(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132156
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、記録装置、後処理装置、中継装置、記録システム
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20240920BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65H5/06 A
B65H29/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042837
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】上野 幸平
(72)【発明者】
【氏名】小平 寛久
【テーマコード(参考)】
3F049
3F053
【Fターム(参考)】
3F049AA10
3F049CA02
3F049DA12
3F049LA16
3F049LB01
3F053HA03
3F053HB02
3F053LA01
3F053LB01
(57)【要約】
【課題】雄型ローラーが用紙の第1面に接し雌型ローラーが用紙の第2面に接する構成では、用紙の第1面或いは第2面を内側にしたカールが生じてしまう虞がある。
【解決手段】液体が吐出された媒体を搬送する媒体搬送装置は、媒体と接する面に凹凸が設けられた第1凹凸ローラーと、前記第1凹凸ローラーと対向する第1対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第1搬送ローラー対と、前記第1搬送ローラー対よりも媒体搬送方向の下流に位置するローラー対であって、媒体と接する面に凹凸が設けられた第2凹凸ローラーと、前記第2凹凸ローラーと対向する第2対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第2搬送ローラー対と、を備え、前記第1凹凸ローラーは、媒体の第1面に接し、前記第2凹凸ローラーは、媒体の前記第1面に対し反対の第2面に接する。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が吐出された媒体を搬送する媒体搬送装置であって、
媒体と接する面に凹凸が設けられた第1凹凸ローラーと、前記第1凹凸ローラーと対向する第1対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第1搬送ローラー対と、
前記第1搬送ローラー対よりも媒体搬送方向の下流に位置するローラー対であって、媒体と接する面に凹凸が設けられた第2凹凸ローラーと、前記第2凹凸ローラーと対向する第2対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第2搬送ローラー対と、
を備え、
前記第1凹凸ローラーは、媒体の第1面に接し、
前記第2凹凸ローラーは、媒体の前記第1面に対し反対の第2面に接する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラーの凸部が接触する位置と、前記第2凹凸ローラーの凸部が接触する位置とが異なる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラーの回転の位相と、前記第2凹凸ローラーの回転の位相とを規定する位相規定手段をさらに備える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーを支持するフレームを備え、
前記位相規定手段は、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラー並びに前記フレームに設けられた位置合わせ目印により構成される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーは、一の駆動源により駆動される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラーを回転させる第1駆動源と、
前記第2凹凸ローラーを回転させる第2駆動源と、
前記第1凹凸ローラーの回転及び前記第2凹凸ローラーの回転を検出する検出部と、
前記第1駆動源及び前記第2駆動源を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、媒体において前記第1凹凸ローラーの凸部が接触する位置と、前記第2凹凸ローラーの凸部が接触する位置とが異なるように、前記第1駆動源及び前記第2駆動源の駆動を制御する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体搬送装置において、
前記制御部は、所定の条件に基づいて、前記第1凹凸ローラーの回転の位相に対する前記第2凹凸ローラーの回転の位相を調整可能である、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーに設けられる前記凹凸は、
周方向に沿って凸部が複数配置されて成る第1凸部列と、
軸方向において前記第1凸部列に隣接して配置され、前記周方向に沿って凸部が複数配置されて成る第2凸部列と、
によって形成され、
前記第1凸部列の複数の凸部と、前記第2凸部列の複数の凸部とが、前記周方向において異なる位置に配置される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凸部列の複数の凸部と前記第2凸部列の複数の凸部とが、前記軸方向において一部がオーバーラップする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項10】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーの少なくともいずれかを加熱する加熱部をさらに備える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項11】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第2面は、最後に液体が吐出された面である、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項12】
請求項10に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーの双方が前記加熱部を備え、
前記第2面は、最後に液体が吐出された面である、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項13】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1搬送ローラー対よりも前記媒体搬送方向の上流に、媒体を乾燥させる乾燥部をさらに備える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項14】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、
前記記録部によって記録された媒体を搬送する、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項15】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置に対し、直接的或いは間接的に接続される後処理装置であって、
前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理部と、
前記記録装置によって記録された媒体を前記後処理部に向けて搬送する、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置と、
を備えることを特徴とする後処理装置。
【請求項16】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理装置と、の間に配置され、前記記録装置から前記後処理装置に媒体を中継する中継装置であって、
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置を備える、
ことを特徴とする中継装置。
【請求項17】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、
前記記録装置に対して、直接的或いは間接的に接続される請求項15に記載の前記後処理装置と、
を備えることを特徴とする記録システム。
【請求項18】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、
前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理装置と、
前記記録装置と前記後処理装置との間に配置され、前記記録装置から前記後処理装置に媒体を中継する請求項16に記載の前記中継装置と、
を備えることを特徴とする記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が吐出された媒体を搬送する媒体搬送装置に関する。また本発明は、前記媒体搬送装置を備えた記録装置、後処理装置、及び中継装置に関する。また本発明は、記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙に形成されたカールを矯正する手段として、雄型ローラーと雌型ローラーとで用紙の全面を型押しする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙の一方の面を第1面とし他方の面を第2面とする場合、特許文献1記載の構成は、雄型ローラーが用紙の第1面に接し雌型ローラーが用紙の第2面に接する為、用紙の第1面と第2面とで用紙に形成される凹凸に非対称性が生じることとなる。そしてこれにより、用紙の第1面或いは第2面を内側にしたカールが生じてしまう虞があり、即ちカール矯正手段それ自体が用紙のカールを発生させてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の媒体搬送装置は、液体が吐出された媒体を搬送する媒体搬送装置であって、媒体と接する面に凹凸が設けられた第1凹凸ローラーと、前記第1凹凸ローラーと対向する第1対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第1搬送ローラー対と、前記第1搬送ローラー対よりも媒体搬送方向の下流に位置するローラー対であって、媒体と接する面に凹凸が設けられた第2凹凸ローラーと、前記第2凹凸ローラーと対向する第2対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第2搬送ローラー対と、を備え、前記第1凹凸ローラーは、媒体の第1面に接し、前記第2凹凸ローラーは、媒体の前記第1面に対し反対の第2面に接することを特徴とする。
【0006】
また本発明の記録装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、前記記録部によって記録された媒体を搬送する上記媒体搬送装置とを備えることを特徴とする。
また本発明の後処理装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置に対し、直接的或いは間接的に接続される後処理装置であって、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理部と、前記記録装置によって記録された媒体を前記後処理部に向けて搬送する上記媒体搬送装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明の中継装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理装置と、の間に配置され、前記記録装置から前記後処理装置に媒体を中継する中継装置であって、上記媒体搬送装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の記録システムは、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置に対して、直接的或いは間接的に接続される上記後処理装置とを備えることを特徴とする。
また本発明の記録システムは、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理装置と、前記記録装置と前記後処理装置との間に配置され、前記記録装置から前記後処理装置に媒体を中継する上記中継装置とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図13】凹凸ローラーの製造方法の流れを示すフローチャート。
【
図18】凹凸ローラーの外径を異ならせる実施形態を示す図。
【
図20】対向リングに対する爪部の配置及び接触角を示す図。
【
図21】対向するローラーが双方凹凸ローラーである搬送ローラー対の断面図。
【
図22】搬送ローラー対を複数備える媒体搬送装置の断面図。
【
図24】搬送ローラー対を複数備える媒体搬送装置の斜視図。
【
図25】搬送ローラー対を複数備える媒体搬送装置の側面図。
【
図26】搬送ローラー対を複数備える媒体搬送装置の断面図。
【
図27】モーターに設けられるエンコーダーの正面図。
【
図28】対向するローラーが双方凹凸ローラーである搬送ローラー対の斜視図。
【
図30】第1歯車と第2歯車との噛み合いを示す図。
【
図32】
図31から歯車を取り除いて凹凸ローラーのみを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体搬送装置は、液体が吐出された媒体を搬送する媒体搬送装置であって、媒体と接する面に凹凸が設けられた第1凹凸ローラーと、前記第1凹凸ローラーと対向する第1対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第1搬送ローラー対と、前記第1搬送ローラー対よりも媒体搬送方向の下流に位置するローラー対であって、媒体と接する面に凹凸が設けられた第2凹凸ローラーと、前記第2凹凸ローラーと対向する第2対向ローラーとによって媒体をニップして搬送する第2搬送ローラー対と、を備え、前記第1凹凸ローラーは、媒体の第1面に接し、前記第2凹凸ローラーは、媒体の前記第1面に対し反対の第2面に接することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記第1搬送ローラー対と前記第2搬送ローラー対とで媒体のカール矯正を行う構成において、前記第1搬送ローラー対を構成する前記第1凹凸ローラーは、媒体の第1面に接し、前記第2搬送ローラー対を構成する前記第2凹凸ローラーは、媒体の前記第1面に対し反対の第2面に接することから、媒体の前記第1面に形成される凹凸と前記第2面に形成される凹凸との相違の程度を抑制でき、前記第1面或いは前記第2面を内側にしたカールが生じてしまうことを抑制できる。
【0012】
