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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132133
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ドリップバッグ
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20240920BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47J31/06 160
B65D85/804 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042810
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】396015057
【氏名又は名称】大紀商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 充範
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA07
4B104BA43
4B104EA20
(57)【要約】
【課題】通水濾過性シートで形成された袋本体、袋本体の表裏に設けられた掛止部材、及び袋本体に充填されている抽出材料を備え、袋本体に易開裂線が形成されているドリップバッグにおいて、易開裂線を極めて容易に開裂させる。
【解決手段】ドリップバッグ1Aが、通水濾過性シートで形成された袋本体11、袋本体11の対向する2面の外表面に設けられた薄板状材料からなる掛止部材20、及び袋本体11に充填されている抽出材料を備える。袋本体11は、その上辺に沿って易開裂線12を有し、前記2面の掛止部材20は、夫々、袋本体11の上辺に沿って袋本体の1/2幅以上にわたって設けられたフラップ21を有し、該フラップ21はその上辺部が袋本体11に固定され、下辺部が袋本体11から引き起こし可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水濾過性シートで形成された袋本体、袋本体の対向する2面の外表面に設けられた薄板状材料で形成された掛止部材、及び袋本体に充填されている抽出材料を備えたドリップバッグであって、
袋本体は、その上辺に沿って易開裂線を有し、
前記2面の掛止部材は、夫々、袋本体の上辺に沿って袋本体の1/2幅以上にわたって設けられたフラップを有し、該フラップはその上辺部が袋本体に固定され、下辺部が袋本体から引き起こし可能であるドリップバッグ。
【請求項2】
フラップが、該フラップの幅の中央部に上下方向に延びた折れ線を有する請求項1記載のドリップバッグ。
【請求項3】
掛止部材が、フラップよりも袋本体底辺側に、掛止部材の幅の中央部に設けられた、袋本体から引き起こし不能の中央支持部、及び袋本体から引き起こし可能な掛止部を有し、
中央支持部と掛止部とが折れ線を介して連続している請求項1又は2記載のドリップバッグ。
【請求項4】
中央支持部の左右の側縁部と掛止部とが折れ線(以下、中央支持部の側縁折れ線ともいう)を介して連続し、該折れ線が掛止部の引き起こしの軸となり、
中央支持部は幅の中央に上下方向の折れ線(以下、中央支持部縦折れ線という)を有する請求項3記載のドリップバッグ。
【請求項5】
中央支持部の側縁折れ線は、該折れ線と中央支持部縦折れ線との距離が、フラップに近いほど大きい請求項4記載のドリップバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ等の容器に掛止することにより、容易にドリップ式でコーヒー、紅茶、緑茶、漢方薬等の抽出液を得られるようにするドリップバッグに関する。
【0002】
一杯分のコーヒーの抽出を手軽に行えるようにすることを目的として、コーヒー粉を充填した通水性の袋本体と、その袋本体をカップに掛けられるようにするための薄板状材料で形成された掛止部材とを備えた使い捨てのドリップバッグが種々の製品形態で市場に出回っている。
