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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132150
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】処理液およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/32 20060101AFI20240920BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20240920BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240920BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20240920BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03F7/32
C11D1/66
C11D1/72
C11D3/04
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042830
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一雄
(72)【発明者】
【氏名】佐口 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】星野 純一
【テーマコード(参考)】
2H196
4H003
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA05
2H196BA06
2H196DA01
2H196EA02
2H196GA08
4H003AC07
4H003AC08
4H003DA05
4H003DB03
4H003EA16
4H003EA21
4H003EB07
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA16
(57)【要約】
【課題】
本発明は、シャープなパターンエッジを有するレジストパターンの形成を可能にする、すなわち現像不足(残渣)やパターン剥離が無く、良好なパターンエッジを形成する処理液の提供を目的とする。
また、処理液の安定性も重要な課題である。本発明は上記のとおり、現像性等と安定性を両立できることを目的とする。
【解決手段】
【請求項1】
(A)アルカリ性化合物、および(B)2種以上の非イオン性界面活性剤を含有する処理液であって、
(B)成分が、(B-1)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、および(B-2)ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルを含有する処理液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ性化合物、および(B)2種以上の非イオン性界面活性剤を含有する処理液であって、
(B)成分が、(B-1)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、および(B-2)ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルを含有する処理液。
【請求項2】
前記(A)成分が無機アルカリ性化合物である請求項1に記載の処理液。
【請求項3】
さらに(C)水を含有する請求項1または2に記載の処理液。
【請求項4】
さらに(D)酸性化合物またはその塩を含有する請求項1または2に記載の処理液。
【請求項5】
前記(D)成分が、脂肪族カルボン酸またはその塩である請求項4に記載の処理液。
【請求項6】
(B)成分の非イオン界面活性剤のHLBがいずれも10.0以上である請求項1または2に記載の処理液。
【請求項7】
アルカリ性化合物と界面活性剤との比率B/Aが0.5以上3.0以下である請求項1または2に記載の処理液。
【請求項8】
非イオン性界面活性剤の比率(B-1)/(B-2)が0.1~20である請求項1または2に記載の処理液。
【請求項9】
アルカリ性化合物と酸性化合物またはその塩のモル比A/Dが2.0~6.0である請求項4または5に記載の処理液。
【請求項10】
アルカリ現像用途である請求項1または2に記載の処理液。
【請求項11】
請求項1または2に記載の処理液を用いてフォトレジストパターンを形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体デバイス製造工程、液晶デバイス製造工程において用いられる処理液とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程、液晶デバイス製造工程ではリソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程、剥離工程、研磨工程などの様々な工程が含まれている。リソグラフィ工程中には、金属層または絶縁層の上に均一なフォトレジストを形成する工程、必要な露光および現像を実施して、フォトレジストパターンを形成する工程、フォトレジストパターンをマスクとして使用し金属層または絶縁層を有する基材をドライエッチング法によりエッチングし、微細回路を形成する工程、および不要なフォトレジスト層、エッチング残渣、残留フォトレジストおよびフォトレジスト副産物のいずれかを液体除去剤で基材から除去する工程を含む。様々な有機液体フォトレジスト除去剤が、不要なフォトレジスト層、エッチング残渣、残留フォトレジストおよびフォトレジスト副産物を基材から除去するために使用されている。従来技術ではしばしば、不要なフォトレジスト層を除去するためのフォトレジスト除去液において、フッ化水素酸のようなフッ素化合物を含有する組成物が使用されている。
また、各工程の終了後、あるいは次の工程に移る前に、処理液を用いて不要な有機物等を処理する工程が含まれることが一般的である。
このような半導体デバイスの製造工程において使用されるプリウェット液、現像液、リンス液、剥離液等の各種処理液(以下、「半導体製造用処理液」などともいう。)という。
【0003】
半導体製造において、フォトレジスト塗膜の現像では、浸漬現像、揺動現像、ディップ現像、シャワー・スプレー現像、パドル現像などの方法により行われるが、この現像の際には、アルカリ性現像液が用いられている。
【0004】
