(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132174
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042862
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】外園 康智
(72)【発明者】
【氏名】田村 光太郎
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB57
5L055BB57
(57)【要約】
【課題】顧客育成の観点から商品の売買に関して適切なレコメンドを行うことを支援する技術を提供する。
【解決手段】分析装置12は、複数の対象のそれぞれが購入した商品に関する情報を記憶する。分析装置12は、所定の基準に基づいて、複数の対象を複数のセグメントのいずれかに分類する。分析装置12は、ユーザ端末14から、第1セグメントと、第1セグメントの対象を到達させるべき第2セグメントの少なくとも一方の指定を受け付ける。分析装置12は、第1セグメントの対象が購入した商品と、第2セグメントの対象が購入した商品とに基づいて、第1セグメントの対象に関するレコメンド情報を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象のそれぞれが購入した商品に関する情報を記憶する記憶部と、
所定の基準に基づいて、前記複数の対象を複数のセグメントのいずれかに分類する分類部と、
第1セグメントと、前記第1セグメントの対象を到達させるべき第2セグメントの少なくとも一方の指定を受け付ける受付部と、
前記第1セグメントの対象が購入した商品と、前記第2セグメントの対象が購入した商品とに基づいて、前記第1セグメントの対象に関するレコメンド情報を生成するレコメンド生成部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記生成部は、前記第1セグメントの対象が購入した商品を、売却を推奨する商品として示すレコメンド情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記生成部は、前記第1セグメントの対象が購入した複数の商品に共通する属性を、売却を推奨する商品の属性として示すレコメンド情報を生成する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記生成部は、前記第2セグメントの対象が購入した商品を、購入を推奨する商品として示すレコメンド情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記生成部は、前記第2セグメントの対象が購入した複数の商品に共通する属性を、購入を推奨する商品の属性として示すレコメンド情報を生成する、
請求項1または4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記複数のセグメントに対応する複数の領域を含むヒートマップであって、かつ、各セグメントに対応する領域を、各セグメントに分類された前記対象の数に応じた態様で示すヒートマップを生成するヒートマップ生成部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ヒートマップと、前記第1セグメントを指定する領域と、前記第2セグメントを指定する領域とを含む画面をユーザに提供する画面提供部をさらに備える、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
複数の対象のそれぞれが購入した商品に関する情報を記憶する記憶部を備えるコンピュータが、
所定の基準に基づいて、前記複数の対象を複数のセグメントのいずれかに分類するステップと、
第1セグメントと、前記第1セグメントの対象を到達させるべき第2セグメントの少なくとも一方の指定を受け付けるステップと、
前記第1セグメントの対象が購入した商品と、前記第2セグメントの対象が購入した商品とに基づいて、前記第1セグメントの対象に関するレコメンド情報を生成するステップと、
