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特開2024-132084媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132084
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20240920BHJP
   G07D 11/12 20190101ALI20240920BHJP
   G07D 11/40 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/12
G07D11/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042740
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 靖
(72)【発明者】
【氏名】眞下 淳二
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA02
3E141AA05
3E141AA06
3E141AA08
3E141BA06
3E141FA03
3E141FA05
3E141FC02
3E141FJ05
(57)【要約】
【課題】リジェクト媒体の返却処理が発生した場合の処理を容易に行うことができる媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムを提供する。
【解決手段】媒体処理システムは、有価媒体を受け入れる媒体処理デバイスと、入金伝票を受け入れる伝票処理デバイスと、媒体処理デバイスにおいて入金できない有価媒体であるリジェクト媒体を返却する返却処理が発生した場合に、伝票処理デバイスから入金伝票を返却させる制御部とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金取引において、ユーザが投入する有価媒体を受け入れる媒体処理デバイスと、
前記ユーザが投入する入金伝票を受け入れる伝票処理デバイスと、
前記媒体処理デバイスにおいて入金できない有価媒体であるリジェクト媒体を返却する返却処理が発生した場合に、前記伝票処理デバイスから前記入金伝票を返却させる制御部と
を備える媒体処理システム。
【請求項2】
返却された前記入金伝票および前記リジェクト媒体が対となって投入されるドロップボックスをさらに備える
請求項1に記載の媒体処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記返却処理が発生した場合に、前記ドロップボックスを用いて前記リジェクト媒体を入金するか否かの入力を受け付ける
請求項2に記載の媒体処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ドロップボックスを用いて前記リジェクト媒体を入金する入力を受け付けた場合に、前記入金伝票および前記リジェクト媒体を前記ドロップボックスに投入する指示を前記ユーザに対して行う
請求項3に記載の媒体処理システム。
【請求項5】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記表示部に、前記入金伝票および前記リジェクト媒体を前記ドロップボックスへ投入することを誘導する表示を行わせる
請求項3または4に記載の媒体処理システム。
【請求項6】
前記ドロップボックスは、
前記ユーザによって投入される前記入金伝票および前記リジェクト媒体を受け入れる受入口と、
前記受入口に配置されたシャッターと
を有する
請求項2~5のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ドロップボックスを用いて前記リジェクト媒体を入金する入力を受け付けた場合に、前記シャッターのロックを解除する
請求項6に記載の媒体処理システム。
【請求項8】
前記ドロップボックスは、
前記入金伝票および前記リジェクト媒体の投入を検出する投入センサを有する
請求項2~7のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記投入センサの信号に基づいて、前記ドロップボックスに前記入金伝票および前記リジェクト媒体が投入されていない場合に、投入されていないことを報知する
請求項8に記載の媒体処理システム。
【請求項10】
前記伝票処理デバイスは、
前記返却処理が発生した場合に、返却される前記入金伝票の抜き取りを検出する抜き取りセンサを有し、
前記制御部は、
前記投入センサにより前記ドロップボックスへの前記リジェクト媒体の投入が検出され、前記抜き取りセンサにより前記入金伝票の抜き取り忘れが検出された場合に、前記ドロップボックスに投入された前記リジェクト媒体に対応する前記入金伝票が投入されていないことを報知する
請求項8または9に記載の媒体処理システム。
【請求項11】
前記入金伝票は、前記ユーザまたは前記ユーザに関連する口座、あるいは前記入金取引を特定する第1の情報を有し、
前記伝票処理デバイスは、
前記第1の情報を識別する識別部を有し、
前記制御部は、
前記識別部により前記第1の情報が正常に識別された場合に、前記媒体処理デバイスに前記有価媒体を受け入れさせる
請求項1~10のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記返却処理が発生した場合に、前記リジェクト媒体の種類または枚数の少なくとも1つを表示させる
請求項1~11のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記返却処理が発生した場合に、前記リジェクト媒体の種類と枚数、または前記リジェクト媒体の総額に関するユーザの入力を受け付ける
請求項1~12のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項14】
前記伝票処理デバイスは、
前記返却処理が発生した場合に、前記返却処理が行われたことを示す第2の情報を前記入金伝票に付加する
請求項1~13のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項15】
前記伝票処理デバイスは、
受け入れた前記入金伝票を一時的に収納する一時収納部を有する
