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特開2024-13219深層学習を使用するX線散乱測定データの解析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013219
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】深層学習を使用するX線散乱測定データの解析
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240124BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G06T7/00 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023115767
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】63/390,328
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/482,599
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/333,555
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517006463
【氏名又は名称】ブルカー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ バラノフスキー
(72)【発明者】
【氏名】インバー グリンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジー グリーン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ウォーミントン
【テーマコード(参考)】
4M106
5L096
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106CA39
4M106DH25
4M106DH34
4M106DJ20
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA05
5L096GA51
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】深層学習技術を使用するX線散乱測定データを解析するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】NNを訓練する方法は、(a)(i)入射X線ビームをサンプルに対してある角度に向けることに応答してサンプル内に形成された構造から回折したX線光子を示す回折画像と(ii)構造の少なくとも第1の特性を示す第1のパラメータと入射X線ビームの少なくとも第2の特性を示す第2のパラメータとを含むラベルとの複数の対と、(b)複数のペアに対する複数の予め定められた出力とを含む訓練データセットを受け取る段階を含む。NNは、(i)NNをペアのうちの少なくとも所与のペアに適用することにより、かつ(ii)NNから所与のペアの推定出力を受け取ることに応答して所与のペアに対応する予め定められた出力のうちの所与の予め定められた出力をNNに提供することにより、予め定められた出力を取得するように訓練される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワーク(NN)を訓練するための方法であって、
(a)(i)入射X線ビームをサンプルに対してある角度に向けることに応答して前記サンプル内に形成された1又は2以上の構造から回折したX線光子を示す回折画像と(ii)前記1又は2以上の構造の少なくとも第1の特性を示す第1のパラメータと前記入射X線ビームの少なくとも第2の特性を示す第2のパラメータとを含むラベルとの1又は2以上のペア、及び
(b)それぞれ前記1又は2以上のペアに対する1又は2以上の予め定められた出力、
を含む訓練データセットを受け取る段階と、
(i)前記NNを前記ペアのうちの少なくとも所与のペアに適用することにより、かつ(ii)前記NNから前記所与のペアの推定出力を受け取ることに応答して前記所与のペアに対応する前記予め定められた出力のうちの所与の予め定められた出力を前記NNに提供することにより、前記予め定められた出力を取得するように前記NNを訓練する段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1又は2以上のペアのうちの少なくとも1つの前記回折画像は、前記ラベルと経験的データとに基づいて生成された合成回折画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1又は2以上の構造は、公称構造を有し、前記第1のパラメータは、前記公称構造からの構造変動を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1又は2以上の構造は、(a)ラインとトレンチとの第1のアレイ及び(b)孔の第2のアレイのうちの一方又は両方を含み、
前記構造変動は、(i)幅と、(ii)深さと、(iii)傾斜と、(iv)粗度と、(v)中心線シフト(CLS)と、(vi)側壁の形状と、(vii)それぞれ第1及び第2の層のスタック内で互いの上に形成された少なくとも第1の及び第2の構造の間のジョイントシフト(JS)とで構成された変動のリストから選択される1又は2以上の変動を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記構造変動は、(i)前記第1のアレイ内の前記ラインのうちの少なくとも2つの間、(ii)前記第1のアレイ内の前記トレンチのうちの少なくとも2つの間、及び(iii)前記第2のアレイ内の前記孔のうちの少なくとも2つの間のうちの少なくとも1つでの1又は2以上の変動を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予め定められた出力は、(i)前記入射X線ビームを向けるときの測定での前記構造のうちの少なくとも1つのサイズと(ii)その後の測定での前記入射X線ビームを前記サンプルに向けるための推奨角度とのうちの一方又は両方を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記回折画像は、前記入射X線ビームを前記角度に向けるときの第1の強度を有する第1の回折画像と、前記入射X線ビームを前記推奨角度に向けるときの前記第1の強度とは異なる第2の強度を有する第2の回折画像とを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の回折画像は、第1の対称性を有し、前記第2の回折画像は、前記第1の対称性とは異なる第2の対称性を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記その後の測定での前記入射X線ビームを前記サンプルに向けるための前記推奨角度を決定するためにマルチサブショット技術を適用する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記1又は2以上のペアのうちの少なくとも1つの前記回折画像は、合成回折画像を含み、
前記ラベルに基づいて前記合成回折画像を生成する段階と、運動学的散乱理論のボルン近似を適用する段階と、を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ニューラルネットワーク(NN)を訓練するためのシステムであって、
(a)(i)入射X線ビームをサンプルに対してある角度に向けることに応答して前記サンプル内に形成された1又は2以上の構造から回折したX線光子を示す回折画像と(ii)前記1又は2以上の構造の少なくとも第1の特性を示す第1のパラメータと前記入射X線ビームの少なくとも第2の特性を示す第2のパラメータとを含むラベルとの1又は2以上のペア、及び
(b)それぞれ前記1又は2以上のペアに対する1又は2以上の予め定められた出力、
を含む訓練データセットを受け取るように構成されたインタフェースと、
プロセッサであって、(i)前記NNを前記ペアのうちの少なくとも所与のペアに適用することにより、かつ(ii)前記NNから前記所与のペアの推定出力を受け取ることに応答して、前記プロセッサが前記所与のペアに対応する前記予め定められた出力のうちの所与の予め定められた出力を前記NNに提供するように構成されることにより、前記予め定められた出力を取得するように前記NNを訓練するように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項12】
X線解析を実行するための方法であって、
入射X線ビームをサンプルの面に対して第1の角度に向けることに応答して、第1の強度を有する第1の回折画像を受け取る段階であって、前記第1の回折画像は、前記サンプルの部位に形成された1又は2以上の構造から回折した第1のX線光子を示す、受け取る段階と、
1又は2以上の第2の回折画像に基づいて事前に訓練された訓練済みモデルを含むニューラルネットワーク(NN)を前記第1の回折画像に適用する段階と、
前記第1の回折画像と前記訓練済みモデルとに基づくものであり、かつその後の測定での前記入射X線ビームを前記部位に向けるための少なくとも推奨角度を示す1又は2以上の推論パラメータを前記NNから受け取る段階と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記推論パラメータを受け取る段階は、前記第1の回折画像に基づいて前記構造のうちの少なくとも1つの測定パラメータを受け取る段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記入射X線ビームを前記推奨角度に向けるときの第1の測定品質が、前記入射X線ビームを前記第1の角度に向けるときの第2の測定品質よりも高い、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の測定品質及び前記第2の測定品質の両方は、(i)反復性、(ii)再現性、(iii)精度、及び(iv)感度のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1又は2以上の推論パラメータを受け取る段階は、前記NNを適用することに応答して、(i)前記入射X線ビームを前記推奨角度に向けるときの第1の推論パラメータを第1の時間間隔内に受け取る段階と、(ii)前記入射X線ビームを前記第1の角度に向けるときの第2の推論パラメータを第2の時間間隔内に受け取る段階とを含み、
前記第1の時間間隔は、前記第2の時間間隔よりも短い、
請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の回折画像は、半径方向相称性を有し、前記第1及び第2の回折画像の第1のセットが、直交座標内に生成され、前記第1及び第2の回折画像の第2のセットが、極座標内に生成され、前記NNを適用する段階は、(i)第1の数の畳み込み層を有する第1の畳み込みNN(CNN)を前記第1のセットに適用する段階と、(ii)前記第1の数とは異なる第2の数の畳み込み層を有する第2のCNNを前記第2のセットに適用する段階とを含む、
請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記推論パラメータのうちの少なくとも1つが、測定パラメータを含み、前記サンプルは、互いに対面する第1及び第2の面を有し、前記構造のうちの少なくとも所与の構造が、前記第1及び第2の面の間に形成されてキャビティを定める1又は2以上の壁を有し、前記測定パラメータのうちの少なくとも1つの第1の特性が、前記1又は2以上の壁の形状を示す、
請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記所与の構造の前記キャビティは、前記第1及び第2の面の間を延びており、前記キャビティは、前記壁と平行に延びて前記壁から等距離に位置する中心線(CL)を有し、前記第2の回折画像は、(i)前記入射X線ビームを第1の角度に向けることに応答して形成され、かつ所与の平面で予め定められたサイズを有する第1の画像と、(ii)前記入射X線ビームを前記第1の角度とは異なる第2の角度に向けることに応答して形成され、同じく前記所与の平面で前記予め定められたサイズを有する第2の画像とを含み、
(i)それぞれ第1及び第2の層内に前記第1及び第2の画像を含み、かつ前記所与の平面で前記予め定められたサイズを有する多層回折画像を生成することにより、かつ(ii)前記多層回折画像に前記NNを適用することにより、前記NNを訓練する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記所与の構造の前記壁は、前記サンプルの軸線に沿って非対称であり、
前記NNから1又は2以上の推論パラメータを受け取る段階は、CLシフト(CLS)の表示を受け取る段階を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2022年7月19日出願の米国仮特許出願第63/390,328号及び2023年2月1日出願の米国仮特許出願第63/482,599号の利益を主張するものである。両方の関連出願の開示は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般的にX線解析に関連し、具体的には、深層学習技術を使用するX線散乱測定データを解析するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体及び他の基板上に形成された構造の限界寸法(CD)を測定するための様々な技術は当業技術で公知である。そのような技術は、散乱測定とニューラルネットワークを使用するデータ解析とを備える場合がある。
【0004】
例えば、米国特許出願公開第2019/0049602号明細書は、オンデバイス構造のX線散乱測定のための方法及びシステムを説明している。測定区域にわたる測定構造は、1又は2以上の構造の複数の部分構造への分解及び測定区域の複数の部分区域への分解又はその両方を含む。分解された構造、測定区域、又はその両方は、独立に模擬される。独立に模擬された分解構造のうちの各々の散乱寄与は、測定区域内の測定構造の実際の散乱を模擬するために組み合わされる。更に別の態様では、測定強度と1又は2以上の付帯構造を含むモデル強度とを使用して当該構造の測定が実行される。他の更に別の態様では、測定値分解を使用して測定モデルが訓練され、かつ特定の測定用途のための測定レシピが最適化される。
【0005】
米国特許出願公開第2020/0333267号明細書は、厚み方向に長い柱状散乱本体の傾斜角を容易に決定することができる微細構造決定方法を説明しており、提供されているのは、解析装置及びその解析プログラムである。厚み方向に長くて周期的に配置された柱状散乱本体を有するように形成されたプレート状サンプルの微細構造に対する解析方法が提供され、X線の透過を通じて発生されるプレート状サンプルからの散乱強度データを準備する段階と、準備された散乱強度データに基づいてプレート状サンプルの面がX線の入射方向に対して垂直である基準回転位置に対するプレート状サンプル内の散乱本体の傾斜角を決定する段階とを含む。
【0006】
米国特許出願公開第2022/0252395号明細書は、X線散乱測定に基づいて高アスペクト比半導体構造の面内歪曲形状を特徴付ける幾何学パラメータの値を推定するための方法及びシステムを説明している。パラメータ化幾何学モデルが、孔形状での面内非楕円形歪曲の散乱痕跡を取り込む。孔構造の面内形状を表すのに使用される独立パラメータの数を増大することにより、高アスペクト比構造の実際の形状へのモデル当て嵌めが改善される。一態様では、幾何学的にパラメータ化された測定モデルは、測定構造の面内形状を特徴付けるのに2よりも多い自由度を含む。一部の実施形態では、幾何学モデルは、3自由度又はそれ以上を有する閉曲線を含む。一部の実施形態では、幾何学モデルは、2又は3以上の円錐セクションの区分的アセンブリを含む。独立幾何学モデルパラメータは、構造を通した形状変動を取り込むために深さの関数として表される。
【0007】
