IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タイショウの特許一覧

<>
  • 特開-ペンホルダー 図1
  • 特開-ペンホルダー 図2
  • 特開-ペンホルダー 図3
  • 特開-ペンホルダー 図4
  • 特開-ペンホルダー 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132135
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ペンホルダー
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/02 20060101AFI20240920BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B05B7/02
B05B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042813
(22)【出願日】2023-03-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 出願人は、令和4年5月2日、有限会社エヌ・エイトレーディングに、本願発明に係る商品を卸した。
(71)【出願人】
【識別番号】598165150
【氏名又は名称】株式会社タイショウ
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】青山 直之
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD14
4F033QE06
4F033QE09
4F033QF01X
(57)【要約】
【課題】 穂先と噴射口の距離を一定にして塗装することができるペンホルダーを提供する。
【解決手段】 末端の供給口6からエアーの供給を受けて内部に収納するカラーペンPの穂先を通じて先端の噴射口40から霧状に塗料を噴霧するペンホルダー1であって、前記ペンホルダー1は一方が筒体の外面に、他方が筒体の内面にねじ部20、30が形成されることで伸縮自在に螺合する第一筒部材2と第二筒部材3とを有し、前記第一筒部材2の末端に内部空間7に連通する供給口6と、前記供給口6付近の内部空間7において軸中心側から外面側に向けて傾斜する傾斜部22bを有する末端支持部21と、第二筒部材3の内部空間7に収納されて前記カラーペンPを支持するペン先ホルダー部材5を有することを特徴とするものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端の供給口からエアーの供給を受け、内部に収納するカラーペンの穂先を通じて先端の噴射口から霧状に塗料を噴霧するペンホルダーであって、
前記ペンホルダーは一方が筒体の外面に、他方が筒体の内面にねじ部が形成されることで伸縮自在に螺合する第一筒部材と第二筒部材とを有し、
前記第一筒部材の末端に内部空間に連通する供給口と、前記供給口付近の内部空間において軸中心側から外面側に向けて傾斜する傾斜部を有する末端支持部と、前記第二筒部材の内部空間に収納されて前記カラーペンを支持するペン先ホルダー部材を有することを特徴とするペンホルダー。
【請求項2】
末端支持部は、内部空間で放射状に複数突出する押えリブであって、供給口の内径に沿って長手方向に延長する水平部と、前記水平部の先端側から連続する傾斜部とを有し、複数の支持リブの間に空隙を有することを特徴とする請求項1に記載のペンホルダー。
【請求項3】
円筒状のペン先ホルダー部材は、一方端から他方端付近まで軸中心側に向けて突出する受けリブを有し、
第二筒部材は、先端に噴出口を有するペン先キャップと接続し、
前記第二筒部材若しくは前記ペン先キャップの内部空間に前記ペン先ホルダー部材の先端側を係止する係止部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のペンホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気供給体からエアーの供給により塗料を噴霧させる塗装器具であるペンホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
