(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013218
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】光酸発生剤、フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240124BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20240124BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20240124BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
C08F20/10
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023115602
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】63/390,360
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トマス マランゴーニ
(72)【発明者】
【氏名】エマド アカド
(72)【発明者】
【氏名】ポール ラボーム
(72)【発明者】
【氏名】ミンチー リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エフ.キャメロン
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H225AF24P
2H225AF75P
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN56P
2H225AN68P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB09
2H225CC03
2H225CC15
4J100AB00P
4J100AB07P
4J100AL08P
4J100BA02P
4J100BA04P
4J100BA05P
4J100BA40P
4J100BA72P
4J100BA75P
4J100BB01P
4J100BC33P
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】 光酸発生剤、フォトレジスト組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 有機カチオンと、シクロペンタジエニド基を含むアニオン性コアを含むアニオンとを含む光酸発生剤であって、シクロペンタジエニド基は、半金属元素を含む有機基で置換されており、アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されている、光酸発生剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機カチオンと、
シクロペンタジエニド基を含むアニオン性コアを含むアニオンと
を含む光酸発生剤であって、
前記シクロペンタジエニド基は、半金属元素を含む有機基で置換されており、
前記アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されている、光酸発生剤。
【請求項2】
前記有機カチオンは、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである、請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項3】
前記アニオンは、式(1)~(3):
【化1】
の1つ又は複数によって表され、式(1)~(3)において、
E
1、E
2、E
3、E
4及びE
5は、それぞれ独立して、電子吸引基であり、
n1は、1~4の整数であり、
n2は、0~4の整数であり、及びn3は、0~2の整数であり、ただし、n2及びn3の少なくとも1つは、0ではなく、
n4及びn5は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、ただし、n4及びn5の少なくとも1つは、0ではなく、
m1は、0~3の整数であり、
m2は、0~4の整数であり、及びm3は、0~2の整数であり、
m4及びm5は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C
1~30アルキル、置換若しくは非置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
4~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6~30アリール、置換若しくは非置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは非置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C
4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは非置換C
4~30アルキルヘテロアリールであり、
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5のそれぞれは、その構造の一部として二価連結基又は重合性基の一方又は両方を任意選択的にさらに含み、
L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立して、単結合又は二価連結基であり、及び
Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、前記半金属元素を含む前記有機基であり、
前記半金属元素は、B、Si、Ge、As、Te、Sb、Se又はこれらの組合せから選択される、請求項1又は2に記載の光酸発生剤。
【請求項4】
各電子吸引基は、ハロゲン、置換若しくは非置換C1~20ハロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリール、-OR6、-SR7、-NO2、-CN、-C(O)R8、-C(O)OR9、-C(O)NR10R11、-S(O)2OR12、-S(O)2R13、-OS(O)2R14又はこれらの組合せから独立して選択され、
R6~R12は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール、置換若しくは非置換C7~20アルキルアリール、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは非置換C4~20アルキルヘテロアリール又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルであり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール、置換若しくは非置換C7~20アルキルアリール、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは非置換C4~20アルキルヘテロアリール又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルであり、
ただし、E1~E5のいずれもフッ素を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の光酸発生剤。
【請求項5】
Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、式(4)~(6):
【化2】
の1つによって表され、式(4)~(6)において、
Z
1は、Se、Te、Se-Se又はTe-Teであり、
Z
2は、B、As、AsO、Sb又はSbOであり、
Z
3は、Si、Ge又はTeであり、
R
19は、シアノ、置換若しくは非置換C
1~20アルキル、置換若しくは非置換C
1~20アルコキシ、置換若しくは非置換C
4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C
2~20アルケニル、置換若しくは非置換C
6~30アリール、置換若しくは非置換C
6~30アリールオキシ、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換C
7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C
4~20ヘテロアリールアルキルであり、R
19は、その構造の一部として二価連結基を任意選択的にさらに含み、
R
20及びR
21は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換C
1~20アルキル、置換若しくは非置換C
1~20アルコキシ、置換若しくは非置換C
4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C
2~20アルケニル、置換若しくは非置換C
2~20アルキニル、置換若しくは非置換C
6~30アリール、置換若しくは非置換C
6~30アリールオキシ、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換C
7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C
4~20ヘテロアリールアルキルであり、R
20及びR
21は、その構造の一部として二価連結基をそれぞれ任意選択的にさらに含み、
ただし、R
20及びR
21の少なくとも1つは、有機基であり、
R
20及びR
21は、単結合又は二価連結基を介して互いに任意選択的に連結されて環を形成し、前記環は、置換されているか又は非置換であり、
R
22~R
24は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換C
1~20アルキル、置換若しくは非置換C
1~20アルコキシ、置換若しくは非置換C
4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C
2~20アルケニル、置換若しくは非置換C
2~20アルキニル、置換若しくは非置換C
6~30アリール、置換若しくは非置換C
6~30アリールオキシ、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C
3~30ヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換C
7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C
4~20ヘテロアリールアルキルであり、
ただし、R
22~R
24の少なくとも1つは、有機基であり、
R
22~R
24は、その構造の一部として二価連結基をそれぞれ任意選択的にさらに含み、
R
22~R
24の2つ以上は、単結合又は二価連結基を介して互いに任意選択的に連結されて環を形成し、前記環は、置換されているか又は非置換であり、及び
*は、Y
1についてL
1への結合部位、Y
2についてL
2への結合部位又はY
3についてL
3への結合部位を表す、請求項3又は4に記載の光酸発生剤。
【請求項6】
前記アニオンは、3つ以上の-CN基及び少なくとも1つのSi原子を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光酸発生剤。
【請求項7】
n1は、3以上の整数であり、
n2+n3は、3以上の整数であり、及び
n4+n5は、3以上の整数である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光酸発生剤。
【請求項8】
前記電子吸引基は、-CNである、請求項1~7のいずれか一項に記載の光酸発生剤。
【請求項9】
(i)重合性二重結合を含むモノマー、又は(ii)ポリマーの形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載の光酸発生剤。
【請求項10】
ポリマーと、
請求項1~9のいずれか一項に記載の光酸発生剤であって、任意選択的に前記ポリマーの一部である光酸発生剤と、
溶媒と
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項11】
パターンを形成する方法であって、
