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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132073
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240920BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240920BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240920BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J7/35 K
H02J7/00 302C
H02J7/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042722
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100208591
【弁理士】
【氏名又は名称】井後 智哉
(72)【発明者】
【氏名】有村 利信
(72)【発明者】
【氏名】稲村 彰信
(72)【発明者】
【氏名】高井 紀浩
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AA09
5G066AD04
5G066HA06
5G066HA13
5G066HA15
5G066HB03
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G066LA02
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB13
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503DA18
5G503EA05
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】スマートグリッドの自立運転を安定的に運用することが可能な技術を提供する。
【解決手段】制御装置10は、再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッド2の電圧を目標値に制御する第1の蓄電池6と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池7とを備えるスマートグリッド2の自立運転を支援する制御装置10である。制御装置10は、スマートグリッド2内の発電電力、及びスマートグリッド2内の消費電力を取得する取得部11と、発電電力と消費電力との差分である差分電力を算出する算出部12と、差分電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定する決定部15と、決定された第2の蓄電池7の充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信する制御部16と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池とを備える前記スマートグリッドの自立運転を支援する制御装置であって、
前記スマートグリッド内の発電電力、及び前記スマートグリッド内の消費電力を取得する取得部と、
前記発電電力と前記消費電力との差分である差分電力を算出する算出部と、
前記差分電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定する決定部と、
決定された前記第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令を前記第2の蓄電池に送信する制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルを取得し、
前記制御装置は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルの優先順位に対応して、前記第2の蓄電池を充放電する補正電力を算出する補正部をさらに備え、
前記決定部は、前記差分電力及び前記補正電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記第1の蓄電池の充放電電力を取得し、
前記制御装置は、前記第1の蓄電池の充放電電力が所定の範囲を超える場合に、前記所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部に対応して、前記第2の蓄電池を充放電する移管電力を算出する移管部をさらに備え、
前記決定部は、前記差分電力及び前記移管電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルを取得し、
前記制御装置は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルがそれぞれ所定の値以上である場合、前記消費電力を上限値として前記発電電力を制限する制限部をさらに備える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池とを備える前記スマートグリッドの自立運転を支援する制御装置によって実行される制御方法であって、
前記スマートグリッド内の発電電力、及び前記スマートグリッド内の消費電力を取得することと、
前記発電電力と前記消費電力との差分である差分電力を算出することと、
前記差分電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定することと、
決定された前記第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令を前記第2の蓄電池に送信することと、
を備える、制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートグリッドにおいて、自立運転を支援する仕組みが知られている。例えば、特許文献1には、自然エネルギーの発電装置の自立運転を可能とする蓄電池制御装置が記載されている。特許文献1に記載の発明は、出力電圧を目標電圧に制御する第1電力変換装置、及び出力電流を目標電流に制御する第2電力変換装置が用いられている。特許文献1に記載の発明は、第1電力変換装置の出力を吸収するように第2電力変換装置の充放電量を決定している。すなわち、特許文献1に記載の発明では、第2電力変換装置の充放電量が第1電力変換装置の出力に従って変動する。特許文献1に記載の発明では、第1電力変換装置による電圧の制御量が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-21371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生可能エネルギーによる発電を行うスマートグリッドにおいて、自立運転を行う場合がある。再生可能エネルギーによる発電では、例えば天気及び風量等の環境の影響を受けやすく、電圧の変動が起こりやすい。電圧の変動が大きいと、自立運転の継続が困難になる。したがって、自立運転を安定的に運用させる仕組みが求められている。
【0005】
本開示は、スマートグリッドの自立運転を安定的に運用することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る制御装置は、再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池とを備えるスマートグリッドの自立運転を支援する制御装置である。制御装置は、スマートグリッド内の発電電力、及びスマートグリッド内の消費電力を取得する取得部と、発電電力と消費電力との差分である差分電力を算出する算出部と、差分電力を用いて、第2の蓄電池の充放電電力を決定する決定部と、決定された第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池に送信する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の一側面に係る制御方法は、再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池とを備えるスマートグリッドの自立運転を支援する制御装置によって実行される制御方法である。制御方法は、スマートグリッド内の発電電力、及びスマートグリッド内の消費電力を取得することと、発電電力と消費電力との差分である差分電力を算出することと、差分電力を用いて、第2の蓄電池の充放電電力を決定することと、決定された第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池に送信することと、を備える。