請求項1~14のいずれか一項に記載の媒体処理システム。
【請求項16】
前記伝票処理デバイスは、
前記返却処理が発生しない場合に、前記一時収納部に収納された前記入金伝票を収納する収納部をさらに有する
請求項15に記載の媒体処理システム。
【請求項17】
前記伝票処理デバイスは、
前記返却処理が発生した場合に、前記一時収納部に収納された前記入金伝票を返却する返却口をさらに有する
請求項15または16に記載の媒体処理システム。
【請求項18】
入金取引において、ユーザが投入する入金伝票を受け入れるステップと、
前記ユーザが投入する有価媒体を受け入れるステップと、
入金できない有価媒体であるリジェクト媒体を返却する返却処理が発生した場合に、前記入金伝票を返却するステップと
を含む媒体処理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の媒体処理方法を、コンピュータに実行させるための媒体処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店舗の店員などのユーザにより、貨幣などの有価媒体を対象として各種の取引を行う媒体処理システムに対して、店舗の売り上げが入金されることが行われている。この場合、まず、ユーザにより、媒体処理システムに対して入金伝票(deposit slip)が投入される。これにより、媒体処理システムは、入金処理を開始する。次に、媒体処理システムには、入金したい有価媒体がユーザによって投入される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
入金処理において、媒体処理システムは、投入された有価媒体を入金できない有価媒体であると判定する場合がある。この場合、媒体処理システムは、入金できない有価媒体をリジェクト媒体として、ユーザに返却する。
【0004】
リジェクト媒体が返却された場合、返却されたリジェクト媒体がユーザによって封筒に封入され、ドロップボックスと称する一種の金庫に投入される。このとき、リジェクト媒体が封入された封筒には、ユーザにより、店舗名または自身の名前などが記入されたり、入金処理が完了した際に発行されるレシートなどが同封されたりする。
【0005】
ドロップボックスに投入されたリジェクト媒体は、媒体処理システムの管理者により、手作業で計数される。管理者は、リジェクト媒体が封入された封筒に記入された店舗名またはユーザの名前などの記載内容に基づき、リジェクト媒体を店舗からの入金として処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-97519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ドロップボックスにリジェクト媒体を投入する場合、ユーザは、封筒に店舗名などの情報を記入する必要があり、リジェクト媒体発生時の処理が煩わしい。また、封筒に店舗名などの情報を手書きで記入するため、入金処理を行う管理者にとって、判読が困難な場合がある。
【0008】
さらに、レシートを同封する場合には、入金処理を行った証拠となるレシートがユーザの手元に残らなくなってしまう。そのため、この場合には、ドロップボックス投函用のレシートを、別途印刷する必要がある。
【0009】
このように、従来の入金処理においてリジェクト媒体が発生した場合には、処理が煩雑であるという問題点があった。
【0010】
本開示は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、リジェクト媒体が発生した場合の処理を容易に行うことができる媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る媒体処理システムは、
入金取引において、ユーザが投入する有価媒体を受け入れる媒体処理デバイスと、
前記ユーザが投入する入金伝票を受け入れる伝票処理デバイスと、
前記媒体処理デバイスにおいて入金できない有価媒体であるリジェクト媒体を返却する返却処理が発生した場合に、前記伝票処理デバイスから前記入金伝票を返却させる制御部と
を備える。
【0012】
また、本開示に係る媒体処理方法は、
入金取引において、ユーザが投入する入金伝票を受け入れるステップと、
前記ユーザが投入する有価媒体を受け入れるステップと、
入金できない有価媒体であるリジェクト媒体を返却する返却処理が発生した場合に、前記入金伝票を返却するステップと
を含む媒体処理方法。
【0013】
さらに、本開示に係る媒体処理プログラムは、
上記の媒体処理方法を、コンピュータに実行させる。
【0014】
なお、前記解決手段は、以下の特徴の1つ、または複数を、矛盾のない、かつ合理的な範囲で組み合わせてもよい。
【0015】
媒体処理デバイスは、包装硬貨デバイス、紙幣デバイス、バラ硬貨デバイス、および小切手処理デバイスから選択される1つまたは複数のデバイスを含んでもよい。伝票処理デバイスは、小切手を処理する小切手処理デバイスとして兼用されてもよい。
【0016】
上記解決手段は、返却された入金伝票およびリジェクト媒体が対となって投入されるドロップボックスをさらに備えてもよい。返却された入金伝票とリジェクト媒体が一緒に封入された封筒が、ドロップボックスに投入されるようにしてもよい。これにより、識別情報が付された媒体とリジェクト媒体と一緒に投入されるため、リジェクト媒体の入金処理を容易に行うことができる。
【0017】
上記解決手段では、返却処理が発生した場合に、ドロップボックスを用いてリジェクト媒体を入金するか否かをユーザに選択させてもよい。これにより、リジェクト媒体を持ち帰るか、あるいは入金するかといったリジェクト媒体に対する処理を、ユーザが選択することができる。
【0018】
上記解決手段では、ドロップボックスを用いてリジェクト媒体を入金することが選択された場合に、入金伝票およびリジェクト媒体をドロップボックスに投入する指示がユーザに対して行われてもよい。これにより、ユーザによるリジェクト媒体の入金忘れを防止することができる。
【0019】
上記解決手段では、入金伝票およびリジェクト媒体をドロップボックスへ投入することを誘導する表示が行われてもよい。これにより、リジェクト媒体の入金をユーザに対して確実に指示することができる。
【0020】
上記解決手段において、ドロップボックスは、入金伝票およびリジェクト媒体を受け入れる受入口と、受入口に配置されたシャッターとを有してもよい。これにより、ドロップボックスに誤って物品を投入してしまうことを防ぐことができる。
