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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132163
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】連続加熱炉およびローラ支持体
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/24 20060101AFI20240920BHJP
   B65G 39/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F27B9/24 R
B65G39/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042846
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】大河内 賢次
【テーマコード(参考)】
3F033
4K050
【Fターム(参考)】
3F033GB06
3F033GB08
3F033GC01
3F033GC08
3F033GE01
4K050AA01
4K050CG04
4K050CG05
(57)【要約】
【課題】炉体と搬送ローラの干渉を抑える。
【解決手段】連続加熱炉1は、予め定められた搬送方向に沿った空間10iを囲うトンネル状の炉体10と、トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラ20と、複数のローラ支持体30,40とを備えている。複数の搬送ローラは、それぞれ中空の軸部材である。複数のローラ支持体は、筐体31,41と、筐体に取り付けられた軸受32,42と、軸受に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端が筐体からはみ出たシャフト33,43とをそれぞれ備えている。複数のローラ支持体は、複数の搬送ローラのうち一つの搬送ローラの一端をそれぞれ支持している。複数の搬送ローラの両端は、ローラ支持体のシャフトの一端が挿入された状態でそれぞれ支持されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、
前記トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、前記搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラと、
複数のローラ支持体と
を備え、
前記複数の搬送ローラは、それぞれ中空の軸部材であり、
前記複数のローラ支持体は、
筐体と、
前記筐体に取り付けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端が前記筐体からはみ出たシャフトとをそれぞれ備えており、かつ、
前記複数の搬送ローラのうち一つの前記搬送ローラの一端をそれぞれ支持しており、
前記複数の搬送ローラのうち少なくとも一つの搬送ローラの両端は、前記ローラ支持体の前記シャフトの一端が挿入された状態でそれぞれ支持されている、
連続加熱炉。
【請求項2】
前記複数の搬送ローラのうち前記搬送方向に沿って隣り合う少なくとも二つの搬送ローラの両端は、前記ローラ支持体にそれぞれ支持されている、請求項1に記載された連続加熱炉。
【請求項3】
前記少なくとも二つの搬送ローラを支持する前記ローラ支持体は、前記搬送方向に沿って間隙を空けて配置されている、請求項2に記載された連続加熱炉。
【請求項4】
前記炉体は、それぞれ複数の貫通孔が形成された一対の側壁を有し、
前記複数の貫通孔それぞれには、一つの搬送ローラの一端が挿通されている、請求項2または3に記載された連続加熱炉。
【請求項5】
前記筐体は、前記シャフトの周囲を囲っている、請求項1~3のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項6】
予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、前記トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、前記搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラとを有する連続加熱炉に用いられ、前記複数の搬送ローラのうち一つの搬送ローラの一端を支持するローラ支持体であって、
筐体と
前記筐体に取り付けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端が前記筐体からはみ出たシャフトと
を備えており、
前記搬送ローラは、中空の軸部材であり、
前記シャフトの一端が前記搬送ローラの一端に挿入された状態で前記複数の搬送ローラのうち一つの前記搬送ローラを支持する、
ローラ支持体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続加熱炉およびローラ支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-318077号公報には、複数のハースローラが所定のピッチで配列されたローラハース式連続焼成炉が開示されている。同公報に開示されているローラハース式連続式加熱炉では、ハースローラのピッチを狭くすることによって板状被加熱物とハースローラが接する面積を大きくすることが開示されている。これによって、板状被加熱物のたわみを抑えることができるとされている。
【0003】