米国特許出願公開第2014/0316730号明細書は、デバイス構造上で直接に半導体度量衡を実行するための方法及びシステムを説明している。測定モデルは、少なくとも1つのデバイス構造から収集される測定訓練データに基づいて生成される。訓練済み測定モデルは、他のウェーハのデバイス構造から収集された測定データから直接に処理パラメータ値、構造パラメータ値、又はその両方を計算するのに使用される。一部の例では、複数のターゲットからの測定データが、モデル構築、訓練、及び測定に関して収集される。一部の例では、複数のターゲットに関連付けられた測定データの使用は、測定結果での下層の効果を排除する又は有意に低減し、かつより正確な測定を可能にする。モデル構築、訓練、及び測定に関して収集される測定データは、複数の異なる測定技術の組合せによって実行された測定から導出される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2019/0049602号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2020/0333267号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2022/0252395号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2014/0316730号明細書
【特許文献5】米国特許第10,684,238号明細書
【特許文献6】米国特許第6,381,303号明細書
【特許文献7】米国特許第6,895,075号明細書
【特許文献8】米国仮特許出願第63/390,328号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Charles M.著博士論文(2015年)「An Assessment of Critical Dimension Small Angle X-ray Scattering Metrology for Advanced Semiconductor Manufacturing(高度半導体製造のための限界寸法小角X線散乱測定の評価)」、ニューヨーク州立大学オールバニー校
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に説明する本発明の実施形態は、ニューラルネットワーク(NN)を訓練する方法を提供し、本方法は、
(a)(i)入射X線ビームをサンプルに対してある角度に向けること(directing)に応答してサンプル内に形成された1又は2以上の構造から回折したX線光子(X-ray photons)を示す回折画像(diffraction image)及び(ii)1又は2以上の構造の少なくとも第1の特性(property)を示す第1のパラメータと入射X線ビームの少なくとも第2の特性を示す第2のパラメータとを含むラベルの1又は2以上のペア、及び
(b)それぞれ1又は2以上のペアに対する1又は2以上の予め定められた出力、
を含む訓練データセットを受け取る段階、
を含む。
【0011】
NNは、
(i)ペアのうちの少なくとも所与のペアにNNを適用することにより、かつ
(ii)NNから所与のペアの推定出力を受け取ることに応答して、所与のペアに対応する予め定められた出力のうちの所与の予め定められた出力をNNに提供することとにより、
予め定められた出力を取得するように訓練される。
【0012】
一部の実施形態では、1又は2以上のペアのうちの少なくとも1つの回折画像は、ラベルと経験的データとに基づいて生成された合成回折画像(synthetic diffraction image)を含む。他の実施形態では、1又は2以上の構造は、公称構造(nominal structure)を有し、第1のパラメータは、公称構造からの構造変動(structural variation)を含む。更に他の実施形態では、1又は2以上の構造は、(a)ラインとトレンチとの第1のアレイ及び(b)孔の第2のアレイのうちの一方又は両方を含み、構造変動は、(i)幅、(ii)深さ、(iii)傾斜、(iv)粗度(roughness)、(v)中心線シフト(center line shift)(CLS)、(vi)側壁の形状、及び(vii)それぞれ第1及び第2の層のスタック内に互いの上に形成された少なくとも第1及び第2の構造の間のジョイントシフト(JS)で構成される変動のリストから選択された1又は2以上の変動を含む。
【0013】
一部の実施形態では、構造変動は、(i)第1のアレイのラインのうちの少なくとも2つの間、(ii)第1のアレイ内のトレンチのうちの2つの間、及び(iii)第2のアレイの孔のうちの少なくとも2つの間のうちの少なくとも1つでの1又は2以上の変動を含む。他の実施形態では、予め定められた出力は、(i)入射X線ビームを向ける時の測定での構造のうちの少なくとも1つのサイズ、及び(ii)その後の測定での入射X線ビームをサンプルに向けるための推奨角度のうちの一方又は両方を含む。更に他の実施形態では、回折画像は、入射X線ビームを上記角度に向ける時に第1の強度を有する第1の回折画像と、入射X線ビームを推奨角度に向ける時に第1の強度とは異なる第2の強度を有する第2の回折画像とを含む。
【0014】
一部の実施形態では、第1の回折画像は、第1の対称性を有し、第2の回折画像は、第1の対称性とは異なる第2の対称性を有する。他の実施形態では、本方法は、その後の測定での入射X線ビームをサンプルに向けるための推奨角度を決定するためにマルチサブショット技術を適用する段階を含む。
【0015】
一部の実施形態では、NNは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。他の実施形態では、CNNは、(a)1又は2以上の(i)畳み込み層、(ii)第1、第2、及び第3のドロップアウト層、及びii)完全接続層を有する第1のCNN、又は(b)(i)1又は2以上の畳み込み層及び(ii)1又は2以上の完全接続層を有する第2のCNNを含む。更に他の実施形態では、第1のCNNは、(i)第1のドロップアウト層、(ii)少なくとも第1及び第2の畳み込み層、及び少なくとも活性化関数を有する第1のブロックを含む。
【0016】
一部の実施形態では、(a)回折画像は、所与のサイズを有し、(b)第1の畳み込み層は、この所与のサイズよりも小さい第1のサイズと、第1の数の畳み込みフィルタ(CF)とを有し、第2の畳み込み層は、第1のサイズよりも小さい第2のサイズと、第1の数のCFよりも多い第2の数のCFとを有する。他の実施形態では、第1のCNNを適用する段階は、(i)第1の出力を取得するために第1のドロップアウト層を回折画像に適用する段階、(ii)第2の出力を取得するために第1の畳み込み画像を第1の出力に適用する段階、(iii)第3の出力を取得するために活性化関数を第2の出力に適用する段階、(iv)第4の出力を取得するために第2の畳み込み画像を第3の出力に適用する段階、及び(v)第5の出力を取得するために活性化関数を第4の出力に適用する段階を含む。更に他の実施形態では、第1のCNNは、(i)第2のドロップアウト層と、(ii)少なくとも第3及び第4の畳み込み層と、修正線形ユニット(ReLU)とを有する第2のブロックを含む。
【0017】
一部の実施形態では、本方法は、(i)第6の出力を取得するために第2のドロップアウト層を第5の出力に適用する段階、(ii)第7の出力を取得するために第3の畳み込み画像を第6の出力に適用する段階、(iii)第8の出力を取得するためにReLUを第7の出力に適用する段階、(iv)第9の出力を取得するために第4の畳み込み画像を第3の出力に適用する段階、及び(v)第10の出力を取得するためにReLUを第9の出力に適用する段階を含む。他の実施形態では、第1のCNNは、(i)第3のドロップアウト層と、(ii)複数のチャネルを含む少なくとも1次元多層(1DML)と、ReLUとを有する第3のブロックを含む。
【0018】
一部の実施形態では、本方法は、(i)第11の出力を取得するために第3のドロップアウト層を第10の出力に適用する段階、(ii)第12の出力を取得するために1DMLを第11の出力に適用する段階、及び(iii)第13の出力を取得するためにReLUを第12の出力に適用する段階を含む。他の実施形態では、回折画像は、直交座標(cartesian coordinates)を有し、第2のCNNを訓練する段階は、放射状画像を取得するために直交座標を極座標に変換する段階と、その後に放射状出力を取得するために畳み込み層のうちの少なくとも1つを放射状画像に適用する段階とを含む。更に他の実施形態では、本方法は、修正線形ユニット(ReLU)を第1の放射状出力に適用する段階を含む。
【0019】
一部の実施形態では、回折画像は、極座標を有し、第2のCNNを訓練する段階は、放射状出力を取得するために畳み込み層のうちの少なくとも1つを放射状画像に適用する段階を含む。他の実施形態では、本方法は、修正線形ユニット(ReLU)を放射状出力に適用する段階を含む。更に他の実施形態では、本方法は、NNの訓練を完了するための少なくとも判断基準を示す1又は2以上の閾値を格納する段階を含む。
【0020】
一部の実施形態では、NNを訓練する段階は、監視下訓練を適用する段階を含み、訓練の後に、NNは、訓練済み深層学習モデルを含む。他の実施形態では、1又は2以上のペアのうちの少なくとも1つの回折画像は、合成回折画像を含み、かつラベルに基づいて合成回折画像を生成する段階と、運動学的散乱理論(kinematical scattering theory)のボルン近似(born approximation)を適用する段階とを含む。
【0021】
一部の実施形態では、本方法は、NN訓練の品質を改善するための1又は2以上の前処理段階(preprocessing steps)を各ペアの回折画像に適用する段階を含む。他の実施形態では、前処理段階のうちの少なくとも1つは、対数又は平方根変換を回折画像の強度レベルに適用する段階を含む。更に他の実施形態では、前処理段階のうちの少なくとも1つは、予め定められた強度閾値を適用することによってペアのうちの1又は2以上の回折画像を除去する段階を含む。
【0022】
一部の実施形態では、サンプルは、互いに対面する第1及び第2の面を有し、構造のうちの少なくとも所与の構造は、第1及び第2の面の間に形成されてキャビティを定める1又は2以上の壁を有し、予め定められた出力のうちの少なくとも1つの第1の特性は、1又は2以上の壁の形状を示す。
【0023】
一部の実施形態では、所与の構造のキャビティは、第1及び第2の面の間を延びており、キャビティは、壁と平行に延びて壁から等距離に位置する(located)中心線(CL)を有し、訓練データセットは、(i)入射X線ビームを第1の角度に向けることに応答して形成されて所与の平面での予め定められたサイズを有する第1の回折画像、及び(ii)入射X線ビームを第1の角度とは異なる第2の角度に向けることに応答して形成されて同じく所与の平面での予め定められたサイズを有する第2の回折画像を含み、NNを訓練する段階は、(i)それぞれ第1及び第2の層内に第1及び第2の回折画像を含み、かつ所与の平面での予め定められたサイズを有する多層回折画像を生成する段階、及び(ii)多層回折画像にNNを適用する段階を含む。
【0024】
他の実施形態では、所与の構造の壁は、サンプルの軸線に沿って非対称であり、NNに所与の予め定められた出力を提供する段階は、NNにCLシフト(CLS)の表示を提供する段階を含む。
【0025】
更に他の実施形態では、所与の構造は、第1のCLを有する第1のキャビティを含む第1の層と、第1の層にわたって形成されて第2のCLを有する第2のキャビティを含む第2の層とを含む多段構造を含み、第1及び第2のCLは、サンプルの上述の軸線に沿って位置合わせされるように意図され、NNを訓練する段階は、(i)所与の平面での予め定められたサイズを有する追加の多層回折画像を生成するためにそれぞれ入射X線ビームを複数の角度に向けることに応答して形成された複数の追加の回折画像を使用する段階、及び(ii)推定出力が(a)第1及び第2のCLのうちの少なくとも一方でのCLSと(b)第1及び第2の層の間のインタフェースに沿って測定された第1及び第2のCLの間の距離であるジョイントシフト(JS)とのうちの少なくとも一方を含むか否かを検査するためにNNを追加の多層回折画像に適用する段階を含む。
【0026】
これに加えて、本発明の実施形態により、ニューラルネットワーク(NN)を訓練するためのシステムを提供し、システムは、
(a)(i)入射X線ビームをサンプルに対してある角度に向けることに応答してサンプル内に形成された1又は2以上の構造から回折したX線光子を示す回折画像と(ii)1又は2以上の構造の少なくとも第1の特性を示す第1のパラメータ及び入射X線ビームの少なくとも第2の特性を示す第2のパラメータを含むラベルとの1又は2以上のペア、及び
(b)それぞれ1又は2以上のペアに対する1又は2以上の予め定められた出力、
を含む訓練データセットを受け取るように構成されたインタフェースと、
(i)NNを上記ペアのうちの少なくとも所与のペアに適用することにより、かつ(ii)NNから所与のペアの推定出力を受け取ることに応答して、予め定められた出力を取得するようにNNを訓練するように構成され、所与のペアに対応する予め定められた出力のうちの所与の予め定められた出力をNNに提供するように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0027】
更に、本発明の実施形態により、X線解析を実行する方法を提供し、本方法は、
入射X線ビームをサンプルの面に対して第1の角度に向けることに応答して、第1の強度を有し、サンプルの部位(site)に形成された1又は2以上の構造から回折した第1のX線光子を示す第1の回折画像を受け取る段階、
を含み、
1又は2以上の第2の回折画像に基づいて事前に訓練された訓練済みモデル(trained model)を含むニューラルネットワーク(NN)が、第1の回折画像に適用され、
第1の回折画像及び訓練済みモデルに基づくものであり、かつその後の測定で入射X線ビームを上記部位に向けるための少なくとも推奨角度を示す1又は2以上の推論パラメータ(inferred parameters)が、NNから受け取られる。
【0028】
一部の実施形態では、推論パラメータを受け取る段階は、第1の回折画像に基づいて構造のうちの少なくとも1つの測定パラメータを受け取る段階を含む。他の実施形態では、入射X線ビームを推奨角度に向ける時の測定品質は、入射X線ビームを第1の角度に向ける時の測定品質よりも高い。更に他の実施形態では、測定品質は、(i)反復性、(ii)再現性、(iii)精度、及び(iv)感度のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
一部の実施形態では、1又は2以上の推論パラメータを受け取る段階は、NNを適用することに応答して、(i)入射X線ビームを推奨角度に向ける時に第1の推論パラメータを第1の時間間隔内に受け取る段階、及び(ii)入射X線ビームを第1の角度に向ける時に第2の推論パラメータを第2の時間間隔内に受け取る段階を含み、第1の時間間隔は、第2の時間間隔よりも短い。
【0030】
他の実施形態では、第1及び第2の回折画像は、半径方向相称性(radial symmetry)を有し、第1及び第2の回折画像の第1のセットが、直交座標内で生成され、第1及び第2の回折画像の第2のセットが、極座標内で生成され、NNを適用する段階は、(i)第1の数の畳み込み層を有する第1の畳み込みNN(CNN)を第1のセットに適用する段階、及び(ii)第1の数とは異なる第2の数の畳み込み層を有する第2のCNNを第2のセットに適用する段階を含む。
【0031】
更に他の実施形態では、推論パラメータのうちの少なくとも1つは、測定パラメータを含み、サンプルは、互いに対面する第1及び第2の面を有し、構造のうちの少なくとも所与の構造は、第1及び第2の面の間に形成されてキャビティを定める1又は2以上の壁を有し、測定パラメータのうちの少なくとも1つの第1の特性は、1又は2以上の壁の形状を示す。
【0032】
