(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132091
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】生体情報測定装置、及び生体情報測定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/026 20060101AFI20240920BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240920BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/026 120
A61B5/02 310B
A61B5/02 310F
A61B5/0245 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042747
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】沢渡 彩映
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AA11
4C017AA12
4C017AB02
4C017AC28
4C017FF15
(57)【要約】
【課題】光透過材料は、表面及び裏面でレーザー光を反射する。表面で反射した表面反射光と裏面で反射した裏面反射光とによって干渉光が生成される場合がある。干渉光は、生体情報の測定精度を低下させる。
【解決手段】生体情報測定装置は、レーザー光を生体に出射する発光部と、前記レーザー光の一部を反射させて第1光束と第2光束とに分離する光透過部材と、前記第1光束を検出する第1受光部と、散乱光を検出する第2受光部と、を備え、前記光透過部材は、前記レーザー光が入射する第1面と、前記第1面に入射した前記レーザー光が入射する第2面とを有し、前記発光部と前記第1受光部とが配置される入射面と前記第1面との交線と平行な平行軸を第1軸とし、前記第1面上で前記第1軸と直交する直交軸を第2軸としたとき、前記レーザー光の前記第1軸に沿った第1径D1と前記レーザー光の前記第2軸に沿った第2径D2とは、D1<D2の関係を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を生体に出射する発光部と、
前記レーザー光の一部を反射させて、第1光束と第2光束とに分離する光透過部材と、
前記第1光束を検出する第1受光部と、
前記第2光束が前記生体に入射したときに発生する散乱光を検出する第2受光部と、を備え、
前記光透過部材は、前記レーザー光が入射する第1面と、前記第1面に入射した前記レーザー光が入射する第2面とを有し、
前記発光部と前記第1受光部とが配置される入射面と前記第1面との交線と平行な平行軸を第1軸とし、前記第1面上で前記第1軸と直交する直交軸を第2軸としたとき、前記レーザー光の前記第1軸に沿った第1径D1と前記レーザー光の前記第2軸に沿った第2径D2とは、
D1<D2
の関係を有する、
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記第1径D1と、前記レーザー光の前記第1面への入射角θと、前記光透過部材の厚さtと、前記光透過部材の屈折率nとは、
D1<(t×sinθ)/n
の関係を有する、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記第1受光部で前記第1光束を受光することによって得られる第1検出信号、及び前記第2受光部で前記散乱光を受光することによって得られる第2検出信号を入力する差動回路と、
前記差動回路から出力される出力信号を用いて、生体情報を演算する演算部と、
を備える、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記発光部、前記第1受光部、及び前記第2受光部を収容するケースを有し、
前記ケースは、前記生体と対向する位置に通過口を有し、
前記光透過部材は、前記通過口に取り付けられる、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記ケースに取り付けられ、前記生体に巻き付けられるバンドを備え、
前記バンドは、前記発光部と前記第2受光部の配列方向と平行もしくは略平行に取り付けられる、
請求項4に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
レーザー光を生体に出射する発光部と、前記レーザー光の一部を反射させて第1光束と第2光束とに分離する光透過部材と、前記第1光束を検出して第1検出信号を生成する第1受光部と、前記第2光束が前記生体に入射したときに発生する散乱光を検出して第2検出信号を生成する第2受光部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号を入力して出力信号を生成する差動回路と、前記出力信号を送信する通信ユニットと、を有する生体情報測定装置と、
前記出力信号を受信する端末通信ユニットと、前記出力信号を用いて前記生体の生体情報を解析する解析ユニットと、を有する制御装置と、を備え、
前記光透過部材は、前記レーザー光が入射する第1面と、前記第1面に入射した前記レーザー光が入射する第2面とを有し、
前記発光部と前記第1受光部とが配置される入射面と前記第1面との交線と平行な平行軸を第1軸とし、前記第1面上で前記第1軸と直交する直交軸を第2軸としたとき、前記レーザー光の前記第1軸に沿った第1径D1と前記レーザー光の前記第2軸に沿った第2径D2とは、
D1<D2
の関係を有する、
生体情報測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報測定装置、及び生体情報測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を生体に出射する生体情報測定装置が知られている。特許文献1には、生体情報測定装置の一例である生体情報取得装置が記載される。特許文献1に記載される生体情報取得装置は、光分岐素子と、第1受光素子と、第2受光素子と、差動回路と、を備える。光分岐素子は、レーザー光を分岐する光透過材料で構成される。第1受光素子は、光分岐素子で分岐された第1光束を受光する。第2受光素子は、生体で散乱された散乱光を受光する。差動回路は、第1受光素子及び第2受光素子に接続される。差動回路は、光検出信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光透過材料は、表面及び裏面でレーザー光を反射する。表面で反射した表面反射光と裏面で反射した裏面反射光とによって干渉光が生成される場合がある。干渉光は、生体情報の測定精度を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の生体情報測定装置は、レーザー光を生体に出射する発光部と、前記レーザー光の一部を反射させて、第1光束と第2光束とに分離する光透過部材と、前記第1光束を検出する第1受光部と、前記第2光束が前記生体に入射したときに発生する散乱光を検出する第2受光部と、を備え、前記光透過部材は、前記レーザー光が入射する第1面と、前記第1面に入射した前記レーザー光が入射する第2面とを有し、前記発光部と前記第1受光部とが配置される入射面と前記第1面との交線と平行な平行軸を第1軸とし、前記第1面上で前記第1軸と直交する直交軸を第2軸としたとき、前記レーザー光の前記第1軸に沿った第1径D1と前記レーザー光の前記第2軸に沿った第2径D2とは、D1<D2の関係を有する。
【0006】
