(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132113
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用主電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H02K9/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042774
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】中野 凌輔
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP07
5H609QQ02
5H609QQ13
5H609QQ18
5H609RR10
5H609RR16
5H609RR27
5H609RR36
5H609RR39
(57)【要約】
【課題】複数の風孔13cが形成される回転子5を備える車両用主電動機1
1であって、回転子5が停止した状態でも、台車から取り外すことなく、各風孔13内の塵埃を取り除くことができるものを提供すること。
【解決手段】回転軸4は、その軸方向一方の端部から第2回転子押え5bのカラー部51bが外挿される部分までのびる内部通路41と、内部通路41の端部から径方向外方にのびて回転軸4の外周面に開口する連通路42とを有する。第2回転子押え5bのカラー部51bに、内周面から外周面に亘って貫通して、内周面側の端部が連通路42と連通する貫通孔53
1が、第2回転子押え5bに形成された複数の風穴13bと同数形成され、内部通路41の軸方向一方の端部から導入された空気が、内部通路41、連通路42及び貫通孔53
1を通って風孔に導入されるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機ケースと、電動機ケース内で対向して配置される一対の軸受に軸支される回転軸と、一方の軸受側の回転軸の部分に外挿される第1回転子押えと、他方の軸受側の回転軸の部分に外挿される第2回転子押えと、第1回転子押えと第2回転子押えとの間に挟持され、回転軸に固定される回転子と、回転子を囲うように電動機ケース内に固定される固定子と、電動機ケースと回転子及び固定子との間の内部空間の一方の軸受側の部分に配置され、回転軸に固定される冷却ファンとを備える車両用主電動機であって、
第1回転子押えから第2回転子押えに向かう軸方向を軸方向一方とし、第1回転子押え、回転子及び第2回転子押えに、回転軸の軸方向に貫通する複数の風孔が周方向に間隔を存して形成されて、第2回転子押えは、風孔の形成位置よりも径方向内方で軸方向一方に突出するように設けられて回転軸に外挿されるカラー部を有するものにおいて、
回転軸は、その軸方向一方の端部から第2回転子押えのカラー部が外挿される部分までのびる内部通路と、内部通路の端部から径方向外方にのびて回転軸の外周面に開口する連通路とを有し、
第2回転子押えのカラー部に、内周面から外周面に亘って貫通して、内周面側の端部が連通路と連通する貫通孔が、第2回転子押えに形成された複数の風孔と同数形成され、内部通路の軸方向一方の端部から導入された空気が、内部通路、連通路及び貫通孔を通って風孔に導入されるようにすることを特徴とする車両用主電動機。
【請求項2】
前記第2回転子押えのカラー部の内周面及び前記回転軸の第2回転子押えのカラー部が外挿される部分の外周面の少なくとも一方に環状溝が形成され、
前記貫通孔の内周面側の端部が、環状溝を介して前記連通路と連通することを特徴とする請求項1記載の車両用主電動機。
【請求項3】
前記第2回転子押えから前記第1回転子押えに向かう軸方向を軸方向他方とし、前記貫通孔が径方向に対して軸方向他方に向けて傾斜して形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用主電動機。
【請求項4】
請求項1又は2記載の車両用主電動機であって、
前記一対の軸受のうち他方の軸受を保持する軸受ホルダーを備えるものにおいて、
前記貫通孔が径方向外方に沿うように形成され、