塗料を霧状にして噴射させプラモデルや自動車等に塗装するエアブラシなどは公知である。たとえば、カラーペンを収容したペンホルダーの供給口にエアボンベ等による圧縮空気を流入し、塗料を備えたカラーペンの穂先に圧縮空気を噴射することによって塗料を噴射口から噴霧させるペンホルダー(特許文献1)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2000-79360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カラーペンを使ってエアーで塗料を噴出する場合、エアーの流路に穂先が正確に位置しなければならず、穂先の位置がずれると塗料の噴霧が不完全となる。そのため、使用するカラーペンを正確に支持する必要があり、汎用的にカラーペンを用いる場合、その長さに応じて確実に支持するものが求められていた。しかしながら、上記特許文献のペンホルダーは、外円筒部材と内円筒部材の嵌合によって、その中空空間にカラーペンを着脱自在に収納するが、使用中は、エアボンベからの噴射された空気によって円筒部材が移動したり、その穂先と噴射口が離隔してしまい正確な噴出ができなくなったり、ひいては円筒部材が脱落することがあった。したがって、本発明は、かかる問題に対してカラーペンを収納し、穂先の位置を正確に位置させて安定的な噴出が可能とするペンホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、末端の供給口からエアーの供給を受け、内部に収納するカラーペンの穂先を通じて先端の噴射口から霧状に塗料を噴霧するペンホルダーであって、前記ペンホルダーは一方が筒体の外面に、他方が筒体の内面にねじ部が形成されることで伸縮自在に螺合する第一筒部材と第二筒部材とを有し、前記第一筒部材の末端に内部空間に連通する供給口と、前記供給口付近の内部空間において軸中心側から外面側に向けて傾斜する傾斜部を有する末端支持部と、前記第二筒部材の内部空間に収納されて前記カラーペンを支持するペン先ホルダー部材を有することを特徴とするものである。
【0006】
また、上述した構成に加え、末端支持部は、内部空間で放射状に複数突出する押えリブであって、供給口の内径に沿って長手方向に延長する水平部と、前記水平部の先端側から連続する傾斜部とを有し、複数の支持リブの間に空隙を有することが好ましい。
【0007】
また、上述した構成に加え、円筒状のペン先ホルダー部材は、一方端から他方端付近まで軸中心側に向けて突出する受けリブを有し、 第二筒部材は、先端に噴出口を有するペン先キャップと接続し、前記第二筒部材若しくは前記ペン先キャップの内部空間に前記ペン先ホルダー部材の先端側を係止する係止部を有することを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の記載によれば、カラーペンの長手方向長さに応じて支持することを可能とし、脱落の心配もなく続けて使用することができ、安定的な支持が可能になる。傾斜部を有する内部空間の末端支持部により内部にカラーペンを入れた状態で内筒部材と外筒部材とを螺合させるとカラーペンの末端を軸中心に誘導しつつ締め付けて支持することが可能になる。さらにカラーペンの先端側をペン先ホルダー部材で支持することで、内部に空気を供給した状態であってもカラーペンを正確に支持することができ、安定的な塗料の噴霧が可能になる。
【0009】
請求項2の記載によれば、末端支持部が複数の押えリブから形成され、水平部の軸中心側が供給口の開口面の外縁に沿って長手方向に形成されることで供給されたエアーが直接内部空間に流入し、押えリブ間に空隙が形成されることでカラーペンを支持したとしてもカラーペンの外側に沿ってエアーが流通することができ、流路を阻害せずに安定的な噴霧を可能としている。
【0010】
請求項3の記載によれば、カラーペンの先端側を適切に支持することができ、さらにカラーペンを正確に支持して安定的な塗料の噴霧が可能になる。つまり、ペン先ホルダー部材の一方端から他方端にかけて全体的に軸中心へ突出する受けリブを有することでカラーペンの先端側で安定的に支持し、空気の供給によりカラーペンの穂先や先端側が位置ずれしないようにすることができる。また、穂先を、噴射口の末端側の開口縁からペン先ホルダー部材の先端側の一端面までの軸心方向の距離の間に配することによって、ぼかしたりグラデーションを施すなどの塗装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るペンホルダー1の正面図である。
図2】本実施形態に係るペンホルダー1の分解斜視図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4】カラーペンPを収納した状態の図1のB-B線断面図である。
図5図4のペン先キャップ及び内筒部材3の先端部位の一部拡大断面図であって、(a)はペン先ホルダー5を使用してカラーペンを収納した状態、(b)はペン先ホルダーを反転してカラーペンPを収納した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るペンホルダーの一例について図1図2に基づいて説明する。なお、本説明においてペンホルダー1の長手方向において、ペン先キャップ4側を先端、供給口6側を末端として説明する。また、本説明において軸中心とは図2において一点鎖線で示すZ-Zを示すものをいう。
