(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132079
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】液体除去装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/28 20060101AFI20240920BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20240920BHJP
F26B 5/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F26B13/28
B62B5/04 C
F26B5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042734
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000238049
【氏名又は名称】冨士電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 有貴
(72)【発明者】
【氏名】永山 達也
(72)【発明者】
【氏名】志賀 正樹
(72)【発明者】
【氏名】三関 大夢
【テーマコード(参考)】
3D050
3L113
【Fターム(参考)】
3D050AA11
3D050BB01
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050JJ05
3L113AA02
3L113AA03
3L113AB10
3L113AC35
3L113AC44
3L113AC48
3L113AC52
3L113AC69
3L113AC76
3L113BA04
3L113CB22
3L113CB24
3L113DA01
(57)【要約】
【課題】移動可能であり、かつ径の異なる長尺部材の表面の液体を適切に除去できる液体除去装置を提供すること。
【解決手段】液体除去装置は、長尺部材の表面に付着した液体に空気を吹き付けて除去するための複数の空気吹付装置を支持するための支持部を含み、支持部は長尺部材に対する複数の空気吹付装置の位置を移動可能に構成されている空気吹付部と、空気吹付部を通過した長尺部材の表面に付着している液体を払拭するための払拭部材を着脱可能に構成された払拭部と、空気吹付部および払拭部を支持する台と、台に固定された、複数のキャスターと、を有する。払拭部は、凹部を含む第1部材と、凹部に嵌合可能な凸部を含む第2部材とを有し、第1部材の凹部およびその周囲の面と、第2部材の凸部およびその周囲の面とで払拭部材を挟持可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に送られている長尺部材の表面に付着した液体を除去するための液体除去装置であって、
前記長尺部材の表面に付着した液体に空気を吹き付けて除去するための複数の空気吹付装置を支持するための支持部を含み、前記支持部は前記複数の空気吹付装置のうち前記長尺部材の太さに応じた空気吹付装置を使用できるように前記長尺部材に対する前記複数の空気吹付装置の位置を移動可能に構成されている、空気吹付部と、
前記長尺部材の送り方向の前記空気吹付部よりも下流側に配置され、前記空気吹付部を通過した前記長尺部材の表面に付着している液体を払拭するための払拭部材を着脱可能に構成された少なくとも1つの払拭部と、
前記空気吹付部および前記払拭部を支持する台と、
前記台に固定された、複数のキャスターと、
を有し、
前記払拭部は、凹部を含む第1部材と、前記凹部に嵌合可能な凸部を含む第2部材とを有し、前記第1部材の前記凹部およびその周囲の面と、前記第2部材の前記凸部およびその周囲の面とで前記払拭部材を挟持可能に構成されている、
液体除去装置。
【請求項2】
請求項1の液体除去装置において、
前記空気吹付部は、前記複数の空気吹付装置をさらに有する、
ことを特徴とする、液体除去装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の液体除去装置において、
前記空気吹付部は、前記空気吹付装置の少なくとも一部を覆うためのハウジングをさらに有する、
ことを特徴とする、液体除去装置。
【請求項4】
請求項1の液体除去装置において、
前記払拭部は、第1払拭部および第2払拭部を含み、
前記第1払拭部および前記第2払拭部は、前記第1部材および前記第2部材をそれぞれ含み、かつ前記長尺部材の送り方向に沿って見たときに前記長尺部材を挟むように対向して配置されている、
ことを特徴とする、液体除去装置。
【請求項5】
請求項1の液体除去装置において、
前記台に固定された、強磁性体を含む床に対して前記台を固定するための固定部をさらに有し、
前記固定部は、
前記台に固定された円筒部と、前記円筒部に斜めに形成されたスリットとを含むガイド部と、
前記円筒部内に回転可能に配置された軸体と、前記円筒部外に配置されたマグネットを保持するマグネット保持部と、前記軸体および前記マグネット保持部を接続し、かつ前記スリット内を移動可能な接続部と、を含む可動マグネット部と、
前記可動マグネット部の移動を制限するためのロック機構と、
を有し、
前記ロック機構が前記可動マグネット部の移動を制限していないとき、前記マグネット保持部は、前記床に対して前記台を固定するための近接位置と、前記近接位置よりも前記床から離れた、前記床に対して前記台を移動可能にするための非近接位置とに、前記スリットに沿って移動可能である、