一部の実施形態では、所与の構造のキャビティは、第1及び第2の面の間を延び、キャビティは、壁と平行に延びて壁から等距離に位置する中心線(CL)を有し、第2の回折画像は、(i)入射X線ビームを第1の角度に向けることに応答して形成されて所与の平面での予め定められたサイズを有する第1の画像と、(ii)入射X線ビームを第1の角度とは異なる第2の角度に向けることに応答して形成されて同じく所与の平面での予め定められたサイズを有する第2の画像とを含み、かつ(i)それぞれ第1及び第2の層内に第1及び第2の画像を含んで所与の平面での予め定められたサイズを有する多層回折画像を生成することにより、かつ(ii)多層回折画像にNNを適用することにより、NNを訓練する段階を含む。
【0033】
他の実施形態では、第1の回折画像は、第1の多層回折画像を含む。
【0034】
一部の実施形態では、所与の構造の壁は、サンプルの軸線に沿って非対称であり、NNから1又は2以上の推論パラメータを受け取る段階は、CLシフト(CLS)の表示を受け取る段階を含む。
【0035】
他の実施形態では、所与の構造は、第1のCLを有する第1のキャビティを含む第1の層と、第1の層にわたって形成されて第2のCLを有する第2のキャビティを含む第2の層とを含む多段構造を含み、第1及び第2のCLは、サンプルの上述の軸線に沿って位置合わせされるように意図され、かつ(i)所与の平面での予め定められたサイズを有する追加の多層回折画像を生成するためにそれぞれ入射X線ビームを複数の角度に向けることに応答して形成された複数の追加の回折画像を使用する段階、及び(ii)推論パラメータのうちの少なくとも1つが(a)第1及び第2のCLのうちの少なくとも一方でのCLSと(b)第1及び第2の層の間のインタフェースに沿って測定された第1及び第2のCLの間の距離であるジョイントシフト(JS)とのうちの少なくとも一方を含むか否かを検査するためにNNを追加の多層回折画像に適用する段階を含む。
【0036】
これに加えて、本発明の実施形態により、X線解析を実行するためのシステムを提供し、システムは、
入射X線ビームをサンプルの面に対して第1の角度に向けることに応答して、第1の強度を有し、サンプルの部位に形成された1又は2以上の構造から回折した第1のX線光子を示す第1の回折画像を受け取るように構成されたインタフェースと、
(i)1又は2以上の第2の回折画像に基づいて事前に訓練された訓練済みモデルを含むニューラルネットワーク(NN)を第1の回折画像に適用し、かつ(ii)第1の回折画像と訓練済みモデルとに基づいてその後の測定で入射X線ビームを上記部位に向けるための少なくとも推奨角度を示す1又は2以上の推論パラメータをNNから受け取るように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0037】
更に、本発明の実施形態により、X線解析を実行する方法を提供し、本方法は、入射X線ビームをサンプルの面に対して第1の角度に向けることに応答して、第1の強度を有し、サンプルの部位に形成された1又は2以上の構造から回折した第1のX線光子を示す第1の回折画像を受け取る段階を含む。入射X線ビームをサンプルの面に対して1又は2以上の角度に向けることに応答して、それぞれ得られた1又は2以上の第2の回折画像に基づいて事前に訓練された訓練済みモデルを含むニューラルネットワーク(NN)が、第1の回折画像に適用される。第1の回折画像と訓練済みモデルとに基づくものであり、かつ第1の回折画像に基づいて構造のうちの少なくとも1つの1又は2以上の測定パラメータを示す1又は2以上の推論パラメータが、NNから受信される。
【0038】
一部の実施形態では、1又は2以上の推論パラメータの測定品質は、1又は2以上の測定パラメータの(i)反復性、(ii)再現性、(iii)精度、及び(iv)感度のうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、サンプルは、互いに対面する第1及び第2の面を有し、構造のうちの少なくとも所与の構造は、第1及び第2の面の間に形成されてキャビティを定める1又は2以上の壁を有し、測定パラメータのうちの少なくとも1つの第1の特性は、1又は2以上の壁の形状を示す。
【0039】
一部の実施形態では、所与の構造のキャビティは、第1及び第2の面の間を延びており、キャビティは、壁と平行に延びて壁から等距離に位置する中心線(CL)を有し、第2の回折画像は、(i)入射X線ビームを第1の角度に向けることに応答して形成されて所与の平面での予め定められたサイズを有する第1の画像と、(ii)入射X線ビームを第1の角度とは異なる第2の角度に向けることに応答して形成されて同じく所与の平面での予め定められたサイズを有する第2の画像とを含み、本方法は、(i)それぞれ第1及び第2の層内に第1及び第2の画像を含んで所与の平面での予め定められたサイズを有する多層回折画像を生成することにより、かつ(ii)多層回折画像にNNを適用することにより、NNを訓練する段階を含む。
【0040】
他の実施形態では、第1の回折画像は、第1の多層回折画像を含む。一部の実施形態では、所与の構造の壁は、サンプルの軸線に沿って非対称であり、NNから1又は2以上の推論パラメータを受け取る段階は、CLシフト(CLS)の表示を受け取る段階を含む。
【0041】
更に他の実施形態では、所与の構造は、第1のCLを有する第1のキャビティを含む第1の層と、第1の層にわたって形成されて第2のCLを有する第2のキャビティを含む第2の層とを含む多段構造を含み、第1及び第2のCLは、サンプルの上述の軸線に沿って位置合わせされるように意図され、本方法は、(i)入射X線ビームを複数の角度に向けることに応答して所与の平面での予め定められたサイズを有する追加の多層回折画像を生成するためにそれぞれ形成された複数の追加の回折画像を使用する段階、及び(ii)推論パラメータのうちの少なくとも1つが(a)第1及び第2のCLのうちの少なくとも一方でのCLSと(b)第1及び第2の層の間のインタフェースに沿って測定された第1及び第2のCLの間の距離であるジョイントシフト(JS)とのうちの少なくとも一方を含むか否かを検査するためにNNを追加の多層回折画像に適用する段階を含む。
【0042】
更に、本発明の実施形態により、X線解析を実行するためのシステムを提供し、システムは、
入射X線ビームをサンプルの面に対して第1の角度に向けることに応答して、第1の強度を有し、サンプルの部位に形成された1又は2以上の構造から回折した第1のX線光子を示す第1の回折画像を受け取るように構成されたインタフェースと、
1又は2以上の第2の回折画像に基づいて事前に訓練された訓練済みモデルを含むニューラルネットワーク(NN)を第1の回折画像に適用し、かつ(ii)第1の回折画像と訓練済みモデルとに基づくものであり、第1の回折画像に基づいて構造のうちの少なくとも1つの測定パラメータを示す1又は2以上の推論パラメータをNNから受け取るように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0043】
以下の本発明の実施形態の詳細説明を図面と共に解釈することで本発明をより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施形態による小角X線散乱(SAXS)システムの重要な要素の概略図である。
図2】本発明の実施形態による入射X線ビームをサンプルに向けることに応答して生成された回折画像の概略図である。
図3】本発明の実施形態による図2のサンプルのX線解析を改善するためにニューラルネットワーク(NN)を訓練し、その後にNNを使用するための処理シーケンスを概略で例示するブロック図である。
図4】本発明の実施形態による図3のNNの構造の概略図である。
図5】本発明の別の実施形態による図3に使用された代替的NNの構造の概略図である。
図6】本発明の実施形態による図2のサンプルのX線解析を改善するために図3のNNを訓練し、その後にNNを使用する方法を概略で例示する流れ図である。
図7】本発明の実施形態による孔及び他の多段構造の垂直寸法に沿う変動を図4又は図5のNNをそれぞれの構造の多層回折画像に適用することによって解析する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
概要
散乱測定技術は、様々なタイプの半導体素子及び試験構造内又は上に形成された1又は2以上の周期アレイ内の特徴部の幾何学寸法を測定するのに使用することができる。小角X線散乱(SAXS)のようなX線技術は、一般的に、オングストローム程度の波長を有するX線を照射し、全てが半導体ウェーハ内に作り込まれたあらゆる適切なサイズ及び形状を有するHAR孔、ライン間のトレンチ、又はいずれかの他のタイプのHAR構造のような高アスペクト比(HAR)特徴部を測定するのに適している。特徴部の幾何学特性を測定する段階は、本明細書では回折画像とも記すサンプルから散乱されたX線の強度を解析することに基づく推定技術を使用して実行される。
【0046】
原理的には、位置合わせ手順が必要である。この位置合わせ処理は、ウェーハ内に形成された当該のHAR構造の最良の測定及び/又はX線解析をもたらすことができる最適な回折画像を取得するためにウェーハを入射ビームに対する複数の角度に傾斜させる段階と、入射X線ビームとウェーハ面の間の好ましい角度を決定する段階を含む。
【0047】
以下の説明では、明瞭化の目的で、「測定(measure)」という用語と、「決定(determine)」という用語と、「推定(estimate)」という用語とを交換可能に使用する。更に、「トレンチ(trench)」という用語と「ライン(line)」という用語とを交換可能に用い、これらの用語は、1又は2以上の周期アレイで配置されたHARライン及びHARトレンチを意味する。
【0048】
言い換えれば、(i)HARラインとHARトレンチとは、周期アレイ内の少なくとも第1のアレイ内で交互に配置され、(ii)HAR孔は、周期アレイ内の少なくとも第2のアレイで周期構造に配置される。典型的なデバイスでは、第1のアレイは、デバイスの第1の層内に形成され、第2のアレイは、第1の層とは異なるデバイスの第2の層内に形成されることに注意されたい。しかし、3次元(3D)NANDフラッシュメモリデバイス等であるがこれに限定されない一部のデバイスでは、1又は2以上の層は、HAR構造を有する(i)ライン及びトレンチと(ii)孔との組合せを含む場合がある。
【0049】
位置合わせ処理に加えて、HAR構造の公称特徴(例えば、層状構造及び他の特徴部の寸法)と、様々な入力パラメータの範囲を定める定められた処理窓とに基づいて回帰モデルが生成される(一般的に、専門技術者により)。更に、専門技術者には、X線解析を実行するのに使用されるX線システムの製造レシピ内に上述の回帰モデルを組み込むことが必要である。
【0050】
一般的に、X線解析システムは、(i)入射X線ビームとウェーハ(そのHAR構造)の間の物理的相互作用に応答してウェーハから放出された(一般的に、周期アレイから回折、すなわち、散乱した)光子を示す信号を1又は2以上のX線検出器から受信し、(ii)散乱強度値の2Dアレイから構成される回折画像を生成し、かつ(iii)X線解析の出力(例えば、1又は2以上のHAR構造の1又は2以上の測定値)を受け取るために回折画像に回帰モデルを適用するプロセッサを備える。
【0051】
上述した処理(例えば、位置合わせ、回帰モデルの生成、及び出力の解析)は、少なくとも専門技術者及び/又はオペレータと、X線システムの時間、当該の処理窓に対応するHAR構造を有するウェーハ等であるがこれに限定されない高価な運用リソースとを必要とすることに注意されたい。
【0052】
更に、出力は、予想外の処理変動と、X線システム及び入射ビームとサンプルの間の相互作用、例えば、システムのスリット又はサンプルの下層構造からの背景散乱に関する望ましくないノイズとに起因して歪曲されたデータを含む場合がある。そのような場合に、HAR構造内の物理的歪曲、又はシステムの望ましくないアーチファクト及び/又はシステムとウェーハの間の望ましくないアーチファクトによって引き起こされる歪曲のいずれを出力が反映するか否かを決定するために追加のリソースが必要である。
【0053】
下記で説明する本発明の実施形態は、SAXSシステムと、畳み込みNN(CNN)のようなニューラルネットワーク(NN)に実施された訓練済みモデル(例えば、深層学習アルゴリズム)とを使用するX線解析の自動化、スループット、及び品質を改善するための技術を提供する。更に、本発明の開示する技術は、X線解析システムで上述のようなレシピを開発及び運用することに関する上述したリソースを低減する。
【0054】
一部の実施形態では、X線解析システムは、(i)X線ソース及び問題のHAR構造を有するウェーハに入射(X線)ビームを向けるように構成された光学系と、(ii)ウェーハを入射ビームに対して移動及び回転させるように構成された適切なマウント(例えば、ステージ及びチャック)と、(iii)入射ビームと当該のHAR構造の間の物理的相互作用に応答してウェーハから回折された光子の強度分布を示す信号を生成するように構成された検出器アセンブリと、(iv)プロセッサ、インタフェース、メモリ、及び他のコンピュータ機能を含む処理ユニットとを含む。本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、プロセッサという用語は、処理ユニットの作動を実施するエンティティを説明する(簡潔に)のに使用する。X線解析システムの上述の構成要素及び作動に対しては、下記で図1に詳細に説明する。
【0055】
一部の実施形態では、システムは、本明細書で簡略化の目的でNNとも記す畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。2つの適切なCNNの構造及び作動は、下記で図4及び図5で詳細に説明することに注意されたい。
【0056】
一部の実施形態では、プロセッサは、このシステムによって解析することが意図されたHAR構造のモデルを生成するように構成される。更に、プロセッサは、合成データ、実(例えば、測定に基づく)データ、及びその組合せを含むことができるNN訓練のための1又は2以上のデータセットを発生するように構成される。基本的に、データセットは、(i)HAR構造の公称特徴のモデル化及び模擬と、(ii)X線システム及び他の適切なタイプの測定システム及び模擬システム(例えば、フォーカスイオンビームの透過電子顕微鏡、及び走査電子顕微鏡)を使用するHAR構造のサンプルの測定と、(iii)(a)HAR構造の構造変動、(b)システム及びそれとウェーハの間の相互作用、並びに他のノイズソースに関するノイズ等であるがこれらに限定されない系統的及びランダムなノイズソースのモデル化及び模擬とに基づいて生成される。訓練データセットを発生するための技術に関しては、下記で例えば図2及び図3で詳細に説明する。
【0057】
一部の実施形態では、プロセッサは、訓練ステージ(training stage)中にCNNから要求される精度レベルを示す1又は2以上の閾値を格納するように構成される。これらの閾値に対しては、下記で図3及び図6で詳細に説明する。CNNが1又は2以上の変換基準を満足する(例えば、上述の閾値を使用する)と、訓練が完了し、プロセッサは、CNNが十分に訓練されて処理工学と生産環境の両方での推論ステージ(inference stage)に向けて待機していることを保証するための検証段階(verification step)を実施することができる。
【0058】
一部の実施形態では、プロセッサは、検出器アセンブリから受信した信号に基づいて、上述した技術を使用する第1の強度分布を有する第1の回折画像を生成するように構成される。第1の回折画像は、ウェーハの予め定められた部位にある1又は2以上のHAR構造から回折した第1のX線光子を示し、第1のX線光子は、ウェーハの面に対する定められた(本明細書では第1と記す)角度に入射X線ビームを向けることに応答して回折されることに注意されたい。
【0059】
一部の実施形態では、プロセッサは、訓練済みNNを第1の回折画像に適用し、従って、第1の回折画像と訓練済み(例えば、深層学習)NNモデルとに基づく1又は2以上の推論パラメータをNNから受け取るように構成される。
【0060】
一部の実施形態では、推論パラメータは、(i)第1の角度とは異なる第2の推奨角度、及び(ii)HAR構造の特徴部のうちの1又は2以上の測定値のうちの少なくとも1つを示している。第2の角度は、その後の第2の回折画像の品質を改善し、それによって当該のHAR構造に対して実行されるX線解析(例えば、測定)の品質を改善するためにその後の測定で入射X線ビームをウェーハの同じ部位に向けることに関して推奨されるものである。
