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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132092
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ロボット、ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B25J19/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042748
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮阪 英克
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707BS15
3C707BT05
3C707CT05
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX09
3C707CY32
3C707DS01
3C707MS05
3C707MS12
(57)【要約】
【課題】規制部材によるロボットへの損傷を軽減する。
【解決手段】ロボットは、第1部材と、第1部材に対して回転可能に連結される第2部材と、第1部材と第2部材との間の角度が所定角度のときに第1部材に当接する当接部を有し、貫通孔が形成される規制部材と、貫通孔を通して規制部材を第2部材に係止する第1係止部材と、規制部材を第2部材に係止する第2係止部材と、を備え、当接部と第1係止部材との間の距離は、当接部と第2係止部材との間の距離よりも短く、貫通孔は、第1係止部材から当接部に向かって、第1係止部材の径よりも長い長孔形状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対して回転可能に連結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間の角度が所定角度のときに前記第1部材に当接する当接部を有し、貫通孔が形成される規制部材と、
前記貫通孔を通して前記規制部材を前記第2部材に係止する第1係止部材と、
前記規制部材を前記第2部材に係止する第2係止部材と、を備え、
前記当接部と前記第1係止部材との間の距離は、前記当接部と前記第2係止部材との間の距離よりも短く、
前記貫通孔は、前記第1係止部材から前記当接部に向かって、前記第1係止部材の径よりも長い長孔形状に形成されている、
ロボット。
【請求項2】
前記第1部材に対して前記第2部材が回転するときの回転軸に沿った方向から見たときに、前記貫通孔の前記長孔形状が、前記回転軸を中心とする回転方向に沿って延在する、
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記長孔形状の延在方向と交差する方向の幅寸法が、前記第1係止部材から前記当接部に向かって減少する、
請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記貫通孔の前記長孔形状の長辺が、片側テーパー、両側テーパー、又は円弧である、
請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記回転軸に沿った方向から見て、前記回転軸から前記貫通孔を経由して前記規制部材を横断する線分を引いたとき、前記線分と前記規制部材とが重なる部位のうち、前記貫通孔と前記回転軸との間の第1部位の寸法が、前記回転軸から前記貫通孔を超えた位置にある第2部位の寸法よりも小さい、
請求項3に記載のロボット。
【請求項6】
前記貫通孔を第1貫通孔とし、前記当接部を第1当接部として、
前記規制部材は、前記第1当接部と反対側に前記第1部材に当接する第2当接部を有し、第2貫通孔が形成され、
前記第2係止部材は、前記第2貫通孔を通して前記規制部材を前記第2部材に係止する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項7】
前記規制部材には、前記第1係止部材と前記第2係止部材との間に切欠き部が形成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項8】
前記切欠き部を第1切欠き部として、前記第1切欠き部の内側に第2切欠き部が形成されている、
請求項7に記載のロボット。
【請求項9】
前記切欠き部は、前記規制部材のうち前記第2部材の回転中心側に形成されている、
