(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132131
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/15 20060101AFI20240920BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240920BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J2/15
B41J2/01 401
B41J2/175 175
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042807
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB20
2C056EB45
2C056EC07
2C056EC78
2C056ED01
2C056KC02
2C057AF33
2C057AG15
2C057AG16
2C057AL40
2C057AM40
2C057AN01
2C057CA01
(57)【要約】
【課題】1種類の液体での記録時に複数種類の液体での記録時よりも、1回の記録パスで記録される画像の、ヘッドと被記録媒体との相対移動方向の解像度を高くする。
【解決手段】インクジェットヘッド4は、4列のノズル列9を有する。各ノズル列9を形成する複数のノズル10は、走査方向および搬送方向を含む平面と平行で且つ走査方向および搬送方向のいずれとも交差する第1方向に配列されている。4列のノズル列9は、上記平面と平行で且つ第1方向と直交する第2方向に並んでおり、ノズル列9間で、第1方向におけるノズル10の位置は同じである。4列のノズル列9間でノズル10から異なる色のインクを吐出してカラー記録を行う。4列のノズル列9を形成するすべてのノズル10からブラックのインクを吐出して、カラー記録のときよりも1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度が高いモノクロ記録を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有するノズル面を備え、前記複数のノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、
前記走査方向と交差する相対移動方向に、前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、
液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、
制御部と、を備え、
前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、
前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、
前記複数のノズルは、
前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に沿って配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、
前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に沿って配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、
前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとから異なる種類の液体を吐出させる複数液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせる複数液体記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出させることによって前記複数液体記録パスよりも前記相対移動方向において高解像度で記録を行う単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる単一液体記録処理を実行することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとは、前記配列方向の位置が同じであり、
前記配列方向が、前記ノズル面における、前記投影走査方向および前記投影相対移動方向のいずれとも交差する方向であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記ヘッドの外形が、前記投影走査方向および前記投影相対移動方向のいずれとも直交する方向に見て、1組の対向辺が前記配列方向と平行な長方形であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数液体記録パスで前記第1ノズルおよび前記第2ノズルから吐出された液体によって被記録媒体上に形成されるドットの大きさを、前記単一液体記録パスで前記第1ノズルおよび前記第2ノズルから吐出された液体によって被記録媒体上に形成されるドットの大きさ以上とするように、前記複数液体記録処理および前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記複数液体記録パスでの前記第1ノズルおよび前記第2ノズルからの液体の吐出量を、前記単一液体記録パスでの前記第1ノズルおよび前記第2ノズルからの液体の吐出量以上とするように、前記複数液体記録処理および前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数液体記録処理において、
前記第1ノズルから吐出される液体と前記第2ノズルから吐出される液体とを被記録媒体上で重ねて1つの画素を形成するように前記複数液体記録パスおよび前記第1相対移動動作を行わせ、
前記単一液体記録処理において、
前記第1ノズルから吐出される液体と前記第2ノズルから吐出される液体とで被記録媒体上に別の画素を形成するように前記単一液体記録パスおよび前記第2相対移動動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記第1貯留部および前記第2貯留部が、前記記録装置に取り外し可能に取り付けられた液体カートリッジであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第1貯留部および前記第2貯留部が、貯留されている液体の種類に関する情報を記憶するICチップを有し、
前記ICチップから前記情報を読み取る情報読取部、を備え、
前記制御部は、
前記情報取得部の読取結果が、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留されていることを示している状態で、前記複数液体記録処理を実行し、
前記情報取得部の読取結果が、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留されていることを示している状態で、前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項9】
前記第1貯留部および前記第2貯留部が、液体の補充口を有する液体タンクであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
ユーザによる前記複数液体記録処理および前記単一液体記録処理のいずれかを選択する選択信号を受信する選択信号受信部、を備え、
前記制御部は、
前記複数液体記録処理および前記単一液体記録処理のうち、前記選択信号受信部において受信した前記選択信号が示す記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる色のインクが貯留された状態で、前記複数液体記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ色のインクが貯留された状態で、前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部のうち一方の貯留部に顔料インクが貯留され他方の貯留部に染料インクが貯留された状態で、前記複数液体記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部の両方に同じ色の顔料インクが貯留された状態、または、前記第1貯留部と前記第2貯留部の両方に同じ色の染料インクが貯留された状態で、前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部のうち一方の貯留部にインクが貯留され他方の貯留部にコート剤が貯留された状態で、前記複数液体記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部の両方に同じ色のインクが貯留された状態で、前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部のうち一方の貯留部にインクが貯留され他方の貯留部に処理液が貯留された状態で、前記複数液体記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部の両方に同じ色のインクが貯留された状態で、前記単一液体記録処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項15】
複数のノズルを有するノズル面を備えたヘッドと、
前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、
前記走査方向と交差する相対移動方向に前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、
液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、
制御部と、を備え、
前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、
前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、
前記複数のノズルは、
前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、
前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、
前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルおよび前記複数の第2ノズルから異なる種類の液体を吐出させる複数液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせる複数液体記録処理と、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルおよび前記複数の第2ノズルから同じ種類の液体を吐出させる単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる単一液体記録処理と、を実行し、
前記複数液体記録処理において、
ある複数色記録パスで前記第1ノズルから吐出される液体と、前記ある複数液体記録パスとは別の複数液体記録パスで前記第2ノズルから吐出される液体とを被記録媒体上で重ねて1つの画素を形成するように前記複数液体記録パスおよび前記第1相対移動動作を行わせ、
前記単一液体記録処理において、
前記第1ノズルから吐出される液体と前記第2ノズルから吐出される液体とで被記録媒体上に別の画素を形成するように前記単一液体記録パスおよび前記第2相対移動動作を行わせることを特徴とする記録装置。
【請求項16】
複数のノズルを有するノズル面を備えたヘッドと、
前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、
前記走査方向と交差する相対移動方向に前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、
液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、
制御部と、を備え、
前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、
