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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132222
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20240920BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240920BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65H5/38
G03G15/00 463
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042916
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 一俊
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
3F101
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061BB21
2C061CD07
2C061CD12
2C061CD28
2H072CB06
2H072EA16
2H072JA04
3F101FA02
3F101FB00
3F101FC11
3F101FE01
3F101FE08
3F101LA01
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】内扉4が開いた状態のままで外扉17を閉じると、内扉の外面と外扉の内面とが接触することで、内扉の外面と外扉の内面の一方又は両方がダメージを受ける虞がある。
【解決手段】装置本体2に対して開閉可能な内扉4と、内扉の外側に位置して装置本体に対して開閉可能な外扉17と、内扉と外扉が閉の状態において、内扉と外扉の間の領域8に作られる媒体3を搬送する第1搬送経路6とを備える媒体搬送装置7であって、内扉と外扉は、一方に接触用突部9を備え、他方に接触用突部が接触する被接触部10を備え、接触用突部と被接触部は、内扉が開いている状態で外扉を閉じる方向に回動させたときに、接触用突部と被接触部が接触した状態で、内扉と外扉の間の領域に隙間12ができるように配置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して開閉可能な内扉と、
前記内扉の外側に位置して前記装置本体に対して開閉可能な外扉と、
前記内扉と外扉が閉の状態において、前記内扉と前記外扉の間の領域に作られる媒体を搬送する第1搬送経路と、を備える媒体搬送装置であって、
前記内扉と前記外扉は、一方に接触用突部を備え、他方に前記接触用突部が接触する被接触部を備え、
前記接触用突部と前記被接触部は、前記内扉が開いている状態で前記外扉を閉じる方向に回動させたときに、前記接触用突部と前記被接触部が接触した状態で、前記内扉と前記外扉の間の前記領域に隙間ができるように配置されている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1搬送経路には、搬送される前記媒体を支持する媒体搬送支持部材が設けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載の媒体搬送装置において、
前記内扉が閉の状態において、前記内扉と前記装置本体との間に作られる媒体を搬送する第2搬送経路を備え、
前記内扉と外扉は、各回動軸を回動支点にして水平方向に回動して開閉する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体搬送装置において、
前記被接触部は、前記外扉の上部に位置し、前記媒体の搬送方向と交差する方向に延設されたスライド用面を有し、
前記接触用突部は、
前記スライド用面に接触した後、前記外扉の自由端に向かってスライド移動し、
前記内扉が閉の状態においては、前記スライド用面のスライド範囲の外側に位置する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体搬送装置において、
前記スライド用面は、前記第1搬送経路の一部を構成する第1凹凸形状部を有し、
前記接触用突部は、
前記第1凹凸形状部の第1凹部の最大幅より大きい幅を有し、
前記第1凹凸形状部の第1凸部に順次接触してスライドする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の媒体搬送装置において、
前記装置本体は、前記第1搬送経路を構成する第2凹凸形状部を有し、
前記外扉が閉の状態において、前記第1凹凸形状部の前記第1凸部が前記第2凹凸形状部の第2凹部に進入し、前記第1凹凸形状部の前記第1凹部に前記第2凹凸形状部の第2凸部に進入することで、前記外扉の第1搬送経路と前記装置本体の第1搬送経路が繋がる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項5に記載の媒体搬送装置において、