請求項7に記載のロボット。
【請求項10】
前記規制部材には、前記第1係止部材と前記第2係止部材との間に、厚みが薄い部分を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項11】
ロボットと、前記ロボットを制御するコントローラーとを備えるロボットシステムであって、
前記ロボットは、
第1部材と、
前記第1部材に対して回転可能に連結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間の角度が所定角度のときに前記第1部材に当接する当接部を有し、貫通孔が形成される規制部材と、
前記貫通孔を通して前記規制部材を前記第2部材に係止する第1係止部材と、
前記規制部材を前記第2部材に係止する第2係止部材と、を備え、
前記当接部と前記第1係止部材との間の距離は、前記当接部と前記第2係止部材との間の距離よりも短く、
前記貫通孔は、前記第1係止部材から前記当接部に向かって、前記第1係止部材の径よりも長く形成されている、
ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1アームと、第1アームに関節を介して回転可能に連結された第2アームとを備えるロボットを開示する。このロボットは、第1アーム及び第2アーム間の角度を所定の角度以上に規制するストッパーを備える。ストッパーは、第1アームに設けられる固定側ストッパーと、第2アームに設けられる可動側ストッパーとを含む。可動側ストッパーが固定側ストッパーに突き当たることによって、アーム間の角度が所定の角度以上に規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-123690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたロボットでは、可動側ストッパーが固定側ストッパーに突き当たるときの衝撃によって、第1アームや第2アームに損傷が発生することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロボットは、第1部材と、前記第1部材に対して回転可能に連結される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間の角度が所定角度のときに前記第1部材に当接する当接部を有し、貫通孔が形成される規制部材と、前記貫通孔を通して前記規制部材を前記第2部材に係止する第1係止部材と、前記規制部材を前記第2部材に係止する第2係止部材と、を備え、前記当接部と前記第1係止部材との間の距離は、前記当接部と前記第2係止部材との間の距離よりも短く、前記貫通孔は、前記第1係止部材から前記当接部に向かって、前記第1係止部材の径よりも長い長孔形状に形成されている。
【0006】
ロボットシステムは、ロボットと、前記ロボットを制御するコントローラーとを備えるロボットシステムであって、前記ロボットは、第1部材と、前記第1部材に対して回転可能に連結される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間の角度が所定角度のときに前記第1部材に当接する当接部を有し、貫通孔が形成される規制部材と、前記貫通孔を通して前記規制部材を前記第2部材に係止する第1係止部材と、前記規制部材を前記第2部材に係止する第2係止部材と、を備え、前記当接部と前記第1係止部材との間の距離は、前記当接部と前記第2係止部材との間の距離よりも短く、前記貫通孔は、前記第1係止部材から前記当接部に向かって、前記第1係止部材の径よりも長く形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ロボットシステムの構成を説明する図。
図2】ロボットの基台と第1アームと第2アームとを示す斜視図。
図3図2中のA部の拡大図。
図4】ロボットを部分的に示す斜視図。
図5】ロボットを部分的に示す斜視図。
図6】ロボットを部分的に示す斜視図。
図7】ロボットとストッパーユニットとを示す分解斜視図。
図8】ストッパーユニットを第2軸に沿って見たときの正面図。
図9図8中のB部の拡大図。
図10】第1貫通孔の長孔形状の長辺が片側テーパーである例を説明する図。
図11】第1貫通孔の長孔形状の長辺が曲線である例を説明する図。
図12図8中のB部の拡大図。
図13】切欠き部を有するストッパーユニットを示す正面図。
図14】切欠き部と第2切欠き部とを有するストッパーユニットを示す正面図。