【0021】
上記解決手段では、ドロップボックスを用いてリジェクト媒体を入金する場合に、シャッターのロックが解除される。これにより、ドロップボックスに誤って物品を投入してしまうことを防ぐことができる。
【0022】
上記解決手段において、ドロップボックスは、入金伝票およびリジェクト媒体の投入を検出する投入センサを有してもよい。これにより、リジェクト媒体を入金する際に、ドロップボックスへの投入を確実に検出することができる。
【0023】
上記解決手段では、ドロップボックスに入金伝票およびリジェクト媒体が投入されていない場合に、投入されていないことが報知されるようにしてもよい。これにより、リジェクト媒体の入金忘れを防ぐことができる。
【0024】
上記解決手段において、伝票処理デバイスは、返却処理が発生した場合に、返却される入金伝票の抜き取りを検出する抜き取りセンサを有してもよい。入金伝票の抜き取り忘れが検出された場合に、リジェクト媒体に対応する入金伝票がドロップボックスに投入されていないことが報知されてもよい。ドロップボックスの投入センサにより、ドロップボックスへのリジェクト媒体の投入が検出され、抜き取りセンサにより、入金伝票の抜き取り忘れが検出された場合に、リジェクト媒体に対応する入金伝票がドロップボックスに投入されていないことが報知されてもよい。これにより、管理者に対して、入金伝票が封入されていない封筒がドロップボックスに投入されたことが通知されるため、リジェクト媒体の入金処理に対して、迅速に対応することができる。
【0025】
上記解決手段において、伝票処理デバイスは、入金伝票に付加された、ユーザまたはユーザに関連する口座、あるいは入金取引を特定する第1の情報を識別する識別部を有してもよい。そして、第1の情報が正常に識別された場合に、媒体処理デバイスによる有価媒体の受け入れ処理が開始されてもよい。これにより、入金伝票に付加された情報に基づき、有価媒体の入金取引を確実に行うことができる。
【0026】
上記解決手段では、返却処理が発生した場合に、リジェクト媒体の種類または枚数の少なくとも1つが表示されるようにしてもよい。これにより、返却処理の発生およびリジェクト媒体についての情報を、ユーザに知らせることができる。
【0027】
上記解決手段では、返却処理が発生した場合に、リジェクト媒体の種類と枚数、またはリジェクト媒体の総額に関する情報をユーザに入力させてもよい。これにより、ユーザが認識するリジェクト媒体の情報を、媒体処理システムまたは媒体処理システムの管理者に知らせることができる。
【0028】
上記解決手段において、伝票処理デバイスは、返却処理が発生した場合に、返却処理が行われたことを示す第2の情報を入金伝票に付加してもよい。第2の情報は、返却処理の処理日時を示す情報であってもよい。第2の情報は、リジェクト媒体の種類と枚数またはリジェクト媒体の総額に関する情報であってもよい。第2の情報は、入金伝票に印字されてもよい。これにより、返却された入金伝票が、返却処理の発生により返却されたものであることがわかる。
【0029】
上記解決手段において、伝票処理デバイスは、受け入れた入金伝票を一時的に収納する一時収納部を有してもよい。これにより、返却処理において、返却すべき入金伝票のみを確実に返却することができる。
【0030】
上記解決手段において、伝票処理デバイスは、返却処理が発生しない場合に、一時収納部に収納された入金伝票を収納する収納部を有してもよい。これにより、入金取引が完了した入金伝票と、入金取引が完了していない入金伝票とを、区別して取り扱うことができる。
【0031】
上記解決手段において、伝票処理デバイスは、返却処理が発生した場合に、一時収納部に収納された入金伝票を返却する返却口を有してもよい。これにより、返却した入金伝票を用いてリジェクト媒体を入金することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、リジェクト媒体が発生した場合の処理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本実施の形態に係る媒体処理システムを前方から見た場合の外観の一例を示す図である。
図2図2は、媒体処理システムを後方から見た場合の外観の一例を示す図である。
図3図3は、伝票処理デバイスの内部構造の一例を概略的に示す図である。
図4図4は、ドロップボックスの内部構造の一例を概略的に示す図である。
図5図5は、媒体処理システムの機能ブロックの一例を示すブロック図である。
図6図6は、コンピュータとしての媒体処理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図7図7は、リジェクトが発生した場合に、媒体処理システムが行う入金取引の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、認証画面について説明するための概略図である。
図9図9は、入金伝票を一時収納部に収納する際の搬送経路について説明するための概略図である。
図10図10は、入金伝票を収納部に収納する際の搬送経路について説明するための概略図である。
図11図11は、入金伝票を返却する際の搬送経路について説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[媒体処理システム100の構成]
図1は、本実施の形態に係る媒体処理システム100を前方から見た場合の外観の一例を示す図である。なお、図1には媒体処理システム100を基準とした前後左右方向が示されており、本明細書ではこの方向に基づいて説明を行う。
【0035】
媒体処理システム100は、銀行などの金融機関の店舗(金融店舗)またはコンビニエンスストアなどの店舗(流通店舗)などを含む各種施設に設置される。媒体処理システム100は、各種の有価媒体を対象とした取引に関する各種の処理を行う装置である。
【0036】
有価媒体の具体例としては、例えば紙幣(banknotes)、硬貨(coins)、小切手(cheque)などが挙げられる。硬貨には包装硬貨(rolled coins)とバラ硬貨(loose coins)が含まれる。紙幣には帯封紙幣(bound notes)とバラ紙幣(loose notes)が含まれてもよい。取引の具体例としては、入金、出金、両替、振込などが挙げられる。