【0013】
ペンホルダー1は、図1に示すように末端側の第一筒部材である外筒部材2と、先端側の第二筒部材である内筒部材3とを有する。外筒部材2と内筒部材3とは螺合して伸縮自在に係合し、両者の筒内の空間を内部空間7とし、内筒部材3の先端側に螺合するペン先キャップ4を有し、内筒部材3に収納してカラーペンの先端部位を支持するペン先ホルダー5を有する。各部材の材料は夫々プラスチック樹脂からなるものである。なお、本説明において軸中心とはペンホルダー1の長手方向を中心軸として供給口6、外筒部材2、内筒部材3、ペン先キャップ4、ペン先ホルダー5の両側の円形面の中心をいう。
【0014】
外筒部材2は中空であって両端を開放した略円筒形からなり、末端側は多角形であってもよく、先端側の開口部から末端側の開口部に向かって外筒部材2の内周面には螺旋状に雌ねじ部20が螺刻されている。後述のとおり一回り縮径された内筒部材3の外周面には雄ねじ部30が螺刻されており、雌ねじ部20と雄ねじ部30とを螺合することで外筒部材2と内筒部材3とを伸縮自在にしている。なお、本実施形態は末端側の第一筒部材として外筒部材2とし、先端側の第二筒部材として内筒部材3としているが、末端側の第一筒部材が第二筒部材の内側に位置するように雄ねじ部と雌ねじ部とを逆に配してもよい。以下、本実施形態のとおり、第一筒部材を外筒部材2、第二筒部材を内筒部材3として説明する。
【0015】
外筒部材2の末端側から突出する供給口6が連設して形成され、内部空間7に連通可能としている。図示しないが供給口6にエアボンベ等のエアー供給体のチューブを差し込むことによってエアーを内部空間7に流入させることができる。供給口6は段に略円筒形の第1段部60と、第1段部を同一内径にして更に縮径した第2段部61からなる。供給口6にエアボンベのチューブを差し込むとき、チューブの外径に応じて供給口6、第1段部60もしくは第2段部61に挿通することが可能である。かかる複数の段部を有することで異なるエアー供給体の供給チューブ径に応じて使用することが可能になる。
【0016】
また、図3図4に示すように、外筒部材2の内部空間7に末端側には外筒部材2の内周面から軸中心に向けて放射板状になるよう形成される末端支持部を有する。末端支持部は、内部空間を軸中心に向けて絞るような形態でもよいが、本実施形態では末端支持部として6つの押えリブ21、21が突出形成され、押えリブ21、21の間にはエアーが流通可能な空隙22、22が形成されている。押えリブ21、21は、外筒部材2の末端側から先端側にかけて水平方向に延びる水平部21a、21aと、水平部21a、21aの先端側から外面側に向かって傾斜する6つの傾斜部21b、21bを有する突出リブ状の形態である。水平部21a、21aの軸中心側の端面は、供給口6から供給されたエアーを妨げないように、供給口6の内周面を長手方向に延長した時の仮想円柱の外周面に近接するようにしている。
【0017】
上述のとおり内筒部材3は、外筒部材2に比べて一回り縮径し、両端を開放した中空であって略円筒形である。内筒部材3の外周面には、先端側付近から螺旋状に雄ねじ部31が先端面まで螺刻され、同様に先端側付近から螺旋状に雄ねじ部30が末端の端面まで螺刻されている。外筒部材2の雌ねじ部20と内筒部材3の雄ねじ部30によって螺合して固定される。雌ねじ部20と雄ねじ部30は螺接しあっているため、内部にエアーが供給されたとしても外筒部材2と内筒部材3が脱落することもない。また、両者を螺合させていることから、外筒部材2と内筒部材3により形成される内部空間7の長手方向長さを変化させることが可能となる。
【0018】
ペン先キャップ4は内面に雌ねじ部41を有した両端が開放された中空の円柱形状部分と先端側の円錐状部分を有し、最先端部分に噴射口40が開口されている。また、噴射口40は、先端側が広く、末端側は窄めるような漏斗状の形態である(図5参照)。内筒部材3の先端側の外表面に形成された雄ねじ部31と雌ねじ部41によって内筒部材3とペン先キャップ4は螺合される。円柱状部分と円錐状部分との接曲位置付近の内部空間7において、ペン先キャップ4の内面側から一段狭まるような段による係止部42が形成され、後述のペン先ホルダー部材5を位置決めしている。本実施形態の係止部42はペン先キャップ4に形成されているが、内筒部材3に形成されるものであってもよい。
【0019】
