(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132088
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240920BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240920BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20240920BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20240920BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240920BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240920BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240920BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240920BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N9/31 820
F21V9/20
F21V9/32
F21V9/40 200
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21S2/00 311
F21S2/00 340
F21S2/00 390
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042744
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友哉
【テーマコード(参考)】
2K203
3K014
5C060
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA45
2K203GA22
2K203GA35
2K203GA44
2K203GA45
2K203GA46
2K203GA50
2K203GA54
2K203GA59
2K203HA05
2K203HA30
2K203KA54
2K203MA06
3K014AA01
5C060JA14
(57)【要約】
【課題】画像の色バランスを調整できる、プロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、第1波長帯の第1光を射出する光源と、第1光を第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換装置と、波長変換装置から射出された光を変調する光変調装置と、光源に駆動電流を供給する駆動信号を制御する制御装置と、を備え、波長変換装置は、基板と、回転軸を中心に基板を回転させる回転装置と、基板に設けられた波長変換層と、を有し、基板は、回転軸の周方向に並び、第1光が入射する第1領域および第2領域を含み、波長変換層は、基板の第1領域に配置され、基板の第2領域に配置されておらず、制御装置は、第1領域に第1光が入射する第1期間と第2領域に第1光が入射する第2期間との間で、駆動信号における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯の第1光を射出する光源と、
前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換装置と、
前記波長変換装置から射出された光を変調する光変調装置と、
前記光源に駆動電流を供給する駆動信号を制御する制御装置と、を備え、
前記波長変換装置は、基板と、回転軸を中心に前記基板を回転させる回転装置と、前記基板に設けられた波長変換層と、を有し、
前記基板は、前記回転軸の周方向に並び、前記第1光が入射する第1領域および第2領域を含み、
前記波長変換層は、前記基板の前記第1領域に配置され、前記基板の前記第2領域に配置されておらず、
前記制御装置は、前記第1領域に前記第1光が入射する第1期間と前記第2領域に前記第1光が入射する第2期間との間で、前記駆動信号における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1期間および前記第2期間を跨ぐ移行期間において、
前記移行期間に移行する前に比べて前記駆動信号の振幅を小さくする、又は、前記光源を消灯する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記波長変換装置から射出された光を検出する光センサーをさらに備え、
前記制御装置は、前記光センサーの検出結果に基づいて、前記駆動信号における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記波長変換装置から射出された光を反射する反射面、および、前記反射面とは反対側の裏面を有する第1反射素子と、をさらに備え、
前記光センサーは、前記第1反射素子の前記裏面と対向する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記波長変換装置から射出された光を、前記第1波長帯の光と、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯の光と、前記第3波長帯とは異なる第4波長帯の光と、に分離する分離光学系と、
前記分離光学系により分離された前記第1波長帯の光を反射する反射面、および、前記反射面とは反対側の裏面を有する第2反射素子と、
前記分離光学系により分離された前記第3波長帯の光を反射する反射面、および、前記反射面とは反対側の裏面を有する第3反射素子と、