軸受ホルダーは、前記第2回転子押えに形成された複数の風孔と対向する位置に、各貫通孔から排出された空気が各風孔内に送風されるようにガイドするガイド部を有することを特徴とする車両用主電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機ケースと、電動機ケース内で対向して配置される一対の軸受に軸支される回転軸に固定される回転子と、回転子を囲うように電動機ケース内に固定される固定子とを備える車両用主電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用主電動機として、一方の軸受側の回転軸の部分に外挿される第1回転子押えと、他方の軸受側の回転軸の部分に外挿される第2回転子押えと、電動機ケースと回転子及び固定子との間の内部空間の一方の軸受側の部分に配置され、回転軸に固定される冷却ファンとを備え、回転子が第1回転子押えと第2回転子押えとの間に挟持されるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような、いわゆる開放型の車両用主電動機(以下、単に「主電動機」という)は、その作動時に冷却ファンを回転させ、外気を電動機ケース内に取り入れて循環させることで、主電動機の作動に伴い発熱する回転子及び固定子を冷却する。また、第1回転子押え、回転子及び第2回転子押えには、回転軸の軸方向に貫通する複数の風孔が周方向に間隔を存して形成され、これらの風孔に冷却ファンの回転により流動する空気の一部を通過させて、回転子を冷却している。尚、第1回転子押えから第2回転子押えに向かう軸方向を軸方向一方とし、第2回転子押えは、風孔の形成位置よりも径方向内方で軸方向一方に突出するように設けられて回転軸に外挿されるカラー部を有している。
【0004】
ところで、外気を電動機ケース内に取り入れる際、外気と共に塵埃も取り込まれ、この塵埃が各風孔内に蓄積する。蓄積した塵埃は、各風孔への外気の流れを阻害し、回転子の冷却性能を低下させることから、定期的に清掃作業を行い、各風孔内の塵埃を取り除く必要がある。このため、上記従来例のものは、電動機ケースに圧縮空気を吹き付ける気吹きノズルを設け、回転子を回転させて、回転する回転子の風孔に向けて気吹きノズルから圧縮空気を吹き付けることで、各風孔内の塵埃を取り除いている。
【0005】
しかしながら、このものは、回転子が回転した状態でなければ、気吹きノズルからの圧縮空気が複数の風孔全てに行き渡らず、回転子が停止した状態では、各風孔内の塵埃を取り除くことができない。また、主電動機の作動が停止した状態で、塵埃を取り除くために回転子を回転させるには、主電動機を台車(車両)から取り外す必要があり、清掃作業が煩雑になるという問題がある。また、回転子が停止した状態でも、圧縮空気を複数の風孔全てに行き渡らせるため、電動機ケースの各風孔と対向する位置に、風孔と同数の気吹きノズルを設けることも考えられるが、コストアップを招来するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、以上の点に鑑み、回転子が停止した状態でも、台車から取り外すことなく、回転子の各風孔内の塵埃を取り除くことができる車両用主電動機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、電動機ケースと、電動機ケース内で対向して配置される一対の軸受に軸支される回転軸と、一方の軸受側の回転軸の部分に外挿される第1回転子押えと、他方の軸受側の回転軸の部分に外挿される第2回転子押えと、第1回転子押えと第2回転子押えとの間に挟持され、回転軸に固定される回転子と、回転子を囲うように電動機ケース内に固定される固定子と、電動機ケースと回転子及び固定子との間の内部空間の一方の軸受側の部分に配置され、回転軸に固定される冷却ファンとを備える車両用主電動機であって、第1回転子押えから第2回転子押えに向かう軸方向を軸方向一方とし、第1回転子押え、回転子及び第2回転子押えに、回転軸の軸方向に貫通する複数の風孔が周方向に間隔を存して形成されて、第2回転子押えは、風孔の形成位置よりも径方向内方で軸方向一方に突出するように設けられて回転軸に外挿されるカラー部を有するものにおいて、回転軸は、その軸方向一方の端部から第2回転子押えのカラー部が外挿される部分までのびる内部通路と、内部通路の端部から径方向外方にのびて回転軸の外周面に開口する連通路とを有し、第2回転子押えのカラー部に、内周面から外周面に亘って貫通して、内周面側の端部が連通路と連通する貫通孔が、第2回転子押えに形成された複数の風孔と同数形成され、内部通路の軸方向一方の端部から導入された空気が、内部通路、連通路、環状溝及び貫通孔を通って風孔に導入されるようにすることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第2回転子押えのカラー部に、回転子の風孔と同数の貫通孔を設けるとともに、これらの貫通孔と回転軸の内部通路とを連通させたことで、内部通路に圧縮空気を導入すれば、貫通孔から各風孔全てに圧縮空気が導入される。