【0061】
(i)X線解析の品質(例えば、測定の正確性又は精度)、(ii)訓練ステージ又は推論ステージのスループット、(iii)HAR構造の垂直軸線に沿う変動の解析、(iv)スタックHAR構造間の重複の解析を改善することに関する更に別の実施形態、及び他の実施形態を下記の詳細説明の図2図7で詳細に説明する。
【0062】
本発明の開示する技術は、X線解析システムによって実行されるX線解析処理の品質及び生産率を改善する。更に、本発明の開示する技術は、半導体素子及び他の適切なタイプのデバイスの構造を解析するのに使用される他の適切なタイプの測定システム及び解析システムに必要な変更を加えた上で適用することができる。
【0063】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による小角X線散乱(SAXS)システム20の概略図である。一部の実施形態では、システム20は、サンプル上の構造の寸法を下記で説明するように散乱測定技術を使用して測定するように構成される。
【0064】
一部の実施形態では、サンプルは、取りわけ、ウェーハ22の中にエッチングされた又はその上に形成された高アスペクト比(HAR)又は他の特徴部のアレイを有する半導体ウェーハ22を含む場合がある。代替実施形態では、システム20は、ウェーハ22上に形成された適切な構造の寸法を測定するように更に構成される。本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、「高アスペクト比(HAR)」という用語は、一般的に、例えば、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)では約10よりも高いアスペクト比を意味し、3次元(3D)NANDフラッシュメモリデバイスでは、アスペクト比は、約50:1及び約100:1それぞれよりも高い場合がある。
【0065】
一部の実施形態では、システム20は、一般的に、高電圧電源ユニット(PSU)26によって駆動されるX線ソース24のような励起ソースを含む。一部の実施形態では、X線ソース24は、ウェーハ22を貫通するのに適切なエネルギを有するX線ビーム31を放出する。この例では、X線ビーム31は、それをウェーハ22の面の小領域29上に入射するように向けるように構成された結晶、多層ミラー、又は開口(スリット)のような適切な回折要素を含むことができるX線光学系28を通過する。システム20のようなSAXSシステムの追加の構成要素及び特性は、例えば、上述の米国特許第10,684,238号明細書に詳細に説明されており、この文献の開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0066】
実施形態では、ウェーハ22は、それをX線ビーム31に対してX方向とY方向とに移動し、更に、ウェーハ22の面に対して法線方向の軸線(例えば、Z軸線)の周りの回転φ(図示せず)と、ウェーハのY軸線の周りの回転χと、ウェーハのX軸線の周りの回転ωとを加えるように構成されたX-Y-χ-ωステージ40のような移動可能プラットフォーム上に装着される。上述のように、χとωは、両方共にウェーハ22の面と平行であるが、互いに直交し、それに対してφは、ウェーハ22の面に対する法線の周りに回転することに注意されたい。
【0067】
実施形態では、ステージ40は、上述のように入射ビーム31が領域29でウェーハ22の面上に直接入射するように開放フレームとして設計される。より具体的には、ウェーハ22のエッジに可能な限り近い測定を可能にし、それによってエッジ除外領域のサイズを最小にするために、支持されたウェーハ22の大部分にわたってそれに被さる材料が存在せず、ウェーハ22のエッジの所々にいくつかの限局部位が存在する。ビームは、ウェーハ22の下面(X線ソース24に向く)を通過し、ウェーハ22の上面(下面と反ペアの)内に形成された高アスペクト比(HAR)構造のアレイから散乱する。
【0068】
一部の実施形態では、入射ビーム31は、ウェーハ22の下面に対して法線方向に又はいずれかの他の適切な角度で領域29上に入射することができる。一般的に、入射ビーム31の一部分は、サンプルを横断お吸収され、透過ビーム35が、入射ビームと同じ方向にウェーハ22の上面を射出する。追加のビーム33が、上述の構造のアレイから散乱し、図1に示すようにウェーハ22の上面から放出される(回折する)。
【0069】
一部の実施形態では、システム20は検出器アセンブリ32を含み、検出器アセンブリ32は、その面上の1又は2以上の領域30に入射するビーム33のX線強度分布を検出するように構成される。一部の実施形態では、システム20は、ウェーハ22とアセンブリ32の間に位置し、ビーム35の少なくとも一部分が検出器アセンブリ32を照射することを遮蔽するように構成されたX線不透過又は部分不透過の材料から製造されたビームストッパー42を含む。ビームストッパー42の例示的実施は、例えば、Krokhmal他に付与された米国特許第10,684,238号明細書に詳細に説明されており、この文献の開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0070】
一部の実施形態では、検出器アセンブリ32は平坦形状を有することができ、又はビーム33及び35に向くように角度付けされた円弧のようないずれかの他の適切な形状を有することができる。検出器アセンブリ32は、単一検出器又はあらゆる適切な構成で配置された検出器アレイを含むことができる。ビーム検出器は、2次元(2D)構成又は1次元(1D)構成を有することができ、X線光子を計数する機能を有する。検出器アセンブリ32は、検出X線光子の数と、検出器アセンブリ32の面上での各検出光子の場所とを示す信号(例えば、電気信号)を生成するように更に構成され、システム20は、この信号を信号処理ユニット38に伝達する。検出器は、例えば、X線蛍光発光及び宇宙線からの背景ノイズを低減するためにある一定のエネルギ範囲のX線光子のみを測定する機能を有することができる。
【0071】
一部の実施形態では、信号処理ユニット38は、アセンブリ32から受信した信号を処理するように構成されたプロセッサ34と、電気信号をアセンブリ32とプロセッサ34との間で交換するためのインタフェース36とを含む。
【0072】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、アセンブリ32の検出器によって取り込まれたX線光子の散乱強度分布を決定するためにアセンブリ32からデータを取得するように構成される。一部の実施形態では、プロセッサ34は、1又は2以上の入射ビーム角度で測定された強度分布を使用してウェーハ22上の1又は2以上の幾何学構造の寸法及び向きを推定するように構成される。この実施形態では、プロセッサ34は、測定強度分布と計算強度分布の間の数値差を最小にするように自動的に絞り込まれる高さ及び幅のような幾何学パラメータ(本明細書では限界寸法CDとも記す)を有する特徴部の構造モデルから強度分布を計算するように構成される。隣接特徴部間の距離(ピッチ)のようなアレイ内の特徴部の配置を表す追加のパラメータを適切な構造モデルを使用して推定することができる。
【0073】
一般的に、プロセッサ34は、本明細書に説明する機能を実施するようにソフトウエアでプログラムされた汎用コンピュータ又はコンピュータネットワークを含む。ソフトウエアは、例えば、ネットワーク上で電子形態でコンピュータにダウンロードすることができ、これに代えて又はこれに加えて、磁気メモリ、光学メモリ、又は電子メモリのような非一時的有形媒体上で提供する及び/又はその上に格納することができる。
【0074】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、あらゆる適切なタイプの中央演算処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、又はいずれかの他の適切なタイプの特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。上記全ての処理ユニットは、取りわけ、下記で説明するニューラルネットワーク内で深層学習作動負荷を加速させるように構成される。これに加えて又はこれに代えて、システム20は、あらゆる適切なタイプのASIC、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又はシステム20でのデータ処理の少なくとも一部を実施するように構成されたいずれかの他の適切なタイプの処理ユニットを含むことができる。
【0075】
実施形態では、ソフトウエアは、検出器アセンブリ32の制御、並びにデータの取得及び解析のような複数のタスクを実施するように構成される。
【0076】
図1の例では、ステージ40は、ウェーハ22の領域29を走査して解析するために、(i)XYZ座標系のX方向、Y方向、(及び任意的なZ方向)のうちの少なくとも1つに移動することができ、(ii)χ方向及びω方向に回転させることができる。代替実施形態では、領域29をX線ビーム31によって走査するのに、ウェーハ22が、適切な静止固定具(ステージ40の代わりに)上に装着され、それに対してX線ソース24、光学系28、及びアセンブリ32が移動される。
【0077】
これに加えて又はこれに代えて、システム20は、ウェーハ22から散乱したX線を反射及び/又は回折のような他のビーム-ウェーハ相互作用を使用して取り込むように更に構成される。そのような多機能システムは、例えば、米国特許第6,381,303号明細書及び第6,895,075号明細書に説明されており、これらの文献は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0078】
図1の例は、X線システムの特定の構成に関する。しかし、この構成は、純粋に概念の明瞭化の目的で選択したものである。例えば、システム20は、領域29へのステージ40のナビゲーション及びウェーハ22上の構造の精査を支援するための光学顕微鏡(図示せず)のような追加のモジュールを更に含むことができる。代替実施形態では、本発明の開示する技術は、様々な他のタイプのX線システムで必要な変更を加えた上で使用することができ、又はあらゆる適切な励起ソース、電源、フォーカス光学系、及び検出システムを含む当業技術で公知の解析モジュールを本明細書に説明する方法を実施するのに使用することができる。
【0079】
高アスペクト比(HAR)特徴部から散乱した光子に基づく回折画像の生成
図2は、本発明の実施形態による入射X線ビーム31をウェーハ22に向けることに応答して生成された回折画像50及び51の概略図である。この例では、X線ビーム31は、ウェーハ22の上面41及び下面39に対して垂直な軸線7に対して角度47にある軸線37に沿って向けられる。一般的に、面39と41は、互いにほぼ平行であり、入射X線ビーム31は、面39及び41に対して垂直な軸線7に対してほぼ平行である(又はある程度の意図する変動を有する)ことに注意されたい。従って、角度47は、典型的に鋭角である。
【0080】
本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、いずれかの相対的又は絶対的な数値又は数値範囲に対する「約」又は「近似的」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に説明する意図する目的に合うように機能することを可能にする適切な寸法公差を示している。
【0081】
一部の実施形態では、ウェーハ22は、ライン又はトレンチ(図示せず)のような繰り返し2次元(2D)HAR構造、又は名目上ほぼ円筒形状を有する孔44又は柱のような3次元(3D)HAR構造のアレイを含む。本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、「アスペクト比」という用語は、問題の特徴部、例えば、孔44の深さと幅(例えば、円形の孔の場合は直径)の間の比を意味する。
【0082】
例えば、(i)HAR構造を有する上述のライン及びトレンチは、周期アレイ内の少なくとも第1のアレイで交互に配置され、(ii)孔44(上述のように同じくHAR構造を有する)は、周期アレイ内の少なくとも第2のアレイで周期構造に配置される。図2の例では、第2の層しか示されていないが、他の例では、別の層は、周期アレイで配置されたHARの(i)ライン及びトレンチと(ii)孔とのあらゆる適切な組合せを含むことができる。
【0083】
一部の実施形態では、一般的に、孔44の各アレイは、少なくとも一部が下記で説明する構造変動を有する可能性がある数千個又は数百万個の孔44を含む。一般的に、孔44間の構造変動は、アレイ間ではアレイの範囲と比較して異なる性質を有する可能性があることに注意されたい。より具体的には、構造変動は、一般的に、アレイの範囲(すなわち、内部)(例えば、同じ周期アレイ内にある孔44のうちの少なくとも2つの間)では平均値付近のランダムな変動を含み、それに対して同じタイプの構造の異なるアレイ間の構造変動は、より系統的である場合がある。アレイの範囲の構造変動が、例えば、問題の構造(例えば、孔44)のリソグラフィマスク内への構造の直接書込処理の変動に起因して系統的な成分を有する可能性もあるが、一般的に、系統的成分は、例えば、リソグラフィ及びマスク製造を含む殆どの処理段階(process step)での処理変動に起因してアレイ間で実質的に大きいことに注意されたい。上記に基づいて、隣接孔44間の不均一性は、異なるアレイの孔44間のより大きい不均一性と比較して所与のアレイの範囲の隣接間では一般的に小さめである。
【0084】
図2の例では、アレイのうちの一部は、不連続符号21によって分離される。下記で説明する構造変動は、一例として提供するものであり、一般的に、単一ウェーハ内では以下の変動のうちの1つ又は2つしか発生しない可能性があることに注意されたい。図2は、ウェーハ22の孔44の公称構造を示す孔44bを提供する。孔44bは、公称直径45bを有し(例えば、面41のXY平面に有し、提示するXZ平面外にあることを示すためにY軸線を破線表示することに注意されたい)、孔44bの軸線43aと面41の間に直角48を有する(すなわち、軸線43aは、面41に対してほぼ垂直であり、上述した軸線7と平行である)。
【0085】
一部の実施形態では、孔44を生成する間に不適切に発生する可能性がある上述の構造変動の一部の例を提供するために孔44a、44c、44d、44e、及び44fを例示している。これらの孔は単なる例であり、他のタイプの系統的及び統計的な構造変動が発生する可能性があることに注意されたい。更に、上述のように、同じウェーハ22上では、一般的に、そのような構造変動のうちの1つ又は2つしか発生しない場合がある。
【0086】
より具体的には、(i)孔44aは、公称直径(例えば、直径45b)とは異なる(それよりも大きい)直径45aを有し、(ii)孔44cは、孔44bとは異なる樽形状又はいずれかの他の形状を有する。構造変動の追加の特定の例は、(iii)孔44dが台形形状を有し、上側直径45cと下側直径46の間に実質的に差を有することができ、これらの直径45c及び46のうちの少なくとも一方が、上述した公称直径とは異なる可能性があること、及び(iv)孔44fが直径45dを有することを含む場合がある。公称孔(例えば、孔44b)が台形形状を有する可能性もあり、変動は、例えば、下記でより詳細に説明する中心線シフト(CLS)をもたらす可能性がある孔44dの側壁25の非対称性に起因して発生する可能性があることに注意されたい。更に、構造変動の別の特定の例は、(iv)孔の高さ又は深さ、例えば、孔44eの高さ52が孔44bとは異なる(例えば、それよりも小さい)こと、(v)軸線43bと7の間に定められる角度49に傾斜され、従って、面41に対して垂直ではない長手軸線43bを有する孔44fを含む場合がある。本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、高さという用語と深さという用語とを交換可能に使用する。これに加えて又はこれに代えて、ウェーハ22は、孔44の側壁に沿う(例えば、z軸線に沿う)及び/又は周方向の(例えば、XY面内の)凹凸、楕円性、及び角度方向のような他の構造変動を有する場合があり、これらのうちのいずれも、特徴部に沿って深さと共に変化する場合がある。
【0087】