前記光センサーは、前記第2反射素子の前記裏面および前記第3反射素子の前記裏面の少なくとも一方と対向する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、モーターにより回転される基板上にリング状の蛍光体層を形成した蛍光体ホイールに対して光源から射出した励起光を入射させ、蛍光を含む照明光を生成するプロジェクター用の発光デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の蛍光体ホイールでは、蛍光体の厚みや物性によって照明光の色味が決まるため、プロジェクターにおける画像の色バランスを調整できないといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の1つの態様によれば、第1波長帯の第1光を射出する光源と、前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換装置と、前記波長変換装置から射出された光を変調する光変調装置と、前記光源に駆動電流を供給する駆動信号を制御する制御装置と、を備え、前記波長変換装置は、基板と、回転軸を中心に前記基板を回転させる回転装置と、前記基板に設けられた波長変換層と、を有し、前記基板は、前記回転軸の周方向に並び、前記第1光が入射する第1領域および第2領域を含み、前記波長変換層は、前記基板の前記第1領域に配置され、前記基板の前記第2領域に配置されておらず、前記制御装置は、前記第1領域に前記第1光が入射する第1期間と前記第2領域に前記第1光が入射する第2期間との間で、前記駆動信号における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターを示す概略構成図である。
【
図3】制御装置が光源に供給する駆動信号の一例を示す図である。
【
図4】第1変形例の駆動信号の一例を示す図である。
【
図5】第2変形例の光源装置を示す概略構成図である。
【
図6】第2実施形態のプロジェクターを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のプロジェクターを示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上に映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、光源装置10と、画像光生成装置100と、制御装置200と、第1光センサー81と、第2光センサー82と、を備える。プロジェクター1は、外部の不図示の画像入力装置から入力される画像信号に応じた画像光をスクリーンSCRに向けて投射し、スクリーンSCR上に拡大した画像を表示する装置である。不図示の画像入力装置は、例えばパーソナルコンピューターである。
【0009】
光源装置10は、光源11と、アフォーカル光学系12と、ホモジナイザー光学系14と、集光光学系18と、回転蛍光板20と、コリメート光学系41と、第1レンズアレイ51と、第2レンズアレイ52と、偏光変換素子60と、重畳レンズ70と、を備える。
【0010】
光源11は、複数の発光素子11Sを備え、第1波長帯である青色波長帯の青色光束(第1光)BBを出力する。発光素子11Sは、青色光線B1を射出する。青色光線B1の発光強度のピーク波長は、例えば455nm~465nmの波長帯域に含まれる。
発光素子11Sは、例えば青色光線B1を射出可能な半導体レーザー(Laser Diode;LD)である。LDは、プロジェクターを画像表示装置で光源として従来用いられているランプに比べて高輝度・高出力であり、長寿命であり、後述する蛍光体層24から蛍光を効率良く発生させることができる。複数の発光素子11Sは、青色光束BBの光軸AX1と直交する平面内で互いに適切な間隔をあけてアレイ状又はマトリクス状に配置されている。複数の発光素子11Sから射出された青色光線B1は、光軸AX1に沿ってまとまり、青色光束BBを構成する。
【0011】
アフォーカル光学系12は、例えば凸レンズ12A及び凹レンズ12Bを備え、光源11から出力された青色光束BBの光束径を縮小する。アフォーカル光学系12によって青色光束BBの光束径が縮小されるため、集光光学系18の省スペース化及び軽量化が図られる。なお、光源11とアフォーカル光学系12との間の光軸AX1上に、不図示のコリメーター光学系が配置され、アフォーカル光学系12に入射する青色光束BBが平行化されてもよい。
【0012】
ホモジナイザー光学系14は、マルチレンズアレイ15,16を備え、アフォーカル光学系12から射出された青色光束BBの光強度分布を均一な状態に変換する。ホモジナイザー光学系14は、マルチレンズアレイ15の複数のマイクロレンズ15Aから射出された複数の青色小光束を集光光学系18と協同して後述する蛍光層(波長変換層)24で互いに重畳させる。このことによって、トップハット状の光強度分布を有する青色光束BBが蛍光体層24に照射される。
【0013】
マルチレンズアレイ15は、光軸AX1と直交する平面内に互いに隣接してマトリクス状に配置された複数のマイクロレンズ15Aを有する。マルチレンズアレイ16は、マルチレンズアレイ15よりも青色光束BBの進行方向の前方に配置され、光軸AX1と直交する平面内に互いに隣接してマトリクス状に配置された複数のマイクロレンズ16Aを有する。複数のマイクロレンズ16Aは、光軸AX1と直交する平面に平行な方向で複数のマイクロレンズ15Aに対応して複数のマイクロレンズ15Aと重なる位置に配置されている。
【0014】
集光光学系18は、ホモジナイザー光学系14と回転蛍光板20との間の青色光束BBの光路に配置され、ホモジナイザー光学系14から射出された青色光束BBを集光し、回転蛍光板20の蛍光体層24に入射させる。集光光学系18は、例えば第1レンズ19A及び第2レンズ19Bを備える。第1レンズ19A及び第2レンズ19Bの各々は、例えば凸レンズである。なお、集光光学系18は、ホモジナイザー光学系14による青色光束BBの光強度分布を均一化する効果を十分に得るために、不図示の非球面レンズを備えてもよい。
【0015】
図2は、回転蛍光板20の平面図である。
図1は
図2のI-I線で矢視した状態での断面に相当する。
図1および
図2に示すように、回転蛍光板(波長変換装置)20は、基板22と、蛍光体層24と、ダイクロイック膜26と、モーター(回転装置)30と、を有する。
図1に示すように、回転蛍光板20は、青色光束BBの入射側とは反対側に向けて赤色光R及び緑色光Gを含む黄色光Yを出力する。つまり、回転蛍光板20は、青色光束BBを青色波長帯とは異なる黄色波長帯(第2波長帯)の黄色光Yに変換する。
【0016】
図1および
図2に示すように、基板22は、回転装置であるモーター30によって回転軸RXを中心とする周方向に回転可能な円板状の部材である。本実施形態の場合、基板22の回転軸RXは円板の中心と一致する。
【0017】
