。包装体20は、第1シート部210と第2シート部220により袋状に形成され、当該袋の中に内容物70を挿入した後にシール部204を形成して袋の開口部を閉じることにより内容物70が封入された包装体20とすることが好ましい。シール部204以外の第1シート部210と第2シート部220の境界は、一枚のシートを折り畳むことにより形成してもよいし、図7及び図8に示すように、第1シート部210と、第1シート部210とは別部材である第2シート部220を固定することにより形成してもよい。
【0029】
第1シート部210と第2シート部220を固定することにより、シール部204以外の第1シート部210と第2シート部220の境界を形成する場合、図7に示すように、包装体20は、第1シート部210の外縁部と第2シート部220の外縁部が互いに固定されており第1方向d1に延在している第1直線状固定部201と、第1シート部210の外縁部と第2シート部220の外縁部が互いに固定されており第2方向d2に延在している第2直線状固定部202及び第3直線状固定部203と、第1シート部210と第2シート部220が互いに固定されていない非固定部205と、を有しており、シール部204は第1方向d1に延在していることが好ましい。
【0030】
第1直線状固定部201、第2直線状固定部202、及び第3直線状固定部203は、シール部204と同様に熱溶着等の公知の方法により形成することができる。その場合、第1直線状固定部201、第2直線状固定部202、及び第3直線状固定部203はシール部204であるとも言える。即ち、検査装置10では、袋形状を形成する第1直線状固定部201、第2直線状固定部202、及び第3直線状固定部203、そして内容物70を挿入した後に袋の開口部を閉じるシール部204のいずれの部分であっても検査することができる。或いは、第1シート部210と第2シート部220の間に内容物70を配置した後で、第1直線状固定部201、第2直線状固定部202、第3直線上固定部203、及びシール部204が形成されてもよく、それぞれのシール部が形成される順序は任意であってよい。
【0031】
例えば、第1直線状固定部201を検査したい場合は、第1直線状固定部201を載置台30に載置せずに第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過させるようにすればよい。第2直線状固定部202、第3直線状固定部203を検査したい場合も同様である。検査したい部分以外のシール部204は載置台30に載置されることもあるが、シール部204の少なくとも一部、即ち検査したいシール部204を載置台30に載置せず第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過させることにより、上記構成の検査が可能になる。
【0032】
或いは、包装体20は、四角形以外の形状、例えば、円形、楕円形、又は多角形等の形状を有していてもよい。また、例えば、包装体20は、内容物70の形状に沿うように形成されていてもよいし、不定型な形状を有していてもよい。いずれの場合であっても、包装体20の内部に内容物70を挿入した後に開口部を閉じるシール部204が形成され、検査装置10によりシール部204を検査することができる。また、上述のように、包装体20の内部に内容物70を挿入した後に形成されるシール部204のみならず、包装体20に形成された別の固定部も検査することができる。別の固定部は、直線状に限らず任意の形状を有していてよい。
【0033】
第1シート部210及び第2シート部220は、例えば、不織布や樹脂フィルムとすることができる。第1シート部210と第2シート部220は、同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。また、第1シート部210と第2シート部220は、1枚のシートを折り畳むことにより形成されていてもよく、それぞれが別部材であってもよい。第1シート部210及び第2シート部220を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂等が挙げられる。第1シート部210と第2シート部220がこのような材料から構成されていれば、第1シート部210と第2シート部220を熱溶着してシール部204を形成することができる。
【0034】
包装体20が載置台30に固定手段により固定されていない場合、即ち、包装体20と載置台30との間の摩擦力によって包装体20と載置台30が互いに移動しないことにより、包装体20が載置台30の移動に伴って移動方向Mに移動する場合、載置台30に載置される側の包装体20の面、即ち図面における第2シート部220は、不織布で構成されていることが好ましい。これにより、包装体20と載置台30との摩擦力を大きくすることができるため、載置台30の移動に伴う包装体20の移動を安定させることができる。このとき、載置台30に面しない側の包装体20の面、即ち図面における第1シート部220は、樹脂フィルムで構成されていることが好ましい。これにより、内容物70の視認性を向上したり、第1シート部210と第2シート部220を熱溶着してシール部204やその他の固定部を形成したりすることが容易になる。
