(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132114
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 31/00 20060101AFI20240920BHJP
A47J 43/28 20060101ALI20240920BHJP
A47J 36/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47J31/00 305
A47J43/28
A47J36/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042783
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】517303960
【氏名又は名称】水嶋 清人
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 清人
【テーマコード(参考)】
4B053
4B055
4B104
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA30
4B055BA39
4B055CA12
4B055CB03
4B104AA01
4B104BA14
4B104BA77
4B104EA40
(57)【要約】
【課題】
持ち運びに好適である、改善された調理器具を提供する。
【解決手段】
液体の保持容器Aに取り付けられ、液体を導流するスキッター1と、フィルターCを載置可能であり、フィルターCを支持するドリッパー2と、を備える調理器具Xであって、スキッター1は、導流部11と、脱落防止部12と、を有し、導流部11は、取付時に保持容器Aの内部に配置される内部導流部111を含み、脱落防止部12は、内部導流部111と対向するように、内部導流部111と距離をおいて配置され、ドリッパー2は、基台21と、基台21から立設される支持脚22と、支持脚22の基台21への装着手段23を有し、装着手段23は、支持脚22を移動可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の保持容器に取り付けられる調理器具であって、
前記液体を導流するスキッターを備え、
前記スキッターは、導流部と、脱落防止部と、を有し、
前記導流部は、取付時に前記保持容器の内部に配置される内部導流部を含み、
前記脱落防止部は、前記内部導流部と対向するように、前記内部導流部と距離をおいて配置される、調理器具。
【請求項2】
取付時に前記保持容器の外部に配置される外部導流部をさらに含み、
前記外部導流部の少なくとも一部は、前記液体を導流する方向を基準に山形に曲がるように形成されている、請求項1に記載の調理器具。
【請求項3】
前記導流部には、窓部が形成されている、請求項1又は2に記載の調理器具。
【請求項4】
フィルターを載置可能な調理器具であって、
前記フィルターを支持するドリッパーを備え、
前記ドリッパーは、基台と、前記基台から立設される支持脚と、前記支持脚の前記基台への装着手段を有し、
前記装着手段は、前記支持脚を移動可能に構成される、調理器具。
【請求項5】
前記装着手段は、前記支持脚を着脱可能に構成される、請求項4に記載の調理器具。
【請求項6】
前記装着手段は、前記基台と前記支持脚との当接箇所に設けられる嵌合構造である、請求項5に記載の調理器具。
【請求項7】
前記ドリッパーは、複数の前記支持脚を備える、請求項4~6の何れかに記載の調理器具。
【請求項8】
液体の保持容器に取り付けられ、前記液体を導流するスキッターと、フィルターを載置可能であり、前記フィルターを支持するドリッパーと、を備える調理器具であって、
前記スキッターは、導流部と、脱落防止部と、を有し、
前記導流部は、取付時に前記保持容器の内部に配置される内部導流部を含み、
前記脱落防止部は、取付時に前記保持容器の縁部を挟んで前記内部導流部と対向するように、前記内部導流部と距離をおいて配置され、
前記ドリッパーは、基台と、前記基台から立設される支持脚と、前記支持脚の前記基台への装着手段を有し、
前記装着手段は、前記支持脚を移動可能に構成される、調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びに好適な調理器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常の場面のみならず、キャンプやハイキングなどのアウトドアの場面においても、本格的なコーヒーを楽しみたいという需要が増加している。
【0003】
本格的なコーヒーを楽しむためには、挽いたコーヒー豆に湯を静かにゆっくりと注ぐことが重要であることが知られている。これを実現する器具としては、コーヒーポットがある。
