(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132142
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】全固体電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240920BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240920BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240920BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/0562
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/178
H01M50/474
H01M50/486
H01M50/489
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/531
H01M50/55 301
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042821
(22)【出願日】2023-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 英之
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD01
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG01
5H021AA02
5H021EE02
5H021EE10
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029DJ02
5H029DJ04
5H029HJ12
5H043AA19
5H043BA20
5H043CA09
5H043CA13
5H043DA02
5H043DA08
5H043EA06
5H043EA60
5H043GA22
5H043GA26
5H043KA22
5H043KA30
5H043LA21
5H043LA41
(57)【要約】
【課題】信頼性が高く、製造面で有利な全固体電池を提供する。
【解決手段】開示される全固体電池10は、少なくとも1つの発電要素110を含む積層体100と、積層体100を囲むように配置された絶縁フィルム120と、積層体110および絶縁フィルム120を内部に収容する外装体130とを含む。外装体130は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されている。外装体130の内部は減圧されている。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池であって、
少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、
前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、
前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、
前記外装体の内部は減圧されている、全固体電池。
【請求項2】
前記絶縁フィルムは密封されていない、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記積層体は、2つの主面と、前記2つの主面を結ぶ側面とを有し、
前記絶縁フィルムの少なくも一部は、前記2つの主面および前記側面のそれぞれと前記外装体との間に配置されている、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記積層体は、6つの面を有する直方体状の形状を有し、
前記絶縁フィルムの少なくとも一部は、前記6つの面のそれぞれと前記外装体との間に配置されている、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記積層体は、正極タブを有する正極集電体と、負極タブを有する負極集電体とを含み、
前記正極タブは、第1の接続部で正極リードに接続され、
前記負極タブは、第2の接続部で負極リードに接続され、
前記絶縁フィルムは、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを覆っている、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記絶縁フィルムは、フッ素樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する層を含む、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記絶縁フィルムの耐熱温度は、前記金属ラミネートフィルムの耐熱温度より高い、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記外装体は、前記積層体の少なくとも一部が収容される凹部を有する第1の外装部材と、前記第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含む、請求項1または2に記載の全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全固体電池が注目されている。全固体電池は、液状成分を実質的に含有しない発電要素を含む。発電要素は、外装体内に収容される。従来から、全固体電池の外装体に関する提案がなされている。
【0003】
