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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132223
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用温調システムおよび熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240920BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20240920BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20240920BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20240920BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20240920BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F25B1/00 397C
F25B1/00 399Y
F28D9/02
F25B39/04 H
F25B39/04 S
F25B43/00 M
B60H1/32 621C
B60H1/22 651A
B60H1/22 671
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042918
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】足立 知康
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆英
(72)【発明者】
【氏名】中川 信也
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
【テーマコード(参考)】
3L103
3L211
【Fターム(参考)】
3L103AA37
3L103BB38
3L103CC01
3L103CC30
3L103DD12
3L103DD22
3L103DD55
3L103DD56
3L211AA11
3L211BA34
3L211CA15
3L211DA26
(57)【要約】
【課題】複数系統の冷凍サイクルを備えた車両用温調システムにおけるCOPの向上。
【解決手段】圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器をそれぞれ備える第1冷媒回路と第2冷媒回路とを備える車両用温調システムの高圧側熱交換器として用いられる熱交換器は、第1冷媒回路の高圧側熱交換器に備わる第1冷媒流路と、第2冷媒回路の高圧側熱交換器に備わる第2冷媒流路と、第1冷媒回路の高圧側熱交換器および第2冷媒回路の高圧側熱交換器に共通の熱媒体流路と、を含む。熱媒体流路は、熱媒体と外気とを熱交換させる外気熱交換器と接続可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器をそれぞれ備える第1冷媒回路と第2冷媒回路とを備える車両用温調システムの前記高圧側熱交換器として用いられる熱交換器であって、
前記第1冷媒回路の前記高圧側熱交換器に備わる第1冷媒流路と、
前記第2冷媒回路の前記高圧側熱交換器に備わる第2冷媒流路と、
前記第1冷媒回路の前記高圧側熱交換器および前記第2冷媒回路の前記高圧側熱交換器に共通の熱媒体流路と、を含み、
前記熱媒体流路は、熱媒体と外気とを熱交換させる外気熱交換器と接続可能に構成される、熱交換器。
【請求項2】
所定の積層方向に積層される複数のプレートを備え、
前記プレート間には、前記第1冷媒流路、前記第2冷媒流路、および前記熱媒体流路が形成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1冷媒流路は、前記積層方向における一方側で前記プレート間を前記プレートの長手方向に延び、
前記第2冷媒流路は、前記積層方向における他方側で前記プレート間を前記長手方向に延び、
前記熱媒体流路は、前記積層方向における前記一方側と前記他方側とに亘り前記プレート間を前記長手方向に延びる、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1冷媒流路は、前記プレートの長手方向における一方側で前記プレート間を前記プレートの長手方向に延び、
