(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132162
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】充電器案内方法、及び、充電器案内システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240920BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240920BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240920BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240920BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20240920BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J7/02 U
H02J7/00 P
H02J7/02 B
G01C21/34
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/30
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042844
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塩 伸太郎
【テーマコード(参考)】
2F129
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC16
2F129CC28
2F129DD15
2F129DD21
2F129DD40
2F129DD46
2F129DD48
2F129DD49
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE79
2F129EE90
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF19
2F129FF32
2F129FF60
2F129FF63
2F129HH12
5G503AA01
5G503BB02
5G503EA01
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC05
5H125BE01
5H125CA18
5H125CC06
5H125CC07
5H125CD02
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】充電するバッテリの特性に応じた最適な充電器を案内することができる充電器案内方法、及び、充電器案内システムを提供する。
【解決手段】車両(10)に搭載されたバッテリ11を充電するための充電器を案内するときに、バッテリ11の受入可能電力APに係る特性に基づいて、バッテリ11を充電するときに推奨される充電器の出力である推奨出力OP
Rを演算し、充電器の出力OPと推奨出力OP
Rを比較し、充電器のうち、出力OPが推奨出力OP
Rに近い充電器ほど優先的に案内する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を案内する充電器案内方法であって、
前記バッテリの受入可能電力に係る特性に基づいて、前記バッテリを充電するときに推奨される前記充電器の出力である推奨出力を演算し、
前記充電器の出力と前記推奨出力を比較し、
前記充電器のうち、出力が前記推奨出力に近い前記充電器ほど優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項2】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
出力が前記推奨出力を上回る過剰出力充電器と、出力が前記推奨出力に一致する最適出力充電器と、があるときに、前記過剰出力充電器よりも前記最適出力充電器を優先して案内する、
充電器案内方法。
【請求項3】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
出力が前記推奨出力以上の前記充電器がないときに、出力が大きい前記充電器ほど優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項4】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
出力が前記推奨出力に近い前記充電器に係る情報を、他の前記充電器に係る情報よりも強調した画面を表示することによって、前記充電器を案内する、
充電器案内方法。
【請求項5】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
所定時間充電したときの充電量が最大となる最小の出力を、前記充電器の前記推奨出力とする、
充電器案内方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の充電器案内方法であって、
前記充電器の使用状況を取得し、
前記使用状況に基づいて、前記充電器の実際的な出力である実出力を演算し、
前記実出力が前記推奨出力に近い前記充電器ほど優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項7】
請求項6に記載の充電器案内方法であって、
前記充電器が複数の充電ポートを有するマルチポート充電器であり、かつ、複数の前記充電ポートのうちいずれかが使用されている場合、前記充電器の最大出力と、使用されている前記充電ポートの数と、に基づいて、前記実出力を演算する、
充電器案内方法。
【請求項8】
請求項7に記載の充電器案内方法であって、
前記最大出力を、前記バッテリを充電するときに使用される前記充電ポートの数で除算することにより、前記実出力を演算する、
充電器案内方法。
【請求項9】
請求項6に記載の充電器案内方法であって、
他車両によって前記充電器の全部または一部が使用中である場合、前記他車両の既接続時間に基づいて、前記実出力を演算する、
充電器案内方法。
【請求項10】
車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を案内する充電器案内システムであって、
前記バッテリの受入可能電力に係る特性に基づいて、前記バッテリを充電するときに推奨される前記充電器の出力である推奨出力を演算し、
前記充電器の出力と前記推奨出力を比較し、
前記充電器のうち、出力が前記推奨出力に近い前記充電器ほど優先的に案内する、
充電器案内システム。
【請求項11】
車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を、画面の表示によって案内する充電器案内システムであって、
複数の前記充電器について、各々の前記充電器に係る情報を表示し、
