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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132069
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】汚れ検知装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240920BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240920BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20240920BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G06T7/00 300G
G06T7/00 650Z
B60R11/02 Z
H04N23/52
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042717
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真雄
【テーマコード(参考)】
3D020
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC13
3D020BD05
5C122DA14
5C122EA02
5C122EA59
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH14
5C122FH24
5C122HA88
5C122HB01
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA32
5L096FA33
5L096FA35
5L096FA67
5L096GA04
5L096GA19
5L096GA51
(57)【要約】

【課題】車載カメラのレンズの汚れの検知精度を向上させることが可能な汚れ検知装置を提供する。
【解決手段】本開示の汚れ検知装置は、画像取得部と第1の算出部と第2の算出部と検知部とを備える。画像取得部は、車両の外部を撮像する撮像部で撮像された画像を取得する。第1の算出部は、画像取得部で取得された画像に基づいて、輝度変化の方向を算出する。第2の算出部は、複数の方向範囲のそれぞれについて、該方向範囲に含まれる輝度変化の方向の出現頻度を示すヒストグラムを算出する。検知部は、ヒストグラムに基づいて、撮像部のレンズに付着している汚れを検知する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部を撮像する撮像部で撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得された前記画像に基づいて、輝度変化の方向を算出する第1の算出部と、
複数の方向範囲のそれぞれについて、該方向範囲に含まれる前記輝度変化の方向の出現頻度を示すヒストグラムを算出する第2の算出部と、
前記ヒストグラムに基づいて、前記撮像部のレンズに付着している汚れを検知する検知部と、を備える、
汚れ検知装置。
【請求項2】
前記検知部は、
前記輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が、前記車両に向かう方向に対応する方向範囲ではない、または、
前記輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が、前記車両に向かう方向に対応する方向範囲であっても複数の前記輝度変化の方向がばらついている場合に、汚れを検知する、
請求項1に記載の汚れ検知装置。
【請求項3】
前記第1の算出部は、1枚の前記画像に基づいて、複数の前記輝度変化の方向を算出する、
請求項1に記載の汚れ検知装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記画像のうちボケ部分の領域の大きさを条件に、汚れを検知する、
請求項1に記載の汚れ検知装置。
【請求項5】
前記検知部は、
前記画像のうち、空間周波数が第1の閾値以上の第1の空間周波数の領域を示す第1の領域に対する、空間周波数が前記第1の閾値未満の第2の空間周波数の領域を示す第2の領域の比率に応じたスコアが第2の閾値以上であり、かつ、
前記画像の輝度勾配を示す輝度勾配画像を3値化して得られる3値化画像のうち、ボケ部分に対応する階調の画素の数が第3の閾値以上であることを条件に、汚れを検知する、
請求項4に記載の汚れ検知装置。
【請求項6】
前記検知部は、輝度情報に基づいて、前記スコアを補正する、
請求項5に記載の汚れ検知装置。
【請求項7】
前記検知部は、輝度のコントラストが低いほど前記スコアが低くなる補正を行う、
請求項6に記載の汚れ検知装置。
【請求項8】
前記検知部は、輝度の分散が大きいほど前記スコアが低くなる補正を行う、
請求項6に記載の汚れ検知装置。
【請求項9】
前記検知部は、輝度の平均が大きいほど前記スコアが低くなる補正を行う、