前記第2冷媒流路は、前記長手方向における他方側で前記プレート間を前記長手方向に延び、
前記熱媒体流路は、前記積層方向における前記一方側と前記他方側とに亘り前記プレート間を前記長手方向に延びる、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1冷媒回路は、車室の冷房に使用され、
前記第2冷媒回路は、電池の冷却に使用され、
前記第2冷媒流路は、前記熱媒体流路の上流側に配置され、
前記第1冷媒流路は、前記熱媒体流路の下流側に配置される、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1冷媒回路の冷媒を受け入れる第1気液分離器と、
前記第2冷媒回路の冷媒を受け入れる第2気液分離器と、を備え、
前記熱媒体流路の上流側の領域で、前記第1気液分離器から排出される液相の前記冷媒が前記第1冷媒流路に供給されるとともに、前記第2気液分離器から排出される液相の前記冷媒が前記第2冷媒流路に供給される、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項7】
車両用の温調システムであって、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含む第1冷媒回路と、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含む第2冷媒回路と、
前記第1冷媒回路および前記第2冷媒回路の冷媒に対して、前記第1冷媒回路および前記第2冷媒回路のそれぞれの少なくとも前記高圧側熱交換器により熱を授受する熱媒体と、外気とを熱交換させる外気熱交換器と、
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器を含み、前記外気熱交換器と接続可能に構成される第1熱媒体回路と、を備える、
車両用温調システム。
【請求項8】
前記第1冷媒回路は、車室の冷房に使用され、
前記第2冷媒回路は、電池の冷却に使用される、
請求項7に記載の車両用温調システム。
【請求項9】
前記第2冷媒回路の前記低圧側熱交換器により前記冷媒と熱交換される前記熱媒体が循環可能に構成される第2熱媒体回路と、
前記熱媒体と温調対象とを熱交換させる温調熱交換器と、を備え、
前記温調熱交換器は、
前記第2熱媒体回路と、前記第1熱媒体回路とのうち少なくとも前記第2熱媒体回路と接続可能に構成される、
請求項7に記載の車両用温調システム。
【請求項10】
前記熱媒体としての第1熱媒体が循環可能に構成される前記第2熱媒体回路と、
前記温調対象および前記温調熱交換器を含み、第2熱媒体が循環可能に構成される温調熱媒体回路と、を備える、
請求項9に記載の車両用温調システム。
【請求項11】
前記第1冷媒回路の前記低圧側熱交換器、および、空気と前記熱媒体とを熱交換させる室内熱交換器を含む室内ユニットを備え、
前記室内熱交換器は、前記第1熱媒体回路と接続可能に構成される、
請求項7に記載の車両用温調システム。
【請求項12】
前記第1冷媒回路の前記圧縮機と前記第2冷媒回路の前記圧縮機とが停止している状態で、前記熱媒体が温調対象から吸熱し、前記外気熱交換器により前記外気へと放熱することで、前記温調対象を冷却する、
請求項7に記載の車両用温調システム。
【請求項13】
前記熱媒体と温調対象とを熱交換させる温調熱交換器と、
前記温調熱交換器に前記熱媒体を循環可能に構成される温調熱媒体回路と、
前記温調熱媒体回路に前記熱媒体を流入可能に構成される切替弁と、を備える、
請求項7に記載の車両用温調システム。
【請求項14】
前記第1冷媒回路は、前記減圧部としての第1減圧部および第2減圧部と、前記低圧側熱交換器としての第1低圧側熱交換器および第2低圧側熱交換器と、を含み、
前記第2冷媒回路は、温調対象の冷却に使用され、
前記第2低圧側熱交換器は、前記外気熱交換器と接続可能に構成されている、
請求項7に記載の車両用温調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に装備される温調システムおよび熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