を実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、ユーザから投資先企業に対する希望条件に関するキーワード情報を受け付け、学習モデルを用いてキーワード情報から照会情報を生成し、照会情報を用いてデータベースから抽出される投資先企業に関する情報をユーザに提示する情報提供装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客育成の観点から、顧客に売買を推奨すべき金融商品を見つけることは容易でない。本開示の技術は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、顧客育成の観点から商品の売買に関して適切なレコメンドを行うことを支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の情報処理システムは、複数の対象のそれぞれが購入した商品に関する情報を記憶する記憶部と、所定の基準に基づいて、複数の対象を複数のセグメントのいずれかに分類する分類部と、第1セグメントと、第1セグメントの対象を到達させるべき第2セグメントの少なくとも一方の指定を受け付ける受付部と、第1セグメントの対象が購入した商品と、第2セグメントの対象が購入した商品とに基づいて、第1セグメントの対象に関するレコメンド情報を生成するレコメンド生成部とを備える。
【0006】
本開示の別の態様は、情報処理方法である。この方法は、複数の対象のそれぞれが購入した商品に関する情報を記憶する記憶部を備えるコンピュータが、所定の基準に基づいて、複数の対象を複数のセグメントのいずれかに分類するステップと、第1セグメントと、第1セグメントの対象を到達させるべき第2セグメントの少なくとも一方の指定を受け付けるステップと、第1セグメントの対象が購入した商品と、第2セグメントの対象が購入した商品とに基づいて、第1セグメントの対象に関するレコメンド情報を生成するステップとを実行する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、顧客育成の観点から商品の売買に関して適切なレコメンドを行うことを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の顧客ナーチャリングシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の分析装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図4】
図1の分析装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態では、顧客ナーチャリングシステムを提案する。顧客ナーチャリングは、顧客育成とも呼ばれ、獲得した顧客を自社にとっての優良顧客に育てていくことである。例えば、金融機関における顧客ナーチャリングは、金融商品の売買回数が多い顧客を増加させることや、金融商品の売買によって一定程度のリターンを得る顧客を増加させることを含む。
【0011】
図1は、実施形態の顧客ナーチャリングシステム10の構成を示す。顧客ナーチャリングシステム10は、金融機関における顧客ナーチャリングを支援する情報処理システムである。顧客ナーチャリングシステム10は、分析装置12と複数のユーザ端末14(
図1ではユーザ端末14a、ユーザ端末14b、ユーザ端末14c)を備える。
図1の各装置は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網16を介して接続される。
【0012】
ユーザ端末14は、分析装置12のユーザ(実施形態では金融機関の営業担当者)により操作される情報処理装置である。分析装置12は、ユーザによる顧客ナーチャリングを支援するための分析処理を実行する情報処理装置である。実施形態での分析対象は、金融機関の顧客である。分析装置12は、ウェブサーバの機能を備えてもよく、ユーザ端末14は、ウェブブラウザを用いて分析装置12にアクセスしてもよい。
【0013】
図2は、
図1の分析装置12の機能ブロックを示すブロック図である。分析装置12は、処理部20、記憶部22、通信部24を備える。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
処理部20は、各種データ処理を実行する。処理部20は、分析装置12のプロセッサ(CPU等)により実現されてもよい。記憶部22は、処理部20により参照または更新されるデータを記憶する。通信部24は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。処理部20は、通信部24を介して、ユーザ端末14とデータを送受信する。
【0015】
記憶部22は、金融商品情報記憶部26と顧客情報記憶部28を含む。金融商品情報記憶部26は、顧客により売買されうる各種金融商品に関する情報を記憶する。金融商品は、例えば、株式、債券、転換社債、ワラント債、先物、投資信託、外国証券を含む。金融商品情報は、各金融商品を一意に特定可能な識別子(例えば後述のファンド識別子であり、回号とも呼ばれる)を含む。また、金融商品情報は、各金融商品に関する属性情報を含む。各金融商品に関する属性情報は、投資地域や投資対象を含む。