請求項6に記載の汚れ検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、汚れ検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラが撮像した画像に基づいて車両の周囲に存在する人または物体を検知する技術において、車載カメラのレンズに汚れが付着している場合、車両の周囲の状況を把握することができないため、人や物体を検知することが困難になる。そのため、車載レンズの汚れを精度良く検知する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-13969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車載カメラのレンズの汚れの検知精度を向上させることが可能な汚れ検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示の汚れ検知装置は、車両の外部を撮像する撮像部で撮像された画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得された前記画像に基づいて、輝度変化の方向を算出する第1の算出部と、複数の方向範囲のそれぞれについて、該方向範囲に含まれる前記輝度変化の方向の出現頻度を示すヒストグラムを算出する第2の算出部と、前記ヒストグラムに基づいて、前記撮像部のレンズに付着している汚れを検知する検知部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、車載カメラのレンズの汚れの検知精度を向上させることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の車両の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態の車両の運転席近傍の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態の車載カメラのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態の画像処理部が有する機能の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態の輝度変化の方向の定義を説明するための図である。
図6図6は、実施形態のヒストグラムの算出方法の一例を説明するための図である。
図7図7は、実施形態の自車両の後続車のヘッドライトの照射の態様を説明するための図である。
図8図8は、実施形態の輝度方向の変化の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態のヒストグラムの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態の輝度方向の変化の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態のヒストグラムの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態のスコアの算出方法を説明するための図である。
図13図13は、実施形態の第1の領域と第2の領域を説明するための図である。
図14図14は、実施形態の3値画像の生成方法を説明するための図である。
図15図15は、実施形態のソーベルフィルタの一例を示す図である。
図16図16は、実施形態の輝度勾配値と3値化画像における3値との関係の一例を示す図である。
図17図17は、実施形態の画像処理部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、実施形態のスコアの算出方法の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施形態のボケ画素数の算出方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態に係る汚れ検知装置を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る車載装置100を備える車両1の一例を示す図である。図1に示すように、車両1は、車体12と、車体12に所定方向に沿って配置された2対の車輪13とを備える。2対の車輪13は、1対のフロントタイヤ13f及び1対のリアタイヤ13rを備える。
【0010】
なお、図1に示す車両1は4つの車輪13を備えるが、車輪13の数はこれに限定されるものではない。例えば、車両1は、2輪車であっても良い。
【0011】
車体12は、車輪13に結合され、車輪13によって移動可能である。この場合、2対の車輪13が配置される所定方向が車両1の走行方向となる。車両1は、不図示のギヤの切り替え等により前進または後退することができる。また、車両1は、操舵により右左折することもできる。
【0012】
また、車体12は、フロントタイヤ13f側の端部である前端部Fと、リアタイヤ13r側の端部である後端部Rを有する。車体12は上面視で略矩形をしており、略矩形状の4つの角部を端部と呼ぶ場合もある。また、図1では図示を省略するが、車両1は、表示装置、スピーカ、および操作部を備える。
【0013】
車体12の前後端部F,Rであって、車体12の下端付近には1対のバンパー14が設けられている。1対のバンパー14のうち、フロントバンパー14fは車体12の下端部付近の前面全体と側面の一部を覆う。1対のバンパー14のうち、リアバンパー14rは車体12の下端部付近の後面全体と側面の一部を覆う。
【0014】
