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特開2024-132071通信装置、X線CT装置、通信方法、及び、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132071
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】通信装置、X線CT装置、通信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B6/03 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042720
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 誠
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA35
4C093EC41
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制すること。
【解決手段】本実施形態に係る通信装置は、リング状伝送路と、第1カプラと、決定部と、データ生成部とを備える。前記リング状伝送路は、固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有する。前記第1カプラは、前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する。前記決定部は、前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する。前記データ生成部は、前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、
前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する決定部と、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する生成部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記リング状伝送路は、前記伝送データを前記回転部の回転方向に伝送する第1伝送路と、前記回転方向とは反対方向に前記伝送データを伝送する第2伝送路とに分割され、
前記第1カプラは、前記第1伝送路及び前記第2伝送路の一方の伝送路から前記伝送データを受信し、
前記決定部は、前記第1カプラが前記一方の伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく前記再生クロック信号を決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記固定部及び前記回転部の他方に前記第1カプラとは離れた位置に配置され、前記一方の伝送路から前記伝送データを前記第1カプラよりも先に受信する第2カプラ、
を更に備え、
前記決定部は、
前記第1カプラにより受信された前記伝送データに含まれる前記クロック信号を第1再生クロック信号として再生する第1再生部と、
前記第2カプラにより受信された前記伝送データに含まれる前記クロック信号を第2再生クロック信号として再生する第2再生部と、
前記第1再生クロック信号と前記第2再生クロック信号のいずれか一方の再生クロック信号をデータ判定クロック信号として選択する切替部と、
を備え、
前記生成部は、前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記データ判定クロック信号とに基づいて、前記受信データを生成する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記切替部は、第1切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第2再生クロック信号に切り替え、前記リング状伝送路の分割部分が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替える、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1カプラと前記第2カプラとの離間距離は、前記第2再生部の応答時間と前記回転部の回転速度とにより算出される距離以上である、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記離間距離は、前記伝送データの1ビット当たりの波長の整数倍に略等しい、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第2再生クロック信号に対して、前記離間距離に基づき決定される、所定の位相差だけ進んだ第3再生クロック信号、及び、前記所定の位相差だけ遅れた第4再生クロック信号を生成する位相調整部、
を更に備え、
前記切替部は、第1切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第3再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第3再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第4再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第4再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替える、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第2再生クロック信号と位相の異なる第5再生クロック信号群を生成する位相調整部と、
前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第1伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第5再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第1位相差再生クロック信号として決定すると共に、前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第2伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第5再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第2位相差再生クロック信号として決定する位相比較部と、
を更に備え、
前記切替部は、第1切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第1位相差再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第2位相差再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替える、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
前記回転方向に基づいて、前記第1カプラにより受信された前記伝送データ、及び、前記第2カプラにより受信された前記伝送データのいずれか一方の伝送データを選択する伝送データ切替部、
を更に備え、
前記伝送データ切替部が前記第1カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記切替部は、前記第1切替処理を行い、
前記伝送データ切替部が前記第2カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記切替部は、第2切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、前記リング状伝送路の分割部分が前記第2カプラを通過してから前記第1再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第2再生クロック信号に切り替える、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項10】
前記回転方向に基づいて、前記第1カプラにより受信された前記伝送データ、及び、前記第2カプラにより受信された前記伝送データのいずれか一方の伝送データを選択する伝送データ切替部、
を更に備え、
前記位相調整部は、前記第1再生クロック信号に対して、前記離間距離に基づき決定される、前記所定の位相差だけ進んだ第6再生クロック信号、及び、前記所定の位相差だけ遅れた第7再生クロック信号を生成し、
前記伝送データ切替部が前記第1カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記切替部は、前記第1切替処理を行い、
前記伝送データ切替部が前記第2カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記切替部は、第2切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号から前記第6再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第2カプラを通過してから前記第1再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第6再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第7再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第2カプラを通過してから前記第1再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第7再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替える、
請求項7に記載の通信装置。
【請求項11】
前記回転方向に基づいて、前記第1カプラにより受信された前記伝送データ、及び、前記第2カプラにより受信された前記伝送データのいずれか一方の伝送データを選択する伝送データ切替部、
を更に備え、
前記位相調整部は、前記第2再生クロック信号と位相の異なる第8再生クロック信号群を生成し、
前記位相比較部は、前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第1伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第8再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第3位相差再生クロック信号として決定すると共に、前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第2伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第8再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第4位相差再生クロック信号として決定する位相比較部と、
を更に備え、
前記伝送データ切替部が前記第1カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記切替部は、前記第1切替処理を行い、
前記伝送データ切替部が前記第2カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記切替部は、第2切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第3位相差再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第2カプラを通過してから前記第1再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第3位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第4位相差再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第2カプラを通過してから前記第1再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第4位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替える、
請求項8に記載の通信装置。
【請求項12】
前記決定部は、
前記第1カプラにより受信された前記伝送データに含まれる前記クロック信号を第1再生クロック信号として再生する第1再生部と、
前記第1再生クロック信号に対して、所定の周波数差を有する周波数シフトクロック信号を生成する周波数調整部と、
前記周波数シフトクロック信号と位相の異なる周波数シフトクロック信号群を生成する位相調整部と、
前記第1再生クロック信号と前記周波数シフトクロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる周波数シフトクロック信号を位相差再生クロック信号として決定する位相比較部と、
データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記位相差再生クロック信号に切り替える切替部と、
を備え、
前記生成部は、前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記データ判定クロック信号とに基づいて、前記受信データを生成する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項13】
前記周波数調整部は、前記第1カプラの受信位置と、前記回転方向と、前記回転部の回転速度と、前記伝送信号のデータレートとの少なくとも1つに基づいて、前記所定の周波数差を決定する、
請求項12に記載の通信装置。
【請求項14】
前記周波数調整部は、
前記第1再生クロック信号から、前記所定の周波数差だけ大きくした第2再生クロック信号を生成する第1動作モードと、
前記第1再生クロック信号から、前記所定の周波数差だけ小さくした第2再生クロック信号を生成する第2動作モードと、
前記第2再生クロック信号の周波数を保持する第3動作モードと、
を有し、
前記切替部が前記データ判定クロック信号を選択している期間、第3動作モードで動作する、
請求項12又は13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記回転部は、X線管と、前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が検出したX線の信号を収集するデータ収集装置とを有し、
前記伝送データは、前記データ収集装置が収集したX線の信号である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
前記回転部は、X線管と、前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が検出したX線の信号を収集するデータ収集装置とを有し、
前記伝送データは、X線CT装置のコンソール装置が送信した前記回転部に対する制御信号である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項17】
前記リング状伝送路は、第1入力端から第1終端まで前記伝送データを前記回転部の回転方向に伝送する第1伝送路と、第2入力端から前記第1終端まで前記回転方向とは反対方向に前記伝送データを伝送する第2伝送路と、前記第2入力端から第2終端まで前記伝送データを前記回転部の回転方向に伝送する第3伝送路と、前記第1入力端から前記第2終端まで前記回転方向とは反対方向に前記伝送データを伝送する第4伝送路とに分割され、