車室の空調、バッテリーの温度管理等を行うために、2つの系統の冷凍サイクルを備えた冷却システムの例がある(特許文献1)。特許文献1に記載の冷却システムは、電動圧縮機、空冷コンデンサ、車室用エバポレータ、およびバッテリー用の補助チラー等を含む第1冷媒回路と、エンジン駆動の圧縮機、空冷コンデンサ、およびバッテリー用の主チラーを含む第2冷媒回路とを備えている。第2冷媒回路の主チラーは、エンジンの動作中に、バッテリーに供給されるクーラントを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10,639,957号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調用の系統とバッテリー用の系統との2系統の冷凍サイクルを備えているとしても、例えばバッテリーの温度管理が不要な状況下では、空調用の冷凍サイクルのみを運転させる場合がある。特許文献1に記載のシステムでは、2つの冷凍サイクルのそれぞれのコンデンサに空冷コンデンサが採用されており、バッテリー用の冷凍サイクルの停止時にはバッテリー用の冷凍サイクルのコンデンサによる冷媒と外気との熱の授受が行われないので、空気に対する伝熱面積が減少してしまう。そのため、バッテリー用の冷凍サイクルの停止時には空調用の冷凍サイクルのCOP(Coefficient of Performance)の向上を図ることが難しい。
以上より、本開示は、複数系統の冷凍サイクルを備えた車両用温調システムにおけるCOPの向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る熱交換器は、圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器をそれぞれ備える第1冷媒回路と第2冷媒回路とを備える車両用温調システムの高圧側熱交換器として用いられる熱交換器であって、第1冷媒回路の高圧側熱交換器に備わる第1冷媒流路と、第2冷媒回路の高圧側熱交換器に備わる第2冷媒流路と、第1冷媒回路の高圧側熱交換器および第2冷媒回路の高圧側熱交換器に共通の熱媒体流路と、を含む。
熱媒体流路は、熱媒体と外気とを熱交換させる外気熱交換器と接続可能に構成される。
【0006】
本開示に係る車両用温調システムは、圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含む第1冷媒回路と、圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含む第2冷媒回路と、第1冷媒回路および第2冷媒回路の冷媒に対して、第1冷媒回路および第2冷媒回路のそれぞれの少なくとも高圧側熱交換器により熱を授受する熱媒体と、外気とを熱交換させる外気熱交換器と、上述の熱交換器を含み、外気熱交換器と接続可能に構成される第1熱媒体回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
第1冷媒回路および第2冷媒回路のいずれか一方のみを運転させる場合であっても、熱媒体が第1冷媒回路と第2冷媒回路とに共通の熱媒体流路を流れて外気熱交換器に供給される。このとき、両方の冷媒回路を運転させる場合と同様に、外気熱交換器は、第1、第2冷媒回路に共通の空気に対する伝熱領域をなしている。そうすると、冷媒回路毎に冷媒-空気間の凝縮器を備えている従来システムとは異なり、第1、第2冷媒回路の一方のみが運転される場合でも、空気に対する伝熱領域が減少することなく、外気熱交換器により、空気に対する一定の伝熱領域が確保されている。
そのため、いずれか一方の冷媒回路のみを運転させる場合であっても、従来システムと比べて、温調システムのCOPを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る車両用温調システムを模式的に示す図である(冷却利用)。
図2】(a)は、図1に示される回路切替装置を構成する弁の一例を示す模式図である。例えば、図1のII部に配置される弁を示している。(b)は、変形例として、第2冷媒回路の蒸発器により冷却された第1熱媒体により、第2熱媒体の回路を介さずに電池を冷却する構成を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る温調システムを示す図である(圧縮機停止状態)。
図4】第1実施形態に係る温調システムを示す図である(加熱利用)。
図5】第2実施形態に係る車両用温調システムを模式的に示す図である(冷却利用)。
図6】第2実施形態に係る車両用温調システムに備わる一体型のプレート式熱交換器の外観を示す斜視図である。プレートは模式的に示されている。
図7図7に示す一体型熱交換器における冷媒および熱媒体の流れを示す模式図である。