前記バッテリの受入可能電力に係る特性に応じて定まる推奨出力に近い出力を有する前記充電器に係る情報を、他の前記充電器に係る情報よりも強調して表示する、
充電器案内システム。
【請求項12】
請求項11に記載の充電器案内システムであって、
前記充電器で充電した場合の充電量に係る情報を表示する、
充電器案内システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載の充電器案内システムであって、
前記充電器が他車両によって使用されているときに、前記他車両によって使用されている前記充電器を使用するための待ち時間を表示する、
充電器案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載バッテリを充電するための充電器のある場所を案内する充電器案内方法、及び、充電器案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、走行可能範囲にある充電スポットを表示するときに、利用し難い非推奨充電スポットが除かれるように走行可能範囲を実際よりも縮小することによって、利用しやすい推奨充電スポットでの充電を促す情報提供装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラグインハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両が普及したことにより、電動車両のバッテリを充電するための充電器が設置された充電スポットも拡充されている。但し、充電器の出力やその他の特性は、統一されておらず、充電器ごとに異なっている。このため、どの充電器で充電しても同じように充電できるわけではなく、充電するバッテリの特性や、使用する充電器の出力等によっては、期待したほどに充電できないことがある。例えば、一定時間の充電量が期待よりも小さいことがある。また、期待よりも、充電に時間がかかることがある。そして、電動車両のユーザが、充電するバッテリの特性に応じた最適な充電器を探索するのは容易でない。
【0005】
本発明は、充電するバッテリの特性に応じた最適な充電器を案内することができる充電器案内方法、及び、充電器案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を案内する充電器案内方法である。この充電器案内方法では、バッテリの受入可能電力に係る特性に基づいて、バッテリを充電するときに推奨される充電器の出力である推奨出力を演算し、充電器の出力と推奨出力を比較し、充電器のうち、出力が推奨出力に近い充電器ほど優先的に案内する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電するバッテリの特性に応じた最適な充電器を案内することができる充電器案内方法、及び、充電器案内システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、充電器案内システムの構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、推奨出力の演算方法を示す説明図である。
【
図4】
図4は、優先的に案内する充電器の決定方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、充電器を案内する充電器案内画面の例である。
【
図6】
図6は、変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[実施形態]
図1は、充電器案内システム100の構成を示す説明図である。
図1に示すように、充電器案内システム100は、電動車両10の運転者等であるユーザに対し、電動車両10が到達し得る充電器を案内するシステムである。
【0011】
電動車両10は、電力によって駆動し得る車両であり、バッテリ11、カーナビゲーション装置12、及び、制御装置13を備える。
【0012】
バッテリ11は、電動車両10に駆動するための電力を供給する。バッテリ11は、例えばリチウムイオンバッテリ等であり、充電可能である。特に、本実施形態では、バッテリ11は、充電スポット等に設置された外部の充電器によって充電可能に構成される。このため、電動車両10は、いわゆるプラグインハイブリッド自動車または電気自動車等である。
【0013】
カーナビゲーション装置12は、電動車両10のユーザに対し、目的地までの経路等を案内する。本実施形態では、カーナビゲーション装置12は、充電器案内システム100のユーザインタフェースとして機能する。したがって、カーナビゲーション装置12は、バッテリ11を充電する充電器を案内する。
【0014】
カーナビゲーション装置12は、操作部14及び表示部15を備える。
【0015】
操作部14は、ユーザからの操作入力を受け付ける。ユーザは、経路の案内を受けるために、操作部14を用いて目的地等の設定を行うことができる。また、バッテリ11の充電が必要であるときに、ユーザは、操作部14を用いて、充電器案内システム100に対し、充電器の検索、及び、充電器への経路の案内等(以下、充電器の案内という)を要求することができる。
【0016】
表示部15は、電動車両10の周辺の地図や文字その他の図形や記号等を画面に表示することにより、目的地までの経路等を案内する。本実施形態では、特に、表示部15は、充電器案内システム100の表示装置として機能し、充電器を案内する画面(以下、充電器案内画面30(
図5参照)という)を表示する。この充電器案内画面30によって、ユーザに充電器が案内される。
【0017】
制御装置13は、1または複数のコンピュータ(コントローラ)によって構成され、バッテリ11、カーナビゲーション装置12、及び、通信装置16を用いて充電器案内システム100を構築するようにプログラムされている。
【0018】
制御装置13は、バッテリ11の充電率(SOC:State Of Charge)、劣化度(SOH:State Of Health)、及び、温度等を必要に応じて適宜に取得することができる。制御装置13は、バッテリ11の状態に係るこれらの情報に基づいて充電器を案内する。但し、簡単のため、本実施形態では、制御装置13はSOCに基づいて、充電器を案内する。また、SOCに対する受入可能電力AP等、バッテリ11に固有の特性は既知であり、制御装置13は必要に応じて、バッテリ11の特性を考慮(利用)することができる。本実施形態では、制御装置13は、バッテリ11の受入可能電力APに基づいて、充電器を案内する。
【0019】
制御装置13は、カーナビゲーション装置12を介して、充電器の案内についての要求(以下、充電器案内要求という)を受けることができる。本実施形態では、操作部14を用いた入力操作によって充電器案内要求を受けたときに、制御装置13は、充電器を案内する。但し、SOCが低下した場合には、充電器案内要求を受けていないときでも、制御装置13は自動的に充電器を案内することができる。
【0020】
制御装置13は、カーナビゲーション装置12が有する地図情報やデータベース等を用いて、充電器の設置場所(以下、充電スポットという)や各充電スポットにある充電器を適宜に検索することができる。
