(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132104
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板及びバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240920BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H01M50/284
H01M50/204 401D
H01M50/569
H01M50/519
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042764
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小室 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑亮
(72)【発明者】
【氏名】小野 翼
【テーマコード(参考)】
5E338
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB05
5E338BB75
5E338CC04
5E338CC08
5E338CD08
5E338CD13
5E338EE02
5H040AA27
5H040AS07
5H040AT06
5H040DD08
5H040DD10
5H040DD15
5H043AA08
5H043AA13
5H043CA05
5H043FA26
5H043FA32
(57)【要約】
【課題】温度の急激な上昇を抑制することのできるフレキシブルプリント配線板及びバッテリーモジュールを提供する。
【解決手段】複数のセル10を有するバッテリーと、前記バッテリーに取り付けられて、複数のセル10の電圧と温度を測定するために利用されるFPC100と、を備えるバッテリーモジュールであって、FPC100は、FPC本体110と、FPC本体110の表裏面のうち少なくとも一方の面の所定範囲に取り付けられる熱容量増加用補材120と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント配線板本体と、
前記フレキシブルプリント配線板本体の表裏面のうち少なくとも一方の面の所定範囲に取り付けられる熱容量増加用補材と、
を備えることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記熱容量増加用補材は、前記フレキシブルプリント配線板本体のうち撓み変形を必要としない範囲内に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント配線板本体は、幹部と、前記幹部から枝分かれする複数の枝部と、有しており、
前記熱容量増加用補材は、前記幹部の範囲内に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント配線板本体には複数の配線が設けられ、かつ、これら複数の配線においては、通電方向に垂直な断面の面積が配置領域に応じて異なっており、
前記熱容量増加用補材は、前記面積が一定以下となる前記配置領域を含むように取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
複数のセルを有するバッテリーに取り付けられて、前記複数のセルの電圧と温度を測定するために利用されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
複数のセルを有するバッテリーと、
前記バッテリーに取り付けられて、前記複数のセルの電圧と温度を測定するために利用されるフレキシブルプリント配線板と、
を備えるバッテリーモジュールであって、
前記フレキシブルプリント配線板は、
フレキシブルプリント配線板本体と、
前記フレキシブルプリント配線板本体の表裏面のうち少なくとも一方の面の所定範囲に取り付けられる熱容量増加用補材と、
を備えることを特徴とするバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記熱容量増加用補材は、前記フレキシブルプリント配線板本体のうち撓み変形を必要としない範囲内に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント配線板本体は、幹部と、前記幹部から枝分かれする複数の枝部と、有しており、
前記熱容量増加用補材は、前記幹部の範囲内に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記フレキシブルプリント配線板本体には複数の配線が設けられ、かつ、これら複数の配線においては、前記表裏面に垂直な断面の面積が配置領域に応じて異なっており、
前記熱容量増加用補材は、前記面積が一定以下となる前記配置領域を含むように取り付けられることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板及びバッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などに搭載される車載用バッテリーにおいては、バッテリーを構成する複数のセルの電圧及び温度を測定するための装置が設けられている。このような装置には、フレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)が利用されている。車載用バッテリーにおいて異常が発生した場合には、FPCの配線(一般的には、銅箔により構成される)に大電流が流れる可能性がある。この場合、配線が発熱して急激に温度が上昇してしまう。
【0003】