【0008】
制御装置及び制御方法では、スマートグリッドの自立運転において、発電電力と消費電力との差分である差分電力を用いて第2の蓄電池の充放電電力が決定される。決定された第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令に従って、第2の蓄電池による充放電が行われる。第2の蓄電池の充放電によって、差分電力が先行的に解消される。差分電力に起因するスマートグリッドの電圧の変動が抑制される。これにより、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池の動作が安定する。その結果、スマートグリッドの自立運転を安定的に運用することができる。
【0009】
取得部は、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルを取得してもよい。制御装置は、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルの優先順位に対応して、第2の蓄電池を充放電する補正電力を算出する補正部をさらに備えてもよい。決定部は、差分電力及び補正電力を用いて、第2の蓄電池の充放電電力を決定してもよい。このような構成によれば、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルに応じて算出された補正電力が第2の蓄電池の充放電電力に反映される。これにより、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルを第2の蓄電池の充放電によって制御することが容易になる。その結果、スマートグリッドの自立運転をより安定的に運用することができる。
【0010】
取得部は、第1の蓄電池の充放電電力を取得してもよい。制御装置は、第1の蓄電池の充放電電力が所定の範囲を超える場合に、所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部に対応して、第2の蓄電池を充放電する移管電力を算出する移管部をさらに備えてもよい。決定部は、差分電力及び移管電力を用いて、第2の蓄電池の充放電電力を決定してもよい。このような構成によれば、所定の範囲を超える第1の蓄電池の充放電電力に応じて算出された移管電力が第2の蓄電池の充放電電力に反映される。すなわち、所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部が第2の蓄電池7の充放電電力に移管される。これにより、第1の蓄電池の充放電電力が過大になることを防止できるため、第1の蓄電池の動作が安定する。その結果、スマートグリッドの自立運転をより安定的に運用することができる。
【0011】
取得部は、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルを取得してもよい。制御装置は、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルがそれぞれ所定の値以上である場合、消費電力を上限値として発電電力を制限する制限部をさらに備えてもよい。このような構成によれば、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の充電レベルが所定の値以上である場合に、消費電力を上限値として発電電力が制限される。例えば、第1の蓄電池及び第2の蓄電池の両方が満充電状態になると、自立運転の継続が困難になる。発電電力が制限されることにより、第1の蓄電池の充電レベル及び第2の蓄電池の充電レベルがそれぞれ所定の値以上に充電されることを抑制できる。その結果、スマートグリッドの自立運転をより安定的に運用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、スマートグリッドの自立運転を安定的に運用することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る制御システムの概略構成図である。
図2図2は、制御装置の機能構成を例示するブロック図である。
図3図3は、制御システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、蓄電池充電残量制御の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、自立側蓄電池過大防止制御の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、制御システムの処理の別の例を示すフローチャートである。
図7図7は、制御システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
[制御システム]
本開示に係る制御システムは、スマートグリッドにおける運転を支援する。スマートグリッドは、外部の電力系統と接続している。通常時の運転において、スマートグリッドは、電力系統から電力の供給を受ける。電力系統に事故が発生した場合等の非常時の運転において、スマートグリッドと電力系統との接続が遮断される。この場合、スマートグリッドは、電力系統から電力の供給を受けることができない。制御システムは、電力系統から独立してスマートグリッド内に電力を供給する自立運転を支援する。制御システムでは、スマートグリッド内の電圧を制御する第1の蓄電池と、充放電を行う第2の蓄電池とが用いられる。制御システムは、スマートグリッド内の発電電力と消費電力との差分に応じて、第2の蓄電池の充放電を行う。これにより、第1の蓄電池によって制御されるスマートグリッド内の電圧の変動が抑制される。
【0016】
図1は、一実施形態に係る制御システム1の概略構成図である。制御システム1は、スマートグリッド2における自立運転に適用される。図1は、スマートグリッド2と電力系統3との接続が遮断された状態を示す。スマートグリッド2は、外部の高圧ラインL1を介して、電力系統3から電力の供給を受けることができない状態である。
【0017】
スマートグリッド2は、高圧連系盤4と、発電設備5と、第1の蓄電池6と、第2の蓄電池7と、負荷8と、瞬時電力計9とを備える。
【0018】
高圧連系盤4は、通常時の運転において、高圧ラインL1を介して電力系統3に接続される。高圧連系盤4は、非常時の運転において、高圧ラインL1を介する電力系統3との接続が遮断される。高圧連系盤4は、高圧ラインL2を介して、発電設備5、第1の蓄電池6、第2の蓄電池7及び負荷8に接続されている。高圧連系盤4から負荷8への経路上には、瞬時電力計9が設けられている。高圧連系盤4は、スマートグリッド2内の各装置に電力を供給する。
【0019】
発電設備5は、スマートグリッド2内において、再生可能エネルギーによって発電を行う設備である。発電設備5は、スマートグリッド2内に発電電力を供給する。発電電力の単位は、例えば[kW]である。再生可能エネルギーとしては、例えば太陽光又は風力が挙げられるが、これらに限られない。発電設備5は、例えば太陽光発電設備である。発電設備5は、PCS51(Power Conditioning System)と、太陽光パネル52とを備える。PCS51は、太陽光パネル52により発生した直流を交流に変換する。
【0020】