特許文献1(特開2018-133175号公報)の請求項1には、「負極集電タブを有する負極集電体層、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、及び正極集電タブを有する正極集電体層がこの順に積層された全固体電池素子を1個以上有する全固体電池積層体を、ラミネートフィルムから成る外装体内に収容すること、前記外装体の外側から、前記外装体内に収納された前記全固体電池積層体を積層方向に加圧すること、前記加圧を維持しながら前記外装体内に充填材を注入すること、並びに前記外装体を封止することを含む、ラミネート全固体電池の製造方法」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラミネートフィルムで形成された外装体には、加工性、絶縁性、および耐熱性といった条件が求められる。しかし、それらの条件のすべてを充分に満たすラミネートフィルムは得られにくいか、または高価となる。さらに、外装体の内部を減圧する場合には、発電要素とラミネートフィルムの金属層との間で短絡が生じやすくなり、その結果、電池の信頼性が低下する。このような状況において、本開示の目的の1つは、信頼性が高く、製造面で有利な全固体電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、全固体電池に関する。当該全固体電池は、少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、前記外装体の内部は減圧されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、信頼性が高く、製造面で有利な全固体電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態1の全固体電池の一例を模式的に示す上面図である。
【
図2】
図2は、絶縁フィルムの一例を模式的に示す展開図である。
【
図3】
図3は、絶縁フィルムの他の一例を模式的に示す展開図である。
【
図4】
図4は、密封される前の外装体および積層体の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、積層体の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示に係る実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示に係る発明を実施できる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値B」という記載は、数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件などに関する数値の下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかとを任意に組み合わせることができる。
【0010】
(全固体電池)
本実施形態に係る全固体電池を以下では、「全固体電池(B)」または「電池(B)」と称する場合がある。全固体電池(B)は、少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、積層体および絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含む。当該積層体を以下では、「積層体(S)」と称する場合がある。当該絶縁フィルムを以下では、「絶縁フィルム(F)」と称する場合がある。外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されている。外装体の内部は減圧されている。
【0011】
積層体(S)では、積層体(S)を構成する複数の層が、積層方向SDに積層されている。全固体電池(B)では、発電要素を含む積層体(S)を積層方向SDに加圧することによって、特性を向上させることが可能である。外装体の内部を減圧することによって、大気圧によって積層体(S)を積層方向SDに加圧することができる。さらに、外装体の内部を減圧した状態で外装体を密閉することによって、外装体の内部に存在する水分などの揮発成分を減少させることができる。
【0012】
外装体には、積層体を収容するための形状に加工するための加工性が求められる。また、外装体は金属ラミネートフィルムを用いて形成されているため、絶縁フィルム(F)を用いない場合には、高い絶縁性が求められる。さらに、絶縁フィルム(F)を用いない全固体電池において外装体が溶融すると短絡してしまうため、絶縁フィルム(F)を用いない場合には、高い耐熱性が外装体に求められる。これらのすべての要求を満たす金属ラミネートフィルムは、得られにくいか、または非常に高価になる。また、加工性以外の要求を満たすことを重視した場合、加工性が低下して電池の製造が難しくなる場合がある。
【0013】
全固体電池(B)では、絶縁フィルム(F)を用いているため、外装体は、高い絶縁性を有さなくてもよい。さらに、耐熱性が高い絶縁フィルム(F)を用いることによって、耐熱性がそれほど高くない外装体を用いることが可能となる。そのため、外装体に用いられる金属ラミネートフィルムに求められる条件を緩和することができる。その結果、信頼性が高い全固体電池を、安価に、および/または、生産性良く製造することが可能になる。全固体電池(B)の使用温度は特に限定されない。全固体電池(B)は、100℃以上の高温雰囲気下で使用されてもよい。
【0014】
外装体の内部の圧力は、1.0×102Pa以下であることが好ましく、1.0×10-1Pa以下であることが特に好ましい。外装体の内部の圧力を1.0×10-1Pa以下とすることによって、高い効果が得られる。
【0015】
絶縁フィルム(F)は、密封されていないことが好ましい。例えば、絶縁フィルム(F)には、絶縁フィルム(F)に囲まれる空間の内側と外側とをつなぐ連通部が存在することが好ましい。連通部の例には、隙間や貫通孔などが含まれる。絶縁フィルム(F)が密封されていないことによって、絶縁フィルム(F)内を減圧することができる。その結果、積層体(S)を充分に加圧することが可能になる。
【0016】