【0003】
例えば、袋本体の対向する2面の外表面(以下、袋本体の表裏ともいう)に引き起こし可能な掛止部を形成した掛止部材を備えるドリップバッグであって、袋本体には該袋本体の上辺に沿って易開裂線を設けると共に、袋本体の表裏の掛止部材には易開裂線の近傍から袋本体底辺方向に延びたフラップを、該フラップの下辺部が引き起こされるように設け、袋本体の開封時に袋本体の表裏のフラップを該フラップの下辺部から摘まみ上げ、互いに反対方向に引っ張ることにより易開裂線を開裂させるものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-6490号公報
【特許文献2】特開2019-48169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載されているように、表裏の袋本体の掛止部材に易開裂線の近傍から袋本体底辺方向に延びたフラップを設け、これらフラップを互いに反対方向に引っ張ると、フラップよりも袋本体底辺寄りにある掛止部を袋本体から引き起こして互いに反対方向に引っ張るよりも易開裂線が開裂しやすくなる。
【0006】
しかしながら、この場合にも表裏のフラップを引っ張る力のかけ具合によっては内容物が飛び散る虞がある。そのため、開封時に内容物が飛び散らないようにするには、フラップを互いに反対方向に引っ張る力を加減しなくてはならないという煩雑さがある。
【0007】
このような従来技術の課題に対し、本発明は、ドリップバッグの袋本体の上辺に沿って形成された易開裂線を極めて容易に、かつ内容物を飛び散らせることなく開裂させることができるドリップバッグの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、袋本体の上辺に沿って易開裂線を形成すると共に、袋本体の表裏の掛止部材には袋本体の上辺に沿ってフラップを形成し、フラップの袋本体底辺側に袋本体をカップに掛止させる掛止部を形成する場合に、(i)フラップを袋本体の1/2幅以上に幅広に形成すると、フラップを袋本体から引き起こし、次いでフラップの幅方向の中央部でフラップの上辺近傍を袋本体の内側に押し込むことにより袋本体の内容物が飛び散ることなく易開裂線が極めて容易に開裂すること、(ii)この押し込みによりフラップは上下が反転し、フラップが袋本体の内向きの開口部壁となるが、フラップを袋本体の1/2幅以上に幅広に形成すると、袋本体の表裏の掛止部材が互いに反対方向に引っ張られることでフラップの反転状態が安定すること、これに対し、フラップが幅狭であるとフラップの反転状態が安定しないこと、(iii)反転状態のフラップは袋本体の上端部で漏斗状の錐形となり、ドリップバッグの開口面積が広がることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、通水濾過性シートで形成された袋本体、袋本体の対向する2面の外表面に設けられた薄板状材料で形成された掛止部材、及び袋本体に充填されている抽出材料を備えたドリップバッグであって、
袋本体は、その上辺に沿って易開裂線を有し、
前記2面の掛止部材は、夫々、袋本体の上辺に沿って袋本体の1/2幅以上にわたって設けられたフラップを有し、該フラップはその上辺部が袋本体に固定され、下辺部が袋本体から引き起こし可能であるドリップバッグを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フラップを摘まんで袋本体から引き起こし、そのままフラップの上辺近傍を袋本体の内側に押し込むことにより、極めて容易に、袋本体の内容物を飛び散らせることなく易開裂線を開裂させることができる。この場合、押し込み力を格別に加減することは不要であり、単に押し込めばよい。
【0011】
さらに、この押し込みによりフラップの上下が反転し、フラップは袋本体の内向きの開口部壁となり、ドリップバッグの開口面積が広がる。したがって、袋本体が開口したドリップバッグへの注湯が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例のドリップバッグ1Aの平面図である。