【0004】
しかし、一般のコーヒーポットは、その細い注ぎ口によって嵩張る。すなわち、持ち運びには不適であるといえる。
【0005】
また、一般のコーヒードリッパーも、コーヒーフィルターを設置する逆円錐形の構造によって嵩張る。すなわち、持ち運びには不適であるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6518866号公報
【特許文献2】特許第5443643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている簡易注ぎ口は、一般の容器に取り付けられることで、容器内の液体をガイドしながら、細い糸のように注ぎ出すことができる。そして、コンパクトであるため、持ち運びに好適であるといえる。
【0008】
しかし、構造が複雑であるため、製造コストが比較的高いなど、問題は残存している。
【0009】
また、特許文献2に開示されているコーヒードリッパーは、平板状にたたむことができるため、持ち運びに好適であるといえる。
【0010】
しかし、弾性を備えるワイヤー素材で構成されるため、使用を重ねるごとに意図しない変形を起こしてしまうなど、問題は残存している。
【0011】
このような事情に鑑み、本発明は、持ち運びに好適である、改善された調理器具を提供することを課題とし、これを達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態の一つは、液体の保持容器に取り付けられる調理器具であって、上記の課題を達成するために、
液体を導流するスキッターを備え、
スキッターは、導流部と、脱落防止部と、を有し、
導流部は、取付時に保持容器の内部に配置される内部導流部を含み、
脱落防止部は、内部導流部と対向するように、内部導流部と距離をおいて配置される。
【0013】
このような調理器具は、小型に形成できるため、嵩張らず、持ち運びに好適である。また、脱落防止部で保持容器の縁部に引っ掛けるようにして、スキッターを保持容器に取り付けることができるため、保持容器が高温であっても、保持容器に触れずにスキッターを取り付けることができる。
【0014】
上記の調理器具の好ましい形態において、
取付時に保持容器の外部に配置される外部導流部をさらに含み、
外部導流部の少なくとも一部は、液体を導流する方向を基準に山形に曲がるように形成されている。
【0015】
このような形態では、流れる液体が表面張力で維持されるため、液体が途中で零れることを抑制することができる。
【0016】
上記の調理器具の好ましい形態において、
導流部には、窓部が形成されている。
【0017】
このような形態では、窓部の裏側で液体が通過するように保持容器を傾けることで、液体を好適な流路に確実に乗せることができる。
【0018】
また、本発明の実施形態の一つは、フィルターを載置可能な調理器具であって、上記の課題を達成するために、
フィルターを支持するドリッパーを備え、
ドリッパーは、基台と、基台から立設される支持脚と、支持脚の基台への装着手段を有し、
装着手段は、支持脚を移動可能に構成される。
【0019】
このような調理器具は、フィルターを支持するための支持脚を移動させることで、コンパクトにまとめて収納することができるため、持ち運びに好適である。
【0020】
上記の調理器具の好ましい形態において、
装着手段は、支持脚を着脱可能に構成される。
【0021】
このような形態では、フィルターを支持するための支持脚を基台から取り外すことで、コンパクトにまとめて収納することができる。
【0022】
上記の調理器具の好ましい形態において、
装着手段は、基台と支持脚との当接箇所に設けられる嵌合構造である。
【0023】
このような形態では、基台と支持脚を嵌め合わせることのみで、簡便にこれらを着脱することができる。
【0024】
上記の調理器具の好ましい形態において、
ドリッパーは、複数の支持脚を備える。
【0025】
このような形態では、フィルターを複数の支持脚で支持することで、フィルターの意図しないずれを防止することができる。
【0026】
また、本発明の実施形態の一つは、液体の保持容器に取り付けられ、液体を導流するスキッターと、フィルターを載置可能であり、フィルターを支持するドリッパーと、を備える調理器具であって、上記の課題を達成するために、
スキッターは、導流部と、脱落防止部と、を有し、
導流部は、取付時に保持容器の内部に配置される内部導流部を含み、
脱落防止部は、内部導流部と対向するように、内部導流部と距離をおいて配置され、
ドリッパーは、基台と、基台から立設される支持脚と、支持脚の基台への装着手段を有し、
装着手段は、支持脚を移動可能に構成される。
【0027】