PCS51の構成は、集中型又は分散型のいずれであってもよい。集中型とは、単一のPCS51が複数の太陽光パネル52をまとめて管理する構成である。集中型では、単一のPCS51が発電電力の合計を制御可能である。分散型とは、複数のPCS51が対応する複数の太陽光パネル52をそれぞれ管理する構成である。分散型では、複数のPCS51の動作を開始又は停止することによって、発電電力の合計を制御可能である。
【0021】
第1の蓄電池6は、スマートグリッド2の電圧を目標値に制御する。例えば、目標値は、例えば電力系統3の電圧と同様の値等である。第1の蓄電池6は、高圧ラインL2における電圧を目標値になるように制御する。第1の蓄電池6は、電圧の制御によって、スマートグリッド2の電圧及び周波数を安定させる。その結果、スマートグリッド2の自立運転が可能となる。第1の蓄電池6は、例えば蓄電池システムである。第1の蓄電池6は、蓄電池PCS61と、蓄電池62とを備える。蓄電池PCS61は、PCS自体の機能として、蓄電池62の制御を行う。換言すると、蓄電池PCS61は、自立運転可能なPCSである。例えば、蓄電池PCS61は、目標値になるように、スマートグリッド2の電圧を制御する。蓄電池PCS61は、蓄電池62の直流を交流に変換する。蓄電池PCS61は、例えば500kWの充電電力及び500kWの放電電力の容量を備える。
【0022】
蓄電池62は、電力を貯蔵及び供給する機能を備える機器の総称である。例えば、蓄電池62は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、全固体電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池又はコバルトチタンリチウム二次電池等の一般型の蓄電池であってもよい。蓄電池62は、レドックス・フロー電池、亜鉛・塩素電池又は亜鉛・臭素電池等の液循環型の蓄電池であってもよい。蓄電池62は、アルミニウム・空気電池、空気亜鉛電池又は空気・鉄電池等のメカニカルチャージ型の蓄電池であってもよい。蓄電池62は、ナトリウム・硫黄電池、リチウム・硫化鉄電池、電子トラップ型又は半導体二次電池等の高温動作型の蓄電池であってもよい。
【0023】
第2の蓄電池7は、充放電指令に従って充放電を行う。第2の蓄電池7は、充放電によってスマートグリッド2の電圧の変動を抑制する。第2の蓄電池7は、例えば蓄電池システムである。第2の蓄電池7は、蓄電池PCS71と、蓄電池72とを備える。蓄電池PCS71は、制御装置10からの制御に応答して、蓄電池72の制御を行う。蓄電池PCS71は、蓄電池72の直流を交流に変換する。蓄電池PCS71は、例えば500kWの充電電力及び500kWの放電電力の容量を備える。
【0024】
蓄電池72は、蓄電池62と同様の機能を備える。蓄電池72は、蓄電池62と同様の構成である。図1は、単一の第2の蓄電池7を示すが、複数の第2の蓄電池7が設けられていてもよい。第2の蓄電池7は、EV(Electric Vehicle)蓄電池を備える双方向EV充電器であってもよい。双方向EV充電器は、電気自動車との間で充放電が可能な充電器である。
【0025】
第1の蓄電池6及び第2の蓄電池7は、通常時の運転において、スマートグリッド2と外部の電力系統3との電力の授受の調整を行う際の電力調整装置として機能し得る。第1の蓄電池6は、非常時の運転において、スマートグリッド2内の電圧を調整する自立運転側蓄電池として機能し得る。第2の蓄電池7は、非常時の運転において、スマートグリッド2内の充放電電力を調整する追従側蓄電池として機能し得る。
【0026】
負荷8は、スマートグリッド2内の電力を消費する。負荷8としては、例えば工場、家庭、公共設備及び病院が挙げられるが、これらに限られない。瞬時電力計9は、負荷8に対応して設けられる。瞬時電力計9は、負荷8の消費電力を計測する。消費電力の単位は、例えば[kW]である。図1は、単一の負荷8及び単一の瞬時電力計9を示すが、複数の負荷8及び複数の瞬時電力計9が設けられていてもよい。
【0027】
制御装置10は、スマートグリッド2の自立運転を支援する。制御装置10は、スマートグリッド2内の各装置を制御するか、又は監視する。制御装置10は、例えばEMS(エネルギーマネジメントシステム)である。制御装置10は、スマートグリッド2と互いに通信可能に接続されている。制御装置10は、スマートグリッド2の構成要素であってもよい。
【0028】
図2は、制御装置10の機能構成を例示するブロック図である。制御装置10は、機能要素として、取得部11と、算出部12と、補正部13と、移管部14と、決定部15と、制御部16と、制限部17とを備える。
【0029】
取得部11は、スマートグリッド2内の各装置から情報を取得する。例えば、取得部11は、高圧連系盤4の状態量を高圧連系盤4から取得する。状態量は、高圧ラインL2の電圧の計測値である。取得部11は、スマートグリッド2内の発電電力を取得する。例えば、取得部11は、発電設備5の発電電力を発電設備5から取得する。取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベル及び充放電電力を第1の蓄電池6から取得する。充電レベルは、充電率(State Of Charge:SOC)とも言う。充電レベルは、完全放電状態を0%、満充電状態を100%として表される。取得部11は、第2の蓄電池7の充電レベルを第2の蓄電池7から取得する。取得部11は、第2の蓄電池7の充放電電力を第2の蓄電池7から取得してもよい。取得部11は、スマートグリッド2内の消費電力を取得する。例えば、取得部11は、負荷8の消費電力を瞬時電力計9から取得する。取得部11は、複数の負荷8のそれぞれの消費電力を複数の瞬時電力計9のそれぞれから取得してもよい。取得部11は、第1の蓄電池6の蓄電池PCS61の容量、及び第2の蓄電池7の蓄電池PCS71の容量を予め取得してもよい。取得部11は、PCS51の構成が集中型又は分散型のいずれであるかの情報を予め取得してもよい。
【0030】
算出部12は、発電電力と消費電力との差分である差分電力を算出する。例えば、算出部12は、発電設備5の発電電力と、複数の負荷8による消費電力の合計値との差分である差分電力を算出する。一例では、差分電力は、発電電力-消費電力により求められる。すなわち、差分電力が正の値である場合、消費電力よりも発電電力が大きいと言える。これに対し、差分電力が負の値の場合、発電電力よりも消費電力が大きいと言える。
【0031】
算出部12は、差分に対して調整を行って、差分電力を算出してもよい。例えば、算出部12は、差分に対してゲイン係数Gを乗じてもよい。ゲイン係数は、発電電力と消費電力との時間差が無い場合にG=1であってもよい。ゲイン係数は、発電電力と消費電力との時間差がある場合には、0<G<1の範囲の値であってもよい。差分のゲインを落とすことにより、ハンチングが抑制される。算出部12は、差分に対して、積分修正を行っても良い。例えば算出部12は、差分に対してゲイン係数G及び積分係数を乗じてもよい。算出部12は、差分に対して変化率を制限するレートリミッタを適用してもよい。
【0032】
補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルの優先順位に対応して、第2の蓄電池7を充放電する補正電力を算出する。例えば、補正部13は、閾値を用いて、第1の蓄電池6の充電レベルを「高」、「中」及び「低」のいずれかに分類する。一例では、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルについて、75%より高い場合を「高」、50~75%の場合を「中」、又は50%より低い場合を「低」に分類する。同様に、補正部13は、閾値を用いて、第2の蓄電池7の充電レベルを「高」、「中」及び「低」のいずれかに分類する。
【0033】
補正部13は、分類された各充電レベルを用いて優先順位を判定する。補正部13は、優先順位に従って補正電力を算出する。例えば、補正部13は、第1の優先順位、第2の優先順位及び第3の優先順位を判定する。第1の優先順位、第2の優先順位及び第3の優先順位は、この順で優先度が高いことを示す。補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが「低」の場合に、優先順位を第1の優先順位として判定する。補正部13は、第2の蓄電池7の充電レベルが「低」の場合に、優先順位を第2の優先順位として判定する。補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが「高」の場合に、優先順位を第3の優先順位として判定する。