本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、孔44又はトレンチの「高さ」という用語と「深さ」という用語とを交換可能に用い、これらの用語は、サンプル、例えば、ウェーハ22のZ軸線に沿うそれぞれのトレンチ又は孔のサイズを意味することに注意されたい。更に、「孔」という用語は、真円及び/又は楕円等であるがこれらに限定されない閉じた輪郭のあらゆる適切な形状を意味する。従って、「直径」という用語と「幅」という用語とを交換可能に用い、これらの用語は、サンプルのいずれかの選択XY平面での孔の寸法を意味する。更に、「トレンチ」及び「孔」という用語を本明細書では「キャビティ」又はその文法的変形とも記し、孔は、2次元(2D)キャビティを含み、トレンチは、一般的に、1次元(1D)キャビティを含む。
【0088】
一部の実施形態では、回折画像50及び51は、孔44b及び孔44fをそれぞれ有する区域にX線ビーム31を向けることに応答してシステム20によって生成される。この例では、回折画像50は、回折画像51と比較して異なる一般的にそれよりも高い強度及び対称性を有し、これは、(i)上述した構造変動及び(ii)角度47と角度48と角度49の間の差を例示している。より具体的には、本発明者は、測定ターゲットの孔の軸線(例えば、軸線43a及び43b)が入射ビーム31の軸線37と平行な時に得られたそれぞれの回折画像の強度が異なる(一般的にはより高い)時に改善された測定性能(例えば、最良の精度及び/又は感度)が得られることを見出した。
【0089】
ニューラルネットワークを使用する画像取得及び測定性能の改善
図3は、本発明の実施形態によるウェーハ44内の孔44のX線解析を改善するためにニューラルネットワーク(NN)55を訓練し、その後にNN55を使用するための処理シーケンス54を概略で例示するブロック図である。
【0090】
一部の実施形態では、NN55は、下記で図4及び図5それぞれで詳細に説明する構造及び機能性を有する畳み込みNN(CNN)55及び77等であるがこれらに限定されないあらゆる適切なタイプのNNを含む。CNN55及び77は、システム20に接続された又はそこに含まれる処理ユニット38又はいずれかの他の適切なコンピュータ(図示せず)に実施されたプロセッサ34及び/又は他の処理デバイス(図示せず)に実施することができる。本発明の開示の状況では、ニューラルネットワークという用語は、ハードウエア、ソフトウエア、又はその適切な組合せに実施された深層学習(DL)アルゴリズム及び/又は機械学習(ML)アルゴリズム等であるがこれらに限定されないあらゆる適切な人工知能技術を意味する。
【0091】
一部の実施形態では、処理シーケンス54は、本明細書に説明する1又は2以上の作動を各々が含む主要段階1、2、及び3を含む。以下の説明では、作動は、プロセッサ34によって実行されるが、他の実施形態では、処理シーケンス54の作動のうちの1又は2以上を上述したいずれかの他の適切なタイプの処理デバイス及びソフトウエアを使用して実施することができる。
【0092】
データ発生段階1では、プロセッサ34は、基準データ56、例えば、(i)1又は2以上のウェーハ22又は適切な基準ウェーハの孔44から得られたX線パターン、(ii)孔44の断面に基づくデータ、及び(iii)いずれかの他の適切なソースから受信される他のタイプの基準データを受け取るように構成される。プロセッサ34は、基準データ56の少なくとも一部を受け取る及び/又は検出器アセンブリ32から受信した信号に基づいて生成するように構成されることに注意されたい。
【0093】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、(i)システム20(及びその信号取得パラメータ)、(ii)孔44を有する1又は2以上のウェーハ22(又は他の適切なウェーハ)に対してシステム20が実施する測定、及び(iii)孔44の構造パラメータ(例えば、直径、高さ、及び粗度)のパラメータ57を示し、関連のラベル60を生成する。
【0094】
一部の実施形態では、上述したデータ発生段階は、例えば、全ての訓練データ(例えば、基準データ56及びラベル60)が完全な合成データであり、適切な模擬を使用して生成される場合は任意的なものとすることができる。
【0095】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、米国カリフォルニア州CA95035、ミルピタス、バックアイドライブ1550のOnto Innovationによって供給されている一般的にソフトウエアの製品である製品XCD(NDX)のためのNanoDiffract等であるがこれに限定されず、本明細書ではX線ソルバー58と記す適切なタイプの合成データ発生器(SDG)にパラメータ57の少なくとも一部を適用するように構成される。X線ソルバー58は、物理モデルからの回帰を適用する。一部の実施形態では、パラメータ57に基づいて、X線ソルバー58は、NN55の中に訓練データ及び/又は検証データ(validation data)62として挿入される任意的に実データであり、一般的に、合成データであるX線散乱データ59を生成するように構成される。一部の実施形態では、NN55を訓練するためにラベル60を使用することができる。
【0096】
一部の実施形態では、実際の合成データ発生処理は、以下の作動を含むことができる:
(a)ウェーハ22内に形成された孔44(例えば、孔44b)の公称のレイアウト及び構造を表す複数の孔44の合成アレイ63を生成する作動。この例では、アレイ63の構造は、3D NANDデバイスの孔の公称アレイに基づくが、他の実施形態では、複数の孔44のアレイ63は、適切なタイプのDRAMデバイスのようないずれかの他のデバイスの(公称又はいずれかの他の)構造に基づく場合がある。この例では、アレイ63の約12個の孔44が、1又は2以上のウェーハ22上に生成された実構造をモデル化する(上述した系統的及びランダムな構造変動を含めて)ためにプロセッサ34によって使用されることになる。
(b)基準データ56に基づいて、プロセッサ34は、2又は3以上の孔径の変動、上述した粗度、及び下記でより詳細に以下に説明する中心線シフト等であるがこれらに限定されない構造変動(例えば、欠陥)の境界を決定するように構成される。
(c)その後に、プロセッサ34は、NN55に対する訓練データセットを発生するように構成される。訓練データセットは、それぞれの(例えば、3D NAND)デバイスの孔44を生成するための定められた処理窓内に収まる公称輪郭を含む。同時に、プロセッサ34は、生成パラメータをラベル付けするために公称輪郭(上述の図2の傾斜角49等であるがこれに限定されない)の変動パラメータを使用するように構成することができる。一部の実施形態では、プロセッサ34は、実回折パターンを取得するために構造変動(本明細書では構造ノイズとも記す)の境界を使用してアレイ63の全ての孔44の公称輪郭の各パラメータをランダムに歪曲させるように構成される。更に、プロセッサ34は、X線光子を計数する段階の個別的性質から発生する物理ノイズであるシステム関連ノイズを推定するように構成される。このノイズを本明細書ではシステム20のポアソンノイズ又はショットノイズ及び計器アーチファクト(例えば、システム20のスリットからの背景散乱、並びにシステム20内の他のタイプの電気的及び/又は電気機械的な相互作用によって引き起こされるノイズ)とも記し、このシステム関連ノイズを追加することによって実データ発生処理が完了する。例えば、ショットノイズは、入射ビーム31の強度の変動からもたらされる場合があり、プロセッサ34によって追加され、例えば、入射ビーム31の強度変動のポアソン分布に従う回折画像61bに示す回折パターンが得られる。
【0097】
図3の例では、データ59は、回折画像61bを含むデータ59bのような合成データを含む。更に、データ59は、回折画像61aを含むデータ59aのような実データを含むことができる。検証処理では、本発明者は、類似の構造変動及びノイズを使用して生成した孔44の実回折画像と模擬(合成)回折画像との間で比較を行い、回折画像61aと61bとの間のような実回折画像と模擬回折画像との間で高い忠実度を得た。平均幅、深さによって変動する傾斜角(下記で図7でより詳細に以下に説明する)、及び同じアレイの範囲の孔毎の変動のようないくつかのパラメータは、アレイ内で、アレイ間で、更にウェーハ22上の様々な場所では異なる変動程度を有する可能性があることに注意されたい。一部の実施形態では、X線ソルバー58は、孔44及び他のタイプの問題のHAR構造の合成回折画像を生成する間にこれらのパラメータをモデル化に組み込むように構成される。
【0098】
一部の実施形態では、模擬合成回折画像は、孔44の幅、深さ、並びに傾斜角のx成分及びy成分等であるがこれらに限定されない多数のパラメータの変動を含む可能性がある大きい処理窓にわたってNN55を訓練するのに使用することができる。パラメータの少なくとも一部は、ウェーハ22内又は3D NANDデバイス、DRAMデバイス、又は当該のHAR構造を有するいずれかの他の適切なタイプのデバイスの構造を有する別のウェーハ内に生成することができる他の適切なHAR構造に必要な変更を加えた上で適用可能であることに注意されたい。
【0099】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、複数の不同の孔44の合成アレイを生成するように構成され、各孔44の幾何学形状は、独立に異なることが可能である。この例では、模擬アレイ内の孔44の数は、X線ビーム31によって照射され、既知の断面積を有する実ウェーハ22の干渉体積内に含まれる孔44の数にほぼ等しい。
【0100】
一部の実施形態では、回折画像のうちの少なくとも1つ、一般的には全ては、それぞれのラベル60に基づいて生成される合成回折画像を含み、運動学的散乱理論に基づいてボルン近似を使用して計算される。運動学的散乱理論をCD輪郭解析(XCD)に適用する一例は、ニューヨーク州立大学オールバニー校のCharles M.Settensの博士論文(2015年)である「An Assessment of Critical Dimension Small Angle X-ray Scattering Metrology for Advanced Semiconductor Manufacturing(高度半導体製造のための限界寸法小角X線散乱測定の評価)」に説明されており、この開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0101】
NNの訓練及び検証の段階(NN training and validation step)2では、プロセッサ34は、NN55を訓練するために回折画像61a及び61b及びラベル60のような訓練データ62を使用するように構成される。例えば、プロセッサ34は、(i)回折画像61a及び61bを入力パラメータとして挿入することと、(ii)NN55によって推定された孔44の幅測定値のような出力パラメータをNN55から受け取ることと、(iii)対応する孔44のラベルに基づいて、対応するラベル60内に記録されている孔44の幅測定値をNN55にフィードバックすることによって監視下学習を実施することとによってNN55のDLアルゴリズムを訓練及び検証するように構成される。訓練処理のこの例は、訓練データ62と対応するラベル60との各セットに関してNN55が訓練され、それによってNN55からの推定出力が対応するラベル60の出力に近づくように順次実行される。言い換えれば、NN55の精度は、訓練処理に従って改善される。訓練処理の安定性は、通常は訓練データに10/90として関連付けられる検証データ62及びラベル60を使用して制御される。
【0102】
ラベル60と訓練データ62とのセットの数は、CIFAR-10及びMNISTのような当業技術で公知の適切なデータセットと同じく30,000と70,000との間とすることができることに注意されたい。訓練セットの最小数(minimal number)は、アプリケーションの複雑さ、NN55の構造(下記で図4及び図5では以下に説明する)の深さ、入力パラメータ及び/又は出力パラメータの数、訓練セットの品質、及び他の要件に依存することに注意されたい。
【0103】
例示的実施形態では、出力パラメータは、軸線37と軸線7の間の面41に対して垂直な角度47を含むことができ、入力パラメータは、回折画像を含むことができる。この例では、訓練段階中に、プロセッサ34は、(i)回折画像の各入力に関して角度47の実際値を推定し、(ii)それぞれの回折画像での最大強度を取得するのに必要とされる最適な角度47を含む出力をシステム20のユーザに提供するようにNN55を訓練するように構成される。言い換えれば、NN55は、それぞれの回折画像の強度を高め、それによってX線解析(例えば、それぞれの孔44の直径及び/又は高さの測定)の品質を改善するために入射ビーム31の軸線37の方向を調節することをユーザに推奨するように構成される。
【0104】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、訓練段階、例えば、上述のNNの訓練及び検証の段階2を完了するためにNN55から要求される精度レベルを示す1又は2以上の閾値を格納するように構成される。
【0105】
NNの訓練及び検証の段階2を完了させた後に実施される推論段階(inference step)3では、プロセッサ34は、検出器アセンブリ32から受信した測定データ65(例えば、1又は2以上の回折画像)をNN55の訓練及び検証を完了させた後に取得した訓練済み深層学習モデル66に入力するように構成される。その後に、測定データ65を受け取ることに応答して、訓練済み深層学習モデル66は、1又は2以上の推論パラメータ67を出力するように構成される。例えば、推論パラメータ67は、(i)それぞれの孔44の直径及び/又は高さの測定値、及び/又は(ii)それぞれの孔44の各々の回折画像では最大強度を取得するのに必要とされる最適な角度47を含むことができる。プロセッサ34は、最適角度を取得するためにウェーハをχ方向及びω方向のうちの少なくとも一方に(すなわち、χ軸線及びω軸線のうちの少なくとも一方の周りに)回転させるようにステージ40を制御するように構成されることに注意されたい。これらのパラメータは、処理をモニタするのに使用すること、物理モデル化ソフトウエアの中に入れる1又は2以上の開始パラメータ値として使用することができ、又はその後の測定の前に図2のSAXSシステムを制御し、すなわち、位置合わされるのに使用することができる。
【0106】
処理シーケンス54を示すブロック図は、一例としてかつ概念の明瞭化の目的で提示しており、このブロック図は、他の用途では必要な変更を加えた上で適用することができる。更に、処理シーケンス54は、様々な環境で処理を実行するように調節することができ、又は付加的及び/又は代わりの段階及び作動を含むことができる。処理シーケンス54の更なる詳細は、例えば、Baranovskiy他に付与された米国仮特許出願第63/390,328号明細書(2022年7月19日出願)に説明されており、この文献の開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0107】
図4は、本発明の実施形態によるNN55の構造の概略図である。
【0108】
一部の実施形態では、NN55は、検出器アセンブリ32から受信され、あらゆる適切なサイズ、この例では約150×150ピクセルを有する入力回折画像53を受け取るように構成された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。
【0109】
一部の実施形態では、NN55は、そのニューロンのうちの一部を無効にするように構成されたドロップアウト層70を含む複数の層のブロック68を含む。例えば、ドロップアウト層70は、NN55のニューロンのうちでランダムに選択した約20%の出力をゼロに設定し、それによって回折画像53のピクセルのうちの約20%にゼロ値(例えば、グレーレベルの)を設定する。同時に、ドロップアウトレベルは、画像のサイズを変動させず、出力は、入力の同じサイズのものである。この例では、ドロップアウト層70を回折画像53に適用した後に、ピクセル数は、縦横150ピクセルに留まり、このサイズは、入力画像のサイズである。そのような実施形態では、本発明の開示のNNのドロップアウト層は、入力データの高ノイズ性を相殺するために適用される。