【0016】
顧客情報記憶部28は、複数の顧客のそれぞれに関する情報(顧客情報)を記憶する。
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)は、顧客情報の構成を示す。
図3(A)は、顧客情報のうち顧客の口座の属性を示す顧客口座属性情報を示している。顧客口座属性情報は、識別子、本人情報、投資方針、投資経験、または口座情報に該当する項目を含む。本人情報、投資方針、投資経験の各項目値は、顧客からの申告や顧客へのアンケートにより収集されてもよい。
【0017】
図3(B)は、顧客情報のうち国内投信現物預り明細を示している。国内投信現物預り明細は、識別子、ファンド識別子、またはポジション情報に該当する項目を含む。
図3(C)は、顧客情報のうち顧客アクティビティ情報を示している。顧客アクティビティ情報は、識別子、アクティビティ情報、成績情報に該当する項目を含む。リターンは、投資成績を示す値であり、例えば投資利益率であってもよい。
【0018】
図2に戻り、処理部20は、基準指定受付部30、分類部32、ヒートマップ生成部34、対象指定受付部36、レコメンド生成部38、分析画面提供部40を含む。これら複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラムに実装されてもよい。このコンピュータプログラムは、記録媒体またはネットワークを介して分析装置12のストレージにインストールされてもよい。分析装置12のプロセッサは、このコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0019】
基準指定受付部30は、複数の分析対象(実施形態では金融機関の顧客)を分類するための、ユーザにより指定された基準を受け付ける。分類部32は、基準指定受付部30により受け付けられた基準に基づいて、複数の顧客を複数のセグメントのいずれかに分類する。
【0020】
ヒートマップ生成部34は、分類部32による分類結果である複数のセグメントに対応する複数の領域を含むヒートマップを生成する。ヒートマップは、二次元データの個々の値を色や濃淡にて表現したグラフとも言える。ヒートマップ生成部34は、ヒートマップにおける各セグメントに対応する領域を、各セグメントに分類された顧客の数に応じた態様で示すようヒートマップの外観を設定する。
【0021】
対象指定受付部36は、分析対象の顧客が現在属する第1セグメントと、第1セグメントの顧客を将来到達させるべき第2セグメントの少なくとも一方の指定を受け付ける。実施形態の対象指定受付部36は、ヒートマップで示された複数のセグメントの中からユーザにより指定された第1セグメントと第2セグメントを示すデータを受け付ける。第2セグメントは、分析対象の顧客が将来属するべきセグメントとも言え、また、分析対象の顧客の育成において目標とするセグメントとも言える。
【0022】
レコメンド生成部38は、第1セグメントの顧客(顧客群)が購入した金融商品と、第2セグメントの顧客(顧客群)が購入した金融商品とに基づいて、第1セグメントの顧客(顧客群)に関するレコメンド情報を生成する。実施形態でのレコメンド情報は、金融機関の営業担当者による顧客ナーチャリングを支援する情報である。
【0023】
分析画面提供部40は、分析画面のデータをユーザ端末14へ送信することにより、分析画面をユーザ端末14のディスプレイに表示させる。後述するように、実施形態の分析画面は、ヒートマップ分析画面50と差異分析画面60を含む。
【0024】
図4は、顧客ナーチャリングシステム10の動作を示すフローチャートである。以下、
図4を参照しつつ、顧客ナーチャリングシステム10の動作を説明する。
【0025】
ユーザ端末14は、ユーザの操作に応じて、ヒートマップ分析画面を要求するデータを分析装置12へ送信する。分析装置12の分析画面提供部40は、ユーザ端末14からの要求に応じて、ヒートマップ分析画面のデータをユーザ端末14へ送信する。ユーザ端末14は、ヒートマップ分析画面をディスプレイに表示させる(S10)。
【0026】
図5は、ヒートマップ分析画面の例を示す。ヒートマップ分析画面50は、縦軸指定エリア51、横軸指定エリア52、分割数指定エリア53、ヒートマップ54、ソース指定エリア55、ターゲット指定エリア56を含む。
【0027】
縦軸指定エリア51には、第1の基準として、ヒートマップの縦軸の項目名が指定される。
図5の縦軸指定エリア51では「リターン」が指定されている。横軸指定エリア52には、第2の基準として、ヒートマップの横軸の項目名が指定される。