配線の急激な温度上昇を抑制するためには、配線の幅や厚みを大きくすることで、断面積を増やして発熱量を下げるのが一般的である。しかし、車載用バッテリーの大型化によるバッテリーセル数の増加に伴い、FPCにおける配線数も増加しているため、限られたスペース内で、配線の幅を広くするには限度がある。また、配線の厚みを厚くすると可撓性が低下してしまい、FPC本来の機能が低下してしまう。
【0004】
以上のような問題は、車載用バッテリーに利用されるFPCに限らず、各種装置に用いられるFPCにおいても生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、急激な温度上昇を抑制することのできるフレキシブルプリント配線板及びバッテリーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のフレキシブルプリント配線板は、
フレキシブルプリント配線板本体と、
前記フレキシブルプリント配線板本体の表裏面のうち少なくとも一方の面の所定範囲に取り付けられる熱容量増加用補材と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のバッテリーモジュールは、
複数のセルを有するバッテリーと、
前記バッテリーに取り付けられて、前記複数のセルの電圧と温度を測定するために利用されるフレキシブルプリント配線板と、
を備えるバッテリーモジュールであって、
前記フレキシブルプリント配線板は、
フレキシブルプリント配線板本体と、
前記フレキシブルプリント配線板本体の表裏面のうち少なくとも一方の面の所定範囲に取り付けられる熱容量増加用補材と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
これらの発明によれば、フレキシブルプリント配線板本体に熱容量増加用補材が取り付けられることで、フレキシブルプリント配線板の温度上昇を緩やかにすることができる。
【0011】
前記熱容量増加用補材は、前記フレキシブルプリント配線板本体のうち撓み変形を必要としない範囲内に取り付けられるとよい。
【0012】
これにより、可撓性を要する部分においては、フレキシブルプリント配線板本体の可撓性が妨げられることはない。
【0013】
前記フレキシブルプリント配線板本体は、幹部と、前記幹部から枝分かれする複数の枝部と、有しており、
前記熱容量増加用補材は、前記幹部の範囲内に取り付けられるとよい。
【0014】
前記フレキシブルプリント配線板本体には複数の配線が設けられ、かつ、これら複数の配線においては、通電方向に垂直な断面の面積が配置領域に応じて異なっており、
前記熱容量増加用補材は、前記面積が一定以下となる前記配置領域を含むように取り付けられるとよい。
【0015】
配線においては、上記の面積が狭いほど温度上昇が高くなる。そこで、本発明の構成を採用することで、温度上昇し易い領域に熱容量増加用補材が取り付けられるため、効果的にフレキシブルプリント配線板の温度上昇を抑制することができる。
【0016】
フレキシブルプリント配線板は、複数のセルを有するバッテリーに取り付けられて、前記複数のセルの電圧と温度を測定するために利用されるとよい。
【0017】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、急激な温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係るバッテリーモジュールの概略図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の概略図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の模式的断面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の温度上昇の解析結果を示す図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下の実施例においては、車載用のバッテリーモジュールに適用されるフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)を例にして説明する。しかしながら、本発明に係るFPC及びバッテリーモジュールは、各種装置に適
用され得る。
【0021】
(実施例1)
図1~
図4を参照して、本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板FPC及びバッテリーモジュールについて説明する。
図1は本発明の実施例1に係るバッテリーモジュールの概略図であり、(a)はバッテリーモジュールの側面図であり、(b)はバッテリーモジュールの平面図である。
図2は本発明の実施例1に係るFPCの概略図であり、(a)はFPCの平面図であり、(b)はその一部の変形例を示す図である。なお、
図2(a)においては、
図1中の下側のFPCの一部とバスバについてのみ示しており、内部の配線を透視して点線にて示している。
図3は本発明の実施例1に係るFPCの模式的断面図であり、
図2(a)中のAA断面図である。
図4は本発明の実施例1に係るFPCの温度上昇の解析結果を示す図である。
【0022】
<バッテリーモジュール>
特に、
図1を参照して、本実施例に係るバッテリーモジュールについて説明する。バッテリーモジュールは、複数のセル10を有するバッテリーと、バッテリーに取り付けられて、複数のセル10の電圧と温度を測定するために利用されるFPC100と、FPC100に接続されるコネクタ150とを備えている。複数のセル10は、正極と負極が隣り合うように配列されている。また、これら複数のセル10は、隣り合う正極と負極が、それぞれバスバ20によって電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。なお、図示の例では、説明の便宜上、5個のセル10からなるバッテリを示している。しかしながら、電気自動車などに搭載されるバッテリの場合、より多くのセルにより構成されるのが一般的である。