図2に示すように、蛍光体層24は、回転軸RXを中心とするリング形状のうち周方向の角度範囲RG2に該当する扇状部分を削除した後に残る角度範囲RG1の部位で構成されている。蛍光体層24は、基板22の表面22aに設けられ、回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1に設けられている。基板22の中心にはモーター30の軸部材39を挿通可能な不図示の貫通孔が形成され、貫通孔にモーター30の軸部材39が固定されている(
図1参照)。基板22の表面22aは、基板22に対してホモジナイザー光学系14からの青色光束BBが入射する裏面22bとは反対側の面である。
なお、蛍光体層24の形状は上記に限られず、例えば、リング形状ではなく円板形状のうち周方向の角度範囲RG2に該当する扇状部分を削除した形状で構成されてもよい。
【0018】
蛍光体層24は、励起光として入射する青色光束BBを蛍光変換し、蛍光変換によって生成された黄色光Yを射出する。蛍光体層24は、例えば、YAG系蛍光体である(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceを含有する層である。ダイクロイック膜26は、光軸AX1に沿った基板22及び蛍光体層24の厚み方向で基板22と蛍光体層24との間に配置されている。ダイクロイック膜26は、入射する青色光を透過し、蛍光である黄色光を反射する。
【0019】
基板22の回転軸RXは、ホモジナイザー光学系14から出力された青色光束BBの光軸AX1に直交する平面内で光軸AX1とは異なる位置にある。モーター30の軸芯は、光軸AX1に直交する平面内で回転軸RXと重なっている。基板22及びモーター30は、ホモジナイザー光学系14に対して、回転軸RXを中心とする径方向においてホモジナイザー光学系14から射出された青色光束BBが回転軸RXと基板22の外周縁との間の領域で蛍光体層24に照射可能とするように、配置されている。
【0020】
基板22は、回転軸RXの周方向に並び、光源11からの青色光束BBが入射する第1領域A1および第2領域A2を含む。第1領域A1は、基板22を回転軸RXに沿う方向に平面視した場合に、蛍光体層24が配置される領域である。第2領域A2は、基板22を回転軸RXに沿う方向に平面視した場合に、回転軸RXを中心とする周方向で角度範囲RG1以外の角度範囲RG2に対応する領域である。つまり、蛍光体層24は、基板22の第1領域A1に配置され、基板22の第2領域A2に配置されていない。
基板22は、青色光束BBを透過する材料によって構成されている。基板22の材料としては、例えば、石英ガラス、水晶、サファイア、光学ガラス、透明樹脂等が挙げられる。
【0021】
本実施形態において、基板22がモーター30によって回転軸RXを中心に回転する際に、光軸AX1と平行な方向から見て、青色光束BBの照射領域が周方向で第1領域A1に重なる期間を第1期間、青色光束BBの照射領域が周方向で第2領域A2に重なる期間を第2期間とする。
図2では、第1期間の状態を示している。
【0022】
第1期間では、ホモジナイザー光学系14から出力された青色光束BBは、裏面22bから基板22に入射し、基板22及びダイクロイック膜26を透過し、蛍光体層24に入射する。蛍光体層24は、入射した青色光束BBによって励起され、青色光束BBを黄色光Yに波長変換し、黄色光Yを蛍光体層24の厚み方向でダイクロイック膜26に向かう側及びダイクロイック膜26に向かう側とは反対側に射出する。蛍光体層24からダイクロイック膜26に向かって射出された黄色光Yは、ダイクロイック膜26で反射され、蛍光体層24を通過し、蛍光体層24からダイクロイック膜26に向かう側とは反対側に射出される。すなわち、第1期間では、
図1に示すように、回転蛍光板20に対して青色光束BBの入射側とは反対側に回転蛍光板20から黄色光Yが出力される。
【0023】
一方、第2期間では、青色光束BBは基板を裏面22bから表面22aへ透過する。第2期間では、回転蛍光板20に対して青色光束BBの入射側とは反対側に青色光束BBのみが出力される。以下の説明では、第2状態で回転蛍光板20から出力される青色光束BBを単に「青色光B」と記載する場合がある。
【0024】
コリメート光学系41は、第1レンズ41A及び第2レンズ41Bを備え、回転蛍光板20から出力された光(後述する黄色光Y又は青色光B)を平行化する。第1レンズ41A及び第2レンズ41Bの各々は、例えば凸レンズである。
【0025】
第1レンズアレイ51は、複数のマイクロレンズ53を備え、コリメート光学系41から入射する黄色光Y又は青色光Bを複数のマイクロレンズ53によってマイクロレンズ53と同数の部分光束に分割する。複数のマイクロレンズ53は、回転蛍光板20から出力される黄色光Y又は青色光Bの光軸AX2に直交する平面内で互いに隙間をあけずにマトリクス状に配置されている。
【0026】
第2レンズアレイ52は、複数のマイクロレンズ54を備え、第1レンズアレイ51から射出された黄色光Y又は青色光Bの各々の複数の部分光束を重畳レンズ70と共に、後述する画像光生成装置100の各光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域に結像させる。複数のマイクロレンズ54は、光軸AX2に直交する平面内で互いに隙間をあけずにマトリクス状に配置されている。複数のマイクロレンズ54は、光軸AX2と直交する平面に平行な方向において、複数のマイクロレンズ53に対応し、複数のマイクロレンズ53と重なるように配置されている。
【0027】
偏光変換素子60は、第1レンズアレイ51から射出された複数の部分光束の偏光を、所定の偏光方向の直線偏光に変換する。所定の偏光方向の直線偏光は、S偏光又はP偏光である。偏光変換素子60は、偏光分離層と、反射層と、位相差板とを有する。偏光分離層は、回転蛍光板20から出力された黄色光Y又は青色光Bに含まれる偏光成分のうち所定の直線偏光成分を透過させ、黄色光Y又は青色光Bに含まれる偏光成分のうち偏光方向が所定の偏光方向に対して90°をなす他の直線偏光成分を光軸AX2に直交する方向に反射する。反射層は、偏光分離層で反射された他の直線偏光成分を光軸AX2に平行な方向に反射する。位相差板は、反射層で反射された他の直線偏光成分を所定の直線偏光成分に変換する。なお、
図1では、符号を付していないが、偏光変換素子60の偏光分離層、反射層、及び位相差板が簡略的に図示されている。
【0028】
