IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社河合楽器製作所の特許一覧

特開2024-132074グランドピアノの譜面台ユニット取付構造
<>
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図1
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図2
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図3
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図4
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図5
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図6
  • 特開-グランドピアノの譜面台ユニット取付構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132074
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】グランドピアノの譜面台ユニット取付構造
(51)【国際特許分類】
   G10C 3/00 20190101AFI20240920BHJP
   G10C 1/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G10C3/00 200
G10C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042725
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179453
【弁理士】
【氏名又は名称】會田 悠介
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】寺井 康志
(57)【要約】
【課題】ピアノ本体への譜面台ユニットの取付けを容易に行うことができるグランドピアノの譜面台支持構造を提供する。
【解決手段】譜譜面台ユニット1を、グランドピアノのピアノ本体に着脱自在に取り付けるためのグランドピアノの譜面台ユニット取付構造であって、譜面台ユニット1がピアノ本体に前方から取り付けられる際に、左側係合部11及び右側係合部12の後端部がそれぞれ、左側ガイド部21及び右側ガイド部22の前端部に、上方から載置可能に構成されており、その載置された状態から、譜面台ユニット1が後方へスライドさせられることにより、左側係合部11及び右側係合部12がそれぞれ、左側ガイド部21及び右側ガイド部22に嵌合しながら、譜面台ユニット1がピアノ本体に取り付けられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
譜面台と、この譜面台の左右両側に配置された左右2つの本持左右板と、を有する譜面台ユニットを、グランドピアノのピアノ本体に着脱自在に取り付けるためのグランドピアノの譜面台ユニット取付構造であって、
前記譜面台ユニットの前記左右2つの本持左右板は、左右方向の外側に設けられ、前後方向に延びる左側係合部及び右側係合部をそれぞれ有し、
前記ピアノ本体は、互いに左右方向に所定距離を隔てて設けられ、各々が前後方向に延び、前記左側係合部及び前記右側係合部にそれぞれ係合可能に構成されるとともに、前記譜面台ユニットの着脱の際に、前記左側係合部及び前記右側係合部を前後方向に案内する左側ガイド部及び右側ガイド部を有しており、
前記左側係合部及び前記右側係合部は、左右方向の外側に突出する凸状、又は左右方向の外側に開放する凹状に形成され、
前記左側ガイド部及び前記右側ガイド部は、対応する前記左側係合部又は前記右側係合部に嵌合する凹状又は凸状に形成されており、
前記譜面台ユニットが前記ピアノ本体に前方から取り付けられる際に、前記左側係合部及び前記右側係合部の後端部がそれぞれ、前記左側ガイド部及び前記右側ガイド部の前端部に、上方から載置可能に構成されており、その載置された状態から、前記譜面台ユニットが後方へスライドさせられることにより、前記左側係合部及び前記右側係合部がそれぞれ、前記左側ガイド部及び前記右側ガイド部に嵌合しながら、前記譜面台ユニットが前記ピアノ本体に取り付けられることを特徴とするグランドピアノの譜面台ユニット取付構造。
【請求項2】
前記左側係合部及び前記右側係合部は、左右方向の外側に突出する凸状に形成され、
前記左側ガイド部及び前記右側ガイド部は、対応する前記左側係合部又は前記右側係合部に嵌合する凹状に形成されており、
前記左側ガイド部及び前記右側ガイド部の前端部はいずれも、
上方に開放し、前記譜面台ユニットが前記ピアノ本体に取り付けられる際に、対応する前記左側係合部又は前記右側係合部の後端部の上方からの通過を許容する第1通過許容部と、
前記第1通過許容部の下側に設けられ、前記譜面台ユニットが前記ピアノ本体に取り付けられる際に、対応する前記左側係合部又は前記右側係合部の後端部を下方から支持した状態で載置する第1載置部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造。
【請求項3】
前記左側係合部及び前記右側係合部の後端部は、上下方向の厚さが後方に向かって次第に薄くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造。
【請求項4】