図15】薄肉部を有するストッパーユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット2と、コントローラー3と、を備える。ロボット2は、垂直多関節ロボットの一種である。コントローラー3は、ロボット2を制御する。ロボット2は、基台5と、第1アーム6と、第2アーム7と、第3アーム8と、第4アーム9と、第5アーム10と、第6アーム11と、を備える。基台5は、床や作業台などの設置面13に据え付けられる。第1アーム6は、基台5に対して回転可能に連結される。
【0009】
第1アーム6は、基台5の設置面13側と反対側で、基台5に連結される。第1アーム6は、第1部材の一例である。第1アーム6は、第1軸J1まわりに回転可能である。第2アーム7は、第1アーム6に対して回転可能に連結される。第2アーム7は、第1アーム6の基台5側と反対側で、第1アーム6に連結される。第2アーム7は、第2部材の一例である。第2アーム7は、第2軸J2まわりに回転可能である。第2軸J2は、第2アーム7の回転軸である。第3アーム8は、第2アーム7に対して回転可能に連結される。第3アーム8は、第2アーム7の第1アーム6側と反対側で、第2アーム7に連結される。第3アーム8は、第3軸J3まわりに回転可能である。
【0010】
第4アーム9は、第3アーム8に対して回転可能に連結される。第4アーム9は、第3アーム8の第2アーム7側と反対側で、第3アーム8に連結される。第4アーム9は、第4軸J4まわりに回転可能である。第5アーム10は、第4アーム9に対して回転可能に連結される。第5アーム10は、第4アーム9の第3アーム8側と反対側で、第4アーム9に連結される。第5アーム10は、第5軸J5まわりに回転可能である。
【0011】
第6アーム11は、第5アーム10に対して回転可能に連結される。第6アーム11は、第5アーム10の第4アーム9側と反対側で、第5アーム10に連結される。第6アーム11は、第6軸J6まわりに回転可能である。ロボット2は、第1軸J1から第6軸J6の6つの回転軸を有する6軸ロボットである。第6アーム11には、図示しないエンドエフェクターを装着することができる。エンドエフェクターは、第6アーム11に対して着脱可能である。ロボット2には、各種の作業内容に応じた種類のエンドエフェクターを装着することができる。
【0012】
コントローラー3は、ロボット2に接続される。ロボット2とコントローラー3とは、互いに通信可能である。コントローラー3は、ロボット2に種々の制御信号を送信する。ロボット2は、コントローラー3から受信した制御信号に基づいて、種々の作業を実施する。ロボット2とコントローラー3との間の接続は、有線でも無線でも構わない。
【0013】
図2は、ロボット2の基台5と第1アーム6と第2アーム7とを示す斜視図である。図2に示すように、ロボット2は、ストッパーユニット15を有する。ストッパーユニット15は、規制部材の一例である。ストッパーユニット15は、第2アーム7に設けられる。図2中のA部の拡大図である図3に示すように、ストッパーユニット15は、第1ボルト16と、第2ボルト17とによって第2アーム7に係止される。第1ボルト16は、第1係止部材の一例である。第2ボルト17は、第2係止部材の一例である。
【0014】
ストッパーユニット15は、第2アーム7のうち第2軸J2に交差する面に設けられる。ストッパーユニット15は、ストッパー部材18と、第1当接部材19と、第2当接部材20と、を含む。ストッパー部材18は、金属で構成される棒状のプレート部材である。ストッパー部材18は、第2軸J2に沿って見たとき、弧状に曲がっている。ストッパー部材18は、第2軸J2を中心とする弧に沿っている。第1当接部材19は、弧状のストッパー部材18の一端に設けられる。第1当接部材19は、当接部の一例である。
【0015】
第2当接部材20は、弧状のストッパー部材18の他端に設けられる。第1当接部材19及び第2当接部材20は、それぞれ硬質ゴムで構成される。第2アーム7が第2軸J2まわりに回転することによって、第1アーム6と第2アーム7との間の角度θ1が所定角度に達すると、第1当接部材19が第1アーム6に当接する。なお、角度θ1は、第2当接部材20から第1当接部材19に向かう方向での第1アーム6と第2アーム7との間の角度である。第2当接部材20から第1当接部材19に向かう方向を第1方向D1と呼ぶ。逆に、第1当接部材19から第2当接部材20に向かう方向を第2方向D2と呼ぶ。第1当接部材19は、ストッパーユニット15の第1方向D1の端部に位置する。第2当接部材20は、ストッパーユニット15の第2方向D2の端部に位置する。