【0034】
判定された優先順位が第1の優先順位である場合、第1の蓄電池6の充電レベルが低下している状態と言える。補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルの低下を補うように、第2の蓄電池7の放電電力を補正電力として算出する。一例では、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが低いほど、第2の蓄電池7の放電電力が大きくなる第1の補正関数を用いて補正電力を算出する。一例では、第1の補正関数は、第1の蓄電池6の充電レベルが45%の場合に、第2の蓄電池7の放電電力D1を求めることができる。別の例では、第1の補正関数は、第1の蓄電池6の充電レベルが40%の場合に、第2の蓄電池7の放電電力D2を求めることができる。放電電力D1及び放電電力D2の関係は、放電電力D1<放電電力D2である。第1の補正関数は、補正電力の制限が設けられていてもよい。例えば、第1の補正関数は、第1の蓄電池6の充電レベルが25%以下の場合、第2の蓄電池7の放電電力を一定値としてもよい。
【0035】
判定された優先順位が第2の優先順位である場合、第2の蓄電池7の充電レベルが低下した状態と言える。補正部13は、第2の蓄電池7の充電レベルの低下を補うように、第2の蓄電池7の充電電力を補正電力として算出する。一例では、補正部13は、第2の蓄電池7の充電レベルが低いほど、第2の蓄電池7の充電電力が大きくなる第2の補正関数を用いて補正電力を算出する。一例では、第2の補正関数は、第2の蓄電池7の充電レベルが20%の場合に、第2の蓄電池7の充電電力C1を求めることができる。別の例では、第2の補正関数は、第2の蓄電池7の充電レベルが15%の場合に、第2の蓄電池7の充電電力C2を求めることができる。充電電力C1及び充電電力C2の関係は、充電電力C1<充電電力C2である。
【0036】
判定された優先順位が第3の優先順位である場合、第1の蓄電池6の充電レベルが過剰の状態と言える。補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルの上昇を抑えるように、第1の蓄電池6の放電電力を補正電力として算出する。一例では、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが高いほど、第2の蓄電池7の充電電力が大きくなる第3の補正関数を用いて補正電力を算出する。一例では、第3の補正関数は、第1の蓄電池6の充電レベルが80%の場合に、第2の蓄電池7の充電電力C3を求めることができる。別の例では、第3の補正関数は、第1の蓄電池6の充電レベルが85%の場合に、第2の蓄電池7の充電電力C4を求めることができる。充電電力C3及び充電電力C4の関係は、充電電力C3<充電電力C4である。
【0037】
判定された優先順位が第1の優先順位、第2の優先順位及び第3の優先順位のいずれでもない場合、補正部13は、補正電力を算出しない。一例では、第1の蓄電池6の充電レベルが「中」及び第2の蓄電池7の充電レベルが「中」の場合、第1の優先順位、第2の優先順位及び第3の優先順位のいずれにも該当しない。この場合、補正部13は、補正電力を算出しない。
【0038】
移管部14は、第1の蓄電池6の充放電電力が所定の範囲を超える場合に、所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部に対応して、第2の蓄電池7を充放電する移管電力を算出する。第1の蓄電池6の充放電電力は、例えば瞬時値である。所定の範囲は、例えば70%の充電電力から70%の放電電力であるが、これに限られない。移管部14は、例えば所定の範囲を超えた電力値の内、半分を第2の蓄電池7に移管するように移管電力を算出してもよい。移管部14は、第1の蓄電池6の充電電力が所定の範囲を超える場合に、移管電力を算出してもよい。移管部14は、第1の蓄電池6の放電電力が所定の範囲を超える場合に、移管電力を算出してもよい。
【0039】
一例では、第2の蓄電池7の容量が500kWの充電電力及び500kWの放電電力を備えている場合、所定の範囲は、350kWの充電電力及び350kWの放電電力に対応してもよい。例えば、第1の蓄電池6の充電電力の瞬時値が400kWである場合に、移管部14は、350kWを超えた電力値を50kWと算出する。移管部14は、50kWの一部又は全部を第2の蓄電池7の充電電力に移管するように移管電力を算出する。別の例では、第1の蓄電池6の放電電力の瞬時値が400kWである場合に、移管部14は、350kWを超えた電力値を50kWと算出する。移管部14は、50kWの一部又は全部を第2の蓄電池7の放電電力に移管するように移管電力を算出する。
【0040】
一例では、移管部14は、第1の蓄電池6の充電電力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第2の蓄電池7の充電電力が大きくなる第1の移管関数を用いて移管電力を算出してもよい。一例では、第1の移管関数は、第1の蓄電池6の充電電力が75%の場合に、第2の蓄電池7の充電電力C5を求めることができる。別の例では、第1の移管関数は、第1の蓄電池6の充電電力が80%の場合に、第2の蓄電池7の充電電力C6を求めることができる。充電電力C5及び充電電力C6の関係は、充電電力C5<充電電力C6である。
【0041】
別の例では、移管部14は、第1の蓄電池6の放電電力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第2の蓄電池7の放電電力が大きくなる第2の移管関数を用いて移管電力を算出してもよい。一例では、第2の移管関数は、第1の蓄電池6の放電電力が75%の場合に、第2の蓄電池7の放電電力D3を求めることができる。別の例では、第2の移管関数は、第1の蓄電池6の放電電力が80%の場合に、第2の蓄電池7の放電電力D4を求めることができる。放電電力D3及び放電電力D4の関係は、放電電力D3<放電電力D4である。
【0042】
第1の蓄電池6の充放電電力が所定の範囲内である場合、移管部14は、移管電力を算出しなくてもよい。一例では、第1の蓄電池6の充電電力が0~70%、又は第1の蓄電池6の放電電力が0~70%の範囲内である場合、移管部14は、移管電力を算出しなくてもよい。
【0043】
決定部15は、発電電力と消費電力との間の差分電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定する。例えば、決定部15は、差分電力の正負に応じて充電電力と放電電力とを判定する。ここでは、差分電力が発電電力-消費電力により求められているとして説明する。決定部15は、差分電力が正の値である場合、差分電力に対応する充電電力を第2の蓄電池7の充放電電力として決定する。決定部15は、差分電力が負の値である場合、差分電力に対応する放電電力を第2の蓄電池7の充放電電力として決定する。決定部15は、蓄電池PCS71の容量に従って、第2の蓄電池7の充放電電力を制限してもよい。例えば、決定部15は、充放電指令における充放電電力の上限である指令上限を決定してもよい。
【0044】
決定部15は、差分電力及び補正電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定してもよい。例えば、決定部15は、差分電力及び補正電力を加算した電力値を、第2の蓄電池7の充放電電力として決定してもよい。
【0045】
決定部15は、差分電力及び移管電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定してもよい。例えば、決定部15は、差分電力及び移管電力を加算した電力値を、第2の蓄電池7の充放電電力として決定してもよい。
【0046】