前記左側係合部及び前記右側係合部の後端部は、その後端面と底面との角部がR面取りされていることを特徴とする請求項2に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造。
【請求項5】
前記左側係合部及び前記右側係合部は、左右方向の外側に開放する凹状に形成され、
前記左側ガイド部及び前記右側ガイド部は、対応する前記左側係合部又は前記右側係合部に嵌合する凸状に形成されており、
前記左側係合部及び前記右側係合部の後端部はいずれも、
下方に開放し、前記譜面台ユニットが前記ピアノ本体に取り付けられる際に、対応する前記左側ガイド部又は前記右側ガイド部の前端部の下方からの通過を許容する第2通過許容部と、
前記第2通過許容部の上側に設けられ、前記譜面台ユニットが前記ピアノ本体に取り付けられる際に、対応する前記左側ガイド部又は前記右側ガイド部の前端部に下方から支持した状態で載置される第2載置部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、譜面台ユニットをグランドピアノのピアノ本体に着脱自在に取り付けるためのグランドピアノの譜面台ユニット取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造として、例えば出願人が既に出願した特許文献1に記載されたものが知られている。この譜面台ユニットは、横長の譜面台と、譜面台の側方に配置された左右2つの本持左右板と、両本持左右板の間に固定された前後2つの本持桿と、譜面台の背面に回動自在に取り付けられた鳥居などを備えている。
【0003】
また、左右の本持左右板は、所定の厚さを有するとともに左右対称に形成されており、左右方向の外側縁部に、前後方向に延びかつ外方に凸状に形成された外縁凸部が設けられている。一方、グランドピアノのピアノ本体には、側板の内面の前端部に、左右一対のガイド部材が設けられている。各ガイド部材は、前後方向に延びるブロック状に形成されており、ピアノ本体の内方及び前方に開放し、前後方向に延びるガイド溝が形成されている。
【0004】
上記のように構成された譜面台ユニットを、ピアノ本体に取り付ける際には、左右の本持左右板をほぼ水平に保持しながら、ピアノ本体の前方から左右のガイド部材に接近させる。次いで、各本持左右板の外縁凸部を、対応するガイド部材のガイド溝に前方から挿入する。そして、譜面台ユニットを奥側(後側)にスライドさせる。これにより、譜面台ユニットは、左右の本持左右板を介して、ピアノ本体の左右一対のガイド部材に係合しかつ支持された状態で、ピアノ本体に取り付けられる。なお、譜面台ユニットは、必要に応じてピアノ本体に着脱され、不要な場合には、譜面台ユニットを前方へ引き出すことにより、ピアノ本体から容易に取り外すことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-181442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した譜面台ユニット取付構造では、以下のような問題がある。すなわち、譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際には、譜面台ユニットをほぼ水平な姿勢に保持しながら、左右の本持左右板を、対応するピアノ本体側の左右のガイド部材の高さに合わせる必要がある。しかも、各本持左右板の外縁凸部の後端部を、対応するガイド部材のガイド溝に前方から挿入させなければならない。
【0007】
一般に、グランドピアノの譜面台ユニットは、重量が比較的重く、左右の本持左右板の両外縁凸部間の距離が長い。そのため、譜面台ユニットの取付作業を一人で行う際には、その作業者が譜面台ユニットを両手で支えた状態で、左右の外縁凸部と、両ガイド部材のガイド溝の位置を目視で繰り返し確認しながら、各本持左右板の外縁凸部の後端部を、対応するガイド部材のガイド溝に前方から挿入しなければならず、その作業が非常に煩雑である。また、ガイド部材のガイド溝における上下方向の幅は、対応する本持左右板の外縁凸部の高さ寸法よりも大きいものの、寸法上の余裕があまりないため、譜面台ユニットの取り付けの際に、本持左右板の外縁凸部がガイド部材のガイド溝の周囲に当たることなどにより、ガイド部材に傷が付いてしまうおそれもある。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ピアノ本体への譜面台ユニットの取付けを容易に行うことができるグランドピアノの譜面台ユニット取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、譜面台と、この譜面台の左右両側に配置された左右2つの本持左右板と、を有する譜面台ユニットを、グランドピアノのピアノ本体に着脱自在に取り付けるためのグランドピアノの譜面台ユニット取付構造であって、譜面台ユニットの左右2つの本持左右板は、左右方向の外側に設けられ、前後方向に延びる左側係合部及び右側係合部をそれぞれ有し、ピアノ本体は、互いに左右方向に所定距離を隔てて設けられ、各々が前後方向に延び、左側係合部及び右側係合部にそれぞれ係合可能に構成されるとともに、譜面台ユニットの着脱の際に、左側係合部及び右側係合部を前後方向に案内する左側ガイド部及び右側ガイド部を有しており、左側係合部及び右側係合部は、左右方向の外側に突出する凸状、又は左右方向の外側に開放する凹状に形成され、左側ガイド部及び右側ガイド部は、対応する左側係合部又は右側係合部に嵌合する凹状又は凸状に形成されており、譜面台ユニットがピアノ本体に前方から取り付けられる際に、左側係合部及び右側係合部の後端部がそれぞれ、左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部に、上方から載置可能に構成されており、その載置された状態から、譜面台ユニットが後方へスライドさせられることにより、左側係合部及び右側係合部がそれぞれ、左側ガイド部及び右側ガイド部に嵌合しながら、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、譜面台ユニットが、譜面台及び左右2つの本持左右板を有しており、両本持左右板には、左右方向の外側に、左側係合部及び右側係合部がそれぞれ設けられている。