特開2019-172436号公報には、搬送ローラによって被処理物を搬送しつつ加熱処理する連続加熱炉に関する発明が記載されている。かかる連続加熱炉では、トンネル状の炉体を横断するように複数の搬送ローラが挿通されている。トンネル状の炉体には、複数の搬送ローラが挿通させる貫通孔が形成されている。トンネル状の炉体の両側には、搬送方向に沿って延びた長尺の支持板が設けられており、当該支持板に搬送方向に沿って間欠的に複数の支持軸が取り付けられている。そして、搬送ローラの両端が、それぞれ炉体の両側に取り付けられた支持軸の先端に支持されている。ここで、支持板には、搬送方向に沿って間欠的に取り付け孔が形成されている。搬送ローラは、各取り付け孔にベアリングを介して取り付けられている。かかる連続加熱炉では、支持板に設けられた支持軸の搬送方向における間隔は、炉体における搬送ローラが挿通される孔の搬送方向における間隔に概ね一致するように設計されている。これにより、支持軸によって支持される搬送ローラが、複数の搬送ローラが挿通させる貫通孔の内周面に干渉しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-318077号公報
【特許文献2】特開2019-172436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連続加熱炉には、上述のように搬送方向に沿って延びた長尺の支持板に搬送方向に沿って間欠的に、搬送ローラの端部を支持する複数の支持軸が取り付けられている。本発明者の知見よれば、かかる連続加熱炉では、施工時には、それぞれの搬送ローラが炉体と干渉していないかを確認し、干渉している場合には、搬送ローラの位置を調整する必要がある。しかしながら、搬送ローラの位置を調整する場合には、長尺の支持板を移動させて搬送ローラの位置を調整する必要があり、作業が大掛かりになる。また、支持板の位置調整する場合、支持軸の位置が変わるため、複数の搬送ローラのうち一つの搬送ローラにおいて炉体との干渉が解消されても、他の搬送ローラが新たに炉体と干渉する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される連続加熱炉は、予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラと、複数のローラ支持体とを備えている。複数の搬送ローラは、それぞれ中空の軸部材である。複数のローラ支持体は、筐体と、筐体に取り付けられた軸受と、軸受に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端が筐体からはみ出たシャフトとをそれぞれ備えている。複数のローラ支持体は、複数の搬送ローラのうち一つの搬送ローラの一端をそれぞれ支持している。複数の搬送ローラのうち少なくとも一つの搬送ローラの両端は、ローラ支持体のシャフトの一端が挿入された状態でそれぞれ支持されている。かかる連続加熱炉では、炉体と搬送ローラの干渉が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、連続加熱炉1の断面図である。
図2図2は、連続加熱炉1の断面図である。
図3図3は、複数の搬送ローラ20の支持構造を示す模式図である。
図4図4は、ローラ支持体30の模式図である。
図5図5は、ローラ支持体40の模式図である。
図6図6は、ローラ支持体30の模式図である。
図7図7は、高さ調節部材37を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示における実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。上、下、左、右、前、後の向きは、図中、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。ここで、上、下、左、右、前、後の向きは、説明の便宜上、定められているに過ぎず、特に言及されない限りにおいて本願発明を限定しない。
【0009】
図1および図2は、連続加熱炉1の断面図である。図1では、搬送方向に沿った、連続加熱炉1の縦断面が模式的に示されている。図2は、図1のII-II断面図である。図2では、搬送方向を横切る、連続加熱炉1の横断面が模式的に示されている。
【0010】
〈連続加熱炉1〉
連続加熱炉1は、図1および図2に示されているように、炉体10と、複数の搬送ローラ20と、複数のローラ支持体30,40とを備えている。連続加熱炉1は、一対の支持台35,45を備えている。連続加熱炉1は、加熱容器に載せられた被処理物(以下、被処理物Aとも称する)を搬送方向に沿って搬送しつつ、連続的に加熱処理する加熱炉である。この実施形態では、連続加熱炉1は、搬送ローラの回転によって被処理物を搬送方向(後方Rrから前方F)に搬送しつつ加熱する、いわゆるローラハースキルンである。図中の矢印は、被処理物Aが搬送される搬送方向を示している。
【0011】
〈炉体10〉
炉体10は、被処理物Aが搬送方向に沿って搬送される空間10iを囲っている。炉体10は、トンネル状に形成されている。図2に示されているように、炉体10は、一対の側壁50,60と、底壁70と、天井壁80を有している。炉体10の空間10iには、搬送ローラ20と、ヒータ12とが設けられている。被処理物Aは、搬送ローラ20によって空間10iを搬送されつつヒータ12によって加熱処理される。
【0012】
ヒータ12は、搬送ローラ20上を搬送される被処理物Aを加熱処理するための設備である。この実施形態では、ヒータ12として、バーナ式の加熱装置が用いられている。ヒータ12は、配管13から導入される燃料ガスを燃焼させる装置である。燃料ガスが燃焼することによって、炉内温度が向上し、被処理物Aが加熱される。ヒータ12は、側壁50,60に設けられている。ヒータ12は、側壁50,60において、搬送ローラ20よりも上方および下方の予め定められた高さに設けられている。ヒータ12は、側壁50,60の内壁面の窪みに設けられている。
【0013】
ヒータ12は、被処理物Aを加熱できる限りにおいて、上述したヒータ12に限定されない。ヒータ12の種類、形状、配置等は特に限定されず、加熱条件等に応じて選択されうる。ヒータとしては、例えば、円筒形状のセラミックヒータ、金属シースヒータ、板状のパネルヒータ等が用いられてもよい。ヒータ12の数、出力等は、被処理物Aの処理条件に応じて適宜設定されうる。ヒータ12の数、出力等を変えることによって、搬送方向に沿って異なる処理条件で被処理物Aを処理することができる。
【0014】