このため、回転子が停止した状態でも、主電動機を台車から取り外すことなく、回転子の各風孔内の塵埃を取り除くことができる。
【0010】
本発明において、第2回転子押えのカラー部の内周面及び回転軸の第2回転子押えのカラー部が外挿される部分の外周面の少なくとも一方に環状溝が形成され、貫通孔の内周面側の端部が、環状溝を介して連通路と連通することが好ましい。これによれば、回転軸に形成する連通路の数を少なくすることができる。
【0011】
尚、本発明においては、貫通孔の構造として、以下の2つを採用することができる。
その一つは、第2回転子押えから第1回転子押えに向かう軸方向を軸方向他方とし、貫通孔が径方向に対して軸方向他方に向けて傾斜して形成されるものである。
【0012】
また、他の一つは、一対の軸受のうち他方の軸受を保持する軸受ホルダーを備えるものにおいて、貫通孔が径方向外方に沿うように形成され、軸受ホルダーは、第2回転子押えに形成された複数の風孔と対向する位置に、各貫通孔から排出された空気が各風孔内に送風されるようにガイドするガイド部を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、本発明の第1実施形態の車両用主電動機を示す断面図。(b)は、(a)の車両用主電動機のB-B線に沿う部分断面図。
【
図2】本発明の第2実施形態の車両用主電動機を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、本発明の第1実施形態の車両用主電動機1
1ついて説明する(以下、単に「主電動機1
1」という)。主電動機1
1は、電動機ケース2と、電動機ケース2内で対向して配置される一対の軸受3a,3bに軸支された回転軸4とを備えている。また、主電動機1
1は、軸受3a側の回転軸4の部分に固定された第1回転子押え5aと、軸受3b側の回転軸4の部分に固定された第2回転子押え5bと、第1回転子押え5aと第2回転子押え5bの間に狭持され、回転軸4に固定された回転子6と、回転子6を囲うように電動機ケース2内に固定された固定子7とを備えている。
【0015】
更に、主電動機11は、電動機ケース2と回転子6及び固定子7との間の内部空間2aの軸受3a側に配置され、回転軸4に固定された冷却ファン8とを備えている。冷却ファン8は、第1回転子押え5aに隣接して回転軸4に固定され、回転軸4との固定部から軸受3a側にかけて径方向外方に傾斜して延びている。以下においては、第1回転子押え5aから第2回転子押え5bに向かう軸方向を軸方向一方、その反対方向(第2回転子押え5bから第1回転子押え5aに向かう軸方向)を軸方向他方とする。
【0016】
電動機ケース2は、主に、回転軸4の軸方向一方側の側壁21と、回転軸4の軸方向他方側の側壁を形成する蓋体22と、固定子7の径方向外周部に位置する周壁23とから構成されている。側壁21には、電動機ケース2の内部空間2a内に向かってのび、回転軸4の軸方向他方側に突出して、軸受3bを保持する軸受ホルダー25が設けられている。軸受3bには玉軸受が採用され、その内輪が回転軸4の軸方向一方側の端部に外嵌し、外輪が軸受ホルダー25に内嵌している。また、蓋体22は、回転軸4から離れた中程の部分から回転軸4に近接するまでの部分が、冷却ファン8の形状に沿って、回転軸4の軸方向他方側に向かって傾斜すると共に、第1回転子押え5a側に膨出して、軸受取付部22aが形成されている。尚、軸受3aには円筒ころ軸受が採用され、内輪が回転軸4に外嵌し、外輪が蓋体22の軸受取付部22aに内嵌している。また、周壁23には、回転軸4の軸方向一方側に吸気孔23aが開設され、回転軸4の軸方向他方側に排気孔23bが開設されている。吸気孔23a及び排気孔23bによって、電動機ケース2の内部空間2aが外部に開放され、主電動機11は、いわゆる開放型になっている。