【0035】
また、後述するように検査装置10が包装体20の一部を載置台30に固定する固定機構31を有している場合は、第1シート部210と第2シート部220がともに樹脂フィルムで形成されていてもよいが、載置台30に載置される側の包装体20の面、即ち図面における第2シート部220は、不織布で構成されていることが好ましい。これにより、包装体20がより安定して載置台30に固定されることができる。
【0036】
シール部204の延在方向に垂直な方向における幅は、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。シール部204の幅の下限が上記範囲であることにより、包装体20の気密性を保つことができる。シール部204の幅は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。シール部204の幅の下限が上記範囲であることにより、包装体20の大きさを抑えつつ非固定部205を広く確保することができる。
【0037】
包装体20に封入される内容物70としては、特に限定されないが、例えば、カテーテル、注射器、穿刺デバイス、滅菌ガーゼ等の医療用具、医薬品、食品等が挙げられる。
【0038】
載置台30の構成は、包装体20を載置可能な載置面を有していれば特に限定されないが、水平な載置面を有していることが好ましい。載置面は、包装体20の平面視における面積の1/3以上の面積を有していることが好ましく、1/2以上の面積を有していることがより好ましく、2/3以上の面積を有していることがさらに好ましい。これにより、包装体20の一部を載置台30に安定して載置することができる。載置面の面積は、包装体20の平面視における面積未満であってもよいが、包装体20の平面視における面積の1倍以上、1.5倍以上、2倍以上、3倍以上、5倍以上であってもよい。載置面の面積が包装体20の面積よりも大きくても、シール部204の少なくとも一部を載置台30に載置しないことにより、載置台30に載置されていないシール部204を検査することができる。載置面の面積の上限は特に限定されないが、例えば、50倍以下、20倍以下、10倍以下とすることができる。ここで、載置面には凹凸や孔が形成されていてもよく、この場合の載置面の面積とは、それら凹凸や孔が占める面積を含む包装体20を載置可能な部分の面積のことである。
【0039】
載置台30は、ベルトコンベアのベルトであることが好ましい。これにより、第3ローラー43と載置台30を一体の構成とすることができるため、第3ローラー43による包装体30の搬送を安定させることができる。或いは、載置台30は、板状の部材であってもよい。
【0040】
第3ローラー43により載置台30が移動方向Mに移動する速度は、50mm/秒以上が好ましく、100mm/秒以上がより好ましく、150mm/秒以上がさらに好ましく、また、300mm/秒以下が好ましく、250mm/秒以下がより好ましく、200mm/秒以下がさらに好ましい。載置台30の移動速度が上記範囲であることで、検査精度を落とすことなく効率的な検査が可能である。
【0041】
包装体20は、載置台30に固定されていないことが好ましい。検査装置10では、第3ローラー43により載置台30が移動することにより載置台30に載置されている部分の包装体20が搬送され、第1ローラー41に包装体20が接触した後は第1ローラー41によっても包装体20が搬送されるため、包装体20が載置台30に固定されていなくても第1ローラー41と第2ローラー42の間をシール部204が安定して通過することができる。
【0042】
或いは、検査装置10は、包装体20の一部を載置台30に固定する固定機構31をさらに有していてもよい。載置台30に載置されている部分の包装体20が固定機構31により載置台30に固定されていることにより、包装体20が第1ローラー41に接触するまでの載置台30の移動に伴う包装体20の移動を安定させることが可能になる。また、載置台30に載置されている部分の包装体20が載置台30に固定されていることにより、包装体20が第1ローラー41及び/又は第2ローラー42に接触して抵抗を受けても位置ずれを起こしにくいため、シール部204が延在方向の全体にわたって第1ローラー42と第2ローラー42の間を安定して通過することができる。これにより、延在方向の全体にわたるシール部204の検査が容易になる。
【0043】
図9に示すように、固定機構31としては、例えば、吸着コンベアであってもよい。固定機構31を含む検査装置10の例として、第3ローラー43が移動させる載置台30がベルトコンベアのベルトであり、ベルトに適宜の間隔で設けた孔31aから吸引することによりベルトコンベアに載置された包装体20を固定する構成が挙げられる。或いは、固定機構31は、載置台30に備えられたチャックや押え具等の固定具であってもよい。
【0044】
固定機構31により、包装体20が載置台30に固定される領域は、載置台30に載置されている部分の全体、即ち100%であってもよいし、90%以下、80%以下、60%以下であってもよく、また、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。包装体20のうち上記範囲の部分が載置台30に固定されていることにより、載置台30の移動に伴う包装体20の移動を安定することができ、包装体20の位置ずれを防止できる。