図示は省略するが、空間10iには、温度センサが設けられている。温度センサとしては、熱電対、赤外線温度計等が用いられうる。温度センサは、ヒータ12によって加熱される空間10iの温度を測定する。温度センサによって測定された空間10iの温度に応じてヒータ12の出力が制御されうる。これによって、空間10iが予め設定された温度に維持される。
【0015】
炉体10は、空間10iの熱を断熱し、かつ、耐火性を有する材料から構成されている。この実施形態では、炉体10は、耐火煉瓦によって構成されている。耐火煉瓦は、セラミックレンガであり、例えば、アルミナ質、ムライト質、コーディライト質のものが用いられうる。積み重ねられた耐火煉瓦は、接着剤やモルタルによって接着されている。接着剤やモルタルとしては、例えば、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等を含んだ耐熱性の高いセラミックを含んだ接着剤やモルタルが用いられうる。耐火煉瓦は、それぞれ接着剤、モルタル等によって固定されうる。この実施形態では、搬送ローラ20が挿通される部位に用いられる耐火煉瓦には、貫通孔50a,60aが形成されている。一つの耐火煉瓦には、複数の貫通孔50a,60aが形成されていてもよい。
【0016】
耐火煉瓦は、上下に重ねられる耐火煉瓦の境目が連続しないように積み重ねられて炉体10を構成していてもよい。耐火煉瓦の境目が連続しないことによって、断熱性が良好でありうる。また、炉体10の安定した積層構造が実現されうる。炉体10には、適宜、セラミック製の、板状の断熱材が用いられていてもよい。
【0017】
〈底壁70〉
底壁70は、複数段に重ねられた略直方体状の耐火煉瓦によって構成されている。底壁70は、側壁50,60を支持している。側壁50,60を構成する耐火煉瓦は、炉体10の幅方向において、底壁70の両端部から上方に向かって積み重ねられている。
【0018】
〈側壁50,60〉
側壁50,60は、底壁70から上方に向かって延びている。側壁50,60の内壁面は、略垂直に形成されている。一対の側壁50,60には、それぞれ複数の貫通孔50a,60aが形成されている。貫通孔50a,60aは、搬送ローラ20が挿通される孔であり、それぞれ側壁50,60を貫通している。複数の貫通孔50a,60aは、側壁50,60の予め定められた高さにおいて、搬送方向に沿って略一定のピッチで形成されている。なお、貫通孔50a,60aは、耐火煉瓦に設けられたものに限られない。貫通孔50a,60aは、例えば、搬送ローラ20が挿通される部位の上下の側壁と、当該側壁の間に配置される仕切り部材によって形成されていてもよい。
【0019】
側壁50,60の上部には、傾斜面50b,60bが形成されている。傾斜面50b,60bは、側壁50,60の上部から内壁面に向かって傾斜した面である。傾斜面50b,60bは、空間10iに向かうに従って低くなるように傾斜している。傾斜面50b,60bは、天井壁80を支持している。傾斜面50b,60bは、側壁50,60と天井壁80との境界を形成している。
【0020】
〈天井壁80〉
この実施形態では、天井壁80は、炉体10の幅方向において湾曲して形成されている。天井壁80は、耐火煉瓦によって形成されている。天井壁80は、複数層に形成されている。なお、天井壁80の構成は、特に限定されない。天井壁80は、略水平に形成されていてもよく、傾斜して形成されていてもよい。炉体10の上部の天井壁80は、複数層のブランケット15に覆われている。炉体10には、図示しない排気路が設けられていてもよい。特に限定されないが、排気路は、炉体10の天井壁80に設けられうる。
【0021】
炉体10は、外部を外枠16によって覆われていてもよい。外枠16としては、剛性および耐熱性に優れる金属によって構成されうる。外枠16としては、例えば、ステンレス等が用いられうる。
【0022】
〈複数の搬送ローラ20〉
複数の搬送ローラ20は、それぞれトンネル状の炉体10を横断している。複数の搬送ローラ20は、搬送方向に沿って並べられている。複数の搬送ローラ20は、それぞれ中空の軸部材である。換言すると、搬送ローラ20は、円筒形状のローラである。この実施形態では、搬送ローラ20として、セラミック製のローラが用いられている。搬送ローラ20は、セラミック製に限られず、金属製であってもよい。搬送ローラ20は、被処理物Aを支持できるように高さを揃えられ、予め定められたピッチで空間10iに並べられている(図1参照)。
【0023】
図2に示されているように、複数の搬送ローラ20は、それぞれ一対の側壁50,60の貫通孔50a,60aに挿通されている。この実施形態では、複数の貫通孔50a,60aそれぞれには、一つの搬送ローラ20の一端が挿通されている(図2参照)。複数の搬送ローラ20の端部は、それぞれ貫通孔50a,60aから炉体10の外部に突き出ている。なお、貫通孔50a,60aは、側壁50,60の外側からブランケット17によって塞がれている。これによって、搬送ローラ20が挿通されている貫通孔50a,60aから空間10iの熱が逃げることが低減されうる。
【0024】
図3は、複数の搬送ローラ20の支持構造を示す模式図である。図3では、上方から見た複数の搬送ローラ20と、当該複数の搬送ローラ20を支持する複数のローラ支持体30,40が模式的に示されている。図4は、ローラ支持体30の模式図である。図4では、搬送ローラ20の駆動側の支持構造が模式的に示されている。図5は、ローラ支持体40の模式図である。図5では、搬送ローラ20の従動側の支持構造が模式的に示されている。図6は、ローラ支持体30の模式図である。図6では、上方から見たローラ支持体30が模式的に示されている。
【0025】
図3に示されているように、複数の搬送ローラ20は、それぞれローラ支持体30,40に支持されている。ここでは、一つの搬送ローラ20の一端は、ローラ支持体30に支持されており、他端は、ローラ支持体40に支持されている。複数のローラ支持体30,40は、炉体10の外部において支持台35,45に支持されている。
【0026】