前記第1カプラは、前記第1伝送路、前記第2伝送路、前記第3伝送路、前記第4伝送路のうちの前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項18】
X線管と、前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が検出したX線の信号を収集するデータ収集装置とを有する回転部と、
前記回転部を回転させる固定部と、
前記固定部及び前記回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、
前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する決定部と、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する生成部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項19】
固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、を備える通信装置を用いる通信方法であって、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定し、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する、
ことを含む通信方法。
【請求項20】
固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、を備える通信装置を用いる通信方法であって、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定し、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、通信装置、X線CT装置、通信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転部における無線通信において生じるドップラシフトの影響を軽減する技術として、受信アンテナを複数備え、回転角度に基づいてドップラシフト量が最も小さい受信アンテナを選択する無線システムが知られている。上述の無線システムは、受信アンテナ位置に応じてドップラシフト量が異なる無線信号を受信する放射電磁界による無線通信を行うシステムにおいて有効である。
【0003】
放射電磁界による無線通信を行うシステムにおいては、受信アンテナ位置に応じてドップラシフト量が異なるため、上述の無線システムには有効である。しかしながら、リング状伝送路を用いて近傍電磁界による無線通信を行う無線システムにおいては、受信アンテナ位置に依らずドップラシフト量の絶対値は一定となるため、上述の無線システムではドップラシフトの影響を低減することができない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-41842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る通信装置は、リング状伝送路と、第1カプラと、決定部と、データ生成部とを備える。前記リング状伝送路は、固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有する。前記第1カプラは、前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する。前記決定部は、前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する。前記データ生成部は、前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る通信装置を構成する通信システムが適用されるX線CT装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る通信装置を構成する通信システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る通信装置の動作を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態に係る通信装置の動作を説明するための図である。
図7図7は、第3実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図8A図8Aは、第3実施形態に係る通信装置の動作を説明するための図である。
図8B図8Bは、第3実施形態に係る通信装置の動作を説明するための図である。
図9図9は、第3実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図10図10は、第4実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図11図11は、第4実施形態に係る通信装置の動作を説明するための図である。
図12図12は、第4実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図13図13は、第5実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図14A図14Aは、第5実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図14B図14Bは、第5実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図15図15は、第6実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図16A図16Aは、第6実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図16B図16Bは、第6実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図17図17は、第7実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図18A図18Aは、第7実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図18B図18Bは、第7実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図19図19は、第8実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
図20図20は、第8実施形態に係る通信装置の動作を説明するための図である。
図21図21は、第8実施形態に係る通信装置の処理を示すフローチャートである。
図22図22は、その他の実施形態に係る通信装置を構成する通信システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、通信装置、及び、X線CT装置の実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0009】
本実施形態に係る通信装置を構成する通信システムは、例えば、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置に適用される。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る通信装置を構成する通信システムが適用されるX線CT装置100の構成の一例を示す図である。X線CT装置100は、被検体のCT画像データを収集する。具体的には、X線CT装置100は、被検体を略中心にX線管及びX線検出器を旋回移動させ、被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する。そして、X線CT装置100は、収集した投影データに基づいて、CT画像データを生成する。図1に示すように、X線CT装置100は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
【0011】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CT装置100が架台装置10を1つ有する場合を示す。
【0012】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、データ収集システム(Data Acquisition System:DAS)18と、固定フレーム19とを有する。
【0013】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0014】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
【0015】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
【0016】
X線検出器12は、X線を検出する検出素子を複数有する。X線検出器12における各検出素子は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0017】
例えば、X線検出器12は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0018】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、固定フレーム19に設けられても構わない。ここで、固定フレーム19は、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームであり、回転フレーム13を回転させるための回転機構を有する。回転フレーム13、固定フレーム19は、それぞれ、「回転部」、「固定部」の一例である。
【0019】
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18は、例えば、プロセッサにより実現される。DAS18は、「データ収集装置」の一例である。
【0020】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。
【0021】
回転フレーム13、及び、架台装置10の非回転部分である固定フレーム19には、それぞれ、通信装置が設けられている。例えば、DAS18が生成したデータ(収集したX線の信号)は、回転フレーム13に設けられた通信装置から、無線通信によって、固定フレーム19に設けられた通信装置に送信され、コンソール装置40へ転送される。また、例えば、コンソール装置40が送信した回転フレーム13に対する制御信号は、固定フレーム19に設けられた通信装置から、無線通信によって、回転フレーム13に設けられた通信装置に送信される。なお、回転フレーム13に設けられた通信装置と、固定フレーム19に設けられた通信装置とは、後述する通信システム500を構成する。
【0022】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
【0023】
寝台装置30は、撮影対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0024】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0025】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、X線CT装置100に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ41は、X線CT装置100とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0026】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0027】
入力インターフェース43は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等の入力操作を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0028】
処理回路44は、X線CT装置100全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能440、スキャン制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び、表示制御機能444を実行する。
【0029】
システム制御機能440は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。
【0030】
スキャン制御機能441は、当該被検体Pに対してX線を利用したスキャンを実行する。例えば、スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、スキャンを制御する。具体的には、スキャン制御機能441は、入力操作に基づいて、X線高電圧装置14に制御信号を送信することで、高電圧発生装置からの出力電圧を制御する。また、スキャン制御機能441は、DAS18に制御信号を送信することで、DAS18によるデータ収集を制御する。
【0031】
前処理機能442は、DAS18から送信されたX線検出データに対して前処理を行うことで、前処理を施したデータを生成する。具体的には、前処理機能442は、対数変換処理や、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なうことで、前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(X線検出データ)及び前処理後のデータを総称して、投影データと称する場合もある。
【0032】
再構成処理機能443は、前処理機能442により生成された投影データを種々の再構成法(例えば、FBP(Filtered Back Projection)などの逆投影法や、逐次近似法など)によって再構成することでCT画像データを生成する。また、再構成処理機能443は、生成したCT画像データをメモリ41に格納する。
【0033】
表示制御機能444は、処理回路44によって生成された各種の画像をディスプレイ42に表示させる。例えば、表示制御機能444は、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データをディスプレイ42に表示させる。
【0034】
図1に示すX線CT装置100においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路44は、メモリ41からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0035】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等の回路を意味する。また、「プロセッサ」という文言は、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとして、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)が挙げられる。また、プログラマブル論理デバイスとして、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))が挙げられる。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムが直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0036】