【0037】
媒体処理システム100は、包装硬貨を対象とした取引に関する処理を行う包装硬貨デバイス2と、バラ紙幣を対象とした取引に関する処理を行う紙幣デバイス3と、バラ硬貨を対象とした取引に関する処理を行うバラ硬貨デバイス4と、入金伝票に関する処理を行う伝票処理デバイス5と、媒体処理システム100により入金できないと判定された有価媒体であるリジェクト媒体が入った封筒が投入されるドロップボックス6とを備える。伝票処理デバイス5は、小切手を対象とした取引に関する処理を行う小切手デバイスとしても使用される。以下の説明において、包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、バラ硬貨デバイス4、および伝票処理デバイス5などの、有価媒体を受け入れるデバイスをまとめて、「媒体処理デバイス」と称することがある。リジェクト媒体は、例えば、媒体処理デバイスによって正常に識別できなかった媒体である。また、リジェクト媒体は、媒体処理デバイスによって偽造の疑いがあると識別された媒体であってもよい。また、リジェクト媒体は、媒体処理デバイスの内部に収納することができなかった媒体であってもよい。
【0038】
包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、バラ硬貨デバイス4、伝票処理デバイス5、およびドロップボックス6は、左右方向に沿って一列に並べられた状態でハウジング1に収められる。
【0039】
図1に示す例では、媒体処理システム100を基準として見た場合に、右から左に向かって、包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、伝票処理デバイス5、バラ硬貨デバイス4、ドロップボックス6がこの順に配置されている。さらに、帯封紙幣を対象とした取引に関する処理を行う帯封紙幣デバイスを備えてもよい。帯封紙幣デバイスは、包装硬貨デバイス2と紙幣デバイス3の間に配置されてもよい。
【0040】
ハウジング1の前面には、各デバイスの入金口および出金口の少なくとも1つが設けられている。包装硬貨デバイス2は、包装硬貨の出金を行う出金口22を有する。出金口22には出金口22を開閉するシャッター22Sが設けられている。
【0041】
紙幣デバイス3は、紙幣を受け付ける入金口31および紙幣の出金を行う出金口32を有する。入金口31には入金口31を開閉するシャッター31Sが、出金口32には出金口32を開閉するシャッター32Sが、それぞれ設けられている。
【0042】
バラ硬貨デバイス4は、バラ硬貨を受け付ける入金口41およびバラ硬貨の出金を行う出金口42を有する。入金口41には入金口41を開閉するシャッター41Sが、出金口42には出金口42を開閉するシャッター42Sがそれぞれ設けられている。
【0043】
伝票処理デバイス5は、入金伝票または小切手を受け付ける受入口51、ならびに、入金伝票または小切手を繰り出す返却口52を有する。受入口51には受入口51を開閉するシャッター51Sが、返却口52には返却口52を開閉するシャッター52Sが、それぞれ設けられている。
【0044】
なお、図1では各入金口および各出金口にそれぞれシャッターが設けられている例を示したが、本開示では各入金口または各出金口にシャッターが設けられなくてもよい。
【0045】
また、ドロップボックス6は、リジェクト媒体が入った封筒の投入を受け入れる受入口61を有する。受入口61には、ロック付きのシャッターが設けられてもよい。ドロップボックス6にシャッターが設けられている場合、後述する入金処理時にユーザによってリジェクト媒体の投入が選択されると、ロックが解除されるようにしてもよい。
【0046】
ハウジング1の前面には、媒体処理システム100のユーザーインターフェースとして、フロントディスプレイFDと、ピンパッドPPが設けられている。
【0047】
フロントディスプレイFDは、タッチパッドと薄型ディスプレイとが重ねられた構造(タッチパネル)を有し、ユーザに対する各種の表示と、ユーザによる入力操作の受付とを行う。
【0048】
ピンパッドPPは、ユーザによるPIN(Personal Identification Number)の入力を受け付ける。ピンパッドPPは、例えばテンキーである。なお、ユーザとは、媒体処理システム100を用いて取引を行う人物を意味しており、例えば媒体処理システム100が設置された施設を利用する顧客である。
【0049】
図1に示す例では、フロントディスプレイFDおよびピンパッドPPは、左右方向において、紙幣デバイス3に対応する位置に設けられている。
【0050】
例えば、フロントディスプレイFDは、紙幣デバイス3の上側に設けられ、ピンパッドPPは、紙幣デバイス3の入金口31または出金口32に隣接して設けられる。フロントディスプレイFDおよびピンパッドPPは、紙幣デバイス3を利用している最中のユーザにより操作しやすい位置に設けられている。
【0051】
また、ハウジング1の前面には、カードリーダCaR、コードリーダCoR、レシートプリンタRP、A4プリンタAP、カメラCam、およびNFC(Near Field Communication)読取機NMが設けられている。
【0052】
カードリーダCaRは、例えば銀行口座のキャッシュカードやクレジットカードなどの読み取りを行う。コードリーダCoRは、バーコードや2次元コードなどの読み取りを行う。
【0053】
レシートプリンタRPおよびA4プリンタAPは、ユーザが媒体処理システム100を用いて行った処理の結果に関する情報などを印刷してユーザに提供する。
【0054】
カメラCamは、媒体処理システム100を利用するユーザや媒体処理システム100の管理者の顔などを撮影し、処理の履歴情報の一部とする。また、カメラCamは、ユーザや管理者の顔認証に利用される顔画像データを生成するために用いられてもよい。
【0055】
媒体処理システム100の管理者とは、媒体処理システム100および有価媒体を管理する人物であり、例えば媒体処理システム100が設置された施設の従業員などである。
【0056】
NFC読取機NMは、例えばユーザが有する携帯端末(スマートフォンまたはタブレット端末など)との間でNFCによる通信を行う。
【0057】