(a)請求項10に記載のフォトレジスト組成物から基板上にフォトレジスト層を形成することと、
(b)前記フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、
(c)前記露光されたフォトレジスト層を現像して、レジストレリーフ像を提供することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光酸発生剤、フォトレジスト組成物におけるその使用及びそのようなフォトレジスト組成物を使用するパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィー用途に特に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、半導体基板上に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下層に画像を転写するために典型的に使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高め、且つナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像能力を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィ加工ツールが開発されており、また開発され続けている。
【0003】
ポジ型の化学増幅フォトレジストは、従来、高解像度処理に使用されている。そのようなレジストは、典型的には、酸不安定基を有するポリマー及び光酸発生剤を用いる。フォトマスクを通した活性化放射線へのパターン様露光は、酸発生剤に酸を形成させ、それは、露光後ベーキング中、ポリマーの露光領域において酸不安定基の開裂を引き起こす。これは、現像液におけるレジストの露光領域と非露光領域との間の溶解度特性に差をもたらす。ポジ型現像(PTD)プロセスにおいて、フォトレジスト層の露光領域は、現像液に可溶になり、基板表面から除去されるが、現像液に不溶性である非露光領域は、現像後に残ってポジ画像を形成する。得られたレリーフ像は、基板の選択的な処理を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,431,325号明細書
【特許文献2】米国特許第4,189,323号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リソグラフィー性能の複数の態様(例えば、フォトスピード、線幅粗さ(LWR)及び解像度)を改善するフォトレジスト組成物及びそのようなフォトレジスト組成物を使用するパターニング方法が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様は、有機カチオンと、シクロペンタジエニド基を含むアニオン性コアを含むアニオンとを含む光酸発生剤を対象とし、シクロペンタジエニド基は、半金属元素を含む有機基で置換されており、アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されている。
【0007】
別の態様は、ポリマーと、光酸発生剤であって、任意選択的にポリマーの一部である光酸発生剤と、溶媒とを含むフォトレジスト組成物を対象とする。
【0008】
さらに別の態様は、パターンを形成するための方法であって、フォトレジスト組成物から基板上にフォトレジスト層を形成することと、フォトレジスト層を活性化放射線にパターン様露光することと、露光されたフォトレジスト層を現像して、レジストレリーフ像を提供することとを含む方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、例示的な実施形態が詳細に言及され、それらの例が本記載で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組合せを包含する。「~の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0010】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表明値を含み、前後関係(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)によって決定される意味を有する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによりその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないことと、その記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むこととを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、限定及び/又は特徴は、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0011】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの用語は、関連する技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0012】
本開示において、「化学線」又は「放射」は、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線等を意味する。さらに、本発明において、「光」は、化学線又は放射を意味する。フッ化クリプトンレーザー(KrFレーザー)は、特定のタイプのエキシマレーザーであり、エキシプレックスレーザーと呼ばれる場合がある。「エキシマ」は、「励起二量体」の略であり、「エキシプレックス」は、「励起錯合体」の略である。エキシマレーザーは、希ガス(アルゴン、クリプトン又はキセノン)とハロゲンガス(フッ素又は塩素)との混合物を使用し、電気刺激及び高圧の適切な条件下において、干渉性の刺激放射(レーザー光)を紫外範囲で放出する。さらに、本明細書における「露光」には、特に明記しない限り、水銀ランプ、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)等による露光のみならず、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線による書き込みも含まれる。
【0013】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素」は、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とを有する有機化合物を指し;「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指し;「アルキレン」は、2の価数を有するアルキル基を指し;「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し;「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を指し;「カルボキシル」及び「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し;「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を指し;「シクロアルキレン」は、2の価数を有するシクロアルキル基を指し;「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を指し;「アルケノキシ」は、「アルケニル-O-」を指し;「アルケニレン」は、2の価数を有するアルケニル基を指し;「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、少なくとも3つの炭素原子を有する非芳香族環状二価炭化水素基を指し;「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を指し;用語「芳香族基」は、Huckel則(4n+2π個の電子)を満たし、環中に炭素原子を含む単環式又は多環式の芳香環系を指し;用語「ヘテロ芳香族基」は、環中の炭素原子の代わりに、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子(例えば、1~4つのヘテロ原子)を含む芳香族基を指し;「アリール」は、全ての環員が炭素である一価の単環式又は多環式芳香環系を指し、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含み得;「アリーレン」は、2の価数を有するアリール基を指し;「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を指し;「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基を指し;「アリールオキシ」は、「アリール-O-」を指し;「アリールチオ」は、「アリール-S-」を指す。
【0014】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子(例えば、1、2、3若しくは4つ又はそれを超えるヘテロ原子)である少なくとも1つの環員を含むことを意味し、ここで、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し;「ヘテロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1つのヘテロ原子を有するアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキル」は、炭素の代わりに環員として1~4つのヘテロ原子を有するシクロアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキレン」は、二価のヘテロシクロアルキル基を指し;「ヘテロアリール」は、N、O、S、Si又はPからそれぞれ独立して選択される1~4つのヘテロ原子(単環式の場合)、1~6つのヘテロ原子(二環式の場合)又は1~9つのヘテロ原子(三環式の場合)を有する、芳香族4~8員単環系、8~12員二環系又は11~14員三環系を指す(例えば、単環式、二環式又は三環式の場合、それぞれ炭素原子及び1~3つ、1~6つ又は1~9つのN、O又はSであるヘテロ原子)。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル(フリル又はフラニル)、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニル又はチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが挙げられ;「ヘテロアリーレン」は、二価のヘテロアリール基を指す。
【0015】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基の1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組合せ(例えば、ブロモ及びフルオロ)又はフルオロ基のみが存在し得る。例えば、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲンによって置換されたアルキル基を指す。本明細書で使用される場合、「置換C1~8ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンによって置換されたC1~8アルキル基を指し、ハロゲン以外の1つ以上の他の置換基によってさらに置換される。ハロゲン原子は、炭素原子を置換しないため、ハロゲン原子による基の置換は、ヘテロ原子含有基とは考えられないことが理解されるべきである。
【0016】