決定部15は、差分電力、補正電力及び移管電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定してもよい。例えば、決定部15は、差分電力、補正電力及び移管電力を加算した電力値を、第2の蓄電池7の充放電電力として決定してもよい。
【0047】
制御部16は、決定された充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信する。例えば、制御部16は、充電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信してもよい。制御部16は、放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信してもよい。第2の蓄電池7が複数台により構成されている場合、制御部16は、複数の第2の蓄電池7のそれぞれに対する充放電電力の配分を決定してもよい。例えば、制御部16は、複数の第2の蓄電池7の内、充電レベルが低い第2の蓄電池7に対し、優先的に充電電力を配分してもよい。制御部16は、複数の第2の蓄電池7の内、充電レベルが高い第2の蓄電池7に対し、優先的に放電電力を配分してもよい。
【0048】
制限部17は、本実施形態における太陽光発電出力抑制制御を行う。制限部17は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルがそれぞれ所定の値以上である場合、消費電力を上限値として発電電力を制限する。所定の値は、満充電状態にならない値であればよい。所定の値は、例えば80%であるが、これに限られない。上限値は、消費電力の合計値であってもよいし、消費電力の合計値の移動平均であってもよい。例えば、制限部17は、発電設備5のPCS51に対し、発電電力の制限を示す指令を送信する。
【0049】
PCS51が集中型である場合、制限部17は、複数の太陽光パネル52による発電電力の上限値を制限する指令をPCS51に送信する。集中型のPCS51は、指令に従って発電電力の上限値を制限する。
【0050】
PCS51が分散型である場合、制限部17は、複数の太陽光パネル52による発電可能な電力である発電能力を算出する。制限部17は、例えば照度、温度及び複数の太陽光パネル52の発電量等を用いて発電能力を算出する。制限部17は、算出された発電能力が上限値を超えないように、複数のPCS51を起動させる上限の台数である起動上限を算出する。制限部17は、複数のPCS51の起動又は停止の制御を示す指令を複数のPCS51のそれぞれに送信する。分散型のPCS51は、指令に従って起動又は停止を行う。
【0051】
図3図5を参照しながら制御装置10の動作を説明するとともに、制御方法の一例について説明する。図3は、制御装置10の処理の一例を処理フローM1として示すフローチャートである。
【0052】
図3において、スマートグリッド2は、電力系統3との接続が遮断された後、自立運転を開始する前処理が行われたものして説明する。例えば、スマートグリッド2と電力系統3との接続が遮断されると、スマートグリッド2では停電が発生する。前処理の第1工程として、制御装置10は、第1の蓄電池6を起動させて、スマートグリッド2の電圧を目標値に制御する。前処理の第2工程として、制御装置10は、充電を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信する。第2の蓄電池7は、充電を行うことにより擬似的な負荷として機能する。前処理の第3工程として、制御装置10は、発電設備5を起動させる。スマートグリッド2内では、負荷8による電力の消費が開始される。
【0053】
ステップS1において、取得部11は、スマートグリッド2内の発電電力、及びスマートグリッド2内の消費電力を取得する。例えば、取得部11は、発電設備5の発電電力を発電設備5から取得する。例えば、取得部11は、負荷8の消費電力を瞬時電力計9から取得する。取得部11は、複数の負荷8のそれぞれの消費電力を複数の瞬時電力計9のそれぞれから取得してもよい。
【0054】
ステップS2において、算出部12は、発電電力と消費電力との差分を算出する。算出部12は、発電電力と消費電力との差分を算出する。例えば、算出部12は、発電設備5の発電電力と、複数の負荷8による消費電力の合計値との差分を算出する。
【0055】
ステップS3において、算出部12は、発電電力と消費電力との差分を調整する。例えば、算出部12は、差分に対して調整を行って、差分電力を算出する。算出部12は、差分に対してゲイン係数Gを乗じてもよい。算出部12は、差分に対してゲイン係数G及び積分係数を乗じてもよい。算出部12は、差分に対して変化率を制限するレートリミッタを適用してもよい。算出部12は、差分の調整前後で値が変わらないように調整を行ってもよいし、調整を行わなくてもよい。
【0056】
ステップS4において、制御装置10は、蓄電池充電残量制御を行う。図4を参照して、蓄電池充電残量制御の一例を説明する。図4は、蓄電池充電残量制御の一例を示すフローチャートである。例えば、蓄電池充電残量制御では、第1の蓄電池6の充電レベルを規定の範囲(例えば50~75%)に近付ける補正電力が算出される。或いは、蓄電池充電残量制御では、第2の蓄電池7の充電レベルを規定以上(例えば25%以上)に近付ける補正電力が算出される。換言すると、蓄電池充電残量制御では、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを安定させる。
【0057】
ステップS41において、取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを取得する。例えば、取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベルを第1の蓄電池6から取得する。取得部11は、第2の蓄電池7の充電レベルを第2の蓄電池7から取得する。
【0058】
ステップS42において、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを分類する。例えば、補正部13は、閾値を用いて、第1の蓄電池6の充電レベルを「高」、「中」及び「低」のいずれかに分類する。一例では、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルについて、75%より高い場合を「高」、50~75%の場合を「中」、又は50%より低い場合を「低」に分類する。同様に、補正部13は、閾値を用いて、第2の蓄電池7の充電レベルを「高」、「中」及び「低」のいずれかに分類する。
【0059】
ステップS43において、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが低いか否かを判定する。第1の蓄電池6の充電レベルが「低」である場合(ステップS43:YES)、処理はステップS44に進む。第1の蓄電池6の充電レベルが「中」又は「高」である場合(ステップS43:NO)、処理はステップS45に進む。
【0060】
ステップS44において、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが低いほど、第2の蓄電池7の放電電力が大きくなる第1の補正関数を選択する。
【0061】
ステップS45において、補正部13は、第2の蓄電池7の充電レベルが低いか否かを判定する。第2の蓄電池7の充電レベルが「低」である場合(ステップS45:YES)、処理はステップS46に進む。第2の蓄電池7の充電レベルが「中」又は「高」である場合(ステップS45:NO)、処理はステップS47に進む。
【0062】
ステップS46において、補正部13は、第2の蓄電池7の充電レベルが低いほど、第2の蓄電池7の充電電力が大きくなる第2の補正関数を選択する。
【0063】
ステップS47において、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが高いか否かを判定する。第1の蓄電池6の充電レベルが「高」である場合(ステップS47:YES)、処理はステップS48に進む。第1の蓄電池6の充電レベルが「中」である場合(ステップS47:NO)、ステップS4の処理は終了する。