重畳レンズ70は、偏光変換素子60から射出された黄色光Y又は青色光Bの各々の複数の部分光束を集光して各光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域に重畳させる。第1レンズアレイ51、第2レンズアレイ52及び重畳レンズ70は、回転蛍光板20から出力された黄色光Y又は青色光Bの光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。上述の構成を備えた光源装置10から、青色光B又は黄色光Yが角度範囲RG1,RG2に応じて時系列で出力される。
【0029】
画像光生成装置100は、光源装置10から出力される青色光B又は黄色光Yの光路に配置されている。黄色光Yは、互いに異なる色光である赤色光R及び緑色光Gを含む。
【0030】
画像光生成装置100は、色分離部3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6と、を備える。
【0031】
色分離部3は、第1ダイクロイックミラー7aと、第2ダイクロイックミラー7bと、反射素子8aと、反射素子8bと、反射素子8cと、第1リレーレンズ9aと、第2リレーレンズ9bと、を備えている。
【0032】
第1ダイクロイックミラー7aは、光源装置10から出力される青色光B又は黄色光Yのうち、赤色光Rを透過し、青色光B又は緑色光Gを含む黄色光Yを反射する。つまり、第1ダイクロイックミラー7aは、回転蛍光板20から射出された光を、青色波長帯の青色光Bと、青色波長帯および黄色波長帯とは異なる第3波長帯である赤色波長帯の赤色光Rと、赤色波長帯とは異なる第4波長帯である緑色波長帯の緑色光Gと、に分離する、特許請求の範囲に記載の「分離光学系」を構成する。
【0033】
一方、第2ダイクロイックミラー7bは、第1ダイクロイックミラー7aで反射された青色光B又は緑色光Gのうち、青色光Bを透過し、緑色光Gを反射する。これにより、第2ダイクロイックミラー7bは、緑色光Gと青色光Bとを含む光を緑色光Gと青色光Bとに分離する。
【0034】
反射素子8aは、第1ダイクロイックミラー7aにより分離された赤色光Rの光路中に配置され、第1ダイクロイックミラー7aを透過した赤色光Rを光変調装置4Rに向けて反射する。反射素子8aは、赤色光Rを反射する反射面8a1、及び、反射面8a1とは反対側の裏面8a2を有する。本実施形態において、反射素子8aは特許請求の範囲に記載の「第3反射素子」に相当する。
【0035】
一方、反射素子8bおよび反射素子8cは、青色光Bの光路中に配置され、第2ダイクロイックミラー7bを透過した青色光Bを光変調装置4Bに導く。反射素子8cは、青色光Bを反射する反射面8c1、および、反射面8c1とは反対側の裏面8c2を有する。本実施形態において、反射素子8cは特許請求の範囲に記載の「第2反射素子」に相当する。
緑色光Gは、第2ダイクロイックミラー7bから光変調装置4Gに向けて反射される。
【0036】
第1光センサー81は、反射素子8aの裏面8a2に対向する位置に配置される。赤色光Rは、反射素子8aの反射面8a1で概ね反射されるものの、ほんの僅かの成分が透過してしまう。第1光センサー81は、このような赤色光Rにおける反射素子8aの透過成分を裏面8a2側で受光し、赤色光Rの光強度を検出する。
【0037】
第2光センサー82は、反射素子8cの裏面8c2に対向する位置に配置される。青色光Bは、反射素子8cの反射面8c1で概ね反射されるものの、ほんの僅かの成分が透過してしまう。第2光センサー82は、このような青色光Bにおける反射素子8cの透過成分を裏面8c2側で受光し、青色光Bの光強度を検出する。
【0038】
第1光センサー81および第2光センサー82は検出結果を制御装置200へ送信する。制御装置200は、第1光センサー81および第2光センサー82の検出結果に基づき、後述のように光源11の駆動を制御する。
【0039】
第1リレーレンズ9aは、青色光Bの光路中における第2ダイクロイックミラー7bおよび反射素子8bの間に配置されている。第2リレーレンズ9bは、青色光Bの光路中における反射素子8bおよび反射素子8cの間に配置されている。第1リレーレンズ9aおよび第2リレーレンズ9bは、青色光Bの光路長が赤色光Rや緑色光Gの光路長よりも長くなることに起因した青色光Bの光損失を補償する。
【0040】
光変調装置4Rは、赤色光Rを画像情報に応じて変調し、赤色光Rに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光Gを画像情報に応じて変調し、緑色光Gに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光Bを画像情報に応じて変調し、青色光Bに対応した画像光を形成する。
【0041】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側および射出側のそれぞれには、図示しない偏光板が配置されている。
【0042】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ40Rが配置されている。フィールドレンズ40Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光Rを平行化する。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ40Gが配置されている。フィールドレンズ40Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光Gを平行化する。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ40Bが配置されている。フィールドレンズ40Bは、光変調装置4Bに入射する青色光Bを平行化する。
【0043】
合成光学系5には、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出される画像光が入射する。合成光学系5は、赤色光R、緑色光G、および青色光Bのそれぞれに対応する画像光を生成し、各色の画像光を投射光学装置6に向けて時系列で出力する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
【0044】
投射光学装置6は、複数の投射レンズを有する。投射光学装置6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大された映像が表示される。
【0045】