ローラ支持体30,40と支持台35,45には、支持台35,45に対してローラ支持体30,40を搬送方向に沿って位置調整可能な取付構造が設けられている。以下、支持台35,45とローラ支持体30,40の構造について説明する。
【0027】
〈支持台35,45〉
支持台35,45は、搬送方向に沿って延びるレール状の部材である。支持台35,45は、炉体10の外部に設けられている。支持台35は、炉体10の側壁50から所要の間隔を空けて配置されている。支持台45は、炉体10の側壁60から所要の間隔を空けて配置されている。
【0028】
図4に示されているように、支持台35は、支柱36に支持されている。図示は省略するが、支柱36は、搬送方向に沿って複数設けられており、支持台35は、それぞれ複数の支柱36によって支持されている。支持台35は、図示しない固定金具によって支柱36に取り付けられている。支持台35には、スプロケット34bが取り付けられている。支持台35には、チェーンガイド等、ローラチェーン34aのループパスを形成する部材が取り付けられていてもよい。
【0029】
図5に示されているように、支持台45は、支柱46に支持されている。図示は省略するが、支柱46は、搬送方向に沿って複数設けられており、支持台45は、それぞれ複数の支柱46によって支持されている。支持台45は、図示しない固定金具によって支柱46に取り付けられている。
【0030】
図4および図5に示されているように、支持台35,45は、一対の脚部35a,45aと、支持部35b,45bとを有している。脚部35a,45aは、支柱36,46から上方に向かって延びている。支持部35b,45bは、一対の脚部35a,45aの上端をそれぞれ繋いでいる。
【0031】
支持部35b,45bは、ローラ支持体30,40を支持する平板状の部位である。支持部35b,45bの上面には、凸部35b1,45b1が設けられている。凸部35b1,45b1は、搬送方向に沿って連続的に形成されていてもよく、間欠的に形成されていてもよい。凸部35b1,45b1は、支持部35b,45bの幅方向の略中央部に設けられている。凸部35b1,45b1は、例えば、搬送方向に沿って間欠的に設けられた突起であってもよく、搬送方向に沿って延びる突状であってもよい。支持部35b,45bには、複数列に並んだ凸部35b1,45b1が設けられていてもよい。
【0032】
支持部35b,45bには、それぞれ2列の孔35b2,45b2が形成されている。孔35b2,45b2は、搬送方向に沿って延びる長穴(図6参照)である。2列の孔35b2,45b2は、それぞれ支持部35b,45bの幅方向に沿って凸部35b1,45b1を挟む位置に設けられている。支持部35b,45bの幅方向における孔35b2,45b2の寸法は、取付部材35b3,45b3が挿通可能な寸法に設定されている。孔35b2,45b2の寸法は、特に限定されない。搬送方向に沿った孔35b2,45b2の長さは、ローラ支持体30,40の幅に収まる長さであってもよく、複数のローラ支持体30,40に亘る長さであってもよい。孔35b2,45b2は、支持部35b,45bにおいて間欠的に形成されていてもよく、連続的に形成されていてもよい。
【0033】
ローラ支持体30,40は、支持台35,45の上面(この実施形態では支持部35b,45bの上面)に載せられる。これによって、ローラ支持体30,40が支持台35,45から脱落しにくい。ローラ支持体30,40は、支持台35,45の上面に直接載せられていてもよく、高さ調節部材37(図7参照)を介して支持台35,45の上面に載せられていてもよい。
【0034】
図7は、高さ調節部材37を示す模式図である。図7は、支持台35とローラ支持体30の間に介在する高さ調節部材37が模式的に示されている。図7に示されている実施形態では、ローラ支持体30は、高さ調節部材37を介して支持台35の上面に載せられている。高さ調節部材37は、ローラ支持体30と、支持台35の間に介在することによって、搬送ローラ20の高さを調節する部材である。高さ調節部材37は、複数の搬送ローラ20のうち一部の搬送ローラ20と支持台35の間に設けられていてもよい。
【0035】
高さ調節部材37は、例えば、板状の部材でありうる。高さ調節部材37は、搬送方向に沿って延びる板状の部材であってもよい。ローラ支持体30と支持台35の間に配置される高さ調節部材37の枚数や厚みを調整することによって、ローラ支持体30の高さが調整される。高さ調節部材37の形状は、特に限定されない。高さ調節部材は、ローラ支持体30または支持台35と略同一の幅を有していてもよい。このとき、高さ調節部材37には、支持台35の凸部35b1に対応する孔37aと、孔35b2および取付部材35b3に対応する孔37bとが形成されていてもよい。孔37a,37bの形状は、それぞれ凸部35b1および取付部材35b3が挿通可能である限り、特に限定されない。なお、高さ調節部材37は、かかる形態に限定されない。支持台35の凸部35b1および取付部材35b3と干渉しない位置に配置された複数の高さ調節部材によって、ローラ支持体30の高さが調節されてもよい。また、支持台45とローラ支持体40の間には、上述した高さ調節部材37が配置されることによって、ローラ支持体40の高さが調整されてもよい。
【0036】
〈複数のローラ支持体30,40〉
複数のローラ支持体30,40は、図3に示されているように、複数の搬送ローラ20のうち一つの搬送ローラ20の一端をそれぞれ支持している。搬送方向に沿って隣り合う複数の搬送ローラ20の両端は、ローラ支持体30,40にそれぞれ支持されている。ローラ支持体30は、側壁50の貫通孔50aから突き出る搬送ローラ20の端部21を支持している。ローラ支持体40は、側壁60の貫通孔60aから突き出る搬送ローラ20の端部22を支持している。
【0037】
複数のローラ支持体30,40は、炉体10の外部において、複数の搬送ローラ20が並べられている方向(搬送方向)に沿って間欠的に並べられている。換言すると、炉体10の幅方向の両側において、複数の搬送ローラ20を支持するローラ支持体30,40は、搬送方向に沿って間隙を空けて配置されている。複数のローラ支持体30,40は、支持台35,45に取り付けられている。