前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、
前記複数のノズルは、
前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、
前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、
前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第2ノズルから液体を吐出させず、前記複数の第1ノズルから液体を吐出させる第1単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせる第1単一記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出させることによって前記第1単一液体記録パスよりも前記相対移動方向において高解像度で記録を行う第2単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる第2単一液体記録処理を実行することを特徴とする記録装置。
【請求項17】
複数のノズルを有するノズル面を備えたヘッドと、
前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、
前記走査方向と交差する相対移動方向に前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、
液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、
制御部と、を備え、
前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、
前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、
前記複数のノズルは、
前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、
前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、
前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、
前記制御部は、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記第1ノズルおよび前記第2ノズルから異なる種類の液体を吐出させる複数液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせることによって、前記第1ノズルから吐出された液体と、当該第1ノズルと前記相対移動方向の位置が異なる前記第2ノズルから吐出された液体とによって1つの画素を形成するように記録させる複数液体記録処理を実行し、
前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記第1ノズルと前記第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出させ、第1ノズルから吐出された液体と、当該第1ノズルと前記相対移動方向の位置が異なる前記第2ノズルから吐出された液体とが別の画素を形成するよう記録させる単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる単一液体記録処理を実行することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出して被記録媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出して被記録媒体に記録を行う記録装置の一例として、特許文献1にはノズルからインクを吐出して用紙に記録を行うインクジェットプリンタが記載されている。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、ヘッドが、複数のノズルを有する。複数のノズルは用紙搬送方向に配列されたA列およびB列のノズル列を形成する。そして、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、ヘッドを搭載するキャリッジを、用紙搬送方向と直交する方向に移動させつつ、A列およびB列を構成する複数のノズルからインクを吐出させる記録パスと、用紙搬送方向への用紙の搬送とを繰り返すことによって、用紙への記録を行うことができる。このとき、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、A列を構成する複数のノズルのうち用紙搬送方向の上流側半分のノズルと、A列を構成する複数のノズルのうち用紙搬送方向の下流側半分のノズルと、B列を構成する複数のノズルのうち用紙搬送方向の上流側半分のノズルと、B列を構成する複数のノズルのうち用紙搬送方向の下流側半分のノズルとで、異なる色のインクを吐出する多色印刷が可能である。また、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、A列およびB列の全てのノズルから同じ色のインクを吐出する単色印刷が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、A列とB列とで、用紙搬送方向におけるノズルの位置が同じである。そのため、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、多色印刷および単色印刷のいずれにおいても、1回の記録パスで記録される画像の用紙搬送方向の解像度は同じである。
【0005】
本発明の目的は、1種類の液体での記録時に複数種類の液体での記録時よりも、1回の記録パスで記録される画像の、ヘッドと被記録媒体との相対移動方向の解像度を高くすることが可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、複数のノズルを有するノズル面を備え、前記複数のノズルから液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、前記走査方向と交差する相対移動方向に、前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、制御部と、を備え、前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、前記複数のノズルは、前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に沿って配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に沿って配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、前記制御部は、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとから異なる種類の液体を吐出させる複数液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせる複数液体記録処理を実行し、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出させることによって前記複数液体記録パスよりも前記相対移動方向において高解像度で記録を行う単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる単一液体記録処理を実行する。
【0007】
また、本発明の記録装置は、複数のノズルを有するノズル面を備えたヘッドと、前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、前記走査方向と交差する相対移動方向に前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、制御部と、を備え、前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、前記複数のノズルは、前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、前記制御部は、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルおよび前記複数の第2ノズルから異なる種類の液体を吐出させる複数液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせる複数液体記録処理と、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルおよび前記複数の第2ノズルから同じ種類の液体を吐出させる単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる単一液体記録処理と、を実行し、前記複数液体記録処理において、ある複数色記録パスで前記第1ノズルから吐出される液体と、前記ある複数液体記録パスとは別の複数液体記録パスで前記第2ノズルから吐出される液体とを被記録媒体上で重ねて1つの画素を形成するように前記複数液体記録パスおよび前記第1相対移動動作を行わせ、前記単一液体記録処理において、前記第1ノズルから吐出される液体と前記第2ノズルから吐出される液体とで被記録媒体上に別の画素を形成するように前記単一液体記録パスおよび前記第2相対移動動作を行わせる。
【0008】
また、本発明の記録装置は、複数のノズルを有するノズル面を備えたヘッドと、前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、前記走査方向と交差する相対移動方向に前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、制御部と、を備え、前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、前記複数のノズルは、前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、前記制御部は、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第2ノズルから液体を吐出させず、前記複数の第1ノズルから液体を吐出させる第1単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせる第1単一記録処理を実行し、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出させることによって前記第1単一液体記録パスよりも前記相対移動方向において高解像度で記録を行う第2単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる第2単一液体記録処理を実行する。
【0009】