積層体(S)は、6つの面を有する直方体状の形状を有してもよい。その場合、絶縁フィルム(F)の少なくとも一部は、積層体(S)の6つの面のそれぞれと外装体(金属ラミネートフィルム)との間に配置されていることが好ましい。この構成によれば、積層体(S)のすべての面を保護することができる。絶縁フィルム(F)は、当該6つの面のそれぞれと対向する複数の面Pを有してもよい。複数の面Pは、積層体(S)の6つの面と直接対向していてもよい。換言すれば、複数の面Pは、積層体(S)の6つの面と接触していてもよい。あるいは、複数の面Pの少なくとも一部は、他の部材(例えば絶縁フィルム)を挟んで、積層体(S)の面と対向していてもよい。複数の面Pのそれぞれは、それぞれが対向する面(積層体(S)の面)とほぼ平行に配置される。絶縁フィルム(F)は、直方体状の積層体(S)の6つの面の大部分を覆うように配置されていてもよい。例えば、絶縁フィルム(F)は、当該6つの面の90%(面積比率)以上を覆うように配置されていてもよく、当該6つの面の全体を覆うように配置されていてもよい。絶縁フィルム(F)を箱状に折り曲げることによって、当該6つの面を覆うことができる。絶縁フィルム(F)が積層体(S)の面を覆う形態の例には、以下の第1および第2の形態が含まれる。第1の形態では、絶縁フィルム(F)と積層体(S)の面とが接触した状態で、絶縁フィルム(F)が積層体(S)の面を覆う。第2の形態では、絶縁フィルム(F)と積層体(S)の面との間に他の部材が配置されている状態で、絶縁フィルム(F)が積層体(S)の面を覆う。すなわち、全固体電池(B)は、積層体(S)と絶縁フィルム(F)との間に配置された他の部材(例えば絶縁フィルム(F)以外の絶縁部材)を含んでもよい。
【0017】
絶縁フィルム(F)の一部は、直方体状の積層体(S)の12の辺のすべてと外装体との間に配置されていてもよい。すなわち、絶縁フィルム(F)は、直方体状の積層体(S)の12の辺のすべてを覆うように配置されていてもよく、当該12の辺のすべてと接触していてもよい。絶縁フィルム(F)は、直方体状の積層体(S)の12の辺の90%(長さ比率)以上を覆うように配置されていてもよく、当該12の辺のすべてを覆うように配置されていてもよい。この構成によれば、積層体(S)の角部での短絡を特に抑制できる。絶縁フィルム(F)の少なくとも一部は、直方体状の積層体(S)の6つの面および12の辺のすべてと外装体との間に配置されていてもよい。
【0018】
絶縁フィルム(F)は、1枚のフィルムを折り畳むことによって積層体(S)を囲んでもよい。あるいは、絶縁フィルム(F)は、複数のフィルムで構成されていてもよい。例えば、絶縁フィルム(F)は、積層体(S)の一方の主面を覆うフィルムと、他方の主面を覆うフィルムとを含んでもよい。
【0019】
積層体(S)は、直方体状の形状以外の形状を有してもよい。例えば、積層体(S)は、平面形状が円状または多角形状である板状または柱状の形状を有してもよい。その場合、絶縁フィルム(F)および外装体は、積層体(S)の形状に応じた形状を有する。いずれの場合でも、絶縁フィルム(F)は、積層体(S)の2つの主面を覆うように配置されることが好ましい。すなわち、絶縁フィルム(F)の少なくも一部は、積層体(S)の2つの主面と外装体との間に配置されていることが好ましい。絶縁フィルム(F)は、積層体(S)の2つの主面と対向する複数の面Pを有してもよい。複数の面Pは、積層体(S)の2つの主面と直接対向していてもよい。換言すれば、複数の面Pは、積層体(S)の2つの主面と接触していてもよい。あるいは、複数の面Pの少なくとも一部は、他の部材(例えば絶縁フィルム)を挟んで、積層体(S)の面と対向していてもよい。複数の面Pのそれぞれは、それぞれが対向する面(積層体(S)の主面)とほぼ平行に配置される。積層体(S)の形状にかかわらず、絶縁フィルム(F)は、密封されていない袋状の形状を有してもよい。
【0020】
積層体(S)は、2つの主面と、当該2つの主面を結ぶ側面とを有してもよい。その場合、絶縁フィルム(F)の少なくも一部は、積層体(S)の2つの主面および側面のそれぞれと外装体との間に配置されていることが好ましい。絶縁フィルム(F)は、2つの主面および側面のそれぞれと対向する複数の面Pを有してもよい。複数の面Pは、積層体(S)の2つの主面および側面と直接対向していてもよい。換言すれば、複数の面Pは、積層体(S)の2つの主面および側面と接触していてもよい。あるいは、複数の面Pの少なくとも一部は、他の部材(例えば絶縁フィルム)を挟んで、積層体(S)の面と対向していてもよい。複数の面Pのそれぞれは、それぞれが対向する面(積層体(S)の面)とほぼ平行に配置される。2つの主面と当該2つの主面を結ぶ側面とを有する積層体(S)の形状の例には、平面形状が円状または多角形状である板状または柱状の形状や、直方体状の形状が含まれる。
【0021】
積層体(S)は、正極タブを有する正極集電体と、負極タブを有する負極集電体とを含んでもよい。正極タブは、第1の接続部で正極リードに接続されてもよい。負極タブは、第2の接続部で負極リードに接続されてもよい。絶縁フィルム(F)は、第1の接続部と第2の接続部とを覆っていてもよい。タブとリードとは、溶接などによって接続される。そのため、接続部では微小な凹凸が生じやすく、その結果、接続部における短絡が生じやすくなることがある。絶縁フィルム(F)によって接続部を覆うことによって、接続部における短絡を特に抑制できる。
【0022】
絶縁フィルム(F)は、フッ素樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する層を含んでもよく、当該少なくとも1種の樹脂で構成されてもよい。絶縁フィルム(F)は、フッ素樹脂からなるフィルムであってもよく、ポリイミド樹脂からなるフィルムであってもよく、両方の樹脂を含んでもよい。これらの樹脂は、絶縁性および耐熱性が高い点で好ましい。フッ素樹脂は滑りがよいため、積層体(S)を囲んだ絶縁フィルム(F)を、外装体に収容する工程が容易になる。そのため、絶縁フィルム(F)の少なくとも外側の面にフッ素樹脂層が存在してもよい。絶縁フィルム(F)は、フッ素樹脂からなるフィルムであってもよい。フッ素樹脂の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)などが含まれる。
【0023】