図5の横軸指定エリア52では「年齢」が指定されている。分割数指定エリア53は、ヒートマップの縦軸と横軸のそれぞれにおける顧客の分割数が指定される。例えば、分割数「10」が指定されると、縦横のそれぞれが10分割され、顧客は100個のセグメントに分類される。縦軸指定エリア51、横軸指定エリア52、分割数指定エリア53に指定される値は、ヒートマップ分析の基準となる値と言える。
【0028】
ヒートマップ54は、ヒートマップの画像である。ヒートマップ54は、複数の顧客セグメントに対応する複数のエリアを含む。
図5のヒートマップ54では、複数の顧客は100個のセグメント(セグメント0~セグメント99)に分類されている。ソース指定エリア55は、上述の第1セグメントが指定され、すなわち、分析対象の顧客が現在属するセグメント(以下「ソースセグメント」とも呼ぶ。)が指定される。ターゲット指定エリア56は、上述の第2セグメントが指定され、すなわち、分析対象の顧客の育成目標とするセグメント(以下「ターゲットセグメント」とも呼ぶ。)が指定される。
【0029】
なお、縦軸指定エリア51と横軸指定エリア52の少なくとも一方が未指定の場合、ヒートマップ分析画面50においてヒートマップ54、ソース指定エリア55およびターゲット指定エリア56は、非表示であってもよい。
【0030】
動作の説明に戻る。ユーザは、縦軸指定エリア51、横軸指定エリア52、分割数指定エリア53に所望の値を入力して「ヒートマップを表示」ボタンを選択する。ユーザ端末14は、ヒートマップ分析の基準としての値であって、縦軸指定エリア51で指定された項目名、横軸指定エリア52で指定された項目名、分割数指定エリア53で指定された分割数を含むヒートマップ作成要求を分析装置12へ送信する。分析装置12の基準指定受付部30は、ユーザ端末14から送信されたヒートマップ作成要求を受け付ける。
【0031】
ヒートマップ作成要求が受け付けられると(S11のY)、分析装置12の分類部32は、指定された縦軸の項目値と、指定された横軸の項目値と、分割数とに基づいて、複数の顧客のそれぞれを複数のセグメントのいずれかに分類する(S12)。例えば、分割数が10の場合、縦軸の値を10分割し、横軸の値を10分割して、合計100個のセグメントを作成してもよい。分類部32は、顧客の縦横の項目値が該当するセグメントに当該顧客を分類してもよい。なお、分類部32は、公知のクラスター分析の手法を用いて、複数の顧客を分類してもよい。
【0032】
分析装置12のヒートマップ生成部34は、分類部32による顧客の分類結果に基づいて、ヒートマップを生成する(S13)。実施形態では、ヒートマップ生成部34は、所属する顧客の数が多いセグメントのエリアほど濃い青色を付与し、かつ、所属する顧客の数が少ないセグメントのエリアほど薄い青色を付与したヒートマップを生成する。
図5のヒートマップ54は、リターンの値「0」付近に顧客が集中していることを示している。
【0033】
分析装置12の分析画面提供部40は、S13で生成されたヒートマップ54を含むヒートマップ分析画面50のデータをユーザ端末14へ送信する。ユーザ端末14は、ヒートマップ54を含むヒートマップ分析画面50をディスプレイに表示させる(S14)。ヒートマップ分析画面50において「ヒートマップを表示」ボタンが選択されず、すなわち、ユーザ端末14から分析装置12へヒートマップ作成要求が送信されなければ(S11のN)、S13以降をスキップして本図の処理を終了する。
【0034】
ユーザは、ヒートマップ54を確認して、差異分析におけるソースセグメントとターゲットセグメントを決定する。ユーザは、ソースセグメントの識別子(例えば0~99のいずれか)をソース指定エリア55に入力し、ターゲットセグメントの識別子(例えば0~99のいずれか)をターゲット指定エリア56に入力し、「レコメンド」ボタンを選択する。
【0035】
ユーザ端末14は、分析対象セグメントを指定するデータであり、具体的には、ソースセグメントの識別子とターゲットセグメントの識別子とを含むレコメンド要求を分析装置12へ送信する。分析装置12の対象指定受付部36は、ユーザ端末14から送信されたレコメンド要求を受け付け、レコメンド要求に含まれるソースセグメントとターゲットセグメントの指定を受け付ける。
【0036】
レコメンド要求が受け付けられると(S15のY)、分析装置12のレコメンド生成部38は、レコメンド情報を生成する(S16)。実施形態のレコメンド情報は、(1)購入を推奨する金融商品の名称を示す購入商品レコメンド情報、(2)購入を推奨する金融商品の属性を示す購入属性レコメンド情報、(3)売却を推奨する金融商品の名称を示す売却商品レコメンド情報、(4)売却を推奨する金融商品の属性を示す売却属性レコメンド情報を含む。金融商品の属性は、投資対象地域、為替ヘッジの有無、投資対象資産の種類を含んでもよい。各レコメンド情報の例は後述する。