本開示の生体情報測定システムは、レーザー光を生体に出射する発光部と、前記レーザー光の一部を反射させて第1光束と第2光束とに分離する光透過部材と、前記第1光束を検出して第1検出信号を生成する第1受光部と、前記第2光束が前記生体に入射したときに発生する散乱光を検出して第2検出信号を生成する第2受光部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号を入力して出力信号を生成する差動回路と、前記出力信号を送信する通信ユニットと、を有する生体情報測定装置と、前記出力信号を受信する端末通信ユニットと、前記出力信号を用いて前記生体の生体情報を解析する解析ユニットと、を有する制御装置と、を備え、前記光透過部材は、前記レーザー光が入射する第1面と、前記第1面に入射した前記レーザー光が入射する第2面とを有し、前記発光部と前記第1受光部とが配置される入射面と前記第1面との交線と平行な平行軸を第1軸とし、前記第1面上で前記第1軸と直交する直交軸を第2軸としたとき、前記レーザー光の前記第1軸に沿った第1径D1と前記レーザー光の前記第2軸に沿った第2径D2とは、D1<D2の関係を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】発光素子ユニットから出射されるレーザー光の概略構成を示す図。
【
図5】検出ユニットによる光学測定の概略を示す図。
【
図6】光分岐素子近傍の反射光の拡大構成を示す図。
【
図7】光分岐素子の表面上のスポットの概略構成を示す図。
【
図8】光分岐素子近傍の反射光の拡大構成を示す図。
【
図9】検出ユニットによる光学測定の概略を示す図。
【
図10】カバーガラス近傍の反射光の拡大構成を示す図。
【
図11】カバーガラスの表面上のスポットの概略構成を示す図。
【
図12】カバーガラス近傍の反射光の拡大構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、測定装置100の概略構成を示している。測定装置100は、血流量、血液量、血流速度、脈拍等の生体情報、もしくは生体情報に係る各種データを測定する。使用者Mは、生体の一例に対応する。
図1に示す測定装置100は、使用者Mの測定部位に装着される腕時計型の携帯機器である。測定装置100は、使用者Mの手首に装着される。測定装置100は、腕時計型に限定されない。測定装置100は、使用者Mに装着できる構成であれば、測定装置100の形態は限定されない。測定装置100は、血流量、血液量、血流速度、脈拍等を経時的に測定する。測定装置100は、血流量等以外の生体情報を測定してもよい。測定装置100は、一例として、血中酸素飽和濃度、皮膚灌流圧等を測定する。測定装置100は、筐体1と、ベルト2と、を備える。筐体1は、検出ユニット3、及び表示ユニット4を収容する。測定装置100は、生体情報測定装置の一例に対応する。
【0009】
筐体1は、測定装置100に備えられるユニット等を収容する外装である。筐体1は、測定面1aと表示面1bとを有する。測定面1aは、使用者Mの測定部位と対向する面である。測定面1aの少なくとも一部は、使用者Mの測定部位と接触する。表示面1bは、使用者Mによって視認可能な面である。筐体1は、検出ユニット3、及び表示ユニット4に加え、後述する制御ユニット30、及びメモリー40等を収容する。筐体1は、ケースの一例に対応する。
【0010】
ベルト2は、使用者Mの測定部位に筐体1を装着するときに用いられる部材である。ベルト2は、筐体1の側面等に取り付けられる。ベルト2は、測定部位に巻回されることで筐体1を使用者Mの測定部位に装着する。
図1に示す測定装置100は、ベルト2を備えるが、これに限定されない。測定装置100は、ベルト2を備えなくてもよい。測定装置100は、テープ等によって使用者Mの胸、腕等に装着されてもよい。測定装置100は、ベルト2を用いて使用者Mの測定部位に巻き付けられることが好ましい。測定装置100は、ベルト2を用いて使用者Mの測定部位に装着されることによって、後述する発光素子ユニット10と受光素子ユニット20の使用者Mに対する配置が決められる。ベルト2は、バンドの一例に対応する。
【0011】
検出ユニット3は、筐体1の測定面1aに配置される。検出ユニット3は、使用者Mの測定部位と対向する位置に配置される。検出ユニット3は、生体情報を測定する際に用いられる各種データを取得する。
【0012】
表示ユニット4は、筐体1の表示面1bに配置される。表示ユニット4は、使用者Mに対して視認可能に構成される。表示ユニット4は、測定された各種生体情報を表示する。表示ユニット4は、生体情報の信頼度指標、時刻等生体情報以外の情報を表示してもよい。表示ユニット4は、設けられなくてもよい。
【0013】
図2は、測定装置100の測定面1aの概略構成を示している。
図2は、測定装置100の測定面1aを使用者Mの測定部位側から見たときの概略構成を示している。
図2に示す測定面1aは、円形状で構成されているが、これに限定されない。測定面1aは、四角形状、楕円形状等各種形状に構成されてもよい。測定面1aには、検出ユニット3が配置される。検出ユニット3は、発光素子ユニット10と、受光素子ユニット20と、を有する。検出ユニット3は、図示しない温度検出センサー、電源端子等を有してもよい。
【0014】
図2を含む複数の図は、XYZ座標系を示している。X軸は、発光素子ユニット10と受光素子ユニット20が配列する方向と平行な軸である。+X方向は、発光素子ユニット10から受光素子ユニット20に向かう方向である。-X方向は、受光素子ユニット20から発光素子ユニット10に向かう方向である。Y軸は、測定面1a内でX軸に直交する軸である。+Y方向は、
図2の下方から上方へ向かう方向である。-Y方向は、
図2の上方から下方に向かう方向である。Z軸は測定面1aに対して垂直な軸である。+Z方向は、測定面1aから表示面1bに向かう方向である。-Z方向は、表示面1bから測定面1aに向かう方向である。
【0015】
ベルト2は、測定装置100の筐体1に取り付けられる。ベルト2は、筐体1に対してX軸と平行もしくは略平行に取り付けられる。ベルト2が、筐体1に対してX軸と平行もしくは略平行に取り付けられることによって、発光素子ユニット10と受光素子ユニット20は、使用者Mの手首の周方向に配置される。ベルト2は、レーザー発光素子11を含む発光素子ユニット10と受光素子21を含む受光素子ユニット20が配列される配列方向と平行もしくは略平行に取り付けられることが好ましい。略平行は、X軸と配列方向との交角が5°以内を示す。使用者Mの体動による測定精度の低下が抑えられる。
【0016】
発光素子ユニット10は、使用者Mの測定部位に向けて光を発光する。発光素子ユニット10は、レーザー発光素子11を有する。発光素子ユニット10は、レーザー発光素子11と異なる発光素子を有してもよい。レーザー発光素子11と異なる発光素子は、一例として、ベアチップ型、もしくは砲弾型のLED(Light Emitting Diode)で構成される。発光素子ユニット10は、複数のレーザー発光素子11を有してもよい。レーザー発光素子11の数は、適宜設定される。
【0017】
レーザー発光素子11は、生体に向けてレーザー光を出射する。レーザー発光素子11は、半導体レーザーで構成される。レーザー発光素子11は、一例として、垂直共振器面発光レーザーで構成される。レーザー発光素子11の構成は、発光するレーザー光の波長域に対応して適宜設定される。レーザー発光素子11は、近赤外領域内の所定の波長のレーザー光を出射する。出射するレーザー光の波長は、一例として、800nmから1300nmの範囲である。出射するレーザー光の周波数は、75THzから400THzの範囲である。レーザー発光素子11は、発光部の一例に対応する。
【0018】