絶縁フィルム(F)は、1つの樹脂によって構成されてもよいし、複数の樹脂によって構成されてもよい。絶縁フィルム(F)は、単層のフィルムであってもよいし、複数の層で構成されるフィルムであってもよい。
【0024】
絶縁フィルム(F)は、耐熱性や絶縁性を高めるために絶縁性の無機フィラーなどを含んでもよいし、含まなくてもよい。無機フィラーは特に限定されず、絶縁フィルムや封止樹脂などに用いられている公知の無機フィラーを用いてもよい。例えば、無機フィラーは、酸化アルミニウムの粒子や、酸化ケイ素の粒子などであってもよい。
【0025】
絶縁フィルム(F)の耐熱温度は、金属ラミネートフィルムの耐熱温度より高くてもよい。この構成によれば、金属ラミネートフィルムの耐熱性をそれほど高める必要がなくなるため、金属ラミネートフィルムの選択の幅が広がる。
【0026】
絶縁フィルム(F)は、金属ラミネートフィルムに含まれる樹脂層を構成するすべての樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂で構成された樹脂層を含んでもよい。この構成によれば、金属ラミネートフィルムの耐熱性をそれほど高める必要がなくなるため、金属ラミネートフィルムの選択の幅が広がる。絶縁フィルム(F)は、融点が200℃以上である樹脂で構成された樹脂層を含んでもよい。融点が200℃以上である樹脂の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリイミドなどが含まれる。
【0027】
外装体は、第1の外装部材と第1の外装部材に貼り合わせられている第2の外装部材とを含んでもよい。それらの外装部材のうちの少なくとも1つは、積層体(S)の少なくとも一部を収容するための凹部を有してもよい。より詳細には、凹部には、積層体(S)の少なくとも一部と、それを囲む絶縁フィルム(F)の少なくとも一部とが収容される(以下で説明する凹部についても同様である)。外装体は、積層体(S)の少なくとも一部が収容される凹部を有する第1の外装部材と、第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含んでもよい。凹部は、積層体(S)の少なくとも一部を収容できる大きさを有する。積層体(S)が直方体状である場合、凹部は、直方体状の凹部である。例えば、外装体は、直方体状の凹部を有する第1の外装部材と、第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含んでもよい。
【0028】
第2の外装部材は、平らであってもよい。あるいは、第2の外装部材は、積層体(S)の一部を収容する凹部を有してもよい。凹部を有するように金属ラミネートフィルムを成形した場合、凹部の角部では絶縁性樹脂層が薄くなって短絡しやすくなる。絶縁フィルム(F)を用いることによって、短絡を抑制できる。なお、第1の外装部材と第2の外装部材とはつながっていてもよい。例えば、1枚のシートを折り曲げて、第1の外装部材および第2の外装部材としてもよい。
【0029】
全固体電池(B)の構成要素の例について以下に説明する。ただし、以下の構成要素は例示であり、他の構成要素を用いてもよい。なお、以下では、全固体リチウムイオン電池の例について主に説明する。
【0030】
全固体電池(B)は、電解液を含まない電池である。全固体電池(B)は、積層体(S)を含む。積層体(S)は、少なくとも1つの発電要素を含む。積層体(S)は、積層された複数の発電要素を含んでもよい。発電要素は特に限定されず、公知の全固体電池に用いられている発電要素を用いてもよい。一例の発電要素は、正極層と、負極層と、正極層と負極層との間に配置された固体電解質層とを含む。発電要素は、正極層、負極層、および固体電解質層のみによって形成されてもよいし、他の層を含んでもよい。そのような他の層の例には、導電性粉末を含む材料で構成された薄い導電層などが含まれる。各層の例について以下に説明する。
【0031】
(正極層)
正極層は、正極活物質を含み、必要に応じて他の成分を含んでもよい。当該他の成分の例には、公知の全固体電池の正極に使用されている成分が含まれる。正極層におけるリチウムイオン伝導性を高める観点から、正極層は、正極活物質とともに、固体電解質を含んでもよい。固体電解質には、リチウムイオン伝導性を示す固体電解質を用いることができ、公知の全固体電池の固体電解質層に用いられる固体電解質を用いてもよい。通常、正極活物質は、粒子(粉末)の状態で用いられる。正極層は、正極活物質の粉末や正極合剤(正極活物質の粉末および添加剤などを含む)を圧縮成形することによって形成できる。
【0032】
正極活物質には、全固体電池において正極活物質として使用できる材料を用いることができる。全固体リチウムイオン電池の場合、正極活物質の例には、リチウム含有複合酸化物や、酸化物以外の化合物が含まれる。リチウム含有複合酸化物の例には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、およびその他のリチウム含有複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2など)が含まれる。酸化物以外の化合物の例には、オリビン系化合物(LiMPO4)、硫黄含有化合物(Li2Sなど)などが含まれる。なお、上記式中、Mは遷移金属を示す。正極活物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(負極層)
負極層は、負極活物質を含み、必要に応じて他の成分を含んでもよい。当該他の成分の例には、公知の全固体電池の負極に使用されている成分が含まれる。負極層は、負極活物質と、リチウムイオン伝導性を示す固体電解質とを含んでもよい。通常、負極活物質は、粒子(粉末)の状態で用いられる。負極層は、負極活物質の粉末や負極合剤(負極活物質の粉末および添加剤などを含む)を圧縮成形することによって形成できる。
【0034】