以上、本実施形態に係る通信装置を構成する通信システム500が適用されるX線CT装置100の全体構成について説明した。
【0037】
本実施形態に係る通信装置を構成する通信システム500では、例えば、リング状伝送路を用いて近傍電磁界による無線通信を行う。しかしながら、リング状伝送路を用いて近傍電磁界による無線通信を行う無線システムにおいては、受信アンテナ位置に依らずドップラシフト量の絶対値は一定となるため、上述の無線システムではドップラシフトの影響を低減することができない可能性がある。
【0038】
そこで、本実施形態に係る通信装置では、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制させることができるように、以下の処理を行う。まず、本実施形態に係る通信装置は、リング状伝送路と、第1カプラと、決定部と、データ生成部とを備える。リング状伝送路は、固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有する。第1カプラは、固定部及び回転部の他方に配置され、複数の伝送路のうちの1つの伝送路から伝送データを受信する。決定部は、第1カプラが1つの伝送路から伝送データを受信する受信位置に応じて、クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する。データ生成部は、第1カプラが受信した伝送信号と、再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。
【0039】
図2は、第1実施形態に係る通信装置600、800を構成する通信システム500の構成の一例を示す図である。
【0040】
図2に示すように、通信システム500は、回転側の通信装置600と、リング状伝送路700と、固定側の通信装置800とを備える。図2に示す例では、通信装置600及びリング状伝送路700が回転部(回転フレーム13)に配置され、通信装置800が固定部(固定フレーム19)に配置されている。通信装置600、800は、リング状伝送路700を介した通信を行う。図2に示す例では、回転部、回転側の通信装置600、及び、リング状伝送路700の回転方向は、時計回りである。
【0041】
リング状伝送路700は、伝送データを伝送する複数の伝送路(以下、セグメントと記載する)を有する。図2に示す例では、リング状伝送路700を180°ずつ2つのセグメント(以下、第1セグメント701、第2セグメント702と記載する)に分割した構成となっている。例えば、リング状伝送路700は、伝送データを回転部の回転方向に伝送する第2セグメント702と、回転方向とは反対方向に伝送データを伝送する第1セグメント701とに分割される。第2セグメント702は、「第1伝送路」の一例であり、第1セグメント701は、「第2伝送路」の一例である。
【0042】
回転側の通信装置600は、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを送信する回転通信部610と、各伝送路(第1セグメント701、第2セグメント702)の入力端に信号(伝送データ)を入力するための信号入力部620と、各伝送路の終端で当該信号の反射を防ぐための信号終端部630とを有する。具体的には、第1セグメント701の入力端、及び、第2セグメント702の入力端には、信号入力部620が接続され、第1セグメント701の終端、及び、第2セグメント702の終端には、信号終端部630が接続される。
【0043】
回転通信部610は、送信データに対してクロック再生やDCバランス確保のための符号化を行う8B10B変換部を有し、信号入力部620は送信データを各セグメントに入力するための差動ドライバ及び分配器を有する。なお、符号化方式としては、8B10Bに限らず64B66Bや128B130B等、他の方式を用いるようにしてもよい。
【0044】
固定側の通信装置800は、アンテナカプラである第1カプラ811、第2カプラ812と、固定通信部900とを有する。第1カプラ811、第2カプラ812は、リング状伝送路700を流れる信号を電磁界結合により受信する。第1カプラ811、第2カプラ812は、第1セグメント701及び第2セグメント702の一方のセグメントから伝送データを受信する。固定通信部900は、第1カプラ811が一方のセグメントから伝送データを受信する受信位置に応じて、クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する。そして、固定通信部900は、第1カプラが受信した伝送データに含まれる伝送信号と、再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。
【0045】
図2に示す例では、通信装置600及びリング状伝送路700が回転部に配置され、通信装置800が固定部に配置されている場合、伝送データは、データ収集装置(DAS18)が収集したX線の信号(X線検出データ)であり、固定側の通信装置800は、伝送データに含まれるクロック信号を再生クロック信号として再生し、伝送データと再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。例えば、コンソール装置40の処理回路44において、前処理機能442は、DAS18から送信された伝送データ(受信データ)に対して前処理を施して投影データを生成し、再構成処理機能443は、前処理機能442により生成された投影データを再構成することでCT画像データを生成する。
【0046】
ここで、固定側の通信装置800が、第1カプラ811だけでなく、第2カプラ812を有する理由について説明する。
【0047】
図2に示す例において、回転部、回転側の通信装置600及びリング状伝送路700の回転方向が時計回りである場合では、回転部の回転動作時に固定側の通信装置800が第1セグメント701から伝送データを受信する際にはリング状伝送路700の入力端が遠ざかっていくため、伝送データには負のドップラシフト(-Δf)が生じる。同様に、固定側の通信装置800が第2セグメント702から伝送データを受信する際にはリング状伝送路700の入力端が近づくため、伝送データには正のドップラシフト(+Δf)が生じる。ここで、固定側の通信装置800が1つのアンテナカプラ(例えば、第1カプラ811のみ)、及び、1つのクロック再生部を有する場合、リング状伝送路700の入力端または終端がアンテナカプラを通過する際に、伝送データの周波数が変化することとなり、クロック再生部は、所定の応答時間により、周波数変化に対して同期遷移することとなる。クロック再生部の同期遷移が完了するまでの期間、伝送データと再生クロック信号とに周波数差が生じ、受信性能が低下する可能性がある。即ち、回転動作によって、リング状伝送路700の入力端または終端が、アンテナカプラが伝送データを受信する受信位置を通過すると、ドップラシフト量の正負符号が反転変化することにより、受信性能が低下する可能性がある。
【0048】
そこで、固定側の通信装置800は、2つのアンテナカプラ(第1カプラ811、第2カプラ812)を有する。また、後述のように、固定側の通信装置800は、2つのクロック再生部を有する。
【0049】
以降、固定側の通信装置800(以下、単に、通信装置800とも記載する)の構成について詳細に説明する。
【0050】
図3は、第1実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。
【0051】
図3に示すように、通信装置800において、第1カプラ811は、第1セグメント701及び第2セグメント702の一方のセグメント(図3に示す例では、第2セグメント702)から伝送データを第1受信信号として受信する。第2カプラ812は、第1カプラ811とは離れた位置に配置され、一方のセグメント(第2セグメント702)から伝送データを、第2受信信号として、第1カプラ811よりも先に受信する。
【0052】
通信装置800において、固定通信部900は、2つの差動バッファ(以下、第1バッファ911、第2バッファ912と記載する)と、2つのクロック再生部(以下、第1クロック再生部921、第2クロック再生部922と記載する)と、クロック切替部930と、データ判定部940(10B8B変換部)とを有する。第1クロック再生部921、第2クロック再生部922、クロック切替部930は、「決定部」の一例である。即ち、通信装置800において、第1カプラ811が第1セグメント701及び第2セグメント702の一方のセグメントから伝送データを受信し、決定部は、第1カプラ811が一方のセグメントから伝送データを受信する受信位置に応じて、クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する。
【0053】
第1バッファ911は、第1カプラ811が受信した伝送データを増幅し、第2バッファ912は、第2カプラ812が受信した伝送データを増幅する。第1クロック再生部921は、第1カプラ811により受信された伝送データ(第1受信信号)に含まれるクロック信号を第1再生クロック信号として再生する。第2クロック再生部922は、第2カプラ812により受信された伝送データ(第2受信信号)に含まれるクロック信号を第2再生クロック信号として再生する。第1クロック再生部921、第2クロック再生部922は、それぞれ、「第1再生部」、「第2再生部」の一例である。
【0054】
クロック切替部930は、第1再生クロック信号と第2再生クロック信号のいずれか一方の再生クロック信号をデータ判定クロック信号として選択する。データ判定部940は、第1カプラ811が受信した伝送データに含まれる伝送信号と、データ判定クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。クロック切替部930は、「切替部」の一例であり、データ判定部940は、「生成部」の一例である。
【0055】
ここで、第1カプラ811と第2カプラ812との離間距離は、第2クロック再生部922の応答時間を考慮することにより設定される。例えば、第2クロック再生部922の応答時間をΔtr「sec」とし、回転部の回転速度をv「m/sec」とし、応答時間Δtrを考慮したときの理想的な第1カプラ811と第2カプラ812との間の距離をL「m」とした場合、距離Lは、L=v×Δtrにより算出される。即ち、第1カプラ811と第2カプラ812とは、距離L以上離して配置される。例えば、回転部の回転速度vが0.2「sec/rot」、リング半径が1「m」、クロック再生部の応答時間Δtrが1「msec」のとき、距離Lは3.14「cm」以上である。
【0056】
例えば、クロック切替部930は、第1切替処理として、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておき、リング状伝送路700の分割部分(入力端または終端)が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替え、リング状伝送路700の分割部分(入力端または終端)が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。即ち、クロック切替部930は、応答時間Δtrが経過した後にデータ判定クロック信号を第1再生クロック信号に戻す。
【0057】
ここで、クロック切替部930は、図1の制御装置15から出力されるクロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。
【0058】
例えば、切り替えタイミングは、回転部の回転角度により決定される。具体的には、制御装置15は、回転部の回転角度がリング状伝送路700の分割部分(入力端、終端)を表すときに、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、制御装置15から出力されるクロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。
【0059】
または、例えば、リング状伝送路700の分割部分(入力端、終端)を検出可能なセンサを設けておく。具体的には、制御装置15は、センサが分割部分を通過したことを検出した信号を受信したときに、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力し、クロック切替部930は、制御装置15から出力されるクロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。
【0060】
または、制御装置15から出力されるクロック選択指示を用いずに、クロック切替部930が切り替えタイミングを決定してもよい。例えば、第1カプラ811により受信された伝送データ(第1受信信号)と、第1クロック再生部921により再生された第1再生クロック信号との位相差により決定される。具体的には、クロック切替部930は、第1受信信号と第1再生クロック信号との位相差を検出したときに、当該位相差に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。
【0061】
図4は、第1実施形態に係る通信装置800の動作を説明するための図である。
【0062】
回転部の回転動作時において、固定通信部900が第2セグメント702から伝送データを受信する場合には回転通信部610が近づくため、伝送データには正のドップラシフト(+Δf)が生じる。そこで、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。これにより、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)の周波数と、第2再生クロック信号の周波数とが一致する期間が生じる。この場合、データ判定部940は、第2再生クロック信号でデータ判定を行う期間として、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)と、データ判定クロック信号(第2再生クロック信号)とに基づいて、受信データを生成する。
【0063】
また、回転部の回転動作時に固定通信部900が第1セグメント701から伝送データを受信する場合には回転通信部610が遠ざかっていくため、伝送データには負のドップラシフト(-Δf)が生じる。そこで、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。これにより、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)の周波数と、第1再生クロック信号の周波数とが一致する期間が生じる。この場合、データ判定部940は、第1再生クロック信号でデータ判定を行う期間として、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)と、データ判定クロック信号(第1再生クロック信号)とに基づいて、受信データを生成する。
【0064】
なお、通信装置600、800の処理は、図1の処理回路44がメモリ41から当該通信装置の各構成に対応するプログラムを呼び出して実行される。例えば、通信装置600、800の処理は、処理回路44がメモリ41から回転通信部610、固定通信部900(第1クロック再生部921、第2クロック再生部922、クロック切替部930、データ判定部940)の各構成に対応するプログラムを呼び出して実行される。
【0065】
図5は、第1実施形態に係る通信装置800の処理(第1切替処理)を示すフローチャートである。
【0066】
図5のステップS101において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。
【0067】
図5のステップS102において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0068】