図8】一体型熱交換器の第1変形例を示す図である。
図9】一体型熱交換器の第2変形例を示す図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る車両用温調システムを模式的に示す図である(冷却利用)。
図11】第3実施形態の変形例に係る車両用温調システムを模式的に示す図である(冷却利用)。
図12】第3実施形態の変形例に係る車両用温調システムを模式的に示す図である(加熱利用)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
図1に示す車両用の温調システム1は、例えば、エンジンを備えておらず走行用電動モーターから車両走行用の駆動力を得る電気自動車、あるいは、エンジンおよび電動機から車両走行用の駆動力を得る所謂ハイブリッド自動車等の図示しない車両に装備される。
【0010】
温調システム1は、乗員が搭乗する車室の冷暖房、除湿、換気等の空調の他、車両に搭載されているバッテリー装置4(電源装置)、走行用モーター装置5、発熱する電子機器等の車載装置の熱管理、排熱回収等を担う。適切な温度や湿度に空調したり、車載装置を適温に管理したりすることを「熱管理」と総称するものとする。
温調システム1、および車載装置に備わる電動機器や電子機器には、車載のバッテリー装置4に蓄えられた電力が供給される。
【0011】
〔全体構成〕
温調システム1は、図1に構成の一例を示すように、いずれも冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2と、第1、第2冷媒回路R1,R2の冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路Cと、温調システム1の運転状態を制御する制御装置6とを備えている。
また、温調システム1は、例えば、外気温度や車室内の空気の温度、熱媒体の温度、冷媒の温度または圧力等の物理量を検知する図示しないセンサを備えていることが好ましい。
【0012】
温調システム1は、乗員によりあるいは制御装置6により選択される複数の運転モードを備えている。本実施形態の温調システム1は、例えば、車室内の冷房、暖房のそれぞれのモード、バッテリー装置4のバッテリー本体41を冷却するモード、バッテリー本体41を加熱するモードを備えている。その他、温調システム1は、車室内の空気を除湿しつつ暖房するモード、走行用モーター装置5等の他の車載装置を温度調整するモード等を含め、複数のモードが組み合わせられたモードを備えていてもよい。
【0013】
車室内の空気、バッテリー装置4、および走行用モーター装置5のような複数の温調対象のそれぞれの適温は大抵相違している。そのため、2つの系統の冷媒回路R1,R2を備え、運転モードや必要な能力等に応じて冷媒回路R1,R2を適宜に組み合わせて用いることにより、1つの系統の冷媒回路のみを備えている場合と比べて、複数の温調対象の熱管理を温調対象毎により適切に行うことが可能となる。
【0014】
〔冷媒回路の説明〕
第1冷媒回路R1は、図1に示すように、冷媒を圧縮する第1圧縮機11と、高圧側熱交換器としての第1凝縮器12と、減圧部としての第1膨張弁13と、低圧側熱交換器としての第1蒸発器14とを備えている。
第2冷媒回路R2は、冷媒を圧縮する第2圧縮機21と、高圧側熱交換器としての第2凝縮器22と、減圧部としての第2膨張弁23と、低圧側熱交換器としての第2蒸発器24とを備えている。
【0015】
第1冷媒回路R1は、例えば、車室の冷房を行うために使用される。第2冷媒回路R2は、例えば、バッテリー本体41を冷却するために使用される。
【0016】
第1圧縮機11は、図示しないモーターを備えた電動圧縮機に相当する。第1圧縮機11は、図示しないハウジング内に吸入される冷媒を圧縮機構により断熱圧縮して吐出する。
【0017】
第1凝縮器12は、第1圧縮機11から吐出された冷媒ガスを熱媒体と熱交換させる。第1凝縮器12には、図示しない冷媒流路と、熱媒体流路103とが形成されている。
第1膨張弁13は、第1凝縮器12から流出した冷媒を減圧させることで断熱膨張させる。第1膨張弁13としては、制御装置6からの指令に基づき開度を制御可能な電子膨張弁の他、温度式膨張弁を採用することができる。あるいは、第1膨張弁13の代わりにキャピラリーチューブを採用することができる。
【0018】
第1蒸発器14は、第1膨張弁13から流出した冷媒を空気と熱交換させる。第1蒸発器14により蒸発した冷媒は、第1圧縮機11により吸入される。