【0017】
尚、主電動機11では、回転軸4の軸方向他方側の端部が歯車装置等に連結されている。また、軸受3aの外輪の軸方向他方側の端面に、回転軸4に固定の油切り部材9aを介して取り付けられる第1軸受押え10aが当接し、軸受3aが抜け止めされている。また、軸受3bの外輪の軸方向一方側の端面に、回転軸4に固定の油切り部材9bを介して第2軸受押え10bが当接し、軸受3bが抜け止めされている。更に、第1軸受押え10a及び第2軸受押え10bの夫々には、軸受3a,3bに臨むようにグリス等の潤滑剤を収納する収納部11a,11bが形成されている。そして、蓋体22の回転軸4側に位置する内周面と回転軸4の部分の外周面との間、軸受ホルダー25の回転軸4側に位置する内周面と回転軸4の部分の外周面との間には、ラビリンスシール12a,12bが夫々設けられ、軸受3a,3bの潤滑に用いられる潤滑剤の電動機ケース2内への浸入を防止している。
【0018】
回転子6は、図示省略の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して構成され、これらの電磁鋼板が、一対の回転子押え5a,5bによって回転軸4の軸方向の他方側及び一方側の両側から挟み付けられて、回転軸4上に固定されている。また、第1回転子押え5a、回転子6及び第2回転子押え5bに、回転軸4の軸方向に貫通する風孔13が周方向に間隔を存して、複数(本実施形態では12個)形成されている。ここで、回転子6に開設された風孔13の部分を風孔13cとし、第1回転子押え5a及び第2回転子押え5bに開設された風孔9の部分を夫々風孔13a,13bとする。また、第1回転子押え5a及び第2回転子押え5bは、各風孔13a,13bの形成位置よりも径方向内方で、軸方向他方及び軸方向一方に夫々突出するように設けられて回転軸4に外挿されるカラー部51a,51bを有する。
【0019】
そして、主電動機1
1の作動時には、固定子7への通電によって磁界が発生し、回転子6を回転軸4と共に回転させる。この時、冷却ファン8も回転軸4と同方向に回転するため、電動機ケース2内に吸気孔23aを通じて外気が吸い込まれ、吸い込まれた外気の一部を、
図1に示すように、各風孔13を通過させて(即ち、風孔13b,13c,13aの順に軸方向他方に流れて)、回転子6を冷却する。回転子6を冷却した外気は、排気孔23bを通じて電動機ケース2の外部に排気される。
【0020】
回転軸4には、内部通路41と、複数(本実施形態では6本)の連通路42が形成されている。内部通路41は、回転軸4の軸方向一方の端部から、軸線上で軸方向他方側に向かってのびるように形成されている。また、内部通路41の軸方向他方側の端部は、第2回転子押え5bのカラー部51bが外挿される回転軸4の部分に位置している。各連通路42は、内部通路41の軸方向他方側の端部から径方向外方に向かって伸びて、回転軸4の外周面に開口している。
【0021】
第2回転子押え5bのカラー部51bには、その内周面に環状溝52が周方向に亘って形成されている。また、カラー部51bには、第2回転子押え5bに形成された複数の風孔13bと同じ数の貫通孔531が、周方向に間隔を存して形成されている。各貫通孔531は、カラー部51bを内周面から外周面に亘って貫通するとともに、各貫通孔531の内周面側の端部は環状溝52内に位置しており、各貫通孔531は環状溝52を介して回転軸4の各連通路42と連通される。また、本実施形態では、各貫通孔531は径方向に対して軸方向他方に向けて傾斜して形成されている。
【0022】
そして、本実施形態の主電動機11の停止時には、内部通路41の軸方向一方側の端部に、圧縮空気を導入する圧縮空気供給装置の導入管Apが挿入されて、内部通路41内に圧縮空気が導入される。内部通路41の軸方向一方の端部から導入された圧縮空気は、内部通路41、連通路42、環状溝52及び貫通孔531を通って風孔13bに導入される。尚、導入管Apはネジ山が形成されており、圧縮空気導入時には、導入管Apが電動機ケース2の側壁21に固定の取付部材24に螺合して固定される。また、圧縮空気供給装置としては、公知のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態によれば、第2回転子押え5bのカラー部51bに、第2回転子押え5bの風孔13bと同数の貫通孔531を設けて、これらの貫通孔531と回転軸4の内部通路41とを連通させた。そして、内部通路41に圧縮空気を導入すれば、貫通孔531から複数の風孔13b全てに圧縮空気が導入される。このため、回転子6が停止した状態でも、主電動機11を台車から取り外すことなく、回転子6の各風孔13c内の塵埃を取り除くことができる。