これらの左側係合部及び右側係合部は、左右方向の外側に突出する凸状、又は左右方向の外側に開放する凹状に形成されている。一方、ピアノ本体には、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部にそれぞれ係合可能な左側ガイド部及び右側ガイド部が設けられている。これらの左側ガイド部及び右側ガイド部は、対応する左側係合部又は右側係合部に嵌合する凹状又は凸状に形成されている。
【0011】
また、譜面台ユニットがピアノ本体に前方から取り付けられる際に、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部がそれぞれ、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部に、上方から載置可能に構成されている。そして、その載置された状態から、譜面台ユニットが後方へスライドさせられることにより、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部がそれぞれ、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部に嵌合しながら、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられる。
【0012】
上記のように、譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際に、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部がそれぞれ、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部に上方から一旦、載置され、譜面台ユニットの左右両側の後端部が支えられるので、従来と異なり、各本持左右板の外縁凸部をガイド溝に前方から挿入する必要がなく、したがって、譜面台ユニットの取付けを容易に行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造において、左側係合部及び右側係合部は、左右方向の外側に突出する凸状に形成され、左側ガイド部及び右側ガイド部は、対応する左側係合部又は右側係合部に嵌合する凹状に形成されており、左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部はいずれも、上方に開放し、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられる際に、対応する左側係合部又は右側係合部の後端部の上方からの通過を許容する第1通過許容部と、第1通過許容部の下側に設けられ、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられる際に、対応する左側係合部又は右側係合部の後端部を下方から支持した状態で載置する第1載置部と、を有していることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部が、左右方向の外側に突出する凸状に形成される一方、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部が、上記の左側係合部及び右側係合部に嵌合する凹状に形成されている。また、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部には、上方に開放する第1通過許容部が設けられるとともに、その下側に第1載置部が設けられている。
【0015】
譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際には、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部を、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部に対し、上方から接近させる。これにより、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部が、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部の第1通過許容部を通過し、第1載置部に上方から載置される。