図5のステップS103において、制御装置15は、リング状伝送路700の分割部分(入力端または終端)が第1カプラ811を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。入力端または終端が第1カプラ811を通過していない場合、図5の処理はステップS103に戻る。一方、入力端または終端が第1カプラ811を通過した場合、図5の処理はステップS104に進む。
【0069】
図5のステップS104において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。
【0070】
図5のステップS105において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替えてから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図5の処理はステップS105に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図5の処理はステップS106に進む。
【0071】
図5のステップS106において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。
【0072】
図5のステップS107において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図5の処理はステップS103に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図5の処理は終了する。
【0073】
このように、第1実施形態に係る通信装置800では、クロック切替部930は、第1切替処理として、まず、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。そして、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分(入力端、終端)が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。また、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分(入力端、終端)が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。これにより、第1実施形態に係る通信装置800では、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制させることができる。
【0074】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る通信装置800の動作を説明するための図である。
【0075】
図2に示す例では、回転部、回転側の通信装置600、及び、リング状伝送路700の回転方向は、時計回りであるため、第1カプラ811と第2カプラ812がともに第1セグメント701から伝送データを受信している場合、リング状伝送路700の入力端に入力された伝送データは、第1カプラ811、第2カプラ812の順に受信される。リング状伝送路700上の信号伝搬速度をc[m/s]とした場合、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)は、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)に対して、Δtp=L/c[sec]の時間遅れを有する。
【0076】
一方、第1カプラ811と第2カプラ812がともに第2セグメント702から伝送データを受信している場合、リング状伝送路700の入力端に入力された伝送データは、第2カプラ812、第1カプラ811の順に受信されるため、第2受信信号は、第1受信信号に対して、Δtpの時間進みを有する。
【0077】
このように、リング状伝送路700の入力端が第1カプラ811、第2カプラ812を通過した後と、リング状伝送路700の終端部が第1カプラ811、第2カプラ812を通過した後で、位相ずれが生じる。そのため、信号のデータレートDR[bit/sec]が高い場合、受信信号を受信する時間差に伴う位相ずれとして、±θ=±2π×DR×Δtp[rad]により、受信性能が低下する。受信性能低下は、信号の1ビット当たりの波長c/DR[m]の整数倍であれば発生しない。これを利用し、第2実施形態では、第1カプラ811と第2カプラ812との離間距離を、L≧v×Δtr[m]、かつ、L≒n×c/DR[m]とする。例えば、第1カプラ811と第2カプラ812との離間距離L=v×Δtrは、伝送データ(受信信号)の1ビット当たりの波長の整数倍に略等しい。
【0078】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。第3実施形態では、第1実施形態または第2実施形態からの変更点について説明する。
【0079】
図7に示すように、通信装置800は、位相調整部951を更に備える。第3実施形態では、第2クロック再生部922の後段に位相調整部951を更に備えることで、第1カプラ811と第2カプラ812との離間距離に伴う位相ずれによる受信性能低下を抑制させる。
【0080】
図8A図8Bは、第3実施形態に係る通信装置800の動作を説明するための図である。
【0081】
位相調整部951は、第2再生クロック信号に対して、離間距離Lに基づき決定される、所定の位相差θだけ進んだ第3再生クロック信号、及び、所定の位相差θだけ遅れた第4再生クロック信号を生成する。図8Aにおいて、第3再生クロック信号は、第2再生クロック信号に対して所定の位相差θだけ進んだ再生クロック信号(第2再生クロック信号+θ)の一例である。図8Bにおいて、第4再生クロック信号は、第2再生クロック信号に対して所定の位相差θだけ遅れた再生クロック信号(第2再生クロック信号-θ)の一例である。
【0082】
そこで、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分である入力端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第3再生クロック信号に切り替え、入力端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第3再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。また、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分である終端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第4再生クロック信号に切り替え、終端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第4再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。
【0083】
図9は、第3実施形態に係る通信装置800の処理(第1切替処理)を示すフローチャートである。
【0084】
図9のステップS201において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。
【0085】
図9のステップS202において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0086】
図9のステップS203において、制御装置15は、リング状伝送路700の入力端が第1カプラ811を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。入力端が第1カプラ811を通過していない場合、図9の処理はステップS205に進む。一方、入力端が第1カプラ811を通過した場合、図9の処理はステップS204に進む。
【0087】
図9のステップS204において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第3再生クロック信号に切り替える。
【0088】
図9のステップS205において、制御装置15は、リング状伝送路700の終端が第1カプラ811を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。終端が第1カプラ811を通過していない場合、図9の処理はステップS203に戻る。一方、終端が第1カプラ811を通過した場合、図9の処理はステップS206に進む。
【0089】
図9のステップS206において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第4再生クロック信号に切り替える。
【0090】
図9のステップS207において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第1再生クロック信号から、第3再生クロック信号または第4再生クロック信号に切り替えてから、第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図9の処理はステップS207に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図9の処理はステップS208に進む。
【0091】
図9のステップS208において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第3再生クロック信号または第4再生クロック信号から、第1再生クロック信号に切り替える。
【0092】
図9のステップS209において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図9の処理はステップS203に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図9の処理は終了する。
【0093】
このように、第3実施形態に係る通信装置800では、クロック切替部930は、第1切替処理として、まず、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。そして、クロック切替部930は、リング状伝送路700の入力端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第3再生クロック信号に切り替え、入力端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第3再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。また、クロック切替部930は、リング状伝送路700の終端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第4再生クロック信号に切り替え、終端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第4再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。これにより、第3実施形態に係る通信装置800では、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制することができる。
【0094】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。第4実施形態では、第3実施形態からの変更点について説明する。
【0095】
図10に示すように、通信装置800は、位相調整部951と、位相比較部960とを更に備える。第3実施形態では、位相調整部951は、第2再生クロック信号に対して、離間距離Lに基づき決定される、所定の位相差θだけ進んだ第3再生クロック信号、及び、所定の位相差θだけ遅れた第4再生クロック信号を生成する構成としたが、信号伝搬速度は、リング状伝送路700を構成する誘電体の特性により定まり、計算では精度良く求まらない場合がある。第4実施形態では、第2クロック再生部922の後段に、位相調整部951と、位相比較部960とを更に備えることで、最適な再生クロック信号を決定する。
【0096】
図11は、第4実施形態に係る通信装置800の動作を説明するための図である。
【0097】
第4実施形態では、回転部の回転動作開始前に、第1カプラ811と第2カプラ812をともに第1セグメント701及び第2セグメント702に配置しておき、固定通信部900は、各セグメントで第1再生クロック信号との位相差が最小となる再生クロック信号の位相を決定する。具体的には、位相調整部951は、第2再生クロック信号と位相の異なる第5再生クロック信号群(図11に示す例では、第5再生クロック信号-θ1、第5再生クロック信号-θ2、第5再生クロック信号-θ3、第5再生クロック信号-θ4、第5再生クロック信号-θ5)を生成する。
【0098】
そして、位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第2セグメント702に位置した状態において第1再生クロック信号と第5再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号(図11に示す例では、第5再生クロック信号-θ4)を第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)として決定する。
【0099】
また、位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第1セグメント701に位置した状態において第1再生クロック信号と第5再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)として決定する。
【0100】
そこで、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分である入力端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)に切り替え、入力端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)から第1再生クロック信号に切り替える。また、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分である終端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)に切り替え、終端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)から第1再生クロック信号に切り替える。
【0101】
図12は、第4実施形態に係る通信装置800の処理(第1切替処理)を示すフローチャートである。
【0102】
図12のステップS301において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。
【0103】
図12のステップS302において、回転部の回転動作開始前に、第1カプラ811と第2カプラ812とが第1セグメント701に配置される。このとき、位相調整部951は、第2再生クロック信号と位相の異なる第5再生クロック信号群を生成する。
【0104】
図12のステップS303において、位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第2セグメント702に位置した状態において第1再生クロック信号と第5再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)として決定する。
【0105】
また、図12のステップS304において、第1カプラ811と第2カプラ812とが第2セグメント702に配置される。このとき、位相調整部951は、第2再生クロック信号と位相の異なる第5再生クロック信号群を生成する。
