(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132099
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両処理装置
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042756
(22)【出願日】2023-03-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年9月6日に株式会社ダイヤ昭石 ローソンハーバーシティ蘇我店に商談のため公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年9月6日に株式会社ダイヤ昭石 ローソン行田渡柳店に商談のため公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年9月6日に株式会社ダイヤ昭石ローソン東松山バイパス店に商談のため公開
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 治幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐介
(72)【発明者】
【氏名】水島 彰宏
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA02
3D026AA14
3D026AA18
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA74
3D026AA76
(57)【要約】
【課題】車両(C)に付着する余分なコーティング剤やワックスを洗い落とす車両処理装置(1、1A)を提供する。
【解決手段】車両に処理を行う車両処理装置(1、1A)は、本体(10、10A)と、液体を散布するノズル(21、22)と、気体を送風するブロア(16、17)とを有し、ノズル(21、22)が車両(C)に向けて液体を散布するとともにブロア(16、17)が車両(C)に向けて気体を送風することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に処理を行う車両処理装置において、
本体と、液体を散布するノズルと、気体を送風するブロアと、を有し、
前記ノズルが前記車両に向けて液体を散布するとともに前記ブロアが前記車両に向けて気体を送風する、
ことを特徴とする車両処理装置。
【請求項2】
前記ノズルは、第1管路と第2管路に備えられ、
前記第1管路は第1すすぎ水を散布し、
前記第2管路は第2すすぎ水を散布する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両表面の撥水性や光沢、滑らかさなどを向上させるため、ワックスやコーティング剤(フッ素系やシリコン系、チタン系などのポリマー成分)などが塗布されている。
【0003】
特許登録第6302773号(以下、「特許文献1」という。)に記載の車両処理装置は、門型の車両処理装置と車両が相対移動しながら車両表面の汚れを洗浄し、ワックスやコーティング剤を散布する処理を行っている。この車両処理装置が行う洗車メニューの中には、車両処理装置が一定距離を2.5往復する間に、車両に対して順に、シャンプー洗浄、ワックス掛け、コーティング掛けおよびすすぎ、乾燥処理を行うコースがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許登録第6302773号(明細書段落0049-0054、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような車両処理装置では、車両に散布したコーティング剤を均一に伸ばしたり、余分なコーティング剤やワックスを落とすため、コーティング剤を散布するとともに、すすぎ処理も同時に行っている。しかしながら、コーティング処理と同時にすすぎ処理を行っても、車体表面にすすぎきれない余分なコーティング剤やワックスが残ってしまい、車両表面で白く固まってしまう。
【0006】