このように、譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際に、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部を、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部の第1載置部に、容易に載置させることができ、その載置された状態から、譜面台ユニットを後方へスライドさせることにより、ピアノ本体に容易に取り付けることができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造において、左側係合部及び右側係合部の後端部は、上下方向の厚さが後方に向かって次第に薄くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部は、上下方向の厚さが後方に向かって次第に薄くなるテーパ状に形成されているので、譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際に、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部を、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の第1載置部に載置させた状態から、譜面台ユニットを後方へ円滑にスライドさせることができ、その結果、損傷の発生を抑制することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造であって、左側係合部及び右側係合部の後端部は、その後端面と底面との角部がR面取りされていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、左側係合部及び右側係合部の後端部は、その後端面と底面との角部がR面取りされているので、上述した請求項3と同様の作用効果、すなわち、譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際に、譜面台ユニットを後方へ円滑にスライドさせることができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載のグランドピアノの譜面台ユニット取付構造において、左側係合部及び右側係合部は、左右方向の外側に開放する凹状に形成され、左側ガイド部及び右側ガイド部は、対応する左側係合部又は右側係合部に嵌合する凸状に形成されており、左側係合部及び右側係合部の後端部はいずれも、下方に開放し、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられる際に、対応する左側ガイド部又は右側ガイド部の前端部の下方からの通過を許容する第2通過許容部と、第2通過許容部の上側に設けられ、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられる際に、対応する左側ガイド部又は右側ガイド部の前端部に下方から支持した状態で載置される第2載置部と、を有していることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部が、左右方向の外側に開放する凹状に形成される一方、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部が、上記の左側係合部及び右側係合部に嵌合する凸状に形成されている。また、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部には、下方に開放する第2通過許容部が設けられるとともに、その上側に第2載置部が設けられている。
【0022】
譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際には、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部を、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部に対し、上方から接近させる。これにより、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部が、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の後端部の第2通過許容部を通過し、第2載置部を下方から支持した状態で載置する。このように、譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際に、譜面台ユニットの左側係合部及び右側係合部の第2載置部を、ピアノ本体の左側ガイド部及び右側ガイド部の前端部に、容易に載置させることができ、その載置された状態から、譜面台ユニットを後方へスライドさせることにより、ピアノ本体に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による譜面台ユニット取付構造を適用した譜面台ユニット、及びピアノ本体に取り付けられた左右の譜面台ガイド部材を示しており、(a)は前方斜め上から見たときの状態、(b)は後方斜め上から見たときの状態である。
図2】(a)は図1の譜面台ユニット及び左右の譜面台ガイド部材の平面図、(b)及び(c)はそれぞれ(a)のb-b線及びc-c線に沿う部分斜視図、(d)は本持左右板の外側端部を説明するための図である。
図3】譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際の動作を順に説明するための説明図であり、(a)は譜面台ユニットを譜面台ガイド部材に前方から接近させた状態、(b)は譜面台ユニットの後端部を左右の譜面台ガイド部材の前端部に載置した状態、(c)は譜面台ユニットを後方へスライドさせ、譜面台ユニットがピアノ本体に取り付けられた状態を示す。
図4】譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際の動作について、本持左右板と譜面台ガイド部材との係合状態を説明するための図であり、(a)~(c)はそれぞれ、図3(a)~(c)に対応する係合状態を示す。
