(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132122
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】免震構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04H9/02 301
E04H9/02 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042796
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】須賀 貴之
(72)【発明者】
【氏名】島崎 大
(72)【発明者】
【氏名】久保山 寛之
(72)【発明者】
【氏名】寺川 喬
(72)【発明者】
【氏名】小川 光陽
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健吾
(72)【発明者】
【氏名】濱 智貴
(72)【発明者】
【氏名】牛坂 伸也
(72)【発明者】
【氏名】半澤 徹也
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 充
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC19
2E139AC26
2E139AC33
2E139AC43
2E139CA02
2E139CA21
(57)【要約】
【課題】風対策に必要な設備を減少することができ、優れた免震効果を発揮して地震力の低減を図ることができる。
【解決手段】低層架構11と、低層架構の上方に設けられる上部架構12と、低層架構及び上部架構のそれぞれに対して構造的に一体に接続されたコア部13と、コア部の外側に配置され、コア部及び低層架構に対して切り離された外側架構14と、外側架構と低層架構とを連結する下側免震層21と、を備え、コア部、低層架構及び上部架構と、外側架構とは、構造種別が異なり、外側架構の上部と、上部架構の下部との間に構造切替階30が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低層架構と、
前記低層架構の上方に設けられる上部架構と、
前記低層架構及び前記上部架構のそれぞれに対して構造的に一体に接続されたコア部と、
前記コア部の外側に配置され、前記コア部及び前記低層架構に対して切り離された外側架構と、
前記外側架構と前記低層架構とを連結する下側免震層と、
を備え、
前記コア部、前記低層架構及び前記上部架構と、前記外側架構とは、構造種別が異なり、
前記外側架構の上部と、前記上部架構の下部との間に構造切替階が設けられていることを特徴とする免震構造物。
【請求項2】
前記外側架構の上部は、前記上部架構の下部に対して前記構造切替階を介して構造的に一体に接続され、
前記外側架構の下部は、前記低層架構の上部との間に前記下側免震層のみが設けられている請求項1に記載の免震構造物。
【請求項3】
前記コア部、前記低層架構及び前記上部架構は鉄骨造であり、
前記外側架構は鉄筋コンクリート造である請求項1に記載の免震構造物。
【請求項4】
前記コア部と前記外側架構との間には、水平方向の相対変位を許容するクリアランスが設けられ、
前記コア部と前記外側架構とを水平方向に相対移動可能に連結する可動連結部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の免震構造物。
【請求項5】
前記外側架構は、前記コア部の周囲全周に設けられている請求項1に記載の免震構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば住宅とオフィスとを重層した200m級の超高層免震構造物について、一般的に免震層上部の高さが150mを超える場合に、建物のアスペクト比によっては風荷重が地震力よりも大きくなるため、特許文献1に示すような中間層免震構造を採用している。このような中間層免震構造は、中間免震層上の上部架構と一体となったコア部の下部を免震化したコア側免震層が設けられ、コア部の外周に配置される外周架構の下部もコア側免震層に支持させた構造であり、コア側免震層が大きく変形して効率的にエネルギーを吸収し、高い応答低減効果を得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の中間層免震構造を採用した場合における風荷重の対策として、風ロックダンパー、鋼材ダンパー、耐風シアピンなどを外周架構とコア部との間に配置することが知られている。例えば、風ロックダンパーでは、通常時はロックをオフにして免震用ダンパーとして機能させ、強風時にはロックしてダンパー機能をロックすることで、強風時における建物の居住性を向上させている。このように、従来の中間層免震構造の建物は、風荷重の対策が必要となり、過大な構造になるという問題があった。
【0005】