従来のアルカリ性現像液としては、一般的に、2~3重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が広く用いられている。こういったアルカリ性現像液は、たとえばノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤とからなるフォトレジスト膜などの分子量のあまり大きくない有機物質を溶解するように設計されている。
【0005】
しかしながらこのような従来公知の現像液を用いて、比較的分子量の大きいバインダーポリマーと、感放射線性化合物とを含み、顔料あるいは微粒子が分散された感放射線性組成物たとえばカラーフィルタ用感放射線性組成物あるいは層間膜用シリカ粒子分散感放射線性組成物などからなる塗膜を現像してレジスト膜あるいはカラーフィルタなどを形成しようとすると、不要な塗膜を充分に溶解除去することができないことがあった。すなわちレジスト膜の非形成部分に粒子あるいは未溶解物が残存しやすく、スカム、地汚れ、膜残りなどが生じて、シャープなパターンエッジを有するレジストパターンあるいは画素を形成することができないという問題点があった。
【0006】
特許文献1には芳香環を有する非イオン界面活性剤0.01ないし3.5重量%を含有する感光性樹脂の現像液が開示されているが、非イオン性界面活性剤の含有濃度が低いため、現像液の製造量や輸送コストが大きくなり、経済的ではない。特許文献2には高濃度のアルカリと界面活性剤との混合時の薬液の安定性を確保するため、可溶化剤を使用した現像液の高濃縮化の技術が開示されている。しかし、これらの方法を用いても現像不足とパターンの剥離、レジストの密着性を満足させる処理液は未だ実現していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-305748号公報
【特許文献2】特開2006-220961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記現状に鑑み、本発明は、シャープなパターンエッジを有するレジストパターンの形成を可能にする、すなわち現像不足(残渣)やパターン剥離が無く、良好なパターンエッジを形成する処理液の提供を目的とする。
また、処理液の安定性も重要な課題である。本発明は上記のとおり、現像性等と安定性を両立できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、こうした実状のもと鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下1)~10)に関する。
1)
(A)アルカリ性化合物、および(B)2種以上の非イオン性界面活性剤を含有する処理液であって、
(B)成分が、(B-1)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、および(B-2)ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルを含有する処理液。
2)
前記(A)成分が無機アルカリ性化合物である上記1)に記載の処理液。
3)
さらに(C)水を含有する上記1)または2)に記載の処理液。
4)
さらに(D)酸性化合物またはその塩を含有する上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の処理液。
5)
前記(D)成分が、脂肪族カルボン酸またはその塩である上記4)に記載の処理液。
6)
(B)成分の非イオン界面活性剤のHLBがいずれも10.0以上である請求項1乃至5)のいずれか一項に記載の処理液。
7)
アルカリ性化合物と界面活性剤との比率B/Aが0.5以上3.0以下である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の処理液。
8)
非イオン性界面活性剤の比率(B-1)/(B-2)が0.1~20である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の処理液。
9)
アルカリ性化合物と酸性化合物またはその塩のモル比A/Dが2.0~6.0である上記4)または5)に記載の処理液。
10)
アルカリ現像用途である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の処理液。
11)
上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の処理液を用いてフォトレジストパターンを形成する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の処理液は、常温で安定であって、特にフォトレジストのアルカリ現像液として有用であり、現像不足(残渣)やパターン剥離の無い良好なパターンエッジを形成することが可能である。従って、基材ウェーハとレジストとの密着性が悪くレジスト剥離が発生しやすいレジストに関して有用であり、半導体デバイスや液晶デバイスをより高精細に製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)アルカリ性化合物、(B)2種以上の非イオン性界面活性剤、(C)水を含有する処理液であって、
(B)成分が、(B-1)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、および(B-2)ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルを含有する処理液に関する。なお、本明細書中、特にことわりの無い限り、量や量関係は質量部で記載する。
【0013】
[(A)成分:アルカリ性化合物]
本発明における(A)成分は、アルカリ性化合物であれば、有機アルカリ性化合物であっても、無機アルカリ性化合物であってもよい。
前記無機アルカリ性化合物とは、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等を挙げることができる。
【0014】