明白に別に提示されない限り、上記の置換基のそれぞれは、任意選択的に置換され得る。「任意選択的に置換される」という用語は、置換又は無置換であることを指す。「置換された」は、化学構造又は基の少なくとも1つの水素原子が、指定された原子の通常の価数を超えないことを条件として、典型的には一価である別の末端置換基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2つのジェミナル水素原子が末端オキソ基で置き換えられている。オキソ基は、二重結合を介して炭素に結合してカルボニル(C=O)を形成し、カルボニル基は、本明細書では、-C(O)-として表されることにさらに留意されたい。置換基又は変数の組合せが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な置換基としては、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(O)、アミノ(-NH2)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(O)O-アルキル又は-OC(O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(O)O-アリール又は-OC(O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む);アミド(-C(O)NR2、ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CH2C(O)NR2、ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C2~18ヘテロシクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換若しくは無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3つの分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C3~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(O)2-アルキル)、C6~12アリールスルホニル、(-S(O)2-アリール)又はトシル(CH3C6H4SO2-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CH2CH2CNは、シアノ基で置換されたC2アルキル基である。
【0017】
本明細書において、別途定義されない限り、「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R’)-、C(O)N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はこれらの組合せの1つ以上を含む二価の基を指し、各R’は、独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はこれらの組合せの1つ以上を含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R’)-、-C(O)N(R’)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン又はこれらの組合せの少なくとも1つを含み、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~10アリール又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリールである。
【0018】
本明細書で用いる場合、「酸不安定基」は、酸の触媒作用により、任意選択的に及び典型的には熱処理を伴って、結合が開裂し、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基の形成をもたらす基を指し、ポリマー上に形成され、任意選択的に及び典型的には、開裂された結合に連結している部位は、ポリマーから切り離される。別の系では、非ポリマー系化合物は、酸の作用によって開裂され得る酸不安定基を含むことができ、非ポリマー系化合物の開裂した部分にカルボン酸基又はアルコール基などの極性基が形成される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーク(PEB)中に結合開裂が起こる、光により生成する酸である。しかしながら、実施形態は、これに限定されず、例えば、そのような酸は、熱的に生成され得る。好適な酸不安定基には、例えば、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、一般に、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」及び「酸感受性基」とも言われる。
【0019】
本発明者らは、半金属原子、例えばホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、テルル(Te)又はアンチモン(Sb)の1つ又は複数に連結しているシクロペンタジエニド基(シクロペンタジエニル基としても公知である)を含むアニオン性コアを含む光酸発生剤(PAG)を発見した。半金属原子はPAG中で中性であり、且つ隣接原子に共有結合的に結合しており、これは、半金属原子が無電荷であり、且つ正の電荷又は負の電荷を有さないことを意味することが理解されるべきである。フォトレジスト組成物中で使用されるとき、本発明によるPAGは、改善された解像度及び線幅粗さ(LWR)特性をもたらすことができる。
【0020】
有機カチオンと、アニオン性コアを含むアニオンとを含む光酸発生剤を提供する。アニオン性コアは、有機基で置換されているシクロペンタジエニド基を含む。有機基は、半金属元素(例えば、B、Si、Ge、As、Se、Te、Sb又はこれらの組合せ)を含む。光酸発生剤において、アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されている。いくつかの態様において、光酸発生剤のアニオンは、-F、-CF3又は-CF2-基を含まず、且つこれを非含有である。「-F、-CF3又は-CF2-基を非含有である」とは、光酸発生剤のアニオンが-CH2CF3及び-CH2CF2CH3などの基を除外することを意味することが理解されるべきである。さらに他の態様において、光酸発生剤のアニオンは、フッ素を非含有である(すなわちフッ素原子を含有せず、フッ素含有基で置換されていない)。いくつかの態様において、光酸発生剤は、フッ素を非含有である(すなわち、有機カチオン及びアニオンの両方は、フッ素を非含有である)。
【0021】
アニオン性コアは、シクロペンタジエニド基を含む。シクロペンタジエニドアニオン基は、1つ又は2つのフェニル基に任意選択的に縮合し得る。いくつかの態様において、アニオン性コアは、1つ又は2つのC6アリール基に縮合しているシクロペンタジエニド基を含む。シクロペンタジエニド基が1つのC6アリール基に縮合しているとき、このように得られた縮合環は、9つの炭素環原子を含み、シクロペンタジエニド基が2つのC6アリール基に縮合しているとき、このように得られた縮合環は、13個の炭素環原子を含むことが理解されるべきである。
【0022】
適切なアニオンは、その共役酸が-15~10のpKaを有するものを含む。より強い光酸が望ましい場合、アニオンの共役酸は、例えば、-15~1又は-15~-2のpKaを有し得る。より弱い光酸が望ましい場合、アニオンの共役酸は、例えば、-1~6又は0~4のpKaを有し得る。
【0023】
PAGは、ポリマーの繰り返し単位における一部として存在する非ポリマー形態又はポリマー形態であり得る。例えば、PAGは、重合性PAGモノマーの形態であるか、又はこのようなモノマーに由来するポリマーとしてのものであり得る。PAGがポリマー形態であるとき、これは、ポリマー骨格に対してペンダントである基として含まれ得るか、又はこれは、ポリマー骨格の一部として含まれ得る。
【0024】
一部の実施形態では、アニオン性コアを含むアニオンは、式(1)~(3)の1つ又は複数によって表され得る。
【化1】
【0025】
式(1)~(3)において、E1、E2、E3、E4及びE5は、それぞれ独立して、電子吸引基である。電子吸引基(EWG)は、共鳴効果、誘起効果、超共役効果又はこれらの組合せによって隣接原子からそれ自体に向けて電子密度を引き出す基である。EWGは、弱い電子吸引基、例えばハロゲン、中程度の電子吸引基、例えばアルデヒド(-CHO)、ケトン(-COR)、カルボン酸(-CO2H)、カルボン酸エステル(-CO2R)若しくはアミド(-CONH2)又は強い電子吸引基、例えばトリハライド(-CF3、CCl3)、シアノ(-CN)、スルホン(-SO2R)、スルホネート(-OSO2R)若しくはニトロ(-NO2)であり得る。いくつかの態様において、各電子吸引基は、独立して、ハロゲン、置換若しくは非置換C1~20ハロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリール、-OR6、-SR7、-NO2、-CN、-C(O)R8、-C(O)OR9、-C(O)NR10R11、-S(O)2OR12、-S(O)R13、-S(O)2R14、-OS(O)2R15又はこれらの組合せから選択され得る。R6~R12は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール、置換若しくは非置換C7~20アルキルアリール、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは非置換C4~20アルキルヘテロアリール又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルである。R13~R15は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~20アリール、置換若しくは非置換C7~20アルキルアリール、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは非置換C4~20アルキルヘテロアリール又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルである。一部の実施形態では、E1、E2、E3、E4及びE5は、それぞれ独立して、-CN、-C(O)R8、-C(O)OR9、-S(O)R13又は-S(O)2R14であり、R8、R9、R13及びR14は、本明細書に定義されている通りである。いくつかの態様において、E1~E5のそれぞれは、フッ素を非含有である。
【0026】
式(1)において、n1は、1~4の整数である。好ましくは、n1は、3又は4であり得、典型的には、n1は、4であり得る。一部の実施形態では、n1は、3以上の整数であり得る。
【0027】
式(2)において、n2は、0~4の整数であり、及びn3は、0~2の整数であり、ただし、n2及びn3の少なくとも1つは、0ではない。換言すると、式(2)は、環基置換基としてE2又はE3の少なくとも1つを必要とする。好ましくは、n2は、3又は4であり得、n3は、1又は2であり得、典型的には、n2は、4であり得、n3は、2であり得る。一部の実施形態では、n2+n3の合計は、3以上の整数であり得る。
【0028】
式(3)において、n4及びn5は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、ただし、n4及びn5の少なくとも1つは、0ではない。換言すると、式(3)は、環基置換基としてE4又はE5の少なくとも1つを必要とする。好ましくは、n4は、3又は4であり、n5は、3又は4であり、典型的には、n4及びn5は、それぞれ4である。一部の実施形態では、n4+n5の合計は、3以上の整数であり得る。
【0029】
1つ又は複数の実施形態では、n1は、3以上の整数であり得、n2+n3の合計は、3以上の整数であり得、n4+n5は、3以上の整数であり得る。
【0030】
式(1)において、m1は、0~3の整数である。好ましくは、m1は、0又は1であり、典型的には、m1は、0である。m1が0であるとき、水素原子が存在することが理解されるべきである。
【0031】
式(1)において、アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されているため、n1+m1の合計は、少なくとも1である。一部の実施形態では、n1+m1の合計は、1~4の整数であり得る。好ましくは、n1+m1の合計は、3又は4であり、典型的には、n1+m1の合計は、4である。
【0032】
式(2)において、m2は、0~4の整数であり、及びm3は、0~2の整数である。好ましくは、m2は、0又は1であり、m3は、0又は1であり、典型的には、m2及びm3は、両方とも0である。n2及びm2の合計が4未満であるとき、水素原子は存在し、且つm3が0であるとき、水素原子が存在することが理解されるべきである。