【0045】
図1図4に示すように、第3ローラー43は載置台30に対して包装体20が載置される側とは反対側に位置していることが好ましく、第1ローラー41は包装体20の載置台30に載置される面、即ち第2シート部220側に位置していることが好ましい。これにより、包装体20の一部が載置されている載置台30を第3ローラー43が移動させることができる。
【0046】
図1図4に示すように、検査装置10を移動方向Mに見たとき、第1ローラー41及び第2ローラー42と載置台30は重なっていないことが好ましい。これにより、第1ローラー41及び第2ローラー42に邪魔されずに載置台30を移動方向Mに移動させることができ、シール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間を容易に通過できる。
【0047】
第1ローラー41と第2ローラー42の幅は、シール部204の幅の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.5倍以上がさらに好ましい。第1ローラー41と第2ローラー42の幅が上記範囲でシール部204の幅よりも長いことにより、シール部204を平面状態とすることが容易になる。第1ローラー41と第2ローラー42の幅は、シール部204の幅の5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。第1ローラー41と第2ローラー42の幅の上限が上記範囲であれば、第1ローラー41及び第2ローラー42を載置台30に接しないように配置することが容易になる。
【0048】
図1に示すように、第1ローラー41と第2ローラー42は、互いに接するように配置されていてもよい。第1ローラー41と第2ローラー42が互いに接するように配置されていても、第1ローラー41と第2ローラー42が回転可能でさえあれば、第1ローラー41及び/又は第2ローラー42の表面が弾性を有する材料で形成されることにより、シール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過することができる。
【0049】
或いは、図10に示すように、第1ローラー41と第2ローラー42の間には隙間45が形成されていてもよい。シール部204が隙間45に誘導されることにより、シール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間を容易に通過できる。
【0050】
第1ローラー41と第2ローラー42の間に隙間45が形成されている場合、隙間45の間隔は、包装体20の厚み方向Tにおけるシール部204の自然状態での最大長さL以下であることが好ましい。このような構成であれば、図5に示すような反り返りや波打ち等の変形がシール部204にあることにより厚み方向Tの最大長さLが長くなっていても、第1ローラー41と第2ローラー42の間の隙間45をシール部204が通過することにより最大長さLを小さくすることができ、検査精度を向上できる。
【0051】
隙間45の間隔は、シール部204が平面状態になったときの厚みの1/20以上が好ましく、1/10以上がより好ましく、1/5以上がさらに好ましく、1/2以上が特に好ましく、3/4以上であってもよい。隙間45の間隔がシール部204の厚みよりも短くても、隙間45の存在によりシール部204が第1ローラー41と第2ローラー42の間に誘導され易くなる効果があり、第1ローラー41及び/又は第2ローラー42の表面が弾性を有する材料で形成されることにより、シール部204が第1ローラー41により搬送されて第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過できる。
【0052】
隙間45の間隔は、シール部204が平面状態になったときの厚みの2倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましく、1.2倍以下がさらに好ましく、1.1倍以下が特に好ましく、1倍以下であってもよい。隙間45の間隔がシール部204の厚みより長くてもシール部204の変形の大きさよりも短ければ、包装体20が第1ローラー41と第3ローラー43により搬送されて第1ローラー41と第2ローラー42の間の隙間45をシール部204が通過することにより、シール部204を平面状態とする効果がある。
【0053】
第1ローラー41及び第2ローラー42を構成する材料は特に限定されず、金属、樹脂、木材等の任意の材料であってよい。また、回転軸50と回転軸42aは金属で形成されローラー本体は樹脂で形成されたり、ローラー本体の中心部は金属で形成されシール部204に当接するローラー本体の表面部は樹脂で形成されたり等、第1ローラー41及び第2ローラー42は2種以上の材料で構成されていてもよい。第1ローラー41と第2ローラー42は、互いに異なる材料から構成されていてもよい。
【0054】