図2は、媒体処理システム100を後方から見た場合の外観の一例を示す図である。ハウジング1の後面には、包装硬貨デバイス2のドア25、紙幣デバイス3のドア35、バラ硬貨デバイス4のドア45、伝票処理デバイス5のドア55、およびドロップボックス6のドア65が設けられている。これらのドア25、35、45、55および65により、媒体処理システム100の管理者などは、各デバイスの内部にアクセスすることができる。
【0058】
各ドア25、35、45、55および65は、ロック26、36、46、56および66により施錠が可能である。紙幣デバイス3およびドロップボックス6は、ロック36、66を解除するための暗証番号を入力するためのキー入力デバイス361、661を有していてもよい。
【0059】
また、図2に示す例では、紙幣デバイス3と伝票処理デバイス5との間に、コントローラーボックス7が設けられている。コントローラーボックス7には、後に説明する制御部10が収納される。コントローラーボックス7は、ドア75およびロック76を有する。
【0060】
紙幣デバイス3、バラ硬貨デバイス4、および伝票処理デバイス5の上側には、ペリフェラルデバイスボックス(peripheral device box)8が設けられている。
【0061】
ペリフェラルデバイスボックス8には、図1に示すフロントディスプレイFD、ピンパッドPP、カードリーダCaR、コードリーダCoR、レシートプリンタRP、A4プリンタAP、カメラCam、およびNFC読取機NMなどの本体部が収められている。ペリフェラルデバイスボックス8は、ドア85およびロック86を有する。
【0062】
また、ハウジング1の後面における紙幣デバイス3の上側には、リアディスプレイRDが設けられている。リアディスプレイRDは、フロントディスプレイFDと同様に、タッチパッドと薄型ディスプレイとが重ねられた構造(タッチパネル)を有する。リアディスプレイRDは、管理者に対する各種の表示と、管理者による入力操作の受付とを行うことができる。
【0063】
(伝票処理デバイス5の構成)
次に、媒体処理システム100が備える各デバイスの内部構造の一例として、伝票処理デバイス5の内部構造について説明する。図3は、伝票処理デバイス5の内部構造の一例を概略的に示す図である。図3に示すように、伝票処理デバイス5は、受入口51と、返却口52と、搬送部53と、識別部54と、一時収納部57と、収納部58と、抜き取りセンサ59と、を備える。
【0064】
搬送部53は、受入口51、返却口52、一時収納部57、および収納部58の間で、入金伝票または小切手を搬送する。搬送部53は、例えばベルトおよびローラーで構成される。受入口51から繰り出され、識別部54で受け入れ可能と識別された入金伝票または小切手は、搬送部53により、一時収納部57に搬送される。
【0065】
また、搬送部53は、識別部54で受け入れできないと識別された入金伝票または小切手を返却口52に搬送する。
【0066】
識別部54は、搬送部53の経路上であり、受入口51と一時収納部57との間に配置されている。識別部54は、受入口51から繰り出された入金伝票および小切手に記述された識別情報を識別する。具体的には、識別部54は、MICR(Magnetic Ink Character Reader)を有し、入金伝票および小切手の所定の位置に記述された識別情報を読み取る。
【0067】
識別情報は、ユーザIDまたは口座番号などの、ユーザまたはユーザに関連する口座を特定するための情報、あるいは、入金処理を特定するための情報である。識別情報は、例えば、MICRで読み取り可能な磁気インクを用いた文字情報(以下、「MICR文字」と適宜称する)である。
【0068】
識別部54は、MICRに加えて、例えば、CIS(Contact Image Sensor)を有してもよい。CISは、入金伝票および小切手の画像を取得し、取得した画像から識別情報を認識するものである。
【0069】
一時収納部57は、入金伝票および小切手を一時的に収納する。一時収納部57に収納された入金伝票および小切手は、搬送部53により、返却口52または収納部58のいずれかに搬送される。収納部58は、一時収納部57から搬送された入金伝票および小切手を混在して収納する。
【0070】
抜き取りセンサ59は、返却口52の近傍に配置されている。抜き取りセンサ59は、返却される入金伝票または小切手が返却口52からユーザによって抜き取られたことを検出する。伝票処理デバイス5または制御部10は、抜き取りセンサ59の出力信号を検出することにより、返却口52に搬送された入金伝票または小切手の抜き取りの有無を判定する。
【0071】
なお、包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、およびバラ硬貨デバイス4は、上述した伝票処理デバイス5と同様のまたは類似した内部構造、あるいは既知の内部構造を有する。このため、包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、およびバラ硬貨デバイス4については、内部構造の詳細な説明を省略する。
【0072】
(ドロップボックス6の構成)
図4は、ドロップボックス6の内部構造の一例を概略的に示す図である。図4に示すように、ドロップボックス6は、受入口61と、収納部62と、シュート63と、ドア65と、ロック66と、を備える。
【0073】
収納部62は、リジェクト媒体および入金伝票が封入された封筒を収納する。収納部62は、受入口61よりも下方に配置され、受入口61に投入された封筒がシュート63を介して収納される。管理者により、ロック66が解錠された状態でドア65が開かれた場合に、収納部62が引き出されることにより、収納部62の内部に収納された封筒が取り出される。
【0074】
シュート63は、受入口61および収納部62の間で、封筒を搬送する。シュート63は、例えば、受入口61から収納部62に向かって、封筒が滑りながら降下するように、坂状に形成されている。受入口61から投入された封筒は、シュート63により、収納部62に搬送される。
【0075】
また、シュート63の受入口61側には、入金伝票およびリジェクト媒体が封入された封筒の投入を検出する投入センサSが設けられてもよい。この場合、ドロップボックス6は、投入センサSの出力信号を検出することにより、封筒の投入の有無を判定する。
【0076】
(制御部10の構成)