車体12の所定の端部には、超音波等の音波の送受波を行う送受波部15f,15rが配置される。例えば、フロントバンパー14fには1つ以上の送受波部15fが配置され、リアバンパー14rには1つ以上の送受波部15rが配置される。以下、送受波部15f,15rを特に限定しない場合には、単に送受波部15という。また、送受波部15の数および位置は、図1に示す例に限定されるものではない。例えば、車両1は、左右の側方に送受波部15を備えても良い。
【0015】
本実施形態においては、超音波を使用したソナーを送受波部15の一例とするが、送受波部15は、電磁波を送受波するレーダーであっても良い。あるいは、車両1は、ソナーとレーダーの両方を備えても良い。また、送受波部15を単にセンサと称しても良い。
【0016】
送受波部15は、音波または電磁波の送受結果に基づいて、車両1の周囲の障害物を検出する。また、送受波部15は、音波または電磁波の送受結果に基づいて、車両1の周囲の障害物と車両1との距離を計測する。
【0017】
また、車両1は、車両1の前方を撮影する第1の車載カメラ16a、車両1の後方を撮影する第2の車載カメラ16b、車両1の左側方を撮影する第3の車載カメラ16c、および車両1の右側方を撮影する第4の車載カメラを備える。第4の車載カメラは図示を省略する。
【0018】
以下、第1の車載カメラ16a、第2の車載カメラ16b、第3の車載カメラ16c、および第4の車載カメラを特に区別しない場合には単に車載カメラ16という。車載カメラ16の位置及び数は図1に示す例に限定されるものではない。後述するように、本開示では、後続車のヘッドライトが定在する状況下でも車載カメラ16のレンズの汚れを正確に検知することを目的の一つとするため、車載カメラ16としては、少なくとも、車両1の後方を撮影する第2の車載カメラ16bが設置されていればよい。例えば、車両1は、第1の車載カメラ16aおよび第2の車載カメラ16bの2台を備える形態であってもよい。また、車両1は、上述の例の他に、さらに他の車載カメラを有しても良い。
【0019】
車載カメラ16は、車両1の周囲の映像を撮影可能であり、例えば、カラー画像を撮影するカメラである。なお、車載カメラ16が撮影する画像データは、動画でも良いし、静止画でも良い。また、車載カメラ16は、車両1に内蔵されたカメラであっても良いし、車両1に後付けされたドライブレコーダーのカメラ等であっても良い。
【0020】
また、車両1には、車載装置100が搭載される。車載装置100は、車両1に搭載可能な情報処理装置であり、例えば、車両1の内部に設けられたECU(Electronic Control Unit)、もしくはOBU(On Board Unit)である。あるいは、車載装置100は、車両1のダッシュボード付近に設置された外付けの装置であっても良い。なお、車載装置100はカーナビゲーション装置等を兼ねても良い。また、車載装置100は、車載カメラ16により撮像された画像に基づいて、車両1の周囲に存在する人または物体を検知する機能を有している。
【0021】
次に、本実施形態の車両1の運転席近傍の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る車両1の運転席130a近傍の構成の一例を示す図である。
【0022】
図2に示すように、車両1は運転席130a、および助手席130bを備える。また、運転席130aの前方にはフロントガラス180、ダッシュボード190、ステアリングホイール140、表示装置120、および操作ボタン141が設けられる。
【0023】
表示装置120は、車両1のダッシュボード190に設けられたディスプレイである。表示装置120は、一例として、図2に示すようにダッシュボード190の中央に位置する。表示装置120は例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。また、表示装置120は、タッチパネルを兼ねても良い。
【0024】
また、ステアリングホイール140は、運転席130aの正面に設けられ、ドライバ(運転者)によって操作可能である。ステアリングホイール140の回転角度、つまり操舵角は、操舵輪であるフロントタイヤ13fの向きの変化と電気的または機械的に連動する。なお、操舵輪はリアタイヤ13rでも良いし、フロントタイヤ13fとリアタイヤ13rの両方が操舵輪であっても良い。
【0025】
操作ボタン141は、ユーザによる操作を受け付け可能なボタンである。なお、本実施形態においてユーザは、例えば車両1の運転者である。なお、操作ボタン141の位置は図2に示す例に限定されるものでなく、例えばステアリングホイール140に設けられても良い。操作ボタン141は、本実施形態における操作部の一例である。また、表示装置120がタッチパネルを兼ねる場合は、表示装置120が操作部の一例であっても良い。また、不図示のタブレット端末、スマートフォン、リモートコントローラ、または電子キー等の、車両1の外部から車両1に対して信号を送信可能な操作端末を、操作部の一例としても良い。
【0026】
次に、本実施形態の車載カメラ16のハードウェア構成について説明する。
【0027】
図3は、本実施形態に係る車載カメラ16のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、車載カメラ16は、レンズ161、撮像素子162、洗浄部163、映像信号処理部164、露光制御部165、画像処理部166、及び画像メモリ167を備える。
【0028】
レンズ161は、透明の材料により形成される。そして、レンズ161は、入射した光を発散又は集束する。
【0029】