第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラーの凸部が接触する位置と、前記第2凹凸ローラーの凸部が接触する位置とが異なることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1凹凸ローラーの凸部が接触する位置と、前記第2凹凸ローラーの凸部が接触する位置とが異なるので、前記第1面に形成される凹凸と前記第2に形成される凹凸との相違を抑制でき、前記第1面或いは前記第2面を内側にしたカールが生じてしまうことをより効果的に抑制できる。
【0013】
第3の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラーの回転の位相と、前記第2凹凸ローラーの回転の位相とを規定する位相規定手段をさらに備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1凹凸ローラーの回転の位相と、前記第2凹凸ローラーの回転の位相とを調整する位相規定手段をさらに備えることから、装置の組立性が向上する。
【0014】
第4の態様は、第3の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーを支持するフレームを備え、前記位相規定手段は、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラー並びに前記フレームに設けられた位置合わせ目印により構成されることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記位相規定手段は、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラー並びに前記フレームに設けられた目印により構成されることから、前記位相規定手段を簡易な構造で構成できる。
【0016】
第5の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーは、一の駆動源により駆動されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーは、一の駆動源により駆動されることから、装置構成を簡素にし、装置コストを抑制することができる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第4の態様のいずれかに従属する態様であっても良い。
【0017】
第6の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラーを回転させる第1駆動源と、前記第2凹凸ローラーを回転させる第2駆動源と、前記第1凹凸ローラーの回転及び前記第2凹凸ローラーの回転を検出する検出部と、前記第1駆動源及び前記第2駆動源を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、媒体において前記第1凹凸ローラーの凸部が接触する位置と、前記第2凹凸ローラーの凸部が接触する位置とが異なるように、前記第1駆動源及び前記第2駆動源の駆動を制御することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記第1凹凸ローラーと前記第2凹凸ローラーとを別々の駆動源で駆動させる構成において、前記制御部が、前記第1凹凸ローラーと前記第2凹凸ローラーとの位相を調整するので、組立工程において前記第1凹凸ローラーの回転の位相と前記第2凹凸ローラーの回転の位相とを調整する必要がなく、装置の組み立て性が容易となる。また、装置の組み立て後においても、前記第1凹凸ローラーの回転の位相と前記第2凹凸ローラーの回転の位相とを微調整することができる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2の態様に従属する態様であっても良い。
【0019】
第7の態様は、第6の態様に従属する態様であって、前記制御部は、所定の条件に基づいて、前記第1凹凸ローラーの回転の位相に対する前記第2凹凸ローラーの回転の位相を調整可能であることを特徴とする。
【0020】
例えば、印刷濃度や環境が変化すると、搬送速度が変化し、前記第1凹凸ローラーの回転の位相に対する前記第2凹凸ローラーの回転の位相がずれてしまう場合がある。しかしながら本態様によれば、前記制御部は、所定の条件に基づいて、前記第1凹凸ローラーの回転の位相に対する前記第2凹凸ローラーの回転の位相を調整可能であることから、前記第1凹凸ローラーの回転の位相に対する前記第2凹凸ローラーの回転の位相が適切となる様に調整することができる。
【0021】
第8の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーに設けられる前記凹凸は、周方向に沿って凸部が複数配置されて成る第1凸部列と、軸方向において前記第1凸部列に隣接して配置され、前記周方向に沿って凸部が複数配置されて成る第2凸部列と、によって形成され、前記第1凸部列の複数の凸部と、前記第2凸部列の複数の凸部とが、前記周方向において異なる位置に配置されることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記第1凸部列の複数の凸部と、前記第2凸部列の複数の凸部とが、前記周方向において異なる位置に配置されることから、前記軸方向即ち媒体幅方向に沿って媒体に目立つ筋が形成されることを抑制できる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第7の態様のいずれかに従属する態様であっても良い。
【0023】
第9の態様は、第8の態様に従属する態様であって、前記第1凸部列の複数の凸部と前記第2凸部列の複数の凸部とが、前記軸方向において一部がオーバーラップすることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記第1凸部列の複数の凸部と前記第2凸部列の複数の凸部とが、前記軸方向において一部がオーバーラップすることから、媒体搬送方向に沿って媒体に目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0025】
第10の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーの少なくともいずれかを加熱する加熱部をさらに備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーの少なくともいずれかを加熱する加熱部をさらに備えることから、媒体のカール矯正に加えてさらに媒体の乾燥を図ることができる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第9の態様のいずれかに従属する態様であっても良い。
【0026】
第11の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第2面は、最後に液体が吐出された面であることを特徴とする。
外周面に凹凸を有する前記第1凹凸ローラーや前記第2凹凸ローラーは、凸部が媒体に強い圧で接する為、乾燥が進んでいない媒体の面と接すると、液体の転写を招き易い。尚、液体の転写とは、媒体に付着している液体がローラーに付着し、次いでその付着部分が媒体と接することで媒体に液体が付着することを意味する。
本態様によれば、前記第1凹凸ローラーよりも前記媒体搬送方向の下流に位置する前記第2凹凸ローラーが接する面である前記第2面は、最後に液体が吐出された面であることから、前記第2面が前記第2凹凸ローラーと接するまでの時間を長くできる。これにより、前記第2面の乾燥が進んだ状態で前記第2面が前記第2凹凸ローラーに接触することができ、液体の転写が抑制される。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第10の態様のいずれかに従属する態様であっても良い。
【0027】
第12の態様は、第10の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸ローラー及び前記第2凹凸ローラーの双方が前記加熱部を備え、前記第2面は、最後に液体が吐出された面であることを特徴とする。
【0028】
外周面に凹凸を有する前記第1凹凸ローラーや前記第2凹凸ローラーは、凸部が媒体に強い圧で接する為、乾燥が進んでいない媒体の面と接すると、液体の転写を招き易い。
本態様によれば、前記第1凹凸ローラーよりも前記媒体搬送方向の下流に位置する前記第2凹凸ローラーが接する面である前記第2面は、最後に液体が吐出された面であることから、前記第2面が前記第2凹凸ローラーと接するまでの時間を長くできる。これにより、前記第2面の乾燥が進んだ状態で前記第2面が前記第2凹凸ローラーに接触することができ、液体の転写が抑制される。
また、媒体が前記第2凹凸ローラーに達する際は、前記第1凹凸ローラーによって乾燥がより一層促進されている為、より一層液体の転写が抑制される。
【0029】
第13の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1搬送ローラー対よりも前記媒体搬送方向の上流に、媒体を乾燥させる乾燥部をさらに備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記乾燥部によって媒体の乾燥を促進させた後に、前記第1搬送ローラー対や前記第2搬送ローラー対によって媒体のカール矯正を行うことで、前記第1搬送ローラー対や前記第2搬送ローラー対による液体の転写を抑制できる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第12の態様のいずれかに従属する態様であっても良い。
【0030】
第14の態様に係る記録装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、前記記録部によって記録された媒体を搬送する、第1から第13の態様のいずれかに係る前記媒体搬送装置とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録装置において、上述した第1から第13の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0031】
第15の態様に係る後処理装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置に対し、直接的或いは間接的に接続される後処理装置であって、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理部と、前記記録装置によって記録された媒体を前記後処理部に向けて搬送する、第1から第13の態様のいずれかに係る前記媒体搬送装置とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理装置において、上述した第1から第13の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0032】
第16の態様に係る中継装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理装置と、の間に配置され、前記記録装置から前記後処理装置に媒体を中継する中継装置であって、第1から第13の態様のいずれかに係る前記媒体搬送装置を備えることを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、前記中継装置において、上述した第1から第13の態様のいずれかの作用効果が得られる。
また前記中継装置において前記凹凸ローラーによるカール矯正が行われることで、前記後処理装置での媒体の整列性が向上し、後処理の精度が向上する。
【0034】
第17の態様に係る記録システムは、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置に対して、直接的或いは間接的に接続される第15の態様に係る前記後処理装置とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録システムにおいて、上述した第1から第13の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0035】
第18の態様に係る記録システムは、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に後処理を行う後処理装置と、前記記録装置と前記後処理装置との間に配置され、前記記録装置から前記後処理装置に媒体を中継する第16の態様に係る前記中継装置とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録システムにおいて、上述した第1から第13の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0036】
以下、本発明を具体的に説明する。
各図において示すX-Y-Z座標系はX軸方向が装置奥行き方向を示し、Y軸方向が装置幅方向を示し、Z軸方向が装置高さ方向を示している。このうちX軸方向は後に説明する搬送ローラー対を構成する各ローラーの軸方向となる。
【0037】
<<記録システムの全体構成>>
図1に示す記録システム1は、一例として、
図1の右方から左方に向かって順に記録装置2、中継装置3、及び後処理装置5を備えている。なお、
図1は正面図であり、ユーザーは正面側から様々な作業を行うことができる。記録装置2は、搬送されるシート状の媒体Pに記録を行う。中継装置3は、記録後の媒体Pを記録装置2から受け入れて後処理装置5に受け渡す。後処理装置5は、受け入れた媒体Pに対し綴じ処理に代表される後処理を行う。以下、記録装置2、中継装置3、後処理装置5の順に更に説明する。
【0038】
記録装置2は、媒体Pに記録を行う記録部としてのラインヘッド12を備えるプリンター部7と、画像読取装置の一例であるスキャナー部8とを備える複合機として構成されている。本実施形態においてラインヘッド12は、液体であるインクを媒体Pに吐出して記録を行う、所謂インクジェット式の記録ヘッドとして構成されている。
【0039】
プリンター部7の下部には、複数の媒体収容カセット9を備えるカセット収容部11が設けられている。媒体収容カセット9に収容された媒体Pが、
図1において実線で示される給送経路14を通ってラインヘッド12による記録領域に送られて、記録が行われる。ラインヘッド12による記録後の媒体Pは、ラインヘッド12の上方に設けられる記録後排出トレイ10に媒体Pを排出するための経路である第1排出経路15、中継装置3に媒体Pを送るための経路である第2排出経路16、及び媒体Pの裏面に対し記録を行う為に媒体Pを反転させる反転用経路17のいずれかに送られる。
尚、以降において媒体Pの一方の面を「第1面S1」と称し、他方の面を「第2面S2」と称する。また以降においては、記録装置2において媒体Pの両面に記録が行われる場合、第1面S1に対して最初に記録が行われることとし、反転用経路17によって反転された後に第2面S2に対して記録が行われることとする。以降においては、媒体Pの両面に記録が行われることを前提とし、媒体Pにおいて最後に記録が行われた面を第2面S2とする。但し、媒体Pの片面にのみ記録が行われた場合は、第1面S1が、最後に記録が行われた面となる。