負極活物質には、全固体電池において負極活物質として使用できる材料を用いることができる。全固体リチウムイオン電池の場合、負極活物質には、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な所定の材料(炭素質材料、金属や半金属の単体または合金、あるいは化合物など)を用いることができる。炭素質材料の例には、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛など)、ハードカーボン、非晶質炭素などが含まれる。金属や半金属の単体、合金の例には、リチウム金属や合金、Si単体などが含まれる。化合物の例には、酸化物(チタン酸化物、ケイ素酸化物など)、硫化物、窒化物、水化物、シリサイド(リチウムシリサイドなど)などが挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ケイ素酸化物と炭素質材料とを併用してもよい。負極活物質として、黒鉛粒子と黒鉛粒子を被覆する非晶質炭素とを含む粒子を用いてもよい。
【0035】
(固体電解質層)
正極と負極との間に配置される固体電解質層は、電荷担体を伝導する固体電解質を含む。通常、固体電解質は、粒子(粉末)の状態で用いられる。固体電解質層は、固体電解質の粉末を含む材料を圧縮成形することによって形成できる。
【0036】
固体電解質には、全固体電池において固体電解質として使用できる材料を用いることができる。全固体リチウムイオン電池の場合、固体電解質には、リチウムイオン伝導性を有する物質を用いることができる。そのような固体電解質の例には、硫化物(硫化物系固体電解質)、水素化物(水素化物系固体電解質)などの無機固体電解質が含まれる。
【0037】
硫化物の例には、Li2S-SiS2、Li2S-P2S5、Li2S-GeS2、Li2S-B2S3、Li2S-Ga2S3、Li2S-Al2S3、Li2S-GeS2-P2S5、Li2S-Al2S3-P2S5、Li2S-P2S3、Li2S-P2S3-P2S5、LiX-Li2S-P2S5、LiX-Li2S-SiS2、LiX-Li2S-B2S3(X:I、Br、またはCl)などが含まれる。水素化物の例には、LiBH4-LiI系錯体水素化物およびLiBH4-LiNH2系錯体水素化物などが含まれる。
【0038】
(正極集電体)
発電要素の正極層の外側には、通常、金属層(正極集電体)が配置される。当該金属層(正極集電体)には、金属箔を用いてもよい。正極集電体(例えば金属箔)の材質の例には、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、亜鉛、スズ、またはこれらの合金などが含まれる。正極集電体は、積層体(S)の積層部分から突出する正極タブを含んでもよい。
【0039】
(負極集電体)
発電要素の負極層の外側には、通常、金属層(負極集電体)が配置される。当該金属層(負極集電体)には、金属箔を用いてもよい。金属層(負極集電体)の材質の例には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、これらの合金などが含まれる。負極集電体は、積層体(S)の積層部分から突出する負極タブを含んでもよい。
【0040】
(正極リード、負極リード)
全固体電池(B)は、リード(正極リード、負極リード)を含んでもよい。正極リードは正極タブに接続され、負極リードは負極タブに接続される。リードとタブ(正極タブ、負極タブ)との接続方法は限定されず、溶接などで接続されてもよい。リードは、導電性を有する金属(例えば銅、アルミニウム、ステンレス、チタンなど)で形成できる。
【0041】
(絶縁フィルム(F))
絶縁フィルム(F)には、上述した絶縁フィルムを用いることができる。絶縁フィルムの厚さは特に限定されないが、10μm~200μmの範囲にあることが好ましく、50μm~100μmの範囲にあることが特に好ましい。
【0042】
(外装体)
上述したように、外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成できる。外装体には、金属ラミネートフィルムからなる外装体を用いることができる。金属ラミネートフィルムは、2つの絶縁性樹脂層によって挟まれた金属層を含む。金属層によって、外装体内部の気密性が高まる。金属層は、アルミニウム層(例えばアルミニウム箔)であってもよい。金属層の両側に存在する樹脂層は、それぞれ、積層された複数の樹脂層を含んでもよい。全固体電池(B)は絶縁フィルム(F)を含むため、様々な金属ラミネートフィルムを用いることが可能である。
【0043】
金属ラミネートフィルムの一方の表面には、ヒートシールが可能な樹脂層(融着層)が配置されている。融着層同士を密着させ、熱を加えることで外装体内部を密封できる。ヒートシールが可能な樹脂層の例には、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンなどが含まれる。金属ラミネートフィルムの厚さは特に限定されないが、100μm~300μmの範囲にあることが好ましい。
【0044】
全固体電池(B)は、外装体(積層体(S)および絶縁フィルム(F)が収容された外装体)が収容されるケースを含んでもよい。ケースは、金属ケースであってもよい。金属ケースは、積層体(S)および絶縁フィルム(F)が密閉された外装体を収容する角筒状部を含んでもよい。角筒状部は、外装体を収容していないときに、内側に向かって凸になるように湾曲している2つの板状部を含んでもよい。当該2つの板状部によって、積層体(S)の2つの主面を内側に向かって加圧することができる。
【0045】
(全固体電池(B)の製造方法)
全固体電池(B)は、工程(i)、工程(ii)、および工程(iii)を含む製造方法によって製造できる。全固体電池(B)について説明した事項はこの製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。工程(i)は、積層体(S)を形成する工程である。工程(ii)は、積層体(S)を囲むように絶縁フィルム(F)を配置する工程である。工程(iii)は、絶縁フィルム(F)で囲まれた積層体(S)を外装体に収容して外装体を密封する工程である。それぞれの工程の例について以下に説明する。なお、全固体電池(B)は、以下で説明する工程以外の工程で製造してもよい。製造工程に関して以下で説明した事項について、全固体電池(B)に適用してもよい。