撮像素子162は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサである。撮像素子162は、レンズ161を通過した光を受光し、映像信号に変換する。
【0030】
洗浄部163は、水などをレンズ161に噴射することにより、レンズ161に付着した汚れを洗浄する装置である。
【0031】
映像信号処理部164は、撮像素子162から出力された映像信号に基づいて、画像を生成する。露光制御部165は、映像信号処理部164により生成される画像の明るさを制御する。すなわち、映像信号処理部164は、露光制御部165により制御された明るさの画像を生成する。例えば、露光制御部165は、画像が暗い場合に、画像の明るさを上げる。一方、露光制御部165は、画像が明るい場合に、画像の明るさを下げる。
【0032】
画像処理部166は、映像信号処理部164により生成された画像に対して各種画像処理を実行する。画像メモリ167は、画像処理部166の主記憶装置である。画像メモリ167は、画像処理部166による画像処理のワーキングメモリとして使用される。
【0033】
画像処理部166は、コンピュータ等で構成され、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより、画像処理を制御する。例えば、画像処理部166は、プロセッサ166A、RAM(Random Access Memory)166B、メモリ166C、及びI/O(Input/Output)インタフェース166Dを備える。
【0034】
プロセッサ166Aは、例えば、コンピュータプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサ166Aは、CPUに限定されない。例えば、プロセッサ166Aは、DSP(Digital Signal Processor)であってもよいし、他のプロセッサであってもよい。
【0035】
RAM166Bは、キャッシュまたはバッファなどとして使用される揮発性メモリである。メモリ166Cは、例えば、コンピュータプログラムを含む各種情報を記憶する不揮発性メモリである。プロセッサ166Aは、特定のコンピュータプログラムをメモリ166Cから読み出してRAM166Bに展開することによって、各種機能を実現する。
【0036】
I/Oインタフェース166Dは、画像処理部166の入出力を制御する。例えば、I/Oインタフェース166Dは、映像信号処理部164、画像メモリ167、及び車載装置100との通信を実行する。
【0037】
なお、洗浄部163は、車載カメラ16と一体に形成されずに、独立した装置であってもよい。また、画像処理部166及び画像メモリ167は、車載カメラ16に限らず、車載装置100に設けられていても良いし、独立した装置であってもよいし、他の装置に組み込まれていても良い。
【0038】
次に、本実施形態に係る画像処理部166が有する機能について説明する。
【0039】
図4は、本実施形態に係る画像処理部166が有する機能の一例を示す図である。画像処理部166のプロセッサ166Aは、メモリ166Cに記憶されたプログラムをRAM166B上に展開して実行することにより各種の機能を実現できる。図4に示すように、例えば画像処理部166は、画像取得部1661、領域設定部1662、第1の算出部1663、第2の算出部1664、検知部1665、汚れ通知部1666、洗浄制御部1667を有する。なお、図3の例では、本実施形態の要部の説明に必要な機能のみを例示しているが、画像処理部166が有する機能はこれらに限られるものではない。また、図4に例示する機能の一部または全部が専用のハードウェア回路(例えば半導体集積回路)で実現される形態であってもよい。
【0040】
画像取得部1661は、車両1の外部を撮像する車載カメラ16(「撮像部」に対応)で撮像された画像を取得する。本実施形態では、画像取得部1661は、映像信号処理部164から、車両1の後方を撮像する第2の車載カメラ16bが撮像した画像を取得する。
【0041】
領域設定部1662は、画像取得部1661により取得された画像のうち、汚れ検知を行うために必要な領域を設定する。本実施形態では、車両1の後方を撮影する第2の車載カメラ16bにより撮像された画像のうち、車両1の後続車のヘッドライトが影響する範囲(自車両1の後方6m~30m)に対応する領域を、汚れ検知を行う領域として設定する。
【0042】
第1の算出部1663は、画像取得部1661で取得された画像に基づいて、輝度変化の方向を算出する。本実施形態では、第1の算出部1663は、画像取得部1661で取得された1枚の画像に基づいて、輝度変化の方向を算出する。より具体的には、第1の算出部1663は、画像取得部1661で取得された1枚の画像(第2の車載カメラ16bで撮像された1枚の画像)のうち領域設定部1662で設定された領域について、輝度の変化を結んだ線分を、輝度変化の方向として算出する。例えば図5に示すように、本実施形態では、第2の車載カメラ16bで撮像された画像のうち後続車のヘッドライトの光源が映り込んだ位置を基準点とし、基準点を通る水平線(左右方向の線)の右側を0度、左側を180度として輝度変化の方向を定義する。ただし、輝度変化の方向の定義はこれに限られるものではなく任意に設定可能であり、例えば水平線の左側を0度、水平線の右側を180度としてもよいし、基準点を通る垂線(上下方向の線)の上側を0度、垂線の下側を180度として定義してもよい。
【0043】