前記第1凹凸形状部の第1凸部は、前記回動軸の近い側に対して遠い側が突出している、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体搬送装置により搬送される媒体に記録を実行する記録装置であって、
前記媒体搬送装置は、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の媒体搬送装置である、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体搬送装置には、外扉と内扉を有し、前記外扉を開き、更に内扉も開いて前記内扉の内方に位置する搬送経路で発生した媒体詰りを処理できるようにしたものがある。前記外扉と内扉を有する構造において、前記媒体詰りの処理を行った後に、前記両扉を閉じることになる。その際に、前記内扉が開いた状態のままで前記外扉を閉じると、前記内扉の外面と前記外扉の内面とが接触し、擦れる場合がある。
前記内扉の外面と前記外扉の内面には、前記媒体を搬送する搬送経路を構成する、例えば駆動ローラーと、前記駆動ローラーと対を成して前記媒体を搬送する従動ローラー等の媒体支持搬送部材が配置されている場合がある。具体的には、前記駆動ローラーが一方の面に配置され、他方の面に前記従動ローラーが配置される。
このような構造の場合、前記「接触」及び「擦れ」によって前記内扉の外面と前記外扉の内面の一方又は両方がダメージを受ける虞がある。或いは、前記駆動ローラーと従動ローラー等の前記媒体搬送支持部材が配置されている場合はその一方又は両方がダメージを受ける虞がある。
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、前記ダメージについて考慮する記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-70556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、従来の構造では、前記外扉と内扉を有する構造において、前記媒体詰りの処理を行った後に、前記内扉が開いた状態のままで前記外扉を閉じると、前記内扉の外面と前記外扉の内面とが接触し、擦れることで、前記内扉の外面と前記外扉の内面の一方又は両方がダメージを受ける虞がある。或いは前記媒体支持搬送部材が配置されている場合は、それがダメージを受ける虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る媒体搬送装置は、装置本体に対して開閉可能な内扉と、前記内扉の外側に位置して前記装置本体に対して開閉可能な外扉と、前記内扉と外扉が閉の状態において、前記内扉と前記外扉の間の領域に作られる媒体を搬送する第1搬送経路と、を備える媒体搬送装置であって、前記内扉と前記外扉は、一方に接触用突部を備え、他方に前記接触用突部が接触する被接触部を備え、前記接触用突部と前記被接触部は、前記内扉が開いている状態で前記外扉を閉じる方向に回動させたときに、前記接触用突部と前記被接触部が接触した状態で、前記内扉と前記外扉の間の前記領域に隙間ができるように配置されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る記録装置は、後述する第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様に記載の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置から搬送される媒体に対して記録する記録部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る記録装置の外観の斜視図。
図2】同実施形態1の外扉を開いた状態の概略斜視図。
図3】同実施形態1の外扉と内扉を開いた状態の平面図。
図4】外扉と内扉を閉じる際の両者の接触挙動を説明する模式図。
図5】同実施形態1の内扉の部分の斜視図。
図6】同実施形態1の要部側断面図。
図7】同実施形態1の要部斜視図。
図8】同実施形態1の外扉と内扉を閉じる際のスライド移動を説明する要部平面図。
図9】同実施形態1の外扉と内扉が閉の状態の要部斜視図。
図10】同実施形態1の外扉と内扉を閉じる際の両者の接触部分を説明する模式図。