【0021】
制御装置13は、カーナビゲーション装置12を介して、ユーザに充電器を案内する。本実施形態では、制御装置13は、表示部15に充電器案内画面30を表示させることによって、充電器をユーザに案内する。なお、制御装置13は、カーナビゲーション装置12を介し、充電器案内画面30の表示とともに、または、充電器案内画面30の表示に代えて、音声によって充電器を案内することもできる。
【0022】
制御装置13は、電動車両10と有線または無線により接続する通信装置16を用いて、電動車両10の外部にある機器等と通信する。通信装置16は、例えば、ユーザが所有するスマートフォンである。本実施形態では、制御装置13は、通信装置16を用いて、各地にある充電器またはこれに接続した他の電動車両Vと、直接的または間接的に通信し、その充電器に係る情報(以下、充電器情報Cinfoという)を取得する。そして、制御装置13は、充電器情報Cinfoに基づいて、充電器を案内する。
【0023】
充電器情報Cinfoは、例えば、充電器のID(Identifier)、種別、最大出力(定格出力)、温度、充電ポートの数、充電ポートの状態、及び、使用されている充電ポートへの接続時間等を含む。充電器の種別は、急速充電器または普通充電器の区分である。充電器の最大出力は、例えば3kW,6kW,20kW,40kW,50kW,90kW,または120kW等であり、充電器ごとに異なる。充電ポートの状態とは、例えば、充電ポートが使用されているか否か(使用可能な状態か否か)や、温度の上昇等による出力制限の有無等である。本実施形態では、簡単のため、充電ポートの状態は、単純に充電器の使用状況を表すステータスであるものとする。
【0024】
なお、以下では、本実施形態では電動車両10の周辺に、少なくとも充電器C1~C3を含む複数の充電器があるものとする。また、実際的には1つの充電スポットに複数の充電器が設けられている場合があるが、本実施形態では、簡単のため、各充電スポットP1~P3にはそれぞれに充電器C1~C3が設けられているものとする。
【0025】
充電器C1は、充電スポットP1に設けられ、1つの充電ポートを有するシングルポート急速充電器(以下、シングルポート充電器という)である。充電器C1の最大出力は90kWである。本実施形態では、充電器案内システム100が充電器の案内をするときに、充電器C1は、既に他の電動車両V1に使用されているものとする。
【0026】
充電器C2は、2つの充電ポートを有するマルチポート急速充電器(以下、マルチポート充電器という)である。充電器C2の最大出力は90kWである。本実施形態では、充電器案内システム100が充電器の案内をするときに、充電器C2では、1つの充電ポートが他の電動車両V2によって使用されており、もう1つの充電ポートは利用可能(未使用状態)であるとする。
【0027】
充電器C3は、4つの充電ポートを有するマルチポート急速充電器(マルチポート充電器)である。充電器C3の最大出力は120kWである。本実施形態では、充電器案内システム100が充電器の案内をするときに、充電器C3では、3つの充電ポートが他の電動車両V3a,V3b,V3cによってそれぞれ使用されており、残り1つの充電ポートが利用可能であるとする。
【0028】
図2は、制御装置13の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置13は、到達可能充電器抽出部21、到着時充電率演算部22、充電量演算部23、推奨出力演算部24、充電器分類部25、及び、表示制御部26を備える。
【0029】
到達可能充電器抽出部21は、バッテリ11の現在の充電率(以下、現SOCという)に基づいて、電動車両10が到達可能な充電器を抽出する。具体的には、到達可能充電器抽出部21は、現SOCに基づいて、現在地からバッテリ11の残電力を用いて走行したときに、SOCが所定基準値以下となるまでに電動車両10が到達可能な範囲(以下、到達可能範囲という)を設定する。そして、到達可能充電器抽出部21は、カーナビゲーション装置12を用いて到達可能範囲内にある充電器を検索することにより、各地にある複数の充電器の中から、電動車両10が到達可能な充電器(以下、到達可能充電器という)を抽出する。実際的には、到達可能充電器が1つしかないことがあるが、本実施形態では、充電器は十分に多く設置されており、複数の到達可能充電器は抽出されるものとする。前述の充電器C1~C3は到達可能充電器である。
【0030】
到着時充電率演算部22は、現SOC及び各到達可能充電器の位置に基づいて、電動車両10が各到達可能充電器に到着したときの充電率である到着時充電率(以下、到着時充電率SOC′という)を演算(推定)する。到着時充電率演算部22は、例えば、各到達可能充電器までの道のりの長さと、単位時間あたりの平均的な消費電力と、に基づいて、到着時充電率SOC′を演算する。
【0031】
充電量演算部23は、バッテリ11の特性とSOCに基づいて、バッテリ11を所定時間充電したときの充電量CP[kWh]を演算する。本実施形態では、充電量演算部23は、特に、バッテリ11の特性と、到着時充電率SOC′と、に基づいて、充電量CPを演算する。急速充電器の標準的な利用時間は例えば30分であるため、本実施形態では、充電量演算部23は、バッテリ11を30分間充電したときの充電量CPを演算する。
【0032】
なお、充電量CPは、バッテリ11を充電する充電器の出力OP[kW]によって異なる。本実施形態では、充電量演算部23は、各到達可能充電器の具体的な出力には依らず、予め定める複数の出力OPについてそれぞれ充電量CPを演算する。すなわち、充電量演算部23は、出力OPを変えて充電量CPを演算することにより、出力OPと充電量CPの関係を求める。
【0033】
推奨出力演算部24は、充電量演算部23が演算した充電量CPに基づいて、すなわち出力OPと充電量CPの関係に基づいて、バッテリ11を充電するときに推奨される最適な充電器の出力(以下、推奨出力OPRという)を演算する。より具体的には、推奨出力OPRは、所定時間充電したときの充電量CPが最大となる最小の出力OPである。基本的には充電器の出力OPが大きいほど充電量CPは大きくなるが、バッテリ11の特性を考慮すると、充電器の出力OPがある程度大きくなると充電量CPは飽和する。推奨出力OPRは、充電量CPが飽和して最大値CPmaxに達する最小の充電器の出力OPである。
【0034】
充電器分類部25は、推奨出力OPRと、到達可能充電器の充電器情報Cinfoと、に基づいて到達可能充電器を分類(評価)する。そして、充電器分類部25は、到達可能充電器の分類に基づいて、到達可能充電器をユーザに案内するときの優先順位を設定する。本実施形態では、充電器分類部25は、充電器情報Cinfoに基づいて、電動車両10がその到達可能充電器でバッテリ11を充電するときに得られる実際的な出力OP(以下、実出力OPactという)を演算し、推奨出力OPRとこの実出力OPactを比較する。そして、利用可能であって、実出力OPactが推奨出力OPRに近いほど、優先順位を高く設定する。