【0023】
FPC100の先端に取り付けられたコネクタ150は、バッテリを構成するセル10の電圧及び温度を測定し、かつ各種制御を行う測定装置(不図示)に接続される。
【0024】
<FPC>
本実施例に係るFPC100は、フレキシブルプリント配線板本体(以下、「FPC本体110」と称する)と、FPC本体110の表裏面のうち少なくとも一方の面の所定範囲に取り付けられる熱容量増加用補材120とを備えている。なお、本実施例では、FPC本体110の表側の面に熱容量増加用補材120が設けられる構成を示すが、熱容量増加用補材120はFPC本体110の裏側の面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。
【0025】
FPC本体110は、幹部110Aと、幹部110Aから枝分かれする複数の枝部110Bと有している。FPC本体110の幹部110Aの先端に、上記の通り、コネクタ150が取り付けられる。そして、幹部110Aにおけるコネクタ150が取り付けられた側とは反対側の一部が、複数のセル10の上面に配される。また、複数の枝部110Bの先端は、それぞれバスバ20の上面に配されて電気的に接続される。なお、枝部110Bの先端において露出した配線が、直接、バスバ20に接続されてもよいし、
図2(b)に示すように、金属片25を介して電気的に接続されてもよい。後者の場合、配線と金属片25は例えば半田により接続され、金属片25とバスバ20は例えば溶接により接続される。
【0026】
図3に示すように、FPC100は、ベースフィルム110aと、ベースフィルム110a上に設けられる複数の配線110bと、複数の配線110bを保護するカバーフィルム110cとを備えている。なお、FPC100は、ベースフィルム110aと配線110b、配線110bとカバーフィルム110c、及び、ベースフィルム110aとカバーフィルム110cとを接着する接着剤層110dも備えている。一般的に、配線110bは、予めベースフィルム110aに設けられた金属箔(通常、銅箔)をエッチングするこ
とにより得られる。なお、
図3に示す例では、いわゆる片面FPCの構造を示しているが、本発明のFPCは両面FPCの他、多層構造のFPCにも適用可能である。
【0027】
熱容量増加用補材120は、FPC本体110のうち撓み変形を必要としない範囲内に取り付けられる。本実施例では、熱容量増加用補材120は、幹部110Aの範囲内に取り付けられる。より具体的には、幹部110Aにおいて、複数のセル10の上面に取り付けられる範囲に、熱容量増加用補材120が設けられる。
【0028】
幹部110Aのうち、複数のセル10の上面に取り付けられない範囲(
図1において、セル10とコネクタ150との間の範囲)においては、コネクタ150を不図示の測定装置に取り付けるために可撓性が必要である。また、複数の枝部110Bも、それぞれバスバ20に取り付けるために可撓性が必要である。これに対して、幹部110Aのうち、複数のセル10の上面に取り付けられる範囲については、可撓性は必要ではない。そこで、本実施例においては、この範囲の略全体に熱容量増加用補材120を取り付ける構成が採用されている。
【0029】
熱容量増加用補材120の材料は、特に限定されるものではなく、樹脂製のフィルム、金属製のフィルムの他、樹脂板や金属板、またそれらの積層材なども採用することができ、熱容量が大きな材料が望ましい。また、本実施例においては、熱容量増加用補材120は、FPC本体110に対して、接着剤層121により接着することで取り付けられているが、熱容量増加用補材120の取り付け方は限定されるものではなく、両面テープなどにより取り付けることもできる。
【0030】
<本実施例に係るFPC及びバッテリーモジュールの優れた点>
本実施例に係るFPC100及びバッテリーモジュールによれば、FPC本体110に熱容量増加用補材120が取り付けられることで、FPC100の温度上昇を緩やかにすることができる。
図4を参照して、温度上昇についての解析結果の一例を説明する。
【0031】
図4(a)は解析に用いた片面FPCの模式的断面図である。この片面FPCの各構成の材料と厚みについて説明する。図中、下層から上層の順に説明する。ベースフィルム110aは厚み25μmのポリイミドフィルムである。第1の接着剤層110d1は、エポキシ系接着剤層である。配線110bは、厚み35μmの銅箔である。第2の接着剤層110d2は、エポキシ系接着剤層である。カバーフィルム110cは厚み25μmのポリイミドフィルムである。第3の接着剤層121aは、エポキシ系接着剤層である。第1の熱容量増加用補材120aは、厚み75μmのポリイミドフィルムである。第4の接着剤層121bは、エポキシ系接着剤層である。第2の熱容量増加用補材120bは、厚み75μmのポリイミドフィルムである。なお、上記の各接着剤層の厚みについては、各フィルムとの関係等に応じて適宜設定することができる。
【0032】
図4(b)は解析に用いた両面FPCの模式的断面図である。なお、この両面FPCにおいては、
図4(a)に示す片面FPCと同一の構成については同一の符号を示している。図示の通り、ベースフィルム110aの両面に、第1の接着剤層110d1と、配線110bと、第2の接着剤層110d2と、カバーフィルム110cとが設けられている。各構成の材料と厚みは、
図4(a)に示す片面FPCと同一であるので、その説明は省略する。
【0033】
また、