【0106】
図12のステップS305において、位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第1セグメント701に位置した状態において第1再生クロック信号と第5再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)として決定する。
【0107】
図12のステップS306において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0108】
図12のステップS307において、制御装置15は、リング状伝送路700の入力端が第1カプラ811を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。即ち、制御装置15は、第1カプラ811が位置する状態が第2セグメント702から第1セグメント701に切り替わるか否かを判定する。入力端が第1カプラ811を通過していない場合、図12の処理はステップS309に進む。一方、入力端が第1カプラ811を通過した場合、図12の処理はステップS308に進む。
【0109】
図12のステップS308において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)に切り替える。
【0110】
図12のステップS309において、制御装置15は、リング状伝送路700の終端が第1カプラ811を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。即ち、制御装置15は、第1カプラ811が位置する状態が第1セグメント701から第2セグメント702に切り替わるか否かを判定する。終端が第1カプラ811を通過していない場合、図12の処理はステップS307に戻る。一方、終端が第1カプラ811を通過した場合、図12の処理はステップS310に進む。
【0111】
図12のステップS310において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)に切り替える。
【0112】
図12のステップS311において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第1再生クロック信号から、第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)または第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)に切り替えてから、第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図12の処理はステップS311に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図12の処理はステップS312に進む。
【0113】
図12のステップS312において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)または第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)から、第1再生クロック信号に切り替える。
【0114】
図12のステップS313において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図12の処理はステップS307に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図12の処理は終了する。
【0115】
このように、第4実施形態に係る通信装置800では、クロック切替部930は、第1切替処理として、まず、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。そして、クロック切替部930は、リング状伝送路700の入力端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)に切り替え、入力端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第1位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg1)から第1再生クロック信号に切り替える。また、クロック切替部930は、リング状伝送路700の終端が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)に切り替え、終端が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第2位相差再生クロック信号(第5再生クロック信号_θseg2)から第1再生クロック信号に切り替える。これにより、第4実施形態に係る通信装置800では、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制することができる。
【0116】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。第5実施形態では、第1実施形態または第2実施形態からの変更点について説明する。
【0117】
図13に示すように、通信装置800は、受信信号切替部970を更に備える。第1実施形態では、回転部、回転通信部610及びリング状伝送路700の回転方向は、一方向(図2に示す例では時計回り)を前提として説明した。第5実施形態では、データ判定を、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)のみでなく、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)でも行えるように、受信信号切替部970を更に備えることで、両方向の回転に対応することが可能である。
【0118】
受信信号切替部970は、回転方向に基づいて、第1カプラ811により受信された伝送データ(第1受信信号)、及び、第2カプラ812により受信された伝送データ(第2受信信号)のいずれか一方の伝送データ(受信信号)を選択する。受信信号切替部970は、「伝送データ切替部」の一例である。
【0119】
図14A図14Bは、第5実施形態に係る通信装置800の処理(第1切替処理及び第2切替処理)を示すフローチャートである。
【0120】
図14AのステップS1000において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転の方向を時計回り(第2カプラ812が先行して伝送データを受信する仕様)に設定するための制御信号を受信したか、回転部の回転の方向を反時計回り(第1カプラ811が先行して伝送データを受信する仕様)に設定するための制御信号を受信したかを判定する。制御装置15が、回転部の回転の方向を時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、図14Aの処理は第1切替処理(図14AのステップS101~S107)に進む。一方、制御装置15が、回転部の回転の方向を反時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、図14Aの処理は第2切替処理(図14BのステップS1101~S1107)に進む。
【0121】
受信信号切替部970が第1カプラ811により受信された伝送データを選択している場合、クロック切替部930は、第1切替処理(図14AのステップS101~S107)を行う。第5実施形態における第1切替処理(図14AのステップS101~S107)は、第1実施形態における第1切替処理(図5のステップS101~S107)に相当する。
【0122】
具体的には、まず、第5実施形態における第1切替処理では、図14AのステップS101において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておき、受信信号切替部970は、受信する受信信号を、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)に設定する。その後、図14AのステップS102~S107において、図5のステップS102~S107と同様の処理が行われる。
【0123】
受信信号切替部970が第2カプラ812により受信された伝送データを選択している場合、クロック切替部930は、第2切替処理(図14BのステップS1101~S1107)を行う。
【0124】
具体的には、まず、図14BのステップS1101において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号に設定しておき、受信信号切替部970は、受信する受信信号を、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)に設定する。
【0125】
図14BのステップS1102において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0126】
図14BのステップS1103において、制御装置15は、リング状伝送路700の分割部分(入力端または終端)が第2カプラ812を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。入力端または終端が第2カプラ812を通過していない場合、図14Bの処理はステップS1103に戻る。一方、入力端または終端が第2カプラ812を通過した場合、図14Bの処理はステップS1104に進む。
【0127】
図14BのステップS1104において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。
【0128】
図14BのステップS1105において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替えてから第1クロック再生部921の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図14Bの処理はステップS1105に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図14Bの処理はステップS1106に進む。
【0129】
図14BのステップS1106において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。
【0130】
図14BのステップS1107において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図14Bの処理はステップS1103に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図14Bの処理は終了する。
【0131】
このように、第5実施形態に係る通信装置800では、第1実施形態または第2実施形態の効果を実現すると共に、両方向の回転に対応することが可能である。
【0132】
(第6実施形態)
図15は、第6実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。第6実施形態では、第3実施形態からの変更点について説明する。
【0133】
図15に示すように、通信装置800は、受信信号切替部970と、位相調整部952とを更に備える。第6実施形態では、データ判定を、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)のみでなく、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)でも行えるように、受信信号切替部970、位相調整部952を更に備えることで、両方向の回転に対応することが可能である。
【0134】
受信信号切替部970は、回転方向に基づいて、第1カプラ811により受信された伝送データ(第1受信信号)、及び、第2カプラ812により受信された伝送データ(第2受信信号)のいずれか一方の伝送データ(受信信号)を選択する。受信信号切替部970は、「伝送データ切替部」の一例である。
【0135】
位相調整部952は、第1再生クロック信号に対して、離間距離Lに基づき決定される、所定の位相差θだけ進んだ第6再生クロック信号、及び、所定の位相差θだけ遅れた第7再生クロック信号を生成する。
【0136】
図16A図16Bは、第6実施形態に係る通信装置800の処理(第1切替処理及び第2切替処理)を示すフローチャートである。
【0137】
図16AのステップS2000において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転の方向を時計回り(第2カプラ812が先行して伝送データを受信する仕様)に設定するための制御信号を受信したか、回転部の回転の方向を反時計回り(第1カプラ811が先行して伝送データを受信する仕様)に設定するための制御信号を受信したかを判定する。制御装置15が、回転部の回転の方向を時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、図16Aの処理は第1切替処理(図16AのステップS201~S209)に進む。一方、制御装置15が、回転部の回転の方向を反時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、図16Aの処理は第2切替処理(図16BのステップS2201~S2209)に進む。
【0138】
受信信号切替部970が第1カプラ811により受信された伝送データを選択している場合、クロック切替部930は、第1切替処理(図16AのステップS201~S209)を行う。第6実施形態における第1切替処理(図16AのステップS201~S209)は、第3実施形態における第1切替処理(図9のステップS201~S209)に相当する。
【0139】
具体的には、まず、第6実施形態における第1切替処理では、図16AのステップS101において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておき、受信信号切替部970は、受信する受信信号を、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)に設定する。その後、図16AのステップS202~S209において、図9のステップS202~S209と同様の処理が行われる。
【0140】
受信信号切替部970が第2カプラ812により受信された伝送データを選択している場合、クロック切替部930は、第2切替処理(図16BのステップS2201~S2209)を行う。
【0141】
具体的には、まず、図16BのステップS2201において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号に設定しておき、受信信号切替部970は、受信する受信信号を、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)に設定する。
【0142】
図16BのステップS2202において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0143】
図16BのステップS2203において、制御装置15は、リング状伝送路700の入力端が第2カプラ812を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。入力端が第2カプラ812を通過していない場合、図16Bの処理はステップS2205に進む。一方、入力端が第2カプラ812を通過した場合、図16Bの処理はステップS2204に進む。
【0144】
図16BのステップS2204において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第6再生クロック信号に切り替える。