このような調理器具は、全体としてコンパクトに収納できるため、嵩張らず、持ち運びに好適である。これによって、例えば、日常の場面のみならず、キャンプやハイキングなどのアウトドアの場面においても、本格的なコーヒーを楽しむことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、持ち運びに好適である、改善された調理器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態の一つである調理器具の使用方法を説明する斜視図である。
【
図8】
図6に記載のフィルター支持部の側面図である。
【
図9】
図6に記載のドリッパーの組み立てを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するためには、例えば、以下の記載に開示される形態を採用する。以下の記載に開示されない他の形態を採用することもできる。
【0031】
本発明の実施形態の一つは、調理器具(以下、調理器具X)である。
【0032】
調理器具Xは、例えば、コーヒーの抽出に用いられる。特に、熱湯の保持容器(以下、保持容器A)と、粉状などに処理されたコーヒー豆(以下、コーヒー豆B)と、コーヒー豆Bを支持しながら、コーヒー豆Bの成分を含む熱湯を通過させるフィルター(以下、フィルターC)と、飲用容器Dと、が併用されることが好ましい。なお、保持容器Aとしては、アウトドアの場面で想定されるカップやクッカーだけでなく、日常の場面で想定されるケトルなども好適である。
【0033】
【0034】
調理器具Xは、保持容器Aからの熱湯の注ぎ出しを補助するスキッター1と、フィルターCを載置するドリッパー2と、を備える。
【0035】
【0036】
スキッター1の素材としては、金属や耐熱性プラスチックなどが採用される。
【0037】
スキッター1は、導流部11と、脱落防止部12と、を有する。スキッター1は、所定の加工を施した一枚の板が曲げられることで、形成することができる。
【0038】
導流部11は、内部導流部111と、外部導流部112と、を含む。
【0039】
内部導流部111と外部導流部112は、所定の角度を成すようにして曲げられている。二枚の板を溶接や接着剤などで連結させてもよい。
【0040】
説明の便宜のため、導流部11において、内部導流部111と外部導流部112が優角を成す側を表側、劣角を成す側を裏側と定義する。また、導流部11において、内部導流部111と外部導流部112の交線に略垂直な方向を、導流方向と定義する。図面では、導流方向に沿う流れの向きが破線矢印で示される。
【0041】
内部導流部111と外部導流部112が成す所定の角度は、保持容器Aを傾けた際に、外部導流部112の裏側の面が熱湯の注ぎ出しに好適な斜面となるように決定され、例えば、劣角が80~100度の範囲で決定される。
【0042】
内部導流部111と外部導流部112の板面の形状は、導流方向に十分な長さが確保されていれば、特に制限されない。例えば、内部導流部111の板面は長方形に形成され、外部導流部112の板面は略T字形に形成され、内部導流部111と外部導流部112は、これらの交線に相当する接続箇所の中央近傍から外部導流部112が延びるように接続される。
【0043】
外部導流部112は、導流方向の先端から少なくとも一部において、導流方向を基準に山形に曲がるように形成されている。外部導流部112が曲げられる角度と曲率は、外部導流部112の裏面に熱湯が表面張力で維持されるように決定され、例えば、劣角が100~170度の範囲で決定される。
【0044】
脱落防止部12は、内部導流部111と所定の距離をおいて、内部導流部111の裏側の面に対向するように、外部導流部112の裏側に配置される。脱落防止部12と内部導流部111との所定の距離は、保持容器Aの縁部が挿入可能であり、保持容器Aの縁部が挿入された状態で、脱落防止部12及び内部導流部111のそれぞれが保持容器Aに十分近接するように決定され、例えば、想定される保持容器Aの縁部の厚さの1~3倍の範囲で決定される。
【0045】
脱落防止部12の形状は、特に制限されない。例えば、脱落防止部12は、突起構造であり、外部導流部112の裏側の面に溶接や接着剤などで連結させてもよい。
【0046】
導流部11には、窓部113が形成されることが好ましい。窓部113の位置は、内部導流部111と外部導流部112の交線の中央近傍であることが好ましい。
【0047】
窓部113は、導流部11の表側の面を視認した際に、導流部11の裏側を視認可能な構成であればよく、例えば、導流部11の表側の面に形成される上記の角度を貫通する孔として形成される。
【0048】
【0049】
ドリッパー2の素材としては、金属や耐熱性プラスチックなどが採用される。
【0050】
ドリッパー2は、基台21と、支持脚22と、支持脚22の基台21への装着手段23を有する。
図9では、一部の支持脚22が省略されて示される。
【0051】