【0024】
また、第2回転子押え5bのカラー部51bの内周面に環状溝52を設けて、各貫通孔531の内周面側の端部を、環状溝52を介して連通路42と連通させたことで、回転軸4に形成する連通路42の本数を少なくすることができる。また、本実施形態では、各貫通孔531を径方向に対して軸方向他方に向けて傾斜させたことで、風孔13b内に圧縮空気が入り易くなる。
【0025】
次に、
図2を参照して、本発明の第2実施形態の主電動機1
2について説明する。
図2では、
図1に示す主電動機1
1と同一部位等には同一符号を付し、以下ではその説明を省略する。尚、
図2では、
図1に示す電動機ケース2、軸受3a、第1回転子押え5a、冷却ファン8、油切り部材9a、第1軸受押え10a、ラビリンスシール12aを省略して図示しているが、主電動機1
2は図示省略した上記部材等を備えている。
【0026】
本実施形態の主電動機12は、各貫通孔532が径方向外方に沿うように形成されている。また、軸受ホルダー25は、第2回転子押え5bに形成された複数の風孔13bと対向する位置に、軸受ホルダー25から第2回転子押え5bの風孔13bに向けて突出する環状の角部25aを有している。この角部25aは、各貫通孔532から排出された空気が各風孔13b内に送風されるようにガイドするガイド部として機能する。本実施形態では、第2回転子押え5bのカラー部51bの軸方向一方に突出する部分の長さが短く、第1実施形態のように各貫通孔531を径方向に対して軸方向他方に向けて傾斜させて設けるのが困難な場合でも、ガイド部としての角部25aを有する軸受ホルダー25と交換することで、部品点数を増やすことなく、各貫通孔532から排出された空気の風向きを変えることができる。
【0027】
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明は第1実施形態及び第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、第2回転子押え5bのカラー部51bの内周面に環状溝52を設けたものを例に説明したが、複数の貫通孔531,532と同数の連通路42を回転軸4に設ける場合、第2回転子押え5bのカラー部51bの内周面に環状溝52を設けず、各貫通孔531,532の内周面側の端部を各連通路42の夫々に直接連通させてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、回転軸4に、6本の連通路42を設けたものを例に説明したが、連通路42の数はこれに限定されない。例えば、回転軸4に連通路42を1本のみ設け、第2回転子押え5bのカラー部51bの内周面に形成された環状溝52を介して、1本の連通路42と各貫通孔531,532の内周面側の端部とを連通させてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、第2回転子押え5bのカラー部51bの内周面に環状溝52を設けたものを例に説明したが、環状溝52の代わりに、回転軸4の第2回転子押え5bのカラー部51bが外挿される部分の外周面に環状溝を設け、この環状溝を介して連通路42と各貫通孔531,532の内周面側の端部とを連通させてもよい。また、環状溝52とともに、回転軸4の第2回転子押え5bのカラー部51が外挿される部分の外周面にも環状溝を設け、これらの環状溝を接合させて、連通路42と各貫通孔531,532の内周面側の端部とを連通させてもよい。
【符号の説明】
【0030】
11,12…主電動機(車両用主電動機)、2…電動機ケース、3a,3b…軸受、4…回転軸、5a…第1回転子押え、5b…第2回転子押え、6…回転子、7…固定子、8…冷却ファン、13,13a,13b,13c…風孔、25…軸受ホルダー、25a…角部(ガイド部)、41…内部通路、42…連通路、51a,51b…カラー部、52…環状溝、531,532…貫通孔。