(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132147
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、端末装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240920BHJP
G06Q 20/10 20120101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042827
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】522268638
【氏名又は名称】PassPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141427
【弁理士】
【氏名又は名称】飯村 重樹
(72)【発明者】
【氏名】北野 義勝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸治
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大志
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA15
5L020AA22
5L055AA15
5L055AA22
(57)【要約】
【課題】トランザクションの処理を要求する際のユーザの利便性を向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、端末装置、プログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】ユーザが保有するトークンに関する情報を記憶部に記憶してトークンを管理する管理処理と、管理処理で管理するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能にユーザの端末装置に提示する提示処理とを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが保有するトークンに関する情報を記憶部に記憶して前記トークンを管理する管理処理と、
該管理処理で管理する前記トークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定される前記トランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能に前記ユーザの端末装置に提示する提示処理と、
を実行する情報処理システム。
【請求項2】
前記提示処理は、
複数の前記モードにおける直前の前記トランザクションの前記処理時間の平均を算出するとともに、複数の前記モードにおける直前の前記トランザクションで発生した前記取引手数料の平均を算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ユーザによって入力される任意の価格を前記取引手数料として受け付ける取引手数料受付処理と、
該取引手数料受付処理で受け付けた前記取引手数料に基づいて想定される任意の処理時間を算出して算出した前記処理時間を前記ユーザの前記端末装置に提示する処理時間提示処理と、
を実行する請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記トークンは、
法定通貨、暗号資産その他の資産を含む価値交換物と連動して市場での取引価値が変動するステーブルコインを含む、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
プロセッサ、プログラムが記憶されたメモリ、及び記憶部を備える情報処理装置であって、
前記プロセッサにより前記プログラムが実行されることによって、
ユーザが保有するトークンに関する情報を前記記憶部に記憶して前記トークンを管理する管理処理と、
該管理処理で管理する前記トークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定される前記トランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能に前記ユーザの端末装置に提示する提示処理と、
を実行する情報処理装置。
【請求項6】
ユーザが保有するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定される前記トランザクションの処理に要する処理時間が複数のモードとして選択可能に提示される、
端末装置。
【請求項7】
コンピュータによって実装される情報処理装置に、
ユーザが保有するトークンに関する情報を前記記憶部に記憶して前記トークンを管理する管理処理と、
該管理処理で管理する前記トークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定される前記トランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能に前記ユーザの端末装置に提示する提示処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータによって実装される情報処理装置を用いて、
ユーザが保有するトークンに関する情報を前記記憶部に記憶して前記トークンを管理する管理処理と、
該管理処理で管理する前記トークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定される前記トランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能に前記ユーザの端末装置に提示する提示処理と、