ことを特徴とする、液体除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルやチューブなどの長尺部材は、ロール状に巻回されて、屋外に保管されることがある。このような、屋外に保管された長尺部材の表面には、雨天などの天候により水滴などの液体が付着することがある。長尺部材の表面に付着した液体を除去する方法として、マイクロクロスファイバなどの払拭部材や水滴除去装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、線状物(長尺部材)の表面に付着した水滴を除去するための水滴除去装置(液体除去装置)が記載されている。水滴除去装置は、洗浄物に付着した水滴を吸い取る吸水部と、吸水部によって吸水された水分を吸引する負圧発生部と、負圧発生部により生成されたエアーを吸水部よりも上流において線状物の表面に吹き付けるエアー吹付管と、吸水部および負圧発生部の間に配置され、吸水部からの水分を除去する水分除去部とを有する。吸水部は、対向する位置から線状物に当接する2個の当接部材と、2個の当接部材をそれぞれ支持する2個の支持部材と、当接部材を線状物にそれぞれ付勢する2個の付勢部材とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、表面に液体が付着した長尺部材を切断する場合、払拭部材で液体を拭き取りつつ、切断装置などで長尺部材を切断し、巻き取るため、水滴を拭き取る作業員と、切断装置を操作する作業員とが必要となり、作業効率が低下してしまう。
また、長尺部材には様々な径のものがあるため、特許文献1に記載されているような水滴除去装置を用いる場合には、長尺部材の径に対応して装置の構成を変更することが必要となる。さらに、特許文献1に記載の水滴除去装置は、大型の装置であるため、長尺部材の保管場所に応じて移動させることができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、移動可能であり、かつ径の異なる長尺部材の表面の液体を適切に除去できる液体除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
一方向に送られている長尺部材の表面に付着した液体を除去するための液体除去装置であって、
前記長尺部材の表面に付着した液体に空気を吹き付けて除去するための複数の空気吹付装置を支持するための支持部を含み、前記支持部は前記複数の空気吹付装置のうち前記長尺部材の太さに応じた空気吹付装置を使用できるように前記長尺部材に対する前記複数の空気吹付装置の位置を移動可能に構成されている、空気吹付部と、
前記長尺部材の送り方向の前記空気吹付部よりも下流側に配置され、前記空気吹付部を通過した前記長尺部材の表面に付着している液体を払拭するための払拭部材を着脱可能に構成された少なくとも1つの払拭部と、
前記空気吹付部および前記払拭部を支持する台と、
前記台に固定された、複数のキャスターと、
を有し、
前記払拭部は、凹部を含む第1部材と、前記凹部に嵌合可能な凸部を含む第2部材とを有し、前記第1部材の前記凹部およびその周囲の面と、前記第2部材の前記凸部およびその周囲の面とで前記払拭部材を挟持可能に構成されている、
液体除去装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体除去装置によれば、径の異なる複数の長尺部材の表面の液体を適切に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、液体除去装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2A~Cは、空気吹付部の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4A、Bは、長尺部材に対する空気吹付装置の切り替え方法を示す模式図である。
【
図5】
図5A、Bは、払拭部の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6A、Bは、払拭部の使用方法を示す模式図である。
【
図7】
図7A~Cは、ガイド部の構成を示す模式図である。
【
図8】
図8A~Cは、可動マグネット部の構成を示す模式図である。
【
図9】
図9A~Cは、液体除去装置のロック機構を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態の液体除去装置について、添付した図面を参照して、詳細に説明する。本発明の液体除去装置は、以下に示す実施の形態に限定されない。本実施の形態の液体除去装置は、一方向に送られているケーブルやチューブなどの長尺部材の表面に付着した液体を除去するための装置である。
【0011】
図1は、液体除去装置10の構成を示す模式図である。なお、添付した各図面は、いずれも模式図であり、各構成部材を接続しているネジなどは図示していない。また、添付した各図面は、実際の寸法を示すものではない。さらに、添付した各図面において、長尺部材の送り方向を第1の方向D1とし、液体除去装置10を平面視したときに、第1の方向D1に直交する2方向を第2の方向D2とし、第1の方向D1および第2の方向D2に直交する2方向を第3の方向D3とする。
【0012】
図1に示されるように、液体除去装置10は、空気吹付部11と、払拭部12と、台13と、キャスター14とを有する。なお、本実施の形態の液体除去装置10は、空気吹付部11に対する長尺部材17の位置決めを行う第1位置決め部15と、払拭部12に対する長尺部材17の位置決めを行う第2位置決め部16とをさらに有している。また、本実施の形態の液体除去装置10は、払拭部12に対して払拭部材18(
図6A、B参照)が固定されて使用される。
【0013】
長尺部材17は、液体除去装置10で液体を除去する対象である。長尺部材17の種類は、特に限定されない。長尺部材17は、各種ケーブルでもよいし、各種チューブでもよい。また、長尺部材17の直径も特に限定されない。長尺部材17の直径は、例えば4.5~20mmの範囲内である。本実施の形態の液体除去装置10は、小径である長尺部材17と、中径である長尺部材17とに対応している。例えば、小径とは直径が4.5~15mmの範囲内であり、中径とは直径が15~20mmの範囲内である。