【0035】
なお、他の電動車両Vによって使用されている等の理由により、電動車両10が到達可能充電器を利用できない場合、充電器分類部25は、充電器情報Cinfoに基づいて、その充電器を利用するための待ち時間WTを演算することができる。
【0036】
表示制御部26は、複数の到達可能充電器を、上記のように設定された優先順位にしたがって案内する充電器案内画面30を、カーナビゲーション装置12の表示部15に表示させる。これにより、充電器案内システム100は、複数の到達可能な充電器のうち、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内する。
【0037】
具体的には、表示制御部26は、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面30を、表示部15に表示させることにより、推奨出力OPRに近い充電器を優先的に案内する。
【0038】
充電器案内画面30において、充電器に係る情報の強調とは、表示を枠で囲み、他の情報とは異なる表示サイズにし、他の情報と異なる字体やマーク等を使用し、他の情報の表示色とは異なる表示色を使用し、または、情報の表示位置や配列において視認性が高い位置にすること等によって、特定の充電器に係る情報を目立たせ、ユーザが認識しやすい状態にすることをいう。また、充電器に係る情報の強調には、他の充電器に係る情報の視認性を低下させる等により、消極的に、特定の充電器に係る情報を認識しやすい状態にすることを含む。
【0039】
図3は、推奨出力OP
Rの演算方法を示す説明図である。
図3(A)は、バッテリ11の特性、特に、SOCに対する受入可能電力APの特性を示す。
図3(B)は、充電器の出力OPと、充電量CPの関係を示す。
図3(B)では、ある特定のSOC(本実施形態では到着時充電率SOC′)からバッテリ11を充電する場合を例示している。
【0040】
図3(A)に示すように、電動車両10のバッテリ11は、SOCに応じて受入可能電力APが変化する。具体的には、バッテリ11を充電し、ある程度SOCが増加すると、受入可能電力APが減少する。これは、いわゆる電析が生じてバッテリ11が劣化するのを防ぐためである。したがって、必要以上に高出力の充電器を用いても、バッテリ11を早くあるいは所定時間内に多く充電することはできない。一方、ユーザは、高出力の充電器を用いれば、早くあるいは多く充電できると期待するのが通常である。このため、必要以上に高出力の充電器を用いたときには、ユーザが期待する充電速度や充電量と、現実の充電速度や充電量と、が乖離する。その結果、ユーザにとって、期待したよりも充電が遅い、あるいは、期待したよりも充電量が少ない結果となる。
【0041】
一方、
図3(B)に示すように、充電器の出力OPが小さいとき(出力OPが不足気味のとき)には、充電器の出力OPが大きいほど、充電開始後、所定時間を経過したときの充電量CPが大きくなる。一方、充電器の出力OPが大きいとき(出力OPが過剰気味のとき)には、充電量CPは、最大値CP
maxに到達し、飽和する。このため、
図3(B)のグラフのように、出力OPと充電量CPの関係が分かれば、推奨出力OP
Rを求めることができる。
【0042】
したがって、充電量演算部23は、充電開始時のSOC(到着時充電率SOC′)と、受入可能電力APの特性(
図3(A)グラフ)と、に基づいて、所定時間充電したときの充電量CPの特性(
図3(B)のグラフ)を演算により求める。そして、推奨出力演算部24は、この充電量CPの特性(
図3(B)のグラフ)に基づいて、推奨出力OP
Rを演算する。
【0043】
図4は、優先的に案内する充電器の決定方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS10では、充電器分類部25は、充電器情報C
info特に充電ポートの状態に基づいて、抽出された複数の到達可能充電器を、それぞれ、電動車両10が利用できる充電器(以下、利用可能充電器という)と、電動車両10が利用できない充電器(以下、利用不能充電器という)と、に分類する。
【0044】
ステップS10において、到達可能充電器が利用不能であるときには、ステップS11に進み、その充電器をカテゴリγに分類する。カテゴリγは、利用不能充電器が属し、ユーザに案内する優先順位が最も低いグループである。さらに、ステップS12では、充電器分類部25は、充電器情報Cinfo特に使用されている充電ポートへの接続時間に基づいて、利用不能充電器でバッテリ11の充電に使用する場合の待ち時間WTを演算する。例えば、急速充電の使用可能時間が30分であり、シングルポートの急速充電器が既に他の電動車両に10分接続(使用)されているとする。この場合、充電器分類部25は、待ち時間WTを20分と演算する。
【0045】
一方、ステップS10において、到達可能充電器が利用可能であるときには、ステップS13に進む。
【0046】
ステップS13では、充電器分類部25は、充電器情報Cinfo特に充電ポートの数に基づいて、到達可能充電器がマルチポート充電器であるか否かを判定する。そして、利用可能充電器がマルチポート充電器であるときには、ステップS14に進み、充電器情報Cinfo、特に最大出力、充電ポートの数、及び、充電ポートの状態に基づいて、実出力OPactを演算する。
【0047】
マルチポート充電器は、複数の充電ポートに最大出力を分配(共有)する。このため、充電器分類部25は、充電ポートの状態、すなわち充電器の使用状況に応じた実出力OPactを演算する。具体的には、充電器分類部25は、電動車両10のバッテリ11を充電するときに、総充電ポート数のうち、使用されている充電ポートの数に応じて、実出力OPactを演算する。例えば、最大出力が90kWであり、充電ポートを2つ有するマルチポート充電器において、1つの充電ポートが他の電動車両によって使用されている場合に、残り1つの充電ポートで電動車両10のバッテリ11を充電するときには、この充電器の実出力OPactは、90kW/2=45kWである。同様に、例えば、最大出力が120kWであり、充電ポートを4つ有するマルチポート充電器において、3つの充電ポートが他の電動車両によって使用されている場合、残り1つの充電ポートで電動車両10のバッテリ11を充電するときには、この充電器の実出力OPactは、120kW/4=30kWである。すなわち、マルチポート充電器の実出力OPactは、最大出力を、バッテリ11を受電するときに使用される充電ポートの数で除算することにより、演算される。
【0048】
なお、ステップS13において、到達可能充電器がマルチポート充電器でない場合、すなわち、到達可能充電器がシングルポート充電器である場合、ステップS14をスキップする。シングルポート充電器では、温度の上昇に起因した出力制限が課されている等の事情がない限り、演算するまでもなく、原則としてその実出力OPactは最大出力に等しいからである。以下では、到達可能充電器がシングルポート充電器であるときには、その最大出力をシングルポート充電器の実出力OPactとする。
【0049】