を実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、端末装置、プログラム及び情報処理方法、特に、トークンを保管するウォレットを管理する情報処理システム、情報処理装置、端末装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーンにおいて、暗号資産や非代替性トークン(NFT)等といったトークンの取引(トランザクション)を行う場合は、トランザクションを要求する際に、いわゆる「ガス代」とも称される取引手数料が発生する(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この取引手数料は、トークンを発行するプラットフォームの混雑状況等に応じて変動する場合があるところ、一般的に、取引手数料が低い場合はトランザクションの処理に時間がかかる一方、取引手数料が高い場合はトランザクションの処理が短時間で完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トランザクションを要求する際の利用状況に応じて、取引手数料を考慮したうえでユーザが自らトランザクションの処理に要する時間を選択することができれば、ユーザにとって便宜である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トランザクションの処理を要求する際のユーザの利便性を向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、端末装置、プログラム及び情報処理方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る情報処理システムは、ユーザが保有するトークンに関する情報を記憶部に記憶してトークンを管理する管理処理と、管理処理で管理するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能にユーザの端末装置に提示する提示処理とを実行するものである。
【0008】
これによれば、トランザクションの際の取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理時間にモードが設定され、ユーザは取引手数料を考慮していずれかのモードを選択することができることから、トランザクションの処理を要求する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0009】
この情報処理システムで実行される提示処理は、複数のモードにおける直前のトランザクションの処理時間の平均を算出するとともに、複数のモードにおける直前のトランザクションで発生した取引手数料の平均を算出するものである。
【0010】
この情報処理システムは、ユーザによって入力される任意の価格を取引手数料として受け付ける取引手数料受付処理と、取引手数料受付処理で受け付けた取引手数料に基づいて想定される任意の処理時間を算出して算出した処理時間をユーザの端末装置に提示する処理時間提示処理とを実行するものである。
【0011】
この情報処理システムで取り扱われるトークンは、法定通貨、暗号資産その他の資産を含む価値交換物と連動して市場での取引価値が変動するステーブルコインを含むものであってもよい。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る情報処理装置は、プロセッサ、プログラムが記憶されたメモリ、及び記憶部を備える情報処理装置であって、プロセッサによりプログラムが実行されることによって、ユーザが保有するトークンに関する情報を記憶部に記憶してトークンを管理する管理処理と、管理処理で管理するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能にユーザの端末装置に提示する提示処理とを実行するものである。
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る端末装置は、ユーザが保有するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理に要する処理時間が複数のモードとして選択可能に提示されるものである。
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係るプログラムは、コンピュータによって実装される情報処理装置に、ユーザが保有するトークンに関する情報を記憶部に記憶してトークンを管理する管理処理と、管理処理で管理するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能にユーザの端末装置に提示する提示処理とを実行させるものである。
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る情報処理方法は、コンピュータによって実装される情報処理装置を用いて、ユーザが保有するトークンに関する情報を記憶部に記憶してトークンを管理する管理処理と、管理処理で管理するトークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理に要する処理時間を複数のモードとして選択可能にユーザの端末装置に提示する提示処理とを実行するものである。
【0016】
この発明によれば、トランザクションの処理を要求する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る情報処理システムの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図2】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの情報処理装置の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図3】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの情報処理装置の機能の概略を説明するブロック図である。
【
図4】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムで処理される管理情報の概略を説明する図である。
【
図5】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムのユーザ端末に表示される画面インターフェースの一例を示す図である。