図1に示すように、制御装置200は、信号処理装置202と、パルス幅変調(Pulse Width Modulation;PWM)信号生成装置204と、光源駆動装置206と、回転蛍光板駆動装置208と、液晶駆動装置210と、を備える。制御装置200は、外部から入力される画像信号V1の信号処理を行い、信号処理によって得られる情報を用いて光源装置10の光源11と、回転蛍光板20のモーター30と、画像光生成装置100の光変調装置4R,4G,4Bと、を制御する。なお、制御装置200は、光源11に対してPWM制御を行うことにより、光源11から射出される青色光束BBの光量を制御する。制御装置200は、例えば信号処理装置202、PWM信号生成装置204、光源駆動装置206、回転蛍光板駆動装置208、及び液晶駆動装置210の各々の処理をプログラムとして内蔵されたコンピューターや集積回路によって構成されている。すなわち、制御装置200は、例えばプロセッサーである。
【0046】
信号処理装置202は、例えば不図示の画像入力装置によってプロジェクター1の外部から入力される画像信号V1に対して信号処理を行い、光源11、モーター30、各光変調装置4R,4G,4Bを制御するために必要な情報を得る。
【0047】
信号処理装置202は、画像信号V1に基づいて表示されるべき画像の明るさの代表値を示すパラメーターを算出し、算出したパラメーターに基づいて光源11を制御するための制御信号C1を出力する。
信号処理装置202は、回転蛍光板駆動装置208から出力される回転検出信号C0を取得し、モーター30の回転数を制御する回転制御信号C2を出力する。
PWM信号生成装置204は、信号処理装置202から出力される制御信号C1に基づいて光源11の駆動を制御するためのPWM信号S1を生成する。
【0048】
光源駆動装置206は、PWM信号生成装置204で生成されるPWM信号S1に基づいて、光源11に供給する駆動電流を変化させる駆動信号D1を生成する。光源駆動装置206で生成される駆動信号D1は、パルス状の信号であり、光源11の各々の発光素子11Sに供給される信号である。駆動信号D1の振幅、周波数(パルス幅)は、PWM信号S1に基づいて規定される。光源駆動装置206は、第1光センサー81および第2光センサー82の検出結果に基づいて駆動信号D1を補正する。
【0049】
回転蛍光板駆動装置208は、モーター30の回転数を検出し、検出した回転数を回転検出信号C0として信号処理装置202に出力する。また、回転蛍光板駆動装置208は、信号処理装置202から出力される回転制御信号C2に基づいてモーター30を駆動する駆動信号D2を生成してモーター30に出力し、結果として基板22を回転軸RX回りに回転制御信号C2に応じた回転速度で回転させる。
【0050】
液晶駆動装置210は、信号処理装置202で伸張処理が行われた画像信号V1から、各光変調装置4R,4G,4Bを生成する。
【0051】
以下、制御装置200における動作について説明する。
本実施形態のプロジェクター1において、制御装置200は、上述のように、光源11の各発光素子11Sをパルス幅変調(PWM)で制御することで青色光束BBの出力を制御している。制御装置200は、PWM制御により、光源11の各発光素子11Sの点灯および消灯を周期的に切り替え、点灯時間(オン時間)と消灯時間(オフ時間)との比を変えることにより青色光束BBの輝度を調整可能である。
【0052】
図3は制御装置200が光源11に供給する駆動信号の一例を示す図である。
図3において、縦軸は光源11に供給する電流値に対応し、横軸は時間に対応する。
図3に示すように、制御装置200は、回転蛍光板20の回転時に、青色光束BBが基板22の第1領域A1に入射する第1期間T1と青色光束BBが基板22の第2領域A2に入射する第2期間T2との間で、駆動信号D1におけるパルス幅を変化させている。
【0053】
具体的に制御装置200は、第1期間T1において光源11の各発光素子11Sを常に点灯状態(オン状態)とするパルス幅PH1とし、第2期間T2において光源11の各発光素子11Sを所定のパルス幅PH2で点灯させた後に消灯する動作を繰り返す、駆動信号D1を光源11に供給する。
【0054】
これにより、回転蛍光板20は、第1期間T1において黄色光Yを常時出力するとともに第2期間T2において青色光Bをパルス状に出力するので、青色光Bを常時出力する場合に比べて、青色光Bの光量を少なくすることができる。
【0055】
よって、制御装置200は、第1期間T1および第2期間T2において光源11に供給する駆動信号D1のパルス幅を変化させることで、回転蛍光板20から出力される黄色光Yと青色光Bとの光量バランス、すなわち、色バランスを調整することができる。
【0056】
さらに、制御装置200は、第1光センサー81により検出した赤色光Rの光強度および第2光センサー82により検出した青色光Bの光強度に基づいて、第1期間T1および第2期間T2において光源11に供給する駆動信号D1のパルス幅を変化させるため、回転蛍光板20から出力される黄色光Yと青色光Bとの光量バランスをより高精度に調整できる。
【0057】
なお、制御装置200は、駆動信号D1のうちの第2期間T2におけるパルス幅PH2を狭める又は拡げることで青色光Bの光量を任意に調整可能である。また、制御装置200は、駆動信号D1のうちの第1期間T1においてもパルス幅PH1を小さくすることで黄色光Yをパルス状に出力させることで黄色光Yと青色光Bとの光量バランス、つまりは色バランスを調整してもよい。
【0058】
回転蛍光板20の回転時において、第1期間T1および第2期間T2は交互に繰り返されるが、第1期間T1および第2期間T2の間には第1期間T1および第2期間T2を跨ぐ移行期間T3が存在する。
【0059】
本実施形態の制御装置200は、第1期間T1および第2期間T2を跨ぐ移行期間T3において光源11を消灯する。つまり、制御装置200は、第1期間T1から第2期間T2に切り替わる際、駆動信号D1の振幅をゼロとする。
【0060】
この構成によれば、第1期間T1と第2期間T2とが切り替わる際、回転蛍光板20から光が出力されない期間を設けることができる。これにより、制御装置200は、光源11の駆動と各光変調装置4R,4G,4Bの駆動との同期を取り易くなる。