【0040】
図1において第1排出経路15を破線で示し、第2排出経路16を一点鎖線で示し、反転用経路17を二点鎖線で示している。
第2排出経路16は、媒体Pを、隣接する中継装置3の受入経路20に受け渡す。反転用経路17は、媒体Pの第1面S1への記録後に、媒体Pを反転させて第2面S2をラインヘッド12と対向させる。なお、給送経路14、第1排出経路15、第2排出経路16、及び反転用経路17には、媒体Pを搬送する手段の一例として、図示を省略するローラー対が一対以上配置されている。
【0041】
記録装置2には、記録装置2における媒体Pの搬送や記録に係る動作を制御する制御部18が設けられている。なお、記録システム1は、記録装置2、中継装置3及び後処理装置5が互いに機械的及び電気的に接続されて、記録装置2から後処理装置5まで媒体Pを搬送可能に構成されている。制御部18は、記録装置2に接続された中継装置3及び後処理装置5における各種動作の制御を行うことができる。
また制御部18は、後述する媒体搬送装置40の制御を行うことができる。
【0042】
記録システム1は、図示を省略する操作パネルから、記録装置2、中継装置3及び後処理装置5における各種動作の設定を入力することができ、また各種動作の実行を指示できるように構成されている。操作パネルは、一例として記録装置2に設けることができる。
【0043】
次に、中継装置3について説明する。中継装置3は、記録装置2から受け入れた媒体Pを後処理装置5に受け渡す。中継装置3は、記録装置2と後処理装置5との間に配置されている。記録装置2の第2排出経路16を搬送された媒体Pは、受入経路20から中継装置3に受け入れられて、後処理装置5に向けて搬送される。なお、受入経路20は、
図1において実線で示されている。
【0044】
中継装置3において、媒体Pを搬送する搬送経路は二つある。一つ目の搬送経路は、受入経路20から
図1において点線で示す第1スイッチバック経路21を経て、合流経路23に搬送される経路である。二つ目の経路は、受入経路20から二点鎖線で示す第2スイッチバック経路22を経て、合流経路23に搬送される経路である。第1スイッチバック経路21は矢印A1方向に媒体Pを受け入れた後、矢印A2方向に媒体Pをスイッチバックさせる経路である。第2スイッチバック経路22は矢印B1方向に媒体Pを受け入れた後、矢印B2方向に媒体Pをスイッチバックさせる経路である。
【0045】
受入経路20は、分岐部25において第1スイッチバック経路21と第2スイッチバック経路22とに分岐している。分岐部25には、媒体Pの送り先を第1スイッチバック経路21と第2スイッチバック経路22とのいずれかに切り換えるフラップ(不図示)が設けられている。
また、第1スイッチバック経路21と第2スイッチバック経路22は合流部26において合流している。したがって、媒体Pが受入経路20から第1スイッチバック経路21または第2スイッチバック経路22のいずれに送られても、共通の合流経路23を経て後処理装置5に媒体Pを受け渡すことができる。
【0046】
合流経路23を搬送される媒体Pは、中継装置3の+Y方向の側面から後処理装置5の第1搬送経路35に受け渡される。なお、受入経路20、第1スイッチバック経路21、第2スイッチバック経路22、及び合流経路23のそれぞれには、媒体Pを搬送する手段の一例として、図示を省略する搬送ローラー対が一対以上配置されている。
【0047】
記録装置2において、複数の媒体Pに連続して記録を行う場合、中継装置3に入った媒体Pは、第1スイッチバック経路21を通る搬送経路と、第2スイッチバック経路22を通る搬送経路と、に交互に送られる。このことによって、中継装置3における媒体搬送のスループットを高めることができる。
また、記録装置2によって記録を行った媒体Pを、記録装置2から中継装置3を介して後処理装置5に受け渡すことにより、記録後の媒体Pが後処理装置5に送られるまでの搬送時間を長くとることができ、後処理装置5に到達するまでに、媒体Pの乾燥を促進させることができる。
但し記録システム1は、中継装置3を省略し、後処理装置5が記録装置2直接接続されていても良い。即ち後処理装置5は、記録装置2に間接的に接続されても良いし直接的に接続されても良い。
【0048】
次に、後処理装置5について説明する。後処理装置5は、後処理部の一例として、綴じ処理を行う処理部30を備えている。綴じ処理は、一例として媒体Pの片側の角部や、媒体Pの片側の一辺を綴じる処理である。即ち本実施形態において処理部30は、複数枚の媒体Pを重ねて端部を綴じる綴じ処理を行うステープラーである。なお、処理部30は、これに限られず、媒体Pの所定の位置に穴をあけるパンチング処理等の他の処理を行う構成であっても良い。
【0049】
後処理装置5は、処理部30に連なる第1搬送経路35を備えている。即ち後処理装置5に受け入れられた媒体Pは、
図1において実線で示す第1搬送経路35を搬送される。第1搬送経路35を搬送される媒体Pは処理トレイ31まで送られて、搬送方向の後端を揃えて処理トレイ31にスタックされる。所定の枚数の媒体Pが処理トレイ31にスタックされたら、処理部30による綴じ処理が行われる。
処理部30によって処理の行われた媒体Pは、不図示の排出手段によってメイントレイ33に向けて排出される。
【0050】
第1搬送経路35には、分岐部37で第1搬送経路35から分岐する第2搬送経路36が接続されている。第2搬送経路36は、後処理装置5の上部に設けられる上部トレイ34に媒体Pを排出する経路である。上部トレイ34には、処理を施さない媒体Pをスタックすることができる。
【0051】
第1搬送経路35及び第2搬送経路36のそれぞれには、媒体Pを搬送する手段の一例として、図示を省略するローラー対が一対以上配置されている。また、分岐部37には、媒体Pの送り先を切り換える不図示のフラップが設けられている。
【0052】
以上説明した記録システム1において、記録装置2、中継装置3、及び後処理装置5の少なくともいずれかには、媒体搬送装置40が設けられている。
図1では、記録装置2、中継装置3、及び後処理装置5の全てが媒体搬送装置40を一つ備えているが、記録装置2、中継装置3、及び後処理装置5の少なくともいずれか一つに媒体搬送装置40が設けられていれば良い。また、記録装置2、中継装置3、及び後処理装置5において媒体搬送装置40は複数設けられていても良い。また記録装置2、中継装置3、及び後処理装置5において媒体搬送装置40が設けられる位置は
図1に示す位置に限られず、その他の位置であっても良い。
【0053】
媒体搬送装置40は、媒体Pのカールを矯正する機能を奏するものであり、この観点においてカール矯正装置と称することもできる。
媒体搬送装置40は、後述する搬送ローラー対41によって媒体Pのカールを矯正するものである。但し搬送ローラー対41が着脱可能であるとともに、搬送ローラー対41が装着されていない状態の装置を媒体搬送装置40としても良い。
また記録装置2、或いは中継装置3、或いは後処理装置5に媒体搬送装置40が設けられる場合、媒体搬送装置40が着脱可能であるとともに、媒体搬送装置40が装着されていない状態の装置を記録装置2、或いは中継装置3、或いは後処理装置5としても良い。
【0054】
記録装置2が媒体搬送装置40を備える場合、一例として
図1に示す様に第2排出経路16に媒体搬送装置40が設けられる。この様な構成によれば、記録が完了した媒体Pを中継装置3や後処理装置5に搬送する前に媒体Pのカールを矯正することができる。
中継装置3が媒体搬送装置40を備える場合、一例として
図1に示す様に合流経路23に媒体搬送装置40が設けられる。この様な構成によれば、スイッチバック経路21、22のそれぞれに媒体搬送装置40を設けなくても、媒体Pを後処理装置5に搬送する前に、媒体Pのカールを矯正することができる。
後処理装置5が媒体搬送装置40を備える場合、一例として
図1に示す様に第1搬送経路35に媒体搬送装置40が設けられる。この様な構成によれば、記録が完了した媒体Pを処理部30に搬送する前に媒体Pのカールを矯正することができる。
【0055】
尚、媒体搬送装置40には複数の実施形態があり、以降において媒体搬送装置の各実施形態には符号40に更にアルファベット大文字を付加して例えば媒体搬送装置40Aなどと称する。また媒体搬送装置の各実施形態を区別する必要のない場合には媒体搬送装置40と総称する。尚、各実施形態において共通する点に関して重複する説明は避けるものとする。また個別の実施形態において説明する作用効果は、他の実施形態においても技術的に共通する点に関しては奏し得るものとする。
【0056】
また以降説明する媒体搬送装置40の構成要素にも複数の実施形態があり、媒体搬送装置40の構成要素の符号を、数字にアルファベット大文字を付加して記載する場合には、個別の実施形態を示すものとする。また媒体搬送装置40の構成要素の符号を、数字のみで示す場合には、複数の実施形態を区別せずに総称する意味である。例えば、後述する搬送ローラー対41であれば、単に搬送ローラー対41と記載する場合には複数の実施形態を区別せず総称する意味である。また例えば搬送ローラー対41Aと記載する場合には個別の実施形態を示すものである。尚、各実施形態において共通する点に関して重複する説明は避けるものとする。また個別の実施形態において説明する作用効果は、他の実施形態においても技術的に共通する点に関しては奏し得るものとする。
【0057】
<<媒体搬送装置におけるカール矯正の基本原理>>
図2、
図3を参照して媒体搬送装置40におけるカール矯正の基本原理を説明する。
媒体搬送装置40は、対向する二つのローラーを備えた搬送ローラー対41によって媒体Pをニップすることで媒体Pのカールを矯正する。媒体搬送装置40において搬送ローラー対41は複数設けられる。搬送ローラー対41の対向する二つのローラーのうち一方または双方が凹凸ローラー45であり、凹凸ローラー45を含む搬送ローラー対41によって媒体Pをニップすることで媒体のカールを矯正する。凹凸ローラー45には、周方向及び軸方向に沿って複数の凸部61が形成されており、周方向及び軸方向における複数の凸部61の間が凹部62となり、即ち凹凸ローラー45は媒体Pと接する面に複数の凹凸が設けられている。
凹凸ローラー45の軸方向の所定位置において凸部61はピッチθaの間隔で周方向に沿って配置される。
【0058】
本実施形態において対向する二つのローラーのうち一方のみが凹凸ローラー45である場合、当該凹凸ローラー45がモーター駆動される。また対向する二つのローラーのうち双方が凹凸ローラー45である場合、二つの凹凸ローラー45が歯車によって連結された上で、同期して回転駆動される。但し本発明はこの様な駆動形態に限定されるものではない。
【0059】
図2は、対向する二つのローラーのうち一方のみが凹凸ローラー45である搬送ローラー対41の一例であって、一方が凹凸ローラー45であり他方の対向ローラーが弾性ローラー46である搬送ローラー対41Aのニップ領域を拡大して示している。尚、
図2において媒体Pの第1面S1が凹凸ローラー45に接するが、これは一例であり第2面S2が凹凸ローラー45に接しても良い。
弾性ローラー46は、一例としてスポンジにより形成されており、凹凸ローラー45の凹凸に接して弾性変形することができる。凹凸ローラー45は、回転方向C2にモーター駆動され、弾性ローラー46は回転方向C1に従動回転する。
媒体Pは、凹凸ローラー45と弾性ローラー46とでニップされることでカールが矯正される。
【0060】
図3は、対向する二つのローラーの双方が凹凸ローラー45である搬送ローラー対41の一例であって、対向する二つのローラーの双方が凹凸ローラー45である搬送ローラー対41Bのニップ領域を拡大して示している。下側の凹凸ローラー45は、回転方向C2にモーター駆動され、上側の凹凸ローラー45は、回転方向C1にモーター駆動される。
媒体Pは、二つの凹凸ローラー45でニップされることでカールが矯正される。
【0061】
<<凹凸ローラーの構成及び製造方法>>
次いで
図4~
図13を参照して凹凸ローラー45の構成及び製造方法について説明する。
凹凸ローラー45の軸方向は、以降説明する各実施形態において実施形態に拘わらずX軸方向となる。X軸方向のうち+X方向は第1方向の一例であり、-X方向は第2方向の一例である。
凹凸ローラー45は、軸部49と、軸部49に装着される基準部51と、基準部51よりも+X方向に位置し、軸部49に装着されるリング部52と、リング部52よりも+X方向に位置し、軸部49に装着されることでリング部52の+X方向への移動を規制する規制部53と、を備えている。そしてリング部52は、周方向に沿って凸部61を複数備える凹凸リング60が軸方向に沿って複数配置されて成る。
【0062】
本実施形態において軸部49は、金属材料で形成される。
また本実施形態において基準部51は、樹脂材料で形成され、一例としてPOM(ポリオキシメチレン)により形成される。基準部51は円筒状の部材であり、軸部49の外径よりも僅かに大きい内径を有し、軸部49に通された際に軸方向に沿ってスライド可能に、且つ、径方向にがたつきが無い様に形成される。
【0063】
また本実施形態において規制部53は、樹脂材料で形成され、一例としてPOM(ポリオキシメチレン)により形成される。規制部53は円筒状の部材であり、軸部49の外径よりも僅かに大きい内径を有し、軸部49に通された際に軸方向に沿ってスライド可能に、且つ、径方向にがたつきが無い様に形成される。
【0064】
また本実施形態において凹凸リング60は、樹脂材料で形成され、一例としてPOM(ポリオキシメチレン)により形成される。凹凸リング60は軸部49の外径よりも僅かに大きい内径を有し、軸部49に通された際に軸方向に沿ってスライド可能に、且つ、径方向にがたつきが無い様に形成される。
【0065】
以下、凹凸ローラー45の一実施形態である凹凸ローラー45Aの構成及び製造方法について説明する。凹凸ローラー45Aは、後述する凹凸ローラー45Bよりもローラー表面の凹凸の密度が高いローラーである。
凹凸ローラー45Aは、軸部49Aと、軸部49Aに装着される基準部51Aと、基準部51Aよりも+X方向に位置し、軸部49Aに装着されるリング部52Aと、リング部52Aよりも+X方向に位置し、軸部49Aに装着されることでリング部52Aの+X方向への移動を規制する規制部53Aと、を備えている。更に凹凸ローラー45Aは、規制部53Aを-X方向に押圧するばね54と、ばね54の+X方向への移動を規制するストッパー55とを備えている。
【0066】
凹凸ローラー45Aの製造方法は、
図13に示すステップS101、S102、及びS103を含む。ステップS101は、軸部49Aに対し基準部51Aを装着するステップである。ステップS102は、周方向に沿って凸部61Aを複数備える凹凸リング60Aを基準部51Aに向けて軸部49Aに通す工程を複数回繰り返してリング部52Aを形成するステップである。ステップS103は、リング部52Aが基準部51Aから離れる方向への移動を規制する規制部53Aを軸部49Aに装着するステップである。
【0067】
図5、
図7、