【0033】
式(2)において、アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されているため、n1+n2+m1+m2の合計は、少なくとも1である。一部の実施形態では、n2+m2の合計は、0~4の整数であり得る。好ましくは、n2+m2の合計は、3又は4であり、典型的には、n2+m2の合計は、4である。一部の実施形態では、n3+m3の合計は、0~2の整数であり得る。好ましくは、n3+m3の合計は、1又は2であり、典型的には、n3+m3の合計は、2である。
【0034】
式(3)において、m4及びm5は、それぞれ独立して、0~4の整数である。好ましくは、m4及びm5は、それぞれ独立して、0又は1であり得、典型的には、m4及びm5は、それぞれ0であり得る。n4及びm4の合計が4未満であるとき、水素原子は存在し、n5及びm5の合計が4未満であるとき、水素原子が存在することが理解されるべきである。一部の実施形態では、n4及びm4の合計は、4であり得、n5及びm5の合計は、4であり得る。
【0035】
式(3)において、アニオンは、1つ又は複数の電子吸引基で置換されているため、n4+n5+m4+m5の合計は、少なくとも1である。一部の実施形態では、n4+m4の合計は、0~4の整数であり得る。好ましくは、n4+m4の合計は、3又は4であり、典型的には、n4+m4の合計は、4である。一部の実施形態では、n5+m5の合計は、0~4の整数であり得る。好ましくは、n5+m5の合計は、3又は4であり、典型的には、n5+m5の合計は、4である。
【0036】
式(1)~(3)において、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~30アルキル、置換若しくは非置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C4~30シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは非置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C4~8シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~14アリール、置換若しくは非置換C7~15アリールアルキル、置換若しくは非置換C7~15アルキルアリール、置換若しくは非置換C3~10ヘテロアリール、置換若しくは非置換C4~11ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~11アルキルヘテロアリールであり得る。
【0037】
R1、R2、R3、R4及びR5のそれぞれは、その構造の一部として二価連結基又は重合性基の一方又は両方を任意選択的にさらに含む。例示的な重合性基は、エチレン性不飽和二重結合を含むもの、例えば置換若しくは非置換C2~20アルケニル又は置換若しくは非置換ノルボルニル、好ましくは(メタ)アクリレート又はC2アルケニルであり得る。
【0038】
式(1)において、隣接する2つ以上のR1基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、2つ以上のR1基は、一緒に環を形成しない。
【0039】
式(2)において、隣接する2つ以上のR2基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、2つ以上のR2基は、一緒に環を形成しない。式(2)において、隣接する2つ以上のR3基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、2つ以上のR3基は、一緒に環を形成しない。式(2)において、隣接する2つ以上のR2及びR3基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R2及びR3は、一緒に環を形成しない。
【0040】
式(3)において、隣接する2つ以上のR4基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、2つ以上のR4基は、一緒に環を形成しない。式(3)において、隣接する2つ以上のR5基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、2つ以上のR5基は、一緒に環を形成しない。式(3)において、隣接する2つ以上のR4及びR5基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R4及びR5は、一緒に環を形成しない。
【0041】
式(1)、(2)及び(3)において、L1、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合又は二価連結基であり得る。例示的な二価連結基は、置換若しくは非置換C1~30アルキレン、置換若しくは非置換C4~30シクロアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~30アリーレン、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリーレン、置換若しくは非置換二価C4~30ヘテロアリールアルキレン、-O-、-C(O)-及び/又は-C(O)O-の1つ若しくは複数を含む。好ましくは、L1、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合又は置換若しくは非置換C1~10アルキレン、-O-、-C(O)-及び/若しくは-C(O)O-の1つ若しくは複数から選択される二価連結基である。一部の実施形態では、L1、L2及びL3は、フッ素原子又はフッ素原子で置換されている基を含まない。
【0042】
式(1)において、1つ又は複数のR1基及びL1は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R1及びL1は、一緒に環を形成しない。
【0043】
式(2)において、1つ又は複数のR2基及びL2は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R2及びL2は、一緒に環を形成しない。式(2)において、1つ又は複数のR3基及びL2は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R3及びL2は、一緒に環を形成しない。
【0044】
式(3)において、1つ又は複数のR4基及びL3は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R4及びL3は、一緒に環を形成しない。式(3)において、1つ又は複数のR5基及びL3は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。一部の実施形態では、R5及びL3は、一緒に環を形成しない。
【0045】
式(1)、(2)及び(3)において、Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立して、B、Si、Ge、As、Se、Te、Sb若しくはこれらの組合せから選択され得るか、又は好ましくはB、Si若しくはGeから選択され得る半金属元素を含む有機基である。一部の実施形態では、有機基Y1、Y2及び/又はY3は、B、Si、Ge又はこれらの組合せから選択される1種又は複数の半金属元素を含み得る。
【0046】
一部の実施形態では、Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、式(4)~(6):
【化2】
の1つによって表され得、式中、各
*は、Y
1についてL
1への結合部位、Y
2についてL
2への結合部位又はY
3についてL
3への結合部位をそれぞれ表す。
【0047】
式(4)において、Z1は、セレン(Se)、テルル(Te)、Se-Se又はTe-Teであり得る。好ましくは、Z1は、Teである。
【0048】
式(5)において、Z2は、ホウ素(B)、ヒ素(As)、酸化ヒ素(AsO)、アンチモン(Sb)又は酸化アンチモン(SbO)であり得る。好ましくは、Z2は、ホウ素(B)である。本明細書において使用する場合、酸化ヒ素は、式As(=O)のものであり、酸化アンチモンは、式Sb(=O)のものである。
【0049】
式(6)において、Z3は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)又はテルル(Te)であり得る。好ましくは、Z3は、ケイ素(Si)又はゲルマニウム(Ge)である。
【0050】
式(4)において、R19は、シアノ、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C1~20アルコキシ、置換若しくは非置換C4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C6~30アリールオキシ、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルであり得、R19は、その構造の一部として二価連結基を任意選択的にさらに含む。好ましくは、R19は、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10アルコキシ又は置換若しくは非置換C6~14アリールである。R19は、その構造の一部として二価連結基を任意選択的にさらに含み得る。例えば、R19は、-O-、-C(O)-、-C(O)O-及びこれらの組合せから選択されるヘテロ原子含有連結基をさらに含み得る。
【0051】
式(5)において、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C1~20アルコキシ、置換若しくは非置換C4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C2~20アルキニル、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C6~30アリールオキシ、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルであり得る。好ましくは、R20及びR21は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10アルコキシ又は置換若しくは非置換C6~14アリールである。
【0052】
式(5)において、R20及びR21の少なくとも1つは、有機基(例えば、水素又はハロゲンでない置換基)である。
【0053】
式(5)において、R20及びR21は、その構造の一部として二価連結基をそれぞれ任意選択的にさらに含み得る。例えば、R20及びR21は、それぞれ-O-、-C(O)-、-C(O)O-及びこれらの組合せから選択されるヘテロ原子含有連結基をさらに含み得る。
【0054】
式(5)において、R20及びR21は、単結合又は1つ若しくは複数の二価連結基を介して互いに任意選択的に連結されて環を形成し得、環は、置換され得るか又は非置換であり得る。例えば、R20及びR21は、式-O-(Ca1R25R26)-(Ca2R27R28)-O-の二価連結基を介して互いに連結され得、R25~R28は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは非置換C1~10アルキルであり、Ca1及びCa2は、一緒に、任意選択的に環を形成し、環は、置換され得るか又は非置換であり得る。
【0055】
式(6)において、R22~R24は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C1~20アルコキシ、置換若しくは非置換C4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C2~20アルキニル、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C6~30アリールオキシ、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキルであり得る。好ましくは、R22~R24は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C1~10アルコキシ又は置換若しくは非置換C6~14アリールである。
【0056】
式(6)において、R22~R24の少なくとも1つは、有機基(例えば、水素又はハロゲンでない置換基)である。