【0046】
工程(i)において、積層体(S)の形成方法は特に限定されず、公知の全固体電池の積層体の形成方法で形成してもよい。一例の形成方法では、各層の材料を積層し、プレスすることによって積層体(S)を形成する。他の一例の形成方法では、まず、各層の材料をそれぞれプレスすることによって各層を形成する。次に、形成された各層を積層してまとめてプレスすることによって、積層体(S)を形成してもよい。プレスの際には、集電体と積層体(S)の材料とを一緒にプレスしてもよい。
【0047】
工程(ii)では、例えば、あらかじめ所定の形状に切断された絶縁フィルム(F)上に積層体(S)を配置し、絶縁フィルム(F)を折り曲げて積層体(S)を囲むことができる。絶縁フィルム(F)を折り曲げる部分は、加圧などによって、予め折り曲げやすくしておいてもよい。
【0048】
工程(iii)では、絶縁フィルム(F)で囲まれた積層体(S)を外装体に収容して外装体を密封する。このとき、外装体内が減圧された状態で外装体を密封する。絶縁フィルム(F)は密封されていないため、絶縁フィルム(F)の内側も減圧される。外装体内を減圧する方法は限定されず、公知の方法を用いてもよい。例えば、減圧雰囲気下でヒートシールを行ってもよい。あるいは、公知の真空シール装置を用いて外装体を密封してもよい。上述したように、外装体には、積層体の少なくとも一部が収容される凹部が予め形成された外装体を用いてもよい。そのような外装体を用いることによって、工程(iii)が容易になり、さらに、外装体の密封の信頼性を向上させることができる。
【0049】
リード(またはタブ)は、外装体から突出させることができる。リード(またはタブ)によって、全固体電池(B)の発電要素と、外部の機器との間で電力のやりとりができる。
【0050】
以下では、本開示に係る実施形態の例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する実施形態の例には、上述した実施形態の記載を適用でき、上述した記載に基づいて変更してもよい。以下で説明する全固体電池の構成要素のうち、本開示に係る全固体電池に必須ではない構成要素は省略してもよい。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。なお、以下の図は模式的な図であり、実際の縮尺とは異なる。以下の図では、図を見やすくするために、部材の一部を省略して図示する場合がある。
【0051】
(実施形態1)
実施形態1では、全固体電池(B)の一例について説明する。実施形態1の全固体電池10の上面図を
図1Aに示す。また、
図1Aの線IB-IBにおける断面図を
図1Bに示す。
【0052】
図1Aおよび
図1Bを参照して、全固体電池10は、積層体100、絶縁フィルム120、外装体130、正極リード141、および負極リード142を含む。積層体100は上述した積層体(S)である。絶縁フィルム120は、上述した絶縁フィルム(F)である。外装体130は、上述した外装体であり、金属ラミネートフィルムからなる。外装体130は密封されており、外装体130の内部は減圧されている。実施形態1では、積層体100が6つの面を有する直方体状の積層体である一例について説明する。
【0053】
積層体100は、発電要素110、正極集電体114、および負極集電体115を含む。発電要素110は、正極層111、負極層112、および固体電解質層113を含む。それらは、正極集電体114/正極層111/固体電解質層113/負極層112/負極集電体115という配置で、積層方向SDに沿って積層されている。積層体100は、第1の主面100saと、第1の主面100saに対向する第2の主面100sbとを有する。実施形態1では、積層体100に含まれる発電要素110が1つだけである一例を示すが、積層体100は、積層された複数の発電要素110を含んでもよい。発電要素110は、液状成分を実質的に含有しない。
【0054】
正極集電体114は、積層体100の積層部分から突出している正極タブ114aを有する。負極集電体115は、積層体100の積層部分から突出している負極タブ115aを有する。正極タブ114aは、接続部114bにおいて正極リード141に溶接されている。負極タブ115aは、接続部115bにおいて負極リード142に溶接されている。
【0055】
絶縁フィルム120の一例を展開した状態を
図2に示す。
図2に示す絶縁フィルム120の点線および一点鎖線の部分を折り曲げることによって、積層体100を絶縁フィルム120で囲むことができる。積層体100を囲む前に、点線および一点鎖線の部分に予め折り目をつけておいてもよい。絶縁フィルム120が重なる部分は、接着剤やテープなどで固定してもよいし、固定しなくてもよい。
【0056】
絶縁フィルム120の一部は、積層体100の6つの面および12の辺のすべてと、外装体130との間に配置されている。絶縁フィルム120は、第1の主面100saと対向(接触)する面(領域)120aと、第2の主面100sbと対向(接触)する面(領域)120bとを有する。同様に、絶縁フィルム120は、積層体100の他の4つの面と対向(接触)する面(領域)を有する。絶縁フィルム120は、積層体100の12の辺を覆う領域を有する。例えば、面(領域)120eは、積層体100の側面を覆う。さらに、絶縁フィルム120は、接続部114bおよび115bの一方の面を覆う面(領域)120cと、接続部114bおよび115bの他方の面を覆う面(領域)120dとを有する。面120cおよび面120dを除いて、
図2に見えている面が、積層体100の各面と対向するように、点線の部分で絶縁フィルム120が折り曲げられる。また、面120cおよび面120dが接続部114bおよび115bを挟んで対向するように、一点鎖線の部分で絶縁フィルム120が折り曲げられる。絶縁フィルム120は、絶縁フィルム120の各面とそれが対向する積層体100の表面とがほぼ平行になるように、折り曲げられる。上述したように、積層体100と絶縁フィルム120との間には、他の部材が配置されていてもよい。
【0057】