また、本発明の記録装置は、複数のノズルを有するノズル面を備えたヘッドと、前記ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、前記走査方向と交差する相対移動方向に前記ヘッドと被記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、液体が貯留される第1貯留部および第2貯留部と、制御部と、を備え、前記ノズル面上に、前記走査方向を投影した方向を投影走査方向とし、前記ノズル面上に、前記相対方向を投影した方向を投影相対移動方向として、前記複数のノズルは、前記第1貯留部と連通し、前記投影走査方向と交差する配列方向に配列された複数の第1ノズルを有する第1ノズル列と、前記第2貯留部と連通し、前記配列方向に配列された複数の第2ノズルを有する第2ノズル列と、を形成しており、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記投影走査方向に離れて配置され、前記投影相対移動方向において、前記第2ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第1ノズルの間に位置し、前記第1ノズルが前記第1方向に隣接する2つの前記第2ノズルの間に位置し、前記制御部は、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに異なる種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記第1ノズルおよび前記第2ノズルから異なる種類の液体を吐出させる複数液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第1相対移動動作とを繰り返し行わせることによって、前記第1ノズルから吐出された液体と、当該第1ノズルと前記相対移動方向の位置が異なる前記第2ノズルから吐出された液体とによって1つの画素を形成するように記録させる複数液体記録処理を実行し、前記第1貯留部と前記第2貯留部とに同じ種類の液体が貯留された状態で、前記キャリッジを前記走査方向に移動させつつ、前記ヘッドに前記第1ノズルと前記第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出させ、第1ノズルから吐出された液体と、当該第1ノズルと前記相対移動方向の位置が異なる前記第2ノズルから吐出された液体とが別の画素を形成するよう記録させる単一液体記録パスと、前記相対移動手段に前記ヘッドと被記録媒体とを前記相対移動方向に相対移動させる第2相対移動動作とを繰り返し行わせる単一液体記録処理を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、記録装置を、第1ノズルと第2ノズルとから同じ種類の液体を吐出して記録を行うものする場合に、第1ノズルと第2ノズルとから異なる種類の液体を吐出して記録を行うものとする場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の相対移動方向の解像度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態のプリンタの概略構成図である。
【
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】記録時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】(a)はカラー記録処理での記録を説明するための図であり、(b)はモノクロ記録処理での記録を説明するための図である。
【
図7】インクジェットヘッドにおいてノズルが搬送方向に並び、ノズル列間でノズルの位置が搬送方向ずれている例を説明するための図である。
【
図8】(a)は、インクジェットヘッドがブラックのヘッドユニットとカラーのヘッドユニットとによって構成され、ノズルが第1方向に並んでいる例を説明するための図であり、(b)は、インクジェットヘッドがブラックのヘッドユニットとカラーのヘッドユニットとによって構成され、ノズルが搬送方向に並び、ノズル列間でノズルの位置が搬送方向ずれている例を説明するための図である。
【
図9】(a)は、インクジェットヘッドが1列のノズル列をそれぞれ有する4つのヘッドユニットによって構成され、ノズルが第1方向に並んでいる例を説明するための図であり、(b)は、インクジェットヘッドが1列のノズル列をそれぞれ有する4つのヘッドユニットによって構成され、ノズルが搬送方向に並び、ノズル列間でノズルの位置が搬送方向ずれている例を説明するための図である。
【
図10】(a)は、インクジェットヘッドが2列のノズル列をそれぞれ有する2つのヘッドユニットによって構成され、ノズルが第1方向に並んでいる例を説明するための図であり、(b)は、インクジェットヘッドが2列のノズル列をそれぞれ有する2つのヘッドユニットによって構成され、ノズルが搬送方向に並び、ノズル列間でノズルの位置が搬送方向ずれている例を説明するための図である。
【
図11】インクの補充口を有するインクタンクを備えたプリンタを説明するための図である。
【
図13】
図11のプリンタにおいて記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】カラー記録処理において、1つの画素を形成する4つのドットを異なる記録パスで行わせることによって、4色のインクの着弾位置が同じとなるようにする例を説明するための図である。
【
図15】4色のインクを吐出可能な場合にカラー記録処理および第1モノクロ記録処理のいずれかを行い、ブラックのインクのみを吐出可能な状態で第2モノクロ記録処理を行うプリンタにおいて、記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第1モノクロ記録処理での記録を説明するための図である。
【
図17】コート剤カートリッジが装着されている場合にコーティングありの記録を行い、インクカートリッジのみが装着されている場合にコーティングなしの記録を行うプリンタにおいて、記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】(a)は前処理液カートリッジが装着されている場合に前処理ありの記録を行い、インクカートリッジのみが装着されている場合に前処理なしの記録を行うプリンタにおいて、記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は後処理液カートリッジが装着されている場合に後処理ありの記録を行い、インクカートリッジのみが装着されている場合に後処理なしの記録を行うプリンタにおいて、記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4、プラテン5、搬送ローラ6,7などを備えている。なお、本実施形態では、プリンタ1が、本発明の「記録装置」に相当し、インクジェットヘッド4が、本発明の「ヘッド」に相当する。
【0014】
キャリッジ2は、水平な走査方向に延びた2本のガイドレール11,12に支持されている。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介して
図4に示すキャリッジモータ86に接続されている。キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。なお、以下では、
図1に示すように、走査方向の右側および左側を定義して説明を行う。
【0015】
サブタンク3は、キャリッジ2に搭載されている。ここで、プリンタ1は、カートリッジホルダ13を備えている。カートリッジホルダ13は、走査方向に並んだ4つのカートリッジ装着部41を有する。各カートリッジ装着部41には、インクカートリッジ14が取り外し可能に装着される。走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41には、ブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着される。走査方向の右側3つのカートリッジ装着部41には、走査方向の左側の位置するものから順に、カラーの染料インクであるイエロー、シアン、マゼンタの染料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着される。あるいは、4つのカートリッジ装着部41のいずれにもブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着される。なお、本実施形態では、インクカートリッジ14が、本発明の「液体カートリッジ」に相当し、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41に装着されたインクカートリッジ14が、本発明の「第1貯留部」に相当し、走査方向の右側3つのカートリッジ装着部41に装着された3つのインクカートリッジ14が、本発明の「第2貯留部」に相当する。
【0016】
また、
図2に示すように、カートリッジホルダ13は、各カートリッジ装着部41と接続された供給流路42を有する。4つのカートリッジ装着部41に対応する4つの供給流路42は、4本のチューブ15を介してサブタンク3に接続されている。
【0017】
一方、インクカートリッジ14の内部には、インクを貯留するためのインク貯留室51が形成されている。また、インクカートリッジ14は、カートリッジ装着部41に装着された状態で、水平で且つ走査方向と直交する搬送方向における上流側の端部の下端部に位置し、インク貯留室51と接続されたインク供給部52を有する。インク供給部52には、図示しないバルブが設けられている。インクカートリッジ14がカートリッジ装着部41に装着されていない状態では、上記バルブが閉じており、インク貯留室51内のインクがインク供給部52から漏れ出さないようになっている。インクカートリッジ14をカートリッジ装着部41に装着すると、インク供給部52が供給流路42と接続される。このとき上記バルブが開き、インク貯留室51に貯留されたインクが、インク供給部52を介して供給流路42に流れ込む。これにより、4つのインクカートリッジ14に貯留されたインクが、4本のチューブ15を介してサブタンク3に供給される。なお、本実施形態では、搬送方向が、本発明の「相対移動方向」に相当する。
【0018】
また、インクカートリッジ14には、カートリッジ装着部41に装着された状態で上面となる表面14aにICチップ53が取り付けられている。ICチップ53には、インクカートリッジ14に関する情報が記憶されている。インクカートリッジ14に関する情報は、貯留されているインクの色の情報など、貯留されているインクの種類の情報を含む。また、これに対応して、カートリッジ装着部41の天井面41aには接点部43が設けられている。接点部43は、後述する制御部80に接続されている。インクカートリッジ14がカートリッジ装着部41に装着されると、ICチップ53が接点部43と接続される。これにより、ICチップ53に記憶されているインクカートリッジ14に関する情報が読み取られて、制御部80に送られる。なお、本実施形態では、接点部43が、本発明の「読取部」に相当する。
【0019】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ2に搭載され、サブタンク3の下端部に接続されている。インクジェットヘッド4には、サブタンク3からインクが供給される。また、インクジェットヘッド4は、上下方向から見て長方形の外形を有する。そして、この長方形の1組の対向辺4aが、走査方向および搬送方向を含む平面と平行で、且つ、走査方向および搬送方向のいずれとも交差する第1方向に延びている。
【0020】
また、インクジェットヘッド4は、その下面であるノズル面4bに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、
図1、
図3に示すように、複数のノズル10は、第1方向に配列されることによってノズル列9を形成している。また、ノズル面4bにおいて、4列のノズル列9が水平でかつ第1方向と直交する第2方向に並んでいる。4列のノズル列9間で、第1方向におけるノズル10の位置は同じである。
【0021】
また、各ノズル列9において、複数のノズル10が、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、走査方向の右側3列のノズル列9を形成する複数のノズル10は、それぞれ、走査方向の左側に隣接するノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10が、搬送方向において、距離(L/4)の間隔で配置されている。
【0022】
また、4列のノズル列9は、4つのカートリッジ装着部41に対応している。各ノズル列9を形成する複数のノズル10は、チューブ15、サブタンク3内の流路、および、インクジェットヘッド4内の流路等を介して、対応するカートリッジ装着部41に装着されたインクカートリッジのインク貯留室51と連通している。そして、各ノズル列9を形成する複数のノズル10に、対応するカートリッジ装着部41に装着されたインクカートリッジ14からインクが供給される。
【0023】