【
図6】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの提示処理、取引手数料受付処理及び処理時間提示処理の概略を説明するフローチャートである。
【
図7】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムのユーザ端末の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図8】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムのユーザ端末の機能の概略を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、
図1~
図8に基づいて、本発明の実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、情報処理システム10は、情報処理装置20及び端末装置である複数のユーザ端末30を主要構成として備え、これらが互いにインターネット網等のネットワークNを介して接続されるとともに、情報処理装置20及びユーザ端末30は、本実施の形態では、図示しないブロックチェーンネットワークにアクセス可能に構成される。
【0020】
本実施の形態では、情報処理装置20は、情報処理システム10を用いたサービスを提供する事業者1に管理され、ユーザ端末30は、情報処理システム10を用いたサービスを利用する複数のユーザ2に保有される。
【0021】
ここで、事業者1が提供するサービスは、本実施の形態では、ユーザ2が保有してブロックチェーン上で取引するトークンを保管するウォレットを管理するサービスであって、ウォレットを管理するに際して、ユーザ2にウォレットアプリを提供している。
【0022】
次に、情報処理システム10の各部の具体的な構成について説明する。
【0023】
情報処理装置20は、本実施の形態では、コンピュータ、例えばデスクトップ型あるいはノート型のコンピュータによって実装される。
【0024】
図2は、情報処理装置20の構成の概略を説明するブロック図である。
【0025】
図示のように、情報処理装置20は、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24及び入出力部25を主要構成として備え、これらが互いにバス26を介して電気的に接続される。
【0026】
プロセッサ21は、情報処理装置20の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、アプリケーションプログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0027】
このプロセッサ21は、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、次述するメモリ22に展開されたアプリケーションプログラムを実行して各処理を行う。
【0028】
メモリ22は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置によって実装される。
【0029】
このメモリ22は、プロセッサ21の作業領域として使用される一方、情報処理装置20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0030】
ストレージ23には、アプリケーションプログラム等による各種の処理に用いられるデータ等が格納されている。
【0031】
送受信部24は、情報処理装置20をネットワークNに接続するものである。この送受信部24は、Wi-Fi等の無線通信規格に対応するものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0032】
入出力部25には、必要に応じて、キーボードやマウスといった情報入力機器やディスプレイ等の出力機器が接続される。本実施の形態では、キーボード、マウス及びディスプレイがそれぞれ接続される。
【0033】
バス26は、接続したプロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24及び入出力部25の間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0034】
図3は、情報処理システム10の情報処理装置20の機能の概略を説明するブロック図である。図示のように、情報処理装置20は、記憶部20a、入力受付部20b、管理部20c、提示部20d、取引手数料受付部20e及び処理時間提示部20fを備える。
【0035】
記憶部20aは、ストレージ23の記憶領域が区画されることによって実現される。この記憶部20aには、本実施の形態では、管理情報Dがデータベース化されて記憶される。
【0036】
図4は、管理情報Dの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、管理情報Dは、ユーザ2が保有するトークンをユーザ2ごとに管理する情報であって、本実施の形態では、トークン、トークン量、レート、プラットフォーム等といった各種のデータによって構成される。
【0037】
トークンに関するデータは、ユーザ2が保有するトークンをその種別ごとに管理するデータである。本実施の形態では、トークンは、暗号資産やNFTのほか、任意の通信手段で決済可能な電磁的な前払式支払手段であって、法定通貨、暗号資産あるいは貴金属等といった価値交換物と連動して市場での取引価格が変動するステーブルコインも含む。
【0038】
トークン量に関するデータは、ユーザ2が保有するトークンの量をトークンの種別ごとに管理するデータであり、レートに関するデータは、ユーザ2が保有するトークンのレート(換価率)をトークンの種別ごとに管理するデータである。
【0039】
プラットフォームに関するデータは、トークンを発行した発行主体であるプラットフォームに関するデータであり、発行したトークンの種別ごとに、例えばプラットフォームの名称(略称)、プラットフォームのID等によってプラットフォームを識別可能に記述される。