図2に示す絶縁フィルム120は、積層体100の6つの面および12の辺の全体(またはほぼ全体)を覆うことができる。その結果、正極集電体114および負極集電体115のバリなどと外装体130との短絡を特に防止できる。さらに、絶縁フィルム120は接続部114bおよび115bを覆うため、接続部114bおよび115bのバリなどと外装体130との短絡を防止できる。
【0058】
絶縁フィルム120は密封されない。すなわち、絶縁フィルム120は、絶縁フィルム120に囲まれる空間の内側と外側とをつなぐ隙間を有する。そのため、絶縁フィルム120の内側の空間も減圧されている。
【0059】
図2には、絶縁フィルム120が1枚のフィルムで構成されている一例を示した。しかし、絶縁フィルム120は、複数のフィルム(例えば2枚のフィルム)で構成されいていてもよい。絶縁フィルム120が2枚のフィルムで構成されている一例を
図3に示す。
【0060】
図3に示す一例の絶縁フィルム120は、
図2の絶縁フィルム120を、面120aと面120bとを結ぶ面120eの部分で分割した形状を有する。面121e1および面121e2が、面120eに対応する。ただし、積層体100の側面を覆うため、面120e1の幅と面120e2の幅との合計は、
図2の面120eの幅よりも大きくすることが好ましい。
【0061】
密封される前の一例の外装体130と、外装体130に収容される一例の積層体100とを
図4に模式的に示す。外装体130は、第1の外装部材131と、第1の外装部材131と貼り合わせられる第2の外装部材132とによって構成される。第1の外装部材131および第2の外装部材132はそれぞれ、直方体状の積層体100の少なくとも一部を収容するための直方体状の凹部130cを有する。凹部130cは、積層体100および絶縁フィルム120を収容する工程の前に、予め形成されている。凹部130cの周囲にある部分をヒートシールなどで貼り合わせることによって、外装体130を密封できる。なお、第1の外装部材131と第2の外装部材132のうちの少なくとも一方は凹部130cを有さなくてもよい。
【0062】
図1Aおよび
図1Bには、積層体100が1つの発電要素を含む一例について示した。しかし、積層体100は、複数の発電要素を含んでもよい。そのような場合の積層体100の一例の斜視図を
図5に示す。
【0063】
図5に示す積層体100は、複数の発電要素を含む。積層体100からは、複数の正極タブ114aと複数の負極タブ115aとが突出している。複数の正極タブ114aは、必要に応じてL字状に曲げられて重ねられ、まとめて正極リード141に接続される。複数の負極タブ115aは、必要に応じてL字状に曲げられて重ねられ、まとめて負極リード142に接続される。
【0064】
図5の積層体100では、複数の発電要素が並列に接続される場合を示している。その場合、複数の発電要素は絶縁層を挟んで積層されていてもよい。あるいは、隣接する2つの発電要素の同じ電極層同士(正極層同士、負極層同士)が集電体を挟んで対向するように、複数の発電要素が積層されてもよい。あるいは、
図5に示す一例とは異なり、複数の発電要素は直列に接続されていてもよい。その場合、積層体100から突出する正極タブおよび負極タブを最上層および最下層の1つずつとすることができる。その場合、タブを長くすることによって正極リードおよび負極リードを省略してもよい。
【0065】
(付記)
以上の記載によって、以下の発明形態が開示される。
(発明形態1)
全固体電池であって、
少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、
前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、
前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、
前記外装体の内部は減圧されている、全固体電池。
(発明形態2)
前記絶縁フィルムは密封されていない、発明形態1に記載の全固体電池。
(発明形態3)
前記積層体は、2つの主面と、前記2つの主面を結ぶ側面とを有し、
前記絶縁フィルムの少なくも一部は、前記2つの主面および前記側面のそれぞれと前記外装体との間に配置されている、発明形態1または2に記載の全固体電池。
(発明形態4)
前記積層体は、6つの面を有する直方体状の形状を有し、
前記絶縁フィルムの少なくとも一部は、前記6つの面のそれぞれと前記外装体との間に配置されている、発明形態1または2に記載の全固体電池。
(発明形態5)
前記積層体は、正極タブを有する正極集電体と、負極タブを有する負極集電体とを含み、
前記正極タブは、第1の接続部で正極リードに接続され、
前記負極タブは、第2の接続部で負極リードに接続され、
前記絶縁フィルムは、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを覆っている、発明形態1~4のいずれか1つに記載の全固体電池。
(発明形態6)
前記絶縁フィルムは、フッ素樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する層を含む、発明形態1~5のいずれか1つに記載の全固体電池。
(発明形態7)
前記絶縁フィルムの耐熱温度は、前記金属ラミネートフィルムの耐熱温度より高い、発明形態1~6のいずれか1つに記載の全固体電池。
(発明形態8)
前記外装体は、前記積層体の少なくとも一部が収容される凹部を有する第1の外装部材と、前記第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含む、発明形態1~7のいずれか1つに記載の全固体電池。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示は、全固体電池に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
10 :全固体電池
100 :積層体
110 :発電要素
111 :正極層
112 :負極層
113 :固体電解質層
114 :正極集電体
114a :正極タブ
114b、115b :接続部
115 :負極集電体
115a :負極タブ