受光素子ユニット20は、反射光RL及び散乱光SLを受光する。反射光RLは、後述するカバーガラス5もしくは光分岐素子27で反射される光である。反射光RLは、第1光束の一例に対応する。散乱光SLは、生体で散乱された光である。受光素子ユニット20は、発光素子ユニット10が生体にレーザー光を出射したときに発生する散乱光SLを受光する。受光素子ユニット20は、反射光RL及び散乱光SLを受光する受光素子21を有する。受光素子21は、1または複数のフォトダイオードで構成される。フォトダイオードは、光電変換層がインジウムガリウム砒素(InGaAs)、ガリウム砒素(GaAs)、シリコン等で構成される素子である。受光素子21に用いられるフォトダイオードは、受光する光の波長等によって適宜選択される。受光素子21は、受光部の一例に対応する。
【0019】
図3は、測定装置100のブロック構成を示している。
図3は、ベルト2を除く測定装置100を示している。測定装置100は、筐体1内に各種ユニット等を収容する。測定装置100は、検出ユニット3と、制御ユニット30と、メモリー40と、表示ユニット4と、通信インターフェイス50と、を備える。筐体1には、使用者Mと対向する位置に筐体開口1cが設けられる。筐体開口1cは、レーザー発光素子11から出射されるレーザー光を通過させる。筐体開口1cには、カバーガラス5が取り付けられてもよい。カバーガラス5が設けられないとき、筐体開口1cは、光分岐素子27を透過した透過光TLを通過させる。筐体開口1cは、通過口の一例に対応する。
図3に示す測定装置100は、筐体開口1cにカバーガラス5を設けている。
【0020】
カバーガラス5は、筐体1内に塵芥等の異物が混入することを妨げる保護部材である。カバーガラス5は、筐体1に取り付けられる。カバーガラス5は、筐体1に取り付けられてもよいし、取り付けられなくてもよい。カバーガラス5は、使用者Mの測定部位と対向する位置に設けられる。カバーガラス5は、レーザー発光素子11から出射されるレーザー光を透過させる。カバーガラス5は、使用者Mの測定部位で発生する散乱光SLを透過させる。カバーガラス5を透過する散乱光SLは、受光素子21で受光される。カバーガラス5は、ガラス等の光透過材料で構成される。カバーガラス5の少なくとも一部は、使用者Mと接触してもよい。カバーガラス5は、発光素子ユニット10が光分岐素子27を有していない場合、光分岐素子27として機能する。カバーガラス5が光分岐素子27として機能する場合、カバーガラス5は、光透過部材の一例に対応する。発光素子ユニット10が光分岐素子27を有している場合、カバーガラス5は、保護部材として機能する。
【0021】
検出ユニット3は、レーザー光を用いて測定される生体情報に係るデータを光検出信号として検出する光学センサーモジュールである。検出ユニット3は、発光素子ユニット10、駆動回路13と、受光素子ユニット20、信号変換ユニット23と、を備える。
【0022】
発光素子ユニット10は、レーザー光を使用者Mに向けて出射する。発光素子ユニット10は、レーザー発光素子11を有する。発光素子ユニット10は、光分岐素子27を有してもよい。発光素子ユニット10は、図示しない整形光学系を有してもよい。整形光学系は、レーザー光のスポットLSの形状を整形する。レーザー発光素子11は、レーザー光を出射光OLとして、使用者Mに出射する。出射光OLは、筐体開口1cもしくは筐体開口1cに取り付けられるカバーガラス5を透過して使用者Mに照射される。
【0023】
駆動回路13は、レーザー発光素子11を駆動させる。駆動回路13は、制御ユニット30の制御によって、レーザー発光素子11を発光させる。駆動回路13は、レーザー発光素子11の発光タイミング、発光時間、発光光量等を制御する。駆動回路13は、レーザー発光素子11が出射するレーザー光の波長、レーザー光のスポットLSの大きさ等を制御してもよい。
【0024】
受光素子ユニット20は、反射光RL及び散乱光SLを受光する。散乱光SLは、発光素子ユニット10が使用者Mに向けてレーザー光を照射したときに発生する。散乱光SLは、カバーガラス5及び光分岐素子27の少なくとも一方を透過した透過光TLが使用者Mの測定部位に入射したときに発生する。受光素子ユニット20は、第1受光素子21a、第2受光素子21b、及び後述する集光レンズ25を有する。受光素子ユニット20は、ビームスプリッター、プリズム等を有してもよい。
【0025】
第1受光素子21aは、反射光RLを受光する。反射光RLの周波数である反射光周波数frは、出射光OLの周波数である出射光周波数f0と同じである。第1受光素子21aは、周波数がf0である光を受光する。第1受光素子21aは、反射光RLを受光し、第1電気信号に変換する。第1受光素子21aは、第1電気信号を信号変換ユニット23に送信する。第1受光素子21aは、第1受光部の一例に対応する。第1電気信号は、第1検出信号の一例に対応する。
【0026】
第2受光素子21bは、散乱光SLを受光する。散乱光SLは、静止組織で透過光TLを拡散反射した第1成分光と、毛細血管内で移動する赤血球で透過光TLを拡散反射した第2成分光とを含む。第1成分光の周波数である第1周波数f1は、レーザー発光素子11で出射される出射光OLの出射光周波数f0と同じである。第2成分光の周波数である第2周波数f2は、出射光周波数f0に対して、赤血球の移動速度に応じてドップラー効果によって変動する。第2周波数f2は、出射光周波数f0に対して、赤血球の移動速度に比例した周波数シフト量変動する。第2受光素子21bは、周波数シフト量が反映された光ビート信号を検出する。第2受光素子21bは、光ビート信号を含む散乱光SLを受光し、第2電気信号に変換する。第2受光素子21bは、第2電気信号を信号変換ユニット23に送信する。第2受光素子21bは、第2受光部の一例に対応する。第2電気信号は、第2検出信号の一例に対応する。
【0027】
第1受光素子21aと第2受光素子21bは、それぞれ異なるフォトダイオードで構成されてもよいし、1つのフォトダイオードで構成されてもよい。フォトダイオードが複数の受光領域に分割され、複数の受光領域のそれぞれが第1受光素子21a及び第2受光素子21bとして機能する。受光素子ユニット20は、レーザー光と異なる光を受光する素子を有してもよい。
【0028】
信号変換ユニット23は、受光素子ユニット20から送信される第1電気信号及び第2電気信号を受信する。信号変換ユニット23は、第1電気信号及び第2電気信号を用いて光検出信号に生成し、制御ユニット30に送信する。光検出信号は、光ビート信号を含む。信号変換ユニット23は、差動増幅器24を含む。信号変換ユニット23は、抽出回路、アナログ―デジタル変換回路等を有してもよい。抽出回路は、電気信号からAC成分を抽出する。アナログ―デジタル変換回路は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。光検出信号は、出力信号の一例に対応する。
【0029】
差動増幅器24は、第1電気信号と第2電気信号とを入力する。差動増幅器24は、第1電気信号と第2電気信号との間の差電圧を一定係数で増幅する。差動増幅器24は、増幅した差電圧を出力する。差動増幅器24は、差電圧を出力することによって、ドップラー効果によって変動した第2成分光に対応する信号を抽出する。差動増幅器24は、第1電気信号と第2電気信号とを用いて光検出信号を生成する。差動増幅器24は、差動回路の一例に対応する。
【0030】