ペン先ホルダー部材5は、両端を開放した略円筒形であって、その外周が内筒部材の内部空間7に内接するようにして内筒部材3とペン先キャップ4との内部空間7に収納され、使用時にはペン先キャップ4の係止部42により先端側が位置決めされて支持される。ペン先ホルダー部材5の内周面においては軸中心に向かって板状の受けリブ50、50が突出形成されている。受けリブ50、50は長手方向において、一端面である先端面51aから他端面である末端面51b付近まで形成されているが、末端面までは延長されておらず若干のリブなし空間52がある。
【0020】
ペン先ホルダー部材5の内径に対し、一つの受けリブ50のリブ高さは、略5分の1程度である。受けリブ50はペン先ホルダー部材5の一端面である先端面51aから末端面51bにかけての長手方向長さのうち6分の5程度の長さを有し、6分の1程度の長さにかけてリブなし空間52が形成されている。他の実施形態として受けリブ50の長手方向長さを適宜変更してもよいが、ペン先ホルダー部材5の長手方向長さの2分の1以上の長さを有することでカラーペンPの先端側を安定的に保持することが可能となる。また、リブなし空間52においてカラーペンによっては形成される肩部分に係合することを可能としているところ(図5(a)参照)、異なるリブ長さを用いることでカラーペンの先端部位の形状に応じた支持が可能になる。
【0021】
次に上述した実施形態のペンホルダー1にカラーペンPを収納した際の使用方法について説明する。
【0022】
カラーペンPを内筒部材3と外筒部材2による内部空間7に収納する。カラーペンPの末端側は、末端支持部である押えリブ21、21の傾斜部21b、21bにより軸中心となるように誘導・案内されて支持される。つまり、カラーペンPの軸中心と外筒部材2の軸中心が一致するようにして押えリブ21、21によって当接されることとなる。一方、カラーペンPの先端側は、内筒部材3にペン先ホルダー部材5を収納し、ペン先ホルダー部材5がペン先キャップ部4の係止部42で支持されることによって支持される。すなわち、カラーペンPを先端側と末端側で軸中心に位置するように支持することが可能であって、カラーペンPを内部空間7に入れて外筒部材2と内筒部材3との螺合を締め付けるだけで、カラーペンPが自然と軸中心に沿うように誘導することとなる。さらにいうとペン先ホルダー部材5の長手方向に渡って形成された受けリブ50,50がカラーペンPの首軸に当接することで、カラーペンPの先端側も軸中心で安定的に支持されることとなる。かかる状態で供給口6に、チューブを差し込んでエアーを流入するとカラーペンPの穂先の塗料が噴射口から噴霧されるが、エアーの供給が多くてもカラーペンPが安定的に支持されているため、穂先が流路から外れたりして噴出が不完全になることがない。なお、ペンホルダー1を使用時において供給口6から空気を流入して内筒部材2もしくは外筒部材3が脱落することもない。
【0023】
ペン先ホルダー部材5を収納した際は、図5(a)のように、カラーペンPの先端部分はペン先ホルダー部材5内の受けリブ50,50に当接し、肩部分がリブなし空間52で支持される。図5(b)のようにペン先ホルダー部材を反転して収納した際は、カラーペンPの首軸はペン先ホルダー部材5の末端側の端面に当接する。すなわち、カラーペンPの穂先を先端側(図5(a))から後端側(図5(b))へと移動することができ、その穂先は噴射口40の末端側の開口縁からペン先ホルダー部材5の先端側の一端面までの距離tの間にカラーペンPの穂先を配することが望ましい。特に、ペン先ホルダー部材5の先端側の一端面から穂先までの距離が5mm以下であるときは、安定してぼかしたりグラデーションを施すなどの塗装が可能となる。
【0024】
以上述べたように、ペンホルダー1を用いて、使用者がカラーペンPを内筒部材2と外筒部材3の螺合によって収納し、カラーペンPは外筒部材3の押えリブ21、21と、ペン先ホルダー部材5の受けリブ50,50によってカラーペンPを保持しながら使用することができ、ペン先ホルダー部材5を反転して収納したり、その長さの異なる受けリブ50,50のペン先ホルダー部材5を内筒部材2に収納して噴射口40の内縁からペン先ホルダー部材5の一端面までの距離tの間に穂先を配置しながらカラーペンの噴霧状態を一定に保つことができる。また、各部材は安価で製作でき交換も容易である。
【0025】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、各部材は透明色であってもよく、その装着状態や、距離tを確認できる。
【符号の説明】
【0026】
1…ペンホルダー、2…外筒部材(第一筒部材)、3…内筒部材(第二筒部材)、4…ペン先キャップ、5…ペン先ホルダー、6…供給口、7…内部空間、20…雌ねじ部、21…押えリブ(末端支持部)、21a…水平部、21b…傾斜部、22…空隙、30…雄ねじ部、40…噴出口、42…係止部、50…受けリブ、P…カラーペン
図1
図2
図3
図4
図5