基台21は、盤状に形成され、フィルターCの逆円錐形頂部近傍が通過するための開口部211が形成される。開口部211は、基台21の盤面の中央近傍に位置されることが好ましい。
【0052】
支持脚22は、開口部211の外周近傍から立設され、開口部211から離れる向きに傾斜するように配置される。支持脚22が基台21の盤面垂直方向から傾斜する角度は、想定されるフィルターCの逆円錐面に略沿うように決定され、例えば、5~35度の範囲で決定される。
【0053】
装着手段23は、支持脚22を移動可能に構成される。特に、装着手段23は、支持脚22を基台21から着脱可能に構成されることが好ましい。
【0054】
詳述すれば、装着手段23は、基台21において、開口部211の外周近傍に設けられる凹構造aと、支持脚22において、基台21に当接する箇所に設けられる、凹構造aに嵌合する凸構造bと、を含む。支持脚22に凹構造aが設けられ、基台21に凸構造bが設けられてもよい。
【0055】
さらに詳述すれば、支持脚22は、略L字形に形成される。また、支持脚22は、二枚の略L字形の板を含み、頂部で連結されながら対向している。このとき、支持脚22は、一枚の板が曲げられることで形成されることが好ましい。なお、二枚の略L字形の板及びその頂部を溶接や接着剤などで連結させてもよい。
【0056】
なお、装着手段23は、支持脚22を基台21から着脱可能でなく構成されてもよい。例えば、装着手段23は、基台21において、開口部211の外周近傍に設けられるヒンジ構造であって、支持脚22を基台21の盤面に沿うように横倒し可能としてもよい。
【0057】
支持脚22は、複数設けられ、例えば、3~4個設けられる。
【0058】
【0059】
使用者は、ドリッパー2を飲用容器Dに載置する。このとき、すべての支持脚22を、装着手段23によって基台21に装着する。
図9では、装着に係る凹構造aと凸構造bの対応が点線で示される。
【0060】
使用者は、コーヒー豆Bを導入した逆円錐形のフィルターCを、支持脚22に沿うようにして、ドリッパー2に載置する。
【0061】
使用者は、スキッター1を保持容器Aに取り付ける。このとき、内部導流部111が保持容器Aの内部に、外部導流部112が保持容器Aの外部に位置するように配置し、脱落防止部12で保持容器Aの縁部に引っ掛ける。
【0062】
この工程においては、保持容器Aは、湯沸かしなどによって高温である場合がある。この場合、使用者は、外部導流部112を持ち、脱落防止部12で保持容器Aの縁部に引っ掛ける。これによって、使用者は、保持容器Aに触れずにスキッター1を保持容器Aに取り付けることができるため、火傷を回避することができる。
【0063】
使用者は、保持容器Aに熱湯を導入する。
図1では、熱湯を黒色透過で示している。
【0064】
上記までのすべての工程は、任意に入れ替え可能である。
【0065】
上記までのすべての工程が完了した後、使用者は、保持容器Aを、スキッター1が取り付けられた位置に向けて、下方に傾ける。このとき、使用者は、外部導流部112の先端をコーヒー豆Bに向ける。
【0066】
内部導流部111と外部導流部112の接続箇所に熱湯の水面が到達すると、熱湯は外部導流部112の裏側の面を流れ始め、そのまま外部導流部112の先端から注ぎ出される。
【0067】
この工程においては、外部導流部112が、導流方向の先端から少なくとも一部において、導流方向を基準に山形に曲げられている場合、流れる熱湯が表面張力で保持されるため、途中で零れることが抑制される。
【0068】
また、この工程においては、内部導流部111と外部導流部112の接続箇所に、窓部113が形成される場合、窓部の裏側で液体が通過するように保持容器を傾けることで、液体を好適な流路に確実に乗せることができる。
【0069】
複数のコーヒーを抽出するなど、複数箇所に熱湯を注ぎ出す場合、スキッター1を保持容器Aの縁部で摺動させることのみにより、目標箇所へ熱湯を注ぎ出すことができる。
【0070】
調理器具Xを片付ける場合、スキッター1は、保持容器Aからそのまま取り外される。スキッター1は、保持容器Aより小型であるため、例えば、保持容器Aの内部に収納することができる。また、ドリッパー2は、支持脚22を取り外すことでコンパクトになる。すなわち、調理器具Xは、持ち運びに好適である。
【0071】
以上の開示において、本発明の実施形態の各構成及びその寸法、形状、配置などの各要素は一例である。これらが設計要求などに基づいて変更された場合であっても、そのような形態は、本発明の技術的範囲に自明に属するものである。
【符号の説明】
【0072】
X 調理器具
1 スキッター
11 導流部
111 内部導流部
112 外部導流部
113 窓部
12 脱落防止部
2 ドリッパー
21 基台
22 支持脚
23 装着手段
A 保持容器
B コーヒー豆
C フィルター
D 飲用容器