制御ユニット30は、各種ユニットの動作を制御する制御コントローラーである。制御ユニット30は、一例として、CPU(Central Processing Unit)を有するプロセッサーである。制御ユニット30は、1又は複数のプロセッサーで構成される。制御ユニット30は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)もしくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されてもよい。制御ユニット30は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリーを有してもよい。半導体メモリーは、制御ユニット30のワークエリアとして機能する。制御ユニット30は、メモリー40に記憶される制御プログラムを実行することによって、検出制御部31、データ処理部33、及び表示制御部35として機能する。検出制御部31、データ処理部33、及び表示制御部35は、機能部である。制御ユニット30は、各機能部によって、発光素子ユニット10及び受光素子ユニット20を制御する。
【0031】
検出制御部31は、発光素子ユニット10及び受光素子ユニット20を制御する。検出制御部31は、駆動回路13を介して、レーザー発光素子11の駆動を制御する。検出制御部31は、レーザー発光素子11の発光タイミング、発光強度、発光パターン等を調整する。検出制御部31は、受光素子21を制御する。検出制御部31は、受光素子21の受光タイミング、第1電気信号及び第2電気信号の出力タイミング等を調整する。
【0032】
データ処理部33は、光検出信号を用いて、生体情報を演算する。データ処理部33は、光検出信号に対して、高速フーリエ変換等の周波数解析を行う。データ処理部33は、周波数解析を行うことによって、光検出信号から強度スペクトルを算定する。データ処理部33は、強度スペクトルから血液量、血流量等を演算する。血液量は、単位体積内の赤血球の個数に関する指標である。血液量は、使用者Mの血液量に関する指標である。血流量は、単位時間当たりの動脈内を移動する血液の体積である。血流量は、使用者Mの血流量に関する指標である。データ処理部33は、血流量を用いて血圧等を算出してもよい。データ処理部33は、光検出信号を用いて、脈拍等を演算してもよい。データ処理部33は、血液量、血流量等の生体情報を表示制御部35に出力する。データ処理部33は、血液量、血流量等の生体情報をメモリー40、通信インターフェイス50等に送信してもよい。データ処理部33は、演算部の一例に対応する。
【0033】
表示制御部35は、表示ユニット4の表示を制御する。表示制御部35は、表示ユニット4に表示データを送信することによって、表示ユニット4に各種画像を表示させる。表示制御部35は、所定のタイミングでデータ処理部33から生体情報を取得する。表示制御部35は、血液量等を含む表示データを生成する。表示制御部35は、血圧等を含む表示データを生成してもよい。表示制御部35は、表示データを表示ユニット4に出力する。表示制御部35は、表示データに基づいて、生体情報を表示ユニット4に表示させる。
【0034】
メモリー40は、各種データを記憶する。メモリー40は、各種ユニットを動作させる制御データ、制御ユニット30で測定された各種データ等を記憶する。メモリー40は、データ処理部33で用いられる各種演算データを記憶する。メモリー40は、データ処理部33で測定された生体情報を記憶してもよい。メモリー40は、制御ユニット30で動作する制御プログラムを記憶する。メモリー40は、ROMやRAM等で構成される。
【0035】
通信インターフェイス50は、タブレット端末200と通信接続するインターフェイス回路である。通信インターフェイス50は、タブレット端末200と所定のプロトコルに従って、有線、もしくは無線で接続する。通信インターフェイス50は、例えば、有線通信用の接続ポート、無線通信用のアンテナ等を備える。通信インターフェイス50は、タブレット端末200から制御データ、使用者Mに係る情報等を受信する。通信インターフェイス50は、タブレット端末200に各種生体情報を送信する。通信インターフェイス50は、光検出信号等の測定データを送信してもよい。通信インターフェイス50は、タブレット端末200以外の外部装置と通信接続してもよい。通信インターフェイス50は、通信ユニットの一例に対応する。
【0036】
図4は、発光素子ユニット10から出射されるレーザー光の概略構成を示している。
図4は、レーザー発光素子11、受光素子21、及びガラス部材60を斜視図で示している。ガラス部材60は、カバーガラス5もしくは光分岐素子27を示している。
図4は、入射面ISを示している。入射面ISは、レーザー発光素子11と第1受光素子21aとが配置される仮想面である。
図4は、使用者Mを省略している。使用者Mの測定部位は、ガラス部材60の下方に位置する。ガラス部材60は、光透過部材を示す。
【0037】
出射光OLは、レーザー発光素子11から出射されるレーザー光である。出射光OLは、使用者Mに向けて出射される。出射光OLは、ガラス部材60の表面S1からガラス部材60の内部に入射する。表面S1は、出射光OLが入射する面である。表面S1は、レーザー発光素子11と対向する面である。表面S1は、カバーガラス5もしくは光分岐素子27のレーザー光が入射する面である。表面S1は、第1面の一例に対応する。
【0038】
ガラス部材60の内部に入射する透過光TLは、ガラス部材60の内部を通過する。ガラス部材60の裏面S2に到達した透過光TLは、裏面S2を透過し、使用者Mの測定部位を照射する。裏面S2は、表面S1に入射した透過光TLが入射する面である。裏面S2は、カバーガラス5もしくは光分岐素子27の表面S1に入射したレーザー光が入射する面である。裏面S2は、第2面の一例に対応する。
【0039】
出射光OLの一部は、ガラス部材60の表面S1で反射する。表面S1で反射した表面反射光RL1は、第1受光素子21aに向けて移動する。表面反射光RL1は、反射光RLの一例である。表面反射光RL1は、第1受光素子21aで受光される。
【0040】
出射光OL及び表面反射光RL1は、入射面IS上を通過する。入射面ISは、表面S1と交差する。入射面ISと表面S1は、交線ILで交差する。ここで、交線ILと平行な平行軸は、第1光学軸A1と表す。表面S1上で交線ILと直交する直交軸は、第2光学軸A2と表す。表面S1と直交する垂直軸は、第3光学軸A3と表す。第1光学軸A1は、第1軸の一例に対応する。第2光学軸A2は、第2軸の一例に対応する。
【0041】
第1実施形態
第1実施形態は、光分岐素子27を有する検出ユニット3で光検出信号を検出する光学構成を示す。第1実施形態では、第1受光素子21aは光分岐素子27で反射された反射光RLを受光する。第1実施形態では、カバーガラス5を備えてもよいし、備えていなくてもよい。第1受光素子21aは、カバーガラス5で反射されたカバーガラス反射光を受光しない。
【0042】
図5は、検出ユニット3による光学測定の概略を示している。
図5は、カバーガラス5、レーザー発光素子11、第1受光素子21a、第2受光素子21b、集光レンズ25、及び光分岐素子27を示している。
図5は、レーザー発光素子11が出射光OLを使用者Mに向けて出射したときの反射光RL、透過光TL、及び散乱光SLを示している。
図5は、入射面IS上の出射光OL、反射光RL、透過光TL及び散乱光SLを示している。レーザー発光素子11、第1受光素子21a、及び第2受光素子21bは、X軸に沿って配列される。レーザー発光素子11、第1受光素子21a、及び第2受光素子21bの配列方向は、X軸と平行である。
【0043】
出射光OLは、レーザー発光素子11によって使用者Mの測定部位に向けて出射される。出射光OLは、光分岐素子27に入射する。出射光OLは、光分岐素子27によって反射光RLと透過光TLに分離される。出射光OLは、光分岐素子27の表面S1、及び裏面S2で反射される。
【0044】