【0110】
一部の実施形態では、ブロック68は、画像の150ピクセル×150ピクセルに適用される約32個の異なるタイプの畳み込みフィルタ(CF)を有する畳み込み層71を含み、従って、畳み込み層71の出力は、136×136×32のサイズを有する。この例では、畳み込み層71の各CFは、約15ピクセル×15ピクセルのアレイを有し、このアレイは、(i)上述の150ピクセル×150ピクセルに沿い、それを通して1ピクセルのステップ幅で移動され、(ii)画像の150ピクセル×150ピクセルに適用される。言い換えれば、入力画像(例えば、150×150ピクセルの)は、定められた畳み込みカーネル(本明細書では第1の行列とも記す)であるそれぞれのCFのサイズを有するパッチ(例えば、本明細書では第1の行列とも記す15ピクセル×15ピクセルの)に分割される。その後に、第1の行列と第2の行列との要素毎の乗法及び加法が、それぞれの畳み込み層の出力に適用される。
【0111】
一部の実施形態では、層71は、その各CFの後に出力に適用される双曲線正接活性化関数(tanh)等であるがこれに限定されない適切な活性化関数を含む。tanhは、シグモイド活性化関数と似ており、従って、いずれかの実際値を入力として取得し、-1と1の間である値を出力する。更に、シグモイドニューロンの隠れ層、それに続く正の線形ニューロンの出力層を表すために、双曲線正接シグモイド伝達関数及び正の線形伝達関数が使用される。tanh活性化関数の出力はゼロ中心であり、従って、NN55は、畳み込まれた回折画像の最も有意な特徴を識別するのにCFのうちのどれがより重要であるかを識別するために出力値を強い負、中間、又は強い正として容易にマップするように構成されることに注意されたい。層71の全てのCF及びtanh関数の適用後に、画像のサイズは、約150ピクセル×150ピクセルから約136ピクセル×136ピクセルまで低減する。
【0112】
一部の実施形態では、ブロック68は、低減したサイズの画像の約136ピクセル×136ピクセルに適用される約64個の異なるタイプのCFを有する追加の畳み込み層72を含み、従って、畳み込み層72の出力は、126×126×64のサイズを有する。この例では、畳み込み層72の各CFは、約11ピクセル×11ピクセルのアレイを有し、このアレイは、(i)上述の136ピクセル×136ピクセルに沿い、それを通して1ピクセルのステップ幅で移動され、(ii)画像の136ピクセル×136ピクセルに適用される。層72も、上述したtanh関数を含み、従って、各CFを適用した後に、上記で層71で説明したものと同じ技術を使用してtanh関数が126ピクセル×126ピクセルに適用される。層71の全てのCF及びtanh関数の適用後に、画像のサイズは、約136ピクセル×136から約126ピクセル×126ピクセルまで低減する。
【0113】
一部の実施形態では、ブロック68は、低減したサイズの画像の126ピクセル×126ピクセルに適用される約128個の異なるタイプのCFを有する追加の畳み込み層73を含み、従って、畳み込み層72の出力は、120×120×128のサイズを有する。この例では、畳み込み層72の各CFは、約7ピクセル×7ピクセルのアレイを有し、このアレイは、(i)上述の126ピクセル×126ピクセルに沿い、それを通して1ピクセルのステップ幅で移動され、(ii)画像の120ピクセル×120に適用される。層73も、上述したtanh関数を含み、従って、各CFを適用した後に、上記で層71で説明したものと同じ技術を使用してtanh関数が120ピクセル×120ピクセルに適用される。
【0114】
一部の実施形態では、NN55は、そのニューロンのうちの一部を上記でドロップアウト層70で説明した技術を使用して無効にするように構成されたドロップアウト層74を有する複数の層のブロック69を含む。従って、ドロップアウト層74は、層73のニューロンのうちでランダムに選択した約20%の出力をドロップアウト層74の出力が約120ピクセル×120ピクセルになるように設定する。
【0115】
一部の実施形態では、ブロック69は、畳み込み層75及び76を含む。畳み込み層75は、ドロップアウト層74の画像の120ピクセル×120ピクセルに適用される約128個の異なるタイプのCFを含み、従って、畳み込み層75の出力は、118×118×128のサイズを有する。この例では、畳み込み層75の各CFは、約3ピクセル×3ピクセルのアレイを有し、このアレイは、(i)上述の120ピクセル×120ピクセルに沿い、それを通して1ピクセルのステップ幅で移動され、(ii)ドロップアウト層74の画像の120ピクセル×120ピクセルに適用される。上記で層71で説明したものと同じ技術を使用する入力画像(例えば、120ピクセル×120ピクセルの)は、定められた畳み込みカーネルであるそれぞれのCFのサイズを有するパッチ(例えば、3ピクセル×3ピクセルの)に分割される。その後に、パッチとそれぞれのCFとの要素毎の行列乗法及び行列加法が、それぞれの畳み込み層の出力に適用される。
【0116】
一部の実施形態では、tanh関数の代わりに、NN55の畳み込み層75及び76の各々は、層75及び76の各CFの後に出力に適用される修正線形ユニット(ReLU)を含む。ReLUは、入力が負の場合にゼロ値を戻す活性化関数であるが、いずれの正値xに対してもその値を戻す。従って、ReLUは、f(x)=max(0,x)と書くことができる。
【0117】
一部の実施形態では、畳み込み層75及びReLUを120×120×128層に適用した後に、ピクセルの出力数は118ピクセル×118ピクセルまで低減し、約128個のCFを有する畳み込み層76は、上記で層71で説明した技術を使用して118ピクセル×118ピクセルに適用される。更に、ReLUは、層76の各CFの後の出力にも上述のように適用される。
【0118】
一部の実施形態では、NN55は、例えば、上記でドロップアウト層70で説明した技術を使用して層76のニューロンのうちの一部を無効にするように構成されたドロップアウト層78を含む複数の層のブロック81を含む。従って、ドロップアウト層78は、層76のニューロンのうちでランダムに選択した約20%の出力をドロップアウト層78の出力が116×116×128になるように設定するように構成される。
【0119】
一部の実施形態では、ブロック81は、約116ピクセル×1ピクセルの畳み込みカーネルサイズを有する約256個の異なるタイプのCFを有する本明細書で多層79と記す約256個の畳み込み層を含む。従って、256個のチャネルを有する2次元(2D)層の代わりに、多層79は、1×116×256のサイズを有する1次元(1D)層を含む。
【0120】
一部の実施形態では、ブロック81は、256個のチャネルからのデータを単一チャネルに変換するように構成された1×1の畳み込みサイズを有する層80を含む。従って、層80は、単一列に沿って約116個のニューロンを含み、1×116×1の出力サイズを有する。ReLUは、上述のように層80の116個のニューロンの各々の後の出力にも適用される。
【0121】
一部の実施形態では、層79は、NN55を孔44の傾斜を評価することにより着目するための統合層として働きをする。従って、層79は、x傾斜に関してy方向の長さに等しく、y傾斜に関してx方向の長さに等しいカーネルサイズを有する畳み込み層を含む。このようにして、CNNは、完全に位置合わせされた孔からの回折パターン50と特別な方向に傾斜した孔からの回折パターン51の間の対称性の変動が露出した特徴部により集中するように強いられる。更に、これは、第1の完全接続層(FC)83内のニューロン毎の重みの数が低減し、計算時間が短縮し、NNが過適合から保護される。
【0122】
深層学習は、問題の画像の最も重要な特徴部(又は他の物体)を識別して学習するのにどのタイプの畳み込みがそれぞれのCNNを支援するかを識別するために多数の畳み込み層を必要とすることに注意されたい。
【0123】
一部の実施形態では、NN55は、全接続(FC)層のセットを含むブロック82を含む。完全接続層(本明細書では高密度層とも記す)内では、全てのニューロンが、直前の層内の対応する単一ニューロンからの入力を入手することに注意されたい。このアーキテクチャは、各ニューロンが、上述した畳み込みカーネル内のニューロンからしか情報を取得しない上述の畳み込み層とは異なる。
【0124】
この例では、ブロック82は、約750個のニューロンを有するFC層83と、各々が約300個のニューロンを有するFC層84、85、及び86と、約150個のニューロンを有するFC層87と、約150個のニューロンを有するFC層89とを含む。一部の実施形態では、ReLUは、各FC層84~87及びFC層89の出力に適用される。
【0125】
一部の実施形態では、ブロック82は、約150個のニューロンを有するFC層90と、ブロック82及びNN55の最後の層であり、NN55の出力を提供する単一ニューロンを有するFC層91とを更に含む。NN55の出力は、上述の図3で上述したように1又は2以上の推論パラメータ67を含む。例えば、推論パラメータ67は、上述の図2に示したパラメータ、すなわち、(i)軸線37と軸線7の間の面41に対して垂直な角度47、(ii)直径45b、45c、46、及び45dのような1又は2以上の直径の測定値、(iii)高さ52のような高さの測定値、及び(iv)孔44及び/又はウェーハ22の他の構造及び層(図示せず)に関する他のパラメータのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0126】
一部の実施形態では、上記でtanh関数に関して上述したように、約-1と1の間の値を有するNN55の出力を受け取るためにtanh関数がFC層90及び91の各々の出力に適用される。
【0127】
FC層内では、より多数のニューロンは、NN55の学習精度を改善することができるが、学習所要時間がより長く、データの過適合(不測のデータに対するNNの不安定又は不正確な作用)をもたらす可能性があることに注意されたい。
【0128】
代替実施形態では、NN55は、tanhの代わりに又はそれに加えて、必要な変更を加えた上でNN55に実施されたいずれかの他の適切なタイプの活性化関数を含むことができる。
【0129】
この例では、NN55は、HAR孔44の周期アレイの合成回折画像に適用されたものである。他の実施形態では、NN55は、上記で概要及び図1で詳細に説明したように(i)HAR構造を有するライン及びトレンチの周期アレイ、及び(ii)(a)孔44と(b)全てが単層に配置されたHARライン及びHARトレンチとの適切な組合せを含む周期アレイのうちの少なくとも一方に必要な変更を加えた上で適用することができる。
【0130】
そのような実施形態では、NN55は、(i)第1のアレイ内のHARラインのうちの少なくとも2つの間、(ii)第1のアレイ内のHARトレンチのうちの少なくとも2つの間、及び(iii)第2のアレイ内のHAR孔44(図2の例に示す)のうちの少なくとも2つのうちの間のうちの少なくとも1つの1又は2以上の変動を示す1又は2以上のX線解析を出力するように構成される。
【0131】
NNのこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処されるある一定の問題を示し、そのようなCNNの性能を改善することへのこれらの実施形態の適用を明らかにするために例示的に示したものである。しかし、本発明の実施形態は、この特定のタイプの例示的NNに決して限定されず、本明細書に説明する原理は、他のタイプのニューラルネットワークに同じく適用することができる。
【0132】
図5は、本発明の別の実施形態によるニューラルネットワーク(NN)77の構造の概略図である。NN77は、例えば、上述の図3のNN55を置換することができる。
【0133】
メモリデバイスのHAR孔からの回折画像は、一般的に、半径方向相称性を有する六角格子で配置されるが、ある程度の変動を有する可能性があることに注意されたい。変動は、孔44の構造変動(上述の図2に示し、詳細に説明した)及びシステム20から発生するポアソンノイズ又は他のノイズ(上述の図3で詳細に説明した)のようないくつかのソースによって引き起こされる場合がある。
【0134】
ここで回折画像53に適用され、かつその上に提示される畳み込みフィルタ(CF)11及び12を示す挿入図10を参照する。一部の実施形態では、プロセッサ34は、回折画像53の上にCF11及び12を表示する又はしない場合があり、従って、CF11及び12の提示は、概念の明瞭化の目的で示したものである。
【0135】
この例では、CF11及び12は、約150ピクセル×150ピクセルの寸法を有する回折画像53にあらゆる適切な畳み込みカーネル(例えば、平均化又はエッジフィルタリング)を適用するように構成される。挿入図10の例では、(i)CF11は、上述の図4で詳細に説明したCFのような直交座標に基づくCFを含み、(ii)CF12は、円形CF(CCF)を含み、従って、本明細書ではCCF12とも記す。原理的には、CCF12を回折画像53に適用することができるが、そのような適用は、回折画像53のような直交座標画像に適用するには複雑な場合がある。一部の実施形態では、CF11のような適切な直交座標に基づくCFを極座標への回折画像53の変換に適用することができる。
【0136】
ここで再度図5の全体図を参照する。一部の実施形態では、プロセッサ34は、回折画像53を極座標(PC)に変換し、それによってこの例では約360度を有し、更に約0個の検出器ピクセルと75個の検出器ピクセルの間に半径Rを有するPCに基づく回折画像(PCDI)88を生成するように構成される。
【0137】
次に、水平軸線に角度θを有し、更に垂直軸線に半径Rを有するグラフの上に示されるPCDI88を示す挿入図14を参照する。一部の実施形態では、挿入図10のCF12に対応するCF13は、PCDI88に適用され、任意的にPCDI88の上に示されている。直交座標から極座標への変換に起因してCF12と13は、(i)回折画像53(挿入図10)と(ii)PCDI88(挿入図14)とで別様に見えることに注意されたい。
【0138】
一部の実施形態では、NN77は、CF13をR軸線に沿って移動することによってCF13をPCDI88に適用するように構成され、それに対して挿入図10の回折画像53では、NN77は、回折画像53の全区域を網羅するために回折画像53の両方の軸線に沿ってCF11を適用するように構成される。
【0139】
そのような実施形態では、CF13及びその走査は、挿入図10に示す回折画像53にCF12によって適用されるものと同じ畳み込みカーネルをPCDI88に適用するために極座標に対して適応される。
【0140】
ここで再度図5の全体図を参照する。一部の実施形態では、NN77は、約3ピクセル×3ピクセルの畳み込みカーネルサイズを各々が有する約16個の畳み込み層を有する多層CF92を含み、従って、多層CF92は、16×3×3のサイズを有する。CF13をPCDI88に適用し(上述のように)、所与の出力(本明細書では放射状出力とも記す)を受信した後に、NN77は、多層CF92をこの所与の出力に適用するように構成される。更に、多層CF92の各層を適用した後に、それぞれの出力(例えば、多層CF92の16個の層の各々を適用した後の)にReLUが適用される。
【0141】
一部の実施形態では、NN77は、多層CF92及びReLU(上述した)の出力に(i)3ピクセル幅とCF92の畳み込みからの出力の全長(3×358)とのうちの一方(挿入図77に示す)又はいくつかのCF及び(ii)全長畳み込みの各々の後のReLUを適用するように構成された多層CF93を含む。そのような畳み込みは、上述の挿入図14に示し、上述のように円形畳み込みを直交座標内で適用することに対応することに注意されたい。
【0142】
一部の実施形態では、NN77は、128個、128個、64個、及び1個のニューロンをそれぞれ有する全接続(FC)層94、95、96、及び97を含むブロック99を含む。
【0143】
画像53及びPCDI88の回折パターンの半径方向相称性を利用するために、多層CF93は、ブロック99のFC層を多層CF92及び93、並びにそれぞれのReLUの出力に適用する前に統合層として機能することができることに注意されたい。
【0144】