【0145】
図16BのステップS2205において、制御装置15は、リング状伝送路700の終端が第2カプラ812を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。終端が第2カプラ812を通過していない場合、図16Bの処理はステップS2203に戻る。一方、終端が第2カプラ812を通過した場合、図16Bの処理はステップS2206に進む。
【0146】
図16BのステップS2206において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第7再生クロック信号に切り替える。
【0147】
図16BのステップS2207において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第2再生クロック信号から、第6再生クロック信号または第7再生クロック信号に切り替えてから、第1クロック再生部921の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図16Bの処理はステップS2207に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図16Bの処理はステップS2208に進む。
【0148】
図16BのステップS2208において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第6再生クロック信号または第7再生クロック信号から、第2再生クロック信号に切り替える。
【0149】
図16BのステップS2209において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図16Bの処理はステップS203に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図16Bの処理は終了する。
【0150】
このように、第6実施形態に係る通信装置800では、第3実施形態の効果を実現すると共に、両方向の回転に対応することが可能である。
【0151】
(第7実施形態)
図17は、第7実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。第7実施形態では、第4実施形態からの変更点について説明する。
【0152】
図17に示すように、通信装置800は、受信信号切替部970と、位相調整部952とを更に備える。第7実施形態では、データ判定を、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)のみでなく、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)でも行えるように、受信信号切替部970、位相調整部952を更に備えることで、両方向の回転に対応することが可能である。
【0153】
受信信号切替部970は、回転方向に基づいて、第1カプラ811により受信された伝送データ(第1受信信号)、及び、第2カプラ812により受信された伝送データ(第2受信信号)のいずれか一方の伝送データ(受信信号)を選択する。受信信号切替部970は、「伝送データ切替部」の一例である。
【0154】
位相調整部952は、回転部の回転動作開始前に、第1再生クロック信号と位相の異なる第8再生クロック信号群を生成する。
【0155】
位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第2セグメント702に位置した状態において第1再生クロック信号と第8再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第3位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg2)として決定する。そして、位相比較部960は、第3位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg2)を、最小位相差クロック通知として、制御装置15に出力する。
【0156】
位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第1セグメント701に位置した状態において第1再生クロック信号と第8再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第4位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg1)として決定する。そして、位相比較部960は、第4位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg1)を、最小位相差クロック通知として、制御装置15に出力する。
【0157】
図18A図18Bは、第7実施形態に係る通信装置800の処理を示すフローチャートである。
【0158】
図18AのステップS3000において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転の方向を時計回り(第2カプラ812が先行して伝送データを受信する仕様)に設定するための制御信号を受信したか、回転部の回転の方向を反時計回り(第1カプラ811が先行して伝送データを受信する仕様)に設定するための制御信号を受信したかを判定する。制御装置15が、回転部の回転の方向を時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、図18Aの処理は第1切替処理(図18AのステップS301~S313)に進む。一方、制御装置15が、回転部の回転の方向を反時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、図18Aの処理は第2切替処理(図18BのステップS3301~S3313)に進む。
【0159】
受信信号切替部970が第1カプラ811により受信された伝送データを選択している場合、クロック切替部930は、第1切替処理(図18AのステップS301~S313)を行う。第7実施形態における第1切替処理(図18AのステップS301~S313)は、第4実施形態における第1切替処理(図12のステップS301~S313)に相当する。
【0160】
具体的には、まず、第7実施形態における第1切替処理では、図18AのステップS301において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておき、受信信号切替部970は、受信する受信信号を、第1カプラ811が受信した伝送データ(第1受信信号)に設定する。その後、図18AのステップS302~S313において、図12のステップS302~S313と同様の処理が行われる。
【0161】
受信信号切替部970が第2カプラ812により受信された伝送データを選択している場合、クロック切替部930は、第2切替処理(図18BのステップS3301~S3313)を行う。
【0162】
具体的には、まず、図18BのステップS3301において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号に設定しておき、受信信号切替部970は、受信する受信信号を、第2カプラ812が受信した伝送データ(第2受信信号)に設定する。
【0163】
図18BのステップS3302において、回転部の回転動作開始前に、第1カプラ811と第2カプラ812とが第1セグメント701に配置される。このとき、位相調整部952は、第1再生クロック信号と位相の異なる第8再生クロック信号群を生成する。
【0164】
図18BのステップS3303において、位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第2セグメント702に位置した状態において第1再生クロック信号と第8再生クロック信号群との位相差を検出し、第2再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第3位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg2)として決定する。
【0165】
また、図18BのステップS3304において、第1カプラ811と第2カプラ812とが第2セグメント702に配置される。このとき、位相調整部951は、第1再生クロック信号と位相の異なる第8再生クロック信号群を生成する。
【0166】
図18BのステップS3305において、位相比較部960は、第1カプラ811及び第2カプラ812が第1セグメント701に位置した状態において第1再生クロック信号と第8再生クロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第4位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg1)として決定する。
【0167】
図18BのステップS3306において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0168】
図18BのステップS3307において、制御装置15は、リング状伝送路700の入力端が第2カプラ812を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。即ち、制御装置15は、第2カプラ812が位置する状態が第1セグメント701から第2セグメント702に切り替わるか否かを判定する。入力端が第2カプラ812を通過していない場合、図18Bの処理はステップS3309に進む。一方、入力端が第2カプラ812を通過した場合、図18Bの処理はステップS3308に進む。
【0169】
図18BのステップS3308において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第3位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg2)に切り替える。
【0170】
図18BのステップS3309において、制御装置15は、リング状伝送路700の終端が第2カプラ812を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。即ち、制御装置15は、第2カプラ812が位置する状態が第2セグメント702から第1セグメント701に切り替わるか否かを判定する。終端が第2カプラ812を通過していない場合、図18Bの処理はステップS3307に戻る。一方、終端が第2カプラ812を通過した場合、図18Bの処理はステップS3310に進む。
【0171】
図18BのステップS3310において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第4位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg1)に切り替える。
【0172】
図18BのステップS3311において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第2再生クロック信号から、第3位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg2)または第4位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg1)に切り替えてから、第1クロック再生部921の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図18Bの処理はステップS3311に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図18Bの処理はステップS3312に進む。
【0173】
図18BのステップS3312において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を、第3位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg2)または第4位相差再生クロック信号(第8再生クロック信号_θseg1)から、第2再生クロック信号に切り替える。
【0174】
図18BのステップS313において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図18Bの処理はステップS3307に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図18Bの処理は終了する。
【0175】
このように、第7実施形態に係る通信装置800では、第4実施形態の効果を実現すると共に、両方向の回転に対応することが可能である。
【0176】
(第8実施形態)
図19は、第8実施形態に係る通信装置800の構成の一例を示す図である。図20は、第8実施形態に係る通信装置800の動作を説明するための図である。
【0177】
第1実施形態~第7実施形態では、固定通信部900に2つのカプラ(第1カプラ811、第2カプラ812)を搭載する構成について説明したが、第8実施形態では、単一カプラで構成しても、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制することができる。
【0178】
図19に示すように、通信装置800は、第1カプラ811のみを有する。第1カプラ811は、第1セグメント701及び第2セグメント702の一方のセグメント(図19に示す例では、第2セグメント702)から伝送データを第1受信信号として受信する。
【0179】
通信装置800において、固定通信部900は、1つの差動バッファ(以下、第1バッファ911と記載する)と、1つのクロック再生部(以下、第1クロック再生部921と記載する)と、クロック切替部930と、データ判定部940と、位相調整部951と、位相比較部960と、周波数調整部980とを有する。第1クロック再生部921、クロック切替部930、データ判定部940、位相調整部951、位相比較部960、周波数調整部980は、「決定部」の一例であり、第1カプラ811が第1セグメント701及び第2セグメント702の一方のセグメントから伝送データ(第1受信信号)を受信する受信位置に応じて、クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する。データ判定部940は、第1カプラ811が受信した伝送データに含まれる伝送信号と、再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。
【0180】
図20は、第8実施形態に係る通信装置800の動作を説明するための図である。
【0181】
第1バッファ911は、第1カプラ811が受信した伝送データを増幅し、第1クロック再生部921は、第1カプラ811により受信された伝送データに含まれるクロック信号を第1再生クロック信号として再生する。第1クロック再生部921は、「第1再生部」の一例である。
【0182】
周波数調整部980は、第1再生クロック信号に対して、所定の周波数差を有する周波数シフトクロック信号を生成する。周波数シフトクロック信号の詳細については後述する。位相調整部951は、周波数シフトクロック信号と位相の異なる周波数シフトクロック信号群を生成する。
【0183】
位相比較部960は、第1カプラ811が第2セグメント702に位置した状態において第1再生クロック信号と周波数シフトクロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる周波数シフトクロック信号を位相差再生クロック信号(図20に示す例では、周波数シフトクロック信号+θ4)として決定する。そして、位相比較部960は、位相差再生クロック信号を、最小位相差クロック通知として、制御装置15に出力する。