図11】同実施形態1の要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明に係る媒体搬送装置の第1の態様は、装置本体に対して開閉可能な内扉と、前記内扉の外側に位置して前記装置本体に対して開閉可能な外扉と、前記内扉と外扉が閉の状態において、前記内扉と前記外扉の間の領域に作られる媒体を搬送する第1搬送経路と、を備える媒体搬送装置であって、前記内扉と前記外扉は、一方に接触用突部を備え、他方に前記接触用突部が接触する被接触部を備え、前記接触用突部と前記被接触部は、前記内扉が開いている状態で前記外扉を閉じる方向に回動させたときに、前記接触用突部と前記被接触部が接触した状態で、前記内扉と前記外扉の間の前記領域に隙間ができるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記前記内扉と前記外扉の一方に前記接触用突部が設けられ、他方に前記被接触部が設けられている。更に、前記接触用突部と前記被接触部は、前記内扉が開いている状態で前記外扉を閉じる方向に回動させたときに、前記接触用突部と前記被接触部が先ず接触し、その接触した状態で、前記内扉と前記外扉の間の前記領域に隙間ができる。この隙間があることで、前記内扉の外面と前記外扉の内面とが接触しないので、更には擦れないので、前記内扉の外面と前記外扉の内面の一方又は両方がダメージを受ける虞を低減することができる。
【0010】
本発明に係る媒体搬送装置の第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記第1搬送経路には、搬送される前記媒体を支持する媒体搬送支持部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
前記第1搬送経路に、駆動ローラーや歯付き構造の従動ローラー、或いは媒体の搬送を案内する案内リブ等の媒体搬送支持部材が設けられている場合は、前記接触や擦れによるダメージは大きい。
本態様は、このような構造の第1搬送経路を有する媒体搬送装置に適用すると、その得られる効果は大きいと言える。
【0012】
本発明に係る媒体搬送装置の第3の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記内扉が閉の状態において、前記内扉と前記装置本体との間に作られる媒体を搬送する第2搬送経路を備え、前記内扉と外扉は、各回動軸を回動支点にして水平方向に回動して開閉することを特徴とする。尚、本態様は第1の態様にも従属させることもできる。
【0013】
前記内扉と前記装置本体との間に前記第2搬送経路を有する媒体搬送装置は、前記内扉を開く頻度が増しやすい。本態様は、このような構造の第2搬送経路を有する媒体搬送装置に適用すると、その得られる効果は大きいと言える。
【0014】
本発明に係る媒体搬送装置の第4の態様は、第3の態様に従属する態様であって、前記被接触部は、前記外扉の上部に位置し、前記媒体の搬送方向と交差する方向に延設されたスライド用面を有し、前記接触用突部は、前記スライド用面に接触した後、前記外扉の自由端に向かってスライド移動し、前記内扉が閉の状態においては、前記スライド用面のスライド範囲の外側に位置することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記被接触部は、前記外扉の上部に位置する前記スライド用面を有し、前記接触用突部は、前記スライド用面に接触した後、前記外扉の自由端に向かってスライド移動する。即ち、前記外扉を閉の方向に押すと前記接触用突部が前記被接触部に接触し、その接触した状態のまま前記内扉も閉の方向に回動するので、前記隙間は維持される。これにより、スライド用面といった簡単の構造で前記内扉の外面と前記外扉の内面の前記ダメージを受ける虞を低減することができる。
【0016】
本発明に係る媒体搬送装置の第5の態様は、第4の態様に従属する態様であって、前記スライド用面は、前記第1搬送経路の一部を構成する第1凹凸形状部を有し、前記接触用突部は、前記第1凹凸形状部の第1凹部の最大幅より大きい幅を有し、前記第1凹凸形状部の第1凸部に順次接触してスライドすることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記被接触部としての前記スライド面が、前記第1搬送経路の一部を構成する第1凹凸形状部を利用する構造であるので、部品点数を増加することなく前記被接触部を簡単に設けることができる。
また、前記接触用突部は、前記第1凹凸形状部の第1凹部の最大幅より大きい幅を有し、前記第1凹凸形状部の第1凸部に順次接触してスライドする。これにより、前記接触用突部は前記スライド面を安定してスライド移動することができる。
【0018】
本発明に係る媒体搬送装置の第6の態様は、第5の態様に従属する態様であって、前記装置本体は、前記第1搬送経路を構成する第2凹凸形状部を有し、前記外扉が閉の状態において、前記第1凹凸形状部の前記第1凸部が前記第2凹凸形状部の第2凹部に進入し、前記第1凹凸形状部の前記第1凹部に前記第2凹凸形状部の第2凸部に進入することで、前記外扉の第1搬送経路と前記装置本体の第1搬送経路が繋がることを特徴とする。尚、本態様は第1の態様から第4の態様のいずれか一つの態様にも従属させることもできる。
【0019】