また、前記有機アルカリ性化合物とは、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、ブトキシプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、エタノールプロピルアミン、エチルエタノールアミン、n-ヒドロキシエチルモルホリン、アミノプロピルジエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N-メチルジエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、N,N-ジメチルアミノメチルプロパンジオール、イソプロピルアミン,2-アミノ-1-ブタノール、アミノメチルプロパノール、アミノジメチルプロパノール、N,N-ジメチルアミノメチルプロパノーノール、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ベンジルアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン、3,3-イミノビス(N,N-ジメチルプロピルアミン)、ジプロピルアミン、ジメチルアミノエタノール、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、N-ヒドロキシエチルピペリジン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、2-エチルヘキシルオキシプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、モノメチルアミン、ジエチルアミン、モノイソピルアミン、ジイソピルアミン等を挙げることができる。
これらの有機アルカリ性化合物のうち、好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドであり、さらに好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムであり、特に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。
これらのうち、好ましくは無機アルカリ性化合物であって、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウム、炭酸ナトリウムである。
上記アルカリ性化合物は2種以上組み合わせて用いることもでき、無機アルカリ性化合物を2種以上組み合わせる場合が好ましく、水酸化カリウムと炭酸ナトリウムを組み合わせて用いる場合が特に好ましい。
【0015】
本発明の処理液中、成分(A)の含有量は、1.0質量%以上30.0質量%以下である場合が好ましい。この含有量としてより好ましい下限は、順に5.0質量%、6.0質量%、7.0質量%であり、特に好ましくは8.0質量%である。また、より好ましい上限は、順に25.0質量%、20.0質量%、15.0質量%であり、特に好ましくは13.0質量%である。すなわち(A)成分の最も好ましい含有量は8.0質量%以上13.0質量%以下である。
また(A)成分として、水酸化カリウムと炭酸ナトリウムを用いる場合、その比率は炭酸ナトリウム/水酸化カリウムの比で、1.0以上10.0以下である場合が好ましい。この比の下限としてより好ましくは、順に1.5、2.0、2.5であり、特に好ましくは3.0である。また上限としてより好ましくは、順に、8.0、7.0、6.0、5.0であり、特に好ましくは4.0である。従って炭酸ナトリウム/水酸化カリウムとして最も好ましくは3.0以上4.0以下である。
【0016】
[(B)成分:2種以上の非イオン性界面活性剤]
本発明における(B)成分は、2種以上の非イオン性界面活性剤であり、(B-1)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルと(B-2)ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルを含有する。
なお(B)成分としては、HLBが10.0以上である非イオン性界面活性剤を少なくとも1種有することが好ましく、2種以上のHLBが10.0以上である場合がより好ましい。例えば(B-1)成分、(B-2)成分のどちらかがHLBが10.0以上である場合が好ましく、(B-1)成分、(B-2)成分のどちらもHLBが10.0以上である場合が特に好ましい。このHLBとしては、より好ましくは11.0以上であり、さらに好ましくは12.0以上である、特に好ましくは12.2以上である。なお、上限は特に制限はないが、15.0程度でよく、好ましくは14.0程度である。
なお、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルは、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルであっても良く、具体的にはエマルゲンA-60(花王株式会社製)等を市場から入手可能である。ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルはタケサーフD-7010(竹本油脂株式会社製)、ニューコールCMP系(日本乳化剤株式会社製)等を市場から入手可能である。
【0017】
(B-1)と(B-2)の配合比は、(B-1)/(B-2)で表した場合に、0.1以上20以下である場合が好ましい。
本発明の(B)成分は、(B-1)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、(B-2)ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル以外にも他の界面活性剤を含有してもよい。その場合、使用できる他の界面活性剤としては(B-1)、(B-2)同様にポリオキシアルキレン誘導体である場合が好ましく、分子内に芳香環を有するポリオキシアルキレン誘導体がさらに好ましい。
【0018】
本発明の処理液中、成分(B)の含有量は、1質量%以上30質量%以下である場合が好ましい。この含有量として、より好ましい上限は、順に、25質量%、20質量%、18質量%、16質量%であり、特に好ましくは15質量%である。また、より好ましい下限は、順に5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、であり、特に好ましくは8.5質量%である。従って(B)成分の含有量として最も好ましくは8.5質量%以上15質量%以下である。
【0019】
[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]
本発明の処理液は、[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]が0.50以上3.0以下である場合が好ましい。この比によって現像性と良好なパターンエッジを両立することができる。
[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]の下限として更に好ましくは、順に、0.6、0.7、0.8、であって、特に好ましくは0.9である。また上限として更に好ましくは、2.8、2.6、2.4、2.2、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5であって、特に好ましくは1.3である。すなわち[(B)成分の含有量/(A)成分の含有量]として最も好ましくは0.9以上1.3以下である。
【0020】
[成分(C)水]