図5】本持左右板の後端部の変形例を説明するための図である。
図6】本発明の他の譜面台ユニット取付構造を説明するための図である。
図7図6の譜面台ユニットをピアノ本体に取り付ける際の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるグランドピアノの譜面台ユニット取付構造を適用した譜面台ユニット1、及びピアノ本体(図示せず)に取り付けられた左右2つの譜面台ガイド部材20、20を示しており、(a)は前方斜め上から見たときの状態、(b)は後方斜め上から見たときの状態を示している。また、図2(a)は譜面台ユニット1の平面図、(b)及び(c)は(a)のb-b線及びc-c線に沿う部分斜視図である。
【0025】
図1に示すように、譜面台ユニット1は、横長板状の譜面台2と、この譜面台2の左右両側に配置された左右2つの本持左右板3、4と、両本持左右板3、4の間に固定され、左右方向に延びかつ前後方向に所定距離を隔てて配置された前後2つの本持桿5、6と、譜面台2の背面に回動自在に取り付けられた鳥居7と、前後の本持桿5、6の間に、前後方向に延びるように固定され、鳥居7を係止するための左右2つの本持元木8、8とを備えている。なお、これらの各部品は、基本的に木材で構成されており、また、木材と合成樹脂による複合材を採用することも可能である。
【0026】
譜面台2は、その下端部が複数の蝶番9を介して、前側の本持桿5の後端部に回動自在に取り付けられている。また、各本持元木8は、その長さ方向に、鳥居7を係止するための複数の係止部が設けられている。鳥居7が各本持元木8のいずれかの係止部で係止されることにより、譜面台2の起立角度が調整可能になっている。なお、譜面台2は、鳥居7が水平に倒されることにより、左右の本持左右板3、4とほぼ面一で、水平な姿勢になる。
【0027】
左右の本持左右板3、4は、左右対称に形成されており、平面形状がほぼ矩形状で所定の厚さを有している。左側の本持左右板3には、左側縁部において左方に所定長さ突出する凸状に形成されかつ前後方向に延びる左凸状係合部11(左側係合部)が設けられている。なお、この左凸状係合部11は、本持左右板3の左側端部の下半部が切り欠かれることにより、左側端部の上半部が突出するように形成される。
【0028】
また、図2(b)及び(d)に示すように、左凸状係合部11の後端部は、上下方向の厚さが後方に向かって次第に薄くなっており、その底部に、後ろ上がりに傾斜するテーパ面11aが設けられている。なお、図示は省略するが、上記本持左右板3の凸状係合部11には、その下面及び左側面全体に、フェルトが取り付けられている。これにより、譜面台ユニット1の取付け及び取外しを行う際、騒音の発生を防止することができ、また、演奏時におけるピアノ本体からの振動によるノイズの発生も防止することができる。
【0029】
一方、右側の本持左右板4には、右側縁部において右方に所定長さ突出する凸状に形成されかつ前後方向に延びる右凸状係合部12(右側係合部)が設けられている。この右凸状係合部12は、上述した左凸状係合部11と同様、右側の本持左右板4における右側端部の下半部が切り欠かれることにより、右側端部の上半部が突出するように形成されており、加えて、本持左右板4の後端部は、後方に向かって厚さが次第に薄くなりかつ底部に後ろ上がりに傾斜するテーパ面12aが設けられている。
【0030】
図1及び図2に示すように、左右2つの譜面台ガイド部材20、20は、譜面台ユニット1がピアノ本体に着脱される際に、その譜面台ユニット1を左右両側から支持しながら前後方向に案内するとともに、譜面台ユニット1をピアノ本体に取り付けられた状態に保持するものである。これらの譜面台ガイド部材20、20は、ピアノ本体の側板(図示せず)の内面前端部に、互い左右方向に所定距離を隔てて対向するように取り付けられている。なお、以下の説明では、左右2つの譜面台ガイド部材20、20をそれぞれ適宜、「左ガイド部材21」及び「右ガイド部材22」というものとする。
【0031】
図2に示すように、左ガイド部材21及び右ガイド部材22は、ほぼ左右対称に形成されている。具体的には、これらのガイド部材21、22は、前後方向に所定長さ延びるブロック状に形成されており、ピアノ本体の内方及び前方に開放し、前後方向に所定長さ延びる凹状のガイド溝23、24を有している。
【0032】
また、左ガイド部材21及び右ガイド部材22の前端部には、譜面台ユニット1をピアノ本体に取り付ける際に、対応する左凸状係合部11又は右凸状係合部12の後端部の上方からの通過を許容する上側通過許容部21a及び22a(第1通過許容部)がそれぞれ設けられるとともに、対応する左凸状係合部11又は右凸状係合部12の後端部を下方から支持した状態で載置する下側載置部21b及び22b(第1載置部)がそれぞれ設けられている。
【0033】
なお、図2(b)に示すように、左ガイド部材21には、下側載置部21bの後方に、凹部21cが形成されているが、この凹部21cは、ピアノの低音側の弦をチューニングする際に、そのチューニング用の工具が干渉するのを防止するためのものである。また、上記のような凹部は、右ガイド部材22には設けられていない。
【0034】
次に、図3及び図4を参照して、譜面台ユニット1をピアノ本体に取り付ける際の動作について説明する。なお、図4は、左右の本持左右板3、4及びガイド部材21、22を合わせて示している。
【0035】