本態様によれば、前記第1凹凸形状部の前記第1凸部と前記第1凹部が前記第2凹凸形状部の第2凹部と第2凸部との間で進入しあうことで前記外扉の第1搬送経路と前記装置本体の第1搬送経路が繋がる。即ち、前記外扉側の第1搬送経路と前記装置本体側の第1搬送経路とを繋げる部分の前記第1凹凸形状部を、前記被接触部として利用する構造である。これにより、既存の構造を有効に利用して前記ダメージを受ける虞を低減する効果を得ることができる。
【0020】
本発明に係る媒体搬送装置の第7の態様は、第5の態様に従属する態様であって、前記第1凹凸形状部の第1凸部は、前記回動軸の近い側に対して遠い側が突出していることを特徴とする。尚、本態様は第3の態様、第4の態様又は第6の態様のいずれか一つの態様にも従属させることもできる。
【0021】
本態様によれば、前記第1凹凸形状部の第1凸部は、前記回動軸の近い側に対して遠い側が突出している。これにより、前記接触用突部が前記第1凹凸形状部の第1凸部に順次接触してスライドする際に、前記第1凹部に引っ掛かる虞を低減することができる。
【0022】
また、本発明に係る記録装置の態様は、媒体搬送装置により搬送される媒体に記録を実行する記録装置であって、前記媒体搬送装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様の媒体搬送装置であることを特徴とする。
本態様によれば、記録装置として、前記媒体搬送装置における各態様の効果を得ることができる。
【0023】
[実施形態]
以下、本発明に係る媒体搬送装置の実施形態と、この媒体搬送装置を備えるインクジェットプリンター等の記録装置について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0024】
[実施形態1]
<記録装置>
本実施形態の記録装置1は、一例であるがインクジェットプリンターである。
図1に示したように、この記録装置1は、媒体収容部11に収容されている用紙等の媒体3(図6)や載置トレイ50に載置される媒体3を搬送する媒体搬送装置7(図7)と、媒体搬送装置7により搬送される媒体3に対して記録を行う記録部(図示せず)と、前記記録部で記録が実行された媒体3が排出される排出トレイ16を備えている。
記録装置1には、装置の外観を成しているハウジング34の一部を成す状態で外扉17が開閉可能に設けられている。載置トレイ50は外扉17に設けられている。
【0025】
前記記録部の媒体3への記録実行動作や媒体搬送装置7による媒体3の搬送動作は、図示を省く制御部によって行われる。ここで、制御部は、CPU、フラッシュROM、及びRAMを備えている。CPUはフラッシュROMに格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、記録装置1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROMは読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。記憶手段の一例であるRAMには、一時的に各種情報が格納される。
【0026】
<媒体搬送装置>
図2から図10に示したように、本実施形態では、媒体搬送装置7は、記録装置1の装置本体2に対して開閉可能な内扉4と、内扉4の外側に位置して装置本体2に対して開閉可能な外扉17とを備えている。内扉4と外扉17が閉の状態(図1図9)において、内扉4と外扉17の間の領域8(図6)に第1搬送経路6が作られる。第1搬送経路6は、媒体3を記録部の記録実行領域を通して記録するための経路、或いは両面記録のために図示を省く反転経路に送るために搬送する経路である。
図2図3図5及び図6から理解できるように、本実施形態では、第1搬送経路6の一部は、内扉4側の凸曲面と外扉17側の凹曲面とが対向することで作られている。
【0027】
図5から図9に示したように、本実施形態では、内扉4は接触用突部9を備えている。外扉17は接触用突部9が接触する被接触部10を備えている。更に、接触用突部9と被接触部10は、内扉4が開いている状態で外扉17を閉じる方向に回動させたときに、図6に示したように、接触用突部9と被接触部10が接触した状態で、内扉4と外扉17の間の領域8に隙間12ができるように配置されている。
第1搬送経路6は、図6において、接触用突部9が被接触部10との接触を外れる位置(図9)に移動して、駆動ローラー13と歯付きの従動ローラー14が接するまで接近した状態で作られる経路である。
【0028】
本実施形態では、第1搬送経路6には、搬送される媒体3を支持する媒体搬送支持部が設けられている。ここでは、媒体搬送支持部は、駆動ローラー13と従動ローラー14であるが、媒体3の搬送を案内する案内リブ等が設けてもよい。この案内リブ等は、媒体搬送支持部を形成する。
本実施形態では、更に、内扉4が閉の状態において、内扉4と装置本体2との間に作られる媒体を搬送する第2搬送経路15を備えている。第2搬送経路15は、内扉4が閉じた状態において図6の矢印15で示した位置にあり、内扉4を開くことで第2搬送経路15での媒体詰り等を処理することが可能になる。