図4(a)に示す片面FPCにおいて、熱容量増加用補材を設けない構成(第3の接着剤層121aと、第1の熱容量増加用補材120aと、第4の接着剤層121bと第2の熱容量増加用補材120bとを設けない構成)についても解析した。更に、
図4(b)に示す両面FPCにおいて、熱容量増加用補材を設けない構成(第3の接着剤層12
1aと、第1の熱容量増加用補材120aと、第4の接着剤層121bと第2の熱容量増加用補材120bとを設けない構成)についても解析した。
【0034】
図4(c)は解析結果を示すグラフであり、横軸は通電時間であり、縦軸は温度である。グラフL1は熱容量増加用補材が設けられていない片面FPCの場合を示し、グラフL2は
図4(a)に示す片面FPCの場合を示し、グラフL3は熱容量増加用補材が設けられていない両面FPCの場合を示し、グラフL4は
図4(b)に示す両面FPCの場合をそれぞれ示している。
【0035】
これらの解析結果から分かるように、熱容量増加用補材120を設ける構成が採用されることで、FPC100の温度上昇を緩やかにすることができる。
【0036】
また、本実施例においては、熱容量増加用補材120は、FPC本体110のうち撓み変形を必要としない範囲内に取り付けられている。従って、可撓性を要する部分においては、FPC本体110の可撓性が妨げられることはない。また、本実施例においては、配線110bの幅を広くしたり、厚みを厚くしたりすることなく、FPC100の温度上昇を緩やかにすることができる。従って、省スペースの環境下でも好適に利用でき、かつ、FPC本来の機能である可撓性を妨げることもない。
【0037】
(実施例2)
図5には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、熱容量増加用補材が取り付けられる範囲が実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
図5は本発明の実施例2に係るFPCの概略図(FPCの平面図)であり、FPCの一部とバスバについてのみ示しており、内部の配線を透視して点線にて示している。
【0038】
上記実施例1においては、FPC本体110のうち撓み変形を必要としない範囲(幹部110Aのうち、複数のセル10の上面に取り付けられる範囲)の略全体に熱容量増加用補材120が取り付けられる構成を示した。しかしながら、FPCの温度上昇を緩やかにすることができれば、熱容量増加用補材が取り付けられる範囲は、実施例1に示す構成には限定されない。すなわち、FPC本体のうち、温度が上昇し易い領域に熱容量増加用補材を設ければ、FPCの温度上昇を緩やかにすることができる。そこで、本実施例においては、必要最小限の領域に熱容量増加用補材を設ける場合の構成を示す。
【0039】
本実施例に係るFPC100Xにおいても、FPC本体110と、熱容量増加用補材120Xとを備えている。FPC本体110の構成については、実施例1と同一である。FPC本体110には、複数の配線110bが設けられている。これら複数の配線110bにおいては、通電方向に垂直な断面の面積が配置領域に応じて異なっている。これは、FPC本体110に設けられる配線の回路構成に起因する。配線110bの厚みについては、製法上、その位置に関係なく一定であるのに対して、配線110bの幅は、回路構成に応じて狭くしなければならない箇所と広くできる箇所がある。これにより、配線110bにおける通電方向に垂直な断面の面積が配置領域に応じて異なる。
【0040】
より具体的には、FPC本体110には、複数のバスバ20にそれぞれ接続するための配線110bと、不図示の温度測定用の配線が設けられる。これら複数の配線の一方の端部は、幹部110Aのうちコネクタ150が取り付けられる端部に配される。これに対して、各配線の反対の端部は、各枝部や不図示の温度測定用センサーに接続するように配される。従って、幹部110Aのうちコネクタ150が取り付けられる側においては、全ての配線が配されるのに対して、幹部110Aにおいてコネクタ150が取り付けられる側
から離れるほど、配置される配線の数は減少する。そのため、幹部110Aのうちコネクタ150が取り付けられる側においては、配線の幅を狭くせざるを得ないのに対して、幹部110Aにおいてコネクタ150が取り付けられる側から離れるほど配線の幅を広くすることが可能となる。
【0041】
そこで、本実施例においては、
図5に示すように、熱容量増加用補材120Xは、FPC本体110のうち、FPC本体110の可撓性を必要としない範囲であって、配線110bの幅を広くできる領域を避けつつ、配線の幅がWとなる配置領域を含むように取り付ける構成が採用されている。なお、複数の配線110bにおいて、最小となる幅が上記の幅Wに相当する。このように、本実施例においては、熱容量増加用補材120Xは、配線110bにおいて、通電方向に垂直な断面の面積が一定以下となる配置領域を含むように、必要最小限の範囲で取り付けられている。
【0042】
配線110bにおいては、通電方向に垂直な断面の面積が狭いほど電気抵抗が大きくなり、発熱量が高くなることは言うまでもない。本実施例においては、発熱量が高くなる領域にのみ熱容量増加用補材120Xが設けられることで、熱容量増加用補材120の使用量を実施例1に比べて少なくしつつ、FPC100Xの温度上昇を緩やかにすることができる。
【符号の説明】
【0043】
10:セル
20:バスバ
25:金属片
100,100X:FPC
110:FPC本体
110A:幹部
110B:枝部
110a:ベースフィルム
110b:配線
110c:カバーフィルム
110d:接着剤層
110d1:第1の接着剤層
110d2:第2の接着剤層
120,120X:熱容量増加用補材
120a:第1の熱容量増加用補材
120b:第2の熱容量増加用補材
121:接着剤層
121a:第3の接着剤層
121b:第4の接着剤層
150:コネクタ