【0014】
(空気吹付部)
図2Aは空気吹付部11の正面図であり、
図2Bは平面図であり、
図2Cは右側面図である。
【0015】
空気吹付部11は、長尺部材17の表面に空気を吹き付けることにより、長尺部材17の表面に付着した液体を除去する。空気吹付部11は、対応する長尺部材17の径が異なる複数の空気吹付装置21を支持するための支持部22を含み、支持部22は、長尺部材17の径に応じて長尺部材17に対する複数の空気吹付装置21の位置を移動可能に構成されている。空気吹付部11の構成は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、空気吹付部11は、支持部22に加えて複数の空気吹付装置21をさらに含む。複数の空気吹付装置21は、液体除去装置10を使用していないときは空気吹付部11から取り外されていてもよい。
【0016】
空気吹付装置21は、長尺部材17の表面に空気を吹き付けることにより、長尺部材17の表面に付着した液体を除去する。空気吹付装置21の構成は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。空気吹付装置21は、公知の空気吹付装置(エアワイパー)を使用できる。液体除去装置10は、直径の異なる複数種類の長尺部材17の表面に付着した液体を除去できるように複数種類の空気吹付装置21を有する。空気吹付装置21の種類数は、複数であれば特に限定されない。空気吹付装置21の種類数は、2種類でもよいし、3種類でもよいし、それ以上でもよい。本実施の形態では、小径の長尺部材17および中径の長尺部材17に対応して、空気吹付装置21は、小径用の第1空気吹付装置21aおよび中径用の第2空気吹付装置21bを有する。
【0017】
第1空気吹付装置21aの数は、特に限定されない。第1空気吹付装置21aの数は、1台でもよいし、2台以上でもよい。本実施の形態では、空気吹付部11は、2台の第1空気吹付装置21a、21aを有する。2台の第1空気吹付装置21a、21aは、長尺部材17の送り方向の上流側と下流側に配置されている。すなわち、本実施の形態では、上流側の一方の第1空気吹付装置21aで長尺部材17の表面液体を除去した後に、下流側の他方の第1空気吹付装置21aで長尺部材17の表面の液体をさらに除去する。第2空気吹付装置21bの数などは、第1空気吹付装置21aと同じであるため、その説明を省略する。
【0018】
支持部22は、台13に対して第2の方向D2に移動可能な状態で複数の空気吹付装置21を支持する。支持部22は、保持部材24と、スライド機構25とを有する。支持部22は、ハウジング23内に収容されている。
【0019】
ハウジング23は、空気吹付装置21の少なくとも一部を覆う。ハウジング23は、空気吹付装置21を収容し、台13に対してスライド可能に構成されている。ハウジング23は、ハウジング本体26と、蓋27とを有する。ハウジング本体26と、蓋27とは、蝶番28を介して接続されている。
【0020】
ハウジング本体26は、底板26aと、4枚の側板26bとを有する。ハウジング本体26には、切り欠き部31と、排液口32と、蓋ストッパー33と、スライド機構25のガイド42と、当て材44と、第1固定部材45とが配置されている。
【0021】
切り欠き部31には、液体除去装置10の使用時において長尺部材17が配置される。切り欠き部31は、長尺部材17の送り方向において、ハウジング本体26の対向する2枚の側板26bに配置されている。本実施の形態では、切り欠き部31は、第2の方向D2に沿った2枚の側板26bに配置されている。また、空気吹付部11は、切り欠き部31に長尺部材17を配置した状態において、蓋27を閉めることができる。これにより、蓋27を閉めた状態において、空気吹付装置21(第1空気吹付装置21aおよび第2空気吹付装置21b)を使用できるため、空気吹付装置21からの騒音を抑制できる。
【0022】
排液口32は、空気吹付装置21(第1空気吹付装置21aおよび第2空気吹付装置21b)により、長尺部材17から除去した液体を廃液するために使用される。排液口32の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、排液口32は、ハウジング本体26の底板26aの中央部分に配置された丸穴である。また、排液口32の数も特に限定されない。本実施の形態では、排液口32の数は、1個である。排液口32には、第1排液管34が接続されている。第1排液管34は、排液口32に集められた排液をドレンパン77に流す。
【0023】
蓋ストッパー33は、蓋27が開きすぎるのを防止する。本実施の形態では、蓋ストッパー33は、蝶番28に対応する位置に配置されている。
【0024】
蓋27は、ハウジング本体26の開口部を覆う。蓋27には、取っ手35が配置されている。ハウジング本体26に対して蓋27を閉じても、切り欠き部31は、塞がれない。
【0025】
保持部材24は、空気吹付装置21を支持する。本実施の形態では、保持部材24の一方の端部は、ハウジング本体26の底板26aに溶接されている。保持部材24の他方の端部には、空気吹付装置21を支持できるように構成されている。
【0026】
スライド機構25は、台13に固定された第1基板41と、空気吹付部11(支持部22)に固定されたガイド42と、第1基板41に固定されたレール43と、空気吹付部11(支持部22)に固定された当て材44と、空気吹付部11(支持部22)に固定された第1固定部材45を有する。
図3は、第1基板41の平面図である。
【0027】
第1基板41は、台13に固定されており、スライド機構25を介して支持部22を支持し、スライド機構25を介さずに払拭部12を支持する。
図1および
図3に示されるように、第1基板41は、第1基板本体51と、第1ストッパー52と、第2ストッパー53と、第3ストッパー54とを有する。
【0028】