これにより、4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留された4つのインクカートリッジ14が装着されている場合には、走査方向の最も左側のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックの顔料インクが吐出され、走査方向の右側3列のノズル列9を形成する複数のノズル10からは、走査方向の左側に位置するものから順に、イエロー、シアン、マゼンタの染料インクが吐出される。一方、4つのカートリッジ装着部41のいずれにもブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合には、複数のノズル10からブラックの顔料インクが吐出される。なお、本実施形態では、走査方向の最も左側のノズル列9を形成するノズル10が本発明の「第1ノズル」に相当し、走査方向の右側3列のノズル列9を形成するノズル10が本発明の「第2ノズル」に相当する。
【0024】
プラテン5は、インクジェットヘッド4の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に記録用紙Sの全長にわたって延び、記録用紙Sを下方から支持する。搬送ローラ6は、インクジェットヘッド4及びプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ7は、インクジェットヘッド4及びプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ6,7は、図示しないギヤなどを介して
図4に示す搬送モータ87に接続されている。搬送モータ87を駆動させると、搬送ローラ6,7が回転し、記録用紙Sが搬送方向に搬送される。これにより、インクジェットヘッド4と記録用紙Sとが搬送方向に相対移動する。なお、本実施形態では、搬送ローラ6,7が、本発明の「相対移動手段」に相当する。
【0025】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。
図4に示すように、プリンタ1は、制御部80を備えている。制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、フラッシュメモリ84、ASIC85などからなる。なお、CPUはCentral Processing Unitの略語である。ROMはRead Only Memoryの略語である。RAMはRandom Access Memoryの略語である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略語である。
【0026】
制御部80は、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド4、搬送モータ87等の動作を制御する。また、制御部80は、接点部43を介して、ICチップ53に記憶されているインクカートリッジ14に関する情報を取得する。
【0027】
また、プリンタ1は、以上に説明した構成のほかに、表示部69と操作部68とを備えている。表示部69はプリンタ1の筐体に設けられた液晶ディスプレイ等であり、制御部80の制御により、プリンタ1の動作に関連する情報等が表示される。操作部68は、プリンタ1の筐体に設けられたボタン、表示部69に設けられたタッチパネルなどである。ユーザにより操作部68が操作されると、操作部68から制御部80にユーザの操作に応じた信号が送信される。
【0028】
なお、制御部80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0029】
<記録時の制御>
次に、プリンタ1において記録用紙Sへの記録を行うときの制御部80の処理について説明する。制御部80は、記録用紙Sへの記録を指示する記録指令を受信したときに、
図5のフローチャートに沿って処理を行うことによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。記録指令は、例えば、ユーザによる操作部68の操作、あるいは、ユーザによるプリンタ1に接続された図示しないPCの操作に基づいて、制御部80に入力される。
【0030】
図5のフローチャートについて説明すると、制御部80は、記録指令を受信したときに、まず、4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジが装着されているか否かを判断する(S101)。制御部80は、4つのカートリッジ装着部41の4つの接点部43を介して、4つのカートリッジ装着部41に装着された4つのインクカートリッジ14のICチップ53から読み取った情報に基づいて、S101の判断を行う。
【0031】
4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジが装着されている場合には(S101:YES)、制御部80は、カラー記録処理を実行し(S102)、処理を終了する。カラー記録処理については後ほど詳細に説明する。なお、本実施形態では、カラー記録処理が、本発明の「複数液体記録処理」に相当する。
【0032】
4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合(S101:NO)、制御部80は、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されているか否かを判断する(S103)。制御部80は、4つのカートリッジ装着部41に設けられた4つの接点部43を介して、4つのカートリッジ装着部41に装着された4つのインクカートリッジ14のICチップ53から読み取った情報に基づいて、S103の判断を行う。
【0033】
4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合(S103:YES)、制御部80は、モノクロ記録処理を実行し(S104)、処理を終了する。モノクロ記録処理については後ほど詳細に説明する。なお、本実施形態では、モノクロ記録処理が、本発明の「単一液体記録処理」に相当する。
【0034】
4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合には(S104:NO)、制御部80は、エラーメッセージ等を表示させるためのエラー信号を、表示部69あるいはプリンタ1に接続された図示しないPCに出力し(S105)、処理を終了する。
【0035】
<カラー記録処理およびモノクロ記録処理>
次に、カラー記録処理およびモノクロ記録処理について説明する。カラー記録処理およびモノクロ記録処理のいずれにおいても、制御部80は、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド4に複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送モータ87を制御して搬送ローラ6,7に記録用紙Sを搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。カラー記録処理で行わせる記録パスでは複数のノズル10から上記4色のインクが吐出され、モノクロ記録処理で行わせる記録パスでは複数のノズル10からブラックのインクが吐出される。
【0036】
なお、本実施形態では、カラー記録処理で行わせる記録パスが本発明の「複数液体記録パス」に相当し、モノクロ記録処理で行わせる記録パスが本発明の「単一液体記録パス」に相当する。本実施形態では、カラー記録処理で行わせる搬送動作が本発明の「第1相対移動動作」に相当し、モノクロ記録処理で行わせる搬送動作が本発明の「第2相対移動動作」に相当する。
【0037】
また、Nを、ノズル列9を形成するノズル10の数以下の任意の自然数として、カラー記録処理で行わせる記録パスにおいて、制御部80は、
図6(a)に示すように、各ノズル列9を形成する複数のノズル10のうち、搬送方向の上流側から数えてN番目のノズル10から吐出されたブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクが記録用紙Sに着弾することによって形成されたブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のドットDk,Dy,Dc,Dmが重なって1つの画素P1を形成するように、インクジェットヘッド4の複数のノズル10からインクを吐出させる。これにより、記録用紙Sに4色のインクで画像が記録されるカラー記録が行われる。
【0038】
一方、モノクロ記録処理で行わせる記録パスにおいて、制御部80は、
図6(b)に示すように、各ノズル列9を形成する複数のノズル10のうち、搬送方向の上流側から数えてN番目のノズル10から吐出されたブラックのインクが記録用紙Sに着弾することによって形成されるブラックの4つのドットが別々の画素P2を形成するように、インクジェットヘッド4の複数のノズル10からインクを吐出させる。これにより、記録用紙Sにブラックのインクで画像が記録されるモノクロ記録が行われる。また、モノクロ記録における搬送方向の解像度が、カラー記録における搬送方向の解像度の4倍となる。
【0039】
また、モノクロ記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量は、カラー記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量以下である。これにより、モノクロ記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドット(画素P1)の大きさが、カラー記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドットDk,Dy,Dc,Dmの大きさ以下である。
【0040】
<効果>
本実施形態では、4列のノズル列9間で、ノズル10の走査方向および搬送方向の位置が異なる。そして、搬送方向において、走査方向の最も左側のノズル列9を形成する複数のノズル10のうち、搬送方向の最も上流側のノズル10と、搬送方向の上流側から2番目のノズル10との間に、残り3列のノズル列9を形成する複数のノズル10のうちの1つずつが配置されている。
【0041】
したがって、走査方向の最も左側のインクカートリッジ装着部41にブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の右側3つのインクカートリッジ装着部41にカラーの染料インクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10から4色のインクを吐出させることにより、プリンタ1においてカラー記録を行うことができる。一方で、4つのインクカートリッジ装着部41にブラックの顔料インクが貯留された4つのインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1においてモノクロ記録を行うことができる。また、モノクロ記録を行う場合に、カラー記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、4列のノズル列9間で、複数のノズル10が配列される第1方向におけるノズル10の位置が同じである。したがって、第1方向を、走査方向および搬送方向を含む平面と平行で、且つ、走査方向および搬送方向のいずれとも交差する方向とすることによって、4列のノズル列9間で、搬送方向におけるノズル10の位置をずらすことができる。
【0043】
また、本実施形態では、インクジェットヘッド4の上下方向から見た外形が、長方形であり、各ノズル列9を形成する複数のノズル10が、長方形の対向辺4aと平行に配列されている。したがって、インクジェットヘッド4を、対向辺4aが走査方向および搬送方向のいずれに対しても傾くように配置することによって、各ノズル列9を形成する複数のノズル10が配列される第1方向を、走査方向および搬送方向を含む平面と平行で、且つ、走査方向および搬送方向のいずれとも交差する方向とすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、モノクロ記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量は、カラー記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量以下である。また、モノクロ記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドットの大きさが、カラー記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドットDk,Dy,Dc,Dmの大きさ以下である。これにより、モノクロ記録処理およびカラー記録処理によって適切に画像を記録することができる。