中でも、第1ローラー41及び第2ローラー42の表面は樹脂で形成されていることが好ましい。これにより、第1ローラー41と第2ローラー42が接していたり、第1ローラー41と第2ローラー42の間の隙間45の間隔がシール部204の厚みよりも短かったりする場合であっても、樹脂が有する弾性により、第1ローラー41と第2ローラー42の間をシール部204が通過することができる。また、第1ローラー41及び第2ローラー42の表面が樹脂であることにより、第1シート部210及び第2シート部220との摩擦を大きくすることができ、シール部204の先頭部分が第1ローラー41と第2ローラー42の間に導入されやすくなる。
【0055】
第3ローラー43を構成する材料は特に限定されず、金属、樹脂、木材等の任意の材料であってよい。また、回転軸50は金属で形成されローラー本体は樹脂で形成されたり、ローラー本体の中心部は金属で形成されローラー本体の表面部は樹脂で形成されたり等、第3ローラー43は2種以上の材料で構成されていてもよい。
【0056】
第1ローラー41、第2ローラー42、及び第3ローラー43を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。第1ローラー41、第2ローラー42、及び第3ローラー43を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼が挙げられる。
【0057】
第1ローラー41と第3ローラー43が共有する回転軸50は、モーター等の動力源に接続されていることが好ましい。検査装置10は回転軸50の回転をオンオフするスイッチを有していてもよい。載置台30に包装体20を載置する際には回転軸50の回転を止めることにより包装体20を所定位置に載置し易くでき、載置台30に包装体20を載置した後に回転軸50を回転させて載置台30と包装体20を移動方向Mに移動させることができる。
【0058】
第2ローラー42は、駆動軸を有していないフリーローラーであることが好ましい。これにより、第1ローラー41の回転速度と第2ローラー42の回転速度がずれることによる包装体20のよれを防止することができる。
【0059】
検査装置10は、第1ローラー41と第2ローラー42以外にもシール部204の搬送に寄与するローラーを有していてもよい。例えば、検査装置10は、第1ローラー41及び第2ローラー42よりも起点側Doに供給ローラーを有していてもよい。供給ローラーにより包装体20を支えることによって、包装体20の走行を安定させることができる。供給ローラーにより安定して包装体20を支えるために、包装体20の自重が供給ローラーにかかるように供給ローラーは包装体20の下に配されていることが好ましい。或いは、供給ローラーは、包装体20の上下に2つ配されていてもよい。
【0060】
また、また、検査装置10は、第1ローラー41及び第2ローラー42よりも終点側Dtに払出しローラーを有していてもよい。払出しローラーにより包装体20を支えることによって、包装体20の走行を安定させることができる。払出しローラーは、カメラ60による撮像を邪魔しないように、包装体20に対してカメラ60とは反対側に配されていることが好ましい。或いは、払出しローラーは包装体20の上下に2つ配されていてもよいが、この場合払出しローラーはカメラ60よりも終点側Dtに配されていることが好ましい。供給ローラー及び/又は払出しローラーが配されている場合、どちらのローラーも駆動軸を有していないフリーローラーであることが好ましい。これにより、供給ローラー及び/又は払出しローラーの周速度と回転軸50を共有している第1ローラー42及び第3ローラー43の周速度が異なることによる包装体20のよれを防止できる。
【0061】
カメラ60は、可視光を検知する撮像素子を有していることが好ましく、シール部204を撮像可能なカメラであればその構成については特に制限されない。カメラ60は、エリアスキャンカメラであってもラインスキャンカメラであってもよいが、ラインスキャンカメラであることが好ましい。
【0062】
カメラ60がラインスキャンカメラである場合、例えば、図2及び図4のラインCを撮像するようにカメラ60を設定し、包装体20が移動方向Mに搬送されることによりラインCが移動方向Mとは逆方向にスキャンされるようにシール部204を連続して撮像することができる。なお、図2ではカメラ60がシール部204を撮像中のラインCを示し、図4ではカメラ60がシール部204を撮像する前のラインCを示している。エリアスキャンカメラの場合、検査対象以外の部位も撮像して画像データ量が大きくなってしまうところ、ラインスキャンカメラであれば、ラインCの撮像データを包装体20の移動方向Mへの移動に伴い重ねていくことにより、検査対象に絞った画像データを容易に取得できる。これにより、画像データ量を大きくし過ぎることなく、検査したいシール部204全体の情報を得ることが容易になる。1ライン当たりの画素数は、500画素以上、1000画素以上、2000画素以上、また、16000画素以下、10000画素以下、8000画素以下等とすることができる。
【0063】