【0057】
R22及びR24は、その構造の一部として二価連結基をそれぞれ任意選択的にさらに含み得る。例えば、R22~R24は、それぞれ-O-、-C(O)-、-C(O)O-及びこれらの組合せから選択されるヘテロ原子含有連結基をさらに含み得る。
【0058】
R22~R24の2つ以上は、単結合又は1つ若しくは複数の二価連結基を介して互いに任意選択的に連結されて環を形成し得、環は、置換され得るか又は非置換であり得る。
【0059】
1つ又は複数の実施形態では、アニオンは、1つ又は複数の-CN基及び少なくとも1つのSi原子を含み得る。一部の実施形態では、アニオンは、2つ以上の-CN基及び少なくとも1つのSi原子を含み得る。一部の実施形態では、アニオンは、3つ以上の-CN基及び少なくとも1つのSi原子を含み得る。さらに他の実施形態では、アニオンは、4つ以上の-CN基及び少なくとも1つのSi原子を含み得る。
【0060】
いくつかの態様において、光酸発生剤のアニオンは、式(1a)、(2a)又は(3a):
【化3】
の1つ又は複数によって表され得る。
【0061】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、M1は、B、Si、Ge、As、AsO、Se、Se-Se、Te、Te-Te、Sb又はSbOであり得る。好ましくは、M1は、B又はSiである。
【0062】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、x及びyは、それぞれ0又は1である。例えば、M1がSe、Te、Se-Se又はTe-Teであるとき、x及びyは、両方とも0である。例えば、M1がB、As、AsO、Sb又はSbOであるとき、xは、1であり、yは、0である(又はxは、0であり、yは、1である)。例えば、M1がSi、Ge又はTeであるとき、x及びyは、両方とも1である。
【0063】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、E1、E2、E3、E4及びE5は、それぞれ独立して、式(1)~(3)について定義したような電子吸引基である。
【0064】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、n1~n5及びm1~m5は、式(1)~(3)について定義した通りである。式(1a)、(2a)及び(3a)において、光酸発生剤のアニオンは、少なくとも1つのEWGを含む。
【0065】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、式(1)~(3)について定義した通りである。隣接する2つ以上のR1基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。隣接する2つ以上のR2基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。隣接する2つ以上のR3基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。式(2a)において、隣接する2つ以上のR2及びR3基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。隣接する2つ以上のR4基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。隣接する2つ以上のR5基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。式(3a)において、隣接する2つ以上のR4及びR5基は、一緒に、その構造の一部として1つ又は複数の二価連結基を任意選択的にさらに含む環を任意選択的に形成し、1つ又は複数の二価連結基のそれぞれは、置換されているか又は非置換であり、環は、置換されているか又は非置換である。
【0066】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、R22a及びR23aは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換又は非置換C1~10アルキル、置換又は非置換C1~10アルコキシ、置換又は非置換C2~20アルキニル、置換又は非置換C6~14アリールであり得る。好ましくは、R22a及びR23aは、それぞれ独立して、置換又は非置換C1~5アルキルである。
【0067】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、R24aは、シアノ、置換又は非置換C1~10アルキル、置換又は非置換C1~10アルコキシ、置換又は非置換C2~20アルキニル、置換又は非置換C6~14アリールであり得る。好ましくは、R24aは、それぞれ独立して、置換又は非置換C1~5アルキルである。
【0068】
式(1a)、(2a)及び(3a)において、L4は、単結合又は二価連結基であり得る。例示的な二価連結基は、置換若しくは非置換C1~30アルキレン、置換若しくは非置換C4~30シクロアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換C6~30アリーレン、置換若しくは非置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリーレン、置換若しくは非置換二価C4~30ヘテロアリールアルキレン、-O-、-C(O)-及び/又は-C(O)O-の1つ又は複数を含む。好ましくは、L4は、単結合又は置換若しくは非置換C1~10アルキレン、-O-、-C(O)-及び/若しくは-C(O)O-の1つ若しくは複数から選択される二価連結基である。一部の実施形態では、L4は、フッ素原子又はフッ素原子で置換されている基を含まない。
【0069】
いくつかの態様において、光酸発生剤のアニオンは、式(1b)、(1c)、(2b)又は(3b):
【化4】
の1つ又は複数によって表され得る。
【0070】
式(1b)、(1c)、(2b)及び(3b)において、M1は、B、Si、Ge、As、AsO、Se、Se-Se、Te、Te-Te、Sb又はSbOであり得る。
【0071】
式(1b)、(1c)、(2b)及び(3b)において、x及びyは、それぞれ0又は1である。例えば、M1がSe、Te、Se-Se又はTe-Teであるとき、x及びyは、両方とも0である。例えば、M1がB、As、AsO、Sb又はSbOであるとき、xは、1であり、yは、0である(又はxは、0であり、yは、1である)。例えば、M1がSi、Ge又はTeであるとき、x及びyは、両方とも1である。
【0072】
式(1b)、(1c)、(2b)及び(3b)において、R22a~R24aは、それぞれ式(1a)、(2a)及び(3a)について定義した通りである。
【0073】
式(1b)、(1c)、(2b)及び(3b)において、各A1は独立して、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル又はオキソ基(=O)であり得る。好ましくは、各A1は、独立して、水素又はオキソ基である。
【0074】
式(1b)及び(3b)において、各A2は、独立して、水素、-CN、-C(O)R8a、-C(O)OR9a、-S(O)R13a又は-S(O)2R14aであり得、R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C4~8シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~14アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり、R13a及びR14aは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C4~8シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~14アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである。好ましくは、各A2は、独立して、水素、-CN、-C(O)R8a、-C(O)OR9a、-S(O)R13a又は-S(O)2R14aであり、R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~5アルキル又は置換若しくは非置換C6~14アリールであり、R13a及びR14aは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~5アルキル又は置換若しくは非置換C6~14アリールである。
【0075】
式(2b)及び(3b)において、各A3~A8は、独立して、水素、-CN、-C(O)R8b、-C(O)OR9b、-S(O)R13b又は-S(O)2R14bであり得、R8b及びR9bは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C4~8シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~14アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールであり、R13b及びR14bは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~10アルキル、置換若しくは非置換C4~8シクロアルキル、置換若しくは非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C6~14アリール又は置換若しくは非置換C3~20ヘテロアリールである。好ましくは、A3~A8は、それぞれ独立して、-CN、-C(O)R8b、-C(O)OR9b、-S(O)R13b又は-S(O)2R14bであり、R8b及びR9bは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換C1~5アルキル又は置換若しくは非置換C6~14アリールであり、R13b及びR14bは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~5アルキル又は置換若しくは非置換C6~14アリールである。
【0076】
式(1)~(3)のアニオンの非限定的例は、以下を含む。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0077】
光酸発生剤は、有機カチオンをさらに含む。いくつかの態様において、有機カチオンは、重合性基、例えばエチレン性不飽和二重結合を含む重合性基、例えば置換若しくは非置換C2~20アルケニル又は置換若しくは非置換ノルボルニル、好ましくは(メタ)アクリレート又はC2アルケニルを含み得る。
【0078】
一部の実施形態では、有機カチオンは、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであり得る。一部の実施形態では、有機カチオンは、式(6a)のスルホニウムカチオン又は式(6b)のヨードニウムカチオンであり得る。
【化9】
【0079】
式(6a)及び(6b)において、R30~R34は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1~20アルキル、置換若しくは非置換C4~20シクロアルキル、置換若しくは非置換C2~20アルケニル、置換若しくは非置換C6~30アリール、置換若しくは非置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは非置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは非置換C4~20ヘテロアリールアルキル或いはこれらの組合せである。R30~R34のそれぞれは、独立しているか、又は単結合若しくは二価連結基を介して別の基R30~R34と連結されて環を形成し得る。R30~R34のそれぞれは、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に含み得る。R30~R34のそれぞれは、独立して、例えば三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル及びアリール基の組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。
【0080】