本発明の処理液は成分(C)として、水を含有しても良い。(C)水は、脱イオン水、超純水などが好ましく、有機汚染物を含有せず、抵抗率の最小値が約4~17メガオームであることが好ましい。水の抵抗率は17メガオーム以上であることがより好ましい。
本発明の処理液中、成分(C)の含有量は50質量%以上90質量%以下である場合が好ましい。また成分(C)の下限としては、さらに好ましい順に55質量%、60質量%、65質量%であり、70質量%が特に好ましい。上限としては、さらに好ましい順に88質量%、86質量%、84質量%であり、82質量%が特に好ましい。従って、成分(C)としては、70質量%以上82質量%以下が特に好ましい範囲である。
【0021】
[(D)成分:酸性化合物またはその塩]
本発明は、さらに(D)酸性化合物またはその塩を含有しても良い。
(D)成分としては、有機酸であっても無機酸であっても良い。
無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸等を挙げることができる。
本明細書において、有機酸とは、分子内にカルボキシ基またはスルホ基を有する有機化合物を意味するものとする。
分子内にカルボキシ基またはスルホ基を有する有機化合物は、少なくとも1個のカルボキシ基またはスルホ基を有していればよく、その数は特に限定されないが、例えば1~6個程度でよく、好ましくは1~3個であり、1個または2個がより好ましく、1個が特に好ましい。
例えば分子内にカルボキシ基を有する有機化合物は、芳香族カルボン酸であってもよく、脂肪族カルボン酸であってもよい。
芳香族カルボン酸とは、少なくとも1個の芳香環を有し、該芳香環の少なくとも1個の水素原子がカルボキシ基で置換された化合物である。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環; 前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、炭素数7~20が好ましく、炭素数7~15がより好ましく、炭素数7~10がさらに好ましい。芳香族カルボン酸の具体例としては、例えば、サリチル酸、安息香酸、没食子酸などのモノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸であってもよく、不飽和脂肪族カルボン酸であってもよいが、飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。脂肪族カルボン酸としては、炭素数1~20が好ましく、炭素数3~15がより好ましく、炭素数5~10がさらに好ましい。脂肪族カルボン酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、乳酸などのモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸;クエン酸などのトリカルボン酸等が挙げられる。
これらのうち、本発明における(D)成分としては、脂肪族カルボン酸が好ましく、脂肪族モノカルボン酸がより好ましく、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸がさらに好ましく、カプリル酸が特に好ましい。なお、有機酸は2種以上を併用しても良く、さらには無機酸との併用も可能である。これらの酸は、アルカリ性化合物との中和反応させた塩として用いることもできる。アルカリ性化合物は成分(A)との塩でもよく、その他のアルカリ性化合物との塩でも良い。
【0022】
成分(D)を用いる場合、モル比として計算して、A/Dが2.0~6.0である場合が好ましい。A/Dの上限としてより好ましくは、順に5.0、4.0、3.5、3.0、2.8、2.6であり、特に好ましくは2.5である。またA/Dの下限としてより好ましくは、順に2.1、2.2、2.3であり、特に好ましくは2.4である。従って、A/Dとして最も好ましくは2.4~2.5である。
【0023】
また、成分(D)を含有する場合の本発明の処理液は、実質的に(A)、(B)、(C)、(D)成分のみで構成されている場合が最も好ましく、その場合成分(A)、(B)、(D)に対する残部が成分(C)という構成になる。ここで前記「実質的に」とは不可避的に混入する不純物は除くという意味である。
【0024】
[その他成分]
本発明の処理液は、必要に応じて他の成分を添加することも可能である。他の成分としては、例えば、pH調整剤、有機添加剤、腐食抑制剤、有機溶剤等を挙げることができる。
【0025】
<pH調整剤について>
本発明の処理液に含まれてもよいpH調整剤とは、以下説明する好ましいpHに調整できる成分であれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、KOH、RbOH、CsOH)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、Be(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH))、及び式NROH(式中、R、R、R及びRは、互いに同じでも、異なっていてもよく、水素、直鎖又は分岐鎖のC2-C6アルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル)、C1-C6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ)及び置換又は非置換のC6-C10アリール、例えば、ベンジルからなる群から選択され、R、R、R及びRがすべてメチル基になることはない。)を有する化合物が含まれる。市販されているテトラアルキルアンモニウム水酸化物には、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、水酸化コリン、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、トリエチルメチルアンモニウム水酸化物、トリスヒドロキシエチルメチルアンモニウム水酸化物及びそれらの組合せが含まれ、それらを使用することができる。代わりに、又は加えて、少なくとも一種の四級塩基は、式(PR)OH(式中、R、R、R及びRは、互いに同じでも、異なっていてもよく、水素、直鎖のC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、分岐鎖のC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ)、置換C6-C10アリール、非置換C6-C10アリール(例えば、ベンジル)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。)の化合物、例えば、テトラブチルホスホニウム水酸化物(TBPH)、テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラプロピルホスホニウム水酸化物、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物であり得る。一実施態様において、pH調整剤はKOHを含む。別の実施態様において、pH調整剤は水酸化コリンを含む。別の実施態様において、pH調整剤は、本明細書に列挙した少なくとも一種のアルカリ金属水酸化物及び少なくとも一種の別の水酸化物を含む。別の実施態様において、pH調整剤は、KOH及び本明細書に列挙した少なくとも一種の別の水酸化物を含む。さらに別の実施態様において、pH調整剤は、KOH及び水酸化コリンを含む。