【0040】
この管理情報Dは、本実施の形態では、ユーザ端末30との通信によってトークン、トークン量及びプラットフォームに関するデータが更新され、各種のトークンのレートを算出する図示しない外部の装置との通信によってレートに関するデータが更新される。
【0041】
図3で示す入力受付部20b、管理部20c、提示部20d、取引手数料受付部20e及び処理時間提示部20fは、メモリ22に記憶されたプログラムをプロセッサ21で実行することによって実現される。
【0042】
入力受付部20bは、本実施の形態では、ユーザ端末30を介したユーザ2による操作の入力を受け付けるものである。
【0043】
管理部20cは、本実施の形態では、ユーザ端末30との通信に基づいて、トークンの取引やトークンを用いた決済等といったトランザクションによるトークンの処理を管理情報Dとして記憶部21に記憶させるものである(管理処理)。
【0044】
例えば、任意の一のプラットフォームを介して任意のユーザ2にトークンが発行されてユーザ2のトークン量が増加したり、そのユーザ2がトークンを用いて決済を行うことによってトークン量が減少したり、あるいは任意の他の新たなプラットフォームを介してそのユーザ2に新たな種別のトークンが発行されてユーザ2のトークンの種別及びトークン量が増加したりした場合等に、管理処理を実行する。
【0045】
提示部20dは、本実施の形態では、トークンに関するトランザクションの処理を要求する際に発生する取引手数料及び取引手数料の増減に基づいたトランザクションの処理に要する処理時間についての情報をユーザ端末30に提示する処理を実行するものである(提示処理)。
【0046】
この提示部20dは、取引手数料及び処理時間を提示するに際して、処理時間に関する複数のモードにおける直前のトランザクションの処理時間の平均を算出するとともに、各モードにおける直前のトランザクションで発生した取引手数料の平均を算出する。
【0047】
具体的には、取引手数料の多寡に応じて想定される処理時間は例えば「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」のように複数のモードに区分され、「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」の各モードにおけるトランザクションの処理時間の平均を算出する。
【0048】
例えば、「Slow」は48時間、「Normal」は24時間、「Fast」は2時間、「Instant」は10秒といったように、各モードにおけるトランザクションの処理時間の平均を算出する。
【0049】
一方、「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」の各モードにおける直前のトランザクションで発生した取引手数料の平均を算出する。例えば、「Slow」は30Gwei、「Normal」は38Gwei、「Fast」は40Gwei、「Instant」は45Gweiといったように、各モードにおける直前のトランザクションで発生した取引手数料の平均を算出する。
【0050】
このように、トランザクションの処理に要する処理時間の平均を算出し、かつ取引手数料の平均を算出することによって、処理時間の複数のモードごとの取引手数料の多寡に基づいた処理時間が想定され、各モードをそれぞれユーザ端末30に選択可能に提示する
【0051】
図5は、ユーザ端末30に表示される画面インターフェースの一例を示す図である。図示のように、提示部20dは、本実施の形態では、「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」の各モードを択一的に選択可能なアイコンA1~A4をユーザ端末30の表示部(ディスプレイ)に提示する処理を実行する。
【0052】
本実施の形態では、これら各モードのアイコンA1~A4の提示とともに、各モードにおける取引手数料と取引手数料に応じて想定される処理時間を併せてユーザ端末30に提示する。
【0053】
図4で示す取引手数料受付部20eは、本実施の形態では、トランザクションの処理の要求を行う際に取引手数料の入力を受け付ける処理を実行するものである(取引手数料受付処理)。
【0054】
この取引手数料受付部20eは、本実施の形態では、
図5で示すように、ユーザ端末30のディスプレイに提示される入力ウインドウBを介して入力される任意の価格を、取引手数料として受け付ける。
【0055】
図4で示す処理時間提示部20fは、本実施の形態では、取引手数料受付処理で受け付けた取引手数料に基づいて想定される任意の処理時間を算出し、算出した処理時間をユーザ端末30のディスプレイに提示する処理を実行する(処理時間提示処理)。
【0056】
具体的には、例えば、入力された取引手数料あるいはこれに近い取引手数料で処理された直近のトランザクションを参照し、参照したトランザクションの処理に要した処理時間を、想定される任意の処理時間として算出する。
【0057】
図6は、提示処理、取引手数料受付処理及び処理時間提示処理の概略を説明するフローチャートである。まず、ユーザ2によってトランザクションが要求されると、図示のように、ステップS1において、トランザクションの処理に要する処理時間の平均を算出し、かつ取引手数料の平均を算出する。
【0058】
本実施の形態では、「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」の処理時間の各モードにおける処理時間の平均を算出するとともに、これら各モードにおける取引手数料の平均を算出する。
【0059】
次に、ステップS2において、「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」の各モードを択一的に選択可能なアイコンA1~A4をユーザ端末30のディスプレイに提示する(提示処理)。
【0060】
続いて、ステップS3において、アイコンA1~A4を介してユーザ2がモードを選択すると、選択したモードに基づいて、トークンのトランザクションの処理が実行される。
【0061】