図8に示す様に基準部51Aには穴51aが形成されており、また軸部49Aには穴49aが形成されている。基準部51Aは軸部49Aに通され、次いで穴51aと穴49aとが一致した状態で、穴51aと穴49aとに固定ピン56が
図7の矢印e1で示す様に圧入される。これにより基準部51Aが、軸部49Aに対して軸方向及び周方向に動かない様に固定される。
この様に凹凸ローラー45Aの製造は、軸部49Aに対して基準部51Aを装着し固定する第1ステップ(
図13のステップS101)を含む。
尚、軸部49Aに対する基準部51Aの固定は、固定ピン56の圧入に限らず、その他の固定方法、例えばねじ固定や接着固定等であっても良い。
【0068】
上記第1ステップに次いで第2ステップ(
図13のステップS102)として、リング部52Aを形成する。リング部52Aは、複数の凹凸リング60Aを
図7の矢印e2で示す様に-X方向即ち基準部51Aに向けて順次通して行くことで形成する。
ここで基準部51Aにおいて+X方向即ち凹凸リング60Aと係わり合う側には、周方向に沿って凸部61Aが複数設けられている。周方向に沿った複数の凸部61Aから成る凸部列は、基準部51Aにおいて一列設けられている。周方向において一部の隣り合う凸部61Aの間には、+X方向に突出するリング係合突起51bが形成されている。
尚、基準部51Aにおいて、凸部61Aが設けられていなくても良い。
【0069】
凹凸リング60Aは、軸部49Aに嵌合するリング状の基部60aを有している。基部60aには周方向に沿って凸部61Aが複数設けられている。周方向に沿った複数の凸部61Aから成る凸部列は、凹凸リング60Aにおいて一列設けられている。凹凸リング60Aにおいて凸部61Aは、基部60aに対し+X方向に突出する様に設けられる。
そして周方向における一つの凸部61Aの配置位置には、-X方向に開口する基準部側係合部60bが基部60aに形成されており(
図6も参照)、この基準部側係合部60bに、基準部51Aのリング係合突起51bが嵌合可能となっている。
【0070】
基準部側係合部60bとリング係合突起51bとが嵌合した際、基準部51Aの周方向における隣り合う二つの凸部61Aの間に、凹凸リング60Aの凸部61Aが入り込む。換言すれば、基準部側係合部60bとリング係合突起51bとが嵌合した際、凹凸リング60Aの周方向における隣り合う二つの凸部61Aの間に、基準部51Aの凸部61Aが入り込む。即ち組立状態において基準部51Aの凸部61Aと、基準部51Aに隣接する凹凸リング60Aの凸部61Aとは、周方向に沿って異なる位置に配置される。
基準部側係合部60bとリング係合突起51bとの周方向における位置は、上記の様な凸部61Aの相互の入り込みが可能となる位置に設定されている。
尚、基準部側係合部60bとリング係合突起51bとが嵌合した状態において、リング係合突起51bは、
図8に示す様に凹凸リング60Aを構成する一つの凸部61Aの下側に入り込んだ状態となる。
【0071】
また凹凸リング60Aの基部60aには、周方向において一部の隣り合う凸部61Aの間に、+X方向に突出する規制部側係合部60cが形成されている。そしてこの規制部側係合部60cが、隣接する凹凸リング60Aの基準部側係合部60bと嵌合可能となっている。
この様に基準部側係合部60bは、基準部51Aとの位置決めのみならず、隣接する凹凸リング60A同士の位置決めにも利用可能となる。また規制部側係合部60cは、隣接する凹凸リング60A同士の位置決めのほか、後述する規制部53Aとの位置決めにも利用可能となる。
【0072】
隣接する二つの凹凸リング60Aが嵌合した際、一方の凹凸リング60Aの二つの凸部61Aの間に、他方の凹凸リング60Aの凸部61Aが入り込む。
図7において符号60A-1で示す凹凸リングを第1凹凸リングとし、符号60A-2で示す凹凸リングを第2凹凸リングとすると、第1凹凸リング60A-1の隣り合う二つの凸部61Aの間に第2凹凸リング60A-2の凸部61Aが入り込む。
換言すれば、第2凹凸リング60A-2の隣り合う二つの凸部61Aの間に第1凹凸リング60A-1の凸部61Aが入り込む。即ち組立状態において第1凹凸リング60A-1の凸部61Aと、第2凹凸リング60A-2の凸部61Aとは、周方向に沿って異なる位置に配置される。
【0073】
図7において符号61aは第1凹凸リング60A-1の凸部61Aによって構成される第1凸部列であり、符号61bは第2凹凸リング60A-2の凸部61Aによって構成される第2凸部列である。第1凸部列61aの凸部61Aと第2凸部列61bの凸部61Aとは、周方向に沿って異なる位置に配置される。
基準部側係合部60bと規制部側係合部60cとの周方向における位置は、上記の様な凸部61Aの相互の入り込みが可能となる位置に設定されている。
【0074】
リング部52Aを形成する上記第2ステップに次いで第3ステップ(
図13のステップS103)として、
図9の矢印e3で示す様に規制部53Aを軸部49Aに通し、固定する。
規制部53Aは最も外径の大きいフランジ部53eに対し+X方向に円筒状の第1ベース部53cを有し、またフランジ部53eに対し-X方向に円筒状の第2ベース部53dを有している。
【0075】
そして第1ベース部53cには、長穴53bが形成されている。長穴53bは、X軸方向即ち軸方向に延びる穴である。また軸部49Aには固定ピン56を圧入可能な穴(不図示)が形成されている。
規制部53Aを軸部49Aに通し、次いで長穴53bと軸部49Aの穴とが一致した状態で、固定ピン56を
図9の矢印e4で示す様に圧入する。これにより規制部53Aが、軸部49Aに対して周方向に動かない様に固定される。
但し長穴53bは軸方向に長い長穴であって、周方向の幅が固定ピン56よりやや大きく形成されている為、規制部53Aは長穴53bの形成範囲においてX軸方向にスライド可能な状態となる。
【0076】
ここでフランジ部53eに対し-X方向即ち凹凸リング60Aと係わり合う側には、周方向に沿って凸部61Aが複数設けられている。尚、規制部53Aに設けられた凸部61Aは、凹凸リング60Aの凸部61Aに比べて軸方向の半分が欠かれた形状となっている。
規制部53Aにおいて周方向に沿った複数の凸部61Aから成る凸部列は、規制部53Aにおいて一列設けられている。周方向における一つの凸部61Aの配置位置には、-X方向に開口するリング係合凹部53aが第2ベース部53dに形成されており、このリング係合凹部53aに、凹凸リング60Aの規制部側係合部60cが嵌合可能となっている。
尚、規制部53Aにおいて、凸部61Aが設けられていなくても良い。
【0077】
リング係合凹部53aと規制部側係合部60cとが嵌合した際、規制部53Aの周方向における隣り合う二つの凸部61Aの間に、凹凸リング60Aの凸部61Aが入り込む。換言すれば、リング係合凹部53aと規制部側係合部60cとが嵌合した際、凹凸リング60Aの周方向における隣り合う二つの凸部61Aの間に、規制部53Aの凸部61Aが入り込む。即ち組立状態において規制部53Aの凸部61Aと、規制部53Aに隣接する凹凸リング60Aの凸部61Aとは、周方向に沿って異なる位置に配置される。
リング係合凹部53aと規制部側係合部60cとの周方向における位置は、上記の様な凸部61Aの相互の入り込みが可能となる位置に設定されている。
尚、リング係合凹部53aと規制部側係合部60cとが嵌合した状態において、第2ベース部53dが、凹凸リング60Aを構成する凸部61Aの下側に入り込んだ状態となる。
【0078】
次いで第4ステップとして、押圧部材の一例である圧縮ばね54を
図9の矢印e5で示す様に軸部49Aに通し、更に
図10に示す様に規制部53Aの第1ベース部53cに嵌合させる。尚、圧縮ばね54の内径は、第1ベース部53cの外径よりも大きく形成されている。
次いで第5ステップとして、ストッパー55を
図10の矢印e6で示す様に軸部49Aに通し、固定する。ストッパー55は最も外径の大きいフランジ部55bに対し+X方向に円筒状の第1ベース部55dを有し、またフランジ部55bに対し-X方向に円筒状の第2ベース部55cを有している。
【0079】
第1ベース部55dには、穴55aが形成されている。また軸部49Aには固定ピン56を圧入可能な穴(不図示)が形成されている。
ストッパー55を軸部49Aに通し、次いで穴55aと軸部49Aの穴とが一致した状態で、固定ピン56を矢印e7で示す様に圧入する。これによりストッパー55が、軸部49Aに対して軸方向及び周方向に動かない様に固定される。
【0080】
ここで圧縮ばね54の内径は第2ベース部55cの外径より大きい為、第2ベース部55cは圧縮ばね54の内側に入り込む。
そして規制部53Aのフランジ部53eとストッパー55のフランジ部55bの外径は、圧縮ばね54の内径よりも大きく、且つ圧縮ばね54の自由長は規制部53Aのフランジ部53eとストッパー55のフランジ部55bとの軸方向距離よりも長い。従って圧縮ばね54は規制部53Aのフランジ部53eに対して-X方向の押圧力を作用させる。
そしてこれにより、リング部52Aを構成する複数の凹凸リング60Aが-X方向の基準部51Aに向けて押圧され、基準部51Aと規制部53Aとの間で隣接する二つの凹凸リング60Aの間におけるがたつきがなくなる。
【0081】
以上説明した凹凸ローラー45Aは、凸部61Aが軸方向に沿ってオーバーラップする構成であるが、凸部61Aが軸方向に沿ってオーバーラップしない構成であっても良い。
図11はその様に構成された凹凸ローラー45Bを示しており、リング部52Bが複数の凹凸リング60Bにより構成されている。
凹凸リング60Bは、
図12に示す様に軸部49Aに嵌合するリング状の基部60aを有している。基部60aには周方向に沿って凸部61Bが複数設けられている。周方向に沿った複数の凸部61Bから成る凸部列は、凹凸リング60Bにおいて一列設けられている。
そして周方向における一つの凸部61Bの配置位置には、-X方向に突出する基準部側係合部60bが基部60aに形成されており、この基準部側係合部60bが、基準部51Bのリング係合凹部51c(
図11参照)に嵌合可能となっている。
【0082】
また基部60aには、周方向において一部の隣り合う凸部61Bの間に、+X方向に開口する規制部側係合部60cが形成されており、この規制部側係合部60cに、隣接する凹凸リング60Bの基準部側係合部60bが嵌合可能となっている。
この様に基準部側係合部60bは、基準部51Bとの係合のみならず、隣接する凹凸リング60B同士の位置決めにも利用可能となる。また規制部側係合部60cは、上述した規制部53Aに相当する不図示の規制部53との位置決めにも利用される。
尚、凹凸リング60Bにおいては、上述した凹凸リング60Aとは異なり、基準部側係合部60bが凸形状に形成されており、また規制部側係合部60cが凹形状に形成されている。但し、凹凸リング60Bにおいても基準部側係合部60bが凹形状に形成され、規制部側係合部60cが凸形状に形成されていても良い。
【0083】
隣接する二つの凹凸リング60Bが嵌合した際、一方の凹凸リング60Bの凸部61Bと、他方の凹凸リング60Bの凸部61Bとは、周方向において異なる位置に配置される。
図11において符号60B-1で示す凹凸リングを第1凹凸リングとし、符号60B-2で示す凹凸リングを第2凹凸リングとすると、第1凹凸リング60B-1の凸部61Bと、第2凹凸リング60B-2の凸部61Bとは、周方向において異なる位置に配置される。
基準部側係合部60bと規制部側係合部60cとの周方向における位置は、上記の様な凸部61Bの配置となる様に設定されている。
【0084】
以上の様に凹凸ローラー45は、軸部49と、軸部49に装着される基準部51と、基準部51よりも+X方向に位置し、軸部49に装着されるリング部52と、リング部52よりも+X方向に位置し、軸部49に装着されることでリング部52の+X方向への移動を規制する規制部53と、を備えている。そしてリング部52は、周方向に沿って凸部61を複数備える凹凸リング60が軸方向に沿って複数配置されて成る。
また凹凸リング60は、媒体Pと接する面に複数の凹凸が設けられた凹凸ローラー45を構成する凹凸リングであって、凹凸ローラー45を構成する軸部49に装着可能である。
また凹凸ローラー45の製造方法は、軸部49に対し基準部51を装着するステップ(
図13のステップS101)と、周方向に沿って凸部61を複数備える凹凸リング60を基準部51に向けて軸部49に通す工程を複数回繰り返してリング部52を形成するステップ(
図13のステップS102)と、リング部52が基準部51から離れる方向への移動を規制する規制部53を軸部49に装着するステップ(
図13のステップS103)とを含む。
【0085】
上記により、軸部49を共通部品として凹凸リング60の形状を変更すれば、仕様の異なる凹凸ローラー45を容易に構成することができ、部材の低コスト化を図ることができる。
また、凹凸リング60の数を変更すれば、軸方向におけるリング部52の長さを容易に変更することができ、寸法の異なる凹凸ローラー45を容易に製造できる。
また、リング部52の一部に摩耗等が生じた場合には、該当する部位の凹凸リング60を交換するのみで足り、凹凸ローラー45の全体を交換する場合に比べて必要コストを抑制することができるとともに、リユース、リデュースの要請にも対応することができる。
【0086】
尚、凹凸リング60が摩耗した際の交換は、摩耗部分の凹凸リング60を新品と交換しても良いし、或いは一つの凹凸ローラー45の中で摩耗部分の凹凸リング60と摩耗が少ない凹凸リング60とを入れ替えるように交換しても良い。
また上記実施形態において基準部51は軸部49とは別部材として構成されているが、基準部51が軸部49と一体に構成されていても良い。
またリング部52は、凹凸リング60のみで構成されるものに限られず、例えば外周面が平坦なフラットリングを含んでいても良い。この場合、フラットリングの最外径が、凹凸リング60の最外径よりも小さいことが好適である。尚、フラットリングの一例は後に対向リング63として説明する。
【0087】
また凹凸ローラー45において、リング部52を構成する複数の凹凸リング60は、同一形状である。これにより、凹凸リング60のコストを抑制することができる。尚、リング部52が形状の異なる複数種類の凹凸リング60で構成されていても良い。
【0088】
また凹凸ローラー45において、凹凸リング60は、周方向に沿って複数の凸部61が一列に並んでいる。これにより凹凸リング60の幅を小さくできる為、軸方向におけるリング部52の長さをより容易に調整することができる。
但し凹凸リング60において凸部61が軸方向において複数設けられていても良い。
【0089】
また凹凸ローラー45において、隣接する二つの凹凸リング60は、互いに係合可能である。これにより、隣接する二つの凹凸リング60が相対的に回転して位相がずれることを抑制できる。
【0090】
また凹凸ローラー45において、凹凸リング60は、基準部51に係合可能な基準部側係合部60bを有する。これにより基準部51に隣接する凹凸リング60と、基準部51とが相対的に回転して位相がずれることを抑制できる。
尚、基準部側係合部60bは必ずしも複数の凹凸リング60が全て備える必要はなく、基準部51に隣接する凹凸リング60のみが基準部側係合部60bを備えていても良い。
【0091】
また凹凸ローラー45において、凹凸リング60は、規制部53に係合可能な規制部側係合部60cを有する。これにより規制部53に隣接する凹凸リング60と、規制部53とが相対的に回転して位相がずれることを抑制できる。