【0026】
<有機添加剤について>
本発明の処理液に含まれてもよい有機添加剤とは、特に限定されないが、例えば、2-ピロリジノン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリジノン(HEP)、グリセロール、1,4-ブタンジオール、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジメチルスルホン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラグライム、ジグリム、グリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGBE)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(EGHE)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(DEGHE)、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(ドワノールPnB)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル(ドワノールPPh))及びそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。代わりに、又は加えて、有機添加剤は、ホスホン酸及びその誘導体、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、イス(is)(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、それらの塩及びそれらの誘導体を含むことができる。代わりに、又は加えて、有機添加剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンモノマーを使用して調製された任意のポリマー、ポリアクリル酸エステル及びポリアクリル酸エステルの類似体、ポリアミノ酸(例えば、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリグリシン)、ポリアミドヒドロキシウレタン、ポリラクトン、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、キトサン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン(PEI)、糖アルコール、例えばソルビトール及びキシリトール、アンヒドロソルビトールのエステル、二級アルコールエトキシレート、例えばTERGITOL、及びそれらの組合せを含むことができる。好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤はHEDPを含む。別の好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤は、トリエチレングリコールモノブチルエーテル又はプロピレングリコールn-ブチルエーテル又はプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルを含む。さらに別の好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤は、HEDP、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル又はプロピレングリコールn-ブチルエーテル又はプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルを含む。さらに別の好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤は、HEC、又はHEDP及びHECの組合せ、又はHEC、HEDP、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル若しくはプロピレングリコールn-ブチルエーテル若しくはプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルの組合せ、又はHEC、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル若しくはプロピレングリコールn-ブチルエーテル若しくはプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルの組合せを含む。
【0027】
<腐食抑制剤について>
本発明の処理液に含まれてもよい腐食抑制剤とは、酢酸、アセトンオキシム、アクリル酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、ベタイン、ジメチルグリオキシム、ギ酸、グリセリン酸、グリセロール、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒスチジン、イタコン酸、乳酸、ロイシン、リジン、無水マレイン酸、マンデル酸、2,4-ペンタンジオン、フェニル酢酸、フェニルアラニン、プロリン、プロピオン酸、ピロカテコール、キナ酸、セリン、ソルビトール、チロシン、バリン、キシリトール、タンニン酸、ピコリン酸、1,3-シクロペンタンジオン、カテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、シアヌル酸、バルビツル酸、1,3-ジメチルバルビツル酸、ピルビン酸、プロパンチオール、ベンゾヒドロキサム酸類、2,5-ジカルボキシプリジン(dicarboxypryidine)、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、N-アミノエチルピペラジン(N-AEP)、チオウレア、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、グリシン、システイン、イソロイシン、メチオニン、ピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ピロリジン、スレオニン、トリプトファン、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、サリチルヒロキサム酸(salicylhyroxyamic)、5-スルホサリチル酸及びそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。