【0184】
位相比較部960は、第1カプラ811が第1セグメント701に位置した状態において第1再生クロック信号と周波数シフトクロック信号群との位相差を検出し、第1再生クロック信号との位相差が最小となる周波数シフトクロック信号を位相差再生クロック信号として決定する。そして、位相比較部960は、位相差再生クロック信号を、最小位相差クロック通知として、制御装置15に出力する。
【0185】
クロック切替部930は、第1位相差再生クロック信号と第2位相差再生クロック信号のいずれか一方の再生クロック信号をデータ判定クロック信号として選択する。データ判定部940は、第1カプラ811が受信した伝送データに含まれる伝送信号と、データ判定クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。クロック切替部930は、「切替部」の一例であり、データ判定部940は、「生成部」の一例である。
【0186】
周波数調整部980は、第1カプラ811の受信位置と、回転方向と、回転部の回転速度vと、伝送信号のデータレートとの少なくとも1つに基づいて、所定の周波数差を決定する。
【0187】
例えば、周波数調整部980は、第1動作モード(+2Δfシフトモード)と、第2動作モード(-2Δfシフトモード)と、第3動作モード(ホールドモード)とを有する。+2Δfシフトモードは、第1再生クロック信号から、所定の周波数差として、+2Δfシフトだけ大きくした第2再生クロック信号を生成するモードである。-2Δfシフトモードは、第1再生クロック信号から、所定の周波数差として、-2Δfシフトだけ小さくした第2再生クロック信号を生成するモードである。ホールドモードは、第2再生クロック信号の周波数を保持するモードである。周波数調整部980は、クロック切替部930がデータ判定クロック信号を選択している期間、ホールドモードで動作する。
【0188】
図21は、第8実施形態に係る通信装置800の処理を示すフローチャートである。
【0189】
図21のステップS401において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号に設定しておく。
【0190】
図21のステップS402において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号(図19の動作モード指示)として、回転部の回転の方向を時計回りに設定するための制御信号を受信したか、回転部の回転の方向を反時計回りに設定するための制御信号を受信したかを判定する。ここで、回転部の回転の方向を時計回りに設定する場合、第1セグメント701において負のドップラシフト(-Δf)が生じる伝送データで受信し、第2セグメント702において正のドップラシフト(+Δf)が生じる伝送データで受信する仕様である。また、回転部の回転の方向を反時計回りに設定する場合、第1セグメント701において正のドップラシフト(+Δf)が生じる伝送データで受信し、第2セグメント702において負のドップラシフト(-Δf)が生じる伝送データで受信する仕様である。制御装置15が、回転部の回転の方向を時計回りに設定するための動作モード指示を受信した場合、図21の処理はステップS403に進む。一方、制御装置15が、回転部の回転の方向を反時計回りに設定するための動作モード指示を受信した場合、図21の処理はステップS404に進む。
【0191】
図21のステップS403において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号(動作モード指示)として、回転部の回転の方向を時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、周波数調整部980を+2Δfシフトモードに設定する。
【0192】
図21のステップS404において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号(動作モード指示)として、回転部の回転の方向を反時計回りに設定するための制御信号を受信した場合、周波数調整部980を-2Δfシフトモードに設定する。
【0193】
図21のステップS405において、制御装置15は、コンソール装置40(例えば、処理回路44のシステム制御機能440)から出力された制御信号として、回転部(回転フレーム13)を回転させるための制御信号に応じて、回転部の回転を開始させる。
【0194】
図21のステップS406において、制御装置15は、リング状伝送路700の分割部分(入力端または終端)が第1カプラ811を通過したか否かを、例えば、回転部の回転角度により判定する。入力端または終端が第1カプラ811を通過していない場合、図21の処理はステップS406に戻る。一方、入力端または終端が第1カプラ811を通過した場合、図21の処理はステップS407に進む。
【0195】
図21のステップS407において、制御装置15は、入力端または終端が第1カプラ811を通過した場合、周波数調整部980をホールドモードに設定する。即ち、周波数調整部980は、クロック切替部930がデータ判定クロック信号を選択している期間、ホールドモードで動作する。
【0196】
図21のステップS408において、制御装置15は、切り替えタイミングとして、最小位相差クロック選択指示を出力する。クロック切替部930は、最小位相差クロック選択指示に応じて、データ判定クロック信号を、第1再生クロック信号から、第1再生クロック信号との位相差が最小となる周波数シフトクロック信号(位相差再生クロック信号)に切り替える。
【0197】
図21のステップS409において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から位相差再生クロック信号に切り替えてから第1クロック再生部921の応答時間Δtrが経過したか否かを判定する。一方、応答時間Δtrが経過していない場合、図21の処理はステップS409に戻る。応答時間Δtrが経過した場合、図21の処理はステップS410に進む。
【0198】
図21のステップS410において、クロック切替部930は、データ判定クロック信号を位相差再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。
【0199】
図21のステップS411において、制御装置15は、ホールドモードの設定前が+2Δfシフトモードであるか否かを判定する。モード設定前が、+2Δfシフトモードである場合、図21の処理はステップS412に進み、図21のステップS412において、制御装置15は、周波数調整部980を+2Δfシフトモードに設定する。モード設定前が、-2Δfシフトモードである場合、図21の処理はステップS413に進み、図21のステップS413において、制御装置15は、周波数調整部980を-2Δfシフトモードに設定する。
【0200】
図21のステップS414において、制御装置15は、コンソール装置40から出力された制御信号として、回転部の回転を停止させるための制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置15が当該制御信号を受信していない場合、図21の処理はステップS406に戻る。一方、制御装置15が当該制御信号を受信した場合、図21の処理は終了する。
【0201】
このように、第8実施形態に係る通信装置800では、単一カプラで構成しても、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制することができる。
【0202】
(その他の実施形態)
これまで実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0203】
上述した実施形態では、リングを180°ずつ2つのセグメント(第1セグメント701、第2セグメント702)に分割する構成としたが、例えばリングを90°ずつ4つのセグメントに分割する等、リングを任意数のセグメントに分割する構成においても同様に適用可能である。なお、セグメント毎に異なる角度でリングを分割するようにしても良い。また、上述した実施形態では、回転側の通信装置600が各セグメントに同一の伝送データを出力する構成としたが、セグメント毎に異なる伝送データを出力する構成としても良い。
【0204】
図22は、その他の実施形態に係る通信装置600、800を構成する通信システム500の構成の一例を示す図である。図22は、リング状伝送路700は、例えばリングを90°ずつ4つのセグメント(セグメント701~704)に分割された構成を示している。例えば、リング状伝送路700は、伝送データを回転部の回転方向に伝送するセグメント702、704と、回転方向とは反対方向に伝送データを伝送するセグメント701、703とに分割される。セグメント702、703、704、701は、それぞれ、「第1伝送路」、「第2伝送路」、「第3伝送路」、「第4伝送路」の一例である。
【0205】
回転側の通信装置600は、伝送データを送信する回転通信部610と、各セグメント(セグメント701~704)の入力端に信号(伝送データ)を入力するための信号入力部620と、各セグメントの終端で当該信号の反射を防ぐための信号終端部630とを有する。そして、回転通信部610は、各セグメント(セグメント701~704)に異なる伝送データ(データ1~4)を出力する。ここで、通信装置800のカプラが、異なるセグメントをオーバーラップする形で位置する場合では、異なるデータが合成された信号がカプラで受信されるため、データエラーとなる。そこで、全ての回転角度で1セグメントに少なくとも1つの固定側の通信装置800が位置するように、セグメント数より多い数の通信装置800が設けられる。例えば、リング状伝送路700が4つのセグメント(セグメント701~704)に分割された構成では、6つの通信装置800として通信装置800A、800B、800C、800D、800E、800Fが設けられる。そして、回転通信部610は、伝送データにシーケンス番号とエラー検出符号とを付与してから、当該伝送データを送信する。エラー検出符号は、データを伝送する際に発生するエラーを受信側で検出することができるように付加される符号である。ここで、図22に示す例では、通信装置800A、800B、800C、800D、800E、800Fは互いに接続され、通信装置800Eが、各通信装置800の伝送データを監視する構成であるとする。この場合、通信装置800Eの固定通信部900は、通信装置800A、800B、800C、800D、800E、800Fの伝送データを監視して、データエラーとなる重複するシーケンス番号が付与された伝送データを破棄する。
【0206】
上記構成及び動作により、各セグメントで同一のデータを伝送する構成と比較した場合、回転側の通信装置600と固定通信装置800Eとの間のデータ伝送速度を約4倍に増加させることが可能となる。なお、ここでは各セグメント(セグメント701~704)で異なるデータ(データ1~4)を伝送する構成としたが、例えば、セグメント701とセグメント702とでデータ1を伝送し、セグメント703とセグメント704とでデータ2を伝送する構成としても良い。この場合には、回転側の通信装置600と固定通信装置800Eとの間のデータ伝送速度は、各セグメントで同一のデータを伝送する構成と比較して約2倍となる。
【0207】
具体的には、図22において、通信装置800A、800B、800C、800D、800E、800Fにおいて、第1カプラ811、第2カプラ812は、セグメント701~704のうちの1つのセグメントから伝送データを受信する。例えば、通信装置800Dの第1カプラ811、第2カプラ812がセグメント701から伝送データ(データ1)を受信する際に、通信装置800Aの第1カプラ811、第2カプラ812がセグメント703から伝送データ(データ3)を受信する。また、例えば、通信装置800E、800Fの第1カプラ811、第2カプラ812がセグメント702から伝送データ(データ2)を受信する際に、通信装置800B、800Cの第1カプラ811、第2カプラ812がセグメント704から伝送データ(データ4)を受信する。ここで、図22において、通信装置800E、800Fが受信した伝送データ(データ2)は、データエラーとなる重複するシーケンス番号が付与された伝送データであり、同図に示すタイミングでは、通信装置800Eが入力端で当該伝送データを受信している。このため、通信装置800Eが受信した伝送データ(データ2)は、通信装置800Eの制御により破棄される。同様に、図22において、通信装置800B、800Cが受信した伝送データ(データ4)は、データエラーとなる重複するシーケンス番号が付与された伝送データであり、同図に示すタイミングでは、通信装置800Bが入力端で当該伝送データを受信している。このため、通信装置800Bが受信した伝送データ(データ4)は、通信装置800Eの制御により破棄される。
【0208】
ここで、通信装置800A、800B、800C、800D、800E、800Fにおいて、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分(入力端、終端)が第1カプラ811を通過した場合、データ判定クロック信号を第1再生クロック信号から第2再生クロック信号に切り替える。また、クロック切替部930は、リング状伝送路700の分割部分(入力端、終端)が第1カプラ811を通過してから第2クロック再生部922の応答時間Δtrが経過した場合、データ判定クロック信号を第2再生クロック信号から第1再生クロック信号に切り替える。そして、データ判定部940は、第1カプラ811が受信した伝送データに含まれる伝送信号と、データ判定クロック信号とに基づいて、受信データを生成する。
【0209】
上述した各部の構成及び動作により、リングを複数のセグメントに分割し、セグメント毎に異なるデータを伝送する構成においても、ドップラシフト量変化による受信性能低下を抑制することができる。また、回転側の通信装置600と固定通信装置800Eとの間のデータ伝送速度の高速化を実現することができる。これにより、例えば、伝送データが、データ収集装置(DAS18)が収集したX線の信号(X線検出データ)である場合、コンソール装置40の処理回路44において、DAS18から送信された伝送データ(受信データ)に基づいてCT画像データを生成する処理についても、高速化を実現することができる。
【0210】
また、上述した実施形態では、通信装置600及びリング状伝送路700が回転部(回転フレーム13)に配置され、通信装置800が固定部(固定フレーム19)に配置され、伝送データは、データ収集装置(DAS18)が収集したX線の信号である場合を例にして説明したが、これに限定されない。
【0211】
例えば、通信装置600及びリング状伝送路700が固定部に配置され、通信装置800が回転部に配置されている場合、伝送データは、X線CT装置100のコンソール装置40が送信した回転部に対する制御信号である。
【0212】
なお、本実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0213】
また、本実施形態で説明した方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0214】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ドップラシフト量の変化による影響を低減し、受信性能低下を抑制させることができる。
【0215】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0216】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、
前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する決定部と、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成するデータ生成部と、