反射光RLは、出射光OLが光分岐素子27によって反射された光である。反射光RLは、表面反射光RL1と裏面反射光RL2とを含む。反射光RLは、+Z方向に反射される。反射光RLは、第1受光素子21aに向けて反射する。反射光RLは、第1受光素子21aによって受光される。
【0045】
表面反射光RL1は、出射光OLが光分岐素子27の表面S1で反射された光である。表面反射光RL1は、出射光OLの一部が表面S1で反射することによって生成される。表面反射光RL1は、第1受光素子21aに向けて反射する。表面反射光RL1は、第1受光素子21aによって受光される。
【0046】
裏面反射光RL2は、表面S1を入射した出射光OLが光分岐素子27の裏面S2で反射された光である。裏面反射光RL2は、表面S1を入射した透過光TLの一部が裏面S2で反射することによって生成される。裏面反射光RL2は、第1受光素子21aに向けて反射する。裏面反射光RL2は、光分岐素子27の内部を通過する。裏面反射光RL2は、表面S1から外部に出射する。裏面反射光RL2は、第1受光素子21aによって受光される。
【0047】
透過光TLは、光分岐素子27から透過された光である。透過光TLは、使用者Mの測定部位に向けて照射される。
図5に示す透過光TLは、カバーガラス5を透過し、使用者Mの測定部位を照射する。カバーガラス5が設けられていない場合、透過光TLは、筐体開口1cを通過して、使用者Mの測定部位を照射する。透過光TLは、第2光束の一例に対応する。
【0048】
透過光TLは、カバーガラス5に入射するときにカバーガラス反射光が生成される。カバーガラス反射光は、カバーガラス5の面で反射される光である。カバーガラス反射光は、第1受光素子21aで受光されないことが好ましい。第1受光素子21a及び光分岐素子27は、第1受光素子21aがカバーガラス反射光を受光しない位置に設けられる。
【0049】
散乱光SLは、透過光TLが使用者Mの測定部位を照射することによって生成される。散乱光SLは、使用者Mの生体組織や赤血球によって反射した光である。散乱光SLは、カバーガラス5もしくは筐体開口1cを通過する。散乱光SLは、集光レンズ25によって集光される。集光された散乱光SLは、第2受光素子21bによって受光される。
【0050】
集光レンズ25は、散乱光SLを集光する。集光レンズ25は、散乱光SLを集光することによって、散乱光SLの光強度を増加させる。
図5は、1個の集光レンズ25を示しているが、これに限定されない。複数の集光レンズ25が散乱光SLの光路上に設けられてもよい。
【0051】
第2受光素子21bは、散乱光SLを受光する。第2受光素子21bは、集光レンズ25で集光された散乱光SLを受光する。第2受光素子21bは、散乱光SLを受光することによって、第2電気信号を生成する。
【0052】
カバーガラス5が、筐体開口1cに取り付けられるとき、第2受光素子21bは、カバーガラス反射光を受光しないことが好ましい。第2受光素子21bがカバーガラス反射光を受光することを妨げる遮光部材が、カバーガラス5と第2受光素子21bとの間に設けられてもよい。
【0053】
図6は、光分岐素子27近傍の反射光RLの拡大構成を示している。
図6は、レーザー発光素子11、カバーガラス5、受光素子21、集光レンズ25、透過光TL、及び散乱光SLを省略して示している。
図6は、光分岐素子27近傍の表面反射光RL1及び裏面反射光RL2の概略構成を示している。
図6は、出射光OLの第1入射角θ1、光分岐素子27の第1ガラス厚さt1、第1スポット径SD1、及び重複領域DAを示している。
【0054】
出射光OLの第1入射角θ1は、出射光OLが光分岐素子27の表面S1に入射するときの角度である。第1入射角θ1は、光分岐素子27に入射する出射光OLと第3光学軸A3と平行な軸との間の角度である。第3光学軸A3は、第1光学軸A1及び第2光学軸A2に対して直交する軸である。出射光OLは、第1入射角θ1で光分岐素子27の表面S1に入射する。
【0055】
光分岐素子27の第1ガラス厚さt1は、光分岐素子27の第3光学軸A3に沿った厚さである。第1ガラス厚さt1は、予め設定される。光分岐素子27は、第1ガラス厚さt1で、第1ガラス屈折率n1の光透過材料で構成される。第1ガラス厚さt1は、光透過部材の厚さtの一例に対応する。第1ガラス屈折率n1は、光透過部材の屈折率nの一例に対応する。
【0056】
第1スポット径SD1は、出射光OLの第1光学軸A1に沿った径である。第1スポット径SD1は、光分岐素子27の表面S1上のスポットLSの第1光学軸A1に沿った径である。第1スポット径SD1は、第1軸に沿った第1径D1の一例に対応する。
【0057】
重複領域DAは、表面反射光RL1と裏面反射光RL2が重複する領域である。重複領域DAでは、表面反射光RL1と裏面反射光RL2の干渉光が生じる。表面反射光RL1と裏面反射光RL2では、位相が異なる。表面反射光RL1と裏面反射光RL2が重なることによって、出射光OLと周波数が異なる干渉光が生じる。干渉光が第1受光素子21aで受光されると、光検出信号の検出精度が低下する。重複領域DAは狭く設定されることが好ましい。
【0058】
図7は、光分岐素子27の表面S1上のスポットLSの概略構成を示している。
図7は、表面S1上のレーザー光のスポットLSの形状を示している。
図7は、スポットLSの第1光学軸A1に沿った第1スポット径SD1と、第2光学軸A2に沿った第2スポット径SD2とを示している。
【0059】
第2スポット径SD2は、出射光OLの第2光学軸A2に沿った径である。第2スポット径SD2は、光分岐素子27の表面S1上のスポットLSの第2光学軸A2に沿った径である。第2スポット径SD2は、第2軸に沿った第2径D2の一例に対応する。
【0060】
第1スポット径SD1が小さくなると、重複領域DAは減少する。重複領域DAが減少すると、表面反射光RL1と裏面反射光RL2の干渉光が減少する。干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。一方、第1スポット径SD1が小さくなると、反射光RL及び散乱光SLの光量が低下する。反射光RL及び散乱光SLの光量が低下すると、光量低下によって光検出信号の検出精度が低下する。第2スポット径SD2は、重複領域DAに影響を与えない。第2スポット径SD2が大きくなっても、干渉光による光検出信号の測定精度は低下し難い。従って、第1スポット径SD1と第2スポット径SD2とを、SD1<SD2の関係とする。スポットLSの形状が、円形ではなく、第1スポット径SD1が第2スポット径SD2よりも小さい形状であることによって、干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。スポットLSの形状が、第2スポット径SD2が第1スポット径SD1よりも大きい形状であることによって、散乱光SLと反射光RLの光量低下が抑えられる。
【0061】
測定装置100は、レーザー光を使用者Mに出射するレーザー発光素子11と、レーザー光の一部を反射させて、反射光RLと透過光TLとに分離する光分岐素子27と、反射光RLを検出する第1受光素子21aと、透過光TLが使用者Mに入射したときに発生する散乱光SLを検出する第2受光素子21bと、を備える。光分岐素子27は、レーザー光が入射する表面S1と、表面S1に入射したレーザー光が入射する裏面S2とを有する。レーザー発光素子11と第1受光素子21aとが配置される入射面ISと表面S1との交線ILと平行な平行軸を第1光学軸A1とし、表面S1上で第1光学軸A1と直交する直交軸を第2光学軸A2としたとき、レーザー光の第1光学軸A1に沿った第1スポット径SD1とレーザー光の第2光学軸A2に沿った第2スポット径SD2とは、SD1<SD2の関係を有する。