第1蒸発器14と第1圧縮機11との間には、図示しないアキュムレータ(気液分離器)を設けることができる。
また、第1蒸発器14は、冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器に置き換えることができる。その際、HVACユニットUには前記第1蒸発器14の代わりに空気と熱媒体とを熱交換させる図示しない室内熱交換器を配置することができる。
【0019】
第1冷媒回路R1において第1凝縮器12には相対的に高い冷媒圧力(高圧)が与えられ、第1蒸発器14には相対的に低い冷媒圧力(低圧)が与えられる。冷媒は、高圧と低圧との圧力差に基づき第1冷媒回路R1を循環する。
図1において、低圧側の冷媒の流れは太い実線により示され、高圧側の冷媒の流れは太い破線により示されている。
【0020】
第2冷媒回路R2の第2圧縮機21、第2凝縮器22、第2膨張弁23、および第2蒸発器24は、第1冷媒回路R1の第1圧縮機11、第1凝縮器12、第1膨張弁13、および第1蒸発器14と同様に構成することができる。
但し、第1蒸発器14は、冷媒と車室内の空気とを熱交換させるのに対し、第2蒸発器24は、冷媒と熱媒体とを熱交換させる。
【0021】
第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2にそれぞれ封入される冷媒としては、公知の適宜な単一冷媒あるいは混合冷媒を用いることができる。例えば、本実施形態の冷媒として、R410A、R32等のHFC(Hydro Fluoro Carbon)冷媒や、R1234ze、R1234yf等のHFO(Hydro Fluoro Olefin)冷媒、あるいは、プロパン、イソブタン等の炭化水素(HC)系冷媒を用いることが可能である。
【0022】
上記に列挙したフロン系または炭化水素系の冷媒を用いる場合は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルが構成される。
冷媒として二酸化炭素(CO)を用いる場合は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える遷臨界冷凍サイクルが構成される。その場合でも、本実施形態の第1凝縮器12および第2凝縮器22と同様に高圧側熱交換器により冷媒が熱媒体へと放熱し、本実施形態の第1蒸発器14および第2蒸発器24と同様に低圧側熱交換器により冷媒が空気もしくは熱媒体から吸熱する作用が得られるから、二酸化炭素冷媒のように遷臨界冷凍サイクルを構成する冷媒も第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2に採用することができる。
【0023】
〔熱媒体回路の説明〕
熱媒体回路Cは、図1に構成の一例を示すように、第1凝縮器12および第2凝縮器22を含む第1熱媒体回路C1と、第2冷媒回路R2の蒸発器24を含む第2熱媒体回路C2と、回路切替装置30とを備えている。
【0024】
第1熱媒体回路C1は、第1ポンプP1により熱媒体が循環可能に構成されている。第1熱媒体回路C1は、回路切替装置30により、少なくとも、室外熱交換器31(外気熱交換器)と接続可能に構成されている。
第2熱媒体回路C2は、第2ポンプP2により熱媒体が循環可能に構成されている。
【0025】
なお、第1ポンプP1は、第1凝縮器12の凝縮器出口122と回路切替装置30との間には限らず、第2凝縮器22の凝縮器入口221と回路切替装置30との間に配置されていてもよい。同様に、第2ポンプP2は、第2蒸発器24の蒸発器出口242と回路切替装置30との間には限らず、第2蒸発器24の蒸発器入口241と回路切替装置30との間に配置されていてもよい。
【0026】
第1圧縮機11が作動し、第1冷媒回路R1を冷媒が循環しているとき、第1熱媒体回路C1の熱媒体は、第1凝縮器12により冷媒から吸熱することで加熱される。
第2圧縮機21が作動し、第2冷媒回路R2を冷媒が循環しているとき、第2熱媒体回路C2の熱媒体は、第2凝縮器22により冷媒から吸熱することで加熱され、第2蒸発器24により冷媒へと放熱することで冷却される。
【0027】
図1等では、熱媒体回路Cにおいて相対的に低温の熱媒体が流れる経路が実線で示され、相対的に高温の熱媒体が流れる経路が一点鎖線で示されている。熱媒体が流れていない、つまり温調に寄与しない経路は破線で示されている。
【0028】