【0037】
分析装置12の分析画面提供部40は、上記の複数種類のレコメンド情報を含む差異分析画面のデータをユーザ端末14へ送信する。ユーザ端末14は、複数種類のレコメンド情報を含む差異分析画面をディスプレイに表示させる(S17)。ユーザは、差異分析画面において、売却商品レコメンド情報、購入商品レコメンド情報、売却属性レコメンド情報、購入属性レコメンド情報を確認する。ヒートマップ分析画面50において「レコメンド」ボタンが選択されず、すなわち、ユーザ端末14から分析装置12へレコメンド要求が送信されなければ(S15のN)、S16以降をスキップして本図の処理を終了する。
【0038】
図6から
図8を参照して、差異分析画面60を説明する。
図6から
図8は、
図5のヒートマップ分析画面50のソース指定エリア55で「42」が指定され、ターゲット指定エリア56で「44」が指定された場合に提供される差異分析画面60の例を示している。
【0039】
図6の差異分析画面60は、購入商品レコメンド情報を表示する。分析装置12のレコメンド生成部38は、ターゲットセグメントの顧客が多く購入した金融商品を、ソースセグメントの顧客に対して購入を推奨する金融商品として示す購入商品レコメンド情報を生成する。
【0040】
具体的には、レコメンド生成部38は、ターゲットセグメントの複数の顧客が購入した複数の金融商品それぞれの購入推奨スコア(
図6では単にスコアと表記)を算出する。レコメンド生成部38は、ターゲットセグメントにおいてある金融商品を購入した顧客の数が多いほど、かつ、ターゲットセグメントでの当該金融商品の購入数が多いほど、当該金融商品の購入推奨スコアを大きく算出する。レコメンド生成部38は、算出した購入推奨スコアが所定順位以上(例えば上位10位以上)の金融商品を購入商品レコメンド情報に含める。また、レコメンド生成部38は、各金融商品に関する属性情報(例えば、投資地域や投資対象等)を、金融商品情報記憶部26から読み出して購入商品レコメンド情報に含める。
【0041】
なお、レコメンド生成部38は、tf-idf(term frequency inverse document frequency)等の公知の統計手法を用いて、ソースセグメントの顧客に比べてターゲットセグメントの顧客が、有意にまたは相対的に多く購入している金融商品を購入商品レコメンド情報に含めてもよい。
【0042】
図7の差異分析画面60は、売却商品レコメンド情報を表示する。分析装置12のレコメンド生成部38は、ソースセグメントの顧客が多く購入した金融商品を、ソースセグメントの顧客に対して売却を推奨する金融商品として示す売却商品レコメンド情報を生成する。
【0043】
具体的には、レコメンド生成部38は、ソースセグメントの複数の顧客が購入した複数の金融商品それぞれの売却推奨スコア(
図7では単にスコアと表記)を算出する。レコメンド生成部38は、ソースセグメントにおいてある金融商品を購入した顧客の数が多いほど、かつ、ターゲットセグメントでの当該金融商品の購入数が多いほど、当該金融商品の売却推奨スコアを大きく算出する。レコメンド生成部38は、算出した売却推奨スコアが所定順位以上(例えば上位10位以上)の金融商品を売却商品レコメンド情報に含める。また、レコメンド生成部38は、各金融商品に関する属性情報(例えば、投資地域や投資対象等)を、金融商品情報記憶部26から読み出して売却商品レコメンド情報に含める。
【0044】
なお、レコメンド生成部38は、tf-idf等の公知の統計手法を用いて、ターゲットセグメントの顧客に比べてソースセグメントの顧客が、有意にまたは相対的に多く購入している金融商品を売却商品レコメンド情報に含めてもよい。
【0045】
図8の差異分析画面60は、購入属性レコメンド情報および売却属性レコメンド情報を表示する。分析装置12のレコメンド生成部38は、ターゲットセグメントの顧客が多く購入した複数の商品に共通する属性を、ソースセグメントの顧客に対して購入を推奨する金融商品の属性として示す購入属性レコメンド情報を生成する。また、レコメンド生成部38は、ソースセグメントの顧客が多く購入した複数の商品に共通する属性を、ソースセグメントの顧客に対して売却を推奨する金融商品の属性として示す売却属性レコメンド情報を生成する。
【0046】