【0016】
第1アーム6には、第1当接部材19に相対する位置に、第1受け部21が設けられている。第1受け部21は、第2アーム7が第1方向D1に回転するときに第1当接部材19が相対する位置に設けられる。第1受け部21は、第1アーム6に凹状に設けられている。図4に示すように、第2アーム7が第2軸J2まわりに第1方向D1に回転するとき、第2アーム7が第1アーム6に衝突する前に、ストッパーユニット15の第1当接部材19が第1アーム6に当接する。つまり、第2アーム7が第2軸J2まわりに第1方向D1に回転するとき、ストッパーユニット15によって第1アーム6と第2アーム7との間の角度θ1を規制することができる。これにより、第1アーム6と第2アーム7とが衝突することを避けることができる。なお、ストッパーユニット15の第1当接部材19は、図3に示す第1アーム6の第1受け部21に当接する。
【0017】
図5に示すように、第1アーム6には、第2当接部材20に相対する位置に、第2受け部22が設けられている。第2受け部22は、第2アーム7が第2方向D2に回転するときに第2当接部材20が相対する位置に設けられる。第2受け部22は、第1アーム6に凹状に設けられている。第2アーム7が第2軸J2まわりに第2方向D2に回転することによって、第1アーム6と第2アーム7との間の角度θ2が所定角度に達すると、第2当接部材20が第1アーム6に当接する。なお、角度θ2は、第1当接部材19から第2当接部材20に向かう方向での第1アーム6と第2アーム7との間の角度である。つまり、角度θ2は、第2方向D2での第1アーム6と第2アーム7との間の角度である。
【0018】
図6に示すように、第2アーム7が第2軸J2まわりに第2方向D2に回転するとき、第2アーム7が第1アーム6に衝突する前に、ストッパーユニット15の第2当接部材20が第1アーム6に当接する。つまり、第2アーム7が第2軸J2まわりに第2方向D2に回転するとき、ストッパーユニット15によって第1アーム6と第2アーム7との間の角度θ2を規制することができる。これにより、第1アーム6と第2アーム7とが衝突することを避けることができる。なお、ストッパーユニット15の第2当接部材20は、図5に示す第1アーム6の第2受け部22に当接する。
【0019】
図7に示すように、ストッパー部材18には、第1貫通孔24と、第2貫通孔25とが形成されている。第1貫通孔24及び第2貫通孔25は、それぞれストッパー部材18を貫通して第2アーム7に達する。第2アーム7には、第1ねじ穴26と、第2ねじ穴27とが形成されている。第1ねじ穴26は、ストッパー部材18と第2アーム7とを第2軸J2に沿って見たとき、第1貫通孔24に重なる。第2ねじ穴27は、ストッパー部材18と第2アーム7とを第2軸J2に沿って見たとき、第2貫通孔25に重なる。第1ボルト16は、ストッパー部材18の第1貫通孔24を通して第2アーム7の第1ねじ穴26に締結される。つまり、第1ボルト16は、第1貫通孔24を通してストッパーユニット15を第2アーム7に係止する。
【0020】
第2ボルト17は、ストッパー部材18の第2貫通孔25を通して第2アーム7の第2ねじ穴27に締結される。つまり、第2ボルト17は、第2貫通孔25を通してストッパーユニット15を第2アーム7に係止する。ストッパーユニット15と第2アーム7とを第2軸J2に沿って見たとき、第1当接部材19と第1貫通孔24との間の距離は、第1当接部材19と第2貫通孔25との間の距離よりも短い。つまり、第1貫通孔24は、ストッパーユニット15の第1方向D1の一端側に位置する。他方、第2貫通孔25は、ストッパーユニット15の第2方向D2の他端側に位置する。このため、ストッパーユニット15と第2アーム7とを第2軸J2に沿って見たとき、第1当接部材19と第1ボルト16との間の距離は、第1当接部材19と第2ボルト17との間の距離よりも短い。
【0021】
図8に示すように、ストッパーユニット15の第1貫通孔24は、長孔形状に形成されている。第1貫通孔24の長孔形状は、第1ボルト16から第1当接部材19に向かって第1ボルト16の径よりも長い形状である。このロボット2によれば、第1当接部材19が第1アーム6に当接したとき、ストッパーユニット15と第1ボルト16との間の摩擦によって衝撃を緩和することができる。換言すれば、ストッパーユニット15の第1当接部材19が第1アーム6に当接したとき、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を緩和することができる。このため、第1アーム6や第2アーム7に損傷が発生することを軽減することができる。