【0064】
ステップS48において、補正部13は、第1の蓄電池6の充電レベルが高いほど、第2の蓄電池7の充電電力が大きくなる第3の補正関数を用いて補正電力を算出する。
【0065】
ステップS49において、補正部13は、補正電力を算出する。例えば、補正部13は、第1の補正関数、第2の補正関数及び第3の補正関数の内、選択された補正関数を用いて補正電力を算出する。一例では、補正部13は、選択された第1の補正関数を用いて、第2の蓄電池7の放電電力を補正電力として算出する。別の例では、補正部13は、選択された第2の補正関数を用いて、第2の蓄電池7の充電電力を補正電力として算出する。さらに別の例では、補正部13は、選択された第3の補正関数を用いて、第2の蓄電池7の充電電力を補正電力として算出する。
【0066】
ステップS4の蓄電池充電残量制御では、第1の蓄電池6の充電レベルが50~75%に無い場合、又は第2の蓄電池7の充電レベルが25%以下である場合に、補正電力が算出される。
【0067】
図3に示されるステップS5において、制御装置10は、自立側蓄電池過大防止制御を行う。図5を参照して、自立側蓄電池過大防止制御の一例を説明する。図5は、自立側蓄電池過大防止制御の一例を示すフローチャートである。例えば、自立側蓄電池過大防止制御では、所定の範囲を超える第1の蓄電池6の充放電電力を第2の蓄電池7に移管する移管電力が算出される。自立側蓄電池過大防止制御では、第1の蓄電池6への過大な充放電力が第2の蓄電池7に移管されることにより、第1の蓄電池6の異常停止が防止される。
【0068】
ステップS51において、取得部11は、第1の蓄電池6の充放電電力を第1の蓄電池6から取得する。取得された第1の蓄電池6の充放電電力は、例えば瞬時値である。
【0069】
ステップS52において、移管部14は、第1の蓄電池6の充電電力が所定の範囲を超えるか否かを判定する。一例では、所定の範囲は、例えば70%の充電電力である。この場合、移管部14は、第1の蓄電池6の充電電力が70%を超えるか否かを判定する。第1の蓄電池6の充電電力が所定の範囲を超える場合(ステップS52:YES)、処理はステップS53に進む。第1の蓄電池6の充電電力が所定の範囲を超えない場合(ステップS52:NO)、処理はステップS54に進む。
【0070】
ステップS53において、移管部14は、第1の蓄電池6の充電電力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第2の蓄電池7の充電電力が大きくなる第1の移管関数を選択する。
【0071】
ステップS54において、移管部14は、第1の蓄電池6の放電電力が所定の範囲を超えるか否かを判定する。一例では、所定の範囲は、例えば70%の放電電力である。この場合、移管部14は、第1の蓄電池6の放電電力が70%を超えるか否かを判定する。第1の蓄電池6の放電電力が所定の範囲を超える場合(ステップS54:YES)、処理はステップS54に進む。第1の蓄電池6の放電電力が所定の範囲を超えない場合(ステップS54:NO)、ステップS5の処理は終了する。
【0072】
ステップS55において、移管部14は、第1の蓄電池6の放電電力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第2の蓄電池7の放電電力が大きくなる第2の移管関数を選択する。
【0073】
ステップS56において、移管部14は、移管電力を算出する。例えば、移管部14は、第1の移管関数及び第2の移管関数の内、選択された移管関数を用いて移管電力を算出する。一例では、移管部14は、選択された第1の移管関数を用いて、第2の蓄電池7の充電電力を移管電力として算出する。別の例では、移管部14は、選択された第2の移管関数を用いて、第2の蓄電池7の放電電力を移管電力として算出する。
【0074】
図3に戻り、ステップS6において、決定部15は、差分電力、補正電力及び移管電力を加算する。補正電力は、ステップS4の蓄電池充電残量制御で算出されず、0の場合がある。この場合、決定部15は、補正電力を用いた加算を行わなくてもよい。移管電力は、ステップS5の自立側蓄電池過大防止制御で算出されず、0の場合がある。この場合、決定部15は、移管部14を用いた加算を行わなくてもよい。
【0075】
ステップS7において、決定部15は、充放電指令における第2の蓄電池7の充放電電力を制限する。例えば、決定部15は、蓄電池PCS71の容量に従って、指令上限を決定する。一例では、蓄電池PCS71の容量が500kWの充電電力及び500kWの放電電力を備えている場合、指令上限は、500kWの充電電力及び500kWの放電電力以下である。
【0076】
ステップS8において、決定部15は、差分電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定する。決定部15は、差分電力の正負に応じて充電電力と放電電力とを判定する。ここでは、差分電力が発電電力-消費電力により求められているとして説明する。決定部15は、差分電力が正の値である場合、差分電力に対応する充電電力を第2の蓄電池7の充放電電力として決定する。決定部15は、差分電力が負の値である場合、差分電力に対応する放電電力を第2の蓄電池7の放電電力として決定する。
【0077】
決定部15は、差分電力及び補正電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定してもよい。例えば、決定部15は、ステップS6において差分電力及び補正電力を加算した電力値を、第2の蓄電池7の充放電電力として決定してもよい。
【0078】
決定部15は、差分電力及び移管電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定してもよい。例えば、決定部15は、ステップS6において差分電力及び移管電力を加算した電力値を、第2の蓄電池7の充放電電力として決定してもよい。
【0079】
決定部15は、差分電力、補正電力及び移管電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定してもよい。例えば、決定部15は、ステップS6において差分電力、補正電力及び移管電力を加算した電力値を、第2の蓄電池7の充放電電力として決定してもよい。
【0080】
ステップS9において、制御部16は、決定された充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信する。例えば、制御部16は、充電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信してもよい。制御部16は、放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信してもよい。第2の蓄電池7が複数台により構成されている場合、制御部16は、複数の第2の蓄電池7のそれぞれに対する充放電電力の配分を決定してもよい。例えば、制御部16は、複数の第2の蓄電池7の内、充電レベルが低い第2の蓄電池7に対し、優先的に充電電力を配分してもよい。制御部16は、複数の第2の蓄電池7の内、充電レベルが高い第2の蓄電池7に対し、優先的に放電電力を配分してもよい。
【0081】
処理フローM1において、ステップS4及びステップS5の処理は、ステップS6より前の任意の順序で行われてもよい。ステップS4及びステップS5の少なくとも一方の処理は省略されてもよい。ステップS9の処理の後、取得部11は、複数の第2の蓄電池7の充電レベルを取得してもよい。制御部16は、複数の第2の蓄電池7の充電レベルを用いたフィードバックを行い、複数の第2の蓄電池7のそれぞれに対する充放電電力の配分を決定してもよい。ステップS9の処理の後、制御装置10は、ステップS4の蓄電池充電残量制御を行ってもよい。
【0082】
図6を参照して、太陽光発電出力抑制制御の一例を説明する。図6は、太陽光発電出力抑制制御の一例を処理フローM2として示すフローチャートである。処理フローM2は、処理フローM1に組み込まれてもよいし、組み込まれなくてもよい。処理フローM2は、処理フローM1とは独立して行われてもよい。例えば、太陽光発電出力抑制制御では、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを所定の値(例えば80%)以下に近付けるように発電設備5が制御される。