譜面台ユニット1をピアノ本体に取り付ける場合にはまず、図3(a)及び図4(a)に示すように、譜面台ユニット1をほぼ水平に維持しながら、左右のガイド部材21、22に前方から接近させる。次いで、図3(b)及び図4(b)に示すように、譜面台ユニット1の左凸状係合部11及び右凸状係合部12の後端部をそれぞれ、左ガイド部材21及び右ガイド部材22の前端部に上方から載置する。
【0036】
より具体的には、左凸状係合部11及び右凸状係合部12の後端部をそれぞれ、左ガイド部材21及び右ガイド部材22の前端部に対し、上方から接近させる。これにより、左凸状係合部11及び右凸状係合部12の後端部が、左ガイド部材21及び右ガイド部材22の前端部の上側通過許容部21a、22aを通過し、左凸状係合部11及び右凸状係合部12のテーパ面11a、12aがそれぞれ、下側載置部21b、22bに載置される。
【0037】
その後、譜面台ユニット1を後方へスライドさせ、それにより、図3(c)及び図4(c)に示すように、譜面台ユニット1の左凸状係合部11及び右凸状係合部12がそれぞれ、左ガイド部材21及び右ガイド部材22のガイド溝23、24に嵌合した状態で係合する。これにより、譜面台ユニット1は、左ガイド部材21及び右ガイド部材22によって左右両側から支持された状態で、ピアノ本体に取り付けられる。なお、譜面台ユニット1をピアノ本体から取り外す場合には、譜面台ユニット1を前方へ引き出すことにより、譜面台ユニット1を容易に取り外すことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、譜面台ユニット1をピアノ本体に取り付ける際に、譜面台ユニット1の左凸状係合部11及び右凸状係合部12の後端部を、ピアノ本体の左ガイド部材21及び右ガイド部材22の前端部の下側載置部21b、22bに一旦、載置させることができ、その載置された状態から、譜面台ユニット1を後方へスライドさせることにより、ピアノ本体に容易に取り付けることができる。
【0039】
また、左凸状係合部11及び右凸状係合部12の後端部が、後方に向かって厚さが薄くなるように形成され、後ろ上がりに傾斜するテーパ面11a、12aが設けられているので、譜面台ユニット1を後方へ円滑にスライドさせることができ、その結果、損傷の発生を抑制することができる。なお、左凸状係合部11及び右凸状係合部12の後端部のテーパ面11a、12aに代えて、左凸状係合部11及び右凸状係合部12の鉛直な後端面と水平な底面との角部において、例えば図5に示すように、R面取りした面取り部11b、12bを設けるようにしてもよい。この場合も、テーパ面11a、12aが設けられる場合と同様の効果を得ることができる。
【0040】
なお、上述した譜面台ユニット1及び両譜面台ガイド部材20、20では、譜面台ユニット1の左右両端部を凸状に、両譜面台ガイド部材20、20に凹状のガイド溝23、24を形成したが、これらの凹凸関係を逆にすることも可能である。
【0041】
図6は、前述した図2(c)に対応し、譜面台ユニット1における右側の本持左右板4Aの右端部及び右ガイド部材22Aを示している。図6に示すように、この本持左右板4Aの右側縁部には、右方及び後方に開放しかつ前後方向に延びる凹状の係合溝13(右側係合部)が形成されている。また、本持左右板4Aの右側縁部の後端部には、下方に開放する下側通過許容部14a(第2通過許容部)、及びその上側に上側載置部14b(第2載置部)が設けられている。一方、右ガイド部材22Aは、前後方向に延びかつ左方に突出する凸状ガイド25を有している。なお、図示は省略するが、上記の右側の本持左右板4Aを有する譜面台ユニット1の左側の本持左右板は、右側の本持左右板4Aと左右対称に形成され、また、左ガイド部材は、右ガイド部材22Aと左右対称に形成されている。
【0042】
上記の譜面台ユニット1をピアノ本体に取り付ける際には、本持左右板4Aの右側後端部を、右ガイド部材22Aの前端部に対し、上方から接近させる。これにより、図7(a)に示すように、右ガイド部材22Aの凸状ガイド25の前端部が、本持左右板4Aの下側通過許容部14aを通過し、上側載置部14bを下方から支持した状態で載置する。そして、その載置された状態から、譜面台ユニット1を後方へスライドさせることにより、図7(b)に示すように、本持左右板4Aの係合溝13が右ガイド部材22Aの凸状ガイド25に嵌合し、譜面台ユニット1が、ピアノ本体に取り付けられる。
【0043】
なお、実施形態で示した譜面台ユニット1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 譜面台ユニット
2 譜面台
3 左側の本持左右板
4 右側の本持左右板
4A 右側の本持左右板の変形例
11 左凸状係合部(左側係合部)
11a 左凸状係合部の後端部のテーパ面
11b 左凸状係合部の後端部の面取り部
12 右凸状係合部(右側係合部)
12a 右凸状係合部の後端部のテーパ面
12b 右凸状係合部の後端部の面取り部
13 係合溝(右側係合部)
14a 下側通過許容部(第2通過許容部)
14b 上側載置部(第2載置部)
20 譜面台ガイド部材
21 左ガイド部材(左側ガイド部)
21a 左ガイド部材の上側通過許容部(第1通過許容部)
21b 左ガイド部材の下側載置部(第1載置部)
22 右ガイド部材(右側ガイド部)
22A 右ガイド部材の変形例(右側ガイド部)
22a 右ガイド部材の上側通過許容部(第1通過許容部)
22b 右ガイド部材の下側載置部(第1載置部)
23 左ガイド部材のガイド溝
24 右ガイド部材のガイド溝
25 凸状ガイド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7