一部の実施形態では、94、95、96、及び97の各々を適用した後に得られた出力にFC層97の出力が正数を含むようにReLUが適用される。例えば、FC層97の後のNN77の出力が孔44の直径を示される場合に、NN77の出力がゼロよりも大きいことを保証するために、ReLUは、FC層97を適用した後の出力に適用しなければならない。これに加えて又はこれに代えて、NN77の出力は、その後の測定での入射X線ビーム31をウェーハ22の予め定められた部位に向けるための推奨角度47を示すことができる。そのような実施形態では、NN77の出力が、上述の図2に示した軸線37と面41との位置合わせ角度の全ての可能な値を網羅することを保証するために、FC層97を適用した後の出力にtanh又は線形ユニットを適用することができる。
【0145】
一部の実施形態では、回折画像53のような半径方向相称性を有するあらゆる適切な画像を極座標に変換することにより、それぞれのCNNを簡素化することができる。この例では、NN55とNN77の両方は、孔44を解析する(例えば、その直径を測定する)ように訓練され、その後に使用されるように構成される。従って、NN77は、NN55よりもかなり単純であるように見え、従って、NN77の訓練は、短めであることが予想される。例えば、NN77は、収束させる際に実質的により小さい数の訓練設定しか必要としない(NN55と比較して)。本発明の開示の状況では、収束という用語は、例えば、上述の図3でも上述のように、NN77の出力と対応する訓練セットの出力の間の計算上の差が所与の閾値よりも小さい時又はこの差が飽和に達した時に、すなわち、訓練の増加と共に変動しない時に、上述の図3に説明した訓練済みモデルを取得することを意味する。
【0146】
これに加えて又はこれに代えて、上述の図4に説明したNN55と比較してNN77及び図5に説明した技術を適用する時に、各訓練セットを達成するための訓練所要時間は、図4に記載と比較すると約2桁短い。更に、放射相称画像の推論ステージでは、NN77を使用する時に、推論ステージの所要時間は、NN55又は直交座標で示される回折画像に適用されるように構成されたいずれかの他の適切なNNを使用する時と比較して実質的に短い。
【0147】
一部の実施形態では、画像53及びPCDI88の回折パターンの半径方向相称性を利用することにより、NN77は、約50,000個よりも多い訓練可能パラメータを必要としない場合がある。それと比較して、AlexNet(Alex KrizhevskyがIlya Sutskever及びGeoffrey Hintonと協働で供給している)のような広く使用されるCNNアーキテクチャを選択した同じ用途では、実質的に多数の訓練可能パラメータ、例えば、上述の50,000個よりも約3桁多い訓練可能パラメータが必要である。そのような少なめの量の所要訓練可能パラメータは、それぞれのNN(例えば、NN77)のより単純な構造、少なめの量の訓練データをもたらし、それによって上述した訓練ステージと推論ステージの両方の時間を短縮することに注意されたい。
【0148】
言い換えれば、平均CDの評価に関して訓練ステージ及び推論ステージのスループットを数桁だけ改善することができる。このアーキテクチャ及び技術は、物理モデルに基づくX線回折パターンの輪郭解析に典型的な精度及び精度を維持することも可能にすることに注意されたい。更に、そのような解析は、例えば、モデルの開発及び利用最中に適格なオペレータによる監視を必要とする、物理モデルに基づく回帰とは対照的に監視なしで自動的に実施することができる。NNに基づく解析の場合に、監視者による検証及び/又は調節を必要とする全てのパラメータは、X線ソルバー58を使用して合成データ59及び訓練NN(挿入図54)を生成する基準データ解析56中に検証及び調節される。
【0149】
本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、本明細書ではNN77を放射状ネットとも記し、放射状ネットは、極座標への回折画像53の変換であるPCDI88に適用することを目的としたものである。
【0150】
一部の実施形態では、本発明の開示する技術は、半径方向相称性を有することが予想されるあらゆる画像に一般化することができる。そのような実施形態では、本発明の開示する技術は、取りわけ、画像を本明細書では放射状画像とも記す極座標に変換する段階と、その後に、放射状ネットを訓練して1又は2以上の放射状画像セットに適用する段階を含む。これらの技術は、訓練段階で訓練処理を簡素化し、及び/又は推論段階で精度を改善することができる。
【0151】
次に、本明細書では検出器アセンブリ32a及び32bと記すX線検出器アセンブリ32の外面の2つの任意的な構成を示す挿入図17を参照する。
【0152】
一部の実施形態では、検出器アセンブリ32a内で孔44から回折したX線光子を検出するように構成された外面は、四角形(例えば、正方形)のセル18のアレイを含む。例えば、セル18のアレイは、所与のセル18によって検出されるX線光子の数が回折像53内の対応するピクセルのグレーレベルを示すような約150セル×150セルを含むことができる。この構成では、プロセッサ34は、入射X線ビーム31をウェーハ22に照射することに応答してセル18によって検出されたX線光子に基づいて回折像53を生成するように構成される。
【0153】
他の実施形態では、検出器アセンブリ32b内で孔44から回折したX線光子を検出するように構成された外面は、放射相称に配置された六角形セル98及び/又は得られピクセルの六角形アレイを含む。例えば、仮想円16の全ての点は、それぞれ六角形セル98の上に収まる。この構成では、プロセッサ34は、入射X線ビーム31をウェーハ22に照射することに応答してセル98によって検出されたX線光子に基づいてPCDI88を生成するように構成される。言い換えれば、検出器アセンブリ32は、適切な形状(例えば、六角形形状)を各々が有するセル(例えば、セル98)のアレイを含むことができる。この構成では、セルは、円(例えば、仮想円16)又は半径方向相称性を有するいずれかの構造の外周に沿って配置することができる。すなわち、検出器アセンブリ32から受信した信号に基づいて、プロセッサ34は、直接極座標で回折画像(例えば、PCDI88)を生成するように構成される。更に、半径方向相称性を有する画像(例えば、PCDI88)を解析するために、典型的に小さめで訓練するのが速い放射状NN(例えば、NN77)を使用することができる。
【0154】
NN77のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処されるある一定の問題を示し、そのようなCNNの性能を改善することへのこれらの実施形態の適用を明らかにするために例示的に示したものである。しかし、本発明の実施形態は、この特定のタイプの例示的NNに決して限定されず、本明細書に説明する原理は、他のタイプのニューラルネットワークに同じく適用することができる。
【0155】
更に、検出器アセンブリ32aの形状、並びにセル98の形状及びアレイは、円形幾何学形状(例えば、円16の)を完成させ、それによって極座標を有する回折画像を取得するための例として提示したものである。しかし、本発明の実施形態は、セルのこの特定のタイプの例示的形状及びアレイに決して限定されず、本明細書に説明する原理は、検出器アセンブリの他の適切な構成に同じく適用することができる。
【0156】
図6は、本発明の実施形態による孔44のX線解析を改善するためにNN55を訓練し、その後に、NN55を使用する方法を概略で例示する流れ図である。
【0157】
一部の実施形態では、本方法は、訓練ステージと、推論ステージと、これらのステージの間に実施される判断段階とを含む。この例では、コンピュータ作動及びデータ配置作動は、その全てがプロセッサ34を使用して実行されるかのように説明する。他の実施形態では、本方法に説明する作動のうちの少なくとも1つは、システム20の一部又は外部とすることができるいずれかの他の処理ユニットを使用して実施することができる。
【0158】
以下の段階は、本方法を開始する訓練ステージ中に実施される。データセット生成段階100では、プロセッサ34は、角度47のような入射角を含むデータセットを発生するように構成される。これに加えて又はこれに代えて、データセットは、孔アレイ44a、44b、及び44dそれぞれの第1の直径セット45a、45b、及び45c等であるがこれらに限定されない測定結果出力を含むことができる。図3で詳細に説明したように、データセットは、X線ビーム31を対応する入射角(例えば、角度47)に向けることに応答して生成された回折パターンの合成画像及び任意的な実画像(例えば、回折画像61b及び61a)を更に含む。これに加えて又はこれに代えて、上述の回折画像は、孔アレイ44a、44b、及び44dに対応することができる。合成画像は、ビーム31とウェーハ22の孔44の間の相互作用模擬に基づいて生成されることに注意されたい。
【0159】
更に、プロセッサ34は、訓練ステージの所要時間を短縮し、下記で詳細に以下に説明するその後の推論ステージでのNN55の精度を低減するための前処理作動をデータセットに対して実施するように構成される。例えば、前処理は、対数又は平方根のようなあらゆる適切な変換を使用して回折画像の強度値を変換する段階、及び/又は強度フィルタよりも弱い強度を有する回折画像及び/又は画像内のノイズレベルが定められたノイズ閾値よりも高い回折画像を除去するために強度フィルタを適用する段階を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、前処理は、入射ビーム31の強度又は最大強度値に対する回折画像の強度値の修正を含むことができる。これらの前処理技術は、データをニューラルネットワークの中に入力として提供する前にデータを加工するための任意的な技術である。前処理を実行する段階は、いずれかのパラメータ推論の感度を改善するようにデータを変換する段階を含むことに注意されたい。前処理は、解析下の構造に関する有利な情報を提供せず、例えば、強度でのいずれかの非線形性及びデータのノイズによって引き起こされる可能性があるランダム変動を除去するのに必要とされる場合がある。
【0160】
第1の訓練段階102では、プロセッサ34は、孔44の第1の回折パターンの第1の合成画像(例えば、回折画像61b)をNN55に提供するように構成される。図2及び図3、並びに上述の段階100で上述のように、回折画像61bは、第1の入射角(例えば、角度47)のX線ビーム31とウェーハ22の孔44の1又は2以上の特定のアレイの間の相互作用(例えば、線ビーム31の回折)の模擬に対応する。
【0161】
第2の訓練段階104では、NN55を回折画像61bに適用することに応答して、プロセッサ34は、第1の入射角とは異なる第2の入射角を含む段階102の出力をNN55から受け取るように構成される。第1の入射角と第2の入射角の間の差は、訓練ステージ中のNN55の不十分な精度に起因することに注意されたい。一部の実施形態では、プロセッサ55は、第1の入射角をNN55に提供することによって監視下訓練を実施するように構成される。
【0162】
これに加えて又はこれに代えて、NN55を回折画像61bに適用することに応答して、プロセッサ34は、第1の直径セット45a、45b、及び45cとは異なる第2の直径セット45a、45b、及び45cを含む段階102の出力をNN55から受け取るように構成される。第1の直径セットと第2の直径セットの間の差は、訓練ステージ中のNN55の不十分な精度に起因することに注意されたい。一部の実施形態では、プロセッサ5は、第1の直径セット45a、45b、及び45cをNN55に提供することによって監視下訓練を実施するように構成される。
【0163】
第3の訓練段階106では、プロセッサ34は、上記で段階102及び104、並びに図4に説明した反復処理でNN55を訓練するためにデータセットの(i)追加の合成(例えば、回折)画像と、(ii)対応する入射角及び/又は直径とを使用するように構成される。
【0164】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、訓練ステージ中のNN55の所要の精度を示す1又は2以上の閾値、例えば、(i)(a)データセットに格納された孔44の所与のアレイの直径と(b)訓練ステージ中にNN55から受け取る孔44の所与のアレイの出力直径との差を示す第1の閾値、及び(ii)(a)データセットに格納された入射ビーム31の角度と(b)訓練ステージ中にNN55をデータセットの対応する回折画像に適用することに応答して受け取る角度との差を示す第2の閾値を格納するように構成される。
【0165】
原理的には、実回折画像を生成する時に、SN比(SNR)は、信号取得時間を増大することにより、例えば、ビーム31を測定部位に約10秒間にわたって照射し、相応に散乱したX線光子を検出する時に改善される。しかし、ビーム31を単一入射角で照射する時に、変動に対する測定の感度は高く、それによってそれぞれの測定の精度(例えば、反復性及び再現性)の低減がもたらされる場合がある。
【0166】
一部の実施形態では、回折画像(例えば、回折画像61のうちの1又は2以上)は、実際及び/又は模擬の複数のサブショットを使用して生成することができる。例えば、単一回折画像を生成するために約10秒の単一取得時間(本明細書ではショットとも記す)を使用する代わりに、プロセッサ34は、約2秒の取得時間(すなわち、ショット所要時間)を各々が有する約5枚の回折画像を生成するように構成される。(実際及び/又は模擬の)5つの2秒ショットに基づいて、プロセッサ34は、5枚の回折画像61をそれぞれ生成するように構成される。その後に、プロセッサ34は、NN55を5枚の回折画像61に適用し、相応に入射X線ビーム31を向けるためのウェーハ22の面39及び41に対する5つの推奨角度をNN55から受け取るように構成される。この技術を本明細書ではマルチサブショット技術とも記す。
【0167】
一部の実施形態では、5つの推奨角度に基づいて、プロセッサ34は、入射X線ビーム31を向けるためのウェーハ22の面39及び41に対する最終推奨角度を決定するように構成される。例えば、5つの推奨角度に基づいて、プロセッサ34は、いずれかの他の適切な計算及び/又は基準を使用して平均入射角を計算するか又は最終推奨角度を決定するように構成される。
【0168】
一部の実施形態では、ウェーハ22の面39及び41に対する孔44の平均角度を決定するために、この決定は、X線ビーム31に対する孔44の角度を決定し、次に、面39及び41に対する法線と入射X線ビーム31の間の角度関係を更に知ることによって行われる。
【0169】
一部の実施形態では、マルチサブショット技術を適用することにより、全取得時間が一定(例えば、約10秒)に留まるので、プロセッサ34は、ビーム31推奨入射角の決定を最適化し、それによってスループットを損なうことなく測定精度を改善するように構成される。
【0170】
一部の実施形態では、上述の段階100~106は、訓練ステージ中に上述した反復処理を使用して実行される。判断段階108では、プロセッサ34は、例えば、各反復回の後に訓練が完了したか否かを検査するように構成される。例えば、プロセッサ34は、各反復回の後に、直径及び/又は入射角の差が第1及び/又は第2の閾値よりもそれぞれ小さいか否かを比較するように構成される。差のうちの少なくとも1つが対応する閾値よりも大きかった場合に、訓練は完了しておらず、本方法は、ループして段階106に戻り、訓練ステージを続ける。これに代えて、全ての出力パラメータ(例えば、直径と入射角の両方)が対応する閾値よりも小さかった場合に、訓練は完了しており、本方法は、推論ステージに進行する。
【0171】
言い換えれば、プロセッサ34は、NN55が十分に訓練されており、推論ステージに向けて待機していることを保証するために検証段階を実施するように構成される。
【0172】
以下の段階は、推論ステージ中に実施される。入力段階110では、プロセッサ34は、訓練ステージ中にNN55に供給されなかった本明細書では新しい回折画像とも記す実回折画像(ある回折パターンの)であるその後の回折画像をNN55に提供するように構成される。新しい回折パターンは、X線ビーム31をウェーハ22内の孔44のアレイに向け、孔44の各々のアレイから回折したX線光子を示す信号を検出器アセンブリ32から受け取ることに応答してプロセッサ34によって生成される。一部の実施形態では、ビーム31は、軸線37と面41と(両方共に上述の図2に示す)の間の第3の入射角で向けられる。更に、この例では、ビーム31は、第1の平均直径を有する孔44のアレイに向けられる。