ステップS15では、充電器分類部25は、実出力OPactと推奨出力OPRを比較する。
【0050】
ステップS15において、実出力OPactが推奨出力OPR以上である場合、ステップS16に進み、充電器分類部25は、その利用可能充電器をカテゴリαに分類する。カテゴリαは、充電量CPが最大値CPmaxに到達する充電器が属し、ユーザに案内する優先順位が最も高いグループである。
【0051】
一方、ステップS15において、実出力OPactが推奨出力OPR未満である場合、ステップS17に進み、充電器分類部25は、その利用可能充電器をカテゴリβに分類する。カテゴリβは、利用可能であるものの、充電量CPが最大値CPmaxには到達しない充電器が属し、ユーザに案内する優先順位がカテゴリαとカテゴリβの中間に設定されるグループである。
【0052】
ステップS18では、充電器分類部25は、抽出された複数の到達可能充電器に対し、上記のカテゴリに応じて、ユーザに案内する優先順位を設定する。特に、本実施形態では、充電器分類部25は、各カテゴリに属する到達可能充電器に対し、各々異なる優先順位を設定する。具体的には、充電器分類部25は、同じカテゴリに属する充電器であっても、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器ほど、ユーザに案内する優先順位を高く設定する。
【0053】
これにより、カテゴリαに属する充電器があるときには、カテゴリαに属する充電器の中で出力OP(実出力OPact)が最も小さい充電器が、最も優先的に案内される。すなわち、カテゴリαに属する充電器の中で出力OP(実出力OPact)が最も小さい充電器が、使用すべき充電器の第1候補として案内される。また、カテゴリαに属する他の充電器は、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い順に、優先して案内される。例えば、カテゴリαに属する他の充電器のうち、2番目に出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器は、使用すべき充電器の第2候補として案内される。
【0054】
換言すれば、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRを上回る充電器(以下、過剰出力充電器という)と、出力(実出力OPact)が推奨出力OPRに一致する充電器(以下、最適出力充電器という)と、があるときには、過剰出力充電器よりも最適出力充電器が優先して案内される。
【0055】
カテゴリαに属する充電器がなく、カテゴリβに属する充電器があるときには、カテゴリβに属する充電器の中で出力OP(実出力OPact)が最も大きい充電器が、最も優先的に案内される。すなわち、充電量CPが最大値CPmaxに到達する充電器がないときには、到達可能かつ利用可能な充電器の中で、最も充電量CPが大きくなる充電器が、使用すべき充電器の第1候補として案内される。なお、この場合も、カテゴリβに属する他の充電器は、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い順に、優先して案内される。
【0056】
換言すれば、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPR以上の充電器がないときには、出力OP(実出力OPact)が大きい充電器ほど優先的に案内される。
【0057】
図5は、充電器を案内する充電器案内画面30の例である。
図5に示すように、充電器案内画面30は、位置情報表示部31と詳細情報表示部32を有する。
【0058】
位置情報表示部31は、案内する充電器の位置やその充電器までの経路を地図によって表示する部分である。ここでは、電動車両10が到達可能な充電スポットP1~P3が示されている。
【0059】
詳細情報表示部32は、案内する充電器に係る詳細な情報を表示する部分である。ここでは、詳細情報表示部32は、第1表示欄32a、第2表示欄32b、及び、第3表示欄32cによって構成される。第1表示欄32aは、充電スポットP1の情報を表示する欄である。第2表示欄32bは、充電スポットP2の情報を表示する欄である。第3表示欄32cは、充電スポットP3の情報を表示する欄である。
【0060】
第2表示欄32bについて示すように、これらの各表示欄32a~32cは、名称表示部41、距離表示部42、最大出力表示部43、種別表示部44、使用状況表示部45、予想充電量表示部46、及び、予想待ち時間表示部47を含む。
【0061】
名称表示部41は、充電スポットまたは充電器の名称等、ユーザが充電スポットまたは充電器の位置等を特定するための情報を表示する。本実施形態では、名称表示部41は、充電スポットの名称が表示されている。充電スポットまたは充電器の名称に係る情報は、カーナビゲーション装置12が予め有している。但し、名称表示部41には、充電器情報Cinfoに含まれる充電器のID等を表示することができる。
【0062】
距離表示部42は、充電スポットまたは充電器までの距離(道のり)を表示する。充電スポットまたは充電器までの距離に係る情報は、カーナビゲーション装置12から提供される。
【0063】
最大出力表示部43は、充電器の最大出力を表示する。最大出力は、充電器情報Cinfoによって取得される。
【0064】
種別表示部44は、充電器が急速充電器か否かを表示する。例えば、充電器が急速充電器であるときには「QC」と表示される。充電器の種別に係る情報は、充電器情報Cinfoに含まれる。
【0065】
使用状況表示部45は、充電器の使用状況を表示する。例えば、電動車両10が利用可能な充電ポートが「○」印で表され、他の電動車両によって使用されている充電ポートが「×」印で表される。したがって、「○」印及び「×」印の個数で、その充電器が有する充電ポートの数が表される。また、本実施形態では、利用可能な充電ポートの数と充電ポートの総数が分数で表されている。充電器の使用状況は、充電器情報Cinfo特に充電ポートの数や充電ポートの状態によって特定される。
【0066】
予想充電量表示部46は、その充電器を使用してバッテリ11を充電した場合の充電量CPに係る情報を表示する。本実施形態では、予想充電量表示部46は、充電量演算部23が演算した充電量CPの値を表示する。但し、予想充電量表示部46は、充電量CPの代わりに、所定時間充電した後のSOCを表示してもよい。すなわち、予想充電量表示部46は、その充電器を用いて充電をした場合の結果を、直接的または間接的に推認させる情報を表示する。
【0067】
予想待ち時間表示部47は、充電器が利用不能充電器であるときに、その充電器が利用可能になるまでの待ち時間の推定値を表示する。本実施形態では、予想待ち時間表示部47は、充電器分類部25が演算した待ち時間WTを表示する。なお、本実施形態では、充電器が利用可能であるときには、予想待ち時間表示部47には何も表示されない。
【0068】
上記の充電器案内画面30において、案内する充電器の優先順位は、例えば、次のように反映される。なお、以下では、推奨出力OPRは45kWであるとする。