図4に戻って説明を続ける。第2の算出部1664は、複数の方向範囲のそれぞれについて、該方向範囲に含まれる輝度変化の方向の出現頻度を示すヒストグラムを算出する。本実施形態では、0度~180度の範囲において、20度刻みの方向範囲が9つ設定される(0~20度、20~40度、40~60度、60~80度、80~100度、100~120度、120~140度、140~160度、160~180度)。そして、第2の算出部1664は、予め定められた9つの方向範囲の各々に含まれる、第1の算出部1663で算出された輝度変化の方向の数をカウントして、9つの方向範囲のそれぞれのカウント値(輝度変化の方向の出現頻度に相当)を示すヒストグラムを算出する。例えば図6に示すように、各方向範囲に1~9の番号を割り振り、方向範囲ごとに、当該方向範囲に含まれる輝度変化の方向の数を示すカウント値(1つの方向につき「1」ずつ加算)を求めてヒストグラムを算出することもできる。このヒストグラムの具体的な利用方法については後述する。
【0044】
図4に戻って説明を続ける。検知部1665は、第2の算出部1664で算出されたヒストグラムに基づいて、車載カメラ16(この例では第2の車載カメラ16b)のレンズ161に付着している汚れを検知する。
【0045】
ここで、例えば図7に示すように、自車両1の後続車のヘッドライトは、自車両1に向かって照射されるので、輝度変化の方向はほぼ一定となる(輝度変化の方向はばらつかない)。例えば、第2の車載カメラ16bのレンズ161に汚れが付着していない状態で、第2のカメラ16bにより撮像された画像に後続車のヘッドライトが映り込んでいる場合を想定する。この場合において、図8は、第1の算出部1663により算出された輝度変化の方向を示す図であり、図9は、第2の算出部1664で算出されたヒストグラムを示す図である。本実施形態では、図9に示す9つの方向範囲のうち80~100度の方向範囲を、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲としている。図9に示すように、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲は80~100度であり、輝度変化の方向の出現頻度のピークは、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲となる。
【0046】
一方、第2の車載カメラ16bのレンズ161に汚れが付着している場合、汚れの付着の仕方はばらつくので、輝度変化の方向もばらつく。例えば、第2の車載カメラ16bのレンズ161に汚れが付着している状態で、第2のカメラ16bにより撮像された画像に後続車のヘッドライトが映り込んでいる場合を想定する。この場合において、図10は、第1の算出部1663により算出された輝度変化の方向を示す図であり、図11は、第2の算出部1664で算出されたヒストグラムを示す図である。図11に示すように、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲は、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲(80~100度)ではなく、各方向範囲のカウント値も図9の例に比べてばらついている。
【0047】
以上より、自車両1の後続車のヘッドライトは自車両1に向かって照射されるので、車載カメラ16のレンズ161に汚れが付着していない場合は輝度変化の方向はほぼ一定となって輝度変化の方向はばらつかない一方、車載カメラ16のレンズ161に汚れが付着している場合は汚れの付着の仕方はばらつくので、輝度変化の方向もばらつく。この点に着目し、本実施形態の検知部1665は、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲と自車両1に向かう方向に対応する方向範囲との関係と、各方向範囲のカウント値のばらつきと、を用いて、車載カメラ16のレンズ161の汚れを検知する。より具体的には、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲ではない、または、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が自車両1に向かう方向に対応する方向範囲であっても、第2の算出部1664で算出されたヒストグラムに基づき第1の算出部1663で算出された複数の輝度変化の方向がばらついているとなる場合に、検知部1655は汚れを検知する。
【0048】
なお、各方向範囲のカウント値がばらついているか否かについては、各方向範囲のカウント値の分散が基準値を超えている場合に、ばらついていると判断することができる。基準値の一例として、本実施形態では「10000」を設定しているが、これに限らず、基準値は設計条件等に応じて任意に設定可能である。以下は、分散の算出方法の一例を示す式である。
【数1】
【0049】
さらに、本実施形態の検知部1665は、画像取得部1661により取得された画像のうちボケ部分の領域(以下、「ボケ領域」と称する場合がある)の大きさを条件に、汚れを検知する。ボケ領域がある程度の大きさを有している場合は、車載カメラ16のレンズ161に汚れが付着している可能性も高くなるので、そのような状況の下で、上述のヒストグラムに基づいて汚れを検知することで、汚れ検知の精度を一層向上させることができる。
【0050】