よって、制御装置200は、モーター30及び回転蛍光板20の回転と各光変調装置4R,4G,4Bの駆動とを互いに同期させることで、画像光生成装置100の投射光学装置6から赤色の画像光と緑色の画像光と青色の画像光とが時系列で互いに混色せずに出力される。各色の画像光の切り替え速度は、人間の画像認識の速度よりも早く設定されているため、プロジェクター1の使用者及び観察者は、スクリーンSCRでフルカラーの画像を観察することができる。
【0061】
なお、制御装置200は、第1期間T1から第2期間T2に切り替わる際に加えて、あるいは、第1期間T1から第2期間T2に切り替わる際に代えて、第2期間T2から第1期間T1に切り替わる際に駆動信号D1の振幅をゼロにするようにしてもよい。
【0062】
以上のように本実施形態のプロジェクター1は、青色波長帯の青色光束BBを射出する光源11と、青色光束BBを黄色光Yに変換する回転蛍光板20と、回転蛍光板20から射出された光を変調する光変調装置4R,4G,4Bと、光源11に駆動電流を供給する駆動信号D1を制御する制御装置200と、を備える。回転蛍光板20は、基板22と、回転軸RXを中心に基板22を回転させるモーター30と、基板22に設けられた蛍光体層24と、を有する。基板22は、回転軸RXの周方向に並び、青色光束BBが入射する第1領域A1および第2領域A2を含む。蛍光体層24は、基板22の第1領域A1に配置され、基板22の第2領域A2に配置されていない。制御装置200は、第1領域A1に青色光束BBが入射する第1期間T1と第2領域A2に青色光束BBが入射する第2期間T2との間で、駆動信号D1における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる。
【0063】
本実施形態のプロジェクター1によれば、制御装置200が第1期間T1と第2期間T2との間で振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させた駆動信号D1を光源11に供給することで回転蛍光板20から出力する黄色光Yと青色光Bとの光量バランスを簡便かつ精度良く調整できる。よって、色バランスに優れた良質な画像をスクリーンSCR上に投射するプロジェクターを提供できる。
【0064】
(第1変形例)
以下、プロジェクターの第1変形例について説明する。
本変形例と第1実施形態との違いは制御装置が光源11に供給する駆動信号である。そのため、以下では駆動信号について説明する。なお、第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、説明の詳細については省略する。
【0065】
図4は本変形例の駆動信号の一例を示す図である。
本変形例の制御装置200は、回転蛍光板20の回転時に、
図4に示すように、青色光束BBが基板22の第1領域A1に入射する第1期間T1と青色光束BBが基板22の第2領域A2に入射する第2期間T2との間で、駆動信号D2におけるパルス幅に加えて振幅も変化させている。
【0066】
本変形例の場合、第1期間T1については第1実施形態と同様であるが、第2期間T2において所定のパルス幅PH2を有するとともに電流値を規定する振幅を小さくした駆動信号D2を光源11に供給する。
【0067】
これにより、回転蛍光板20は、第2期間T2において光源11に供給する電流値を小さくすることで、青色光Bの光量を少なくする場合の調整幅が拡がる。よって、本変形例によれば、第1期間T1および第2期間T2において光源11に供給する駆動信号D2のパルス幅および振幅を変化させることで、回転蛍光板20から出力される黄色光Yと青色光Bとの光量バランスを精度良く調整することができる。
【0068】
したがって、本変形例のプロジェクターによれば、回転蛍光板20から出力する黄色光Yと青色光Bとの光量バランスを精度良く調整できるため、色バランスに優れた良質な画像をスクリーンSCR上に投射することができる。
【0069】
本変形例において、制御装置200は、駆動信号D2のうちの第1期間T1においてもパルス幅PH1及び振幅を小さくすることで黄色光Yと青色光Bとの光量バランスを調整してもよい。
【0070】
また、本変形例では、第1期間T1と第2期間T2との間で、光源11に供給する駆動信号における振幅およびパルス幅の両方を変化させる場合を例に挙げたが、駆動信号における振幅のみを変化させることで回転蛍光板20から出力される光の光量バランスを調整してもよい。
【0071】
(第2変形例)
以下、プロジェクターの第2変形例について説明する。
本変形例と第1実施形態との違いは光センサーの配置である。そのため、以下では光センサーの配置について説明する。なお、第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、説明の詳細については省略する。
【0072】
図5は本変形例の光源装置を示す概略構成図である。
図5に示すように、本変形例の光源装置10Aは、第1実施形態の光源装置10の構成に加え、回転蛍光板20とコリメート光学系41との間に配置された反射素子83をさらに備える。反射素子83は、回転蛍光板20から射出されてコリメート光学系41から入射する黄色光Y又は青色光Bの光路中に配置され、黄色光Y又は青色光Bを第1レンズアレイ51に向けて反射する。
【0073】
反射素子83は、回転蛍光板20から射出された黄色光Y又は青色光Bを反射する反射面83a、及び、反射面83aとは反対側の裏面83bを有する。本実施形態において、反射素子83は特許請求の範囲に記載の「第1反射素子」に相当する。
【0074】
本変形例のプロジェクターにおいて、光センサー80は、反射素子83の裏面83bに対向する位置に配置される。回転蛍光板20から射出された黄色光Y又は青色光Bは、反射素子83の反射面83aで概ね反射されるものの、ほんの僅かの成分が透過してしまう。光センサー80は、このような透過成分を裏面83b側で受光し、黄色光Y又は青色光Bの光強度を検出する。
【0075】
光センサー80は、例えば、赤色波長帯、緑色波長帯、青色波長帯を分離する光学フィルターと、光学フィルターで分離された赤色成分、緑色成分、及び、青色成分をそれぞれ独立して受光する受光部と、を含む。これにより、光センサー80は、時系列で入射される黄色光Y又は青色光Bを赤色成分、緑色成分、又は、青色成分に分離して受光することで、各色光の光強度を検出する。光センサー80は検出結果を制御装置200へ送信し、制御装置200は、光センサー80の検出結果に基づき、第1実施形態と同様、光源11の駆動を制御する。
【0076】