第1基板本体51は、台13に固定されている、スライド機構25の基部である。第1基板本体51の上面には、第1位置決め部15と、レール43と、第1ストッパー52と、第2ストッパー53と、第3ストッパー54とが配置されている。第1基板本体51の上流側(
図3における右側)の領域には、第1位置決め部15が配置されている。第1基板本体51の下流側(
図3における左側)の領域には、レール43と、第1ストッパー52と、第2ストッパー53と、第3ストッパー54と、第1長穴55とが配置されている。
【0029】
レール43は、ガイド42を介してハウジング23を第2の方向D2の方向にスライドさせるために配置されている。レール43の数は、特に限定されない。本実施の形態では、レール43は、2本である。スライド機構25によりハウジング23を第2の方向D2に沿って移動させることで、空気吹付装置21を第2の方向D2に沿って移動させることができる。
【0030】
第1ストッパー52は、当て材44とともに、ハウジング23を第1位置に規定する。ここで、第1位置とは、第1空気吹付装置21aを使用するための位置を意味する。第1ストッパー52は、第1ストッパー本体52aと、第1固定部52bと、第2固定部52cとを有する。第1ストッパー52は、第1基板本体51の略中央部分に配置されている。第1ストッパー本体52aは、一方の端部を中心として、回転可能に構成されている。具体的には、本実施の形態では、第1ストッパー本体52aは、第1の方向D1に沿って配置された固定位置と、第2の方向D2に沿って配置された待避位置との間を回転可能に構成されている。なお、第1ストッパー本体52aは、第1固定部52bにより固定位置に規定され、第2固定部52cにより待避位置に規定される。
【0031】
第1固定部52bは、第1ストッパー本体52aを固定位置に規定する。第2固定部52cは、第1ストッパー本体52aを待機位置に規定する。第1固定部52bおよび第2固定部52cの第3の方向D3の高さは、第1ストッパー本体52aよりも低く配置されており、当て材44に接触することはない。
【0032】
第1ストッパー本体52aを固定位置に移動(回転)させることで、当て材44が第1ストッパー本体52aに接触し、ハウジング23が第1位置に配置される。また、第1ストッパー本体52aを待避位置に移動(回転)させることで、当て材44が第1ストッパー本体52aに接触しなくなり、ハウジング23がスライド方向(第2の方向D2)に移動可能となる。
【0033】
第2ストッパー53は、当て材44とともに、ハウジング23を第2位置に配置する。ここで、第2位置とは、第2空気吹付装置21bを使用するための位置を意味する。第2ストッパー53は、第1基板本体51の正面側の端部に配置されている。ハウジング23を第1位置から第2位置に移動させることで、当て材44に第2ストッパー53が接触し、ハウジング23が第2位置に配置される。
【0034】
第3ストッパー54は、ハウジング23に接触し、ハウジング23が背面側に移動することを規定する。第3ストッパー54は、第1基板本体51の背面側の端部に配置されている。
【0035】
第1長穴55は、第1排液管34を通すための貫通孔であり、ハウジング23が第2の方向D2に移動しても第1排液管34を通すことができるように配置されている。
【0036】
ガイド42は、空気吹付部11(支持部22)に固定されており、レール43に係合して、ハウジング23を第2の方向D2にスライドさせる。ガイド42には、レール43に係合する貫通孔57が配置されている。ガイド42の数は、特に限定されない。本実施の形態では、ガイド42の数は4個であり、ハウジング本体26の底板26aの四隅に配置されている。
【0037】
当て材44は、第1ストッパー本体52aまたは第2ストッパー53に接触してハウジング23の移動を制限する。当て材44の位置は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、当て材44は、ハウジング本体26の底板26aの正面側の端部に配置されている。
【0038】
第1固定部材45は、スライド機構25でスライドするハウジング23を任意の位置で固定する。第1固定部材45の構成は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第1固定部材45は、クランプレバーである。また、第1固定部材45の数も上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第1固定部材45の数は、1個である。2個の第1固定部材45は、ガイド42にそれぞれ配置されている。
【0039】
第1位置決め部15は、支持部22よりも長尺部材17の送り方向の上流側において、第1基板41に固定されている。第1位置決め部15は、空気吹付部11(支持部22)に送られる長尺部材17の位置を規定する。
【0040】
ここで、長尺部材17に対する空気吹付装置21(第1空気吹付装置21aおよび第2空気吹付装置21b)の切り替え方法について説明する。
図4Aはハウジング23が第1位置に配置されている場合を示しており、
図4Bはハウジング23が第2位置に配置されている場合を示している。
【0041】
図4Aに示されるように、ハウジング23を第1位置に配置する場合には、第1ストッパー本体52aを固定位置に移動する。次いで、スライド機構25を介してハウジング23を移動させ、当て材44を第1ストッパー本体52aに接触させる。この状態で、第1固定部材45により、ハウジング23および第1基板本体51を固定する。これにより、ハウジング23を第1位置に配置する。
図4Aに示されるように、空気吹付部11(支持部22)が第1位置に配置されている場合、第1空気吹付装置21aが、長尺部材17の搬送経路上に位置することとなる。
【0042】