図8において、影響が「+」のレコードが購入属性レコメンド情報に該当する。購入属性レコメンド情報は、ターゲットセグメントの顧客が多く購入した金融商品の属性であり、すなわち、ソースセグメントの顧客に対して購入を推奨する金融商品の属性である。レコメンド生成部38は、購入推奨スコアが所定順位以上(例えば上位10位以上)の複数の金融商品の属性情報を金融商品情報記憶部26から読み出し、それら複数の金融商品に共通する属性を特定して購入属性レコメンド情報に含めてもよい。
【0047】
図8において、影響が「-」のレコードが売却属性レコメンド情報に該当する。売却属性レコメンド情報は、ソースセグメントの顧客が多く購入した金融商品の属性であり、すなわち、ソースセグメントの顧客に対して売却を推奨する金融商品の属性である。レコメンド生成部38は、売却推奨スコアが所定順位以上(例えば上位10位以上)の複数の金融商品の属性情報を金融商品情報記憶部26から読み出し、それら複数の金融商品に共通する属性を特定して売却属性レコメンド情報に含めてもよい。
【0048】
実施形態の分析装置12によると、ユーザ(金融機関の営業担当者等)が、金融商品の売買に関して顧客育成の観点から適切なレコメンドを顧客に提供できるよう支援できる。例えば、分析装置12は、購入商品レコメンド情報を提供することにより、ソースセグメントの顧客をターゲットセグメントに移行させる観点から、ソースセグメントの顧客に購入を勧めるべき金融商品をユーザに把握させることができる。また、分析装置12は、購入属性レコメンド情報を提供することにより、未販売の金融商品や、販売間もなく販売量がまだ少ない金融商品を含めて、顧客に購入を勧めるべき金融商品をユーザに把握させることができる。
【0049】
また、分析装置12は、売却商品レコメンド情報を提供することにより、ソースセグメントの顧客をターゲットセグメントに移行させる観点から、ソースセグメントの顧客に売却を勧めるべき金融商品をユーザに把握させることができる。また、分析装置12は、売却属性レコメンド情報を提供することにより、販売間もなく販売量がまだ少ない金融商品を含めて、顧客に売却を勧めるべき金融商品をユーザに把握させることができる。
【0050】
さらにまた、分析装置12は、複数の顧客を複数のセグメントに分類した結果を示すヒートマップを提供する。これにより、顧客の分類結果を分かり易くユーザに提示できる。また、分析装置12は、ヒートマップを含む画面に、ソースセグメントとターゲットセグメントを指定するエリアを設ける。これにより、ユーザが、差異分析対象のソースセグメントとターゲットセグメントとして適切なセグメントを容易に指定できるユーザインタフェースを提供できる。
【0051】
以上、本開示を実施形態をもとに説明した。実施形態に記載の内容は例示であり、実施形態の構成要素や処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0052】
変形例を説明する。実施形態の分析装置12は、金融機関の顧客であり、金融商品を売買する顧客を分析対象とした。実施形態に記載の技術思想は、様々な商品を購入または販売する主体を分析対象にできる。例えば、分析対象を様々な商品を仕入れ販売するコンビニエンスストアとし、複数のコンビニエンスストアを売り上げ基準で分類するとする。この場合、分析装置12は、ソースセグメントのコンビニエンスストアをターゲットセグメントに移行させるために、有効な商品(仕入れるべき商品)、有効でない商品(仕入れるべきでない商品)に関するレコメンド情報を提供できる。
【0053】
別の変形例を説明する。実施形態の分析装置12は、ユーザにより指定されたソースセグメントとターゲットセグメントの両方を受け付けた。変形例として、ソースセグメントの指定によりターゲットセグメントが自動的に決定される場合等、分析装置12は、ユーザにより指定されたソースセグメントだけを受け付ける構成でもよい。また、ターゲットセグメントの指定によりソースセグメントが自動的に決定される場合等、分析装置12は、ユーザにより指定されたターゲットセグメントだけを受け付ける構成でもよい。
【0054】
さらに別の変形例を説明する。実施形態の分析装置12の機能は、複数の装置に分散して実装されてもよい。この場合、それら複数の装置が互いに通信し、システムとして連携することにより、実施形態の分析装置12と同様の処理が実行されてもよい。
【0055】
上述した実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0056】
10 顧客ナーチャリングシステム、 12 分析装置、 14 ユーザ端末、 28 顧客情報記憶部、 30 基準指定受付部、 32 分類部、 34 ヒートマップ生成部、 36 対象指定受付部、 38 レコメンド生成部、 40 分析画面提供部、 54 ヒートマップ。