図5は、媒体処理システム100の機能ブロックの一例を示すブロック図である。制御部10は、媒体処理システム100が有する各構成の制御を行うプロセッサである。制御部10には、媒体処理システム100の各部が接続されるとともに、記憶部11が接続されている。記憶部11は、制御部10が実行する処理に必要な各種データ、およびプログラムなどを記憶するメモリなどの記憶装置である。
【0077】
(媒体処理システム100のハードウェア構成)
図6は、コンピュータとしての媒体処理システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0078】
コンピュータ1000は、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、ROM(Read Only Memory)1004、RAM(Random Access Memory)1005、記憶装置1006、各種記録媒体から情報を読み取る読取装置1007、送受信装置1008を備え、各部はバス1009により接続される。
【0079】
図1などに示すフロントディスプレイFDおよびピンパッドPP、ならびに、図2などに示すリアディスプレイRDは、入力装置1001の例である。フロントディスプレイFD、およびリアディスプレイRDは、出力装置1002の例である。図5に示す記憶部11は、記憶装置1006の例である。
【0080】
読取装置1007は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1006に記憶させる。あるいは、送受信装置1008が、ネットワークに接続されたシステム装置と通信を行い、システム装置からダウンロードしたプログラムを記憶装置1006に記憶させる。
【0081】
そして、CPU1003が、記憶装置1006に記憶されたプログラムをRAM1005にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行することにより、図5に示す媒体処理システム100の各機能ブロックが動作する。
【0082】
[媒体処理システム100の動作]
次に、媒体処理システム100が行う媒体処理の動作例について説明する。図7は、リジェクトが発生した場合に、媒体処理システム100が行う入金取引の流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、ステップS1において、制御部10は、入金取引を行う際に認証画面をフロントディスプレイFDに表示させる。認証画面は、媒体処理システム100を用いた入金取引などのサービスを行う際に、ユーザ情報を入力してユーザの認証を行うための画面である。
【0084】
図8は、認証画面について説明するための概略図である。図8に示すように、認証画面には、ユーザ認証を行う際に選択される複数の選択ボタン90a~90eが表示される。
【0085】
項目名「アカウント」で示される選択ボタン90aは、予め設定されたユーザのID(IDentification)およびパスワードなどを用いて認証を行う際に選択される。項目名「運転免許証」で示される選択ボタン90bは、運転免許証を用いて認証を行う際に選択される。
【0086】
項目名「コード」で示される選択ボタン90cは、QRコード(登録商標)またはPINなどを用いて認証を行う際に選択される。項目名「カード」で示される選択ボタン90dは、クレジットカードなどのユーザを識別できるカードを用いて認証を行う際に選択される。
【0087】
項目名「入金伝票」で示される選択ボタン90eは、入金伝票を用いて認証を行う際に選択される。本実施の形態では、ユーザ認証を行う際に、入金伝票認証を行う選択ボタン90eが選択される。
【0088】
図7の説明に戻ると、ステップS2において、制御部10は、メニュー画面に表示された選択ボタン90a~90eのうち、入金伝票認証を示す選択ボタン90eが選択されたか否かを判定する。選択ボタン90a~90dのいずれかが選択された場合(ステップS2:NO)には、ステップS14において、選択された項目に対応する処理が行われ、一連の処理が終了する。
【0089】
一方、選択ボタン90eが選択された場合(ステップS2:YES)、伝票処理デバイス5は、ステップS3において、受入口51に挿入された入金伝票の識別情報を、識別部54により識別する。具体的には、識別部54は、入金伝票にMICR文字で記述された文字を識別することにより、識別情報を検出する。そして、識別部54は、識別した入金伝票の識別情報を制御部10に供給する。
【0090】
このとき、識別情報を識別された入金伝票は、一時収納部57に搬送され、一時的に収納される。ここで、識別情報を識別できなかった入金伝票を返却口52に搬送してユーザに返却し、一連の処理を終了してもよい。
【0091】
図9は、入金伝票を一時収納部57に収納する際の搬送経路について説明するための概略図である。図9において、矢印は、一時収納部57に収納される入金伝票の搬送経路を示す。図9に示すように、伝票処理デバイス5に挿入された入金伝票は、搬送部53によって受入口51から識別部54を通過し、一時収納部57に収納される。
【0092】
図7の説明に戻ると、ステップS4において、制御部10は、入金伝票から読み取った識別情報の内容をフロントディスプレイFDに表示させる。この場合、フロントディスプレイFDには、例えば、ユーザIDまたは口座番号などが表示される。
【0093】
ステップS5において、制御部10は、フロントディスプレイFDに表示された内容がユーザによって承諾されたか否かを判定する。ユーザによって表示内容が承諾された場合(ステップS5:YES)には、処理がステップS6に移行する。ユーザによって表示内容が承諾されなかった場合(ステップS5:NO)、制御部10は、ステップS15において、入金伝票を返却口52に搬送してユーザに返却し、一連の処理を終了する。制御部10は、ステップS6において、媒体処理デバイスを媒体の受け入れが可能な状態とし、ユーザによって媒体処理デバイスに投入された有価媒体を受け入れ、計数する。媒体処理デバイスは、リジェクト媒体が発生した場合に、リジェクト媒体を返却する返却処理を実行する。
【0094】