また、従来の中間層免震構造では、免震層を貫通するエレベータの一般的な構造として吊りエレベータ方式や免震エレベータ方式が採用されている。吊りエレベータ方式を中間免震構造物に採用する場合には、低層架構における免震層から下方に延びるエレベータを収容する部分の吊り架構長が大きくなる。すなわち、平面視してエレベータの水平方向の変形を許容するクリアランスを確保することが構造上、難しくなっている。そのため、免震層が高い位置にあり吊りエレベータの架構長さが長くなる場合、免震エレベータ方式が採用されることが多い。一方、免震エレベータ方式では、一年再現風や震度3程度の頻発地震における変形によってエレベータを停止させないように設定される通常時の変形制限と、エレベータレールの追従限界や補修限界から設定される地震時の変形制限と、がある。このようにエレベータに変形制限が設定され、免震層を硬くして建物の変形を小さく抑えるという構造的対策が施されることから、免震効果を最大化して地震力を低減することができないという問題があり、その点で改善の余地があった。
また、免震層上部の高さが150mを超える場合には、免震層のロック機構が過大となり、結果として免震層の剛性が大きくなり、地震に対する低減効果が損なわれていた。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、風対策に必要な設備を減少することができ、優れた免震効果を発揮して地震力の低減を図ることができる免震構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る免震構造物は、低層架構と、前記低層架構の上方に設けられる上部架構と、前記低層架構及び前記上部架構のそれぞれに対して構造的に一体に接続されたコア部と、前記コア部の外側に配置され、前記コア部及び前記低層架構に対して切り離された外側架構と、前記外側架構と前記低層架構とを連結する下側免震層と、を備え、前記コア部、前記低層架構及び前記上部架構と、前記外側架構とは、構造種別が異なり、前記外側架構の上部と、前記上部架構の下部との間に構造切替階が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明による免震構造物では、コア部の外側に配置される外側架構のみが免震構造となり、コア部が上部架構および低層架構に一体的に接続される。すなわち、低層架構と接続するコア部が風外力の一部を負担し、免震層を介することなく風外力を低層架構に伝達するため、下側免震層に作用する風外力を低減することができ、外側架構とコア部との間に設けられる下側免震層の風荷重の対策に必要な設備を軽減できる。
【0009】
また、本発明によれば、コア部が低層架構及び上部架構のそれぞれに対して構造的に一体に接続されているので、エレベータの変形制限を設定する必要がなくなり、従来のように免震層を硬くして建物の変形を小さく抑えるためのエレベータにおける構造的対策(例えば、上部架構及び低層架構を貫通するエレベータの一年再現風や震度3程度の頻発地震における停止に伴う構造的対策)が不要になることから、免震効果の最大化を図ることができる。そのため、免震層上部の高さが例えば200mを超えるような建物において、免震構造を実現でき、地震力の低減を図ることができる。
さらに、本発明では、外側架構と低層架構の構造種別が異なる架構の平面共存を容易に行うことができる。例えば、外側架構を住宅とした鉄筋コンクリート造とし、コア部を鉄骨造とすることができる。
【0010】
また、本発明によれば、外側架構の上部は、上部架構の下部と構造切替階を介して構造的に一体に接続されているため、外側架構と上部架構との間に免震層が不要になり、免震装置の設置数を少なくすることができる。
【0011】
また、本発明に係る免震構造物は、前記外側架構の上部が、前記上部架構の下部に対して前記構造切替階を介して構造的に一体に接続され、前記外側架構の下部は、前記低層架構の上部との間に前記下側免震層のみが設けられていてもよい。
【0012】
このように構成することで、免震構造物の構造を簡素化することができるとともに、免震層を複数備えた構造に比べて免震装置の設置数を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明に係る免震構造物は、前記コア部、前記低層架構及び前記上部架構は鉄骨造であり、前記外側架構は鉄筋コンクリート造であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る免震構造物は、前記コア部と前記外側架構との間には、水平方向の相対変位を許容するクリアランスが設けられ、前記コア部と前記外側架構とを水平方向に相対移動可能に連結する可動連結部が設けられていてもよい。
【0015】
また、本発明に係る免震構造物は、前記外側架構が、前記コア部の周囲全周に設けられていてもよい。
【0016】
このように構成することで、外側架構がコア部を囲繞するように配置されるため、建築計画の自由度を広げることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の免震構造物によれば、風対策に必要な設備を減少することができ、優れた免震効果を発揮して地震力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態による免震構造物を示す縦断面図である。
【
図2】(a)は
図1に示すI-I線断面図であって上部架構の水平断面図、(b)は
図1に示すII-II線断面図であってコア部及び外周架構の水平断面図、(c)は
図1に示すIII-III線断面図であって低層架構の水平断面図である。
【
図3】地震応答解析で用いた免震構造物の縦断面図(モデルB)である。
【