第1熱媒体回路C1は、第1凝縮器12と第2凝縮器22とに共通の熱媒体流路103を含む。熱媒体流路103は、第1凝縮器12に設定される流路と、第2凝縮器22に設定される流路とからなる。第1凝縮器12により第1冷媒回路R1の冷媒に対して熱を授受する熱媒体の流路と、第2凝縮器22により第2冷媒回路R2の冷媒に対して熱を授受する熱媒体の流路とは、共通化されており、同一の流路に相当する。
かかる熱媒体流路103は、単一の室外熱交換器31と接続される。つまり、熱媒体流路103を流れる熱媒体は、第1凝縮器12と第2凝縮器22とに共通の室外熱交換器31に供給される。
【0029】
第1凝縮器12における熱媒体の流路と、第2凝縮器22における熱媒体の流路とは、第1熱媒体回路C1において直列に接続されていても並列に接続されていてもよい。第1凝縮器12および第2凝縮器22を流れる熱媒体の流れは、冷媒の流れに対して対向流をなしていることが好ましい。
【0030】
第1凝縮器12と第2凝縮器22とは、第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2のそれぞれの冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器CDとして機能する。熱交換器CDに流入した熱媒体は、第1凝縮器12の流路および第2凝縮器22の流路のいずれにも流れ、熱交換器CDから流出する。
【0031】
回路切替装置30は、第1熱媒体回路C1および第2熱媒体回路C2のそれぞれに対し、バッテリー装置4、室外熱交換器31、走行用モーター装置5、および室内熱交換器32を選択的に接続する。
室外熱交換器31、室内熱交換器32、バッテリー装置4、および走行用モーター装置5のうち、第1熱媒体回路C1と接続される要素には、熱媒体回路Cにより相対的に高温の熱媒体が循環し、第2熱媒体回路C2と接続される要素には、熱媒体回路Cにより相対的に低温の熱媒体が循環する。
【0032】
第1熱媒体回路C1および第2熱媒体回路C2にそれぞれ封入される熱媒体は、液相の状態を維持して循環する水やブライン等の液体である。ブラインとしては、例えば、水およびプロピレングリコールの混合液、あるいは、水およびエチレングリコールの混合液を例示することができる。
【0033】
室外熱交換器31は、車室の外側の空気である外気と、熱媒体とを熱交換させる。車両の走行と図示しない送風機の作動とにより、室外熱交換器31に供給される外気と熱媒体との温度差に基づいて熱媒体が放熱または吸熱する。
【0034】
室内熱交換器32は、暖房モードの時に第1熱媒体回路C1に接続され、第1熱媒体回路C1の熱媒体と空気とを熱交換させる。このとき室内熱交換器32に流入する熱媒体は、必要に応じてヒーター32Aにより加熱される。
【0035】
車両に備えられるHVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)ユニットUは、室内熱交換器32と、第1蒸発器14と、室内送風機Bと、図示しないダクトおよびダンパーとを含んで構成されている。HVACユニットUは、第1蒸発器14に供給される冷媒と、室内熱交換器32に供給される熱媒体との少なくとも一方と、室内送風機Bにより第1蒸発器14および室内熱交換器32の少なくとも一方に送られる空気とを熱交換させて、空調空気を車室内に吹き出す。
【0036】
室内送風機Bにより送られて車室内に吹き出される空気の流れAFにおいて、第1蒸発器14は相対的に上流に配置され、室内熱交換器32は相対的に下流に配置されている。
【0037】
バッテリー装置4は、例えば、蓄電池であるバッテリー本体41(電池)と、必要に応じてバッテリー本体41に設けられる放熱部材やバッテリー用熱交換器43(温調熱交換器)と、必要に応じて熱媒体を加熱するヒーター44等とを備えている。バッテリー装置4は、バッテリー本体41の出力や充電効率を安定させ、かつ劣化を抑えるため、第2熱媒体回路C2の熱媒体または第1熱媒体回路C1の熱媒体を用いて所定の温度範囲内に維持されることが好ましい。バッテリー装置4は、バッテリー本体41の温度を検知する図示しない温度センサを備えていることが好ましい。
【0038】
バッテリー本体41を温度調整するための具体的構造は、バッテリー本体41の発熱量等に応じて適宜に定めることができる。
第2熱媒体回路C2または第1熱媒体回路C1の熱媒体とバッテリー本体41とは、熱媒体がバッテリー本体41と直接的に接触することで熱を授受してもよいし、部材や他の熱媒体を介して熱を授受してもよい。但し、バッテリー本体41に熱媒体を直接的に接触させる場合は、バッテリー本体41の漏電防止のため、典型的なブラインと比べて電気絶縁性が高い熱媒体を使用する必要がある。