【0038】
〈ローラ支持体30〉
図4に示されているように、複数のローラ支持体30は、筐体31と、軸受32と、シャフト33とをそれぞれ備えている。複数の搬送ローラ20の一端(端部21)は、ローラ支持体30のシャフト33の一端が挿入された状態で支持されている。
【0039】
〈筐体31〉
筐体31は、軸受32を介してシャフト33を支持する部材である。筐体31は、金属製であり、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素鋼等から形成されうる。この実施形態では、筐体31は、四角柱形状である。筐体31は、炉体10の幅方向に沿った長さが他の方向の長さよりも長くなるように支持台35に配置されている。換言すると、筐体31は、面積の最も狭い面を炉体10に向けた状態で支持台35に配置されている。筐体31の形態は、特に限定されず、四角柱以外の角柱形状のものであってもよく、曲面を含んだ形状であってもよい。筐体31は、複数の板から構成される箱状のものであってもよく、コの字型、L字型であってもよい。加工容易性と強度の観点から、筐体は、角柱形状であることが好ましい。
【0040】
筐体31は、支持台35に載せられる。この実施形態では、ローラ支持体30の筐体31は、支持部35bの上面の凸部35b1に対応した部位を有している。筐体31の下面には、支持台35の凸部35b1が入る凹部31bが形成されている。図6に示されているように、凹部31bは、搬送方向に沿って延びた溝である。筐体31の凹部31bの寸法は、支持台35の凸部35b1の寸法と対応した寸法である。支持台35の幅方向(炉体10の幅方向)において、筐体31の凹部31bは、支持台35の凸部35b1が嵌まる寸法に設定されている。この実施形態では、支持台35の幅方向において、筐体31の凹部31bは、支持台35の凸部35b1よりもわずかに大きい寸法に設定されている。筐体31に凹部31bが設けられていることによって、支持台35の凸部35b1に筐体31の凹部31bが嵌まった時に、ローラ支持体30が支持台35に対して幅方向にずれることが抑制される。なお、筐体31と支持台35には、必ずしも互いに対応する凹部31bおよび凸部35b1が設けられていなくてもよい。筐体に凸部が設けられ、支持板に当該凸部と対応する凹部が設けられていてもよい。
【0041】
ローラ支持体30の筐体31には、取付部材35b3が取り付けられる取付穴31aが形成されている。ローラ支持体30は、筐体31の凹部31bが支持台35の凸部35b1に嵌まった状態で取付部材35b3によって支持台35に取り付けられる。ローラ支持体30は、孔35b2に挿通された取付部材35b3によって支持台35に着脱可能に取り付けられている。取付部材35b3としては、例えば、ボルト等が用いられうる。取付部材35b3が取り付けられる孔35b2は、搬送方向に沿った長穴である。このため、ローラ支持体30を搬送方向に沿って移動させる場合にも、ローラ支持体30の取付穴31aに取り付けられた取付部材35b3は、孔35b2に沿って移動する。取付部材35b3が緩められるか外された状態でローラ支持体30を搬送方向に沿って移動させた後に、取付部材35b3によってローラ支持体30を固定することができる。これによって、ローラ支持体30の位置調整が可能である。ローラ支持体30の位置調整は、連続加熱炉1の施工時、運用後のメンテナンス時、運転中等、所望のタイミングで実施されうる。
【0042】
図4に示されているように、筐体31には、シャフト33が挿通される貫通孔31cが形成されている。貫通孔31cは、筐体31の中央部を略円柱状に開口した孔である。貫通孔31cは、筐体31の長さ方向(炉体10の幅方向)に沿って筐体31の中央部を貫通している。また、筐体31の長さ方向の両端部には、一対の窪み31dが形成されている。窪み31dは、貫通孔31cよりもさらに内径が広がった部位である。窪み31dは、略円盤状に形成されている。窪み31dには、軸受32が取り付けられている。
【0043】
〈軸受32〉
軸受32は、シャフト33を回転可能に支持する部材である。軸受32は、筐体31に取り付けられている。軸受32は、筐体31に刑された一対の窪み31dそれぞれに嵌まっている。筐体31の両端において、軸受32は、窪み31dから一部がはみ出ている。軸受32の、窪み31dからはみ出た部位には、溝が設けられている。軸受32が筐体31の窪み31dに嵌まった状態で当該溝に保持部材32aが取り付けられることによって、軸受32は、筐体31に取り付けられている。特に限定されないが、保持部材32aは、環状、ピン状等の留め金具でありうる。軸受32および筐体31の貫通孔31cには、シャフト33が挿通されている。筐体31の内周面とシャフト33の間には、スペーサが設けられていてもよい。
【0044】
〈シャフト33〉
シャフト33は、軸受32に回転可能に支持されている。シャフト33の少なくとも一端は、筐体31からはみ出ている。この実施形態では、シャフト33は、筐体31の貫通孔31cに挿通されている。筐体31は、シャフト33の周囲を囲っている。これによって、シャフト33と筐体31の間に塵、埃等が入りにくく、異物混入に伴うシャフト33の回転の不具合が発生しにくい。シャフト33の両端は、筐体31からはみ出ている。シャフト33は、基端部33aと、ばね座部33bと、挿通部33cと、支持部33dとを備えている。基端部33aは、軸受32に取り付けられる部位である。基端部33aの外径は、軸受32の内径と略同一である。基端部33aの長さは、筐体31の長さよりも長い。このため、基端部33aの一端は、筐体31から外側に向かってはみ出ている。当該筐体31からはみ出ている基端部33aの一端には、スプロケット34が取り付けられている。基端部33aの他端には、ばね座部33bが繋がっている。
【0045】
ばね座部33bは、シャフト33のうち、筐体31からはみ出た部位に設けられている。ばね座部33bは、筐体31よりも内側(炉体10の側壁50側)に配置される。ばね座部33bは、基端部33aよりも外径が大きい略円盤状の部位である。ばね座部33bは、コイルばね25の一端が当接する部位である。ばね座部33bからは、挿通部33cが延びている。