尚、規制部側係合部60cは必ずしも複数の凹凸リング60が全て備える必要はなく、規制部53に隣接する凹凸リング60のみが規制部側係合部60cを備えていても良い。
【0092】
また凹凸ローラー45において、基準部側係合部60bと規制部側係合部60cとが係合可能である。これにより凹凸リング60同士の位置決めのための構成を設ける必要がなく、構成が簡素化できる。
但しこの様な構成に限られず、基準部側係合部60bと規制部側係合部60cとが係合不可の構成であっても良い。
【0093】
また凹凸ローラー45において、一の凹凸リング60が備える凸部61と、前記一の凹凸リング60と隣接する凹凸リング60が備える凸部61とは、周方向において異なる位置に配置される。これにより、軸方向即ち媒体幅方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0094】
また凹凸ローラー45において、凹凸リング60は、軸部49が挿入される基部60aと、基部60aから軸部49の径方向に突出する凸部61と、を有し、基準部側係合部60bは、基部60aに設けられることから、凸部61の配置に影響を与えることなく基準部側係合部60bを設けることができる。
【0095】
また凹凸ローラー45において、凹凸リング60の規制部側係合部60cは、基部60aに設けられることから、凸部61の配置に影響を与えることなく規制部側係合部60cを設けることができる。
【0096】
尚、
図4~
図10に示した凹凸ローラー45Aにおいて、複数の凸部61Aが、基準部側係合部60bとして機能する様に構成しても良い。即ち凹凸ローラー45Aにおいて基準部51Aの凸部61Aと凹凸リング60Aの凸部61Aとが周方向に沿って互い違いに入り込む為、これにより基準部51Aに隣接する凹凸リング60Aと、基準部51Aとが相対的に回転して位相がずれることを抑制できる。即ち、複数の凸部61Aが、基準部側係合部60bとして機能することができる。この様な構成によれば、基準部側係合部60bを省略することができ、凹凸リング60Aのコストアップを抑制できる。
【0097】
同様に凹凸ローラー45Aにおいて、複数の凸部61Aが、規制部側係合部60cとして機能する様に構成しても良い。即ち凹凸ローラー45Aにおいて規制部53Aの凸部61Aと凹凸リング60Aの凸部61Aとが周方向に沿って互い違いに入り込む為、これにより規制部53Aに隣接する凹凸リング60Aと、規制部53Aとが相対的に回転して位相がずれることを抑制できる。即ち、複数の凸部61Aが、規制部側係合部60cとして機能することができる。この様な構成によれば、規制部側係合部60cを省略することができ、凹凸リング60Aのコストアップを抑制できる。
【0098】
また凹凸ローラー45において、規制部53は、-X方向に押圧されるので、基準部51に向けて複数の凹凸リング60が押し付けられ、複数の凹凸リング60の間における隙間の発生が抑制される。
尚、この様な構成に代えて、規制部53が固定的に設けられていてもよい。この場合、圧縮ばね54とストッパー55は省略できる。
【0099】
また
図4~
図10に示した凹凸ローラー45Aにおいて、一の凹凸リング60Aが備える凸部61Aと、前記一の凹凸リング60Aと隣接する凹凸リング60Aが備える凸部61Aとは、周方向において異なる位置に配置されるとともに軸方向において一部がオーバーラップする。換言すれば、凸部61Aは軸方向に沿って互い違いに配置される。これにより、軸方向即ち媒体幅方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0100】
尚、媒体搬送装置40は、凹凸ローラー45を構成する軸部49を加熱する加熱部をさらに備えていても良い。
図37は、加熱される軸部49の実施例である軸部49Dの断面を示している。軸部49Dは中空状に形成されており、その内部に加熱部の一例であるヒーター112が設けられ、ヒーター112におって軸部49Dが加熱される。この様な構成によれば、凹凸ローラー45による媒体Pのカール矯正に加えてさらに媒体Pの乾燥を図ることができる。
【0101】
<<媒体を凹凸ローラーから離間させる爪部>>
続いて
図14~
図21を参照して媒体Pを凹凸ローラー45から離間させる爪部64について説明する。媒体搬送装置40は、後述する爪部64を備えていても良い。以下、爪部41及び爪部41を備える場合に用いる凹凸ローラー45Cについて説明する。
【0102】
凹凸ローラー45Cは、
図15に示す様にリング部52Cを備えている。尚、
図15において基準部51と規制部53は図示を省略している。
本実施形態に係るリング部52Cは、周方向に沿って凸部61を備えずに凹凸が形成されない非凹凸領域66が軸方向の一部に形成されている。本実施形態において非凹凸領域66は、対向リング63の外周面によって形成される。
本実施形態において対向リング63(63A、63B)は、樹脂材料で形成され、一例としてPOM(ポリオキシメチレン)により形成される。対向リング63は軸部49Bの外径よりも僅かに大きい内径を有し、軸部49Bに通された際に軸方向に沿ってスライド可能に、且つ、径方向にがたつきが無い様に形成される。
【0103】
非凹凸領域66を形成する対向リング63と対向する位置には、爪部64が設けられる。
爪部64は、凹凸ローラー45Cに対し媒体搬送方向の下流に設けられている。爪部64は、不図示のガイド部材に対し
図14に示す様に回転軸64aを中心に回動可能に設けられているとともに、押圧部材の一例である引っ張りばね65によって回転方向C1に押圧されている。これにより爪部64の先端即ち対向リング63に接する上流端が、対向リング63に押し当たる。
【0104】
図15において符号CLは媒体幅方向におけるリング部52Cの中心位置を示している。また媒体幅方向における媒体Pの中心位置は、サイズに拘わらず中心位置CLに一致する。
図15に示す様に本実施形態において対向リング63と爪部64は、中心位置CLに設けられ、更に媒体幅方向において中心位置CLに対し対称となる位置に設けられる。
【0105】
符号W1は、第1の媒体P1が凹凸ローラー45Cに接する領域であり、符号W2は、第1の媒体P1よりサイズの大きい第2の媒体P2が凹凸ローラー45Cに接する領域である。対向リング63Aと爪部64は、第1の媒体P1の側端よりやや内側に配置され、更に第2の媒体P2の側端よりやや内側に配置される。
この様に対向リング63Aと爪部64は、軸方向即ち媒体幅方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。但し対向リング63Aと爪部64は、媒体幅方向において一つのみ設けられていても良い。
【0106】
図14において符号Rdは凹凸リング60Bの最外径を示し、符号Rcは対向リング63Aの最外径を示している。図示する様に対向リング63Aの最外径Rcは、凹凸リング60Bの最外径Rdよりも小さい。
尚、
図14において符号Cs1は、凹凸リング60Bの最外径Rdに対応する最外径円である。また符号Cs2は、凹凸ローラー45Cと対向するローラーも凹凸ローラー45Cである場合に、対向する二つの凹凸ローラー45Cの凸部61B同士が接触した場合の接触点を結ぶ円であり、以下ではこれを接触円Cs2と称する。接触円Cs2は、歯車のピッチ円に類似する円である。
図示する様に対向リング63Aの最外径Rcは、接触円Cs2の径よりも更に小さい。
【0107】
図16は、対向リング63Aを挟む二つの凹凸リング60Bと対向リング63Aとの係わり合いを示す図であり、組立工程の一部を示している。尚、対向リング63Aに対し+X方向に位置する凹凸リング60Bを第1凹凸リング60B-3とし、対向リング63Aに対し-X方向に位置する凹凸リング60Bを第2凹凸リング60B-4とする。
対向リング63Aは、第1凹凸リング60B-3の基準部側係合部60bと係合可能な第1被係合部63bを有している。基準部側係合部60bが凸形状である為、第1被係合部63bは凸形状を受け入れる凹形状として形成されている。基準部側係合部60bは、第1被係合部63bと係合可能な第1係合部の一例である。
また対向リング63Aは、第2凹凸リング60B-4の規制部側係合部60cと係合可能な第2被係合部63aを有している。規制部側係合部60cが凹形状である為、第2被係合部63aは凹形状に嵌合する凸形状として形成されている。規制部側係合部60cは、第2被係合部63aと係合可能な第2係合部の一例である。
【0108】
凹凸ローラー45Cの組み立てにおいては、第2凹凸リング60B-4を軸部49Bに通した後、対向リング63Aを軸部49Bに通し、次いで第1凹凸リング60B-3を軸部49Bに通す。これにより、
図16の最も右に示す様に第1凹凸リング60B-3、第2凹凸リング60B-4、及び対向リング63Aが組み合わされた状態となる。
尚、凹凸ローラー45Cにおいては、対向リング63Aを挟む二つの凹凸リング60B-3、60B-4の凸部61Bが、周方向において同じ位置に配置される。
本実施形態において対向リング63Aの幅方向寸法は、凹凸リング60Bの幅方向寸法と概ね同じである。
【0109】
対向リング63Aの外周面には、
図17に示す様に周方向における一部に穴63cが形成されている。また軸部49Bには、標示の一例であるケガキ線49bが周方向に沿って形成されている。このケガキ線49bは、予め軸部49Bの製造工程において対向リング63Aの配置予定位置に形成されるものである。これにより対向リング63Aを軸部49Bに通すと、軸方向において正しい位置に配置された場合には
図17に示す様に穴63cの内側にケガキ線49bを視認することができる。即ち、対向リング63Aを正しい位置に配置したことを確認することができる。
【0110】
図19は、他の実施形態に係る対向リング63Bを示すものであり、対向リング63Bは
図4~
図10を参照して説明した凹凸リング60Aに適用されるものである。
対向リング63Bに対し+X方向に位置する凹凸リング60Aを第1凹凸リング60A-3とし、対向リング63Bに対し-X方向に位置する凹凸リング60Aを第2凹凸リング60A-4とする。
【0111】
対向リング63Bは、第1凹凸リング60A-3の基準部側係合部60bと係合可能な第1被係合部63bを有している。基準部側係合部60bが凹形状である為、第1被係合部63bは凹形状に嵌合する凸形状として形成されている。基準部側係合部60bは、第1被係合部63bと係合可能な第1係合部の一例である。
また対向リング63Bは、第2凹凸リング60A-4の規制部側係合部60cと係合可能な第2被係合部63aを有している。規制部側係合部60cが凸形状である為、第2被係合部63aは凸形状を受け入れる凹形状として形成されている。規制部側係合部60cは、第2被係合部63aと係合可能な第2係合部の一例である。
【0112】
組立工程においては、第2凹凸リング60A-4を軸部49Bに通した後、対向リング63Bを軸部49Bに通し、次いで第1凹凸リング60A-3を軸部49Bに通す。これにより、
図19の最も右に示す様に第1凹凸リング60A-3、第2凹凸リング60A-4、及び対向リング63Bが組み合わされた状態となる。
尚、本実施形態においても、対向リング63Aを挟む二つの凹凸リング60Aの凸部61Aが、周方向において同じ位置に配置される。
本実施形態において対向リング63Bの幅方向寸法は、凹凸リング60Aより大きく、また
図17を参照して説明した対向リング63Aよりも大きい。一例として、本実施形態では、対向リング63Bの幅方向寸法は、
図21を参照して説明した対向リング63Aの幅方向寸法の2倍である。
【0113】
以上の様に媒体搬送装置40は、媒体Pと接する面に複数の凹凸が設けられた凹凸ローラー45と、凹凸ローラー45とともに媒体Pをニップする弾性ローラー46と、媒体Pを凹凸ローラー45から離間するように案内する爪部64と、を備えている。これにより、凹凸ローラー45から媒体Pを剥離し易くすることができる。
そして凹凸ローラー45には、周方向に沿って凹凸が形成されない非凹凸領域66が軸方向の一部に形成され、爪部64は、非凹凸領域66と対向することから、爪部64と凹凸とが接触して両者が損耗したり破損したりすることを抑制できる。
【0114】
尚、爪部64は非凹凸領域66の外周面と接していても、非凹凸領域66の外周面から離間していても良い。
また爪部64を備える構成においては、凹凸ローラー45は必ずしも複数の凹凸リング60により構成される必要はなく、例えば外周面の凹凸が軸部に一体に設けられたものでも良い。
【0115】
尚、爪部64が対向リング63に接する場合、
図20に示す様にその接触位置Spは、対向リング63と弾性ローラー46とのニップ領域の下流位置Npから回転方向C2に角度α1の範囲内に設けることが好ましい。角度α1は一例として90°が挙げられる。また角度α1は一例として45°が挙げられる。
ここで、
図20において点EC1は対向リング63の中心位置を示し、点EC2は弾性ローラー46の中心位置を示しており、直線L1は点EC1と点EC2とを通る直線である。また直線L2は、中心位置EC1を通る直線であって直線L1と直交する直線であり、直線L3は、ニップ領域の下流位置Npと中心位置EC1とを通る直線である。角度α1は、直線L3と直線L2との成す角度である。接触位置Spを上記の様に配置することで、適切に媒体Pを凹凸ローラー45から剥離させることができる。
また直線L4は、接触位置Spを通る直線であって直線L1と直交する直線である。接触位置Spにおける爪部64の上面64bと、直線L4との成す角度α2は、0°~20°の範囲とするのが好適である。これにより、適切に媒体Pを凹凸ローラー45から剥離させることができる。
【0116】
また本実施形態において対向リング63の最外径Rcは、凹凸リング60の最外径Rdよりも小さい。このことにより、爪部64の先端が凹凸リング60の最外径円Cs1よりも内側に入り込むことができ、爪部64によって媒体Pを凹凸ローラー45からより確実に剥離させることができる。
【0117】
また本実施形態においても第1係合部即ち基準部側係合部60bと第2係合部即ち規制部側係合部60cとは、上述した様に係合可能であり、これにより隣接する凹凸リング60同士が係合可能である。従って隣接する凹凸リング60同士の位置決めのための構成を設ける必要がなく、構成が簡素化できる。
尚、隣接する凹凸リング60同士の位置決めのための係合部と、対向リング63に隣接する凹凸リング60と対向リング63との位置決めの為の係合部は、必ずしも兼用である必要はなく、別途構成されていても良い。この場合、対向リング63に隣接する凹凸リング60と対向リング63との位置決めの為の係合部は、対向リング63に隣接する凹凸リング60にのみ設けられていても良いし、全ての凹凸リング60に設けられていても良い。
【0118】
また本実施形態においても、隣接する二つの凹凸リング60同士が係合した状態で、一方の凹凸リング60の凸部61と、他方の凹凸リング60の凸部61とが、周方向において異なる位置に配置される。これにより軸方向即ち媒体幅方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0119】