式(6a)の例示的なスルホニウムカチオンは、
【化10】
【化11】
の1つ又は複数を含み得る。
【0081】
式(6b)の例示的なヨードニウムカチオンは、
【化12】
の1つ又は複数を含み得る。
【0082】
適切な光酸発生剤は、上記のアニオン及びカチオンの任意の組合せからもたらされるものを含む。一部の実施形態では、光酸発生剤は、双生イオンであり得る。例えば、式(1)~(3)において、R
1~R
5は、-S
+R
15R
16又は-I
+R
15であり得、式中、R
15及びR
16は、上記に定義されている通りであり、これは、アニオン上にカチオン性置換基を提供する。適切な双性イオン性光酸発生剤は、例えば、以下を含む。
【化13】
【化14】
【0083】
光酸発生剤は、当技術分野において公知の方法により且つ以下でさらに詳細に開示する本実施例で例示されるように調製され得る。
【0084】
ポリマー、本明細書に記載されている光酸発生剤及び溶媒を含むフォトレジスト組成物も提供される。
【0085】
フォトレジスト組成物のポリマーは、2つ以上の構造的に異なる繰り返し単位を含むホモポリマー又はコポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、ヒドロキシアリール基、酸不安定基、塩基可溶化基、ラクトン含有基、スルトン含有基、極性基、架橋性基、架橋基など、又はこれらの組合せから選択される官能基を含む1つ又は複数の繰り返し単位を含み得る。
【0086】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマーは、酸不安定基を含むモノマーから形成される繰り返し単位を含み得る。適切な酸不安定基は、例えば、三級エステル、アセタール、ケタール及び三級エーテル基を含む。
【化15】
【化16】
【化17】
式中、R
dは、水素、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、置換若しくは非置換C
1~6アルキル又は置換若しくは非置換C
3~6シクロアルキルである。
【0087】
酸不安定基を有する繰り返し単位がポリマー中に存在するとき、これは、典型的には、ポリマー中の総繰り返し単位に基づいて25~75mol%、より典型的には25~50mol%、さらにより典型的には30~50mol%の量で存在する。
【0088】
一部の実施形態では、ポリマーは、1種又は複数のラクトン含有モノマーに由来する繰り返し単位を含み得る。適切なラクトン含有モノマーは、例えば、
【化18】
を含み、式中、R
dは、水素、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、置換若しくは非置換C
1~6アルキル又は置換若しくは非置換C
3~6シクロアルキルである。
【0089】
一部の実施形態では、ポリマーは、塩基可溶化基を有し、且つ/又は12以下のpKaを有する繰り返し単位を含み得る。例示的な塩基可溶化基は、フルオロアルコール基、カルボン酸基、カルボキシミド基、スルホンアミド基又はスルホンイミド基を含み得る。
【0090】
塩基可溶化基を含むモノマーの非限定的例は、
【化19】
【化20】
を含み、式中、R
iは、水素、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、置換若しくは非置換C
1~6アルキル又は置換若しくは非置換C
3~6シクロアルキルである。
【0091】
ポリマーは、1種以上の追加の繰り返し単位を任意選択的にさらに含み得る。追加の繰り返し構造単位は、例えば、エッチ速度及び溶解性など、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位であり得る。例示的な追加の単位は、(メタ)アクリレート、ビニル芳香族、ビニルエーテル、ビニルケトン及び/又はビニルエステルモノマーの1つ以上から誘導されるものを含み得る。1種以上の追加の繰り返し単位は、第1及び/又は第2のポリマー中に存在する場合、ポリマーの繰り返し単位の合計を基準として50モル%以下、典型的には3~50モル%の量で使用され得る。
【0092】
本発明の非限定的で例示的なポリマーは、
【化21】
の1つ又は複数を含み、式中、a、b及びcは、ポリマーのそれぞれの繰り返し単位についてのモル画分を表し、a+b+c=1である。
【0093】
ポリマーは、典型的には、1,000~50,000ダルトン(Da)、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは3,000~20,000Da、さらにより好ましくは4,000~15,000Daの重量平均分子量(Mw)を有する。第1のポリマーの多分散性指数(PDI)(Mwと数平均分子量(Mn)の比である)は、典型的には、1.1~3、より典型的には1.1~2である。分子量値は、ポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0094】
ポリマーは、当技術分野で任意の適切な方法を使用して調製され得る。例えば、本明細書に記載されている繰り返し単位に対応する1種又は複数のモノマーは、適切な溶媒及び開始剤を使用して合わされるか又は別々に供給され、反応器において重合し得る。例えば、ポリマーは、任意の適切な条件下において、例えば有効な温度での加熱、有効な波長での化学線照射又はこれらの組合せにより、それぞれのモノマーの重合によって得ることができる。
【0095】
いくつかの態様において、フォトレジスト組成物は、1種又は複数のさらなる光酸発生剤(PAG)をさらに含み得る。PAGは、イオン性又は非イオン性形態であり得る。PAGは、ポリマー又は非ポリマー形態であり得る。ポリマー形態において、PAGは、重合性PAGモノマーに由来するポリマーの繰り返し単位における一部として存在し得る。
【0096】
適切なさらなるPAG化合物は、式G+A-を有し得、式中、G+は、光活性カチオンであり、A-は、光酸を生じさせることができるアニオンである。光活性カチオンは、好ましくは、本発明のPAG(例えば、式(6a)及び(6b)のもの)に関して、上述したものなどのオニウムカチオン、好ましくはヨードニウム又はスルホニウムカチオンから選択される。特に適切なアニオンは、その共役酸が-15~10のpKaを有するものを含む。アニオンは、典型的には、スルホネート基又は非スルホネートタイプ基を有する有機アニオン、例えばスルホンアミデート、スルホンイミデート、メチド又はボレートである。
【0097】
スルホネート基を有する例示的な有機アニオンは、
【化22】
の1つ又は複数を含む。
【0098】
例示的な非スルホン化アニオンは、
【化23】
の1つ又は複数を含む。
【0099】
一般に使用されるオニウム塩は、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムショウノウスルホネートを含む。他の有用なPAG化合物は、化学増幅フォトレジストの技術分野において公知であり、例えば非イオン性スルホニル化合物、例えば2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えばビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えばビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えばN-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;及びハロゲン含有トリアジン化合物、例えば2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンを含む。適切な光酸発生剤は、(特許文献1)及び(特許文献2)においてさらに記載されている。
【0100】
典型的には、フォトレジスト組成物がさらなる非ポリマーPAGを含むとき、PAGは、フォトレジスト組成物の全固体に基づいて0.1~55重量%、より典型的には1~25重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。ポリマー形態で存在するとき、さらなるPAGは、典型的には、ポリマー中の総繰り返し単位に基づいて1~25mol%、より典型的には1~8mol%又は2~6mol%の量でポリマー中に含まれる。
【0101】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解させ、且つ基板上でのそのコーティングを容易にするための溶媒をさらに含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。適切な溶媒としては、例えば、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)(DAA)などのアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME);ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソールなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)などのケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソブチレートメチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチルなどのエステル;γ-ブチロラクトン(GBL)及びε-カプロラクトンなどのラクトン;N-メチルピロリドンなどのラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル;炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジフェニル及び炭酸プロピレンなどの環状又は非環状炭酸エステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒;水;並びにこれらの組合せが挙げられる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO、DAA及びこれらの組合せである。
【0102】
フォトレジスト組成物中の総溶媒含有量(すなわち全ての溶媒についての累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として典型的には40~99重量%、例えば60~99重量%又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされたフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0103】
本発明のフォトレジスト組成物では、ポリマーは、フォトレジスト組成物中において、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として合わせて典型的には10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には50~95重量%の量で存在する。総固形分には、ポリマー、PAG及び他の非溶媒成分が含まれると理解されるであろう。
【0104】
いくつかの態様では、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基を含む物質(「塩基不安定物質」)をさらに含み得る。本明細書で言及されるように、塩基不安定基は、露光ステップ及び露光後ベーキングステップ後、水性アルカリ性現像液の存在下で開裂反応を受けてヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸等などの極性基を提供することができる官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像ステップ前に有意に反応しない(例えば、結合切断反応を受けない)であろう。したがって、例えば塩基不安定基は、露光前ソフトベークステップ、露光ステップ及び露光後ベークステップ中に実質的に不活性であろう。「実質的に不活性」とは、塩基不安定基(又は部位)の5%以下、典型的には1%以下が露光前のソフトベーク、露光及び露光後のベークステップ中に分解、切断又は反応することを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液などの水性アルカリ性フォトレジスト現像液を使用する典型的なフォトレジスト現像条件下で反応する。例えば、TMAHの0.26N水溶液を、単一パドル現像又は動的現像に使用することができ、例えば、0.26NのTMAH現像液は、画像化されたフォトレジスト層に10~120秒(s)などの適切な時間で分配される。例示的な塩基不安定基は、エステル基、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定物質は、第1及び/又は第2のポリマー並びにフォトレジスト組成物の他の固形成分と実質的に混和せず、第1及び/又は第2のポリマー並びにフォトレジスト組成物の他の固形成分よりも表面エネルギーが低い。基板上にコーティングされた場合、塩基不安定物質は、それにより、フォトレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面に分離し得る。