図4】地震応答解析におけるモデルAとモデルBの最大加速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態による免震構造物について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の免震構造物100は、例えば住宅とオフィスとを重層した250mを超える建物であって、さらに免震層(本実施形態では、後述する下側免震層21)より上部の高さが200mを超える建物に適用されている。
【0021】
免震構造物100は、低層架構11と、上部架構12と、コア部13と、外周架構14(外側架構)と、構造切替階30と、を備える。免震構造物100は、平面視して長方形状をなしている。ここで、
図1の符号GLは、グランドレベルを示している。
【0022】
低層架構11は、地下から地上にかけて設置された地下部を含む低層階部分であり、基礎上に設置されている。上部架構12は、低層架構11の上方に設けられる。本実施形態では、上部架構12には例えばオフィススペースが配置され、低層架構11には例えば商業施設やオフィスが配置されている。
【0023】
コア部13は、平面視して建物中央において、低層架構11と上部架構12との間に配置され、それぞれに対して構造的に一体に接続されている。すなわち、コア部13、低層架構11及び上部架構12は、鉄骨造からなり、一体構造となっている。コア部13は、
図2(b)に示すように、平面視して長方形状をなしている。
【0024】
コア部13には、
図2(a)~(c)に示すように、上部架構12および低層架構11に繋がるエレベータ15が設けられている。エレベータ15は、コア部13を上下方向に貫通するとともに、低層架構11と上部架構12の内側に連続的に延ばされている。エレベータ15は、シャフト17内に設けられる。シャフト17には、エレベータ15の他に、例えば給排水設備、空調設備、電気設備等の部材が配置されている。
なお、コア部13の平面視形状としては、本実施形態のように長方形状であることに限定されることはなく、正方形状、円形状など他の形状を採用することも可能である。
【0025】
外周架構14は、コア部13の外周側を囲むように配置され、コア部13、低層架構11に対して切り離されている。すなわち、外周架構14は、コア部13に対して水平方向に離間して配置され、低層架構11に対して上下方向に離間して配置されている。
【0026】
外周架構14は、コア部13の周囲全周に設けられている。外周架構14は、鉄筋コンクリート造であり、例えば住居スペースとなる住宅が配置される。すなわち、外周架構14は、鉄骨造からなるコア部13、低層架構11及び上部架構12とは構造種別が異なる。
【0027】
コア部13と外周架構14との間には、水平方向の相対変位を許容するクリアランスCが設けられている。コア部13と外周架構14との間には、コア部13と外周架構14とを水平方向に相対移動可能に連結する可動連結部16が設けられている。可動連結部16としては、例えばエキスパンジョンジョイント等を使用できる。
このようにコア部13と外周架構14とは異なる振動特性をもつことから、クリアランスCがコア部13と外周架構14との間に全周にわたって確保されているため、地震時にコア部13と外周架構14はそれぞれ独立して振動することが可能となる。
【0028】
上部架構12の下部12aと、外周架構14の上部14aとの間には構造切替階30が設けられている。外周架構14の上部14aと構造切替階30とは構造的に連結している。上部架構12の下部12aと構造切替階30とは構造的に連結している。つまり、上部架構12と外周架構14とは構造切替階30を介して構造的に一体に形成されている。本実施形態では、外周架構14が鉄筋コンクリート造であり、上部架構12が鉄骨造であり、構造切替階30において、鉄筋コンクリート造から鉄骨造へと構造種別が切り替えられている。
【0029】
免震構造物100は、外周架構14と低層架構11とを連結する下側免震層21と、外周架構14と上部架構12とを連結する構造切替階30と、が設けられている。下側免震層21には、複数の免震装置23が設けられている。免震装置23としては、例えば積層ゴム、すべり支承、リニアスライダーのいずれかまたは複数を併用することができる。下側免震層21は、側面視してコア側に配置される内側とその外側に二重に免震装置23が配置されている。下側免震層21の高さは、例えば採用する免震装置23の種別、形状等の条件に合わせて任意に設定することができる。
【0030】
次に、上述した免震構造物100の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態による免震構造物100では、コア部13の外周側に配置される外周架構14が免震構造となり、コア部13が上部架構12および低層架構11に一体的に接続される。すなわち、低層架構11と接続するコア部13が風外力の一部を負担し、免震層を介することなく風外力を低層架構11に伝達するため、下側免震層21に作用する風外力を低減することができ、外周架構14とコア部13との間に設けられる下側免震層21の風荷重の対策に必要な設備を軽減できる。
【0031】