【0083】
ステップS21において、取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを取得する。例えば、取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベルを第1の蓄電池6から取得する。取得部11は、第2の蓄電池7の充電レベルを第2の蓄電池7から取得する。
【0084】
ステップS22において、制限部17は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルがそれぞれ所定の値以上であるか否かを判定する。所定の値は、例えば80%であるが、これに限られない。第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルがそれぞれ所定の値以上である場合(ステップS22:YES)、処理はステップS23に進む。第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルの少なくとも一方が所定の値未満である場合(ステップS22:NO)、処理フローM2は終了する。
【0085】
ステップS23において、取得部11は、スマートグリッド2内の消費電力を取得する。例えば、取得部11は、負荷8の消費電力を瞬時電力計9から取得する。取得部11は、複数の負荷8のそれぞれの消費電力を複数の瞬時電力計9のそれぞれから取得してもよい。
【0086】
ステップS24において、制限部17は、消費電力の合計値を算出する。制限部17は、消費電力の合計値の移動平均を算出してもよい。
【0087】
ステップS25において、制限部17は、PCS51が集中型であるか否かに応じて処理を振り分ける。PCS51が集中型である場合(ステップS25:YES)、処理はステップS26に進む。PCS51が分散型である場合(ステップS25:NO)、処理はステップS27に進む。
【0088】
ステップS26において、制限部17は、複数の太陽光パネル52による発電電力の上限値を制限する指令をPCS51に送信する。集中型のPCS51は、指令に従って発電電力の上限値を制限する。
【0089】
ステップS27において、制限部17は、発電能力を算出する。制限部17は、例えば照度、温度及び複数の太陽光パネル52の発電量等を用いて発電能力を算出する。
【0090】
ステップS28において、制限部17は、算出された発電能力が発電電力の上限値を超えないように、複数のPCS51の起動上限を算出する。制限部17は、現在時刻の複数のPCS51の起動台数を、起動上限の算出に用いてもよい。
【0091】
ステップS29において、制限部17は、複数のPCS51の起動又は停止の制御を示す指令を、複数のPCS51のそれぞれに送信する。分散型のPCS51は、指令に従って起動又は停止を行う。
【0092】
[ハードウェア構成]
図7は、制御システム1に関連するハードウェア構成の一例を示す図である。図7は、制御装置10として機能するコンピュータ100を示す。コンピュータ100は、少なくとも一つのプロセッサ101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、通信制御部104と、入力装置105と、出力装置106とを有する。制御装置10は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された一つ又は複数のコンピュータ100によって構成される。
【0093】
制御装置10が複数のコンピュータ100によって構成される場合には、これらのコンピュータ100はローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの制御装置10が構築される。
【0094】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行する。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。主記憶部102は、ROM(ReadOnly Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部103は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶部103は、一般的に主記憶部102よりも大量のデータを記憶する。通信制御部104は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。制御装置10における他の装置との通信機能の少なくとも一部は、通信制御部104によって実現されてもよい。入力装置105は、キーボード、マウス、タッチパネル、及び、音声入力用マイクなどにより構成される。出力装置106は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。
【0095】
補助記憶部103は、予め、プログラム110(制御プログラム)及び処理に必要なデータを格納している。プログラム110は、制御装置10の各機能要素をコンピュータ100に実行させる。プログラム110によって、例えば、上述した制御方法に係る処理がコンピュータ100において実行される。例えば、プログラム110は、プロセッサ101又は主記憶部102によって読み込まれ、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、通信制御部104、入力装置105、及び出力装置106の少なくとも1つを動作させる。例えば、プログラム110は、主記憶部102及び補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0096】
プログラム110は、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記憶媒体に記録された上で提供されてもよい。プログラム110は、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0097】
[作用効果]
本開示の一側面に係る制御装置10は、再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッド2の電圧を目標値に制御する第1の蓄電池6と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池7とを備えるスマートグリッド2の自立運転を支援する制御装置10である。制御装置10は、スマートグリッド2内の発電電力、及びスマートグリッド2内の消費電力を取得する取得部11と、発電電力と消費電力との差分である差分電力を算出する算出部12と、差分電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定する決定部15と、決定された第2の蓄電池7の充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信する制御部16と、を備える。
【0098】
本開示の一側面に係る制御方法は、再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッド2の電圧を目標値に制御する第1の蓄電池6と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池7とを備えるスマートグリッド2の自立運転を支援する制御装置10によって実行される制御方法である。制御方法は、スマートグリッド2内の発電電力、及びスマートグリッド2内の消費電力を取得することと、発電電力と消費電力との差分である差分電力を算出することと、差分電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定することと、決定された第2の蓄電池7の充放電電力を示す充放電指令を第2の蓄電池7に送信することと、を備える。