ステップS7において、制御部10は、計数の結果、リジェクト媒体が発生したか否かを判定する。リジェクト媒体が発生した場合(ステップS7:YES)には、処理がステップS8に移行する。一方、ステップS7において、リジェクト媒体が発生していない場合(ステップS7:NO)には、一連の処理が終了する。このとき、入金伝票は、一時収納部57から収納部58に搬送されて収納される。また、リジェクト媒体が発生していない場合(ステップS7:NO)に、制御部10は、計数結果である入金金額をフロントディスプレイFDに表示し、ユーザの承諾が入力されたことを条件として、一連の処理を終了してもよい。
【0095】
図10は、入金伝票を収納部58に収納する際の搬送経路について説明するための概略図である。図10において、矢印は、収納部58に収納される入金伝票の搬送経路を示す。図10に示すように、一時収納部57に収納された入金伝票は、搬送部53によって収納部58に収納される。
【0096】
図7の説明に戻ると、ステップS8において、制御部10は、計数結果である入金金額をフロントディスプレイFDに表示させる。この場合、フロントディスプレイFDには、例えば、金種別に有価媒体の枚数が表示される。また、フロントディスプレイFDには、ドロップボックス6を使用してリジェクト媒体の入金を行うか否かをユーザに選択させる表示も表示される。
【0097】
このとき、フロントディスプレイFDには、リジェクト媒体の種類と枚数、またはリジェクト媒体の総額をユーザに入力させるための画面が表示されてもよい。ここで、リジェクト媒体が、媒体処理デバイスによって正常に識別できなかった媒体の場合であっても、リジェクト媒体の枚数は計数できている場合がある。また、媒体処理デバイスによって正常に識別できたが、媒体処理デバイスの収納部が満杯のため返却されたリジェクト媒体については、リジェクト媒体の種類と枚数またはリジェクト媒体の総額が計数されている。
【0098】
ステップS9において、制御部10は、一時収納部57に収納された入金伝票を返却する。このとき、伝票処理デバイス5は、抜き取りセンサ59により、入金伝票が抜き取られたか否かを検出する。なお、入金伝票を返却する際には、入金伝票の裏などに、返却処理済みであることを示す第2の情報を付加してもよい。具体的には、返却処理の処理日時を示す情報を印字してもよい。また、リジェクト媒体の種類と枚数またはリジェクト媒体の総額に関する情報を印字してもよい。
【0099】
図11は、入金伝票を返却する際の搬送経路について説明するための概略図である。図11において、矢印は、返却される入金伝票の搬送経路を示す。図11に示すように、一時収納部57に収納された入金伝票は、搬送部53によって返却口52に搬送される。
【0100】
図7の説明に戻ると、ステップS10において、制御部10は、ステップS8で表示された、ドロップボックス6の使用可否に対するユーザによる入力に基づき、ドロップボックス6の使用が選択されたか否かを判定する。ドロップボックス6の使用が選択されたと制御部10が判定した場合(ステップS10:YES)には、処理がステップS11に移行する。一方、ドロップボックス6の使用が選択されていないと制御部10が判定した場合(ステップS10:NO)には、一連の処理が終了する。
【0101】
ステップS11において、制御部10は、リジェクト媒体をドロップボックス6へ投入することを誘導する画面を、フロントディスプレイFDに表示させる。これにより、ユーザは、返却された入金伝票およびリジェクト媒体をドロップボックス6に投入するように誘導される。このとき、ユーザは、返却された入金伝票およびリジェクト媒体を対にして、ドロップボックス6に投入する。より具体的には、ユーザは、返却された入金伝票およびリジェクト媒体を封筒に入れ、この封筒をドロップボックス6に投入する。
【0102】
ステップS12において、制御部10は、入金伝票およびリジェクト媒体が封入された封筒がドロップボックス6に投入されたか否かを判定する。封筒がドロップボックス6に投入されたことが、ドロップボックス6の投入センサSによって検出された場合(ステップS12:YES)には、一連の処理が終了する。
【0103】
一方、封筒がドロップボックス6に投入されていない場合(ステップS12:NO)には、処理がステップS13に移行する。ステップS13において、制御部10は、ドロップボックス6に封筒が投入されていないことを示す警告を報知する。制御部10は、ドロップボックス6の使用が選択されてから所定時間が経過しても、封筒がドロップボックス6に投入されたことが、ドロップボックス6の投入センサSによって検出されない場合に、封筒がドロップボックス6に投入されていないと判定してもよい。
【0104】
ここで、例えば、ユーザが返却された入金伝票を抜き取り忘れ、リジェクト媒体のみが封筒に入れられた状態で、封筒がドロップボックス6に投入されることがある。この場合、ドロップボックス6に投入された封筒には、ユーザまたは口座を特定する情報が含まれていない。そのため、媒体処理システム100の管理者は、ドロップボックス6に投入されたリジェクト媒体に対する入金取引を行うことができない。
【0105】
そこで、本実施の形態では、ドロップボックス6の投入センサSと、伝票処理デバイス5の抜き取りセンサ59とによる検出結果に基づき、封筒への入金伝票の封入忘れを警告してもよい。
【0106】
具体的には、例えば、制御部10は、投入センサSによって封筒の投入が検出され、かつ、抜き取りセンサ59によって入金伝票の抜き取り忘れを検出された場合に、管理者を呼び出すなどの警告を報知する。これにより、管理者に対して、入金伝票が封入されていない封筒がドロップボックス6に投入されたことが通知されるため、リジェクト媒体の入金取引に対して、迅速に対応することができる。
【0107】
なお、図7に示す一連の処理が終了した後に、媒体処理システム100は外部の口座を管理するサーバーと通信し、媒体処理デバイスが計数した入金額を、ユーザの口座に反映させる入金処理を行う。また、媒体処理システム100の管理者は、ドロップボックス6に投入されたリジェクト媒体を確認し、外部の口座を管理するサーバーと通信する端末を用いて、リジェクト媒体の総額をユーザの口座に反映させる入金処理を行う。
【0108】
以上のように、本実施の形態に係る媒体処理システム100では、リジェクト媒体を返却する返却処理が発生した場合に、伝票処理デバイス5から入金伝票が返却される。これにより、リジェクト媒体の入金取引を行う際に、ユーザまたは口座を特定する識別情報を手書きで入力したり、レシートを印刷したりする必要がなくなる。そのため、リジェクト媒体を入金する際の処理を容易に行うことができる。