【0045】
また、本実施形態では、カラー記録処理により、異なるノズル列9を形成する4つのノズル10から吐出されたインクによって形成される4つのドットDk,Dy,Dc,Dmを重ねて1つの画素P1を形成する。これにより、カラーの画像を記録することができる。また、モノクロ記録処理により、異なるノズル列9を形成するノズル10から吐出されたインクによって形成されるドットによって別々の画素P2を形成することにより、カラー記録処理のときよりも1回の記録パスでの搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、インクカートリッジ14のICチップ53から読み取った情報に応じて適切に、カラー記録処理およびモノクロ記録処理を行うことができる。
【0047】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0048】
インクジェットヘッドにおけるノズル列9を形成する複数のノズル10の配列方向、インクジェットヘッド4の外形、および、これらの関係は上述の実施形態のものには限られない。
【0049】
変形例1では、
図7に示すように、インクジェットヘッド101は、上下方向から見た外形が長方形であり、各ノズル列9を形成する複数のノズル10がそれぞれ長方形の対向辺101aが延びる方向に並んでいる。また、インクジェットヘッド101は、対向辺101aが延びる方向が搬送方向に平行となるように配置されている。なお、変形例1等の、ノズル列9を形成する複数のノズル10が搬送方向に配列される例では、搬送方向が、本発明の「相対移動方向」および「配列方向」に相当する。
【0050】
また、各ノズル列9を形成する複数のノズル10は搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、走査方向の右側3列のノズル列9を形成する複数のノズル10は、それぞれ、走査方向の左側に隣接するノズル列9を形成する複数のノズル10に対して搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド101における複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0051】
変形例2では、
図8(a)に示すように、インクジェットヘッド110が、2つのヘッドユニット111,112によって構成されている。ヘッドユニット111は、上下方向から見た外形が、第1方向と平行な1組の対向辺111aを有する長方形である。ヘッドユニット111は、1列のノズル列9を有し、この1列のノズル列9を形成する複数のノズル10がそれぞれ長方形の対向辺111aが延びる第1方向に配列されている。
【0052】
ヘッドユニット112は、上下方向から見た外形が第1方向と平行な1組の対向辺112aを有する長方形であり、3列のノズル列9を有する。各ノズル列9を形成する複数のノズル10が、それぞれ対向辺112aが延びる第1方向に配列されている。また、3列のノズル列9間で、第1方向におけるノズル10の位置は同じである。
【0053】
ヘッドユニット111,112の各ノズル列9を形成する複数ノズル10は、それぞれ、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、ヘッドユニット112の走査方向の最も左側のノズル列9を形成する複数のノズル10は、ヘッドユニット111のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。また、ヘッドユニット112の走査方向の右側2列のノズル列9を形成する複数のノズル10は、それぞれ、走査方向の左側に隣接するノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド110において、ヘッドユニット111の1列のノズル列9と、ヘッドユニット112の3列ノズル列9とを合わせた4列のノズル列9を形成する複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0054】
変形例3では、
図8(b)に示すように、インクジェットヘッド120が、2つのヘッドユニット121,122によって構成されている。ヘッドユニット121は、変形例1のヘッドユニット111と同様の構造を有する。ただし、ヘッドユニット121は、対向辺121aが延びる方向が搬送方向と平行となるように配置されている。
【0055】
ヘッドユニット122は、上下方向から見た外形が搬送方向平行な1組の対向辺122aを有する長方形であり、3列のノズル列9を有する。各ノズル列9を形成する複数のノズル10がそれぞれ長方形の対向辺121aが延びる搬送方向に配列されている。
【0056】
また、ヘッドユニット121,122の各ノズル列9を形成する複数のノズル10は、それぞれ、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、ヘッドユニット122の走査方向の最も左側のノズル列9を形成する複数のノズル10は、ヘッドユニット121のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。また、ヘッドユニット122の走査方向の右側2列のノズル列9を形成する複数のノズル10は、それぞれ、走査方向の左側に隣接するノズル列9を形成する複数のノズル10に対して搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド120において、ヘッドユニット121の1列のノズル列9と、ヘッドユニット122の3列ノズル列9とを合わせた4列のノズル列9を形成する複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0057】
変形例4では、
図9(a)に示すように、インクジェットヘッド130が、4つのヘッドユニット131~134によって構成されている。4つのヘッドユニット131~134のいずれも、変形例2のヘッドユニット111と同様の構造を有する。また、4つのヘッドユニット131~134は、それぞれ、対向辺131a~134a延びる方向が、第1方向と平行となるように配置され、第2方向に並んでいる。また、4つのヘッドユニット131~134のノズル列9間で、第1方向におけるノズル10の位置は同じである。
【0058】
ヘッドユニット131~134の各ノズル列9を形成する複数ノズル10は、それぞれ、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、ヘッドユニット132~132のノズル列9を形成する複数のノズル10は、それぞれ、走査方向の左側に隣接するヘッドユニット131~133のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド130において、ヘッドユニット131~134のノズル列9を合わせた4列のノズル列9を形成する複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0059】
変形例5では、
図9(b)に示すように、インクジェットヘッド140が、4つのヘッドユニット141~144によって構成されている。4つのヘッドユニット141~144のいずれも、変形例3のヘッドユニット121と同様の構造を有する。また、4つのヘッドユニット141~144は、それぞれ、対向辺141a~144a延びる方向が、搬送方向と平行となるように配置され、走査方向に並んでいる。
【0060】
ヘッドユニット141~144の各ノズル列9を形成する複数ノズル10は、それぞれ、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、ヘッドユニット142~144は、それぞれ、走査方向の左側に隣接するヘッドユニット141~143に対して搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド140において、ヘッドユニット141~144のノズル列9を合わせた4列のノズル列9を形成する複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0061】
変形例6では、
図10(a)に示すように、インクジェットヘッド150が、2つのヘッドユニット151,152によって構成されている。ヘッドユニット151とヘッドユニット151とは同じ構造を有する。ヘッドユニット151,152は、上下方向から見た外形が第1方向と平行な1組の対向辺151a,152aを有する長方形である。ヘッドユニット151,152は、2列のノズル列9を有する。各ノズル列9を形成する複数のノズル10がそれぞれ長方形の対向辺151a,152aが延びる第1方向に配列されている。また、ヘッドユニット151,152の2列のノズル列9とヘッドユニット152の2列のノズル列9との4列のノズル列9間で、第1方向におけるノズル10の位置は同じである。
【0062】
ヘッドユニット151,152の各ノズル列9を形成する複数ノズル10は、それぞれ、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、ヘッドユニット151,152において、走査方向の右側のノズル列9を形成する複数のノズル10は、走査方向の左側のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。また、ヘッドユニット152の走査方向の左側のノズル列9を形成する複数のノズル10は、ヘッドユニット151の走査方向の右側のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、インクジェットヘッド150において、ヘッドユニット151の2列のノズル列9と、ヘッドユニット152の2列ノズル列9とを合わせた4列のノズル列9を形成する複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0063】
変形例7では、
図10(b)に示すように、インクジェットヘッド160が、2つのヘッドユニット161,162によって構成されている。ヘッドユニット161とヘッドユニット162とは同じ構造を有する。ヘッドユニット161,162は、上下方向から見た外形が搬送方向と平行な1組の対向辺161a,162aを有する長方形である。ヘッドユニット161,162は、2列のノズル列9を有する。各ノズル列9を形成する複数のノズル10がそれぞれ長方形の対向辺161a,162aが延びる搬送方向に配列されている。
【0064】
また、ヘッドユニット161,162の各ノズル列9を形成する複数のノズル10は、搬送方向に距離Lの間隔で並んでいる。また、ヘッドユニット161,162において、それぞれ、2列のノズル列9のうち、走査方向の右側のノズル列9を形成する複数のノズル10は、走査方向の左側のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して、搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。また、ヘッドユニット162がヘッドユニット161に対して搬送方向の下流側に距離(L/2)ずれていることにより、ヘッドユニット162の走査方向の左側のノズル列9を形成する複数のノズル10が、ヘッドユニット161の走査方向の右側のノズル列9を形成する複数のノズル10に対して搬送方向の下流側に距離(L/4)ずれている。これにより、ヘッドユニット161の2列のノズル列9とヘッドユニット162の2列のノズル列9との4列のノズル列9を形成する複数のノズル10の位置関係が、上述の実施形態のインクジェットヘッド4の複数のノズル10の位置関係と同様である。
【0065】
また、以上の例では、インクジェットヘッドあるいはヘッドユニットの外形の長方形の対向辺が延びる方向と、ノズル列9を形成する複数のノズル10が配列される方向とが平行であったが、これには限られない。インクジェットヘッドあるいはヘッドユニットの外形の長方形の対向辺が延びる方向と、ノズル列9を形成する複数のノズル10が配列される方向とは平行でなくてもよい。また、インクジェットヘッドあるいはヘッドユニットの外形は長方形以外の形状であってもよい。