【0022】
また、ストッパーユニット15の第2貫通孔25は、長孔形状に形成されている。第2貫通孔25の長孔形状は、第2ボルト17から第2当接部材20に向かって第2ボルト17の径よりも長い形状である。このロボット2によれば、第2当接部材20が第1アーム6に当接したとき、ストッパーユニット15と第2ボルト17との間の摩擦によって衝撃を緩和することができる。換言すれば、ストッパーユニット15の第2当接部材20が第1アーム6に当接したとき、第2ボルト17がストッパーユニット15から受ける衝撃力を緩和することができる。このため、第1アーム6や第2アーム7に損傷が発生することを軽減することができる。
【0023】
第2軸J2に沿った方向から見たとき、第1貫通孔24の長孔形状は、図8に示すように、第1方向D1に沿って延在する。この構成によれば、第1貫通孔24の長孔形状の延在方向を、第1当接部材19が第1アーム6に当接するときにストッパーユニット15に作用する力の向きに合わせやすい。このため、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を緩和することができる。同様に、第2軸J2に沿った方向から見たとき、第2貫通孔25の長孔形状は、第2方向D2に沿って延在する。この構成によれば、第2貫通孔25の長孔形状の延在方向を、第2当接部材20が第1アーム6に当接するときにストッパーユニット15に作用する力の向きに合わせやすい。このため、第2ボルト17がストッパーユニット15から受ける衝撃力を緩和することができる。
【0024】
第2軸J2に沿った方向から見たとき、第1貫通孔24は、図8に示すように、長孔形状の延在方向と交差する方向の幅寸法H1が、第1ボルト16から第1当接部材19に向かって減少する。第1当接部材19が第1アーム6に当接したとき、ストッパーユニット15は、第1アーム6から第2方向D2の力を受ける。このため、ストッパーユニット15は、第2アーム7に対して第2方向D2に変位しようとする。このとき、第1ボルト16が第1貫通孔24の幅寸法H1を広げる方向にストッパー部材18を変形させることができる。このため、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を緩和することができる。
【0025】
同様に、第2軸J2に沿った方向から見たとき、第2貫通孔25は、長孔形状の延在方向と交差する方向の幅寸法H2が、第2ボルト17から第2当接部材20に向かって減少する。第2当接部材20が第1アーム6に当接したとき、ストッパーユニット15は、第1アーム6から第1方向D1の力を受ける。このため、ストッパーユニット15は、第2アーム7に対して第1方向D1に変位しようとする。このとき、第2ボルト17が第2貫通孔25の幅寸法H2を広げる方向にストッパー部材18を変形させることができる。このため、第2ボルト17がストッパーユニット15から受ける衝撃力を緩和することができる。
【0026】
本実施形態では、第1貫通孔24の長孔形状の長辺が両側テーパーである。図8中のB部の拡大図である図9に示すように、両側テーパーとは、長孔形状の2つの長辺がいずれも、接線L2に対して傾斜する状態である。接線L2は、線分L1と第1貫通孔24との交点での第1貫通孔24の接線である。線分L1は、第2軸J2の位置から第1ボルト16の中心を通ってストッパー部材18を横断する直線である。同様に、図8に示す第2貫通孔25の長孔形状の長辺も両側テーパーである。
【0027】
第1貫通孔24及び第2貫通孔25の長孔形状の長辺は、それぞれ両側テーパーに限定されない。第1貫通孔24及び第2貫通孔25の長孔形状の長辺は、図10に示すように、それぞれ片側テーパーであってもよい。片側テーパーとは、長孔形状の2つの長辺の一方がテーパーであり、且つ長辺の他方が接線L2に沿って延在する状態である。片側テーパーでは、長孔形状の2つの長辺のうちいずれがテーパーであってもよい。長孔形状の長辺が片側テーパーであっても両側テーパーと同様の効果が得られる。また、長孔形状の2つの長辺は、直線に限定されない。図11に示すように、長孔形状の2つの長辺が曲線であってもよい。長孔形状の2つの長辺のうち一方が曲線で、且つ他方が直線である構成も適用することができる。長辺を構成する曲線としては、例えば円弧が適用される。長孔形状の2つの長辺のうち少なくとも一方が曲線である構成においても両側テーパーと同様の効果が得られる。