図3に示したように、内扉4と外扉17は、回動軸18、19を回動支点にして水平方向に回動して開閉する、即ちいずれも横開きで開閉するように取り付けられている。
【0029】
本実施形態では、図5図6に示したように、被接触部10は、外扉17の上部に位置する。そして、図6から図9に示したように、被接触部10は、媒体3の搬送方向F(図6)と交差する方向(Y軸方向)に延設されたスライド用面20を有している。
接触用突部9は、スライド用面20に接触した後は、外扉17の閉じる方向への回動に伴って内扉4の閉じる方向に移動しつつ、外扉17の自由端21(図3図4図7)に向かってスライド移動する。そして、内扉4が閉の状態になると、図9に示したように、スライド用面20のスライド範囲の外側に位置するように構成されている。
【0030】
本実施形態では、図7から図9に示したように、スライド用面20は、第1搬送経路6の一部を構成する第1凹凸形状部22を有している。第1凹凸形状部22は、複数の第1凸部24と複数の第1凹部23で構成されている。ここでは、複数の第1凸部24も第1凹部23も同一形状ではなく、異なる形状の組で構成されている。尚、複数の第1凸部24と第1凹部23は、それらの全部又は一部について同一形状にしてもよい。
接触用突部9は、第1凹凸形状部22の複数の第1凹部23(図9)の内の凹溝の幅が最大幅のものより大きい幅を有するように形成されている。即ち、接触用突部9の幅は、第1凹部23の最大幅よりも大きく形成され、接触用突部9が第1凹部23内に落ち込まないように形成されている。これにより、接触用突部9は、第1凹凸形状部22の第1凸部24(図9)に順次接触して自由端21の方向にスライド移動する。
【0031】
本実施形態では、図9図10の下の図に示したように、第1凹凸形状部22のスライド面20を作る第1凸部24は、外扉17の回動軸19の近い側28よりも遠い位置に位置する遠い側29が突出するように形成されている。
図10の上の図は、前記突出が無い構造を示している。図10の上の図の構造では、接触用凸部9がスライド移動の際の第1凹部23に引っ掛かる場合があるが、図10の下の図の構造では、接触用凸部9が第1凹部23に引っ掛かり難いことが理解できる。
【0032】
図11に示したように、本実施形態では、装置本体2は、駆動ローラー13より媒体搬送方向の下流に位置し、第1搬送経路6を構成する第2凹凸形状部25を有している。
そして、外扉17が閉の状態において、第1凹凸形状部22の第1凸部24が第2凹凸形状部25の第2凹部26に進入し、第1凹凸形状部22の第1凹部23に第2凹凸形状部25の第2凸部27に進入することで、外扉17の第1搬送経路6と装置本体2の第1搬送経路6が繋がるように構成されている。
【0033】
<実施形態1の動作の説明>
媒体搬送装置7の第2搬送経路15で媒体3の媒体詰りが発生した場合について説明する。先ず、図1の状態において、外扉17を開いて図2の状態にし、更に内扉4を開いて図3の状態にする。そして、ユーザーがアクセス可能に露呈された第2搬送経路15の媒体詰りの処理を行う。その後に、ユーザーが内扉4が開いた状態のままで外扉17を閉める方向に回動させた場合について、接触用突部9が設けられていない場合(図4)と、接触用突部9が設けられている場合(図5から図9)に分けて説明する。
【0034】
(1)前者の接触用突部9が設けられていない場合は、図4の右の図に示したように、内扉4が静止状態で外扉17が閉まる方向に移動するので、内扉4と外扉17の互いに対向する部位において接触する。その状態で外扉17を同方向に移動させると、図4の中央に図のようになるが、その間に両者の接触部位で擦れが生じる。最終的に図4の左に図に示したように、内扉4と外扉17が閉じた状態になるが、前記接触、擦れにより、内扉4の外面と外扉17の内面の一方又は両方がダメージを受ける虞がある。
【0035】
(2)後者の接触用突部9が設けられている場合、即ち本実施形態においては、内扉4が静止状態で外扉17が閉まる方向に移動すると、図7に示したように、内扉4が有する接触用突部9が外扉17側の被接触部10に当接する。この状態では、図6に示したように、内扉4と外扉17の間の領域8に隙間12ができているので、互いの対向する部位は接触しないで離れている。即ち、前記接触によるダメージは受けない状態にある。
更に、その状態で外扉17を閉じる方向に移動させると、接触用突部9は、被接触部10に接触した状態でスライド移動し、即ちスライド用面20をスライドし、外扉17の自由端21の方向に移動する。その間、隙間12は維持されている。そして、内扉4が装置本体2に対して閉となる直前に接触用突部9がスライド用面20のスライド範囲の外側に達して被接触部10との接触状態を外れる(図9)。これにより、外扉17が装置本体2に対して閉じることが可能になり、図1図9に示した閉の状態になる。即ち、前記擦れによるダメージは受けないで内扉4と外扉17が閉の状態になる。