【0069】
まず、充電スポットP1の充電器C1は現在地から1km先にあるシングルポート充電器であり、現在、他の電動車両V1に使用されているため、電動車両10にとっては利用不能である。したがって、充電スポットP1の充電器C1は、カテゴリγに属する充電器である。
【0070】
充電スポットP2の充電器C2は現在地から2km先にあるマルチポート充電器であり、他の電動車両V2によって使用されているものの、1つの充電ポートが使用されていない状態にある。このため、充電スポットP2の充電器C2は利用可能充電器である。また、充電スポットP2の充電器C2は最大出力が90kWであるが、2つの充電ポートのうち1つが既に使用されているので、この状態で電動車両10がバッテリ11の充電に使用したときに得られる出力OP(実出力OPact)は45kWであり、推奨出力OPRと等しい。したがって、充電スポットP2の充電器C2は、カテゴリαに属する充電器である。
【0071】
そして、充電スポットP3の充電器C3は現在地から2km先にあるマルチポート充電器であり、他の電動車両V3a,V3b,V3cによって使用されているものの、1つの充電ポートが使用されていない状態にある。このため、充電スポットP3の充電器C3は利用可能充電器である。また、充電スポットP3の充電器C3は最大出力が120kWであるが、4つの充電ポートのうち3つが既に使用されているので、この状態で電動車両10がバッテリ11の充電に使用したときに得られる出力OP(実出力OPact)は30kWであり、推奨出力OPRよりも小さい。したがって、充電スポットP3の充電器C3は、カテゴリβに属する充電器である。
【0072】
したがって、充電器案内画面30では、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRと等しい充電スポットP2の充電器C2に係る情報が、他の充電器に係る情報よりも強調して表示されている。
【0073】
具体的には、他の利用可能な充電スポットP3の充電器C3に係る情報と比較すると、充電スポットP2の充電器C2に係る情報は、より太い枠線で囲むことによって強調されている。また、充電スポットP2の充電器C2に係る情報は、予想充電量の表示を、より太い文字で示すことにより、強調されている。これにより、充電スポットP2の充電器C2が、充電に使用すべき第1候補の充電器として、優先的に案内されている。
【0074】
このように、電動車両10が到達可能かつ利用可能な充電器が複数あるときに、それらの充電器のうち出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内することにより、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内することができる。そして、バッテリ11の特性に応じた最適な充電器を用いて充電をすれば、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる。
【0075】
例えば、ここでは、充電スポットP2の充電器C2と充電スポットP3の充電器C3が利用可能であり、充電スポットP3の充電器C3の方が、最大出力が大きく、距離も近い。このため、このようなシーンでは、ユーザは、早くあるいは多く充電しようと期待して、充電スポットP3の充電器C3を利用しがちである。しかし、出力OP(実出力OPact)についてみれば、充電スポットP2の充電器C2では推奨出力OPRに一致し、充電スポットP3の充電器C3では推奨出力OPRよりも小さい。このため、急速充電を30分間行ったときの充電量(予想充電量)は、充電スポットP2の充電器C2の方が大きい。すなわち、充電スポットP3の充電器C3を利用すると、ユーザの期待に反し、30分の急速充電で15kWh程度の充電量CPしか得られないが、充電スポットP2の充電器C2を利用すれば、ユーザが期待するとおりに、30分の急速充電で22.5kWの充電量CPが得られる。したがって、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内することにより、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器を案内することができる。
【0076】
なお、充電器案内画面30では、利用不能な充電スポットP1の充電器C1に係る情報を背景色と同じ色で表示することで視認性を低下させている。このため、充電スポットP2の充電器C2に係る情報は、相対的に視認性が上がっている。すなわち、充電スポットP2の充電器C2に係る情報は、利用不能な充電スポットP1の充電器C1に係る情報の視認性を低下させることによっても強調され、優先的に案内されている。
【0077】
なお、ここでは、利用可能な充電スポットP2の充電器C2及び充電スポットP3の充電器C3はいずれもマルチポート充電器であるが、抽出した充電器が全てシングルポート充電器であり、マルチポート充電器が含まれていない場合でも、出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内することにより、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器が案内されることに変わりはない。また、利用可能な充電器に、シングルポート充電器とマルチポート充電器が両方含まれている場合も同様である。
【0078】
[変形例]
図6は、変形例に係る制御装置13の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、変形例の制御装置13は、到達可能充電器抽出部21、到着時充電率演算部22、充電量演算部23、推奨出力演算部24、充電器分類部25、及び、表示制御部26に加えて、到着時間演算部51及び到着時使用状況推定部52を備える。
【0079】
到着時間演算部51は、例えば到達可能充電器までの道のり(距離)及び平均的な走行速度等に基づいて、到達可能充電器への到着時間を演算(推定)する。
【0080】
到着時使用状況推定部52は、到着時間演算部51が演算した到着時間と、充電器情報Cinfoと、に基づいて、電動車両10が到着したときの到達可能充電器の使用状況を推定する。具体的には、到着時使用状況推定部52は、到着時間と、使用されている充電ポートへの接続時間と、に基づいて、電動車両10が到達したときの充電ポートの状態(使用状況)を推定する。例えば、急速充電の利用時間は30分なので、使用されている充電ポートへの接続時間が到達可能充電器を抽出した時点で20分を経過しており、到着時間が10分であるときには、電動車両10がその到達可能充電器に到着するときには、その充電ポートは利用可能な状態となると推定される。到着時使用状況推定部52は、このように電動車両10の到着時間に基づいて補正した充電ポートの状態(使用状況)を充電器分類部25に入力する。
【0081】