【0028】
<有機溶媒>
本発明の処理液に含まれてもよい有機溶剤は、水溶性であっても非水溶性であっても良い。
非水溶性溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1、4-ジオキサン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1-C6アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2-C6ジオール、又はC2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール若しくはチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(トリオール)、グライム系溶媒(モノグライム、ジグライム等)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、アセトニトリルなどが挙げられる。なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ効果を期待して使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
【0029】
[pHについて]
本発明の処理液は、pHが9.5以上13.0以下である場合が好ましい。
処理液のpHとして更に好ましい範囲としての上限は、好ましい順に12.8、12.6、12.4、12.2、12.0、11.8であり、特に好ましくは11.6である。また下限としては、好ましい順に9.7、9.9、10.1、10.3、10.5、10.7、10.9、11.2であり特に好ましくは11.4である。すなわち最も好ましいpHの範囲は11.4以上11.6以下である。
なお、pHは組成によっては特別な調整を必要としない場合もあり、また上記pH調整剤によって調整することもできる。
【0030】
<製造方法>
本発明の処理液は、例えば以下の方法で製造することができる。ただし、この製造方法に限定されるものではない。
まず、必要に応じて用いる成分(C)水と成分(A)アルカリ性化合物、(B)界面活性剤を混合し、一液化する。
次に必要に応じてpH調整剤、有機添加剤、腐食抑制剤、有機溶剤を添加し、攪拌し合する。その後ろ過工程を経て、本発明の処理液となる。
【0031】
<本発明の処理液の使用方法>
本発明の処理液の使用方法としては、露光後のレジスト膜を処理する現像液として、基板加工後に基板表面に残存したレジストを剥離する剥離液として、前記剥離工程や現像工程後に基板表面に残存したレジストを処理する剥離液として、基板表面を洗浄するリンス液として、使用する方法がある。
このうち、フォトレジストの現像剤としての用途が有用であり、特にCMOS、CCD等の精密電子機器の電気光学表示装置用カラーフィルタにおいてアルカリ可溶型感光膜をアルカリ現像する際に用いられる。特に基材ウェーハとの密着性が悪い場合には有用である。
【実施例0032】
[実施例1~3、比較例1~2の処理液製造]
表1に記載の含有量(質量%)になるように(A)成分を常温の水に投入し、5分間攪拌して溶解させた。次に(D)成分を投入して5分間攪拌して溶解させた。その後、攪拌を停止して、(A)成分(及び(D)成分)が溶解する時に発生した熱を10℃程度の冷水浴中で30℃以下まで冷却した。最後に(B)成分を加えて穏やかに攪拌をすることで、実施例1~3、および比較例1~2の処理液を得た。
なお、表1において配合量は質量部で表示する。
【0033】
[評価1]
得られた薬液の原液を25℃一晩自然放置した後、原液の安定性(溶解状態)を確認した。
【0034】
[評価2]
5インチのシリコンウェーハ上にUC-2L(3)NP(日本化薬株式会社製)を塗布、次いで80℃、100秒でベーク後200℃、5分ベークし膜厚約0.06μmの下地膜を形成した。その上にカラーフィルター用顔料分散ネガレジストカヤミラーDCF(日本化薬株式会社製)を膜厚0.4μmになるように塗布し、70℃、60秒でプリベークを行い、露光量600mJ/cmで露光を実施した。塗布・露光に関してはNSR-2005i10C(株式会社ニコン製)を用いた。
次いで実施例1~3および比較例1~2の薬液を50倍に希釈し、180秒の浸漬現像を行い、超純水を用いて1分間リンスを実施し、窒素を用いてブロー乾燥した。光学顕微鏡にてパターン形状のエッジ、残膜、パターンの剥離を確認した。結果を表1に示す。
パターン形状はL/S(ラインアンドスペース)50/50μmの評価を行った。
パターン剥離は0.5μmドットパターンの評価を行った。

各項目については以下の基準を用いて評価した。
原液の安定性: 〇処理液保管時(25℃)に薬液が均一に溶解している
×処理液保管時(25℃)に薬液が分離していた
パターン形状: 〇きれいな直線性が得られた
×現像不足で直線性が得られなかった
残膜: 〇未露光部レジストが現像液に溶解し、残渣が無かった
×未露光部レジストが現像液に完全に溶解せず、残渣があった
パターン剥離:〇現像・リンス後のドットパターン残存率が20%以上であった
×現像・リンス後のドットパターン残存率が20%未満であった
【表1】
ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル:ノイゲンXL-70(第一工業製薬株式会社製)
陰イオン界面活性剤:36%ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(富士フイルム和光純薬株式会社)
酸性化合物:カプリル酸(富士フィルム和光純薬株式会社)
【0035】
表1から明らかなように、本発明の処理液は、現像不足がなく、かつ優れたパターンエッジを実現することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の処理液は、特にフォトレジストのアルカリ現像液として有用であり、現像不足(残渣)やパターン剥離の無い良好なパターンエッジを形成することが可能である為、半導体デバイスや液晶デバイスをより高精細に製造することが可能である。