120 :絶縁フィルム
130 :外装体
130c :凹部
131 :第1の外装部材
132 :第2の外装部材
141 :正極リード
142 :負極リード
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池であって、
少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、
前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、
前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、
前記外装体の内部は減圧されており、
前記積層体は、6つの面を有する直方体状の形状を有し、
前記絶縁フィルムは密封されておらず、
前記外装体は、前記積層体の少なくとも一部が収容される直方体状の凹部を有する第1の外装部材と、前記第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含み、
前記凹部は、前記積層体を収容する前に予め形成されている、全固体電池。
【請求項2】
前記絶縁フィルムは折り曲げられて前記積層体を囲っている、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記絶縁フィルムの少なくとも一部は、前記6つの面のそれぞれと前記外装体との間に配置されている、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記絶縁フィルムは、前記6つの面のそれぞれと対向する複数の面を有する、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記積層体は、正極タブを有する正極集電体と、負極タブを有する負極集電体とを含み、
前記正極タブは、第1の接続部で正極リードに接続され、
前記負極タブは、第2の接続部で負極リードに接続され、
前記絶縁フィルムは、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを覆っている、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記絶縁フィルムは、フッ素樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する層を含む、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記絶縁フィルムの耐熱温度は、前記金属ラミネートフィルムの耐熱温度より高い、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容した前記外装体が収容される金属ケースをさらに含む、請求項1または2に記載の全固体電池。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全固体電池であって、
少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、
前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、
前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、
前記外装体の内部は減圧されており、
前記積層体は、6つの面を有する直方体状の形状を有し、
前記絶縁フィルムは密封されておらず、
前記外装体は、前記積層体の少なくとも一部が収容される直方体状の凹部を有する第1の外装部材と、前記第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含み、
前記凹部は、前記積層体を収容する前に予め形成されており、
前記絶縁フィルムの少なくとも一部は、前記6つの面のそれぞれと前記外装体との間に配置されている、全固体電池。
【請求項2】
全固体電池であって、
少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、
前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、
前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、
前記外装体の内部は減圧されており、
前記積層体は、6つの面を有する直方体状の形状を有し、
前記絶縁フィルムは密封されておらず、
前記外装体は、前記積層体の少なくとも一部が収容される直方体状の凹部を有する第1の外装部材と、前記第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含み、
前記凹部は、前記積層体を収容する前に予め形成されており、
前記絶縁フィルムは、前記6つの面のそれぞれと対向する複数の面を有する、全固体電池。
【請求項3】
全固体電池であって、
少なくとも1つの発電要素を含む積層体と、
前記積層体を囲むように配置された絶縁フィルムと、
前記積層体および前記絶縁フィルムを内部に収容する外装体とを含み、
前記外装体は、金属ラミネートフィルムを用いて形成されており、
前記外装体の内部は減圧されており、
前記積層体は、6つの面を有する直方体状の形状を有し、
前記絶縁フィルムは密封されておらず、
前記外装体は、前記積層体の少なくとも一部が収容される直方体状の凹部を有する第1の外装部材と、前記第1の外装部材と貼り合わせられている第2の外装部材とを含み、
前記凹部は、前記積層体を収容する前に予め形成されており、
前記積層体は、正極タブを有する正極集電体と、負極タブを有する負極集電体とを含み、
前記正極タブは、第1の接続部で正極リードに接続され、
前記負極タブは、第2の接続部で負極リードに接続され、
前記絶縁フィルムは、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを覆っている、全固体電池。
【請求項4】
前記絶縁フィルムは折り曲げられて前記積層体を囲っている、請求項1~3のいずれか1項に記載の全固体電池。