また本実施形態において対向リング63と爪部64は、媒体幅方向においてリング部52の中央である中心位置CLに配置される。このことにより、媒体幅方向において中心位置CLに対し媒体Pの左右を均等に剥離することができ、剥離後の媒体Pのスキューを抑制できる。
【0120】
また本実施形態において対向リング63と爪部64は、媒体幅方向において、リング部52の中心位置CLに対して対称な位置であって、所定サイズの媒体Pの幅方向端部よりも内側に設けられる。このことにより、媒体幅方向において中心位置CLに対し媒体Pの左右を均等に剥離することができ、剥離後の媒体Pのスキューを抑制できる。
【0121】
また対向リング63の装着領域即ち軸部49の外周面において対向リング63が装着される部位には、標示の一例であるケガキ線49bが形成される。そして対向リング63は、少なくともケガキ線49bと対向する部分が標示を視認可能に構成され、本実施形態では穴63cが形成される。これにより、上述した様に凹凸ローラー45の組立て時に対向リング63を装着する位置が判り易くなる。また対向リング63が、標示を視認できるようになっていることで、凹凸ローラー45の組立て後に、正しい位置に対向リング63が装着されているか否かを容易に確認できる。
尚、ケガキ線49bを視認可能とする構成は、穴63cに代えて、対向リング63の一部を透明に構成しても良い。
【0122】
尚、凹凸ローラー45の最外径Rdを、複数の凹凸が形成された領域即ちリング部52の軸方向における中心位置CLから軸端方向に向かって大きくなる様に構成しても良い。
例えば
図15において二つの対向リング63Aの間の領域を中心位置CLから軸端に向かって領域A1、A2、A3とすると、この順に最外径Rdが大きくなる様に構成しても良い。
図18において凹凸リング60B-11は領域A1を構成する凹凸リングであり、同様に凹凸リング60B-22は領域A2を構成する凹凸リングであり、凹凸リング60B-33は領域A3を構成する凹凸リングである。
【0123】
一例として、凹凸リング60B-11の最外径Rdを30.5mmとし、凹凸リング60B-22の最外径Rdを31.0mmとし、凹凸リング60B-33の最外径Rdを31.5mmとすることができる。
尚この場合、各凹凸リングの基部60aの外径も軸端に向かって大きくすることができ、例えば凹凸リング60B-11の基部60a-1の外径を28.5mmとし、凹凸リング60B-22の基部60a-2の外径を29.0mmとし、凹凸リング60B-33の基部60a-3の外径を29.5mmとすることができる。
尚、凸部61Bは一例として直径3.0mmの球体の一部で形成することができる。
また弾性ローラー46の外径は一例として35.0mmとすることができる。
【0124】
この様に凹凸ローラー45の最外径Rdを、中心位置CLから軸端方向に向かって大きくなる様に構成することで、中心位置CLと比べて軸端側の位置で媒体搬送速度が増し、これによって媒体Pが軸端方向に引っ張られることで、媒体Pに皺が形成されることを抑制できる。
尚、凹凸ローラー45の最外径Rdは、上記実施形態の様に軸端方向に向かって段階的に大きくなる構成に限られず、軸端方向に向かって連続的に大きくなる構成であっても良い。
【0125】
尚、本実施形態の様に凹凸ローラー45の最外径Rdが、対向リング63を境に変化する構成によれば、二つの対向リング63の間では共通の凹凸リング60を用いることができ、凹凸リング60のコストアップを抑制できるとともに、組立工程が容易となる。すなわち、領域A1、A2、A3のそれぞれで、共通の凹凸リング60を用いることができ、凹凸リング60のコストアップを抑制できるとともに、組立工程が容易となる。
【0126】
尚、凹凸ローラー45の最外径Rdが軸端方向に向かって大きくなる構成において、複数の対向リング63は最外径Rcが異なっていても良いし、等しくても良い。複数の対向リング63は最外径Rcが等しい場合、複数の対向リング63に関して共通部品を使用することができ、部品のコストアップを抑制できる。
一例として凹凸リング60B-1の基部60aの外径を28.5mmとする場合、対向リング63の最外径Rcも28.5mmとすることができる。
【0127】
尚、凹凸ローラー45の最外径Rdが軸端方向に向かって大きくなる構成において、基部60aの外径が上記の様に異なっていても良いし、或いは等しくても良い。基部60aの外径が異なる場合、凹凸リング60の最外径Rdの差は、基部60aからの凸部61の突出量の差により形成される。これにより、以下の作用効果が得られる。
仮に基部60aからの凸部61の突出量に差がないと、凹凸リング60の最外径Rdが異なっていても、その違いが外観で判断し難い。しかしながら凹凸リング60の最外径Rdの差が、基部60aからの凸部61の突出量の差により形成される為、凹凸リング60の最外径Rdの差が外観で判断し易くなる。これにより、凹凸ローラー45の製造が容易となる。
【0128】
尚、媒体搬送装置40は、凹凸ローラー45を構成する軸部49を加熱する加熱部をさらに備えていても良い。
図33は、加熱される軸部49の実施例である軸部49Dの断面を示している。軸部49Dは中空状に形成されており、その内部に加熱部の一例であるヒーター112が設けられ、ヒーター112におって軸部49Dが加熱される。この様な構成によれば、凹凸ローラー45による媒体Pのカール矯正に加えてさらに媒体Pの乾燥を図ることができる。
【0129】
また上記実施形態において搬送ローラー対41Cは対向するローラーのうち一方のみが凹凸ローラー45で構成されたが、対向するローラーの双方が凹凸ローラー45で構成されても良い。
図21はその様な構成の一例を示すものであり、搬送ローラー対41Dは対向するローラーの双方が凹凸ローラー45Bで構成されている。この場合、一方の凹凸ローラー45Bの凸部61Bは、他方の凹凸ローラー45Bの二つの凸部61Bの間に入り込む。
この様な構成において、爪部64は、二つの凹凸ローラー45Bに対してそれぞれ設けることが好適である。これにより、媒体Pが二つの凹凸ローラー45Bのどちらかに貼り付いた場合であっても、適切に剥離させることができる。
【0130】
尚、上述した媒体搬送装置40から爪部64を省略し、非凹凸領域66が設けられた凹凸ローラー45を備える媒体搬送装置を構成しても良い。
【0131】
<<搬送ローラー対を複数備える構成>>
続いて搬送ローラー対41を複数備える媒体搬送装置40について
図22~
図27を参照して説明する。
図22に示す媒体搬送装置40Bは、第1搬送ローラー対41-1と、第1搬送ローラー対41-1よりも媒体搬送方向の下流に位置する第2搬送ローラー対41-2とを備えている。
媒体Pは第1上部ガイド81と第1下部ガイド82とによって第1搬送ローラー対41-1に案内される。また媒体Pは第2上部ガイド83と第2下部ガイド84とによって第2搬送ローラー対41-2に案内される。また媒体Pは第3上部ガイド85と第3下部ガイド86とによって第2搬送ローラー対41-2から下流に案内される。
【0132】
第1搬送ローラー対41-1は、第1凹凸ローラー45-1及びこれと対向する第1対向ローラーである第1弾性ローラー46-1とで媒体Pをニップして搬送する。第1凹凸ローラー45-1はモーター91により回転方向C2に回転駆動され、第1弾性ローラー46-1は回転方向C1に従動回転する。
第2搬送ローラー対41-2は、第2凹凸ローラー45-2及びこれと対向する第2対向ローラーである第2弾性ローラー46-2とで媒体Pをニップして搬送する。第2凹凸ローラー45-2はモーター91により回転方向C1に回転駆動され、第2弾性ローラー46-2は回転方向C2に従動回転する。
【0133】
尚、本実施形態に係る第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2には一例として凹凸ローラー45Bが採用され、
図11を参照して説明した凹凸リング60Bが採用されている。但しこれに限られず、
図4~
図10を参照して説明した凹凸リング60Aやその他の形態の凹凸リング60を採用しても良いし、複数の凹凸リング60の中に上述した対向リング63が含まれていても良い。即ち第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2はどのような形態の凹凸ローラー45であっても良い。
【0134】
制御部18により制御されるモーター91は、モーター軸91aにモーター歯車93が設けられており、モーター歯車93には歯車94が噛み合っている。
第2凹凸ローラー45-2の軸端にはローラー歯車96Bが設けられており、このローラー歯車96Bが歯車94と噛み合うことで、モーター91から第2凹凸ローラー45-2へ動力が伝達される。
また歯車94には、歯車95が噛み合っている。そして第1凹凸ローラー45-1の軸端にはローラー歯車96Aが設けられており、このローラー歯車96Aが歯車95と噛み合うことで、モーター91から第1凹凸ローラー45-1へ動力が伝達される。
尚、モーター91から各ローラーへの動力の伝達は、歯車に限られず例えば駆動ベルトなどを用いても良い。
【0135】
第1弾性ローラー46-1と第2弾性ローラー46-2はそれぞれ弾性ローラー46が用いられ、各弾性ローラーは軸88aを中心に回転可能なローラー支持部材88に軸支されている。第1弾性ローラー46-1を支持するローラー支持部材88は、不図示の押圧部材、例えばばねのばね力によって回転方向C2に押圧されており、これにより第1弾性ローラー46-1が第1凹凸ローラー45-1に押し当たる。
また第2弾性ローラー46-2を支持するローラー支持部材88は、不図示の押圧部材、例えばばねのばね力によって回転方向C1に押圧されており、これにより第2弾性ローラー46-2が第2凹凸ローラー45-2に押し当たる。
【0136】
媒体搬送装置40Bにおいて、第1凹凸ローラー45-1は、媒体Pの第1面S1に接し、第2凹凸ローラー45-2は、媒体Pの第2面S2に接するものとするが、この逆であっても良いことは勿論である。
図23は、凹凸ローラー45Bによって媒体Pに形成される凹凸の形成順を示すものであり、
図23の最も上の図から中央の図への変化で示す様に第1凹凸ローラー45-1によって媒体Pの第2面S2には上に凸となる凸部Sc1が形成される。但し、凸部Sc1は第1凹凸ローラー45-1が媒体Pに接した状態での形状であり、第1凹凸ローラー45-1を通過した後も凸部Sc1が媒体Pに残るとは限らない。
そして
図23の中央の図から最も下の図への変化で示す様に第2凹凸ローラー45-2によって媒体Pの第1面S1には下に凸となる凸部Sc2が形成される。但し、凸部Sc2は第2凹凸ローラー45-2が媒体Pに接した状態での形状であり、第2凹凸ローラー45-2を通過した後も凸部Sc2が媒体Pに残るとは限らない。
尚、符号paは媒体搬送方向における凸部Sc1の形成間隔であり、また凸部Sc2の形成間隔であって、これは周方向に沿って隣り合う二つの凸部61のピッチ間隔に相当する。以下ではこれをピッチ間隔paと称する
本実施形態において媒体搬送方向における凸部Sc1と凸部Sc2の形成間隔はpa/2となる様に構成されており、即ち凸部Sc2は媒体搬送方向において二つの凸部Sc1の中間に形成される様に構成される。但しこれに限られず、媒体搬送方向において凸部Sc1の形成位置と凸部Sc2の形成位置とが完全に一致せずにずれていれば良い。
【0137】
次に
図24、
図25に示す様に媒体搬送装置40Bは第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2を支持するフレーム100、101を備えている。フレーム100、101は、媒体幅方向に間隔を空けて配置され、第1凹凸ローラー45-1の軸部49C-1と第2凹凸ローラー45-2の軸部49C-2を回転可能に支持する。またフレーム100、101は、軸88aを回転可能に支持する。またフレーム100にはモーター91が取り付けられ、また歯車94、95がフレーム100によって回転可能に支持される。
【0138】
媒体搬送装置40Bは、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相と、第2凹凸ローラー45-2の回転の位相とを規定する位相規定手段102を備える。本実施形態に係る位相規定手段102は、
図25に示す様に第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2並びにフレーム100に設けられた位置合わせ目印により構成される。
符号49d-1は、第1凹凸ローラー45-1の軸部49C-1に設けられた位相合わせ目印であり、符号49d-2は、第2凹凸ローラー45-2の軸部49C-2に設けられた位相合わせ目印である。位相合わせ目印49d-1、49d-2は、本実施形態では軸部49Cの軸端の外周部が一部切り欠かれることで形成されているが、これに限られず、軸端面に設けられた突起、刻印、着色等による標示でも構わない。
【0139】
また符号101a、101bは、フレーム100に設けられた位相合わせ目印である。位相合わせ目印101a、101bは、本実施形態ではフレーム100のフレーム面に設けられた突起で形成されているが、これに限られず、フレーム面に設けられた凹部、切り欠き、着色等による標示でも構わない。
【0140】
軸部49Cに設けられた位相合わせ目印49d-1、49d-2は、本実施形態では凸部61Bの位置を示している。本実施形態において基準部51の詳細な図示は省略するが、
図11を参照して説明した基準部51Bに歯車が一体に形成された構成である。そして基準部51Bを軸部49Cに固定した際に、基準部51Bに隣接する凹凸リング60Bの凸部61Bと、軸部49Cに設けられた位相合わせ目印49d-1、49d-2とが一致する様に構成されている。
【0141】
そして
図25に示す様に第1凹凸ローラー45-1の位置合わせ目印49d-1とフレーム100の位相合わせ目印101aとが一致し、且つ第2凹凸ローラー45-2の位置合わせ目印49d-2とフレーム100の位相合わせ目印101bとが一致する様に歯車を噛合わせる。これにより、第1凹凸ローラー45-1の凸部61Bが媒体Pに真っ直ぐに当接し、且つ第2凹凸ローラー45-2の凸部61Bが媒体Pに真っ直ぐに当接した状態を形成することができる。
【0142】
この状態を基本として後述する軸間距離Da(
図22参照)等を調整すれば、
図23に示した様に媒体搬送方向において凸部Sc1の形成位置と凸部Sc2の形成位置とを媒体搬送方向でずらすことができる。
【0143】
尚、仮にいずれかの位置合わせ目印が一致していない場合には、例えば歯車95を取り外すことで第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2を回転させることができ、これにより位置合わせ目印を一致させることができる。
【0144】
ここで媒体Pの第2面S2に形成する凸部Sc1と第1面S1に形成する凸部Sc2とを
図23に示す様にずらす方法について説明する。
図22において距離Daは、第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2との軸間距離である。
また凹凸リング60Bにおいて周方向に沿って隣り合う二つの凸部61Bのピッチ間隔をpa、ピッチ角度をθa(
図2参照)、凹凸リング60Bの最外径をRd(