そして、本変形例では、充電器分類部25は、到着時間に基づいて補正された充電ポートの状態(使用状況)に基づいて、到達可能充電器の利用可否を判定する。また、充電器分類部25は、到着時間に基づいて補正された充電ポートの状態(使用状況)に基づいて、到達可能充電器の実出力OPactを演算する。すなわち、本変形例の充電器分類部25は、他の電動車両によって充電器の全部または一部が使用中である場合、他の電動車両の既接続時間に基づいて、実出力OPactを演算する。
【0082】
このように、電動車両10の到着時間に基づいて、充電器の使用状況を推定し、また、実出力OPactを演算すれば、充電器の抽出(検索)の時点で利用不能であっても、到着したときに利用可能となる充電器を案内の候補とすることができる。したがって、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器を特に案内しやすくなる。
【0083】
この他、上記実施形態及び変形例においては、充電器分類部25は、到達可能充電器の温度に基づいて補正した実出力OPactを演算することができる。到達可能充電器の実出力OPactは、その温度によって変化する場合があるが、このように到達可能充電器の温度に基づいて補正した実出力OPactを演算すれば、実出力OPactを特に正確に演算できるので、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器を特に案内しやすくなる。
【0084】
上記実施形態及び変形例においては、充電量演算部23は、バッテリ11の温度に基づいて補正した充電量CPを演算することができる。受入可能電力AP及び充電量CPは、バッテリ11の温度によって変化する場合があるが、このようにバッテリ11の温度に基づいて補正した充電量CPを演算すれば、推奨出力OPRを特に正確に演算できるので、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器を特に案内しやすくなる。
【0085】
上記実施形態及び変形例においては、充電量演算部23と推奨出力演算部24は、実質的に一体に構成することができる。例えば、実験またはシミュレーション等によって、到着時充電率SOC′と推奨出力OPRとを対応付けるマップを用意し、これを参照することにより、到着時充電率SOC′に対応する推奨出力OPRを演算してもよい。
【0086】
上記実施形態及び変形例においては、充電量演算部23は、到着時充電率SOC′を用いて充電量CPを演算しているが、充電量演算部23は、現SOCを用いて充電量CPを簡易に概算してもよい。
【0087】
以上のように、上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法は、車両(10)に搭載されたバッテリ11を充電するための充電器を案内する充電器案内方法である。この充電器案内方法では、バッテリ11の受入可能電力APに係る特性に基づいて、バッテリ11を充電するときに推奨される充電器の出力である推奨出力OPRを演算し、充電器の出力OPと推奨出力OPRを比較し、充電器のうち、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内する。
【0088】
このように、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内すれば、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内することができる。そして、バッテリ11の特性に応じた最適な充電器を用いて充電をすれば、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる。
【0089】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、出力OPが推奨出力OPRを上回る過剰出力充電器と、出力OPが推奨出力OPRに一致する最適出力充電器と、があるときには、過剰出力充電器よりも最適出力充電器が優先して案内される。
【0090】
このように、カテゴリαに属する充電器が複数あるときに、過剰出力充電器よりも最適出力充電器を優先して案内することにより、ユーザが期待する充電速度や充電量CPと、実際の充電速度や充電量CPと、が一致しやすくなる。すなわち、バッテリ11の特性に応じた最適な充電器が特に案内されすい。
【0091】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、出力OPが推奨出力OPR以上の充電器がないときに、出力OPが大きい充電器ほど優先的に案内される。
【0092】
このように、カテゴリαに属する充電器がないときには、カテゴリβに属する充電器のうち、出力OPが大きい充電器ほど優先的に案内することにより、ユーザが期待する充電速度や充電量CPと、実際の充電速度や充電量CPと、が一致しやすくなる。すなわち、バッテリ11の特性に応じた最適な充電器が特に案内されすい。
【0093】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、具体的に、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した画面(30)を表示することによって、充電器を案内する。
【0094】
このように、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面30によれば、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器をユーザに知得させやすい。その結果、バッテリ11の充電に最適な充電器を使用させ、期待する充電速度や充電量CPを得させやすい。
【0095】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、具体的に、所定時間充電したときの充電量CPが最大となる最小の出力OPを、充電器の推奨出力OPRとする。
【0096】
このように、定時間充電したときの充電量CPが最大となる最小の出力OPを、充電器の推奨出力OPRとすることで、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内することができる。
【0097】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、充電器の使用状況を取得し、使用状況に基づいて、充電器の実際的な出力である実出力OPactを演算し、実出力OPactが推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内する。
【0098】
このように、実出力OPactが推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内することにより、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内しやすくなる。例えば、充電器が最大出力を複数の充電ポートに分配するマルチポート充電器である場合や、温度上昇によって出力OPに制限が課されている場合等があるが、このような場合でも、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内できる。