図2図2は、実施例のドリップバッグ1Aの袋本体と掛止部材の展開図である。
図3図3は、フラップを引き起こし始めた状態の実施例のドリップバッグ1Aの斜視図である。
図4図4は、フラップをさらに引き起こした状態の実施例のドリップバッグ1Aの斜視図である。
図5図5は、引き起こしたフラップの上辺近傍を袋本体内へ押し込んだ状態のドリップバッグ1Aの斜視図である。
図6A図6Aは、袋本体の開口後にカップに掛けたドリップバッグ1Aの斜視図である。
図6B図6Bは、袋本体の開口後にカップに掛けたドリップバッグ1Aの側面図である。
図7図7は、ドリップバッグ製造用シート30Aの斜視図である。
図8図8は、ドリップバッグ製造用シート30Bの斜視図である。
図9図9は、実施例のドリップバッグ1Bの平面図である。
図10図10は、ドリップバッグ製造用シート30Cの斜視図である。
図11図11は、実施例のドリップバッグ1Cの平面図である。
図12図12は、実施例のドリップバッグ1Dの平面図である。
図13図13は、袋本体の開口後にカップに掛けた実施例のドリップバッグ1Dの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
(ドリップバッグの全体構成)
図1は、本発明の一実施例のドリップバッグ1Aの未開封状態の平面図であり、図2はこのドリップバッグ1Aの袋本体11と掛止部材20の展開図である。図中、ドットのハッチングを付した部分は袋本体11の通水濾過性シート10を表す。また、図1及び図2において、細かい斜めハッチングを付した部分は通水濾過性シート10と掛止部材20との貼着領域を表し、粗い斜めハッチングを付した部分は袋本体11の表面11xと背面11yとの貼着領域を表している。以降の図の細かい斜めハッチングと粗い斜めハッチングも同様の意味を有する。なお、通水濾過性シート10と掛止部材20との貼着領域は、掛止部材20を構成する薄板状材料の不透明性により、通常は掛止部材側からは視認することができない。
【0015】
図3はこのドリップバッグ1Aのフラップ21を袋本体11から引き起こし始めた状態、図4はフラップ21をさらに引き起こした状態、図5は、引き起こしたフラップ21の上辺近傍を袋本体11の内側に押し込み、易開裂線12を開裂させている状態の斜視図である。図6Aは、易開裂線12で開口したドリップバッグ1Aをカップ100に掛止した状態の斜視図であり、図6Bはその側面図である。
【0016】
このドリップバッグ1Aは、通水濾過性シート10から形成された袋本体11、袋本体11の対向する2面の外表面(表面11x、背面11y)に設けられた掛止部材20、及び袋本体11に充填された抽出材料を有する。掛止部材20は薄板状材料で形成されている。また、袋本体11の表面11x上の掛止部材20と背面11y上の掛止部材20は、袋本体11の一方の側辺11b1上で連続しており、該側辺11b1に対して掛止部材20は対称に形成されている。
【0017】
この掛止部材20は後述するように、本発明に特徴的なフラップ21を有する。
【0018】
(袋本体)
袋本体11は通水濾過性シートから形成される。
袋本体11内には、コーヒー粉、茶葉、又は漢方薬等の抽出材料が充填されている。
【0019】
本実施例のドリップバッグ1Aの袋本体11は、平面視が矩形の3方シール袋であり、一方の側辺11b1が通水濾過性シート10の折山となり、もう一方の側辺11b2と上辺11aと底辺11cとが表面11xと背面11yのシール辺になっている。本発明においては袋本体11の上辺11aが通水濾過性シートの折山になっていてもよい。シール辺におけるシール幅は適宜設定することができ、例えば超音波によるシールであれば、0.3~0.6mmとすることができる。
【0020】
袋本体11の平面寸法はドリップバッグを掛止するカップ又は容器の大きさに応じて適宜設定することができる。例えば、市販のコーヒーカップで使用できる大きさにすればよい。袋本体11の底部や側部には、必要に応じてマチを設けても良い。
【0021】