本発明の一目的は、すすぎきれない余分なコーティング剤やワックスを洗い流す車両処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一解決手段に係る車両処理装置は、車両に処理を行う車両処理装置であって、本体と、液体を散布するノズルと、気体を送風するブロアとを有す。車両処理装置は、ノズルが車両に向けて液体を散布するとともにブロアが車両に向けて気体を送風することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一解決手段によれば、すすぎきれない余分なコーティング剤やワックスを洗い流す車両処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両処理装置1の模式的な側面図である。
【
図2】車両処理装置1の給水系を示す模式的な配管図である。
【
図3】車両処理装置1の制御系を示すブロック図である。
【
図4】車両処理装置1の洗車コースの工程図である。
【
図5】車両処理装置1Aの給水系を示す模式的な配管図である。
【
図6】車両処理装置1Aの洗車コースの工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両処理装置1の側面図である。車両処理装置1の本体10は、門型の形状をしており、左右の脚と、左右の脚に支えられる梁を有している。本体10は、敷設面Gに2本で一対に敷かれたレール12上を往復で走行し、レール12間に停車している車両Cを洗浄することができる。尚、位置関係として、
図1の右側が本体10の前方、
図1の左側が本体10の後方とする。
【0013】
本体10はレール12を走行移動するため、図示しない走行モータを備えている。走行モータは、本体10の両脚底面に設けられた車輪を介して本体10を走行させる機能を有している。また、本体10は、走行エンコーダ13を備えている。走行エンコーダ13は、本体10が単位距離走行する毎にパルス信号を出力する機能を有している。そのため、車両処理装置1は、レール12上を走行する本体10の位置情報を把握することができる。なお、本体10が
図1のレール12左端を定位置(本体10の待機位置)とする場合、レール12右端に移動するまでの過程が往行、左端に移動する(戻る)までの過程が復行となる。
【0014】
車両処理装置10は受付18を有している。受付18は、車両Cのドライバーが所望する洗車メニューを受け付けたり、支払処理を行ったりする機能を有している。また、受付18は、ドライバーに向けて音声案内などを行ったりする機能も有している。
【0015】
本体10は、両脚内側の上下方向に設けられる車形検出装置19を有している。車形検出装置19は、例えば、複数の発光素子を有する発光部と、発光素子を受光する受光部とを備えている。本体10が走行し始めると、発光部の発光素子が発光し、受光部がその発光素子を受光する。そして、本体10が車両Cを跨ぎ始めると、車両Cによって発光素子の発光が遮られる。すると、それにより、車形検出装置19は、車両Cの車形(シルエット)を検出することができる。
【0016】
本体10は、トップブラシ14と、左右で一対のサイドブラシ15を有している。トップブラシ14は、本体10の梁に沿った回転軸を有し、車形検出装置19で検出した車両Cの形状に沿って主に車両C上面を洗浄する。サイドブラシ15は、本体10の脚に沿った回転軸を有し、車両Cの主に側面を洗浄する。また、左右一対のサイドブラシ15は、本体10の走行に伴って開閉移動をする。それにより、車両Cの前面、側面、後面を洗浄することができる。
【0017】
本体10は、梁にトップブロア16と、両脚にサイドブロア17を有している(ブロア16、17ともいう)。トップブロア16は、車両Cの上面に沿って昇降しながら車両Cに空気を吹き付けて、表面に付着する洗浄水を吹き飛ばすものである。サイドブロア17は車両Cの側面に空気を吹き付けて車両Cに付着する洗浄水を吹き飛ばすものである。
【0018】
図2は、車両処理装置1の給水系を示す模式的な配管図である。車両処理装置1は、洗浄水を貯水するタンク30を有している。タンク30は、図示しない給水管が接続され、タンク30内に洗浄水(井戸水、水道水、工業用水など)が給水される。また、タンク30には、ポンプ31が接続される。タンク30の洗浄水は、ポンプ31を介して本体10の管路51、53、56に送水される。また、管路51は分岐管67により分岐し、後述するサイドノズル21とトップノズル22へと通じる支管57と接続されている。管路53は分岐管68により分岐し、後述するサイドケミカルノズル23とトップケミカルノズル24と通じる支管58と接続されている。管路56は分岐管69により分岐し、後述するサイド散水ノズル25とトップ散水ノズル26へと通じる支管59と接続されている。