【0105】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、ポリマー系材料であり得、本明細書では塩基不安定ポリマーとも呼ばれ、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む1種以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同じ又は異なる2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む少なくとも1種の繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0106】
塩基不安定ポリマーは、第1及び第2ポリマーについて本明細書で記載されたものを含めて、当技術分野における任意の適切な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線での照射又はそれらの組合せなど、任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。加えて又は代わりに、1つ以上の塩基不安定基は、適切な方法を用いてポリマーの主鎖上にグラフトされ得る。
【0107】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、1つ以上の塩基不安定エステル基、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基を含む単一の分子である。単一分子である塩基不安定は、典型的には、50~1,500Daの範囲のMWを有する。
【0108】
存在する場合、塩基不安定物質は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%、典型的には1~5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0109】
塩基不安定ポリマーに加えて又はその代わりに、フォトレジスト組成物は、上述のポリマーに加えて且つそれと異なる1種以上のポリマーをさらに含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上記で説明した通りであるが、組成が異なる追加のポリマーを含み得る。加えて又は代わりに、1つ以上の追加のポリマーとしては、フォトレジスト技術において周知のもの、例えばポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール又はそれらの組合せから選択されるものを挙げ得る。
【0110】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の追加の任意選択的な添加剤をさらに含み得る。例えば、任意選択的な添加剤としては、化学線及びコントラスト染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性クエンチャー(PDQ)(光分解性塩基としても知られている)、塩基性クエンチャー、熱酸発生剤、界面活性剤など、又はそれらの組合せを挙げ得る。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0111】
PDQは、照射されると弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成する酸は、レジストマトリックスに存在する酸不安定基と迅速に反応するほど強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは例えばC1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸のアニオン等の弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なスルホン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好ましい実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレート等の光分解性有機双性イオン化合物である。
【0112】
光分解性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であり得る。ポリマー形態の場合、光分解性失活剤は、第1のポリマー又は第2のポリマー上の重合単位に存在する。光分解性失活剤を含む重合単位は、典型的には、ポリマーの繰り返し単位の合計を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0113】
例示的な塩基性失活剤としては、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバル酸アミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N1、N1、N3、N3-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート及びホスホネートの四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;一級及び二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが挙げられる。
【0114】
塩基性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であり得る。ポリマー形態である場合、失活剤は、ポリマーの繰り返し単位中に含み得る。失活剤を含む重合単位は、典型的には、ポリマーの繰り返し単位の合計を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0115】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であり得、非イオン性界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能なFC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC4界面活性剤並びにOmnovaのPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが挙げられる。一態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーをさらに含む。
【0116】
本発明のフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法について述べる。フォトレジスト組成物をコーティングすることができる好適な基板には、電子デバイス基板が含まれる。多様な電子デバイス基板、例えば半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)のための基板等などが本発明で使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造で使用されるものなどのウェハーの形態であり得る。そのような基板は、任意の適切なサイズであり得る。典型的なウェハー基板の直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、本発明によれば、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーを適切に使用することができる。基板は、任意選択的に、形成されているデバイスのアクティブな又は操作可能な部分を含み得る1つ以上の層又は構造を含み得る。
【0117】
典型的には、ハードマスク層、例えばスピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層又はそれらの組合せなどの1つ以上のリソグラフィー層は、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。そのような層は、オーバーコートされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィー材料スタックを形成する。
【0118】
任意選択的に、接着促進剤の層は、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的にはトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤など、ポリマーフィルムのための任意の適切な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Industrial(Marlborough,Massachusetts)から入手可能である、AP(商標)3000、AP(商標)8000及びAP(商標)9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0119】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング等などの任意の適切な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、典型的には、最大4,000回転/分(rpm)、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmの速度で15~120秒の期間回転され、基板上にフォトレジスト組成物の層が得られる。コートされる層の厚さは、スピン速度及び/又は組成物の総固形分を変えることによって調節され得ることが当業者によって理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト組成物層は、典型的には、乾燥層厚みが3~30マイクロメートル(μm)、好ましくは5~30μm超、より好ましくは6~25μmである。
【0120】
フォトレジスト組成物は、典型的には、次に層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それにより不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行われ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えば、フォトレジスト組成物及び厚さに依存する。ソフトベーク温度は、典型的には、80~170℃、より典型的には90~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、より典型的には1分~10分、さらに典型的には1分~2分である。加熱時間は、組成物の成分を基づいて当業者により容易に決定することができる。