したがって、本変形例の光源装置10Aを備えたプロジェクターにおいても、回転蛍光板20から出力する黄色光Yと青色光Bとの光量バランスを精度良く調整できるため、色バランスに優れた良質な画像をスクリーンSCR上に投射することができる。
【0077】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。
第2実施形態と第1実施形態とは画像光生成装置の構成が異なる。そのため、以下では画像光生成装置の構成について説明する。なお、第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、説明の詳細については省略する。
【0078】
図6は本実施形態のプロジェクターを示す概略構成図である。
図6では光源装置10を簡略化して図示している。
本実施形態のプロジェクター101は、
図6に示すように、光源装置10と、画像光生成装置100Aと、制御装置200と、を備える。
【0079】
画像光生成装置100Aは、ダイクロイックミラー110と、反射ミラー112,114と、集光レンズ121,122と、第1光変調装置140と、第2光変調装置150と、ダイクロイックミラー180と、投射光学装置6と、を備える。
すなわち、本実施形態の画像光生成装置100Aは、第1実施形態の画像光生成装置100と異なり、液晶パネルからなる光変調装置を2つ備える点で異なっている。
【0080】
波長選択素子であるダイクロイックミラー110は、入射する青色光B又は黄色光Yのうち、青色光B又は緑色光Gを透過し、赤色光Rを反射する。光源装置10から出力された青色光B又は黄色光Yは、ダイクロイックミラー110に入射し、青色光B又は黄色光Yのうち、青色光B又は緑色光Gはダイクロイックミラー110を透過し、赤色光Rはダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gとは異なる方向に反射される。すなわち、光源装置10から出力された青色光B又は黄色光Yは、ダイクロイックミラー110によって青色光B又は緑色光Gと赤色光Rとに分岐される。
【0081】
反射ミラー112は、ダイクロイックミラー110を透過した青色光B又は緑色光Gの光路に配置され、入射する青色光B又は緑色光Gを第1光変調装置140に向けて反射する。反射ミラー114は、ダイクロイックミラー110で反射された赤色光Rの光路に配置され、入射する赤色光Rを第2光変調装置150に向けて反射する。
【0082】
反射ミラー112によって反射された青色光B又は緑色光Gの光路と反射ミラー114によって反射された赤色光Rの光路とは、所定の位置で互いに交差する。前述の所定の位置に、ダイクロイックミラー180が配置されている。集光レンズ121及び第1光変調装置140は、反射ミラー112とダイクロイックミラー180との間の青色光B又は緑色光Gの光路に順次配置されている。集光レンズ122及び第2光変調装置150は、反射ミラー114とダイクロイックミラー180との間の赤色光Rの光路に順次配置されている。
【0083】
集光レンズ121は、反射ミラー112で反射された青色光B又は緑色光Gを第1光変調装置140の画像形成領域に集光する。第1光変調装置140は液晶パネルで構成され、集光レンズ121から射出されて入射する青色光B又は緑色光Gを制御装置200から入力される青色に関する画像信号又は緑色に関する画像信号に応じて変調し、青色の画像光IB又は緑色の画像光IGを生成及び出力する。
【0084】
集光レンズ122は、反射ミラー114で反射された赤色光Rを第2光変調装置150の画像形成領域に集光する。
第2光変調装置150は、集光レンズ122から射出されて入射する赤色光Rを外部から入力される赤色に関する画像信号に応じて変調し、赤色の画像光を生成及び出力する。第2光変調装置150は、例えば第1光変調装置140と同様に液晶パネルで構成される。
【0085】
ダイクロイックミラー180は、入射する青色の画像光IB又は緑色の画像光IGを透過し、赤色の画像光IRを反射する。第1光変調装置140から射出された青色の画像光又は緑色の画像光と、第2光変調装置150から射出された赤色の画像光は、ダイクロイックミラー180に入射する。ダイクロイックミラー180に入射した青色の画像光IB又は画像光IGは、ダイクロイックミラー180を透過する。ダイクロイックミラー180に入射した画像光IRは、画像光IB又は画像光IGと同一の光路に向けて反射される。すなわち、第1光変調装置140から出力された画像光IG及び第2光変調装置150から出力された画像光IRは、ダイクロイックミラー180によって互いに合成され、黄色の画像光IYを形成する。ダイクロイックミラー180は、画像光IY,IBを互いに共通の光路に時系列で出力する。以下の説明では、画像光IY又は画像光IBをまとめて画像光IMと記載する場合がある。
【0086】
投射光学装置6は、ダイクロイックミラー180から射出される画像光IMの光路に配置され、入射する画像光IMをスクリーンSCRに向けて拡大投射し、スクリーンSCR上に画像を形成する。
【0087】
制御装置200は、外部から入力される画像信号V1の信号処理を行い、信号処理によって得られる情報を用いて光源装置10の光源11と、回転蛍光板20のモーター30と、画像光生成装置100Aの第1光変調装置140及び第2光変調装置150と、を制御する。
【0088】
本実施形態の制御装置200は、液晶駆動装置210において、信号処理装置202で伸張処理が行われた画像信号V1から、第1光変調装置140および第2光変調装置150の各々を駆動する信号を生成する。
【0089】
本実施形態のプロジェクター101によれば、制御装置200が第1期間T1と第2期間T2との間で振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させた駆動信号を光源11に供給することで回転蛍光板20から出力する黄色光Yと青色光Bとの光量バランスを簡便かつ精度良く調整できる。よって、画像光生成装置100Aとして2つの光変調装置を備えるプロジェクターにおいても色バランスに優れた良質な画像を投射することができる。
【0090】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態で示した波長変換装置、照明装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料、製造方法等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態では第1光センサー81、第2光センサー82を配置したが、いずれか一方のみを配置するようにしてもよい。