本発明において袋本体11は、その上辺11aに沿って易開裂線12を有する。易開裂線12の態様としては、例えば、袋本体11の上辺11aで袋本体11の表面11xと背面11yがシールされている場合、そのシールを容易に剥離可能な弱シールとしたものを挙げることができ、また、袋本体11の表面11xと背面11yの少なくとも一方の上辺11a近傍で該上辺11aに沿って形成したミシン目等を易開裂線としてもよい。袋本体の上辺が通水濾過性シートの折山である場合、その折り山に形成したミシン目等を易開裂線としてもよい。
【0022】
本実施例のドリップバッグ1Aでは、袋本体11の上辺11aに沿った易開裂線12が袋本体11の一方の表面11xのみに形成されている。袋本体11の表裏双方の面に易開裂線を形成した場合に対し、一方の表面のみに易開裂線12を形成することにより、袋本体11の表裏の掛止部23を互いに反対方向に引っ張ったときの引張力を一方の表面の易開裂線12に集中させることができるので、袋本体11を開口させるために要する引張強度を低下させることができるので好ましい。
【0023】
また、本実施例のドリップバッグ1Aにおいて易開裂線12としてはミシン目を形成することが好ましく、特に開封を容易にする点からマイクロミシン目を設けることが好ましい。
【0024】
袋本体11の上辺11aと易開裂線12との距離d1は、掛止部材20の上辺と易開裂線12との距離d2より小さいことが好ましく、距離d1と距離d2の合計は4~8mmが好ましい。距離d2は1.5~5.0mmが好ましい。距離d2が小さすぎると、掛止部材20の上端部を袋本体11に固定する貼着領域と易開裂線12とが重なって易開裂線12の機能が損なわれる虞があり、反対に大きすぎると、易開裂線12の開裂に要する引張力が大きくなるので好ましくない。なお、掛止部材20と袋本体11との貼着領域が易開裂線12と重ならない限り、易開裂線12と掛止部材20とは重なっても良い。
【0025】
袋本体11を形成する通水濾過性シート10としては、例えば所定量のコーヒー粉、茶葉、漢方薬等の抽出材料を充填し、注湯した場合に抽出材料の浸出が可能であるものを種々使用することができる。一般に、浸出用シートとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、レーヨン等の半合成繊維、コウゾ、ミツマタ等の天然繊維の単独又は複合繊維からなる織布あるいは不織布、マニラ麻、木材パルプ、ポリプロピレン繊維等からなる混抄紙等、ティーバッグ原紙等の紙類が知られており、本発明においてもこれらを使用することができるが、ドリップバッグの使用後の廃棄性の点から、通水濾過性シート材料には生分解性繊維を含有させることが好ましい。生分解性繊維としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等をあげることができる。また、ドリップ時にコーヒー粉に適度な蒸らし効果も付与できるようにするため、これらの繊維材料から通水濾過性シートを製造するに際しては、繊維層の空隙率を調整することによりコーヒー粉に直接接することとなる層を「疎」とし、直接には接しない層を「密」とする疎密の複層構造とし、かつコーヒー粉に直接接することとなる層では疎水性繊維の含有率を高め、コーヒー粉に直接接しない層では疎水性繊維の含有率を下げることが好ましい(特許第3674486号)。
【0026】
(掛止部材の全体構成)
掛止部材20は、板紙、プラスチックシート等の薄板状材料で形成される。薄板状材料としても、ドリップバッグ1Aの使用後の廃棄性の点から、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の生分解性材料を使用することが好ましい。
【0027】
本実施例のドリップバッグ1Aにおいて袋本体11の表裏(表面11x、背面11y)に設けられた掛止部材20は連続し、ドリップバッグ1Aの一方の側辺で折山20bを形成している。表裏の掛止部材20は、夫々、袋本体11の上辺11aに沿って設けられたフラップ21、フラップ21よりも袋本体底辺側で掛止部材20の幅の中央部に設けられた中央支持部22、及び中央支持部の左右両側に設けられた掛止部23を有する。中央支持部22は袋本体11に貼着されていることにより袋本体11から引き起こし不能となっている。中央支持部22の両側縁部と掛止部23とは折れ線(以下、中央支持部の側縁折れ線ともいう)Lbを介して連続しており、この折れ線Lbが掛止部23の引き起こしの軸となっている。