より具体的には、検知部1665は、画像取得部1661により取得された画像のうち、空間周波数が第1の閾値以上の第1の空間周波数の領域を示す第1の領域(高周波成分の領域)に対する、空間周波数が第1の閾値未満の第2の空間周波数の領域を示す第2の領域(低周波成分の領域)の比率に応じたスコアが第2の閾値以上であり、かつ、画像の輝度勾配を示す輝度勾配画像を3値化して得られる3値化画像のうち、ボケ部分に対応する階調の画素の数(以下、「ボケ画素数」と称する場合がある)が第3の閾値以上であることを条件に、汚れを検知する。
【0051】
本実施形態の検知部1665は、上述の条件(ボケ領域の大きさの条件)が成立した場合に、上述のヒストグラムに基づいて、車載カメラ16のレンズ161の汚れを検知する。
【0052】
次に、上述のスコアの算出方法について説明する。図12に示すように、検知部1665は、画像取得部1661により取得された画像(入力画像)の中心から所定範囲の領域をブロック化領域として設定し、その設定した領域を分割して複数のブロックを得る。なお、ブロック化領域の範囲は任意に設定可能であり、例えば入力画像全体をブロック化領域とすることもできる。図12の例では、縦および横をそれぞれ8分割して56個のブロックを得ているが、これに限らず、入力画像の分割方法(ブロック数)は任意に変更可能である。そして、検知部1661は、ブロックごとに、DFT変換を行って周波数空間に変換し、第1の領域に対する第2の領域の比率に比例したスコアを算出する(ブロックごとにスコアを示すスコアマップを得る)。
【0053】
例えばDFT変換によって周波数変換を行い、水平方向の空間周波数uと垂直方向の空間周波数vとパワースペクトルとの関係を、画像(パワースペクトル画像)として表現することができる。パワースペクトル画像は、例えば水平方向の空間周波数uをx軸、垂直方向の空間周波数vをy軸、パワースペクトルをz軸とし、xy平面を俯瞰する形でパワースペクトルの大きさを濃淡で示すことで、xy平面上の二次元の画像として表現することもできる。パワースペクトル画像は、画像の中心付近が低周波成分となり、中心から離れるに従って高周波成分になるので、例えば図13に示すように、中心から距離r未満の領域を低周波成分の第2の領域とし、距離r以上の領域を高周波成分の第1の領域として区分けすることもできる。濃淡変化が緩やかな画像(ボケた画像)は、高周波成分が少なく低周波成分が多くなる一方、エッジのような濃淡変化が急峻なパターンを多く含む画像(シャープな画像)は、高周波成分が多く低周波成分が少なくなる。
【0054】
例えば水平方向の空間周波数をu、垂直方向の空間周波数をvとすると、第1の領域のスペクトル総和は以下の式2で表すことができ、第2の領域のスペクトル総和は以下の式3で表すことができる。そして、第1の領域のスペクトル総和に対する、第2の領域のスペクトル総和の比率は以下の式4で表すことができる。本実施形態では、検知部1665は、式4で算出された比率に比例した値をスコアとして設定することができる。スコアが大きくなるほど低周波成分が多くなるので、ボケの度合いも大きくなることを意味する。
【数2】
【数3】
【数4】
【0055】
以上のようにして、検知部1665は、ブロックごとにスコアを算出した後、輝度情報に基づいて、スコアを補正することができる。
【0056】
例えば検知部1665は、輝度のコントラストが低いほどスコアが低くなる補正を行うことができる。例えば床または路面などの単調な領域をボケ領域と誤認しないようにするため、そのような領域のスコアを低減することを目的とする。本実施形態では、検知部1665は、スコアを算出したブロックについて、DFT変換を行う前の該ブロックに含まれる各画素の輝度値の最大値Imaxと最小値Iminとからコントラストを算出し、コントラストが低いほど、算出済みのスコアを低減する補正を行う。例えばコントラストは、以下の式5で算出することもできる。
【数5】
【0057】
また、例えば検知部1665は、輝度の分散が大きいほどスコアが低くなる補正を行うことができる。例えば太陽または電灯などの輝度が高い領域をボケ領域と誤認しないようにするため、そのような領域のスコアを低減することを目的とする。本実施形態では、検知部1665は、スコアを算出したブロックについて、DFT変換を行う前の該ブロックに含まれる各画素の画素値src(I)と、それらの平均meanとから分散を算出し、分散が大きいほど、算出済みのスコアを低減する補正を行う。例えば分散は、以下の式6で算出することもできる。なお、式6における「N」は対象のブロックに含まれる画素の総数(データの総数)である。
【数6】
【0058】
また、例えば検知部1665は、輝度の平均が大きいほどスコアが低くなる補正を行うことができる。上記と同様に、例えば太陽または電灯などの輝度が高い領域をボケ領域と誤認しないようにするため、そのような領域のスコアを低減することを目的とする。本実施形態では、検知部1665は、スコアを算出したブロックについて、DFT変換を行う前の該ブロックに含まれる各画素の画素値src(I)の平均を算出し、平均が大きいほど、算出済みのスコアを低減する補正を行う。例えば平均は、以下の式7で算出することもできる。
【数7】
【0059】
なお、本実施形態では、輝度情報に基づいてスコアを補正しているが、これに限らず、例えば輝度情報に基づく補正を行わない形態であってもよい。また、上述の輝度情報に基づく補正を行う場合においても、輝度のコントラストによる補正、輝度の分散による補正および輝度の平均による補正のうちの一部のみを選択的に行う形態であってもよい。
【0060】
次に、上述のボケ画素数の算出方法について説明する。例えば図14に示すように、検知部1665は、入力画像に対してソーベルフィルタを適用して、輝度勾配で表現される輝度勾配画像に変換し、該輝度勾配画像を3値化画像に変換する。