【0028】
図12に示すように、本実施形態では、線分L1とストッパーユニット15とが重なる部位のうち、第1部位31の寸法が第2部位32の寸法よりも小さい。上述したように、線分L1は、第2軸J2の位置から第1ボルト16の中心を通ってストッパー部材18を横断する直線である。よって、線分L1は、第2軸J2に沿った方向から見て、第2軸J2から第1貫通孔24を経由してストッパーユニット15を横断する。第1部位31は、線分L1とストッパーユニット15とが重なる部位のうち第1貫通孔24と第2軸J2との間の部位である。第2部位32は、第2軸J2から第1貫通孔24を超えた位置にある部位である。第1貫通孔24よりも第2軸J2側を内側としたとき、第1部位31は、第1貫通孔24よりも内側に位置する。第2部位32は、第2軸J2の位置から見て、第1部位31よりも外側に位置する。
【0029】
第1当接部材19が第1アーム6に当接すると、第2ボルト17を支点として第1ボルト16が外側に向かってストッパー部材18から力を受ける。本実施形態では、第1貫通孔24よりも内側に位置する第1部位31の寸法が、第1貫通孔24よりも外側に位置する第2部位32の寸法よりも小さい。このストッパーユニット15では、第1部位31の剛性が第2部位32の剛性よりも低い。この構成によれば、第1ボルト16が第1貫通孔24の幅寸法を広げる方向にストッパー部材18を変形させるときに、第2部位32よりも第1部位31の変形を大きくすることができる。このため、第1アーム6が第1ボルト16から外側に向かって受ける衝撃力を緩和することができる。
【0030】
ストッパーユニット15では、図13に示すように、切欠き部35を有する構成も適用することができる。切欠き部35は、第1切欠き部の一例である。切欠き部35は、ストッパー部材18に形成されている。切欠き部35は、第1貫通孔24と第2貫通孔25との間に形成されている。換言すれば、切欠き部35は、第1ボルト16と第2ボルト17との間に形成されている。この構成によれば、ストッパーユニット15の第1当接部材19が第1アーム6に当接したとき、ストッパーユニット15を切欠き部35で変形させやすい。このため、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を、切欠き部35での変形によって緩和することができる。
【0031】
切欠き部35は、ストッパー部材18のうち第2軸J2側に形成されている。切欠き部35は、第2アーム7の回転中心である第2軸J2側に形成されている。つまり、切欠き部35は、第2アーム7の回転中心側に形成されている。切欠き部35は、ストッパー部材18のうち第2軸J2側から外側に向かって凹となる向きに形成されている。第1当接部材19が第1アーム6に衝突すると、ストッパーユニット15が第1アーム6から力を受ける。このとき、ストッパーユニット15が第1アーム6から受ける力は、第2ボルト17を支点としてストッパーユニット15を圧縮する向きに作用する。切欠き部35がストッパー部材18の第2軸J2側に形成されているので、第2ボルト17を支点としてストッパーユニット15を切欠き部35で屈折させやすい。このため、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を、切欠き部35での変形によって緩和しやすい。
【0032】
ストッパーユニット15では、図14に示すように、切欠き部35と第2切欠き部36とを有する構成も適用することができる。切欠き部35は、図13に示す例と同一の構成である。第2切欠き部36は、ストッパー部材18に形成されている。第2切欠き部36は、切欠き部35の内側に形成されている。第2切欠き部36は、切欠き部35の内側において、第2軸J2側から外側に向かって凹となる向きに形成されている。この構成によれば、切欠き部35と第2切欠き部36とを有するので、第2ボルト17を支点としてストッパーユニット15を切欠き部35で一層屈折させやすい。この結果、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を一層緩和しやすい。
【0033】