【0028】
掛止部材20は、フラップ21及び掛止部23よりも袋本体側辺寄り部分に、袋本体の側辺11b1、11b2に沿って形成された側縁固定部24も有することが好ましい。この側縁固定部24は袋本体11に貼着されている。
【0029】
(フラップ)
本実施例のドリップバッグ1Aにおいてフラップ21は袋本体11の上辺11aに沿い、易開裂線12よりも袋本体底辺側に設けられている。本発明においてフラップ21の上辺21aは易開裂線12と重なっていても良い。
【0030】
フラップ21はその上辺部が袋本体11に固定され、その下辺部が袋本体11から引き起こし可能となっている。
【0031】
本発明においてフラップ21は、袋本体11の1/2幅以上、好ましくは袋本体11の幅の70%以上、より好ましくは80%以上にわたって設けられている。このドリップバッグ1Aをカップに掛けた状態では、図6Aに示すように、袋本体11から引き起こしたフラップ21を上下反転状態とするが、フラップ21を袋本体11の1/2幅以上とすることでフラップ21の上下反転状態を安定させることができる。これに対し、フラップ21の幅が短すぎるとドリップバッグをカップに掛けた状態でフラップ21の上下反転状態を維持させることが難しくなる。
【0032】
本発明においてフラップ21には、その幅の中央部に上下方向に延びた折れ線(以下、フラップ縦折れ線Laともいう)を設けることが好ましい。本実施例のドリップバッグ1Aは、フラップ縦折れ線Laとしてフラップ21の上辺21aから下辺21bにかけて形成されたミシン目を有する。このフラップ縦折れ線Laは、掛止部材20の幅の中心線L0と重なっている。
【0033】
フラップ縦折れ線としては、ミシン目、切れ込み、ハーフカットなどを設けることができる。なお、フラップ縦折れ線として切れ込みを設ける場合には、その各端部がフラップ21の上辺や下辺に達しないように形成し、フラップ縦折れ線としてミシン目を形成する場合には、その両端をアンカット部とする。
また、このドリップバッグ1Aの掛止部材20が有する他の折れ線も同様にミシン目等から形成することができる。
【0034】
フラップ21にフラップ縦折れ線Laを形成しておくことにより、袋本体11の開封時にフラップ21を引き起こし(図4)、フラップ21の上辺21a近傍を袋本体11の内側に押し込み(図5)、フラップ21の上下を反転させ、袋本体11の易開裂線12を開裂させるときに、フラップ21を軽く押し込んだだけで容易にフラップ21の幅の中央部が凹むので、フラップ21の幅の中央部をさらに押し込んで易開裂線12を開裂させることがいっそう容易となる。
【0035】
なお、本発明においてフラップ縦折れ線Laは1本に限られず、複数本を設けても良い。例えば図11に示す実施例のドリップバッグ1Cのように、掛止部材20の幅の中心線L0の両側に折れ線La’を設けることができる。
【0036】
一方、本発明において、フラップ縦折れ線Laは、易開裂線12の開裂のし易さ等によっては省略してもよい。
【0037】
(掛止部)
本実施例のドリップバッグ1Aにおいて、中央支持部22は袋本体11に貼着している。中央支持部22の幅の中心線は、掛止部材20の幅の中心線L0と重なっており、この中心線には折れ線(以下、中央支持部縦折れ線ともいう)Lcが形成されている。この折れ線Lcがあることにより、袋本体11の開封時にフラップ21を引き起こし(図4)、フラップ21の上辺21a近傍を袋本体11の内側に押し込み(図5)、フラップ21の上下を反転させて袋本体11の易開裂線12を開裂させた後、袋本体11の表裏の掛止部23を互いに反対方向に引っ張る前においても、袋本体11の開口状態が維持されやすくなる。
【0038】