ハウジング23を第1位置から第2位置に移動させるには、当て材44を第1ストッパー本体52aから離した状態で、第1ストッパー本体52aを固定位置から待避位置に移動させる。次いで、スライド機構25を介してハウジング23をスライドさせ、当て材44を第2ストッパー53に接触させる。この状態で、第1固定部材45により、ハウジング23および第1基板本体51を固定する。これにより、ハウジング23を第2位置に配置する。
図4Bに示されるように、空気吹付部11(支持部22)が第2位置に配置されている場合、第2空気吹付装置21bが、長尺部材17の搬送経路上に位置することとなる。
【0043】
このように、空気吹付部11(支持部22)の位置を第1位置と、第2位置とに切り替えることにより、長尺部材17に対して使用する空気吹付装置21(第1空気吹付装置21aおよび第2空気吹付装置21b)を切り替えることができる。
【0044】
(払拭部)
図5Aは払拭部12の平面図であり、
図5Bは
図5Aに示されるA-A線の断面図である。
図6Aは、払拭部材18を配置した払拭部12の平面図であり、
図6Bは、
図6Aに示されるA-A線の断面図である。
【0045】
払拭部12は、長尺部材17の送り方向の空気吹付部11よりも下流側に配置され、空気吹付部11を通過した長尺部材17の表面に付着した液体を拭き取る。払拭部12の数は、特に限定されない。払拭部12の数は、1台でもよいし、2台以上でもよい。本実施の形態では、払拭部12の数は2台である。すなわち、払拭部12は、第1払拭部12aおよび第2払拭部12bを有する。第1払拭部12aおよび第2払拭部12bは、長尺部材17の送り方向に沿って見たときに長尺部材17を挟むように対向して配置されている。ここで、第1払拭部12aおよび第2払拭部12bは、長尺部材17の送り方向(第1の方向D1)においてずれて配置されていてもよい。
【0046】
払拭部12は、凹部64を含む第1部材61と、凸部65を含む第2部材62とを有する。払拭部12は、第1部材61の凹部64およびその周囲の面と、第2部材62の凸部65およびその周囲の面とで払拭部材18を挟持可能に構成されている。本実施の形態では、
図5A、Bおよび
図6A、Bに示されるように、第1払拭部12aおよび第2払拭部12bは、それぞれ、凹部64を含む第1部材61と、凸部65を含む第2部材62とを有する。第1部材61は、第2基板63に固定されており、第2部材62は、第2基板63に対して回動可能に固定されている。なお、第1払拭部12aおよび第2払拭部12bは、同じ構成であるため、ここでは、第1払拭部12aについて説明する。
【0047】
第2基板63は、第1部材61および第2部材62を支持する板状の部材である。上記の通り、第2基板63には、第1部材61および第2部材62が配置されている。第2基板63の一部は、凹部64の一部として機能する。また、第2基板63には、払拭部12に対する長尺部材17の位置決めを行う第2位置決め部16が配置されている。
【0048】
第1部材61は、凹部64を含み、払拭部材18を支持する。第1部材61は、上記の機能を発揮できれば、1部材で構成されていてもよいし、複数部材で構成されていてもよい。本実施の形態では、第1部材61は、2部材で構成されている。より具体的には、第1部材61は、第3部材61aと、第4部材61bとを有する。
【0049】
第3部材61aは、凹部64の一部を構成する。第3部材61aは、第2基板63の第2の方向D2における中央部分に配置されている。第3部材61aの中央部分には長尺部材17を支持するための凹条66が配置されており、第3部材61aの側方部分の第1斜面67は、払拭部材18を挟持するための凹部64の一部として機能する。
【0050】
第4部材61bは、凹部64の他の一部を構成する。第4部材61bの側方部分の第2斜面68は、凹部64の一部として機能する。
【0051】
第2部材62は、凸部65を含み、第1部材61に対して払拭部材18を押圧する。上記の通り、払拭部12は、第1部材61の凹部64およびその周囲の面と、第2部材62の凸部65およびその周囲の面とで払拭部材18を挟んで固定する。第2部材62は、上記の機能を発揮できれば、1部材で構成されていてもよいし、複数部材で構成されていてもよい。本実施の形態では、第2部材62は、2部材で構成されている。より具体的には、第2部材62は、第5部材62aと、第6部材62bとを有する。
【0052】
第5部材62aは、第1部材61の凹部64に嵌合可能な凸部65として機能する。第5部材62aの形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第5部材62aは、円柱形状である。第5部材62aは、第6部材62bに固定されている。第5部材62aの一方の端部は回転部69に回転可能に支持されており、第5部材62aの他方の端部には、固定棒70が配置されている。回転部69は、第2基板63に固定された一対の土台69aと、土台69aに対して回転可能に支持された回転軸69bとを有する。第5部材62a(凸部65)は、第1部材61の凹部64に嵌合して払拭部材18を固定する第1位置と、払拭部材18の固定を解除した第2位置との間を移動できる。第5部材62aが第1位置に位置するとき、受け部70aの間隙に固定棒70が配置される。
【0053】
第5部材62aは、第2固定部材71により、第1位置に維持される。第2固定部材71の構成は、上記の機能を発揮できれば、特に限定されない。本実施の形態では、第2固定部材71は、トグルクランプである。
【0054】
第6部材62bは、第5部材62aに固定されている板状の部材である。第6部材62bは、第5部材62a(凸部65)が第1部材61の凹部64に嵌合したときに、第1部材61の天面(第3部材61aおよび第4部材61bの天面の一部)と対向するように配置されている。
【0055】
第2位置決め部16は、空気吹付部11(支持部22)および払拭部12の間に配置されている。第2位置決め部16は、空気吹付部11を通って払拭部12に送られる長尺部材17の位置を規定する。