【0066】
また、以上の例では、インクジェットヘッドが4列のノズル列9を有していたが、これには限られない。インクジェットヘッドは、2列または3列のノズル列を有していてもよい。あるいは、インクジェットヘッドは5列以上のノズル列を有していてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、カートリッジ装着部41に装着されたインクカートリッジ14に貯留されたインクがインクジェットヘッド4に供給されるように構成されている。そして、インクカートリッジ14に設けられたICチップ53から取得した、貯留されているインクカートリッジ14に関する情報に基づいて、カラー記録処理およびモノクロ記録処理を実行する。しかしながら、これには限られない。
【0068】
変形例8では、
図11に示すように、プリンタ200は、上述の実施形態のプリンタ1において、カートリッジホルダ13およびインクカートリッジ14を、4つのインクタンク201に置き換えたものである。
【0069】
図12に示すように、インクタンク201の内部には、インクを貯留するためのインク貯留室211が形成されている。また、インクタンク201は、搬送方向における上流側の端部の下端部に位置し、インク貯留室211とチューブ15とを接続するインク供給部212を有する。また、インクタンク201の上部には、インク補充口213が設けられており、インク補充口213からインク貯留室211にインクを補充することができるようになっている。また、インクタンク201には、インク補充口213を塞ぐためのキャップ214が取り外し可能に取り付けられている。
【0070】
次に、プリンタ200において記録を行うときの制御部80の処理について説明する。プリンタ200では、カラー記録モードおよびモノクロ記録モードのどちらの記録モードで記録を行うかを示す記録モード情報が、フラッシュメモリ84に記憶されている。記録モード情報は、例えば、プリンタ200の製造時、あるいは、プリンタ200の初回の使用時に、操作部68の操作に基づいてフラッシュメモリ84に記憶される。
【0071】
プリンタ200が、走査方向の最も左側のインクタンク201のインク貯留室211にブラックの顔料インクが貯留され、走査方向の右側3つのインクタンク201に走査方向の左側に位置するものから順にイエロー、シアン、マゼンタの染料インクが貯留された状態で使用される場合に、フラッシュメモリ84にカラー記録モードで記録を行うことを示す記録モード情報が記憶される。プリンタ200が、4つのインクタンク201のインク貯留室211全てにブラックの顔料インクが貯留された状態で使用される場合に、フラッシュメモリ84にモノクロ記録モードで記録を行うことを示す記録モード情報が記憶される。
【0072】
なお、変形例8では、操作部68が本発明の「選択信号受信部」に相当し、操作部68が操作されることに基づいて操作部68が受信する、フラッシュメモリ84に記録モード情報を記憶させるための信号が、本発明の「選択信号」に相当する。
【0073】
そして、プリンタ200においては、制御部80は、記録指令を受信したときに、
図13のフローチャートに沿って処理を行う。
図13のフローチャートについて説明すると、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶された記録モード情報が、カラー記録モードでの記録を示しているか否かを判断する(S201)。記録モード情報がカラー記録モードで記録を行うことを示している場合には(S201:YES)、制御部80は、上述の実施形態のS102と同様のカラー記録処理を実行する(S202)。記録モード情報がカラー記録モードで記録を行わないことを示している、すなわち、モノクロ記録モードで記録を行うことを示している場合には(S201:NO)、制御部80は、上述の実施形態のS104と同様のモノクロ記録処理を実行する(S203)。
【0074】
変形例8では、走査方向の最も左側のインクタンク201にブラックの顔料インクを貯留させ、走査方向の右側3つのインクタンク201にカラーの染料インクを貯留させ、4列のノズル列9を形成する複数ノズル10から4色のインクを吐出させることにより、プリンタ200においてカラー記録を行うことができる。一方で、4つのインクタンク201にブラックの顔料インクを貯留させ、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ200においてモノクロ記録を行うことができる。また、モノクロ記録を行う場合に、カラー記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0075】
また、変形例8では、カラー記録モードおよびモノクロ記録モードのどちらの記録モードで記録を行うかを示す記録モード情報が、フラッシュメモリ84に記憶されている。そして、フラッシュメモリ84に記憶された記録モード情報に基づいて、カラー記録処理およびモノクロ記録処理が実行される。これにより、例えば、プリンタ200の製造時に作業を行う作業者あるいはプリンタ200のユーザの選択に応じて、プリンタ200を、カラー記録を行うものおよびモノクロ記録を行うもののいずれかとして使用することができる。
【0076】
また、上述の実施形態のようにインクカートリッジ14からインクジェットヘッド4にインクが供給される場合においても、変形例8と同様に、カラー記録モードおよびモノクロ記録モードのどちらの記録モードで記録を行うかを示す記録モード情報を、フラッシュメモリ84に記憶させてもよい。そして、フラッシュメモリ84記憶された記録モード情報に基づいて、カラー記録処理およびモノクロ記録処理を実行してもよい。
【0077】
また、上述の実施形態では、4列のノズル列9間で搬送方向におけるノズル10の位置がずれているのに対して、カラー記録処理で記録を行う際に、同じ記録パスで形成される4つのドットDk,Dy,Dc,Dmによって1つの画素P1を形成している。そのため、1つの画素P1を形成する4つのドットDk,Dy,Dc,Dmの搬送方向の位置がずれていたが、これには限られない。
【0078】
変形例9では、
図14に示すように、カラー記録処理で記録を行う際に、M回目の記録パスにおいて、走査方向の最も右側のノズル列9を形成する複数のノズル10からマゼンタのインクを吐出させて、記録用紙SにマゼンタのドットDmを形成する。なお、
図14では、各記録パスでインクを吐出させるノズル10を太線で示している。
【0079】
その後、搬送ローラ6,7により記録用紙Pを距離([3/4]×L)搬送し、(M+1)回目の記録パスにおいて、走査方向の右から2番目のノズル列9を形成する複数のノズル10からシアンのインクを吐出させて記録用紙SにシアンのドットDcを形成する。このときに形成されるシアンのドットDcの走査方向および搬送方向の位置は、M回目の記録パスにおいて形成されたマゼンタのドットDmの走査方向および搬送方向の位置と同じである。なお、
図14では、各記録パスで形成されるドットの記録用紙S上での位置をわかりやすくするために、インクジェットヘッド4を搬送方向の上流側に距離([3/4]×L)ずらして図示することによって、記録用紙Sが搬送方向に距離([3/4]×L)搬送されたことを表している。
【0080】
その後、搬送ローラ6,7により記録用紙Pを距離([3/4]×L)搬送し、(M+2)回目の記録パスにおいて、走査方向の左から2番目のノズル列9を形成する複数のノズル10からイエローのインクを吐出させて記録用紙SにイエローのドットDyを形成する。このときに形成されるイエローのドットDyの走査方向および搬送方向の位置は、M回目および(M+1)回目の記録パスにおいて形成されたマゼンタおよびシアンのドットDm,Dcの走査方向および搬送方向の位置と同じである。
【0081】
その後、搬送ローラ6,7により記録用紙Pを距離([3/4]×L)搬送し、(M+3)回目の記録パスにおいて、走査方向の最も左側のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させて記録用紙SにブラックのドットDkを形成する。このときに形成されるブラックのドットDkの走査方向および搬送方向の位置は、M回目、(M+1)回目および(M+2)回目の記録パスにおいて形成されたマゼンタ、シアンおよびイエローのドットDm,Dc,Dyの走査方向および搬送方向の位置と同じである。これにより、記録用紙Sには、4色のドットDm,Dc,Dy,Dkが走査方向および搬送方向の同じ位置で重なった画素P3が形成される。
【0082】
変形例9でも、走査方向の最も左側のインクカートリッジ装着部41にブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の右側3つのインクカートリッジ装着部41にカラーの染料インクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10から4色のインクを吐出させることにより、プリンタ1においてカラー記録を行うことができる。一方で、4つのインクカートリッジ装着部41にブラックの顔料インクが貯留された4つのインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1においてモノクロ記録を行うことができる。また、モノクロ記録を行う場合に、カラー記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0083】
また、変形例9でも、カラー記録において、異なるノズル列9を形成する4つのノズル10から吐出されたインクによって形成される4つのドットDk,Dy,Dc,Dmを重ねて1つの画素P3を形成することにより、4つのドットDk,Dy,Dc,Dmを重ねた所望の色の画素を形成することができる。
【0084】
また、変形例9では、カラー記録において、ある記録パスであるノズル列9を形成するノズル10から吐出されるインクによって形成されるドットと、別の記録パスで別のノズル列9を形成するノズル10から吐出されるインクによって形成されるドットとを重ねて1つの画素を形成する。この場合には、搬送動作での記録用紙Sの搬送量を調整することにより、ノズル列9間で搬送方向におけるノズル10の位置がずれていても、同じ画素を形成する複数のドットの搬送方向の位置を合わせることができる。これにより、カラー記録において、ドット同士が搬送方向にずれて重なる場合よりも記録される画像の画質を高くすることができる。
【0085】
また、変形例9では、連続する4回の記録パスで、4つのドットDk,Dy,Dc,Dmを重ねて1つの画素P3を形成したが、これには限られない。少なくとも一部が連続しない4回の記録パスで4つのドットDk,Dy,Dc,Dmを重ねて1つの画素を形成してもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合に常にカラー記録を行ったが、これには限られない。変形例10では、記録指令にカラー記録およびモノクロ記録のどちらで記録を行うかを示す情報が含まれている。
【0087】
そして、変形例10では、記録指令を受信したときに、制御部80が
図15のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、まず、4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されているか否かを判断する(S301)。
【0088】
4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合には(S301:YES)、制御部80は、続いて、記録指令がカラー記録を行うことを示すものであるか否かを判断する(S302)。記録指令がカラー記録を行うことを示すものである場合には(S302:YES)、制御部80は、S102と同様のカラー記録処理を実行する(S303)。記録指令がモノクロ記録を行うことを示すものである場合には(S302:NO)、制御部80は、第1モノクロ記録処理を実行する(S304)。第1モノクロ記録処理については、後ほど詳細に説明する。なお、変形例10では、第1モノクロ記録処理が、本発明の「第1単一液体記録処理」に相当する。
【0089】