中央支持部22の両側の掛止部23は、それぞれ中央支持部22と中央支持部の側縁折れ線Lbで連続し、折れ線Lbが掛止部23の袋本体11からの引き起こしの軸となっている。この側縁折れ線Lbは、該折れ線Lbと中央支持部縦折れ線Lcとの距離が、フラップ21に近いほど大きくなるように斜めに形成されている。これにより、掛止部23を引き起こしてカップ100に掛けるときに側縁折れ線Lbが屈曲すると、掛止部23の袋本体側辺に沿った部分23pが袋本体11から浮き上がり易くなる。
【0039】
中央支持部22の両側の掛止部23は、その中央支持部22寄り部分同士が中央支持部22の下部に隣接して連続し、袋本体の側辺に沿った部分23pの下部同士が、中央支持部22の下方の連続部分23aで連続している。これにより袋本体の表裏の掛止部23を摘まみやすくなり、互いに反対方向に引っ張ってカップ100に掛けやすくなる。
【0040】
中央支持部22の左右の掛止部23とその連続部分23aとで囲まれた領域26は袋本体11から引き起こし不能となっている。
【0041】
中央支持部22には上述のように中央支持部縦折れ線Lcが形成されており、一方、フラップ21にもフラップ縦折れ線Laが形成されている。また、掛止部23の袋本体側辺に沿った部分23pの下端部と連続部分23aとの間には切込25が形成されている。
【0042】
この掛止部材20によれば、袋本体11の開封時にフラップ21を引き起こし(図4)、フラップ21の上辺21a近傍を袋本体11の内側に押し込み(図5)、フラップ21の上下を反転させて袋本体11の易開裂線12を開裂させるときに、掛止部23の袋本体側辺に沿った部分23pが袋本体11から浮き上がり、掛止部23の連続部分23aも袋本体11から浮きあがる。したがって、易開裂線12を開裂させた後には袋本体11の表裏の掛止部23の連続部分23aを容易に摘まむことができ、摘まんだ掛止部の連続部分23aを互いに反対方向に引っ張り、掛止部23をカップ100に掛けることが可能となる(図6A)。
【0043】
また、連続部分23aを互いに反対方向に引っ張ることで掛止部23が切込25で折れて連続部分23aが撓むので、連続部分23aをしっかり摘まむことが容易となる。また、連続部分23aが撓むことで掛止部23の袋本体に沿った部分23pよりも連続部分23aが外側に突出するので、袋本体に沿った部分23pをカップ100の開口部壁に掛け易くなる。
【0044】
(使用方法)
このドリップバッグ1Aの使用方法としては、まずフラップ21を摘み、図3及び図4に示すようにフラップ21を引き起こし、図5に示すようにフラップ21を摘まんだ親指でフラップ21の上辺21a近傍を袋本体11の内側に押し込む。これにより易開裂線12が極めて容易に開裂し、引き続き袋本体11の全幅に開裂が広がり、フラップ21が上下反転状態となって袋本体11が開口する。このとき、押し込む力を格別に加減しなくても、袋本体11の内容物が飛び散ることはない。また、フラップ21の押し込みにより袋本体11の表裏の掛止部23の袋本体に沿った部分23pが袋本体11から浮きあがり、連続部分23aも袋本体11から浮きあがるので、袋本体11を開口させた後には袋本体11の表裏の掛止部の連続部分23aを摘まんで互いに反対方向に引っ張り、図6Aに示すようにドリップバッグ1Aをカップ100に掛けることができる。
【0045】
図6Bに示すように、ドリップバッグ1Aをカップに掛けた状態で、上下反転状態のフラップ21は当初のフラップ21の下辺21bが袋本体11の上辺から外側に突出し、袋本体の表裏のフラップ21は漏斗状の錐形となり、同図におけるドリップバッグの開口幅W3が袋本体の開口幅w4よりも大きくなる。これによりドリップバッグ1Aの開口面積が拡大し、ドリップバッグへの注湯が容易となる。
【0046】
(製造方法)
本実施例のドリップバッグ1Aを、充填包装機を用いて製造するためには、図7に示すドリップバッグ製造用シート30Aのロールを用意することが好ましい。
【0047】
ドリップバッグ製造用シート30Aは、通水濾過性シート10にドリップバッグ1個分の掛止部材20を所定間隔で連続的に配置したものである。図中、二点鎖線で区切った間がドリップバッグ1Aの1個分の領域となる。
【0048】