【0173】
推論ステージ及び本方法を完了する出力段階112では、プロセッサ34は、孔44のアレイの測定値であって、第1の平均直径からの差が上述の訓練ステージで説明した第1の閾値よりも小さい第2の平均直径を有する上記測定値を示す出力をNN55の訓練済みモデル(例えば、深層訓練モデル)から受け取る。これに加えて又はこれに代えて、プロセッサ34は、改善された直径測定精度を達成するために推奨される本明細書では推奨角度とも記す第4の入射角を示す出力をNN55の訓練済みモデルから受け取る。例えば、上述の図2を参照すると、孔44fのアレイを測定する時に、回折画像51の最も高い強度は、ビーム31の軸線37が孔44fの軸線43bとほぼ平行である時に得られる。この例では、NN55によって推奨された入射角でビーム31をウェーハ22に向ける時に、孔44fの測定品質、例えば、(i)反復性、(ii)再現性、(iii)精度、及び(iv)測定感度のうちの少なくとも1つが改善される。
【0174】
この例では、NN77を(i)訓練ステージ中のHAR孔44の周期アレイの合成回折画像、及び(ii)上述の図2に示したアレイのうちの少なくとも1つのような実HAR孔44の周期アレイからシステム20内で取得した回折画像に適用した。
【0175】
場合により、NN77は、他のタイプのアレイに必要な変更を加えた上で適用することができることに注意されたい。しかし、NN77を成功裏に適用してX線解析(構造変動の測定)の所要の品質を達成するために、そのようなアレイの回折画像(例えば、PCDI88)は、一般的に半径方向相称性を有するべきである。言い換えれば、NN77の訓練ステージ及び推論ステージは、半径方向相称性を有する回折画像に適用する時にNN55と比較して実質的により短く、より有効である可能性があるが、回折画像のうちの少なくとも1つが半径方向相称性を持たない場合に、ユーザは、X線解析(例えば、構造変動の測定)の所要の品質を達成するために回折画像にNN55を適用するように考慮することができる。
【0176】
図6のこの特定の方法は、本発明の実施形態によって対処されるある一定の問題を示し、システム20の性能を改善することへのこれらの実施形態の適用を明らかにするために例示的に示したものである。しかし、本発明の実施形態は、この特定のタイプの例示的方法及びNNに決して限定されず、本明細書に説明する原理は、他のタイプのシステム及びニューラルネットワークに同じく適用することができる。更に、図6の方法は、例えば、上述の図5で詳細に説明したPCDI88を取得した後に、上述の図5のNN77に必要な変更を加えた上で適用することができることに注意されたい。
【0177】
ニューラルネットワークを多層画像に適用することによる孔の垂直寸法に沿う変動の解析
図7は、本発明の実施形態によるNN55又はNN77を孔44の多層回折画像111に適用することによって孔44及び/又は多段構造の垂直寸法に沿う変動を解析する方法の概略図である。
【0178】
本発明の開示及び特許請求の範囲の状況では、多段構造という用語は、多層構造を有する2層又は3層以上のスタックで生成された構造を意味する。
【0179】
ここで、ウェーハ22の垂直軸線(例えば、Z軸線)に沿う孔44b、44d、及び44fそれぞれのプロファイル151、152、及び153を参照する。プロファイル151~153は、ウェーハ22のX軸線及びZ軸線に沿う孔44b、44d、及び44fの寸法(例えば、ナノメートルを単位とする)を有するそれぞれのグラフ上に表示されている。
【0180】
この例では、プロファイル151、152、及び153は、孔44b、44d、及び44fそれぞれの側壁の形状によって決定された向きを有するそれぞれCL121、123、及び125と記した仮想中心線(CL)を有する。より具体的には、(i)プロファイル151は、側壁23aと23bの間に定められた上側直径45bと下側直径113とを有し、(ii)プロファイル152は、側壁25aと25bの間に定められた上側直径45cと下側直径46とを有し、(iii)プロファイル153は、側壁27aと27bの間に定められた上側直径45cと下側直径115とを有する。
【0181】
プロファイル151の例では、側壁23aと23bとは、Z軸線に関して対称であり、従って、直径45bと113とは同心であり、CL121は、Z軸線と平行である。
【0182】
プロファイル152の例では、側壁25aと25bは、Z軸線に関して対称ではなく、従って、直径45cと46は同心ではなく、CL123は、Z軸線と平行ではない。側壁23aと23bの非対称性に起因して、CL123は、場所114で僅かな線形シフトを有する。孔44dのこの種の垂線の変動を本明細書では線形中心線シフト(CLS)とも記す。
【0183】
プロファイル153の例では、側壁25aと25bは、Z軸線に関して同じく対称ではなく、従って、直径45dと115は同心ではなく、CL125は、Z軸線に沿って非線形CLSを有する。この非線形CLSを場所116に示している。
【0184】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、ウェーハ22の面に対して法線方向の軸線(例えば、ウェーハ22のZ軸線)の周りの回転φと、ウェーハのY軸線の周りの回転χと、ウェーハのX軸線の周りの回転ωとを加えるなどでウェーハ22をあらゆる適切な方向に傾斜させるようにステージ40を制御するように構成される。上述のように、χとωは、両方共にウェーハ22の面と平行であるが、互いに直交し、それに対してφは、ウェーハ22の面に対する法線の周りに回転することに注意されたい。この例では、位置131、132、及び133では、ウェーハ22は、それぞれ約00、-0.40、及び+0.40のωに回転されているが、他の実施形態では、これに加えて又はこれに代えて、HAR構造(上述の図1で定めた)では約-2.00と+2.00の間のω(又はいずれかの他の適切な角度ω及び/又はあらゆる適切な角度χ)、低アスペクト比構造(約10:1よりも低いアスペクト比を有する)に使用される場合に、角度ω及び角度χの一方又は両方に関して約-20.00と+20.00の間のようないずれかの他の適切な角度に回転される。
【0185】
一部の実施形態では、位置131、132、及び133にある孔44fに対してビーム31を向け、検出器アセンブリ32から受信される対応する信号を受け取ることに応答して、プロセッサ34は、回折画像141、142、及び143をそれぞれ生成するように構成される。これに加えて又はこれに代えて、プロセッサ34は、合成回折画像のセット(例えば、141、142、及び143と類似)と、これらの合成回折画像に対応する例えば上述の図3で詳細に説明した適切なラベルとを生成するように構成される。
【0186】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、(i)回折画像141、142、及び143に基づいて多層回折画像111を生成し、その後に(ii)訓練ステージ、推論ステージのうちの少なくとも一方の実行中に図4図6で詳細に説明した技術を使用してNN55又はNN77を多層回折画像111に適用するように構成される。
【0187】
回折画像141、142、及び143の各々は、150×150×1のサイズを有し(すなわち、150ピクセル×150ピクセルの1枚の画像である)、それに対して多層回折画像111のサイズは、150×150×3である(すなわち、各々が150ピクセル×150ピクセルの3枚の画像である)ことに注意されたい。更に、多層回折画像111のXY方向のサイズは、上述の図4及び図5に説明した回折画像53と類似のままに留まるので、一般的に、プロセッサ34は、NN55及びNN77の構造を変動させることなくNN55及び/又は77を多層回折画像111に適用することができる。
【0188】
言い換えれば、1つのオプションは、約150ピクセル×150ピクセルよりも大きいサイズを有する回折画像を含むNNへの入力を生成することである。しかし、このオプションは、異なるサイズの入力に適用されるように構成されたNNの新しいアーキテクチャを必要とする。本発明の開示する技術を使用するプロセッサ34は、(i)回折画像(例えば、画像141、142、及び143)の同じサイズの各個々の層を有する1枚の多層回折画像(例えば、多層回折画像111)を生成し、その後に多層回折画像の全ての層(例えば、回折画像141、142、及び143)にNN55及び/又は77を同時に(又はいずれかの他の適切なシーケンスを使用して)適用するように構成される。
【0189】
他の実施形態では、プロセッサ34は、ウェーハ22のあらゆる適切な数(3個以外)の傾斜位置を使用して生成された対応する数の回折画像に基づいて別の多層回折画像を生成するように構成される。回折画像は、システム20(又はいずれかの他の適切なX線解析システム)及び/又は回折画像の適切な模擬を使用して生成することができることに注意されたい。
【0190】
ウェーハ22又はいずれかの他の適切なタイプのウェーハ上に生成されたデバイス161の積み重ね孔144と145の間の本明細書でジョイントシフト(JS)とも記す重ね合わせ誤差を示す挿入図160を参照する。
【0191】
孔144及び145の各々は、一例として提示したものであり、例えば、上述の図2の複数の孔44のうちのいずれか又はウェーハ22内又はシステム20によって解析することが意図されたいずれかの他のウェーハ内に生成することができるいずれかの他の適切なHAR構造(例えば、トレンチ)に置き換わることができることに注意されたい。更に、図2の例では、これらの孔44は、例えば、当業技術で公知のフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を使用して同じ層内に形成され、それに対して孔144及び145は、例えば、当業技術で公知の堆積処理及び/又は研磨処理を使用してそれぞれのウェーハ内に生成されたデバイス161の2つのスタック内に形成される。例えば、孔145は、ウェーハ22の基板の中に又はウェーハ22の基板の上に形成されたスタックの中にエッチングすることによって形成される。次に、孔145には、いずれかの容易に取り外し可能な材料を充填することができ、その後に、孔145が形成された層にわたって1又は2以上の追加の層が形成される。次に、1又は2以上の追加の層は、孔144を形成するようにパターン化及びエッチングされ、このエッチング処理中又はその後の処理で145内の充填材が除去される。代替例では、デバイス161の構造は、孔144と145の間を接続するライン又はパッドを含むことができる。
【0192】
この例では、孔144の中心線164は、孔144の深さ154に沿ってウェーハのZ軸線に対する角度174に傾斜される。更に、孔145の中心線165は、孔145の深さ155に沿ってウェーハのZ軸線に対する角度175に傾斜される。
【0193】
傾斜の結果として、孔144と145の間のインタフェース区域178にジョイントシフト(JS)177が不適切に形成される。より具体的には、JS 177は、インタフェース区域178でのCL164と165の間の距離によって決定される。言い換えれば、ジョイントシフト177のサイズは、CL164と165との望ましくない傾斜(及び/又は孔144の位置と孔145の位置の間の相対シフト)によって引き起こされる重ね合わせ誤差のレベルを示している。重ね合わせ誤差のレベルの仕様は、それぞれのデバイスの設計規則内で決定され、孔144及び145を含むデバイスの加工処理の処理制御限界に適用される。
【0194】
孔144及び145の高アスペクト比に起因して、JS 177のサイズを測定する段階は、それぞれのデバイスの加工中に測定を行うために適用される技術に関係なく一般的に困難である。
【0195】
原理的には、デバイス161を含むウェーハ上の全ての点に関してX方向とY方向との様々な回転角でのいくつかのX線回折パターンを収集することによって挿入図160の多段構造(又はいずれかの他の適切なタイプの多段構造)の限界寸法の輪郭解析(本明細書ではCD輪郭解析又はXCDとも記す)を実施することが可能である。次に、これらのセットは、本発明の開示の出願人とOnto Innovation(米国マサチューセッツ州01887、ウィルミントン、ジョンスピンロード6)とが共同開発したXCDのためのNanoDiffract等であるがこれに限定されない非線形回帰エンジンを使用して自動的に調節されるパラメータを有する構造モデルを利用するソフトウエアによって解析される。そのような解析は、システム20と回帰を実施する時間との両方に関して時間を消費する場合がある。更に、そのような構造モデル構築は、システム20の適格なユーザの監視を必要とする。
【0196】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、プロファイル153のCL125の非線形CLSを解析するのに必要な変更を加えたものに使用される技術をデバイス161に適用することによってJS 177の測定を実行するように構成される。より具体的には、プロセッサ34は、(i)入射ビーム31に対するいくつかの(例えば、5つの)回転角(例えば、約00、-0.30、+0.30、-0.60、及び+0.60のω、又は約-20.00と+20.00の間の範囲のいずれかの他の角度)までデバイス161のウェーハを傾斜させることによって(例えば、5枚の)回折画像のセットを生成し、(ii)上記で(例えば、図2図3、及び図7で)説明した技術を使用して訓練データセットを発生し、(iii)上述の図2図5で詳細に説明したようにNN55及び/又はNN77を訓練するために訓練データセットを用い、(iv)上述の段階(i)の5つの回折画像を使用して多層回折画像(図7の画像111のような)を生成し、かつ(v)デバイス161の孔アレイ内に位置する孔144と145との複数のスタックペアに対してJS 177の平均測定を実行するためにNN55及び/又はNN77を多層回折画像に適用するように構成される。
【0197】
他の実施形態では、デバイス161の孔144及び145を含む構造のような多段構造に適切なCNN(例えば、NN55及び/又はNN77)を適用する時に、プロセッサ34は、ビーム31のあらゆる適切な数(例えば、約2と11の間)の入射角を使用して追加の従属パラメータ、例えば、平均傾斜からの非線形偏位(例えば、CLS)、並びに多段構造の2又は3以上の構成要素の間の相対的な傾斜及び/又はシフトを取得することができる。例えば、孔の高さ、最大CD(例えば、幅)、最大CD(例えば、幅)の深さが単段構造の場合であっても、いくつか(約2と11の間)の入射角の使用を必要とする可能性もある。
【0198】
(i)プロファイル153のCL125の非線形CLS及び(ii)デバイス161のJS 177を測定するための構造及び技術は、本発明の実施形態によって対処されるある一定の問題を示し、システム20の性能を改善することへのこれらの実施形態の適用を明らかにするために例示的に示したものである。しかし、本発明の実施形態は、この特定のタイプの例示的多段構造、方法、及び特定のNNに決して限定されず、本明細書に説明する原理は、あらゆる適切なタイプのX線解析システム、ニューラルネットワーク、並びに訓練及び推論の技術を使用して他のタイプのHAR構造に同じく適用することができる。
【0199】
すなわち、上述した実施形態は例示的に列挙したものであり、本発明が上記で具体的に図示して説明したものに限定されないことは認められるであろう。限定ではなく、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組合せ及び部分結合と、以上の説明を読解した上で当業者に想起されると考えられる従来技術に開示されていないこれらの特徴の変形及び修正との両方を含む。本特許出願に引用によって組み込まれている文献は、いずれかの用語が本明細書で明示的及び示唆的に行う定義と矛盾する形でこれらの組み込まれた文献内で定められる場合に本明細書での定義のみで鑑みることを除いて、この出願の一体部分と見なさなければならない。
【符号の説明】
【0200】
20 小角X線散乱(SAXS)システム
22 半導体ウェーハ
24 X線ソース
29 ウェーハの面の小領域
31 X線ビーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】