【0046】
挿通部33cは、コイルばね25に挿通される部位である。挿通部33cは、ばね座部33bから炉体10の側壁50側に向かって延びている。挿通部33cの外径は、ばね座部33bの外径よりも小さい。挿通部33cの外径は、挿通されるコイルばね25の内径よりも小さい。この実施形態では、基端側(ばね座部33b側)において、挿通部33cの外径は、コイルばね25の内径と略同一である。これによって、コイルばね25がシャフト33に固定されやすくなり、コイルばね25の位置がずれにくくなる。挿通部33cには、先端側に向かって細くなるように段差が形成されている。挿通部33cの先端部には、支持部33dが設けられている。
【0047】
支持部33dは、搬送ローラ20を支持する部位である。支持部33dは、中空の搬送ローラ20に挿通される。また、挿通部33cの先端部の一部も搬送ローラ20に挿通されうる。搬送ローラ20に挿通された支持部33dは、搬送ローラ20を内側から支持する。支持部33dの外径は、搬送ローラ20の内径よりもわずかに小さい。これによって、連続加熱炉1の運転に伴って搬送ローラ20およびシャフト33が熱膨張した場合にも、これらの部材に大きな負荷がかかりにくくなる。
【0048】
搬送ローラ20は、コイルばね25を介してシャフト33に支持されている。コイルばね25は、搬送ローラ20と、シャフト33のばね座部33bとの間に配置される。ここでは、搬送ローラ20と、シャフト33のばね座部33bとの間隙よりも長い自然長のコイルばね25が用いられる。このため、コイルばね25の両端は、搬送ローラ20の端部21と、シャフト33のばね座部33bとにそれぞれ当接する。搬送ローラ20とばね座部33bそれぞれの端部21には、圧縮されたコイルばね25の弾性力が作用する。これによって、シャフト33の回転に伴い搬送ローラ20が回転する。
【0049】
上述したように、シャフト33の、筐体31を挟んで搬送ローラ20とは反対側の端部(基端部33aの端部)には、スプロケット34が取り付けられている。スプロケット34には、ローラチェーン34aが掛け回されている。詳細な図示は所略するが、ローラチェーン34aは、環状に形成されている。図3に示されているように、ローラチェーン34aは、複数のローラ支持体30のシャフト33それぞれに取り付けられたスプロケット34に掛け廻されている。複数のスプロケット34の下方には、図示しないチェーンガイドが設けられている。ローラチェーン34aは、スプロケット34以外にも、ローラチェーン34aのループパスを設定するスプロケット34b等に掛け廻されていてもよい。ローラチェーン34aには、所要のテンションが掛けられた状態で図示しない駆動装置に接続されている。駆動装置としては、例えば、モータ等が用いられうる。駆動装置は、減速機、クラッチ、カップリング等を介してローラチェーン34aに接続されていてもよい。駆動装置の動力によってローラチェーン34aが回転する。ローラチェーン34aと連動して複数のローラ支持体30のシャフト33それぞれに取り付けられたスプロケット34が回転し、シャフト33が回転する。シャフト33のばね座部33bと搬送ローラ20の端部21には、圧縮されたコイルばね25の弾性力が作用する。このため、シャフト33の回転は、コイルばね25を介して搬送ローラ20それぞれに伝えられ、搬送ローラ20は、シャフトと連動して回転する。これによって複数の搬送ローラ20は、略同一のタイミングおよび速度で回転する。このように、複数の搬送ローラ20は、側壁50側の端部21側から駆動される。
【0050】
複数の搬送ローラ20の、側壁60側の端部22は、ローラ支持体40に支持されている。複数の搬送ローラ20の端部22は、側壁50側の端部21の回転に従動するようにローラ支持体40に支持されている。
【0051】
〈ローラ支持体40〉
図5に示されているように、ローラ支持体40は、ローラ支持体30と同様に、筐体41と、軸受42と、シャフト43とをそれぞれ備えている。複数の搬送ローラ20の一端(端部22)は、ローラ支持体40のシャフト43の一端が挿入された状態で支持されている。ローラ支持体40は、ローラ支持体30と同様の構成とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0052】
筐体41には、取付部材45b3が取り付けられる取付穴41aが形成されている。筐体41の下面には、支持台45の凸部45b1が入る凹部41bが形成されている。筐体41には、貫通孔41cが形成されている。筐体41の長さ方向の両端部には、一対の窪み41dが形成されている。窪み41dには、軸受42が取り付けられている。軸受42は、保持部材42aによって、筐体41に取り付けられている。シャフト43は、軸受42に回転可能に支持されている。この実施形態では、シャフト43の両端は、筐体41からはみ出ている。シャフト43は、基端部43aと、ばね座部43bと、挿通部43cと、支持部43dとを備えている。ばね座部43bと搬送ローラ20の端部22との間には、圧縮されたコイルばね25が配置されている。これによって、シャフト43と搬送ローラ20は、連動して回転するように構成されている。
【0053】
ローラ支持体40のシャフト43には、ローラ支持体30のシャフト33に取り付けられていたような、駆動装置の動力を伝えるスプロケット34は取り付けられていない(図4および図5参照)。このため、シャフト43は、シャフト33と搬送ローラ20の回転に従動して回転する。
【0054】
ところで、搬送方向に沿って延びた支持板と、当該支持板に支持される複数の搬送ローラとを備える連続加熱炉では、施工時に、搬送ローラの位置を、炉体と干渉しない位置に調整する必要がある。しかしながら、かかる連続加熱炉では、搬送ローラの位置を調整する場合、支持板を動かす必要があり、搬送ローラの位置調整の作業性は、良好ではなかった。また、搬送ローラの位置を個別に調整することはできなかった。
【0055】