【0019】
サイドノズル21は支管57aに設けられている。サイドケミカルノズル23は支管58aに設けられている。サイド散水ノズル25は支管59aに設けられている。これらノズル21、23、25は、本体10の両脚に有し、主に車両Cの前面と側面と後面に向かって洗浄水を散布する機能を有している。また、ノズル21、23、25は、本体10の前から後ろに向かってサイドノズル21、サイドケミカルノズル23、サイド散水ノズル25の順に設けられている。
【0020】
また、トップノズル22は支管57bに設けられている。トップケミカルノズル24は支管58bに設けられている。トップ散水ノズル26は支管59bに設けられている。これらノズル22、24、26は本体10の梁に有し、主に車両Cの前面、上面、後面に向かって洗浄水を散布する機能を有している。これらノズル22、24、26は本体10の前から後に向かってトップノズル22、トップケミカルノズル24、トップ散水ノズル26の順に設けられている。
【0021】
サイドノズル21、トップノズル22(ノズル21、22ともいう。)から噴出される洗浄水は、タンク30からポンプ31を介して管路51へ流れる。管路51へと流れる洗浄水は分岐管67と支管57を通り、ノズル21、22から噴出される。それにより、ノズル21、22は、車両Cに向けて洗浄水を吹き付けることができる。また、ノズル21、22は、管路51の中途に管路52が接続されることで車両Cに向けてシャンプー剤を噴出させることもできる。シャンプー剤は、貯留されるシャンプータンク61からチューブポンプ35により一定量が吸い上げられ管路52へと流れる。流れたシャンプー剤は管路51へと向かう。管路52と管路51が接続する箇所には混合器65が備えられているため、混合器65により洗浄水とシャンプー剤は混合される。それにより、本体10はノズル21、22からシャンプー剤を散布することができる。
【0022】
サイドケミカルノズル23、トップケミカルノズル24(ケミカルノズル23、24ともいう)から噴出される洗浄水は、タンク30からポンプ31を介して管路53を通り、分岐管68へと流れる。分岐管68に流れる洗浄水は支管58へと流れ、ケミカルノズル23、24から噴出される。ケミカルノズル23、24は車両Cにワックス剤を吹き付けることもできる。ワックス剤は、ワックスタンク62に貯留されている。ワックス剤はワックスタンク62からチューブポンプ36により定量が吸い上げられ管路54へと流れる。流れたワックス剤は管路53へと向かう。管路54と管路53が接続する箇所には混合器66が備えられているため、混合器66により洗浄水とワックス剤は混合される。それにより、本体10は、ケミカルノズル23、24からワックス剤を散布することができる。
【0023】
また、ケミカルノズル23、24は、車両Cにコーティング剤を吹き付けることもできる。コーティング剤は、コーティングタンク63に貯留されている。コーティング剤は、コーティングタンク63からチューブポンプ37により定量が吸い上げられ管路55へと流れる。流れたコーティング剤は管路53へと向かう。管路55と管路53が接続する箇所には混合器66が備えられているため、混合器66により洗浄水とコーティング剤は混合される。それにより、本体10はケミカルノズル23、24からコーティング剤も散布することができる。
【0024】
サイド散水ノズル25とトップ散水ノズル26(散水ノズル25、26ともいう)から散水される洗浄水は、タンク30からポンプ31を介して管路56へと流れる。管路56を流れる洗浄水は、分岐管69を通り、支管59へと流れ、散水ノズル25、26から噴出される。散水ノズル25、26は車両Cに洗浄水を吹き付けるものである。
【0025】