レーザー光のスポットLSの形状が、円形ではなく、第1スポット径SD1が第2スポット径SD2よりも小さい形状であることによって、干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。スポットLSの形状が、第2スポット径SD2が第1スポット径SD1よりも大きい形状であることによって、散乱光SLと反射光RLの光量低下が抑えられる。
【0062】
測定装置100は、第1受光素子21aで反射光RLを受光することによって得られる第1電気信号、及び第2受光素子21bで散乱光SLを受光することによって得られる第2電気信号を入力する差動増幅器24と、差動増幅器24から出力される光検出信号を用いて、生体情報を演算するデータ処理部33と、を備える。
測定装置100は、光検出信号を用いて、血液量等の生体情報を求めることができる。
【0063】
測定装置100は、筐体1に取り付けられ、使用者Mに巻き付けられるベルト2を備える。ベルト2は、レーザー発光素子11と第2受光素子21bの配列方向と平行もしくは略平行に取り付けられることが好ましい。
レーザー発光素子11と第2受光素子21bが使用者Mの手首の周方向に沿って配置されることによって、使用者Mの体動による測定精度の低下が抑えられる。
【0064】
図8は、光分岐素子27近傍の反射光RLの拡大構成を示している。
図8は、レーザー発光素子11、受光素子21、集光レンズ25、透過光TL、及び散乱光SLを省略して示している。
図8は、光分岐素子27近傍の表面反射光RL1及び裏面反射光RL2の概略構成を示している。
図8は、出射光OLの第1入射角θ1、光分岐素子27の第1ガラス厚さt1、及び第1スポット径SD1を示している。
【0065】
図8は、第1スポット径SD1を、下記の式(1)の関係としたときの状態を示している。
SD1<(t1×sinθ1)/n1 (1)
第1スポット径SD1を式(1)の関係を有する径とすると、
図8に示すように表面反射光RL1と裏面反射光RL2は、重複しない。表面反射光RL1と裏面反射光RL2が重複する重複領域DAが形成されない。表面反射光RL1と裏面反射光RL2との干渉光の発生が抑えられる。表面反射光RL1と裏面反射光RL2との干渉光による光検出信号の検出精度の低下がより抑えられる。
【0066】
第1スポット径SD1と、レーザー光の表面S1への入射角θ1と、光分岐素子27の第1ガラス厚さt1と、光分岐素子27の屈折率n1とは、
SD1<(t1×sinθ1)/n1
の関係を有することが好ましい。
表面反射光RL1と裏面反射光RL2との干渉光による光検出信号の検出精度の低下がより抑えられる。
【0067】
第2実施形態
第2実施形態は、カバーガラス5で反射する反射光RLを検出する検出ユニット3を用いる構成を示している。第2実施形態では、第1受光素子21aはカバーガラス5で反射された反射光RLを受光する。第2実施形態では、光分岐素子27を備えていない。カバーガラス5は、第1実施形態の光分岐素子27として機能する。
【0068】
図9は、検出ユニット3による光学測定の概略を示している。
図9は、カバーガラス5、レーザー発光素子11、第1受光素子21a、第2受光素子21b、集光レンズ25、及び反射ミラー29を示している。
図9は、レーザー発光素子11が出射光OLを使用者Mに向けて出射したときの反射光RL、及び散乱光SLを示している。
図9は、入射面IS上の出射光OL、反射光RL、及び散乱光SLを示している。レーザー発光素子11、第1受光素子21a、及び第2受光素子21bは、X軸に沿って配列される。レーザー発光素子11、第1受光素子21a、及び第2受光素子21bの配列方向は、X軸と平行もしくは略平行である。
【0069】
出射光OLは、レーザー発光素子11によって使用者Mの測定部位に向けて出射される。出射光OLは、カバーガラス5に入射する。出射光OLは、カバーガラス5によって反射光RLと透過光TLに分離される。出射光OLは、カバーガラス5の表面S1、及び裏面S2で反射される。
【0070】
反射光RLは、出射光OLがカバーガラス5によって反射された光である。反射光RLは、表面反射光RL1と裏面反射光RL2とを含む。反射光RLは、+Z方向に反射する。反射光RLは、反射ミラー29に向けて反射する。反射光RLは、反射ミラー29によって第1受光素子21aに向けて反射する。反射光RLは、第1受光素子21aによって受光される。
【0071】
表面反射光RL1は、出射光OLがカバーガラス5の表面S1で反射された光である。表面反射光RL1は、出射光OLの一部が表面S1で反射することによって生成される。表面反射光RL1は、反射ミラー29に向けて反射する。表面反射光RL1は、反射ミラー29によって第1受光素子21aに向けて反射する。表面反射光RL1は、第1受光素子21aによって受光される。
【0072】
裏面反射光RL2は、表面S1を入射した出射光OLがカバーガラス5の裏面S2で反射された光である。裏面反射光RL2は、表面S1を入射した透過光TLの一部が裏面S2で反射されることによって生成される。裏面反射光RL2は、反射ミラー29に向けて反射する。裏面反射光RL2は、カバーガラス5の内部を通過する。裏面反射光RL2は、表面S1から外部に出射する。裏面反射光RL2は、反射ミラー29によって第1受光素子21aに向けて反射する。裏面反射光RL2は、第1受光素子21aによって受光される。
【0073】
反射ミラー29は、反射光RLを第1受光素子21aに向けて反射させる。反射ミラー29は、表面反射光RL1及び裏面反射光RL2を第1受光素子21aに向けて反射させる。反射ミラー29は、表面反射光RL1及び裏面反射光RL2が通過する位置に設けられる。反射ミラー29が設けられることによって、第1受光素子21aの配置位置の自由度が増加する。
【0074】
透過光TLは、カバーガラス5を透過した光である。透過光TLは、使用者Mの測定部位に向けて照射される。透過光TLは、カバーガラス5を透過し、使用者Mの測定部位を照射する。
【0075】
散乱光SLは、透過光TLが使用者Mの測定部位を照射することによって生成される。散乱光SLは、使用者Mの生体組織や赤血球によって反射した光である。散乱光SLは、カバーガラス5を通過する。散乱光SLは、集光レンズ25によって集光される。集光された散乱光SLは、第2受光素子21bによって受光される。
【0076】
集光レンズ25は、散乱光SLを集光する。集光レンズ25は、散乱光SLを集光することによって、散乱光SLの光強度を増加させる。
図9は、1個の集光レンズ25を示しているが、これに限定されない。複数の集光レンズ25が散乱光SLの光路上に設けられてもよい。
【0077】
第2受光素子21bは、散乱光SLを受光する。第2受光素子21bは、集光レンズ25で集光された散乱光SLを受光する。第2受光素子21bは、散乱光SLを受光することによって、第2電気信号を生成する。
【0078】
図10は、カバーガラス5近傍の反射光RLの拡大構成を示している。
図10は、レーザー発光素子11、カバーガラス5、第1受光素子21a、第2受光素子21b、集光レンズ25、反射ミラー29、透過光TL、及び散乱光SLを省略して示している。
図10は、カバーガラス5近傍の表面反射光RL1及び裏面反射光RL2の概略構成を示している。
図10は、出射光OLの第2入射角θ2、カバーガラス5の第2ガラス厚さt2、第3スポット径SD3、及び重複領域DAを示している。
【0079】
出射光OLの第2入射角θ2は、出射光OLがカバーガラス5の表面S1に入射するときの角度である。第2入射角θ2は、カバーガラス5に入射する出射光OLと第3光学軸A3と平行な軸との間の角度である。出射光OLは、第2入射角θ2でカバーガラス5の表面S1に入射する。
【0080】