【0099】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、充電器が複数の充電ポートを有するマルチポート充電器であり、かつ、複数の充電ポートのうちいずれかが使用されている場合、充電器の最大出力と、使用されている充電ポートの数と、に基づいて、実出力OPactを演算する。
【0100】
このように、特にマルチポート充電器については、最大出力を参照するのではなく、実出力OPactに基づいて案内することにより、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内することができる。そして、ユーザが期待する充電速度や充電量CPと、実際の充電速度や充電量CPと、が一致しやすくなる。
【0101】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内方法では、最大出力を、バッテリ11を充電するときに使用される充電ポートの数で除算することにより、実出力OPactを演算する。
【0102】
最大出力を複数の充電ポートに分配するマルチポート充電器の実出力OPactは、各充電ポートに接続する電動車両(バッテリ)の特性等に応じて変動するが、上記のように、実出力OPactを演算すれば、簡便に概ね正確な実出力OPactを概算することができる。その結果、案内すべき充電器にマルチポート充電器が含まれていても、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内することができる。
【0103】
上記変形例に係る充電器案内方法では、他車両によって充電器の全部または一部が使用中である場合、他車両の既接続時間に基づいて、実出力OPactを演算する。
【0104】
このように、実出力OPactを演算すれば、充電器の抽出(検索)の時点で利用不能であっても、到着したときに利用可能となる充電器を案内の候補とすることができる。したがって、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器を特に案内しやすくなる。
【0105】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内システムは、車両(10)に搭載されたバッテリ11を充電するための充電器を案内する充電器案内システム100である。この充電器案内システム100は、バッテリ11の受入可能電力APに係る特性に基づいて、バッテリ11を充電するときに推奨される充電器の出力OPである推奨出力OPRを演算し、充電器の出力OPと推奨出力OPRを比較し、充電器のうち、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内する。
【0106】
このように、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器ほど優先的に案内すれば、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器を案内することができる。そして、バッテリ11の特性に応じた最適な充電器を用いて充電をすれば、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる。
【0107】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内システムは、車両(10)に搭載されたバッテリを充電するための充電器を、画面(30)の表示によって案内する充電器案内システム100である。この充電器案内システム100は、複数の充電器について、各々の充電器に係る情報を表示し、バッテリ11の受入可能電力APに係る特性に応じて定まる推奨出力OPRに近い出力OPを有する充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調して表示する。
【0108】
このように、出力OPが推奨出力OPRに近い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面30によれば、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器をユーザに知得させやすい。その結果、バッテリ11の充電に最適な充電器を使用させ、期待する充電速度や充電量CPを得させやすい。
【0109】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内システムでは、充電器で充電した場合の充電量CPに係る情報を表示する。
【0110】
このように、充電器案内画面30に、その充電器を用いて充電をした場合の結果を推認させる情報を表示すれば、充電するバッテリ11の特性に応じた最適な充電器をユーザに知得させやすい。
【0111】
上記実施形態及び変形例等に係る充電器案内システムでは、充電器が他車両によって使用されているときに、他車両によって使用されている充電器を使用するための待ち時間WTを表示する。
【0112】
このように、充電器案内画面30に待ち時間WTを表示すれば、充電器の抽出(検索)の時点で利用不能であっても、ユーザは、待ち時間WTを考慮して、その充電器の利用を検討することができる。特に、その充電器の出力OP(実出力OPact)が推奨出力OPRに一致するとき、または推奨出力OPRに近いときには、利用可能となれば、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器となり得る。したがって、待ち時間WTを表示することにより、ユーザが期待する充電速度や充電量CPが得られる最適な充電器を案内できる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0114】
例えば、電動車両10が、カーナビゲーション装置12の他に、表示部等を有する適当なユーザインタフェースを有するときには、充電器案内システム100は、カーナビゲーション装置12の代わりに、そのユーザインタフェースを用いて、充電器を案内することができる。また、電動車両10が、独自に通信装置を備えるときには、外部の通信装置16の代わりに、その通信装置を用いて、充電器等と通信することができる。
【符号の説明】
【0115】
10:電動車両,11:バッテリ,12:カーナビゲーション装置,13:制御装置,14:操作部,15:表示部,16:通信装置,21:到達可能充電器抽出部,22:到着時充電率演算部,23:充電量演算部,24:推奨出力演算部,25:充電器分類部,26:表示制御部,30:充電器案内画面,31:位置情報表示部,32:詳細情報表示部,32a:第1表示欄,32b:第2表示欄,32c:第3表示欄,41:名称表示部,42:距離表示部,43:最大出力表示部,44:種別表示部,45:使用状況表示部,46:予想充電量表示部,47:時間表示部,51:到着時間演算部,52:到着時使用状況推定部,100:充電器案内システム