管路51には電磁弁41が設けられている。電磁弁41は管路51を流れる洗浄水を止めたり流したりすることができる。管路53には電磁弁42が設けられている。電磁弁42は、管路53を流れる洗浄水を止めたり流したりすることができる。管路56には電磁弁43が設けられている。電磁弁43は、管路56を流れる洗浄水を止めたり流したりすることができる。また、管路52には電磁弁44が設けられている。電磁弁44は、管路52を流れるシャンプー剤の流れを止めたり流したりすることができる。管路54には電磁弁45が設けられている。電磁弁45は、管路54を流れるワックス剤の流れを止めたり流したりすることができる。管路55には電磁弁46が設けられている。電磁弁46は、管路55を流れるコーティング剤の流れを止めたり流したりすることができる。
【0026】
図3は、車両処理装置1の制御系を示すブロック図である。本体10は制御部80を有している。制御部80は、ブラシ14、15、ブロア16、17、走行モータ、ポンプ31、チューブポンプ35~37、電磁弁41~46、走行エンコーダ13、車形検出装置19、受付18と接続されている。制御部80は接続された各部の動作を制御することができる。
【0027】
以下、車両処理装置1の動作について説明する。まず、車両Cのドライバーは、受付18の前で停車し、所望の洗車メニューを選択して洗車受付を行う。その後、ドライバーは、本体10の正面に車両Cを前進させる。車両Cが正規の停止位置に停車すると、受付18で選択した洗車メニューが実行される。洗車が終了すると、車両処理装置1は、車両Cのドライバーに退場を促す案内をする。車両Cが退場すると、本体10は待機位置に移動する。
【0028】
図4は車両処理装置1の洗車コースの工程図である。車両処理装置1の洗車メニューには、例えば、<シャンプーコース>、<シャンプー+ワックスコース>、<シャンプー+ワックス+コーティングコース>などがある。以下、各コースで行われる工程について説明する。
【0029】
<シャンプーコース>
<シャンプーコース>は、本体10がレール12を1.5往復走行する間に車両Cを洗浄するコースである。
(第1往工程)シャンプー洗浄
車両処理装置1は、ノズル21、22からシャンプー剤を散布し、ケミカルノズル23、24と散水ノズル25、26とから洗浄水を散布する。同時に車両処理装置1は、ブラシ14、15を回転させて車両Cの表面に付着する汚れを落とす。
(第1復工程)すすぎ洗浄
車両処理装置1は、ノズル21、22と散水ノズル25,26から洗浄水を散布し、車両Cに付着するシャンプー剤や汚れをすすぐ。また、車両処理装置1は、同時にブラシ14、15を回転させて車両Cの表面に付着する汚れを落とす。
(第2往工程)すすぎ洗浄/乾燥
車両処理装置1は、前工程ですすぎ残したシャンプー剤や汚れを再びすすぐため、ノズル21、22から洗浄水を散布する。また、同時にトップブロア16とサイドブロア17は車両Cにむけて空気を吹き付けて表面に付着する液体を吹き飛ばす。ここで、トップノズル21とサイドノズル22は、本体10の前側に設けられている。また、トップブロア16とサイドブロア17は本体10の後側に設けられている。また、本工程のとき、本体10は、レール12の左端から右端へと移動する。そのため、ノズル21と22から散布された洗浄水は、ブロア16、17により吹き飛ばされる。また、本工程のとき、本体10は、ケミカルノズル23、24と散水ノズル25、26に通じる電磁弁42、43を閉じ、ケミカルノズル23、24と散水ノズル25、26からの散布を停止させている。以上で、<シャンプーコース>が終了となる。.
【0030】
<シャンプー+ワックスコース>
<シャンプー+ワックスコース>も<シャンプーコース>と同様に本体10が1.5往復走行する間に車両Cを洗浄するコースである。
(第1往工程)シャンプー洗浄
本工程は、<シャンプーコース>のシャンプー洗浄と同様のため説明を省略する。
(第1復工程)ワックス掛け/すすぎ洗浄
車両処理装置1は、散水ノズル25、26から洗浄水を散布し、第1往工程で散布されたシャンプー剤をすすぐ。また、車両処理装置1は、ケミカルノズル23、24からワックス剤を散布し、ノズル21、22から洗浄水を散布する。それと同時に車両処理装置1は、ブラシ14、15を回転させてワックス掛けを行う。
(第2往工程)すすぎ洗浄/乾燥
車両処理装置1は、前工程で掛けた余分なワックスをすすぐためノズル21、22から洗浄水を散布する。また、同時に、トップブロア16とサイドブロア17は、車両Cに向けて空気を吹き付けて表面に付着する液体を吹き飛ばす。本工程では、すすぎ洗浄を行いながら乾燥を行うことで、車両Cに付着する余分なワックスをすすぎながら車両Cを乾燥させることができる。本体10の前側に設けられるノズル21、22と本体10の後側に設けられるブロア16、17を稼働させることで同時にすすぎ洗浄と乾燥を行うことができる。このとき、車両処理装置1は、ケミカルノズル23、24と散水ノズル25、26からの散水を停止する。以上で<シャンプー+ワックスコース>が終了となる。