【0109】
また、上記の媒体処理システム100は、返却された入金伝票およびリジェクト媒体が対となって投入されるドロップボックス6をさらに備える。これにより、識別情報が付された媒体とリジェクト媒体と一緒に投入されるため、リジェクト媒体の入金処理を容易に行うことができる。
【0110】
また、上記の媒体処理システム100では、返却処理が発生した場合に、ドロップボックス6を用いてリジェクト媒体を入金するか否かをユーザに選択させる。これにより、リジェクト媒体を持ち帰るか、あるいは入金するかといったリジェクト媒体に対する処理を、ユーザが選択することができる。
【0111】
また、上記の媒体処理システム100では、ドロップボックス6を用いてリジェクト媒体を入金することが選択された場合に、入金伝票およびリジェクト媒体をドロップボックス6に投入する指示がユーザに対して行われる。これにより、ユーザによるリジェクト媒体の入金忘れを防止することができる。
【0112】
また、上記の媒体処理システム100では、入金伝票およびリジェクト媒体をドロップボックス6へ投入することを誘導する表示が行われる。これにより、リジェクト媒体の入金をユーザに対して確実に指示することができる。
【0113】
また、上記の媒体処理システム100において、ドロップボックス6は、入金伝票およびリジェクト媒体を受け入れる受入口61と、受入口61に配置されたシャッターとを有する。これにより、ドロップボックス6に誤って物品を投入してしまうことを防ぐことができる。
【0114】
また、上記の媒体処理システム100では、ドロップボックス6を用いてリジェクト媒体を入金する場合に、シャッターのロックが解除される。これにより、ドロップボックス6に誤って物品を投入してしまうことを防ぐことができる。
【0115】
また、上記の媒体処理システム100において、ドロップボックス6は、入金伝票およびリジェクト媒体の投入を検出する投入センサを有する。これにより、リジェクト媒体を入金する際に、ドロップボックス6への投入を確実に検出することができる。
【0116】
また、上記の媒体処理システム100では、ドロップボックス6に入金伝票およびリジェクト媒体が投入されていない場合に、投入されていないことが報知される。これにより、リジェクト媒体の入金忘れを防ぐことができる。
【0117】
また、上記の媒体処理システム100において、伝票処理デバイス5は、返却処理が発生した場合に、返却される入金伝票の抜き取りを検出する抜き取りセンサ59を有する。そして、ドロップボックス6へのリジェクト媒体の投入が検出され、入金伝票の抜き取り忘れが検出された場合に、リジェクト媒体に対応する入金伝票がドロップボックス6に投入されていないことが報知される。これにより、管理者に対して、入金伝票が封入されていない封筒がドロップボックス6に投入されたことが通知されるため、リジェクト媒体の入金処理に対して、迅速に対応することができる。
【0118】
また、上記の媒体処理システム100において、伝票処理デバイス5は、入金伝票に付加された、ユーザまたはユーザに関連する口座、あるいは入金取引を特定する第1の情報を識別する識別部54を有する。そして、第1の情報が正常に識別された場合に、有価媒体の入金処理が行われる。これにより、入金伝票に付加された情報に基づき、有価媒体の入金処理を確実に行うことができる。
【0119】
また、上記の媒体処理システム100では、返却処理が発生した場合に、リジェクト媒体の種類または枚数の少なくとも1つが表示される。これにより、返却処理の発生およびリジェクト媒体についての情報を、ユーザに知らせることができる。
【0120】
また、上記の媒体処理システム100では、返却処理が発生した場合に、リジェクト媒体の種類と枚数、または前記リジェクト媒体の総額に関する情報をユーザに入力させる。これにより、リジェクト媒体の種類および枚数をユーザに確実に認識させることができる。
【0121】
また、上記の媒体処理システム100において、伝票処理デバイス5は、返却処理が発生した場合に、返却処理が行われたことを示す第2の情報を入金伝票に付加する。これにより、返却された入金伝票が、返却処理の発生により返却されたものであることがわかる。
【0122】
また、上記の媒体処理システム100において、伝票処理デバイス5は、受け入れた入金伝票を一時的に収納する一時収納部57を有する。これにより、返却処理が発生する前に、入金伝票を収納してしまうことを防ぐことができる。
【0123】
また、上記の媒体処理システム100において、伝票処理デバイス5は、返却処理が発生しない場合に、一時収納部57に収納された入金伝票を収納する収納部58をさらに有する。これにより、入金取引が完了した入金伝票と、入金取引が完了していない入金伝票とを、区別して取り扱うことができる。
【0124】
また、上記の媒体処理システム100において、伝票処理デバイス5は、返却処理が発生した場合に、一時収納部57に収納された入金伝票を返却する返却口52をさらに有する。これにより、返却した入金伝票を用いてリジェクト媒体を入金することができる。
【0125】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示は、媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0127】
1 ハウジング
2 包装硬貨デバイス
3 紙幣デバイス
4 バラ硬貨デバイス
5 伝票処理デバイス
6 ドロップボックス
7 コントローラーボックス
8 ペリフェラルデバイスボックス
10 制御部
11 記憶部
22、32、42 出金口
22S、31S、32S、41S、42S、51S、52S シャッター
25、35、45、55、65、75、85 ドア
26、36、46、56、66、76、86 ロック
31、41 入金口
51、61 受入口
52 返却口
53 搬送部
54 識別部
57 一時収納部
58 収納部
59 抜き取りセンサ
90a、90b、90c、90d、90e 選択ボタン
100 媒体処理システム
AP A4プリンタ
Cam カメラ
CaR カードリーダ
CoR コードリーダ
FD フロントディスプレイ
NM NFC読取機
PP ピンパッド
RD リアディスプレイ
RP レシートプリンタ
S 投入センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11