4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合(S301:NO)、制御部80は、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されているか否かを判断する(S305)。4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合(S305:YES)、制御部80は、第2モノクロ記録処理を実行し(S306)、処理を終了する。第2モノクロ記録処理は、上述の実施形態のモノクロ記録処理と同様の処理である。なお、変形例10では、第2モノクロ記録処理が、本発明の「第2単一液体記録処理」に相当する。
【0090】
4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合には(S305:NO)、制御部80は、エラーメッセージ等を表示させるためのエラー信号を、表示部69あるいはプリンタ1に接続された図示しないPCに出力し(S307)、処理を終了する。
【0091】
第1モノクロ記録処理について説明する。第1モノクロ記録処理においても、カラー記録処理と同様、制御部80は、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。また、
図16に示すように、第1モノクロ記録処理では、記録パスにおいて、走査方向の右側3列のノズル列9を形成する複数のノズル10からはインクを吐出させずに、走査方向の最も左側のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させる。これにより、第1モノクロ記録処理では、1つの画素P4が1つのブラックのドットによって形成される画像が記録される。
【0092】
変形例10では、走査方向の最も左側のインクカートリッジ装着部41にブラックの顔料インクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の右側3つのインクカートリッジ装着部41にカラーの染料インクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の左側3列のノズル列9を形成するノズル10からはインクを吐出させずに最も側のノズル列9を形成するノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1において第1モノクロ記録を行うことができる。一方で、4つのインクカートリッジ装着部41にブラックの顔料インクが貯留された4つのインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1において第2モノクロ記録を行うことができる。また、第2モノクロ記録を行う場合に、第1モノクロ記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0093】
また、以上の例では、4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されておらず、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合に、制御部80が、エラーメッセージ等を表示させるためのエラー信号を、表示部69あるいはプリンタ1に接続された図示しないPCに出力して処理が終了したが、これには限られない。4つのカートリッジ装着部41に上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されておらず、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合に、いずれか1つのノズル列9を形成する複数のノズル10から、対応するカートリッジ装着部41に装着されたインクカートリッジ14に貯留された色のインクを吐出する単色記録を行うようにしてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、ブラックのインクが顔料インクで、カラーのインクが染料インクであったが、これには限られない。ブラックのインクは染料インクであってもよい。カラーのインクは顔料インクであってもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、モノクロ記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量は、カラー記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量以下である。また、モノクロ記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドット(画素P1)の大きさが、カラー記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドットDk,Dy,Dc,Dmの大きさ以下である。しかしながら、これには限られない。モノクロ記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量と、カラー記録処理で行わせる記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出量との大小関係は、上記とは異なっていてもよい。また、モノクロ記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドット(画素P1)の大きさと、カラー記録処理で行わせる記録パスによって形成されるドットDk,Dy,Dc,Dmの大きさとの大小関係は、上記とは異なっていてもよい。
【0096】
また、上述の実施形態では、プリンタ1を、4つのカートリッジ装着部41に、上記4色のインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着して使用する場合、および、4つのカートリッジ装着部41に、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着して使用する場合について説明したが、これには限られない。
【0097】
変形例11では、プリンタ1において、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41、および、走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着され、走査方向の左側から2番目のカートリッジ装着部41、および、走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41にコート剤が貯留されたコート剤カートリッジが装着される。この場合、走査方向の最も左側のノズル列9および走査方向の右から2番目のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックインクが吐出され、走査方向の左から2番目のノズル列9および走査方向の最も右側のノズル列9を形成する複数のノズル10からコート剤が吐出される。あるいは、変形例10においても、上述の実施形態と同様、プリンタ1において、4つのカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着される。この場合、すべてのノズル10からブラックインクが吐出される。
【0098】
なお、変形例11では、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41、および、走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41に装着されるインクカートリッジ14が、本発明の「第1貯留部」に相当する。また、走査方向の左側から2番目のカートリッジ装着部41、および、走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に装着されるインクカートリッジ14およびコート剤カートリッジが本発明の「第2貯留部」に相当する。また、走査方向の最も左側のノズル列9および走査方向の右から2番目のノズル列9を形成する複数のノズル10が、本発明の「第1ノズル」に相当し、走査方向の左から2番目のノズル列9および走査方向の最も右側のノズル列9を形成する複数のノズル10が、本発明の「第2ノズル」に相当する。
【0099】
そして、変形例11では、記録指令を受信したときに、制御部80が
図17のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、まず、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41、および、走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着され、走査方向の左側から2番目のカートリッジ装着部41、および、走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41にコート剤カートリッジが装着されているか否かを判断する(S401)。
【0100】
4つのカートリッジ装着部41に上記のようにインクカートリッジ14およびコート剤カートリッジが装着されている場合には(S401:YES)、制御部80は、続いて、コーティングありの記録処理を実行し(S402)、処理を終了する。コーティングありの記録処理については後ほど説明する。なお、変形例11では、コーティングありの記録処理が、本発明の「複数液体記録処理」に相当する。
【0101】
4つのカートリッジ装着部41に上記のようにインクカートリッジ14およびコート剤カートリッジが装着されていない場合には(S401:NO)、制御部80は、続いて、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されているか否かを判断する(S403)。4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合(S403:YES)、制御部80は、コーティングなしの記録処理を実行し(S404)、処理を終了する。コーティングなしの記録処理は、上述の実施形態のモノクロ記録処理と同様の処理である。なお、変形例11では、コーティングなしの記録処理が、本発明の「単一液体記録処理」に相当する。
【0102】
4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合には(S403:NO)、制御部80は、エラーメッセージ等を表示させるためのエラー信号を、表示部69あるいはプリンタ1に接続された図示しないPCに出力し(S405)、処理を終了する。
【0103】
コーティングありの記録処理について説明する。コーティングありの記録処理においても、カラー記録処理と同様、制御部80は、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。これにより、ブラックのインクとコート剤とが記録用紙S上で重なる。ただし、コーティングありの記録処理では、記録パスにおいて、ブラックのドットの上にコート剤が着弾するように複数のノズル10からブラックのインクおよびコート剤を吐出させる。これにより、コーティングありの記録処理で記録される画像は、ブラックのドットがコート剤でコーティングされたものとなる。
【0104】
変形例11では、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41および走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の左から2番目のカートリッジ装着部41および走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41にコート剤が貯留されたコート剤カートリッジを装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクおよびコート剤を吐出させることにより、プリンタ1においてコーティングありの記録を行うことができる。一方で、4つのインクカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留された4つのインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1においてコーティングなしの記録を行うことができる。また、コーティングなしの記録を行う場合に、コーティングありの記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0105】