【0031】
<シャンプー+ワックス+コーティングコース>
本コースは、本体10が2.5往復走行する間に車両Cを洗浄するコースである。また、本実施形態でのコーティングとは車両Cの表面に撥水性、光沢、滑り性を与えることをいう。
(第1往工程)シャンプー洗浄
本工程は、<シャンプーコース>のシャンプー洗浄と同様のため説明を省略する。
(第1復工程)ワックス掛け/すすぎ洗浄
本工程は、<シャンプー+ワックスコース>のワックス掛け/すすぎ洗浄と同様のため説明を省略する。
(第2往工程)乾燥
車両処理装置1は、ブロア16、17から車両Cに空気を吹き付けて乾燥を行う。車両Cには、前工程でのワックスが付着しているため、液体が吹き飛ばされやすい。また、車両Cの表面に残る洗浄水が少なくなり、次に行われるコーティング剤が車両Cに付着しやすい。
(第2復工程)コーティング掛け/すすぎ洗浄
本工程では、ケミカルノズル23、24からコーティング剤を散布し、ノズル21、22から洗浄水を散布する。コーティング剤を散布したのちに洗浄水を散布することで、車両Cの表面にコーティング剤が均一に塗布されるともに、余分なコーティング剤がすすがれる。このとき、車両処理装置1は、同時にブラシ14、15を回転させてワックス掛けも行う。
(第3往工程)すすぎ洗浄/乾燥
車両処理装置1は、余分なコーティング剤をすすぐため、ノズル21、22から洗浄水を散布し、ブロア16、17を稼働させる。車両処理装置1は、本体10の前側方に設けられるノズル21、22の洗浄水で余分なコーティング剤をすすぎながら、同時に本体10の後側に設けられるブロア16、17を稼働させる。そうすることで、車両C表面に残る洗浄水と余分なコーティング剤を吹き飛ばすことができる。また、この時、車両処理装置1は、電磁弁42、43の弁を閉じてケミカルノズル23、24と散水ノズル25、26からの散水を停止する。
【0032】
本実施形態の車両処理装置1が行う洗車メニューでは、最終工程にすすぎ洗浄と乾燥を同時に行う。そうすることで、車両Cに残る余分なワックス剤やコーティング剤をすすぐことができる。それにより、余分なワックス剤やコーティング剤が車両Cの表面に白く残ることを防げる。
【0033】
ここで、車両処理装置1と車両Cの位置関係について説明する。車両Cは、洗浄処理を開始するとき、本体10の前方に位置し、洗浄処理を終了するとき、本体10の後方に位置する。これは、洗浄処理を終了するとき、本体10が車両Cの後方に位置することで、車両Cを前進して退出させるためである。車両Cを前進して退出させることで、次に洗車を希望する車両との接触を防ぐことができる。
【0034】
ここで、洗車メニューの最終工程において、すすぎ洗浄と乾燥をそれぞれ別の工程で行うと仮定する。最終工程の開始時、本体10の前方に車両Cは位置する。そのため、車両Cを前進させて退出させるためには、(終了時に車両Cが本体10の後方に位置するには)、
図4の各洗車コースでプラス1往復本体10を走行させなければならない。そのため、車両処理装置1は、すすぎ洗浄と乾燥をそれぞれ別の工程で行わず、同時に行うことで本体10を余分に往復させなくてすむ。つまり、すすぎ洗浄と乾燥をそれぞれ別の工程で行うよりも、同時に行うほうが洗車にかかる時間が短くてすむ。そのため、車両処理装置1の稼働率が上昇する。また、次に洗車を待つドライバーの待ち時間が短縮される。
【0035】
車両処理装置1で使用される洗浄水は、例えば、井戸水や水道水、工業用水と説明した。しかし、これにこだわることなく、水道水などの中に含まれる不純物(例えば、塩類やカルシウム、マグネシウム、シリカなど)が取り除かれた洗浄水(例えば、純水(RO水、蒸留水、イオン交換水)や超純水など)を使用してもよい。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態の車両処理装置1Aについて説明する。