ストッパーユニット15では、図15に示すように、厚みが薄い部分である薄肉部37を有する構成も適用することができる。薄肉部37は、ストッパー部材18に形成されている。薄肉部37は、第1貫通孔24と第2貫通孔25との間に形成されている。換言すれば、薄肉部37は、第1ボルト16と第2ボルト17との間に形成されている。この構成によれば、ストッパーユニット15の第1当接部材19が第1アーム6に当接したとき、ストッパーユニット15を薄肉部37で変形させやすい。このため、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を、薄肉部37での変形によって緩和することができる。
【0034】
図13に示す切欠き部35を有するストッパーユニット15に、薄肉部37を形成した構成も適用することができる。この構成によれば、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を、切欠き部35と薄肉部37との変形によって一層緩和することができる。また、図14に示す切欠き部35と第2切欠き部36とを有するストッパーユニット15に、薄肉部37を形成した構成も適用することができる。この構成によれば、第1ボルト16がストッパーユニット15から受ける衝撃力を、切欠き部35と第2切欠き部36と薄肉部37との変形によって一層緩和することができる。
【0035】
ロボットシステム1の説明では、第1アーム6を第1部材の一例とし、且つ第2アーム7を第2部材の一例とした。しかしながら、ロボットシステム1は、第2アーム7を第1部材の一例とし、且つ第1アーム6を第2部材の一例としてもよい。この場合、ストッパーユニット15が第1アーム6に設けられる。また、この場合、第1受け部21及び第2受け部22は、第2アーム7に設けられる。
【0036】
ロボットシステム1では、ストッパーユニット15を第2アーム7に設けた構成が適用されている。しかしながら、ストッパーユニット15を第3アーム8に設けた構成も適用することができる。この場合、第3アーム8が第2部材に相当し、第2アーム7が第1部材に相当する。また、この場合、第1受け部21及び第2受け部22は、第2アーム7に設けられる。
【0037】
また、ストッパーユニット15を第2アーム7に設け、且つ第1受け部21及び第2受け部22を第3アーム8に設けた構成も適用することができる。この場合、第3アーム8が第1部材に相当し、第2アーム7が第2部材に相当する。さらに、ストッパーユニット15を第2アーム7と第3アーム8との双方に設けた構成も適用することができる。
【0038】
また、第1貫通孔24および第2貫通孔25の長孔形状は、ストッパーユニット15と第1ボルト16、第2ボルト17のそれぞれとの間に摩擦が生じる形状であればよく、例えば、楕円や長方形であってもよい。
【0039】
また、第1貫通孔24および第2貫通孔25の長孔形状は、ストッパーユニット15と第1ボルト16、第2ボルト17のそれぞれとの間に摩擦が生じる方向に沿って延在していればよく、例えば、第2軸J2を中心とする円の接線方向や半径方向に沿って延在していてもよい。
【0040】
また、第2貫通孔25は、長孔形状でなくてもよく、例えば、円形状であってもよい。また、第2貫通孔25は、プレート状のストッパー部材18の端に形成された切欠きであってもよい。
【0041】
また、ストッパー部材18に第2貫通孔25が形成されなくてもよい。その場合、第2係止部材は、例えば、ストッパー部材18に引っ掛かるフックや、ストッパー部材18を挟んで保持する構造などであってもよい。
また、第1係止部材および第2係止部材は、ピンであってもよい。
【0042】
ロボット2は、垂直多関節ロボットに限定されない。ロボット2は、水平多関節ロボットであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…ロボットシステム、2…ロボット、3…コントローラー、5…基台、6…第1アーム、7…第2アーム、8…第3アーム、9…第4アーム、10…第5アーム、11…第6アーム、15…ストッパーユニット、16…第1ボルト、17…第2ボルト、18…ストッパー部材、19…第1当接部材、20…第2当接部材、21…第1受け部、22…第2受け部、24…第1貫通孔、25…第2貫通孔、26…第1ねじ穴、27…第2ねじ穴、31…第1部位、32…第2部位、35…切欠き部、36…第2切欠き部、37…薄肉部、J1…第1軸、J2…第2軸、J3…第3軸、J4…第4軸、J5…第5軸、J6…第6軸、θ1…角度、θ2…角度、D1…第1方向、D2…第2方向、H1…幅寸法、H2…幅寸法、L1…線分、L2…接線。
図1
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