ドリップバッグ製造用シート30Aを充填包装機にかけ、常法によりドリップバッグ製造用シート30Aの両側辺を合わせてシール(縦シール)することによりドリップバッグ製造用シート30Aを筒状とし、これに対して抽出物の充填と水平方向のシール(横シール)とを交互に行うことにより容易にドリップバッグ1Aを製造することができる。
【0049】
図7に示したドリップバッグ製造用シート30Aでは易開裂線12をドリップバッグ製造用シート30Aの一方の側辺寄りのみに形成しているが、図8に示すドリップバッグ製造用シート30Bのように易開裂線12を一方の側辺寄りと他方の側辺寄りの交互に形成してもよい。これにより、ロールからドリップバッグ製造用シートを引き出していく際に該シートの一方の側辺がわが伸びてしまい、ドリップバッグ製造用シートを充填包装機にかけてドリップバッグを連続的に製造していく際にドリップバッグ製造用シートがよれたり、破損したりするというリスクを解消することができるので好ましい。
【0050】
(変形態様)
本発明のドリップバッグ1Aは、種々の変形態様をとることができる。
例えば、図10に示したドリップバッグ製造用シート30Cを用いて、袋本体の表裏の一方が図9に示す平面図となるドリップバッグ1Bを得ることができる。このドリップバッグ1Bの背面11yの平面図は、図9に示した表面11xの平面図に対して易開裂線12が形成されていない以外は同一である。
【0051】
このドリップバッグ1Bでは袋本体11の上辺11aが通水濾過性シート10の折山になっている。ドリップバッグ1Bの掛止部材20は、図1に示したドリップバッグ1Aと同様に掛止部材20にフラップ21、中央支持部22、及び掛止部23を有する。このように本発明は、袋本体の上辺11aがシール辺であることに限定されない。
【0052】
また、このドリップバッグ1Bにおいて、袋本体11の表面11x側の掛止部材20と背面11y側の掛止部材20とは連続していない。
【0053】
本発明のドリップバッグは掛止部について種々の態様をとることができる。
例えば、図12及び図13に示すドリップバッグ1Dは、特許文献2に示されているように、袋本体の両側辺11b1、11b2から袋本体11を押し潰すように力をかけることで掛止片27-1、27-2が袋本体11の表面から突出するように掛止部材20に折れ線L1、L2、L3、L4を設け、開口形状が丸くなるように切れ線28を設けたものであるが、このドリップバッグ1Dは、掛止部材20の上端部にフラップ21を有することを特徴としている。なお、このドリップバッグ1Dでは、袋本体11の一方の側辺11b1が折山となり、その側辺11b1に掛止部材20の折山20aが重なっている。
【0054】
一方、特許第4079041号に記載されているように、袋本体から引き起こし可能なアーム部と、アーム部の上端と連続する掛止片とから掛止部を形成し、アーム部の下辺が引き起こしの軸となるようにしてもよい。この場合、袋本体の開口部に沿った帯状部分を本発明のフラップとし、該フラップをその下辺部から引き起こせるように、該フラップの上辺部を袋本体に固定すればよい。
【0055】
本発明のドリップバッグでは、幅広のフラップを有する限り、種々の変形態様を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0056】
1A、1B、1C、1D ドリップバッグ
10 通水濾過性シート
11 袋本体
11a 上辺
11b1、11b2 側辺
11c 底辺
11x 表面
11y 背面
12 易開裂線
20 掛止部材
20b 折山
21 フラップ
21a フラップの上辺
21b フラップの下辺
22 中央支持部
23 掛止部
23a 左右の掛止部の連続部分
23p 掛止部の袋本体の側辺に沿った部分
24 側縁固定部
25 切込
26 領域
27-1、27-2 掛止片
28 切れ線
30A、30B、30C ドリップバッグ製造用シート
100 カップ
d1、d2 距離
L0 掛止部材の幅の中心線
La フラップ縦折れ線
Lb 中央支持部の側縁折れ線
Lc 中央支持部縦折れ線
w1 フラップの幅
w2 袋本体の幅
w3 ドリップバッグの開口幅
w4 袋本体の開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13