図14参照)、として、ピッチ間隔paは以下の式(1)により求めることができる。
pa=Rd×π×θa/2π・・・(1)
そして軸間距離Daは一例として以下の式(2)の様に設定できる。
Da=pa×n+pa/2 (nは正の整数)・・・(2)
【0145】
軸間距離Daおよびピッチ間隔paのうち少なくともいずれかを、上記式を満たす様に設定することで、媒体Pの第2面S2に形成する凸部Sc1と第1面S1に形成する凸部Sc2とを
図23に示す様にずらすことができる。
尚、これは
図25を参照して説明した様に位相合わせを行った状態で第1凹凸ローラー45-1の凸部61Bが媒体Pに真っ直ぐに当接し、且つ第2凹凸ローラー45-2の凸部61Bが媒体Pに真っ直ぐに当接した状態を前提とするものである。従って、位相合わせを行った際の各ローラーの凸部61Bの位置をずらすことで、媒体Pの第2面S2に形成する凸部Sc1と第1面S1に形成する凸部Sc2とを媒体搬送方向にずらすこともできる。
位相合わせを行った際の各ローラーの凸部61Bの位置は、位相合わせ目印に対する凸部61Bの位置をずらしたり、基準部51に対する凹凸リング60Bの回転方向における位置をずらしたりすることで調整できる。例えば、第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2とで基準部51を専用に構成することも好適である。
【0146】
以上説明した媒体搬送装置40Bは、一つのモーター91によって第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2とを駆動するが、第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2をそれぞれ専用のモーターで駆動しても良い。
図26はその様な構成を備える媒体搬送装置40Cを示すものであり、モーター91A、91Bを備えている。
【0147】
モーター91Aのモーター軸91aにはモーター歯車93Aが設けられ、モーター歯車93Aはローラー歯車96Aに噛み合い、これにより第1凹凸ローラー45-1がモーター91Aにより駆動される。
モーター91Bのモーター軸91aにはモーター歯車93Bが設けられ、モーター歯車93Bはローラー歯車96Bに噛み合い、これにより第2凹凸ローラー45-2がモーター91Bにより駆動される。
【0148】
媒体搬送装置40Cにおいて、第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2の回転の位相は、制御部18により制御される。制御部18は、第1凹凸ローラー45-1により媒体Pの第2面S2に形成する凸部Sc1と、第2凹凸ローラー45-2により第1面S1に形成する凸部Sc2とが媒体搬送方向でずれる様にモーター91A、91Bを制御する。
尚、記録装置2に設けられた制御部18以外の制御部が、第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2の回転の位相を制御しても良い。
【0149】
以下、制御部18の制御について更に説明する。モーター91A、91Bには、それぞれ
図27に示す様に回転スケール105とエンコーダー106とが設けられている。回転スケール105はモーター軸91aに設けられ、エンコーダー106は回転スケール105の回転を検出して検出信号を制御部18に送信する。これにより制御部18は、モーター91A、91Bの回転量を検出することができ、即ち第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2のそれぞれの回転量を検出することができる。
【0150】
回転スケール105の一部には基準検出マーク105aが設けられており、制御部18はエンコーダー106が基準検出マーク105aを検出することで第1凹凸ローラー45-1と第2凹凸ローラー45-2のそれぞれの基準位置を検出することができる。
第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2は、基準位置にある際に、凸部61Bが媒体Pに真っ直ぐに当接する状態となる。
軸間距離Daがピッチ間隔paの整数倍にある構成において、媒体搬送速度をVs、モーター91Aの基準位置検出タイミングとモーター91Bの基準位置検出タイミングとの時間差をΔtとして、制御部18は以下の式(3)を満たす様に制御することで媒体Pの第2面S2に形成する凸部Sc1と第1面S1に形成する凸部Sc2とを
図23に示す様にずらすことができる。
pa/2=Vs×Δt・・・(3)
【0151】
以上説明した様に媒体搬送装置40B、40Cは、第1搬送ローラー対41-1と第2搬送ローラー対41-2とを備え、第1搬送ローラー対41-1を構成する第1凹凸ローラー45-1は、媒体Pの第1面S1に接し、第2搬送ローラー対41-2を構成する第2凹凸ローラー45-2は、媒体Pの第2面S2に接する。
このことにより、媒体Pの第1面S1に形成される凹凸と第2面S2に形成される凹凸との相違の程度を抑制でき、第1面S1或いは第2面S2を内側にしたカールが生じてしまうことを抑制できる。
【0152】
また媒体搬送装置40B、40Cは、第1凹凸ローラー45-1の凸部61Bが接触する位置と、第2凹凸ローラー45-2の凸部61Bが接触する位置とが異なる。
このことにより、第1面S1に形成される凹凸と第2に形成される凹凸との相違を抑制でき、第1面S1或いは第2面S2を内側にしたカールが生じてしまうことをより効果的に抑制できる。
尚、上記実施形態では媒体搬送方向において第2凹凸ローラー45-2の凸部61Bが接触する位置は、第1凹凸ローラー45-1の二つの凸部61Bが接触する位置の中間位置であるが、これに限らず、第1凹凸ローラー45-1の凸部61Bが接触する位置と、第2凹凸ローラー45-2の凸部61Bが接触する位置とが異なっていれば良い。
【0153】
また媒体搬送装置40Bは、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相と、第2凹凸ローラー45-2の回転の位相とを規定する位相規定手段102を備える。このことにより、装置の組立性が向上する。
【0154】
また媒体搬送装置40Bは、第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2を支持するフレーム100を備え、位相規定手段102は、第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2並びにフレーム100に設けられた位置合わせ目印により構成される。これにより、位相規定手段102を簡易な構造で構成できる。
【0155】
また媒体搬送装置40Bは、第1凹凸ローラー45-1及び第2凹凸ローラー45-2が、一の駆動源であるモーター91により駆動される。これにより装置構成を簡素にし、装置コストを抑制することができる。
【0156】
また媒体搬送装置40Cは、第1凹凸ローラー45-1を回転させる第1駆動源であるモーター91Aと、第2凹凸ローラー45-2を回転させる第2駆動源であるモーター91Bと、各モーターに設けられ、各モーターにより駆動するローラーの回転を検出する検出部であるエンコーダー106と、各モーターを制御する制御部18とを備えている。そして制御部18は、媒体Pにおいて第1凹凸ローラー45-1の凸部61Bが接触する位置と、第2凹凸ローラー45-2の凸部61Bが接触する位置とが異なるように各モーターを制御する。
これにより、組立工程において第1凹凸ローラー45-1の回転の位相と第2凹凸ローラー45-2の回転の位相とを調整する必要がなく、装置の組み立て性が容易となる。また、装置の組み立て後においても、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相と第2凹凸ローラー45-2の回転の位相とを微調整することができる。
尚、上記実施形態においてエンコーダー106はモーター軸91aの回転を検出するが、ローラー自体の回転を検出しても良い。
【0157】
尚、媒体搬送装置40Cにおいて、制御部18は、所定の条件に基づいて、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相に対する第2凹凸ローラー45-2の回転の位相を調整しても良い。
例えば、印刷濃度や環境が変化すると、搬送速度が変化し、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相に対する第2凹凸ローラー45-2の回転の位相がずれてしまう場合がある。従って制御部18が、所定の条件に基づいて、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相に対する第2凹凸ローラー45-2の回転の位相を調整すれば、第1凹凸ローラー45-1の回転の位相に対する第2凹凸ローラー45-2の回転の位相が適切となる様に調整することができる。
【0158】
尚、媒体搬送装置40B、40Cにおいても、第1凸部列61a(
図11参照)の凸部61Bと、第2凸部列61b(
図11参照)の凸部61Bとは、周方向に沿って異なる位置に配置される。ことから、軸方向即ち媒体幅方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0159】
尚、媒体搬送装置40B、40Cにおいて
図4~
図10に示す凹凸リング60Aを採用した場合、第1凸部列61a(
図7参照)の凸部61Aと第2凸部列61b(
図7参照)の凸部とが、軸方向において一部がオーバーラップする。これにより、媒体搬送方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0160】
また媒体搬送装置40B、40Cにおいて
図33を参照して説明したヒーター112即ち加熱部を適用すれば、媒体Pのカール矯正に加えてさらに媒体Pの乾燥を図ることができる。
【0161】
また媒体搬送装置40B、40Cにおいて、媒体Pの第2面S2即ち第2凹凸ローラー45-2が接する面が、最後にインクが吐出された面である場合には、以下の作用効果が得られる。
即ち外周面に凹凸を有する第1凹凸ローラー45-1や第2凹凸ローラー45-2は、凸部61Bが媒体Pに強い圧で接する為、乾燥が進んでいない媒体Pの面と接すると、インクの転写を招き易い。
しかしながら第1凹凸ローラー45-1よりも媒体搬送方向の下流に位置する第2凹凸ローラー45-2が接する面である第2面S2は、最後にインクが吐出された面であることから、第2面S2が第2凹凸ローラー45-2と接するまでの時間を長くできる。これにより、第2面S2の乾燥が進んだ状態で第2面S2が第2凹凸ローラー45-2に接触することができ、インクの転写が抑制される。
尚、この様な構成は、一例として記録システム1において媒体搬送装置40B、40Cを記録装置2の第2排出経路16(
図1参照)に設置することで構成できる。記録装置2において最後に記録が行われた第2面S2がそのまま第2排出経路(
図1参照)を搬送される場合、第2面S2が上側となるからである。
また媒体搬送装置40B、40Cを、
図1を参照して説明した中継装置3或いは後処理装置5における設置場所に設置する場合、記録装置2において最後に記録が行われた第2面S2は下側となる。従ってこの場合、媒体搬送装置40B、40Cにおいては第1搬送ローラー対41-1と第2搬送ローラー対41-2のそれぞれで凹凸ローラー45Bと対向ローラー46を上下逆に入れ替えることで上記の作用効果を得ることができる。
【0162】
また上記の様にヒーター112即ち加熱部を備えた構成において、第2面S2が最後にインクの吐出された面である場合には、媒体Pが第2凹凸ローラー45-2に達する際に第1凹凸ローラー45-1によって乾燥がより一層促進されている為、より一層インクの転写が抑制される。
【0163】
また第1搬送ローラー対41-1よりも媒体搬送方向の上流に、媒体を乾燥させる乾燥部をさらに備える場合には、乾燥部によって媒体Pの乾燥を促進させた後に、第1搬送ローラー対41-1や第2搬送ローラー対41-2によって媒体Pのカール矯正を行うことで、第1搬送ローラー対41-1や第2搬送ローラー対-2によるインクの転写を抑制できる。
乾燥部は、一例として
図1を参照して説明した中継装置3が挙げられる。従ってこの場合、一例として媒体搬送装置40B或いは媒体搬送装置40Cは中継装置3において後処理装置5へ媒体Pを受け渡す位置に設けることが好適である。
【0164】
また上述した媒体搬送装置40B、40Cにおいては、第1対向ローラーと第2対向ローラーはいずれも弾性ローラー46であるが、これに限られず、第1対向ローラーと第2対向ローラーが凹凸ローラー45であっても良い。
【0165】
<<搬送ローラー対を構成するローラーが双方凹凸ローラーである構成>>
続いて
図28~
図32を参照して搬送ローラー対41を構成するローラーが双方凹凸ローラー45である構成について説明する。搬送ローラー対41を構成するローラーが双方凹凸ローラー45である媒体搬送装置の全体は図示を省略するが、以下ではこれを媒体搬送装置40Dと称する。媒体搬送装置40Dは、
図22の媒体搬送装置40B或いは
図26の媒体搬送装置40Cにおける弾性ローラー46を凹凸ローラー45に置き換えたものである。
媒体搬送装置40Dは、
図28に示す様に搬送ローラー対41Bを備える。搬送ローラー対41Bは、第1凹凸ローラー45-11と第2凹凸ローラー45-22とを備える。第1凹凸ローラー45-11と第2凹凸ローラー45-22は、凹凸ローラー45Bで構成される。
【0166】
搬送ローラー対41Bにおいては、
図3を参照して説明したと同様に第1凹凸ローラー45-11及び第2凹凸ローラー45-22の一方の凸部61Bが、他方の凹部62と対向する。
尚、
図28では図示の便宜上、基準部51Cとこれに隣接する凹凸リング60Bのみを示し、その他の凹凸リング60Bや軸部49の図示は省略している。尚、基準部51Cは
図7を参照して説明したのと同様に固定ピン56によって軸部49に固定されるものである。
【0167】
基準部51Cには、歯車51eが一体に設けられている。本実施形態において基準部51Cは第1凹凸ローラー45-11と第2凹凸ローラー45-22とで共通の部品であるが、以降においては必要に応じて第1凹凸ローラー45-11の歯車51eを第1歯車51e-1と称し、第2凹凸ローラー45-22の歯車51eを第2歯車51e-2と称する。
【0168】
図29に示す様に基準部51Cには、第1被係合部51jと第2被係合部51kが、+X方向の端部において+X方向に開口する様に形成されている。第1被係合部51jと第2被係合部51kは、周方向において異なる位置に形成されている。
第1被係合部51jの位置には、標示として第1リング指示部51mが付されており、第2被係合部51kの位置には、標示として第2リング指示部51nが付されている。第1リング指示部51mと第2リング指示部51nは、異なる色が着色されており、両者の区別ができる様になっている。尚、第1リング指示部51mと第2リング指示部51nは、両者の区別ができれば良く、例えば同じ色であっても異なる図形や文字が付されている等であっても良い。
【0169】