図5は車両処理装置1Aの給水系を示す配管図である。車両処理装置1Aは、洗浄水の第1すすぎ水を貯留するタンク30を備えている。タンク30は、図示しない給水管が接続され、タンク30内に第1すすぎ水が給水される。第1すすぎ水は、例えば、井戸水や水道水、工業用水などであることが好ましい。また、車両処理装置1Aは、洗浄水の第2すすぎ水を貯留するタンク34を備えている。タンク34は、給水管を介して第2すすぎ水を生成する図示しない生成装置と接続される。第2すすぎ水は、例えば、純水(RO水、蒸留水、イオン交換水)超純水などであることが好ましい。ここでいう純水とは、水道水などの中に含まれる塩類やカルシウム、マグネシウム、シリカなどの不純物が除去されたものである。洗浄水(すすぎ水)に純水を使用することで、不純物が車両Cの表面に残こりにくくなる。それにより車両Cの表面に水あか(カルキなど)やシミができにくい。また、第1すすぎ水は、水の中に含まれる不純物の量を示す残留不純物濃度が例えば、500ppm以下のものを使用してもよい。第2すすぎ水は、残留不純物濃度が例えば、5ppm未満のものを使用してもよい。つまり、車両処理装置1Aでは、タンク30に貯留される洗浄水(第1すすぎ水)と、タンク34に貯留される洗浄水(第2すすぎ水)の種類を変えている。そうすることで、車両Cの洗浄で使用する洗浄水を使い分けることができる。
【0037】
例えば、第2すすぎ水に純水を使用するには、水道水などの不純物を取り除くため純水を生成する装置が必要となる。この純水を生成する装置は、イオン交換式純水装置や、RO式純水装置などがある。これら装置では定期的にフィルターの交換が必要となる。車両処理装置1Aは2種類の洗浄水を使い分けることによって純水の使用を減らすことができる。それにより、純水生成装置のフィルター交換の回数を減らすことができる。
【0038】
第2すすぎ水を貯留するタンク34は、ポンプ32を介して管路64と接続する。管路64の中途には電磁弁47が設けられている。電磁弁47は管路64を流れる純水の流れを止めたり流したりすることができる。管路64は分岐管70を介して管路51と接続する。それにより、タンク34に貯留される第2すすぎ水は、ノズル21、22へと送水される。
【0039】
図6は、車両処理装置1Aの洗車コースの工程図である。車両処理装置1Aの洗車メニューには例えば、<シャンプー>、<シャンプー+ワックス>、<シャンプー+ワックス+コーティング>などがある。以下、車両処理装置1の各コースで行われる工程と、車両処理装置1Aの各コースで行われる工程との相違点について説明し、同様の工程は繰り返しとなるため説明を省略する。
【0040】
車両処理装置1Aは、例えば、<シャンプー+ワックスコース>の第1復工程、<シャンプー+ワックス+コーティングコース>の第2復工程で第2すすぎ水を車両Cに散布する。また、各コースの最終工程の純水すすぎ/乾燥工程のときも、車両処理装置1Aは、ノズル21、22から第2すすぎ水を車両Cに向けて散布し、これと同時にブロア16、17を稼働させノズル21、22が散布した液体を吹き飛ばす。車両処理装置1Aは、すすぎ工程で第2すすぎ水を使用することで、もし乾燥後に車両Cの表面に第2すすぎ水が残っていても、水あかやシミなどの発生を防ぐことができる。
【0041】
各コースでは、ノズル21、22から第2すすぎ水を散布するが、支管57a、57bには、前工程で散布したタンク30からの第1すすぎ水(水道水、工業用水、井戸水など)が残っている。そのため、純水すすぎを行うとき、管路に残る洗浄水が車両Cに散布されてしまう。そこで、車両処理装置1Aは、純水すすぎを行う工程より前の工程で、電磁弁41を閉じ、電磁弁47を開ける。そうすることで、各工程で始めから第2すすぎ水を車両Cに散布することができる。具体的に<シャンプー+ワックス+コーティングコース>を例にして説明する。
【0042】
<シャンプー+ワックス+コーティングコース>
(第1往工程)シャンプー洗浄
本工程は、車両処理装置1のシャンプー洗浄と同様のため説明を省略する。
(第1復工程)ワックス掛け/すすぎ洗浄
第1復工程での本体10Aは、レール12の右端から左端へと移動する。本工程では、散水ノズル25、26からタンク30の洗浄水が散布され、前工程でのシャンプー剤を洗浄する。また、ケミカルノズル23、24からワックス剤が散布され、同時にブラシ14、15を回転させてワックス掛けを行う。さらに、車両処理装置1Aは、ノズル21、22から第1すすぎ水を散布し、ワックスを車両C表面に均一に塗布する。このとき、本体10Aは例えば、車両Cの前部を跨ぎ始めるとき、管路51の電磁弁41を閉じ、管路64の電磁弁47を開ける。すると、ノズル21、22から散布される洗浄水が、タンク30の第1すすぎ水からタンク34の第2すすぎ水へと替わる。これにより、第2復工程のコーティング/純水すすぎでは、最初から純水を散布することができる。