【0099】
制御装置10及び制御方法では、スマートグリッド2の自立運転において、発電電力と消費電力との差分である差分電力を用いて第2の蓄電池7の充放電電力が決定される。決定された第2の蓄電池7の充放電電力を示す充放電指令に従って、第2の蓄電池7による充放電が行われる。第2の蓄電池7の充放電によって、差分電力が先行的に解消される。差分電力に起因するスマートグリッド2の電圧の変動が抑制される。これにより、スマートグリッド2の電圧を目標値に制御する第1の蓄電池6の動作が安定する。その結果、スマートグリッド2の自立運転を安定的に運用することができる。
【0100】
取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを取得する。制御装置10は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルの優先順位に対応して、第2の蓄電池7を充放電する補正電力を算出する補正部をさらに備える。決定部15は、差分電力及び補正電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定する。このような構成によれば、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルに応じて算出された補正電力が第2の蓄電池7の充放電電力に反映される。これにより、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを第2の蓄電池7の充放電によって制御することが容易になる。その結果、スマートグリッド2の自立運転をより安定的に運用することができる。
【0101】
取得部11は、第1の蓄電池6の充放電電力を取得する。制御装置10は、第1の蓄電池6の充放電電力が所定の範囲を超える場合に、所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部に対応して、第2の蓄電池7を充放電する移管電力を算出する移管部をさらに備える。決定部15は、差分電力及び移管電力を用いて、第2の蓄電池7の充放電電力を決定する。このような構成によれば、所定の範囲を超える第1の蓄電池6の充放電電力に応じて算出された移管電力が第2の蓄電池7の充放電電力に反映される。すなわち、所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部が第2の蓄電池7の充放電電力に移管される。これにより、第1の蓄電池6の充放電電力が過大になることを防止できるため、第1の蓄電池6の動作が安定する。その結果、スマートグリッド2の自立運転をより安定的に運用することができる。
【0102】
取得部11は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルを取得する。制御装置10は、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルがそれぞれ所定の値以上である場合、消費電力を上限値として発電電力を制限する制限部17をさらに備える。このような構成によれば、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の充電レベルが所定の値以上である場合に、消費電力を上限値として発電電力が制限される。例えば、第1の蓄電池6及び第2の蓄電池7の両方が満充電状態になると、自立運転の継続が困難になる。発電電力が制限されることにより、第1の蓄電池6の充電レベル及び第2の蓄電池7の充電レベルがそれぞれ所定の値以上に充電されることを抑制できる。その結果、スマートグリッド2の自立運転をより安定的に運用することができる。
【0103】
[変形例]
本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、発電設備5は、スマートグリッド2内の設備でなくてもよい。
【0104】
二つの数値の大小関係の比較では、「以上」及び「超える(よりも大きい)」という二つの基準のどちらが用いられてもよく、「以下」及び「未満」という二つの基準のうちのどちらが用いられてもよい。
【0105】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念である。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念である。
【0106】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0107】
以下、本開示の要旨を示す。
[1]
再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池とを備えるスマートグリッドの自立運転を支援する制御装置であって、
前記スマートグリッド内の発電電力、及び前記スマートグリッド内の消費電力を取得する取得部と、
前記発電電力と前記消費電力との差分である差分電力を算出する算出部と、
前記差分電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定する決定部と、
決定された前記第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令を前記第2の蓄電池に送信する制御部と、
を備える、制御装置。
[2]
前記取得部は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルを取得し、
前記制御装置は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルの優先順位に対応して、前記第2の蓄電池を充放電する補正電力を算出する補正部をさらに備え、
前記決定部は、前記差分電力及び前記補正電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定する、
[1]の制御装置。
[3]
前記取得部は、前記第1の蓄電池の充放電電力を取得し、
前記制御装置は、前記第1の蓄電池の充放電電力が所定の範囲を超える場合に、前記所定の範囲を超えた電力値の一部又は全部に対応して、前記第2の蓄電池を充放電する移管電力を算出する移管部をさらに備え、
前記決定部は、前記差分電力及び前記移管電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定する、
[1]又は[2]の制御装置。
[4]
前記取得部は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルを取得し、
前記制御装置は、前記第1の蓄電池の充電レベル及び前記第2の蓄電池の充電レベルがそれぞれ所定の値以上である場合、前記消費電力を上限値として前記発電電力を制限する制限部をさらに備える、
[1]~[3]のいずれかの制御装置。
[5]
再生可能エネルギーによって発電を行う発電設備と、スマートグリッドの電圧を目標値に制御する第1の蓄電池と、充放電指令に従って充放電を行う第2の蓄電池とを備えるスマートグリッドの自立運転を支援する制御装置によって実行される制御方法であって、
前記スマートグリッド内の発電電力、及び前記スマートグリッド内の消費電力を取得することと、
前記発電電力と前記消費電力との差分である差分電力を算出することと、
前記差分電力を用いて、前記第2の蓄電池の充放電電力を決定することと、
決定された前記第2の蓄電池の充放電電力を示す充放電指令を前記第2の蓄電池に送信することと、
を備える、制御方法。
【符号の説明】
【0108】
1 制御システム
2 スマートグリッド
3 電力系統
4 高圧連系盤
5 発電設備
6 第1の蓄電池
7 第2の蓄電池
8 負荷
9 瞬時電力計
10 制御装置
11 取得部
12 算出部
13 補正部
14 移管部
15 決定部
16 制御部
17 制限部
51 PCS
52 太陽光パネル
61 蓄電池PCS
62 蓄電池
71 蓄電池PCS
72 蓄電池

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7