また歯車51eの歯車面には、標示として第1指示部51gと第2指示部51fとが付されている。第1指示部51gと第2指示部51fは、周方向において異なる位置に形成されている。第1指示部51gと第2指示部51fは、異なる色が着色されており、両者の区別ができる様になっている。尚、第1指示部51gと第2指示部51fとは、両者の区別ができれば良く、例えば同じ色であっても異なる図形や文字が付されている等であっても良い。
【0170】
図28に示す様に、第1凹凸ローラー45-11において基準部51Cに隣接する凹凸リング60Bは、第1係合部としての基準部側係合部60bが、第1被係合部51jと嵌合する。
また第2凹凸ローラー45-22において基準部51Cに隣接する凹凸リング60Bは、第1係合部としての基準部側係合部60bが、第2被係合部51kと嵌合する。
この様に組み立てる際、異なる色が着色された第1リング指示部51mと第2リング指示部51nとを目印にすることができる。
【0171】
この様に組み立てることにより、第1凹凸ローラー45-11においては、第1指示部51gの位置が第1歯車51e-1の歯の位置となり、且つ、第1凹凸ローラー45-11の凹部62の位置となる。また更に第1凹凸ローラー45-11においては、第2指示部51fの位置が第1歯車51e-1の歯溝の位置となり、且つ、第1凹凸ローラー45-11の凹部62の位置となる。
また第2凹凸ローラー45-22においては、第1指示部51gの位置が第2歯車51e-2の歯の位置となり、且つ、第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bの位置となる。また更に第2凹凸ローラー45-22においては、第2指示部51fの位置が第2歯車51e-2の歯溝の位置となり、且つ、第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bの位置となる。
【0172】
そして第1歯車51e-1と第2歯車51e-2とを噛合わせる際、異なる色の指示部同士を合わせる様にする。
図30、
図31では一例として、第1歯車51e-1の第1指示部51gと、第2歯車51e-2の第2指示部51fとを合わせている。但し第1歯車51e-1の第2指示部51fと、第2歯車51e-2の第1指示部51gとを合わせても良い。また、第1歯車51e―1と第2歯車51e―2が逆であっても良い。
以上の様に組み立てることで、第1歯車51e-1と第2歯車51e-2とを噛合わせた際に、第1凹凸ローラー45-11及び第2凹凸ローラー45-22の一方の凹部と他方の凸部とが適切に対向することとなる。
【0173】
以上の様に媒体搬送装置40Dが備える搬送ローラー対41Bは、第1凹凸ローラー45-11と第2凹凸ローラー45-22とを備え、第1凹凸ローラー45-11及び第2凹凸ローラー45-22の一方の凸部61Bが、他方の凹部62と対向する。これにより媒体Pの第1面S1に形成される凹凸と第2面S2に形成される凹凸との相違の程度を抑制でき、第1面S1或いは第2面S2を内側にしたカールが生じてしまうことを抑制できる。
【0174】
また媒体搬送装置40Dは、第1凹凸ローラー45-11に設けられた第1歯車51e-1と、第2凹凸ローラー45-22に設けられた第2歯車51e-2と、を有し、第1歯車51e-1と第2歯車51e-2とが噛み合う。これにより第1凹凸ローラー45-11の回転の位相と第2凹凸ローラー-22の回転の位相とを容易に調整することができる。
しかしながらこの様な構成に限らず、第1歯車51e-1と第2歯車51e-2との間に他の歯車が介在していても良い。
【0175】
また媒体搬送装置40Dにおいて、第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bの数と第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bの数との比が、第1歯車51e-1と第2歯車51e-2との噛み合いの減速比に等しい。これにより、回転に伴って第1凹凸ローラー45-11の回転の位相と第2凹凸ローラー45-22の回転の位相とがずれることを抑制できる。
例えば、本実施形態では第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bの数と第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bの数との比は1であり、第1歯車51e-1と第2歯車51e-2との噛み合いの減速比も1である。しかしながらこの様な形態に限られず、一例として第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bの数が第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bの数の2倍である場合に、第1歯車51e-1の歯数が第2歯車51e-2の歯数の2倍であっても良い。
【0176】
また媒体搬送装置40Dにおいて、第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bと第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bとの間には、
図32に示す様に隙間dk1が設けられている。
これにより、第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bと第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bとが接触することに伴う騒音の発生や凸部61Bの摩耗を抑制できる。
【0177】
尚、第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bと第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bとの間に隙間dk1が設けられる場合、第1歯車51e-1のピッチ円Cs3(
図31参照)は、第1凹凸ローラー45-11の接触円Cs2(
図31参照)よりも大きく、且つ、第2歯車51e-2のピッチ円Cs3(
図31参照)は、第2凹凸ローラー45-22の接触円Cs2(
図31参照)よりも大きくなる。
また、第1凹凸ローラー45-11の凸部61Bと第2凹凸ローラー45-22の凸部61Bとの間に隙間dk1が設けられる場合、第1歯車51e-1の歯先円半径と、第2歯車51e-2の歯先円半径との和は、第1凹凸ローラー45-11及び第2凹凸ローラー45-22の一方の回転中心から凸部61Bの先端までの距離と、第1凹凸ローラー45-11及び第2凹凸ローラー45-22の他方の回転中心から凹部62の底までの距離との和よりも大きくなる。
【0178】
また媒体搬送装置40Dにおいて、第1凹凸ローラー45-11の凹部である第1凹部62-1と、第1歯車51e-1の歯である第1歯51pとの周方向における位置が一致し、第2凹凸ローラー45-22の凸部であって第1凹部62-1と対向する第1凸部61B-1と、第2歯車51e-2の歯溝である第1歯溝51qとの周方向における位置が一致する。そして第1歯車51e-1の第1歯51pと、第2歯車51e-2の第1歯溝51qとが噛み合う。
この様な構成によれば、第1歯車51e-1の第1歯51pが、第2歯車51e-2の第1歯溝51qに入り込む場合、第1凹凸ローラー45-11の凹部である第1凹部62-1が、第2凹凸ローラー45-22の凸部である第1凸部61B-1と対向する。これにより第1凹凸ローラー45-11の第1凹部62-1と第2凹凸ローラー45-22の第1凸部61B-1との位置合わせが容易となる。
【0179】
但し、上述した様に第1歯車51e-1の第2指示部51fと、第2歯車51e-2の第1指示部51gとを合わせても良い。この場合、
図30に示す様に第1歯車51e-1において第2指示部51fが付された歯溝を第2歯溝51rとし、第2歯車51e-2において第1指示部51gが付された歯を第2歯51sとすると、以下の様になる。即ち第1凹凸ローラー45-11の第1凹部62-2と、第1歯車51e-1の第2歯溝51rとの周方向における位置が一致し、且つ、第2凹凸ローラー45-22の第1凸部61B-2と、第2歯車51e-2の第2歯51sとの周方向における位置が一致する。そして第1歯車51e-1の第2指示部51fと、第2歯車51e-2の第1指示部51gとを合わせると、第1歯車51e-1の第2歯溝51rと、第2歯車51e-2の第2歯51sとが噛み合い、そして第1凹凸ローラー45-11の第1凹部62-2と第2凹凸ローラー45-22の第1凸部61B-2との位置が合う。この様な構成においても、第1凹凸ローラー45-11の第1凹部62-2と第2凹凸ローラー45-22の第1凸部61B-2との位置合わせが容易となる。
【0180】
また媒体搬送装置40Dにおいて、第1歯車51e-1は、第1歯51pの位置を示す第1指示部51gを有し、第2歯車51e-2は、第1歯溝51qの位置を示す第2指示部51fを有する。これにより、容易に第1歯51pを第1歯溝51qに入り込ませることができる。
尚、例えば第1指示部51gであれば、歯の位置に設けることに限られず、歯の両脇の歯溝に第1指示部51gを設けることで歯の位置を示しても良いし、第2指示部51fも同様に歯溝の両脇の歯に第2指示部51fを設けることで歯溝の位置を示しても良い。
【0181】
また媒体搬送装置40Dにおいて、第1凹凸ローラー45-11及び第2凹凸ローラー45-22は、
図4~
図13を参照して説明したと同様に軸部49と、軸部49に装着される基準部51(51C)と、基準部51よりも+X方向に位置し、軸部49に装着されるリング部52と、リング部52よりも+X方向に位置し、軸部49に装着されることでリング部52の+X方向への移動を規制する規制部53とを備えている。
リング部52は、周方向に沿って凸部61を複数備える凹凸リング60が軸方向に沿って複数配置されて成り、第1歯車51e-1は、第1凹凸ローラー45-11が備える基準部51に設けられ、第2歯車51e-2は、第2凹凸ローラー45-22が備える基準部51に設けられる。
【0182】
また媒体搬送装置40Dにおいて、凹凸リング60は、基準部51に係合可能な基準部側係合部60bを有し、基準部51は、基準部側係合部60bが係合可能な第1被係合部51jと、周方向において第1被係合部51jと異なる位置に設けられる第2被係合部51kとを有している。
第1凹凸ローラー45-11において基準部側係合部60bが第1被係合部51jと係合することで、第1凹部62-1と、第1歯51pとの周方向における位置が一致する。また第2凹凸ローラー45-22において基準部側係合部60bが第2被係合部51kと係合することで、第1凸部61B-1と、第1歯溝51qとの周方向における位置が一致する。この様な構成によって、組立作業が容易となる。
尚、基準部51の第1被係合部51j或いは第2被係合部51kに係合する基準部側係合部60bは、基準部51に隣接する凹凸リング60のみが備えていても良いし、全ての凹凸リング60が備えていても良い。
また本実施形態では、基準部51の第1被係合部51j及び第2被係合部51k、即ち二つの被係合部が設けられ、基準部51に隣接する凹凸リング60に基準部側係合部60b、即ち一つの係合部が設けられるが、その逆に基準部51に一つの被係合部が設けられ、基準部51に隣接する凹凸リング60に二つの係合部が設けられていても良い。この場合、基準部51の一つの被係合部は凸形状とし、凹凸リング60の二つの係合部は凹形状とするのが好適である。
【0183】
尚、媒体搬送装置40Dにおいて、凹凸リング60は規制部53に係合可能な規制部側係合部60cを有し(
図11、
図12参照)、基準部側係合部60bと規制部側係合部60cとが係合可能である。このことにより、凹凸リング60同士の位置決めのための構成を設ける必要がなく、構成が簡素化できる。
【0184】
また、媒体搬送装置40Dにおいても、第1凸部列61a(
図11参照)の凸部61Bと、第2凸部列61b(
図11参照)の凸部61Bとは、周方向に沿って異なる位置に配置される。ことから、軸方向即ち媒体幅方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0185】
また媒体搬送装置40Dにおいて
図4~
図10に示す凹凸リング60Aを採用した場合、第1凸部列61a(
図7参照)の凸部61Aと第2凸部列61b(
図7参照)の凸部とが、軸方向において一部がオーバーラップする。これにより、媒体搬送方向に沿って媒体Pに目立つ筋が形成されることを抑制できる。
【0186】
また媒体搬送装置40Dにおいて
図33を参照して説明したヒーター112即ち加熱部を適用すれば、媒体Pのカール矯正に加えてさらに媒体Pの乾燥を図ることができる。
【0187】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0188】
1…記録システム、2…記録装置、3…中継装置、5…後処理装置、7…プリンター部、8…スキャナー部、9…媒体収容カセット、10…記録後排出トレイ、11…カセット収容部、12…ラインヘッド、14…給送経路、15…第1排出経路、16…第2排出経路、17…反転用経路、18…制御部、20…受入経路、21…第1スイッチバック経路、22…第2スイッチバック経路、23…合流経路、25…分岐部、26…合流部、
30…処理部、31…処理トレイ、33…メイントレイ、34…上部トレイ、35…第1搬送経路、36…第2搬送経路、37…分岐部、40、40B、40C、40D…媒体搬送装置、41、41A、41B、41D…搬送ローラー対、45、45A、45B、45C…凹凸ローラー、46…弾性ローラー、49、49A、49B、49C、49D…軸部、49a…穴、49b…ケガキ線、49d-1、49d-2…位相合わせ目印、51、51A、51B、51C…基準部、51a…穴、51b…リング係合突起、51c…リング係合凹部、51e…歯車、51g…第1指示部、51f…第2指示部、51j…第1被係合部、51k…第2被係合部、51m…第1リング指示部、51n…第2リング指示部、51p…第1歯、51q…第1歯溝、52、52A、52B、52C…リング部、53、53A…規制部、53a…リング係合凹部、53b…長穴、53c…第1ベース部、53d…第2ベース部、53e…フランジ部、54…圧縮ばね、55…ストッパー、55a…穴、55b…フランジ部、55c…第2ベース部、55d…第1ベース部、56…固定ピン、60、60A、60B…凹凸リング、60a…基部、60b…基準部側係合部、60c…規制部側係合部、61、61A、61B…凸部、61a…第1凸部列、61b…第2凸部列、62…凹部、63…対向リング、63b…第1被係合部、63a…第2被係合部、63c…穴、64…爪部、64a…回転軸、64b…上面、65…引っ張りばね、66…非凹凸領域、81…第1上部ガイド、82…第1下部ガイド、83…第2上部ガイド、84…第2下部ガイド、85…第3上部ガイド、86…第3下部ガイド、88…ローラー支持部材、88a…軸、91、91A、91B…モーター、91a…モーター軸、93、93A、93B…モーター歯車、94、95…歯車、96A、96B…ローラー歯車、100、101…フレーム、101a、101b…位相合わせ目印、102…位相規定手段、105…回転スケール、105a…基準検出マーク、106…エンコーダー、112…ヒーター