【0061】
ソーベルフィルタとしては、例えば図15に示すような横方向のフィルタと縦方向のフィルタを使用することができる。検知部1665は、入力画像に対して横方向のフィルタを適用した結果の絶対値と、入力画像に対して縦方向のフィルタを適用した結果の絶対値とを加算することで、輝度勾配画像を得ることができる。
【0062】
また、図16は、輝度勾配値と3値化画像における3値(この例では、「灰」、「白」、「黒」の3つの階調に対応する3値)との関係の一例を示す図である。図16に示すように、例えば「濃泥」を表す輝度勾配値の範囲に対応する3値の階調は「灰」、「薄泥」または「ボケ」を表す輝度勾配値の範囲に対応する3値の階調は「白」、「エッジ」を表す輝度勾配値の範囲に対応する3値の階調は「黒」として、それぞれ対応付けられている。この例では、検知部1665は、3値化画像のうち、「ボケ」に対応する「白」の階調を示す画素の数をカウントすることで、ボケ画素数を算出することができる。
【0063】
以上が、図4に示す検知部1665の機能である。なお、上述したように、本実施形態の検知部1665は、ボケ領域の大きさを条件に汚れを検知しているが、これに限らず、例えばボケ領域の大きさを条件とせずに、上述のヒストグラムのみに基づいて、汚れを検知する形態であってもよい。
【0064】
図4に戻って説明を続ける。汚れ通知部1666は、検知部1665により車載カメラ16のレンズ161の汚れが検知された場合、その旨を表示装置120に表示させる。これを見た運転者等の操作者は、操作ボタン141や表示装置120が兼ねるタッチパネルを使用して、洗浄部163に洗浄させる操作を入力することができる。そして、洗浄制御部1667は、洗浄部163に洗浄させる操作を受け付けた場合に、洗浄部163にレンズ161を洗浄させる。
【0065】
図17は、本実施形態の画像処理部166が実行する処理の一例を示すフローチャートである。以下の画像処理部166が有する各機能(検知部1665等)による処理の説明において、上述の説明と重複する部分については適宜説明を省略する。また、図17のフローチャートの各ステップの順番については、図17の例に限られるものではなく、適宜に変更可能である。
【0066】
図17に示すように、検知部1665は入力画像を分割して得られる複数のブロックのそれぞれについてスコアを算出し、各ブロックのスコアを足し合わせて全体スコアを算出する(ステップS1)。図18は、スコアの算出方法の一例を示すフローチャートである。検知部1665は、図18に示すフローチャートに従った処理をブロックごとに行って、各ブロックのスコアを算出する。
【0067】
図18のフローチャートについて説明する。以下の各処理の説明において、上述の説明と重複する部分については適宜に説明を省略する。検知部1665は、入力画像に対してDFT変換を行い、周波数空間に変換する(ステップS100)。次に、検知部1665は、上述の第1の領域(高周波成分の領域)に対する上述の第2の領域(低周波成分の領域)の比率を算出する(ステップS101)。次に、検知部1665は、ステップS101で算出した比率に応じたスコアを算出する(ステップS102)。次に、検知部1665は、ステップS102で算出したスコアに対して、輝度コントラストによる補正(ステップS103)、輝度分散による補正(ステップS104)、輝度平均による補正(ステップS105)をそれぞれ行って、最終的なスコアを算出する。
【0068】
図17に戻って説明を続ける。上述のステップS1の後、検知部1665は、ボケ画素数を算出する(ステップS2)。図19は、ボケ画素数の算出方法の一例を示すフローチャートである。
【0069】
図19のフローチャートについて説明する。以下の各処理の説明において、上述の説明と重複する部分については適宜に説明を省略する。検知部1665は、入力画像を輝度勾配画像へ変換する(ステップS200)。次に、検知部1665は、ステップS200で得た輝度勾配画像を3値化画像へ変換する(ステップS201)。次に、検知部1665は、ステップ201で得た3値化画像に含まれる複数の画素のうち、「ボケ」に対応する階調(この例では「白」の階調)を示す画素を抽出する(ステップS202)。次に、検知部1665は、ステップS202で抽出した画素の数をカウントして、ボケ画素数を算出する(ステップS203)。
【0070】
図17に戻って説明を続ける。上述のステップS2の後、検知部1665は、ステップS1で算出した全体スコアが第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS3)。第2の閾値は設計条件等に応じて任意に変更可能であるが、本例では「105」としている。ステップS3の結果が否定の場合(ステップS3:Nо)、検知部1665は、汚れなしと判断する(ステップS4)。つまり、検知部1665は、レンズ161に汚れは付着していないことを検知する。
【0071】
ステップS3の結果が肯定の場合(ステップS3:Yes)、検知部1665は、ステップS2で算出したボケ画素数が第3の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS5)。第3の閾値は設計条件等に応じて任意に変更可能であるが、本例では「380」としている。ステップ5の結果が否定の場合(ステップS3:Nо)、検知部1665は、汚れなしと判断する(ステップS4)。