カメラ60は、包装体20に対して載置台30とは反対側であって包装体20の上部に配置されていることが好ましい。これにより、図2の一点鎖線で示すように、カメラ60がシール部204を撮像することができる。或いは、カメラ60は、包装体20に対して載置台30と同じ側であって包装体20の下部に配置されていてもよい。このような構成であっても、検査されるシール部204は載置台30に載置されていないため、載置台30に邪魔されることなくカメラ60はシール部204を撮像できる。
【0064】
移動方向Mにおいて、カメラ60はローラーにより遮られない位置であれば、第1ローラー41及び第2ローラー42よりも起点側Doに配置されていてもよいし終点側Dtに配置されていてもよいが、終点側Dtに配置されていることが好ましい。これにより、第1ローラー41と第2ローラー42の間を通過して厚み方向Tの最大長さLが短くなった、即ち平面状態となったシール部204を撮像することができ、検査したいシール部204においてピントのずれを防止して高精度の検査を行うことができる。
【0065】
カメラ60の撮像により得られる画像から、シール部における異物、ピンホール、シワ、空隙、噛み込み、折れ等の欠陥やシール部204の幅に関する情報を得ることにより、包装体20の気密状態を確認することができる。検査装置10は、さらに照明装置を有していてもよい。これにより、包装体20の気密状態の確認がより容易になる。
【0066】
検査装置10は、カメラ60による撮像で得られた画像データを処理する計算機を含む処理部をさらに備えていることが好ましい。処理部により、欠陥かどうかを判別することが容易になる。欠陥として処理するデータとして、例えば、0.2mm以上の異物、径0.1mm以上のピンホール、幅0.1mm以上のシワや空隙、シール部204の幅の50%以上の噛み込み、及び折れがある場合やシール部204の幅が10mm未満の場合を不合格として処理部に記憶させておくことにより、欠陥品を検出することができる。
【0067】
第1ローラー41と第2ローラー42の間に隙間45が形成されている場合、隙間45はカメラ60の被写界深度以下であることが好ましい。これにより検査したいシール部204の最大長さLを被写界深度以下とすることが容易になり、検査したいシール部204全体においてカメラ60のピントを合わせて検査精度を向上することができる。
【0068】
隙間45の間隔をカメラ60の被写界深度以下とするために、具体的には、隙間45の間隔は、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましく、5mm以下が特に好ましい。隙間45の間隔の上限が上記範囲であることにより、隙間45を通過したシール部204の厚み方向Tの長さLをカメラ60の被写界深度以下とすることができ、検査したいシール部204全体においてカメラ60のピントを合わせることが可能になる。隙間45の間隔の下限は、例えば、1mm以上、2mm以上、3mm以上とすることができる。
【0069】
図7及び図8に示すように、包装体20は、第1シート部210の外縁部と第2シート部220の外縁部が互いに固定されており第1方向d1に延在している第1直線状固定部201と、第1シート部210の外縁部と第2シート部220の外縁部が互いに固定されており第2方向d2に延在している第2直線状固定部202及び第3直線状固定部203と、第1シート部210と第2シート部220が互いに固定されていない非固定部205と、を有しており、シール部204は第1方向d1に延在しており、第2方向d2において、シール部204の両側に非固定部205が配されていることが好ましい。シール部204の両側に非固定部205が配されていることにより、シール部204と両側の非固定部205とを比較することでシール部204の欠陥を発見し易くなる。
【0070】
上記の場合、図3及び図4に示すように、包装体20は、第1方向d1が載置台30の移動方向Mとなるように載置台30に載置されていることが好ましい。これにより、第1方向d1に延在しているシール部204の延在方向と載置台30の移動方向Mを同じにすることができるため、シール部204を延在方向に連続してカメラ60で撮像することができる。図2及び図4に示すように、カメラ60がラインスキャンカメラである場合、包装体20の第1方向d1における一方端から他方端までがラインCを通過するように包装体20を移動方向Mに移動させることにより、カメラ60が撮像するラインCがシール部204の延在方向にスキャンされることになり、包装体20の第1方向d1における一方端から他方端までの検査を効率よく行うことが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10:検査装置
20:包装体
210:第1シート部
220:第2シート部
201:第1直線状固定部
202:第2直線状固定部
203:第3直線状固定部
204:シール部
205:非固定部
30:載置台
31:固定機構
31a:孔
41:第1ローラー
42:第2ローラー
42a:第2ローラーの回転軸
43:第3ローラー
45:隙間
50:第1ローラーと第3ローラーが共有する回転軸
60:カメラ
70:内容物
Do:起点側
Dt:終点側
d1:第1方向
d2:第2方向
L:シール部の厚み方向の最大長さ
M:搬送方向
T:包装体の厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10