【0056】
ここで、払拭部材18の取り付け方法および使用方法について説明する。
【0057】
図5A、Bおよび
図6A、Bに示されるように、凹条66に配置された長尺部材17が二つ折りした払拭部材18の内側に位置するように、払拭部材18を配置する。次いで、凸部65を第2位置から第1位置となるように反転させる。次いで、第2固定部材71で固定棒70を固定する。このとき、払拭部材18は、第2部材62の凸部65(第5部材62a)と第1部材61の凹部64(第1斜面67および第2斜面68)とに挟持されるとともに、第2部材62の凸部65の周囲の面(第6部材62bの下面)と第1部材61の凹部64の周囲の面(第3部材61aおよび第4部材61bの天面の一部)とに挟持される。また、払拭部材18にわずかにテンションを掛けることで、長尺部材17に払拭部材18が接触するため、確実に長尺部材17の表面に付着した液体を除去できる。
【0058】
払拭部材18の乾燥している部分を長尺部材17に接触させるために払拭部材18の位置をずらす場合には、まず、第2固定部材71で固定棒70の固定を解除する。次いで、長尺部材17に接触していた払拭部材18をずらす。次いで、払拭部材18にわずかにテンションを掛けた状態で、第2固定部材71で固定棒70を固定する。これにより、払拭部材18の使用していない領域を長尺部材17に接触させることができる。
【0059】
(台)
図1に示されるように、台13は、空気吹付部11および払拭部12を支持する。台13の底部にはキャスター14が固定されているため、台13を移動させることで空気吹付部11および払拭部12を移動させることができる。本実施の形態では、台13は、第3基板75と、フレーム76と、ドレンパン77と、チューブ78と、排液タンク79とを有する。
【0060】
第3基板75は、フレーム76の上部に固定されており、第3基板75には、第1基板41が固定されている。上記のとおり、第1基板41には、第1位置決め部15、スライド機構25、第2位置決め部16および払拭部12が直接または間接的に固定されている。また、スライド機構25は、空気吹付部11をスライド可能に支持している。したがって、第3基板75は、第1位置決め部15、空気吹付部11、第2位置決め部16および払拭部12を支持している。第3基板75には、空気吹付部11(支持部22)が移動することに伴い、移動する第1排液管34からの排液をドレンパン77に流すための第2長穴80が配置されている。
【0061】
ドレンパン77は、第1排液管34からの排液を受ける。ドレンパン77は、第2長穴80を覆うように配置されており、第1排液管34からの排液を外部に漏らさないように構成されている。ドレンパン77には、チューブ78が接続されており、排液タンク79に排液を流す。
【0062】
チューブ78は、ドレンパン77に流れてきた排液を排液タンク79に導く。チューブ78の一方の端部はドレンパン77接続されており、他方の端部は排液タンク79の内部に配置されている。
【0063】
キャスター14は、空気吹付部11および払拭部12の移動を容易にするために台13の第4基板89に固定されている。本実施の形態では、キャスター14は、第4基板89の四隅に、1つずつ固定されている。キャスター14の構造は特に制限されず、車輪81を有していればよく、車輪81の回転を抑制するためのストッパー82などを有していてもよい。キャスター14は、公知のキャスターであってもよい。また、キャスター14の個数や大きさは、特に制限されず、空気吹付部11および払拭部12の重量や、構造等に合わせて適宜選択される。
【0064】
(固定部)
本実施の形態では、液体除去装置10は、台13を強磁性体を含む床に固定するための固定部19をさらに有する。固定部19は、ガイド部83と、可動マグネット部84と、ロック機構85とを有する。
【0065】
図7Aはガイド部83を模式的に表した正面図であり、
図7Bは平面図であり、
図7Cは右側面図である。
【0066】
図7A~Cに示されるように、ガイド部83は、略円筒状の円筒部86と、円筒部86に斜めに形成されたスリット87とを有する。なお、本実施の形態では、ガイド部83が円筒部86の上端に鍔部88をさらに有しており、鍔部88が台13の第4基板89に固定されている。
【0067】
円筒部86は、可動マグネット部84の軸体90を回転可能に収容する。円筒部86の内径は、可動マグネット部84の軸体90の外径に合わせて適宜選択され、軸体90を回転可能に収容できれば特に制限されない。また、その高さは、他の部材と干渉しない高さであればよく、特に制限されない。
【0068】
スリット87は、円筒部86の周面に、鉛直方向に対して斜めに形成された貫通部であり、可動マグネット部84の接続部91を移動させるために機能する。スリット87の鉛直方向上側および下側の端部は、可動マグネット部84が抜け落ちることを抑制する観点から、外部と連通していないことが好ましい。なお、スリット87の鉛直方向上側の端部には水平部92が配置されており、水平部92に可動マグネット部84の接続部91を一時的に保持可能となっている。ガイド部83と可動マグネット部84とを接続する際には、円筒部86内に可動マグネット部84の軸体90を収容し、その後、軸体90に、円筒部86の外部から、スリット部93を介して接続部91を接続すればよい。
【0069】
なお、スリット87の幅(円筒部86の高さ方向の距離)は、可動マグネット部84の接続部91の径や形状に応じて適宜選択される。また、スリット87の斜め方向の長さは、可動マグネット部84の所望の可動域に応じて適宜選択される。下端は、少なくとも可動マグネット部84のマグネット保持部94の底面が床に接触するように設定することが好ましい。一方、上端は、マグネット保持部94内のマグネットと床とが作用しない位置まで、マグネット保持部94を移動できるように設定することが好ましい。
さらに、スリット87の長手方向と水平面との角度(