上述した実施形態では、連続加熱炉1は、予め定められた搬送方向に沿った空間10iを囲うトンネル状の炉体10と、トンネル状の炉体10をそれぞれ横断し、搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラ20と、複数のローラ支持体30,40とを備えている。複数の搬送ローラ20は、それぞれ中空の軸部材である。複数のローラ支持体30,40は、筐体31,41と、筐体31,41に取り付けられた軸受32,42と、軸受32,42に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端(この実施形態では、両端)が筐体31,41からはみ出たシャフト33,43とをそれぞれ備えている。複数のローラ支持体30,40は、複数の搬送ローラ20のうち一つの搬送ローラ20の一端をそれぞれ支持している(図3参照)。複数の搬送ローラ20の両端は、ローラ支持体30,40のシャフト33,43の一端が挿入された状態でそれぞれ支持されている。
【0056】
このように、連続加熱炉1では、ローラ支持体30が一つの搬送ローラ20の端部21を支持し、ローラ支持体40が一つの搬送ローラ20の反対側の端部22を支持している。換言すると、一つの搬送ローラ20の両端は、一対のローラ支持体30,40に支持されている。図3に示されているように、搬送ローラ20を支持する一対のローラ支持体30,40は、それぞれの搬送ローラ20ごとに設けられている。このため、連続加熱炉1を施工する際に、複数のローラ支持体30,40の位置を個別に合わせることによって、搬送ローラ20の位置を調整することができる。例えば、炉体10と搬送ローラ20が干渉していないかをそれぞれの搬送ローラ20ごとに確認する。干渉している場合には、ローラ支持体30,40の位置を調整することによって、炉体10と干渉している搬送ローラ20の搬送方向における位置、角度等を調整することができる。このとき、他の搬送ローラ20に影響を与えないように、炉体10に対する1つの搬送ローラ20の位置を合わせることができる。これによって、連続加熱炉1の運転時にも炉体10と搬送ローラ20の干渉が低減される。なお、ローラ支持体30,40は、施工時に位置を固定されてもよく、運用中に位置調整可能なように完全には位置を固定されなくてもよい。
【0057】
連続加熱炉1は、機種によって搬送ローラ20の間隔が異なる場合がある。また、炉体10の一部において、搬送ローラ20の間隔を異ならせたい場合がある。搬送ローラ20の目的の間隔に応じてローラ支持体30,40を配置することによって、所望の間隔で搬送ローラ20を配置することができる。このように、ローラ支持体30,40を用いることによって、複数の搬送ローラ20を支持する支持板を個別に作製することなく、搬送ローラ20の支持構造が形成される。
【0058】
以下、施工時にローラ支持体30,40の位置を合わせる方法の一例を説明する。はじめに、搬送ローラ20の間隔に応じたスペーサを用意する。スペーサは、例えば、搬送ローラ20が並べられる間隔と、ローラ支持体30,40の幅(搬送方向に沿ったローラ支持体30,40の寸法)との差に対応する厚みのものを用いるとよい。次に、炉体10に対する一つのローラ支持体30,40の位置を合わせる。位置合わせされたローラ支持体30,40を基準としてローラ支持体30,40とスペーサを交互に配置する。すべてのローラ支持体30,40を配置し終わったら、スペーサを取り除き、ローラ支持体30,40それぞれの位置を個別に確認してもよい。炉体10に対してローラ支持体30,40の位置がずれている場合には、ずれているローラ支持体30,40の位置を微調整してもよい。これによって、搬送ローラ20の間隔に応じてローラ支持体30,40を配置することができる。
【0059】
上述した実施形態では、炉体10は、それぞれ複数の貫通孔50a,60aが形成された一対の側壁50,60を有している。複数の貫通孔50a,60aそれぞれには、一つの搬送ローラ20の一端が挿通されている。ローラ支持体30,40を用いることによって、施工時に、貫通孔50a,60aの略中央部に搬送ローラ20の位置が合わせられる。これによって、連続加熱炉1の運転時に搬送ローラ20が熱膨張、変形等した場合にも、炉体10と搬送ローラ20が干渉しにくくなる。
【0060】
なお、連続加熱炉1に用いられるすべての搬送ローラ20が両端をローラ支持体30,40によって支持されている必要はなく、複数の搬送ローラ20のうち少なくとも一つの搬送ローラ20の両端がローラ支持体30,40によって支持されているとよい。
【0061】
上述した実施形態では、搬送方向に沿って隣り合う複数の搬送ローラ20の両端は、ローラ支持体30,40にそれぞれ支持されている。これによって、施工時に搬送ローラ20の間隔を調整しやすい。複数の搬送ローラ20のうち、隣り合う少なくとも二つの搬送ローラの両端がローラ支持体30,40にそれぞれ支持されていることが好ましい。
【0062】
上述した実施形態では、隣り合う搬送ローラ20を支持するローラ支持体30,40は、搬送方向に沿って間隙を空けて配置されている。例えば、連続加熱炉1の運転時等、搬送ローラ20の熱がローラ支持体30,40に伝わる場合がある。複数の搬送ローラが長尺の金属製の支持板に支持されている場合には、支持板が熱膨張によって延び、搬送ローラの間隔が変わる懸念がある。隣り合うローラ支持体30,40が間隙を空けて配置されている場合には、ローラ支持体30,40それぞれの位置は変わりにくい。その結果、搬送ローラ20の間隔が維持されやすい。また、搬送ローラ20の位置が変わることによる、搬送ローラ20と炉体10の干渉が低減されうる。
【0063】
以上、具体的な実施形態を挙げて詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。このように、請求の範囲に記載の技術には、以上に記載した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0064】
なお、本明細書は以下の項1~6を含んでいる。以下の項1~6は、上記した実施形態には限定されない。
【0065】
項1:
予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、