(第2往工程)乾燥
本工程では、ブロア16、17から車両Cに空気を吹き付けて乾燥を行う。車両Cには前工程でのワックスが付着しているため、液体が吹き飛ばされやすい。また、車両Cの表面に残る洗浄水が少なくなり、次に行われるコーティング剤が車両Cに付着しやすくなる。
(第2復工程)コーティング掛け/純水すすぎ洗浄
本工程では、ケミカルノズル23、24からコーティング剤を散布し、ノズル21、22からタンク34の第2すすぎ水を散布する。コーティング剤を散布したのちに第2すすぎ水を散布することで、車両Cの表面にコーティング剤が均一に塗布されるとともに、余分なコーティング剤がすすがれる。このとき、車両処理装置1Aは、ノズル22、23から噴出される洗浄水と第1復工程で第1すすぎ水を第2すすぎ水へと切り替えている。そのため、本工程では、始めから第2すすぎ水を車両Cに散布することができる。それにより、車両Cにまんべんなく(正面から後面にかけて)純水を散布することができる。
(第3往工程)純水すすぎ洗浄/乾燥
車両処理装置1は、余分なコーティング剤をすすぐため、ノズル21、22から純水を散布する。これと同時に車両処理装置1Aは、ブロア16、17を稼働させ余分なコーティング剤をすすいだあと、車両C表面に残る液体を吹き飛ばす。
【0043】
車両処理装置1Aは、最終工程で乾燥と同時に純水すすぎを行うことで余分なコーティング剤やワックスを洗い流すことができる。また、車両処理装置1Aはすすぎ洗浄に第2すすぎ水を使用することで、車両Cの表面に水あかが発生することをふせぐこともできる。もし、洗車メニューの最終工程において、純水すすぎと乾燥をそれぞれ別の工程で行うと、各洗車コースはプラス1往復本体10Aを走行させなければならない。そのため、すすぎ洗浄と乾燥をそれぞれ別の工程で行うよりも、同時に行うほうが洗車にかかる時間が短くてすむ。そのため、車両処理装置1Aの稼働率が上昇する。また、次に洗車を待つドライバーの待ち時間が短縮される。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明してきた。本発明は前記実施例に限定されるものではなく、形状や構成その要旨を逸脱しない範囲で変更可能としている。
【0045】
前記実施形態では、地面に停車した車両に対して本体10が移動する車両処理装置1、1Aを説明した。これに限らず、例えば、車両の車長方向に移動可能なキャリア(コンベヤ)に車両Cを搭乗させて、地面に固定された本体10に対して車両Cが移動する場合や、車両Cおよび本体10が共に移動する場合であってもよい。このため、本発明には、処理対象となる車両Cに対して本体10が相対移動する関係が含まれる。
【0046】
前記実施形態では、管路内を流れる洗浄水を電磁弁の開閉により流したり止めたりすると説明した。これに限らず、車両処理装置1、1Aは、例えば、ポンプの稼働を制御することで管路内に流れる洗浄水を流したり止めたりしても良い。また、車両処理装置1Aは、ポンプ31の稼働をとめ、ポンプ32を稼働させることで第1すすぎ水と第2すすぎ水の切り替えを行っても良い。
【0047】
また、車両処理装置1Aは、管路51と管路64とを流れる洗浄水の逆流を防ぐため管路51と64とに逆止弁を設けても良い。逆止弁を設けることにより、第1すすぎ水と第2すすぎ水とが混ざり合うことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0048】
1、1A 車両処理装置
10、10A 本体
16、17 ブロア
21、22 サイドノズル、トップノズル
23、24 サイドケミカルノズル、トップケミカルノズル
25、26 サイド散水ノズル、トップ散水ノズル
30、34 タンク
31、32 ポンプ
35、36、37 チューブポンプ
41~47 電磁弁
51~56、64 管路
57、58、59 支管
61 シャンプータンク
62 ワックスタンク
63 コーティングタンク
65、66 混合器
67、68、69、70 分岐管
C 車両