を備える通信装置。
(付記2)
前記リング状伝送路は、前記伝送データを前記回転部の回転方向に伝送する第1伝送路と、前記回転方向とは反対方向に前記伝送データを伝送する第2伝送路とに分割され、
前記第1カプラは、前記第1伝送路及び前記第2伝送路の一方の伝送路から前記伝送データを受信し、
前記決定部は、前記第1カプラが前記一方の伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく前記再生クロック信号を決定してもよい。
(付記3)
前記固定部及び前記回転部の他方に前記第1カプラとは離れた位置に配置され、前記一方の伝送路から前記伝送データを前記第1カプラよりも先に受信する第2カプラ、
を更に備え、
前記決定部は、
前記第1カプラにより受信された前記伝送データに含まれる前記クロック信号を第1再生クロック信号として再生する第1再生部と、
前記第2カプラにより受信された前記伝送データに含まれる前記クロック信号を第2再生クロック信号として再生する第2再生部と、
前記第1再生クロック信号と前記第2再生クロック信号のいずれか一方の再生クロック信号をデータ判定クロック信号として選択するクロック信号切替部と、
を備え、
前記データ生成部は、前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記データ判定クロック信号とに基づいて、前記受信データを生成してもよい。
(付記4)
前記クロック信号切替部は、第1切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第2再生クロック信号に切り替え、前記リング状伝送路の分割部分が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替えてもよい。
(付記5)
前記第1カプラと前記第2カプラとの離間距離は、前記第2再生部の応答時間と前記回転部の回転速度とにより算出される距離以上であってもよい。
(付記6)
前記離間距離は、前記伝送データの1ビット当たりの波長の整数倍に略等しくてもよい。
(付記7)
前記第2再生クロック信号に対して、前記離間距離に基づき決定される、所定の位相差だけ進んだ第3再生クロック信号、及び、前記所定の位相差だけ遅れた第4再生クロック信号を生成する位相調整部、
を更に備え、
前記クロック信号切替部は、第1切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第3再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第3再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第4再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第4再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替えてもよい。
(付記8)
前記第2再生クロック信号と位相の異なる第5再生クロック信号群を生成する位相調整部と、
前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第1伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第5再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第1位相差再生クロック信号として決定すると共に、前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第2伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第5再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第5再生クロック信号を第2位相差再生クロック信号として決定する位相比較部と、
を更に備え、
前記クロック信号切替部は、第1切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第1位相差再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第1カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第2位相差再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第1カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替えてもよい。
(付記9)
前記回転方向に基づいて、前記第1カプラにより受信された前記伝送データ、及び、前記第2カプラにより受信された前記伝送データのいずれか一方の伝送データを選択する伝送データ切替部、
を更に備え、
前記伝送データ切替部が前記第1カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記クロック信号切替部は、前記第1切替処理を行い、
前記伝送データ切替部が前記第2カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記クロック信号切替部は、第2切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、前記リング状伝送路の分割部分が前記第2カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第2再生クロック信号に切り替えてもよい。
(付記10)
前記回転方向に基づいて、前記第1カプラにより受信された前記伝送データ、及び、前記第2カプラにより受信された前記伝送データのいずれか一方の伝送データを選択する伝送データ切替部、
を更に備え、
前記位相調整部は、前記第1再生クロック信号に対して、前記離間距離に基づき決定される、前記所定の位相差だけ進んだ第6再生クロック信号、及び、前記所定の位相差だけ遅れた第7再生クロック信号を生成し、
前記伝送データ切替部が前記第1カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記クロック信号切替部は、前記第1切替処理を行い、
前記伝送データ切替部が前記第2カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記クロック信号切替部は、第2切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第2再生クロック信号から前記第6再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第2カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第6再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第7再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第2カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第7再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替えてもよい。
(付記11)
前記回転方向に基づいて、前記第1カプラにより受信された前記伝送データ、及び、前記第2カプラにより受信された前記伝送データのいずれか一方の伝送データを選択する伝送データ切替部、
を更に備え、
前記位相調整部は、前記第2再生クロック信号と位相の異なる第8再生クロック信号群を生成し、
前記位相比較部は、前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第1伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第8再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第3位相差再生クロック信号として決定すると共に、前記第1カプラ及び前記第2カプラが前記第2伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第8再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第8再生クロック信号を第4位相差再生クロック信号として決定する位相比較部と、
を更に備え、
前記伝送データ切替部が前記第1カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記クロック信号切替部は、前記第1切替処理を行い、
前記伝送データ切替部が前記第2カプラにより受信された前記伝送データを選択している場合、前記クロック信号切替部は、第2切替処理として、
前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号に設定し、
前記リング状伝送路の分割部分である入力端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第3位相差再生クロック信号に切り替え、前記入力端が前記第2カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第3位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替え、
前記リング状伝送路の分割部分である終端が前記第2カプラを通過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第1再生クロック信号から前記第4位相差再生クロック信号に切り替え、前記終端が前記第2カプラを通過してから前記第2再生部の応答時間が経過した場合、前記データ判定クロック信号を前記第4位相差再生クロック信号から前記第1再生クロック信号に切り替えてもよい。
(付記12)
前記決定部は、
前記第1カプラにより受信された前記伝送データに含まれる前記クロック信号を第1再生クロック信号として再生する第1再生部と、
前記第1再生クロック信号に対して、所定の周波数差を有する第2再生クロック信号を生成する周波数調整部と、
前記第2再生クロック信号と位相の異なる第3再生クロック信号群を生成する位相調整部と、
前記第1カプラが前記第1伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第3再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第3再生クロック信号を第1位相差再生クロック信号として決定すると共に、前記第1カプラが前記第2伝送路に位置した状態において前記第1再生クロック信号と前記第3再生クロック信号群との位相差を検出し、前記第1再生クロック信号との位相差が最小となる第3再生クロック信号を第2位相差再生クロック信号として決定する位相比較部と、
前記第1位相差再生クロック信号と前記第2位相差再生クロック信号のいずれか一方の再生クロック信号をデータ判定クロック信号として選択するクロック信号切替部と、
を備え、
前記データ生成部は、前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記データ判定クロック信号とに基づいて、前記受信データを生成してもよい。
(付記13)
前記周波数調整部は、前記第1カプラの受信位置と、前記回転方向と、前記回転部の回転速度と、前記伝送信号のデータレートとの少なくとも1つに基づいて、前記所定の周波数差を決定してもよい。
(付記14)
前記周波数調整部は、
前記第1再生クロック信号から、前記所定の周波数差だけ大きくした第2再生クロック信号を生成する第1動作モードと、
前記第1再生クロック信号から、前記所定の周波数差だけ小さくした第2再生クロック信号を生成する第2動作モードと、
前記第2再生クロック信号の周波数を保持する第3動作モードと、
を有し、
前記クロック信号切替部が前記データ判定クロック信号を選択している期間、第3動作モードで動作してもよい。
(付記15)
前記回転部は、X線管と、前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が検出したX線の信号を収集するデータ収集装置とを有し、
前記伝送データは、前記データ収集装置が収集したX線の信号であってもよい。
(付記16)
前記回転部は、X線管と、前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が検出したX線の信号を収集するデータ収集装置とを有し、
前記伝送データは、X線CT装置のコンソール装置が送信した前記回転部に対する制御信号であってもよい。
(付記17)
前記リング状伝送路は、第1入力端から第1終端まで前記伝送データを前記回転部の回転方向に伝送する第1伝送路と、第2入力端から前記第1終端まで前記回転方向とは反対方向に前記伝送データを伝送する第2伝送路と、前記第2入力端から第2終端まで前記伝送データを前記回転部の回転方向に伝送する第3伝送路と、前記第1入力端から前記第2終端まで前記回転方向とは反対方向に前記伝送データを伝送する第4伝送路とに分割され、
前記第1カプラは、前記第1伝送路、前記第2伝送路、前記第3伝送路、前記第4伝送路のうちの前記1つの伝送路から前記伝送データを受信してもよい。
(付記18)
X線管と、前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が検出したX線の信号を収集するデータ収集装置とを有する回転部と、
前記回転部を回転させる固定部と、
前記固定部及び前記回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、
前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定する決定部と、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成するデータ生成部と、
を備えるX線CT装置。
(付記19)
固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、を備える通信装置を用いる通信方法であって、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定し、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する、
ことを含む通信方法。
(付記20)
固定部及び回転部の一方に配置され、伝送信号とクロック信号とを含む伝送データを伝送する複数の伝送路を有するリング状伝送路と、前記固定部及び前記回転部の他方に配置され、前記複数の伝送路のうちの1つの伝送路から前記伝送データを受信する第1カプラと、を備える通信装置を用いる通信方法であって、
前記第1カプラが前記1つの伝送路から前記伝送データを受信する受信位置に応じて、前記クロック信号に基づく再生クロック信号を決定し、
前記第1カプラが受信した前記伝送信号と、前記再生クロック信号とに基づいて、受信データを生成する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0217】
600 通信装置
700 リング状伝送路
701 第1セグメント
702 第2セグメント
800 通信装置
810 カプラ
811 第1カプラ
812 第2カプラ
900 固定通信部
921 クロック再生部
922 クロック再生部
930 クロック切替部
940 データ判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22