前記トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、前記搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラと、
複数のローラ支持体と
を備え、
前記複数の搬送ローラは、それぞれ中空の軸部材であり、
前記複数のローラ支持体は、
筐体と、
前記筐体に取り付けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端が前記筐体からはみ出たシャフトと
をそれぞれ備えており、かつ、
前記複数の搬送ローラのうち一つの前記搬送ローラの一端をそれぞれ支持しており、
前記複数の搬送ローラのうち少なくとも一つの搬送ローラの両端は、前記ローラ支持体の前記シャフトの一端が挿入された状態でそれぞれ支持されている、
連続加熱炉。
【0066】
項2:
前記複数の搬送ローラのうち前記搬送方向に沿って隣り合う少なくとも二つの搬送ローラの両端は、前記ローラ支持体にそれぞれ支持されている、項1に記載された連続加熱炉。
【0067】
項3:
前記少なくとも二つの搬送ローラを支持する前記ローラ支持体は、前記搬送方向に沿って間隙を空けて配置されている、項2に記載された連続加熱炉。
【0068】
項4:
前記炉体は、それぞれ複数の貫通孔が形成された一対の側壁を有し、
前記複数の貫通孔それぞれには、一つの搬送ローラの一端が挿通されている、項2または3に記載された連続加熱炉。
【0069】
項5:
前記シャフトは、前記筐体に挿通されている、項1~4のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【0070】
項6:
予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、前記トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、前記搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラとを有する連続加熱炉に用いられ、前記複数の搬送ローラのうち一つの搬送ローラの一端を支持するローラ支持体であって、
筐体と
前記筐体に取り付けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持され、かつ、少なくとも一端が前記筐体からはみ出たシャフトと
を備えており、
前記搬送ローラは、中空の軸部材であり、
前記シャフトの一端が前記搬送ローラの一端に挿入された状態で前記複数の搬送ローラのうち一つの前記搬送ローラを支持する、
ローラ支持体。
【0071】
A 被処理物
1 連続加熱炉
10 炉体
10i 空間
12 ヒータ
20 搬送ローラ
21,22 端部
25 コイルばね
30,40 ローラ支持体
31,41 筐体
31a,41a 取付穴
31b,41b 凹部
31c,41c 貫通孔
31d,41d 窪み
32,42 軸受
33,43 シャフト
33a,43a 基端部
33b,43b 座部
33c,43c 挿通部
33d,43d 支持部
34 スプロケット
34a ローラチェーン
35,45 支持台
35a,45a 脚部
35b,45b 支持部
35b1,45b1 凸部
35b2,45b2 孔
35b3,45b3 取付部材
36,46 支柱
37 高さ調節部材
50,60 側壁
50a,60a 貫通孔

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、
前記トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、前記搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラと、
複数のローラ支持体と
を備え、
前記複数の搬送ローラは、それぞれ中空の軸部材であり、
前記複数のローラ支持体は、
筐体と、
前記筐体に取り付けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に取り付けられ、かつ、周囲を前記筐体によって囲まれ、少なくとも一端が前記筐体からはみ出たシャフトとをそれぞれ備えており、かつ、
前記複数の搬送ローラのうち一つの前記搬送ローラの一端をそれぞれ支持しており、
前記複数の搬送ローラのうち少なくとも一つの搬送ローラの両端は、前記ローラ支持体の前記シャフトの一端が挿入された状態でそれぞれ支持されている、
連続加熱炉。
【請求項2】
前記複数の搬送ローラのうち前記搬送方向に沿って隣り合う少なくとも二つの搬送ローラの両端は、前記ローラ支持体にそれぞれ支持されている、請求項1に記載された連続加熱炉。
【請求項3】
前記少なくとも二つの搬送ローラを支持する前記ローラ支持体は、前記搬送方向に沿って間隙を空けて配置されている、請求項2に記載された連続加熱炉。
【請求項4】
前記炉体は、それぞれ複数の貫通孔が形成された一対の側壁を有し、
前記複数の貫通孔それぞれには、一つの搬送ローラの一端が挿通されている、請求項2または3に記載された連続加熱炉。
【請求項5】
前記筐体の下面には、搬送方向に沿って延びた凹部が形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載された連続加熱炉。
【請求項6】
予め定められた搬送方向に沿った空間を囲うトンネル状の炉体と、前記トンネル状の炉体をそれぞれ横断し、前記搬送方向に沿って並べられた複数の搬送ローラとを有する連続加熱炉に用いられ、前記複数の搬送ローラのうち一つの搬送ローラの一端を支持するローラ支持体であって、
筐体と
前記筐体に取り付けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に取り付けられ、かつ、周囲を前記筐体によって囲まれ、少なくとも一端が前記筐体からはみ出たシャフトと
を備えており、
前記搬送ローラは、中空の軸部材であり、
前記シャフトの一端が前記搬送ローラの一端に挿入された状態で前記複数の搬送ローラのうち一つの前記搬送ローラを支持する、
ローラ支持体。