カバーガラス5の第2ガラス厚さt2は、カバーガラス5の第3光学軸A3に沿った厚さである。第2ガラス厚さt2は、予め設定される。カバーガラス5は、第2ガラス厚さt2で、第2ガラス屈折率n2の光透過材料で構成される。第2ガラス厚さt2は、光透過部材の厚さtの一例に対応する。第2ガラス屈折率n2は、光透過部材の屈折率nの一例に対応する。
【0081】
第3スポット径SD3は、出射光OLの第1光学軸A1に沿った径である。第3スポット径SD3は、カバーガラス5の表面S1上のスポットLSの第1光学軸A1に沿った径である。第3スポット径SD3は、第1軸に沿った第1径D1の一例に対応する。
【0082】
重複領域DAは、表面反射光RL1と裏面反射光RL2が重複する領域である。重複領域DAでは、表面反射光RL1と裏面反射光RL2の干渉光が生じる。表面反射光RL1と裏面反射光RL2では、位相が異なる。表面反射光RL1と裏面反射光RL2が重なることによって、出射光OLと周波数が異なる干渉光が生じる。干渉光が第1受光素子21aで受光されると、光検出信号の検出精度が低下する。重複領域DAは狭く設定されることが好ましい。
【0083】
図11は、カバーガラス5の表面S1上のスポットLSの概略構成を示している。
図11は、表面S1上のレーザー光のスポットLSの形状を示している。
図11は、スポットLSの第1光学軸A1に沿った第3スポット径SD3と、第2光学軸A2に沿った第4スポット径SD4とを示している。
【0084】
第4スポット径SD4は、出射光OLの第2光学軸A2に沿った径である。第4スポット径SD4は、カバーガラス5の表面S1上のスポットLSの第2光学軸A2に沿った径である。第4スポット径SD4は、第2軸に沿った第2径D2の一例に対応する。
【0085】
第3スポット径SD3が小さくなると、重複領域DAは減少する。重複領域DAが減少すると、表面反射光RL1と裏面反射光RL2の干渉光が減少する。干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。一方、第3スポット径SD3が小さくなると、反射光RL及び散乱光SLの光量が低下する。反射光RL及び散乱光SLの光量が低下すると、光量低下によって光検出信号の検出精度が低下する。第4スポット径SD4は、重複領域DAに影響を与えない。第4スポット径SD4が大きくなっても、干渉光による光検出信号の測定精度は低下し難い。従って、第3スポット径SD3と第4スポット径SD4とを、SD3<SD4の関係とする。スポットLSの形状が、円形ではなく、第3スポット径SD3が第4スポット径SD4よりも小さい形状であることによって、干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。スポットLSの形状が、第4スポット径SD4が第3スポット径SD3よりも大きい形状であることによって、散乱光SLと反射光RLの光量低下が抑えられる。
【0086】
測定装置100は、レーザー光を使用者Mに出射するレーザー発光素子11と、レーザー光の一部を反射させて、反射光RLと透過光TLとに分離するカバーガラス5と、反射光RLを検出する第1受光素子21aと、透過光TLが使用者Mに入射したときに発生する散乱光SLを検出する第2受光素子21bと、を備える。カバーガラス5は、レーザー光が入射する表面S1と、表面S1に入射したレーザー光が入射する裏面S2とを有する。レーザー発光素子11と第1受光素子21aとが配置される入射面ISと表面S1との交線ILと平行な平行軸を第1光学軸A1とし、表面S1上で第1光学軸A1と直交する直交軸を第2光学軸A2としたとき、レーザー光の第1光学軸A1に沿った第3スポット径SD3とレーザー光の第2光学軸A2に沿った第4スポット径SD4とは、SD3<SD4の関係を有する。
レーザー光のスポットLSの形状が、円形ではなく、第3スポット径SD3が第4スポット径SD4よりも小さい形状であることによって、干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。スポットLSの形状が、第4スポット径SD4が第3スポット径SD3よりも大きい形状であることによって、散乱光SLと反射光RLの光量低下が抑えられる。
【0087】
測定装置100は、レーザー発光素子11、第1受光素子21a、及び第2受光素子21bを収容する筐体1を有する。筐体1は、使用者Mと対向する位置に筐体開口1cを有し、カバーガラス5は、筐体開口1cに取り付けられる。
カバーガラス5は、反射光RLと透過光TLとを分離する機能を有することで、光分岐素子27を省くことができる。
【0088】
図12は、カバーガラス5の近傍の反射光RLの拡大構成を示している。
図12は、レーザー発光素子11、第1受光素子21a、第2受光素子21b、集光レンズ25、反射ミラー29、透過光TL、及び散乱光SLを省略して示している。
図12は、カバーガラス5の近傍の表面反射光RL1及び裏面反射光RL2の概略構成を示している。
図12は、出射光OLの第2入射角θ2、カバーガラス5の第2ガラス厚さt2、及び第3スポット径SD3を示している。
【0089】
図12は、第3スポット径SD3を、下記の(2)式の関係としたときの状態を示している。
SD3<(t2×sinθ2)/n2 (2)
第3スポット径SD3を式(2)の関係を有する径とすると、
図12に示すように表面反射光RL1と裏面反射光RL2は、重複しない。表面反射光RL1と裏面反射光RL2が重複する重複領域DAが形成されない。表面反射光RL1と裏面反射光RL2との干渉光の発生が抑えられる。表面反射光RL1と裏面反射光RL2との干渉光による光検出信号の検出精度の低下がより抑えられる。
【0090】
第3実施形態
第3実施形態は、測定システム1000で生体情報を解析するシステムを示している。測定装置100は、光検出信号をタブレット端末200に送信する。測定装置100は、第1電気信号及び第2電気信号をタブレット端末200に送信してもよい。タブレット端末200は、光検出信号を用いて生体情報を演算する。もしくは、タブレット端末200は、第1電気信号及び第2電気信号を用いて生体情報を演算する。タブレット端末200は、生体情報を解析して、解析結果をディスプレイ210に表示する。
【0091】
図13は、測定システム1000の概略構成を示している。測定システム1000は、血流量、血液量、血流速度、脈拍等を測定する。測定システム1000は、測定結果を用いて心拍数、血圧等の評価を行う。測定システム1000は、一例として、血流量を指標として血圧等の評価を行う。測定システム1000は、生体情報測定システムの一例に対応する。
【0092】
測定システム1000は、測定装置100とタブレット端末200とを備える。測定装置100とタブレット端末200は、通信可能に接続される。
図13に示す測定システム1000は、測定装置100とタブレット端末200とを無線で通信接続する。測定装置100とタブレット端末200との接続は、無線に限定されない。測定装置100とタブレット端末200は、有線で通信接続されてもよい。タブレット端末200は、制御装置の一例に対応する。
【0093】
図14は、測定システム1000のブロック構成を示している。測定システム1000は、測定装置100と、タブレット端末200とを備える。
図14に示す測定装置100の構成は、データ処理部33の機能を除き、
図3に示す測定装置100と同じである。測定装置100の検出ユニット3は、光分岐素子27を有する。測定装置100の光学構成は、
図5に示す構成と同じである。レーザー発光素子11は、第1スポット径SD1<第2スポット径SD2の関係を有するレーザー光を使用者Mに向けて出射する。レーザー発光素子11は、上記の式(1)の関係を有するレーザー光を使用者Mに向けて出射してもよい。