【0091】
例えば、上記実施形態の回転蛍光板20において、第1領域A1および第2領域A2はそれぞれ1つずつ設けられていたが、第1領域A1および第2領域A2は周方向において複数ずつ、例えば、2つずつ設けられていてもよい。この場合、第1領域A1および第2領域A2は基板22の周方向において交互に設けられる。
【0092】
また、上記実施形態の回転蛍光板20は、青色光束BBの入射側とは反対側に黄色光Yを出力する透過型の蛍光板を例に挙げたが、本発明はこれに限られず、反射型の蛍光板を用いてもよい。この場合において、基板の表面に光反射性を有する反射膜を設けてもよいし、光反射性を有する金属材料で基板を構成してもよい。
【0093】
また、第1実施形態において、制御装置200は、第1期間T1から第2期間T2に切り替わる際、駆動信号D1の振幅をゼロとする場合を例に挙げたが、駆動信号D1の振幅をゼロとする期間を設けなくてもよい。
【0094】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
第1波長帯の第1光を射出する光源と、
前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換装置と、
前記波長変換装置から射出された光を変調する光変調装置と、
前記光源に駆動電流を供給する駆動信号を制御する制御装置と、を備え、
前記波長変換装置は、基板と、回転軸を中心に前記基板を回転させる回転装置と、前記基板に設けられた波長変換層と、を有し、
前記基板は、前記回転軸の周方向に並び、前記第1光が入射する第1領域および第2領域を含み、
前記波長変換層は、前記基板の前記第1領域に配置され、前記基板の前記第2領域に配置されておらず、
前記制御装置は、前記第1領域に前記第1光が入射する第1期間と前記第2領域に前記第1光が入射する第2期間との間で、前記駆動信号における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0095】
この構成のプロジェクターによれば、第1期間と第2期間との間で振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させた駆動信号を光源に供給するため、波長変換装置から出力する各色光の光量バランスを簡便かつ精度良く調整することができる。よって、この構成のプロジェクターは、色バランスに優れた良質な画像を投射することができる。
【0096】
(付記2)
前記制御装置は、前記第1期間および前記第2期間を跨ぐ移行期間において、
前記移行期間に移行する前に比べて前記駆動信号の振幅を小さくする、又は、前記光源を消灯する、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0097】
この構成によれば、第1期間と第2期間とが切り替わる際、波長変換装置から出力される光の光量を抑えることができる。よって、制御装置は、光源の駆動と光変調装置の駆動との同期を取り易くなるので、各色の画像光を時系列で出力する場合における混色の発生を抑制することができる。
【0098】
(付記3)
前記波長変換装置から射出された光を検出する光センサーをさらに備え、
前記制御装置は、前記光センサーの検出結果に基づいて、前記駆動信号における振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させる、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載のプロジェクター。
【0099】
この構成によれば、波長変換装置から射出された光の光強度に基づいて、駆動信号の振幅およびパルス幅のうち少なくとも一方を変化させるため、波長変換装置から出力する各色光の光量バランスを高精度に調整することができる。
【0100】
(付記4)
前記波長変換装置から射出された光を反射する反射面、および、前記反射面とは反対側の裏面を有する第1反射素子と、をさらに備え、
前記光センサーは、前記第1反射素子の前記裏面と対向する位置に配置されている、
ことを特徴とする付記3に記載のプロジェクター。
【0101】
この構成によれば、第1反射素子の裏面側に透過した成分を光センサーの検出に利用することができる。よって、光センサーが波長変換装置から射出された光の光路を遮ることがない。また、波長変換装置から射出された光を分離することなく、光強度を検出することができる。
【0102】
(付記5)
前記波長変換装置から射出された光を、前記第1波長帯の光と、前記第1波長帯および前記第2波長帯とは異なる第3波長帯の光と、前記第3波長帯とは異なる第4波長帯の光と、に分離する分離光学系と、
前記分離光学系により分離された前記第1波長帯の光を反射する反射面、および、前記反射面とは反対側の裏面を有する第2反射素子と、
前記分離光学系により分離された前記第3波長帯の光を反射する反射面、および、前記反射面とは反対側の裏面を有する第3反射素子と、
前記光センサーは、前記第2反射素子の前記裏面および前記第3反射素子の前記裏面の少なくとも一方と対向する位置に配置されている、
ことを特徴とする付記3に記載のプロジェクター。
【0103】
この構成によれば、波長変換装置から射出された光を波長帯毎に分離した各光が入射する反射素子の裏面側に透過した成分を光センサーの検出に利用することができる。よって、各光センサーが波長変換装置から射出された光の光路を遮ることがない。また、波長変換装置から射出された光を波長帯毎に分離した光の光強度をそれぞれ検出するため、より精度の高い検出が可能となる。
【符号の説明】
【0104】
1,101…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、8a…反射素子(第3反射素子)、8c…反射素子(第2反射素子)、83…反射素子(第1反射素子)、11…光源、20…回転蛍光板(波長変換装置)、22…基板、8a2,8c2,83b…裏面、24…蛍光層(波長変換層)、30…モーター(回転装置)、80…光センサー、8a1,8c1,83a…反射面、200…制御装置、A1…第1領域、A2…第2領域、BB…青色光束(第1光)、D1,D2…駆動信号、PH1,PH2…パルス幅、RX…回転軸、T1…第1期間、T2…第2期間、T3…移行期間。