【0072】
ステップS5の結果が肯定の場合(ステップS5:Yes)、ボケ領域の大きさの条件が成立するので、上述した汚れ検知を行う。以下、具体的に説明する。
【0073】
ステップS5の結果が肯定の場合(ステップS5:Yes)、第1の算出部1663は、画像取得部1661により取得された画像のうち領域設定部1662で設定された領域について、輝度変化の方向を算出する(ステップS6)。次に、第2の算出部1664は、ステップS6で算出された輝度変化の方向を用いて、上述のヒストグラムを算出する(ステップS7)。
【0074】
次に、検知部1665は、ステップS7で算出されたヒストグラムを用いて、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲と、各方向範囲のカウント値の分散を算出する(ステップS8)。
【0075】
次に、検知部1665は、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲(本実施形態では80度~100度)であるか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9の結果が否定の場合(ステップS9:Nо)、検知部1665は汚れありと判断する(ステップS10)。つまり、検知部1665は、レンズ161に汚れが付着していることを検知する。
【0076】
一方、ステップS9の結果が肯定の場合(ステップS9:Yes)、検知部1665は、ステップS8で算出した分散が基準値(上述したように例えば「10000」等)未満であるか否かを判断する(ステップS11)。ステップS11の結果が否定の場合(ステップS11:Nо)、検知部1665は汚れありと判断する(ステップS12)。一方、ステップS11の結果が肯定の場合(ステップS11:Yes)、検知部1665は汚れなしと判断する(ステップS4)。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態の画像処理部166は、車両の後方を撮像する車載カメラ16(第2の車載カメラ16b)で撮像された画像に基づいて輝度変化の方向を算出し、複数の方向範囲のそれぞれについて、該方向範囲に含まれる輝度変化の方向の出現頻度を示すヒストグラムを算出する。そして、算出したヒストグラムに基づいて、車載カメラ16のレンズ161に付着している汚れを検知する。これにより、レンズ161に付着している汚れを精度良く検知することができる。
【0078】
より具体的には、上述の本実施形態によれば、後続車のヘッドライトと車載カメラ16のレンズ161に付着した汚れとを区別して検知できるので、汚れの検知精度を向上させることができる。上述したように、自車両1の後続車のヘッドライトは自車両1に向かって照射されるので、車載カメラ16のレンズ161に汚れが付着していない場合は輝度変化の方向はほぼ一定となって輝度変化の方向はばらつかない一方、車載カメラ16のレンズ161に汚れが付着している場合は汚れの付着の仕方はばらつくので、輝度変化の方向もばらつく。本実施形態ではこの点に着目し、画像処理部166(検知部1655)は、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲ではない、または、輝度変化の方向の出現頻度が最も高い方向範囲が、自車両1に向かう方向に対応する方向範囲であっても複数の輝度変化の方向がばらついている(各方向範囲の輝度変化の方向の出現頻度を示すカウント値がばらついている)場合に、汚れを検知する。これにより、後続車のヘッドライトとは区別して汚れを検知することができるので、汚れの検知精度を向上させることができる。
【0079】
また、上述したように、本実施形態の画像処理部166は、車載カメラ16により撮像された1枚の画像から上述のヒストグラムを算出して汚れ検知を行うので、例えば光点の変化を把握するために時系列に並んだ複数の画像を用いて処理する形態(時系列情報を用いて処理する形態)に比べて時系列情報が不要になる。したがって、処理時間を短縮できるという有利な効果も奏する。
【0080】
さらに、上述したように、本実施形態の画像処理部166は、入力画像(車載カメラ161で撮像された画像)のうちのボケ領域の大きさを条件に汚れ検知を行う。ボケ領域がある程度の大きさを有している場合は車載カメラ16のレンズ161に汚れが付着している可能性も高くなる。そのため、そのような状況の下で、上述のヒストグラムに基づく検知を行うことで、レンズ161に発生したボケが後続車のヘッドライトに起因するボケなのかレンズ161に付着した汚れなのかを明確に区別することができる。これにより、汚れの検知精度を一層向上させることができる。
【0081】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0082】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 車両
16 車載カメラ
100 車載装置
120 表示装置
141 操作ボタン
166 画像処理部
166A プロセッサ
166B RAM
166C メモリ
166D I/O(Input/Output)インタフェース
1661 画像取得部
1662 領域設定部
1663 第1の算出部
1664 第2の算出部
1665 検知部
1666 汚れ通知部
1667 洗浄制御部
図1
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