図7Aにおいてαで表される角度)は、可動マグネット部84の重量や形状に応じて適宜選択される。当該角度αが大きすぎると、マグネット保持部94を上方に移動させる際に、大きな力が必要となる。これに対し、当該角度αが適度な角度であると、可動マグネット部84をスリット87に沿って小さい力で上方に移動させやすくなる。
【0070】
図8Aは可動マグネット部84の構成を模式的に表した正面図、
図8Bは平面図、
図8Cは右側面図である。
【0071】
図8A~Cに示されるように、可動マグネット部84は、軸体90と、接続部91と、マグネット保持部94とを有する。可動マグネット部84では、軸体90が上述のガイド部83の円筒部86内で回転することで、接続部91がガイド部83のスリット87に沿って移動する。これにより、マグネット保持部94もガイド部83のスリット87に沿って移動する。そして、マグネット保持部94が、台13を床に固定するための近接位置や、近接位置よりも床から離れ、床に対して台13を移動可能にするための非近接位置に移動する。
【0072】
軸体90は、ガイド部83の円筒部86内に収容される略円柱状もしくは円筒状の部材である。軸体90の外径は、円筒部86の内径と略同じであればよい。また軸体90の高さは、他の部材と干渉しない高さであればよい。
【0073】
接続部91は、軸体90およびマグネット保持部94を接続し、ガイド部83のスリット87を移動することが可能な部材である。本実施の形態では、接続部91が円柱状の部材であるが、その形状は特に制限されない。例えば角柱状や多角柱状の部材であってもよい。また、接続部91は、直線状でなくてもよく、湾曲していてもよい。
【0074】
マグネット保持部94は、マグネットを保持しており、かつその磁力によって支持体95を床に固定するための構成である。マグネット保持部94は、マグネット(図示せず)を保持する本体部96、本体部96と接続部91とを接続する取付部97、およびロック機構85によって可動マグネット部84の移動を制限するための被ロック部98を有する。
【0075】
本体部96の構造は、マグネットを保持可能であれば特に制限さない。本体部96の形状の例には、円柱状、多角柱状、円錐台状、角錐台状が含まれる。本実施の形態では、本体部96は、略四角柱状である。ただし、本体部96の底面は、床と密着可能な形状(例えば平面状)であることが好ましい。
【0076】
本体部96の内部に保持されるマグネットは、常磁石であってもよく、電磁石であってもよい。マグネットは、本体部96の構成を簡易な構成とできる観点から、常磁石が好ましい。
【0077】
本体部96は、作業者が把持するための把持部101を有していてもよい。把持部101は、可動マグネット部84を移動させる際に、作業者が把持するために機能する。把持部101の形状は、上記の機能を発揮できれば特に制限されない。把持部101の形状の例には、本体部96から外部に突出した部材、本体部96の表面に設けられた窪みが含まれる。本実施の形態では、把持部101は、本体部96から外部に突出した部材である。
【0078】
本体部96は、本体部96内でマグネットの位置を移動させるためのレバー102を有していてもよい。本体部96内部でマグネットが移動可能であると、マグネット保持部94(支持体95)を磁力によって床に強固に固定しやすくなったり、マグネット保持部94を床から離しやすくなったりする。例えば、レバー102の操作によって、本体部96の底部側にマグネットを移動させると、マグネットと床とが強く作用する。その結果、床とマグネット保持部94(支持体95)との固定力が高まる。一方、レバー102の操作によって、本体部96の上方にマグネットを移動させると、マグネットと床との間に働く磁力が弱まる。その結果、マグネット保持部94(本体部96)が床から離れやすくなり、支持体95を移動させやすくなる。
【0079】
取付部97は、本体部96を接続部91に取り付けるために機能する。なお、取付部97を介さずに、本体部96を接続部91に接続してもよいが、本体部96と接続部91との間に、取付部97を介在させると、本体部96を取り外したり、交換したりすることが容易になる。取付部97は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、取付部97がL字状に折り曲げられた板状の部材である。
【0080】
被ロック部98は、可動マグネット部84の位置を固定するときに、ロック機構85の押圧部103を挿入したり、押圧部103によって押圧されたりするために機能する。被ロック部98の形状や位置は、ロック機構85の位置や形状に合わせて適宜選択され、特に制限されない。本実施の形態では、被ロック部98は、取付部97の上面に固定された、本体部96より前方に突出した円弧状のプレートである。本実施の形態の被ロック部98は、ロック機構85の押圧部103を挿入するための被挿入部104を有する。マグネット保持部94が非近接状態にあるときに、被挿入部104内に、ロック機構85の押圧部103を挿入すると、マグネット保持部94の移動が抑制される。なお、被挿入部104の形状は、押圧部103の少なくとも一部を挿入可能な形状であればよく、貫通孔でもよいし、有底の凹部でもよい。被挿入部104の形状は、マグネット保持部94の移動を確実に抑制するとの観点から、貫通孔が好ましい。
【0081】
被ロック部98は、ロック機構85の押圧部103によって押圧されるための被押圧部105も有している。マグネット保持部94が近接状態にあるときに、被押圧部105が、ロック機構85の押圧部103によって押圧されると、マグネット保持部94の移動が抑制される。被押圧部105は、押圧部103によってマグネット保持部94を床方向に押し付け可能な形状であればよく、平面状でもよいし、有底の凹部でもよい。本実施の形態では、被押圧部105は、平面状である。
【0082】
ロック機構85は、押圧部103および押圧部103を位置決めするための位置決め部106を有する。
【0083】