【0036】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、内扉4に接触用突部9が設けられ、外扉17に被接触部10が設けられている。更に、接触用突部9と被接触部10は、内扉4が開いている状態で外扉17を閉じる方向に回動させたときに、接触用突部9と被接触部10が先ず接触し、その接触した状態で、内扉4と外扉17の間の領域8に隙間12ができるように配置されている。この隙間12があることで、内扉4の外面と外扉17の内面とが接触しないので、更には擦れないので、内扉4の外面と外扉17の内面の一方又は両方がダメージを受ける虞を低減することができる。
【0037】
(2)また、第1搬送経路6に、駆動ローラー13や歯付き構造の従動ローラー14、或いは媒体3の搬送を案内する図示を省く案内リブ等の媒体搬送支持部材(13、14)が設けられている場合は、前記接触や擦れによるダメージは大きい。
本実施形態は、このような構造の第1搬送経路6を有する媒体搬送装置7に適用すると、その得られる効果は大きい。
【0038】
(3)また、内扉4と装置本体2との間に第2搬送経路15を有する媒体搬送装置7は、内扉4を開く頻度が増しやすい。本実施形態は、このような構造の第2搬送経路15を有する媒体搬送装置7に適用すると、その得られる効果は大きい。
【0039】
(4)また、本実施形態では、被接触部10は、外扉17の上部に位置するスライド用面20を有し、接触用突部9は、スライド用面20に接触した後、外扉17の自由端21に向かってスライド移動する。即ち、外扉17を閉の方向に押すと接触用突部9が被接触部10に接触し、その接触した状態のまま内扉4も閉の方向に回動するので、隙間12は維持される。これにより、スライド用面20といった簡単の構造で内扉4の外面と外扉17の内面の前記ダメージを受ける虞を低減することができる。
【0040】
(5)また、本実施形態では、被接触部10としてのスライド面20が、第1搬送経路6の一部を構成する第1凹凸形状部22を利用する構造であるので、部品点数を増加することなく被接触部10を簡単に設けることができる。
また、接触用突部9は、第1凹凸形状部22の第1凹部23の最大幅より大きい幅を有し、第1凹凸形状部22の第1凸部24に順次接触してスライドする。これにより、接触用突部9はスライド面20を安定してスライド移動することができる。
【0041】
(6)また、本実施形態では、第1凹凸形状部22の第1凸部24と第1凹部23が第2凹凸形状部25の第2凹部26と第2凸部27との間で進入しあうことで外扉17の第1搬送経路6と装置本体2の第1搬送経路6が繋がる。即ち、外扉17側の第1搬送経路6と装置本体2側の第1搬送経路6とを繋げる部分の第1凹凸形状部22を被接触部10として利用する構造である。これにより、既存の構造を有効に利用して前記ダメージを受ける虞を低減する効果を得ることができる。
【0042】
(7)また、本実施形態では、第1凹凸形状部22の第1凸部24は、回動軸19の近い側28に対して遠い側29が突出している。これにより、接触用突部9が第1凹凸形状部22の第1凸部24に順次接触してスライドする際に、第1凹部23に引っ掛かる虞を低減することができる。
【0043】
〔他の実施形態〕
本発明に係る媒体搬送装置7及び媒体搬送装置7を備える記録装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
媒体搬送装置7を備えるものとして、上記実施形態ではインクジェットプリンターについて説明したが、このプリンター以外のものでもよい。即ち、媒体3を搬送する媒体搬送装置7を有する他の装置にも適用可能である。
【0044】
上記実施形態では、内扉4に接触用突部9が設けられ、外扉17に被接触部10が設けられる場合を説明したが、外扉17に接触用突部9が設けられ、内扉4に被接触部10が設けられるようにしてもよい。
また、接触用突部9と被接触部10は、内扉4と外扉17の上部の端部に設けた構造を説明したが、その設ける位置は前記上部に限定されず、中段部でも下部でもよい。
また、上記実施形態では、スライド面20は、第1凹凸形状部22の第1凸部24を利用する構造について説明したが、これに限定されず、第1凹凸形状部22以外の部位に設けてもよく、また一様に平坦な形状のスライド面としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1…記録装置、2…装置本体、3…媒体、4…内扉、5…記録部、
6…第1搬送経路、7…媒体搬送装置、8…領域、9…接触用突部、
10…被接触部、11…媒体収容部、12…隙間、
13…駆動ローラー(媒体搬送支持部材)、
14…従動ローラー(媒体搬送支持部材)、15…第2搬送経路、
16…排出トレイ、17…外扉、18…回動軸、19…回動軸、
20…スライド用面、21…自由端、22…第1凹凸形状部、23…第1凹部、
24…第1凸部、25…第2凹凸形状部、26…第2凹部、27…第2凸部、
28…近い側、29…遠い側、50…載置トレイ、F…搬送方向
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