【0094】
データ処理部33は、信号変換ユニット23から送信される光検出信号を受信する。データ処理部33は、光検出信号を通信インターフェイス50を介して、タブレット端末200に送信させる。データ処理部33は、所定のタイミングで光検出信号をタブレット端末200に送信させる。データ処理部33は、複数の光検出信号を光検出信号群として、タブレット端末200に送信してもよい。データ処理部33は、信号変換ユニット23から電気信号を受信し、タブレット端末200に送信してもよい。
【0095】
タブレット端末200は、血液量等の生体情報を演算することができる。タブレット端末200は、生体情報を解析する。タブレット端末200は、生体情報に基づいて使用者Mの健康状態の解析を行う。タブレット端末200は、ディスプレイ210と、端末制御ユニット220と、端末メモリー230と、端末通信インターフェイス240と、を備える。
【0096】
端末制御ユニット220は、タブレット端末200内の各種ユニットの動作を制御する端末制御コントローラーである。端末制御ユニット220は、使用者Mの生体情報を解析する。端末制御ユニット220は、一例として、CPUを有する端末プロセッサーである。端末制御ユニット220は、1又は複数のプロセッサーで構成される。端末制御ユニット220は、RAM、ROM等の半導体メモリーを有してもよい。半導体メモリーは、端末制御ユニット220のワークエリアとして機能する。端末制御ユニット220は、端末メモリー230に記憶される解析アプリAPを実行することによって、データ生成部221、解析部223、及び通信制御部225として機能する。端末制御ユニット220は、解析ユニットの一例に対応する。
【0097】
データ生成部221は、端末制御ユニット220で動作する機能部である。データ生成部221は、血液量等の生体情報を算出する。データ生成部221は、測定装置100から光検出信号を取得したとき、光検出信号を用いて生体情報を演算する。データ生成部221は、第1実施形態のデータ処理部33と同じ機能を有して、生体情報を演算する。データ生成部221は、生体情報を解析部223に出力する。
【0098】
解析部223は、端末制御ユニット220で動作する機能部である。解析部223は、データ生成部221から出力された生体情報を取得する。解析部223は、生体情報を解析することによって使用者Mの健康状態の解析を行う。解析部223は、生体情報の解析結果をディスプレイ210に出力する。解析部223は、解析結果を端末メモリー230に記憶させてもよい。解析部223は、生体情報を用いた図表データを生成してもよい。解析部223は、生成した図表データをディスプレイ210に出力する。ディスプレイ210は、図表データに基づいて、各種図表を表示する。
【0099】
通信制御部225は、端末制御ユニット220で動作する機能部である。通信制御部225は、測定装置100との通信を制御する。通信制御部225は、測定装置100との通信接続を確立する。通信制御部225は、測定装置100に所定のタイミングで光検出信号、もしくは光検出信号群を送信させる。通信制御部225は、測定装置100に所定のタイミングで電気信号を送信させてもよい。
【0100】
端末メモリー230は、各種データを記憶する。端末メモリー230は、タブレット端末200内の各種ユニットを動作させる制御データを記憶する。端末メモリー230は、端末制御ユニット220で解析された各種解析データ等を記憶してもよい。端末メモリー230は、端末制御ユニット220で動作する解析アプリAPを記憶する。
【0101】
解析アプリAPは、端末制御ユニット220で実行されることによって、各種機能部を動作させる。解析アプリAPは、端末制御ユニット220をデータ生成部221、解析部223、及び通信制御部225として動作させる。解析アプリAPは、端末制御ユニット220をデータ生成部221、解析部223、及び通信制御部225以外の機能部として動作させてもよい。
【0102】
端末通信インターフェイス240は、測定装置100と通信接続する端末インターフェイス回路である。端末通信インターフェイス240は、測定装置100と所定のプロトコルに従って、有線、もしくは無線で接続する。端末通信インターフェイス240は、例えば、有線通信用の接続ポート、無線通信用のアンテナ等を備える。端末通信インターフェイス240は、光検出信号、もしくは光検出信号群を受信する。端末通信インターフェイス240は、測定装置100の動作を制御する各種制御データ、使用者Mに係る情報等を測定装置100に送信する。端末通信インターフェイス240は、測定装置100以外の外部装置と通信接続してもよい。端末通信インターフェイス240は、端末通信ユニットの一例に対応する。
【0103】
測定システム1000は、測定装置100とタブレット端末200とを備える。測定装置100は、レーザー光を使用者Mに出射するレーザー発光素子11と、レーザー光の一部を反射させて反射光RLと透過光TLとに分離する光分岐素子27と、反射光RLを検出して第1電気信号を生成する第1受光素子21aと、透過光TLが使用者Mに入射したときに発生する散乱光SLを検出して第2電気信号を生成する第2受光素子21bと、第1電気信号及び第2電気信号を入力して光検出信号を生成する差動増幅器24と、光検出信号を送信する通信インターフェイス50と、を有する。タブレット端末200は、光検出信号を受信する端末通信インターフェイス240と、光検出信号を用いて使用者Mの生体情報を解析する端末制御ユニット220と、を有する。光分岐素子27は、レーザー光が入射する表面S1と、表面S1に入射したレーザー光が入射する裏面S2とを有する。レーザー発光素子11と第1受光素子21aとが配置される入射面ISと表面S1との交線ILと平行な平行軸を第1光学軸A1とし、表面S1上で第1光学軸A1と直交する直交軸を第2光学軸A2としたとき、レーザー光の第1光学軸A1に沿った第1スポット径SD1とレーザー光の第2光学軸A2に沿った第2スポット径SD2とは、SD1<SD2の関係を有する。
レーザー光のスポットLSの形状が、円形ではなく、第1スポット径SD1が第2スポット径SD2よりも小さい形状であることによって、干渉光による光検出信号の検出精度の低下が抑えられる。スポットLSの形状が、第2スポット径SD2が第1スポット径SD1よりも大きい形状であることによって、散乱光SLと反射光RLの光量低下が抑えられる。
【符号の説明】
【0104】
1…筐体、1a…測定面、1b…表示面、1c…筐体開口、2…ベルト、3…検出ユニット、4…表示ユニット、5…カバーガラス、10…発光素子ユニット、11…レーザー発光素子、13…駆動回路、20…受光素子ユニット、21…受光素子、21a…第1受光素子、21b…第2受光素子、23…信号変換ユニット、24…差動増幅器、25…集光レンズ、27…光分岐素子、29…反射ミラー、30…制御ユニット、31…検出制御部、33…データ処理部、35…表示制御部、40…メモリー、50…通信インターフェイス、60…ガラス部材、100…測定装置、200…タブレット端末、210…ディスプレイ、220…端末制御ユニット、221…データ生成部、223…解析部、225…通信制御部、230…端末メモリー、240…端末通信インターフェイス、1000…測定システム、A1…第1光学軸、A2…第2光学軸、A3…第3光学軸、AP…解析アプリ、DA…重複領域、IL…交線、IS…入射面、LS…スポット、M…使用者、OL…出射光、RL…反射光、RL1…表面反射光、RL2…裏面反射光、S1…表面、S2…裏面、SD1…第1スポット径、SD2…第2スポット径、SD3…第3スポット径、SD4…第4スポット径、SL…散乱光、t1…第1ガラス厚さ、t2…第2ガラス厚さ、TL…透過光、θ1…第1入射角、θ2…第2入射角。