押圧部103は、被ロック部98の被挿入部104に挿入されたり、被ロック部98の被押圧部105を床200側に押圧したりするための部材である。押圧部103の構造は、特に限定されない。本実施の形態では、押圧部103の構造は、位置決め部106によって一端が支持された、棒状の部材である。
【0084】
位置決め部106は、上記押圧部103の位置を変化させて、可動マグネット部84の移動を制限したり、その制限を解除したりする。位置決め部106の構造は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、位置決め部106は、トグルクランプである。
【0085】
ここで、液体除去装置10の移動および固定方法について説明する。液体除去装置10を所望の位置に移動させる場合、キャスター14のストッパー82を解除し、車輪81を回転可能にする。さらに、
図9Aに示されるように、可動マグネット部84のマグネット保持部94を、非近接位置、すなわちマグネット保持部94が床から離れた位置に配置し、ロック機構85によって、その移動を制限する。具体的には、可動マグネット部84の接続部91を、ガイド部83のスリット87の上方(水平部92)に配置する。またこのとき、ロック機構85の位置決め部106を操作して、被ロック部98の被挿入部104に、ロック機構85の押圧部103を挿入する。被挿入部104に押圧部103を挿入することで、可動マグネット部84(軸体90)の回転が抑制され、マグネット保持部94が、ガイド部83のスリット87に沿って自重で落下し難くなる。その結果、液体除去装置10を所望の位置に移動させることができる。
【0086】
図9Bに示されるように、液体除去装置10を所定の位置に固定する場合には、キャスター14のストッパー82をかけ、ロック機構85の位置決め部106を操作する。具体的には、ロック機構85の押圧部103を、被ロック部98の被挿入部104から抜き、マグネット保持部94の移動制限を解除する。この状態で、把持部101を把持し、マグネット保持部94をガイド部83のスリット87に沿って斜め下方に移動させる。これにより、マグネット保持部94が、回転しながら下方に移動し、マグネット保持部94の底面が、強磁性体を含む床200に接触する。そして、
図9Cに示されるように、再度ロック機構85の位置決め部106を操作して、押圧部103を下方に移動させる。つまり、押圧部103によって被ロック部98の被押圧部105を押圧し、マグネット保持部94の移動を制限する。さらに、マグネット保持部94のレバー102を操作し、マグネット保持部94(本体部96)内のマグネットを、床に近づける。これにより、マグネット保持部94内のマグネットと床200とが作用し、支持体95が床200に強固に固定される。
【0087】
再度、液体除去装置10を移動させる場合には、上述の手順を逆から行えばよい。具体的には、レバー102を操作して、マグネット保持部94内のマグネットを、床200から離す方向、すなわちマグネット保持部94(本体部96)の上方に移動させる。そして、ロック機構85の位置決め部106を操作して、押圧部103を上方に移動させ、押圧部103による被押圧部105への押圧を解除する。その後、把持部101を把持して、マグネット保持部94をガイド部83のスリット87に沿って斜め上方に移動させ、水平部92内に収容する。そして、ロック機構85の位置決め部106を操作して、押圧部103を下方に移動させる。これにより、被ロック部98の被挿入部104に押圧部103が挿入され、マグネット保持部94の移動が抑制される。
【0088】
(効果)
以上のように、本実施の形態の液体除去装置によれば、各長尺部材に対する空気吹付装置の位置を移動可能であり、払拭部材が着脱可能に構成されており、かつ台が移動可能であるため、長尺部材に応じて適切に液体を除去できる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の液体除去装置によれば、容易に移動が可能であり、かつ任意の太さの長尺部材の表面に付着した液体を除去できる。したがって、各種製造分野において、非常に有用である。
【符号の説明】
【0090】
10 液体除去装置
11 空気吹付部
12 払拭部
12a 第1払拭部
12b 第2払拭部
13 台
14 キャスター
15 第1位置決め部
16 第2位置決め部
17 長尺部材
18 払拭部材
19 固定部
21 空気吹付装置
21a 第1空気吹付装置
21b 第2空気吹付装置
22 支持部
23 ハウジング
24 保持部材
25 スライド機構
26 ハウジング本体
26a 底板
26b 側板
27 蓋
28 蝶番
31 欠き部
32 排液口
33 蓋ストッパー
34 第1排液管
35 取っ手
41 第1基板
42 ガイド
43 レール
44 材
45 第1固定部材
51 第1基板本体
52 第1ストッパー
52a 第1ストッパー本体
52b 第1固定部
52c 第2固定部
53 第2ストッパー
54 第3ストッパー
55 第1長穴
57 貫通孔
61 第1部材
61a 第3部材
61b 第4部材
62 第2部材
62a 第5部材
62b 第6部材
63 第2基板
64 凹部
65 凸部
66 凹条
67 第1斜面
68 第2斜面
69 回転部
69a 土台
69b 回転軸
69c 接続部材
70 固定棒
70a 受け部
71 第2固定部材
75 第3基板
76 フレーム
77 ドレンパン
78 チューブ
79 排液タンク
80 第2長穴
81 車輪
82 ストッパー
83 ガイド部
84 可動マグネット部
85 ロック機構
86 円筒部
87 スリット
88 鍔部
89 第4基板
90 軸体
91 接続部
92 水平部
93 スリット部
94 マグネット保持部
95 支持体
96 本体部
97 取付部
98 被ロック部
101 把持部
102 レバー
103 押圧部
104 被挿入部
105 被押圧部
106 位置決め部
200 床