【0121】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いをもたらすために活性化放射線にパターン様露光される。組成物のために活性化する放射にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを表す。露光は、典型的には、レジスト層の露光領域及び非露光領域にそれぞれ対応する光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有するパターン化フォトマスクを通して行われる。代わりに、そのような露光は、典型的には、電子ビームリソグラフィのために用いられる直接描画法において、フォトマスクなしで行われ得る。活性化放射は、典型的には、400nm未満、300nm未満若しくは200nm未満の波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)、13.5nm(EUV)であるか、又は電子ビームリソグラフィが好ましい。好ましくは、活性化放射は、248nmの放射である。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィー技術において利用される。露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には1平方センチメートルあたり1~200ミリジュール(mJ/cm2)、好ましくは10~100mJ/cm2、より好ましくは20~50mJ/cm2である。
【0122】
フォトレジスト層の露光後、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBの条件は、例えば、フォトレジスト組成物及び層の厚さに依存する。PEBは、典型的には、70~150℃、好ましくは75~120℃の温度で30~120秒間行われる。極性が切り替えられた領域(露光領域)と、切り替えられていない領域(非露光領域)とによって画定される潜像がフォトレジストに形成される。
【0123】
露光されたフォトレジスト層を次に適切な現像液で現像して、現像液に可溶である層の領域を選択的に除去する一方、残った不溶領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上述されたような任意の適切な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶領域を除去するのに有効な時間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0124】
PTDプロセスのための適切な現像液には、水性塩基現像液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化第四級アンモニウム溶液、好ましくは0.26規定(N)のTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセスに好適な現像液は、有機溶媒系であり、現像液中の有機溶媒の累積含有量が、現像液の総重量を基準として、50重量%以上、典型的には95重量%以上、98重量%以上又は100重量%であることを意味する。NTD現像液のための適切な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素及びそれらの混合物から選択されるものが含まれる。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0125】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層にわたるフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0126】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され得、それにより公知のエッチング技術、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、したがって、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチングマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写中に消費されない場合、それは、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスにおいて使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップ、オプトエレクトロニックチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス及び他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0127】
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに例証する。
【実施例0128】
化合物i-1の合成
【化24】
撹拌したシアン化ナトリウム(10.0グラム(g)、204.04ミリモル(mmol))のジメチルホルムアミド(DMF、120ミリリットル(mL))溶液に、CS
2(15.5g、204.04mmol)をアルゴン雰囲気下で45分にわたって滴下で加え、次いで反応混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を600mLの脱イオン(DI)水中に注ぎ、このように得られた混合物を12時間静置させた。このように得られた形成された硫黄沈殿物を濾過によって除去し、濾液を丸底フラスコ中に移した。過硫酸アンモニウム(46.5g、204.04mmol)の脱イオン水(93mL)溶液を濾液に滴下で30分にわたって加え、次いで反応混合物を室温で15分間撹拌した。テトラシアノ生成物を含有するこのように得られた沈殿物を濾過によって収集し、脱イオン水(200mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。沈殿物をCH
3CN(600mL)に懸濁させ、濾過した。濾液を濃縮し、10.5gの粗生成物を薄茶色の固体として得た。精製後、テトラシアノジチイン(i-1)を、超高性能液体クロマトグラフ(UPLC)によって99.95%の純度を伴って黄色の固体(8.5g、19%の収率)として単離した。炭素-13核磁気共鳴(
13C-NMR)分光法(100メガヘルツ(MHz)、ジメチルスルホキシド-d
6(DMSO-d
6)):化学シフト(デルタ、δ):125.5百万分率(ppm)及び112.4ppm。
【0129】
化合物i-2の合成
【化25】
テトラシアノジチイン(i-1)(5.0g、23.12mmol)の1,2-ジクロロベンゼン(25mL)溶液をアルゴンガスで10分間パージし、次いで1時間撹拌しながら180~200℃に加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却した。粗固体生成物を濾過によって得て、ヘキサン(100mL)で洗浄し、続いてエタノール(50mL)中で30分間撹拌し、次いで固体を濾過によって単離し、乾燥させた。粗生成物をテトラヒドロフラン(THF、25mL)に溶解し、150mgの活性炭をそこに加え、このように得られた混合物を15分間撹拌しながら50℃に加熱した。この時間後、混合物を、珪藻土のパッドを通して濾過し、THF(25mL)ですすいだ。得られた濾液を濃縮し、1.2gの化合物i-2を、UPLCによって97%の純度を伴って薄茶色の固体として提供した。
13C-NMR分光法(100MHz,DMSO-d6):δ:125.0ppm,120.7ppm及び110.0ppm.
【0130】
化合物i-3の合成
【化26】
3つ口丸底フラスコに、(3-ブロモプロポキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(20.0g、78.97mmol)、トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(16.0g、102.66mmol)及びDMF(200mL)をアルゴン雰囲気下で合わせた。反応混合物を120℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で12時間撹拌した。次いで、反応物を室温に冷却させた。粗生成物を収集し、酢酸エチル(100mL)に溶解し、脱イオン水(2×40mL)及びブライン(1×20mL)で洗浄し、次いで有機層を分離し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、25gの粗生成物を淡褐色の液体として得た。粗生成物を、シリカゲル及び溶離液として石油エーテル中の6容量%ジクロロメタンを使用したカラムクロマトグラフィーによって精製した。化合物i-3(10.8g)を、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)によって89%の純度を伴って45%収率で無色の液体として得た。プロトン核磁気共鳴(
1H-NMR)分光法(400MHz,CDCl
3),δ:3.75ppm(t,2H),3.33-3.38ppm(m,2H),2.08-2.15ppm(m,2H),0.91ppm(s,9H),0.07ppm(s,6H).
【0131】
i-4の合成
【化27】
化合物i-3(2.0g、6.53mmol)のTHF(18mL)溶液を、撹拌した60重量%NaH(783mg、19.57mmol)のTHF(8mL)及びDMF(4mL)溶液に0℃でアルゴン雰囲気下において滴下で加えた。このように得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで-40℃に冷却した。化合物i-2(1.32g、7.18mmol)のTHF(18mL)溶液をそこに加え、反応混合物を-40℃で2時間撹拌した。反応混合物を脱イオン水(40mL)でクエンチし、次いで酢酸エチル(2×40mL)で抽出し、次いで生成物をブライン(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、このように得られた生成物を減圧下で乾燥させ、2.2gの粗化合物を濃褐色の液体として得た。粗化合物を、シリカを使用して、且つDCM中の10~40%CH
3CNで徐々に溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。800mg(35%)の収量。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3),δ:3.70ppm(t,2H),2.71ppm(t,2H),0.84ppm(s,9H),-0.1ppm(s,6H).
【0132】
PAG-1の合成
【化28】
撹拌子及びゴム製セプタムを備えた100mLの丸底フラスコにおいて、化合物i-4(0.346g、1.0mmol)及びトリフェニルスルホニウムブロミド(0.342g、1.0mmol)を、ジクロロメタン(10mL)及び脱イオン水(10mL)の混合物に溶解させる。反応混合物を室温で2時間撹拌する。有機層を分離し、脱イオン水で洗浄する(2×10mL)。有機溶媒を減圧下で部分的に除去し(容量の80%)、固体としてPAG-1が生成される予想を伴って濃縮した溶液を25mLのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)を含有する容器中にゆっくりと注ぎ、これを濾過し、乾燥させる。
【0133】
フォトレジスト組成物の調製
ポジ型のフォトレジスト組成物は、7.73gのポリマー溶液(PGMEA中の10重量%のポリマーP1)、10.8gのPAG-1溶液(メチル-2-ヒドロキシイソブチレート(HBM)中1重量%)及び2.2gのtert-ブチル(1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル)カルバメート溶液(PGMEA中1重量%)を最初に合わせることによって調製する。2.97gのPGMEA及び6.10gのHBMを混合物に加える。次いで、このように得られた混合物を0.2μmのPTFEフィルターを通して濾過し、フォトレジスト組成物を提供する。
【化29】
【0134】
リソグラフィー試験
上記のフォトレジスト組成物を300mmのシリコンウエハー上の80nmのAR(商標)40下層(DuPont Electronics&Industrial)上にスピンコーティングし、続いて90℃で60秒間ソフトベークし、90nmの乾燥厚さとする。レジストコーティング層は、パターン化マスクを通して193nmの放射に露光される。露光されたウェハーは、100℃で60秒間ベークされ、レジスト層は、0.26NのTMAH溶液中で現像される。パターン化フォトレジスト層が予想される。
【0135】
実用的で例示的な実施形態であると現在考えられているものに関連して本開示を説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、反対に添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。