また、本実施形態によれば、コア部13が低層架構11及び上部架構12のそれぞれに対して構造的に一体に接続されているので、エレベータ15の変形制限を設定する必要がなくなり、従来のように免震層を硬くして建物の変形を小さく抑えるためのエレベータ15における構造的対策(例えば、上部架構12及び低層架構11を貫通するエレベータ15の一年再現風や震度3程度の頻発地震における停止に伴う構造的対策)が不要になることから、免震効果の最大化を図ることができる。そのため、本実施形態では、下側免震層21よりも上部の高さが例えば200mを超えるような建物において、免震構造を実現でき、地震力の低減を図ることができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、外周架構14と低層架構11の構造種別が異なる架構の平面共存を容易に行うことができる。例えば、外周架構14を住宅とした鉄筋コンクリート造とし、コア部13を鉄骨造とすることができる。
【0033】
また、本実施形態による免震構造物100では、外周架構14の上部が上部架構12の下部に対して構造切替階30を介して連結されている。本実施形態では、下側免震層21から構造切替階30まで十分な高さを確保できるので、コア部13をしなやかに変形させることができる。そのため、外周架構14の下側免震層21の変形を阻害させることなく、外周架構14のみを免震構造としているが免震構造物100全体が免震建物と同等の変形性能を有する架構となる。
【0034】
また、本実施形態では、外周架構14がコア部13を囲繞するように配置されるため、建築計画の自由度を広げることができる。
【0035】
上述のように本実施形態による免震構造物100では、風対策に必要な設備を減少することができ、優れた免震効果を発揮して地震力の低減を図ることができる。
【0036】
(地震応答解析)
次に、上述した実施形態による免震構造物100の効果を裏付けるために行った地震応答解析について説明する。
【0037】
本地震応答解析では、部材系立体フレームモデルの弾塑性増分解析から作成した曲げせん断棒モデルを使用した。入力地震動は、告示波(神戸位相)を基礎底面の支点に入力して解析を行った。解析に使用したモデルは、
図3に示すモデルB、および
図1に示す免震構造物100と同等の解析モデル(モデルA)である。モデルBは、モデルAの構造切替階30の箇所に上側免震層22を設けたモデルである。つまり、モデルBは、外周架構14が低層架構11、上部架構12、コア部13と構造的に縁が切れている。モデルBでは、外周架構14と低層架構11とは下側免震層21を介して連結されており、外周架構14と上部架構12とは上側免震層22を介して連結されている。
【0038】
地震応答解析から得た各階の最大応答加速度の高さ方向分布図を
図4に示す。
図4に示すように、モデルAとモデルBとは、頂部の最大加速度や基壇部分(低層架構11)の最大加速度にほとんど変化が無いことが確認できる。居室(外周架構14)に関しては、モデルAおよびモデルBともに、大地震時においても全フロアで概ね150(cm/sec
2)以下であり、高いレベルで応答制御ができていることが分かる。
【0039】
本実施形態の免震構造物100のように、免震層が高層部分に設けられていない場合でも、所定の応答低減効果を得ることができる。結果として、上記したモデルAとモデルBについては建築計画との親和性を加味して総合的に構造を選択することで、設計の自由度を増すことができる。
【0040】
以上、本発明による免震構造物の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0041】
例えば、上述した実施の形態の免震構造物100の各架構の高さ、面積、平面形状、クリアランスCの寸法等の構成は適宜設定することができる。
【0042】
また、本実施形態では、コア部13と外周架構14との間に設けられる水平方向の相対変位を許容するクリアランスCにおいて、コア部13と外周架構14とを水平方向に相対移動可能に連結する可動連結部16を設けた構成としているが、可動連結部16を設けることに限定されることはなく、また可動連結部16の構成は、任意に設定することができる。
【0043】
また、本実施形態では、コア部13、低層架構11及び上部架構12が鉄骨造であり、外周架構14が鉄筋コンクリート造でそれぞれの構造種別が異なっている例を採用しているが、構造種別はこれに限られない。
【0044】
さらに、本実施形態では、外周架構14がコア部13の周囲全周に設けられているが、全周であることに限定されることはない。すなわち、外側架構の一例である外周架構14は、コア部13の周囲の周方向の一部に設けられていてもよいし、周方向に分割されていてもよい。また、外周架構のコア部に対する位置は、上記実施形態のようにコア部13の外周側で周方向に外側架構が配置されていることに制限されることはない。つまり、外側架構は、水平方向でコア部を向くようにコア部の外側に配置されていればよい。例えば、コア部が左右方向の一方に配置され、外側架構が左右方向の他方に配置され、コア部と外側架構とが横並びに配置される構造であってもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【0046】
なお、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る溶接装置は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0047】
100 免震構造物
11 低層架構
12 上部架構
13 コア部
14 外周架構(外側架構)
15 エレベータ
16 可動連結部
21 下側免震層
23 免震装置
30 構造切替階
C クリアランス