例えば、アイコンA2を介して「Normal」のモードを選択すると、38Gweiの取引手数料によって、24時間でトランザクションの処理が実行される。
【0062】
一方、ステップS3において、アイコンA1~A4を介してユーザ2がモードを選択しないで、ユーザ端末30のディスプレイに提示される入力ウインドウBを介して任意の価格を入力すると、ステップS4において、入力した価格を取引手数料として受け付ける(取引手数料受付処理)。
【0063】
ここで、ユーザ2がモードを選択しないで任意の価格を入力する場合として想定されるものとして、例えば、「Normal」のモードでトランザクションの処理を要求したいところ、「Normal」のモードの取引手数料がユーザ2のトークンの保有状態から考慮すると割高となってしまうような場合が想定される。
【0064】
続くステップS5において、取引手数料受付処理で受け付けた取引手数料に基づいて想定される任意の処理時間を算出し、ステップS6において、算出した処理時間をユーザ端末30のディスプレイに提示する(処理時間提示処理)。
【0065】
図1で示すユーザ端末30は、本実施の形態では、携帯型情報端末であるスマートフォンで実装されるが、例えばタブレット型のコンピュータ、デスクトップ型あるいはノート型のコンピュータによって実装されるものであってもよい。
【0066】
図7は、ユーザ端末30の構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、ユーザ端末30は、制御部31及び表示部であるディスプレイ32を主要構成として備える。
【0067】
制御部31は、本実施の形態では、ディスプレイ32や図示しないカメラ等のユーザ端末30の各部を制御するものであって、例えばプロセッサ、メモリ、ストレージ、送受信部等によって構成される。
【0068】
この制御部31には、本実施の形態では、情報処理システム10で提供されるサービスを実行するアプリケーションあるいはウェブサイトを閲覧可能なブラウザが格納され、情報処理装置20におけるプログラムの処理に基づいて、アプリケーションあるいはブラウザを介してユーザ端末30においてサービスが実行される。
【0069】
ディスプレイ32には、本実施の形態では、ユーザ端末30で実行されるサービスの各種の画面インターフェース等が表示される。
【0070】
このディスプレイ32は、表示面への接触によって情報の入力を受け付けるいわゆるタッチパネルであって、抵抗膜方式や静電容量方式といった各種の技術によって実装される。
【0071】
本実施の形態では、このディスプレイ32を介して、サービスを実行するアプリケーションを操作する情報が入力される。この情報は、ディスプレイ32に対するユーザ2の任意の動作(例えば画面をタップあるいはスワイプする動作や、画面に表示されるアイコン等をドラッグしてドロップする動作等)に基づいて入力される。
【0072】
図8は、ユーザ端末30の機能の概略を説明するブロック図である。図示のように、ユーザ端末30は、通信処理部41及びウォレット管理部42を備える。
【0073】
これら通信処理部41及びウォレット管理部42は、制御部31のメモリに記憶されたプログラムをプロセッサで実行することによって実現される。
【0074】
通信処理部41は、本実施の形態では、情報処理装置20及びプラットフォームが管理する図示しない情報処理装置等との間での情報通信を実行するものである。
【0075】
ウォレット管理部42は、本実施の形態では、プラットフォームが発行するトークンを保管するウォレットを管理するものであって、事業者1が提供するサービスを実行するウォレットアプリとして、ユーザ端末30を機能させるものである。
【0076】
このように、トランザクションの際の取引手数料の多寡に基づいて想定されるトランザクションの処理時間にモードが設定され、ユーザ2は、取引手数料を考慮していずれかのモードを選択することができることから、トランザクションの処理を要求する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0078】
上記実施の形態では、プラットフォームがユーザ2に発行したトークンを事業者1が管理する情報処理装置20で管理する場合を説明したが、情報処理装置20においてもトークンを発行するように構成してもよい。
【0079】
この場合、事業者1は、トークンを発行する発行主体であるプラットフォームとしても機能することになる。
【0080】
上記実施の形態では、提示部20dが、処理時間に関する複数のモードにおける直前のトランザクションの処理時間の平均を算出するとともに、各モードにおける直前のトランザクションで発生した取引手数料の平均を算出する場合を説明したが、直前のトランザクションで発生した取引手数料の平均のみを算出するように構成してもよい。
【0081】
この場合、算出した取引手数料の平均を、予め設定された任意の基準に基づいて「Slow」、「Normal」、「Fast」及び「Instant」の各モードにそれぞれ割り当てる。
【0082】
上記実施の形態では、ユーザ2がいずれのモードをも選択しないで任意の価格の取引手数料を入力する場合を説明したが、いずれかのモードを選択したうえで任意の価格の取引手数料を入力するものであってもよい。
【0083】
この場合、選択したモードを基準としつつ、入力した取引手数料に応じてそのモードの取引手数料を増減させるように構成される。すなわち、選択したモードの取引手数料を微調整することができる。
【0084】
上記実施の形態では、情報処理装置20にアクセスしたユーザ端末30で提示処理を実行する場合を説明したが、プログラムをダウンロードしたユーザ端末30に提示処理を実行させるように構成してもよい。
【0085】
上記実施の形態では、情報処理装置20が事業者1に管理されるコンピュータで実装される場合を説明したが、情報処理装置20はクラウド環境で実装されるコンピュータであってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 事業者
2 ユーザ
10 情報処理システム
20 情報処理装置
30 ユーザ端末(端末装置)