変形例12では、変形例11において、走査方向の左から2番目のカートリッジ装着部41および走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に、コート剤カートリッジの代わりに、前処理液が貯留された前処理液カートリッジが装着される。
【0106】
そして、変形例12では、記録指令を受信したときに、制御部80が
図18(a)のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、まず、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41、および、走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着され、走査方向の左側から2番目のカートリッジ装着部41、および、走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に前処理液カートリッジが装着されているか否かを判断する(S501)。
【0107】
4つのカートリッジ装着部41に上記のようにインクカートリッジ14および前処理液カートリッジが装着されている場合には(S501:YES)、制御部80は、続いて、前処理ありの記録処理を実行し(S502)、処理を終了する。前処理ありの記録処理については後ほど説明する。なお、変形例12では、前処理ありの記録処理が、本発明の「複数液体記録処理」に相当する。
【0108】
4つのカートリッジ装着部41に上記のようにインクカートリッジ14および前処理液カートリッジが装着されていない場合には(S501:NO)、制御部80は、続いて、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されているか否かを判断する(S503)。4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合(S503:YES)、制御部80は、前処理なしの記録処理を実行し(S504)、処理を終了する。前処理なしの記録処理は、上述の実施形態のモノクロ記録処理と同様の処理である。なお、変形例12では、前処理なしの記録処理が、本発明の「単一液体記録処理」に相当する。
【0109】
4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合には(S503:NO)、制御部80は、エラーメッセージ等を表示させるためのエラー信号を、表示部69あるいはプリンタ1に接続された図示しないPCに出力し(S505)、処理を終了する。
【0110】
前処理ありの記録処理について説明する。前処理ありの記録処理においても、カラー記録処理と同様、制御部80は、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。これにより、ブラックのドットと前処理液のドットとが記録用紙S上で重なる。ただし、前処理ありの記録処理では、記録パスにおいて、前処理液が着弾した後の記録用紙Sの上にブラックのインクが着弾するように複数のノズル10からブラックのインクおよび前処理液を吐出させる。これにより、前処理ありの記録処理では、前処理液によって表面が処理された記録用紙S上にブラックのドットが形成されることによって画像が記録される。前処理液による処理とは、例えば、記録用紙Sにおけるインクの膨潤を抑える処理である。
【0111】
変形例12では、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41および走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の左から2番目のカートリッジ装着部41および走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に前処理液が貯留された前処理液カートリッジを装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクおよび前処理液を吐出させることにより、プリンタ1において前処理ありの記録を行うことができる。一方で、4つのインクカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留された4つのインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1において前処理なしの記録を行うことができる。また、前処理なしの記録を行う場合に、前処理ありの記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0112】
変形例13では、変形例11において、走査方向の左から2番目のカートリッジ装着部41および走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に、コート剤カートリッジの代わりに、後処理液が貯留された後処理液カートリッジが装着される。
【0113】
そして、変形例13では、記録指令を受信したときに、制御部80が
図18(b)のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、まず、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41、および、走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着され、走査方向の左側から2番目のカートリッジ装着部41、および、走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に後処理液カートリッジが装着されているか否かを判断する(S601)。
【0114】
4つのカートリッジ装着部41に上記のようにインクカートリッジ14および後処理液カートリッジが装着されている場合には(S601:YES)、制御部80は、続いて、後処理ありの記録処理を実行し(S602)、処理を終了する。後処理ありの記録処理については後ほど説明する。なお、本実施形態では、後処理ありの記録処理が、本発明の「複数液体記録処理」に相当する。
【0115】
4つのカートリッジ装着部41に上記のようにインクカートリッジ14および後処理液カートリッジが装着されていない場合には(S601:NO)、制御部80は、続いて、4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されているか否かを判断する(S603)。4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されている場合(S603:YES)、制御部80は、後処理なしの記録処理を実行し(S604)、処理を終了する。後処理なしの記録処理は、上述の実施形態のモノクロ記録処理と同様の処理である。なお、変形例13では、後処理ありの記録処理が、本発明の「単一液体記録処理」に相当する。
【0116】
4つのカートリッジ装着部41の全てにブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されていない場合には(S603:NO)、制御部80は、エラーメッセージ等を表示させるためのエラー信号を、表示部69あるいはプリンタ1に接続された図示しないPCに出力し(S605)、処理を終了する。
【0117】
後処理ありの記録処理について説明する。後処理ありの記録処理においても、カラー記録処理と同様、制御部80は、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。これにより、ブラックのインクと後処理液とが記録用紙S上で重なる。ただし、後処理ありの記録処理では、記録パスにおいて、ブラックのドットの上に後処理液が着弾するように複数のノズル10からブラックのインクおよび後処理液を吐出させる。これにより、後処理ありの記録処理では、記録用紙S上のブラックのドットに、後処理液による処理が施される。後処理液による後処理とは、例えば、インクを固化させる処理である。
【0118】
変形例13では、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41および走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着し、走査方向の左から2番目のカートリッジ装着部41および走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に後処理液が貯留された後処理液カートリッジを装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクおよび後処理液を吐出させることにより、プリンタ1において後処理ありの記録を行うことができる。一方で、4つのインクカートリッジ装着部41にブラックのインクが貯留された4つのインクカートリッジ14を装着し、4列のノズル列9を形成する複数のノズル10からブラックのインクを吐出させることにより、プリンタ1において後処理なしの記録を行うことができる。また、後処理なしの記録を行う場合に、後処理ありの記録を行う場合よりも、1回の記録パスで記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0119】
また、変形例11~13において、それぞれ、走査方向の最も左側のカートリッジ装着部41、および、走査方向の右から2番目のカートリッジ装着部41に、コート剤カートリッジ、前処理液カートリッジおよび後処理液カートリッジが装着され、走査方向の左側から2番目のカートリッジ装着部41、および、走査方向の最も右側のカートリッジ装着部41に、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ14が装着されてもよい。
【0120】
また、以上の例では、ノズル面4bが走査方向および搬送方向と平行な平面である。すなわち、ノズル面4b上に走査方向を投影した投影走査方向が、走査方向と同じ方向である。また、ノズル面4b上に搬送方向を投影した投影相対移動方向が、搬送方向と同じ方向である。しかしながら、これには限られない。
【0121】
例えば、ノズル面4bが走査方向および搬送方向と平行な平面に対して若干傾いていてもよい。このとき、ノズル面4bが走査方向および搬送方向と平行な平面に対して走査方向に傾いている場合には、ノズル面4b上に走査方向を投影した投影走査方向が、走査方向に対して若干傾いた方向である。また、ノズル面4bが走査方向および搬送方向と平行な平面に対して搬送方向に傾いている場合には、ノズル面4b上に搬送方向を投影した投影相対移動方向が、搬送方向に対して若干傾いた方向である。また、この場合、投影走査方向および投影相対移動方向のいずれとも直交する方向は、上下方向に対して若干傾いた方向である。
【0122】
また、以上の例では、記録用紙Sを搬送方向に搬送することによって、インクジェットヘッド4と記録用紙Sとを搬送方向に相対移動させたが、これには限られない。例えば、ガイドレール11,12の走査方向の両端部が、搬送方向に移動可能なフレームに支持されており、このフレームを搬送方向に移動させることによって、インクジェットヘッド4を搬送方向に移動させて、インクジェットヘッド4と記録用紙Sとを搬送方向に相対移動させてもよい。なお、この場合には、上記フレームが本発明の「相対移動手段」に相当する。
【0123】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙Sに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録する記録装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0124】
1:プリンタ
2:キャリッジ
4:インクジェットヘッド
4a:対向辺
6,7:搬送ローラ
10:ノズル
14:インクカートリッジ
43:接点部
53:ICチップ
68:操作部
80:制御部
200:インクタンク
213:補充口