【0039】
バッテリー装置4の構造の例としては、例えば図2(b)に示すように、バッテリー本体41に設けられた温調熱交換器としてのプレート部材45の内部には、第2熱媒体回路C2または第1熱媒体回路C1を流れる第1熱媒体H1の流路が形成される。
また、例えば図1に示すように、第1熱媒体H1とは特性の異なる第2熱媒体H2が循環するバッテリー用回路40(温調熱媒体回路)は、第1熱媒体H1が流れる第1、第2熱媒体回路C1,C2とは別に設けられる。バッテリー用回路40は、ポンプ42の作動によりバッテリー本体41とバッテリー用熱交換器43とに第2熱媒体H2を循環させる。バッテリー用熱交換器43により、第1熱媒体H1と第2熱媒体H2とが熱を授受する。
【0040】
第2熱媒体H2は、第1熱媒体H1と比べて電気絶縁性が高い。そのため、第2熱媒体H2とバッテリー本体41との間の電気的な絶縁を確保することができるので、バッテリー本体41の漏電に対する耐圧向上措置の必要がなく、適宜な方法でバッテリー本体41に第2熱媒体H2を直接的に供給することができる。
また、第2熱媒体H2は、バッテリー本体41を迅速に温調するため、第1熱媒体H1と比べて熱伝導率が高いことが好ましい。
【0041】
第2熱媒体H2とバッテリー本体41との電気的絶縁が確保される場合のバッテリー本体41への直接的な供給手段としては、例えば、第2熱媒体H2にバッテリー本体41を浸漬したり、第2熱媒体H2をノズルからバッテリー本体41に噴射したりすることができる。
バッテリー本体41の全体が第2熱媒体H2に浸漬されていると、バッテリー本体41と第2熱媒体H2との接触面積が大きいので、バッテリー本体41を効率よく温調することができる。さらに、浸漬槽内の第2熱媒体H2に強制的に対流を発生させたり、浸漬槽に接続される循環用経路を通じて第2熱媒体H2を循環させたりすることで、バッテリー本体41を均一に温調することができる。
【0042】
バッテリー本体41は充放電時に発熱するため、第2熱媒体H2の低温時の粘度が低いことおよび凍結温度が低いことよりも、第2熱媒体H2の電気絶縁性および熱伝導率が高いことの方が優先される。つまり、第2熱媒体H2の低温時の粘度が第1熱媒体H1の低温時の粘度よりも高いことや、第2熱媒体H2の凍結温度が第1熱媒体H1の凍結温度よりも高いことは許容される。
【0043】
第2熱媒体H2としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)系やポリ-α-オレフィン(PAO)系の液状の冷却材を採用することができる。または、第2熱媒体H2として、エンジンオイル等に用いられる鉱油等を採用することもできる。
コスト、沸点、環境負荷等を考慮し、公知の冷却材等を第2熱媒体H2として採用可能である。
【0044】
走行用モーター装置5も、バッテリー装置4と同様に、第1熱媒体回路C1または第1熱媒体回路C1の熱媒体を用いて、所定の温度範囲に維持されることが好ましい。
走行用モーター装置5は、例えば、走行用モーター装置5と熱的に結合した部材に第1熱媒体回路C1または第1熱媒体回路C1の熱媒体が供給されることによって温度調整される。
走行用モーター装置5には、走行用モーター装置5の周囲で走行用モーター装置5に熱媒体を循環させるポンプ51と、走行用モーター装置5に外気を吹き付ける図示しない送風機及び第2車外熱交換器とが設けられていてもよい。その場合は、圧縮機11やポンプP1,P2が停止している状態でも、ポンプ51および送風機を作動させて走行用モーター装置5を空冷することができる。
【0045】
回路切替装置30は、図示しない複数の弁と、熱媒体が流入または流出する複数のポートA~Nとを備え、1つ以上の弁により熱媒体の流れを切り替えることで、熱媒体回路Cの構成を切替可能に構成されている。制御装置6は、運転モードや車載装置の温度管理の必要性に応じて、回路切替装置30の弁を図示しない駆動機構により個別に駆動することで、第1熱媒体回路Cおよび第2熱媒体回路C2のそれぞれに対してバッテリー装置4、室外熱交換器31、走行用モーター装置5、および室内熱交換器32を選択的に接続する。
【0046】
回路切替装置30は、構成の一例として、バッテリー装置4、室外熱交換器31、走行用モーター装置5、および室内熱交換器32を熱媒体の流れに関して互いに並列に接続可能に構成されている。そのため、第1熱媒体回路Cおよび第2熱媒体回路C2のそれぞれに対して、バッテリー装置4、室外熱交換器31、走行用モーター装置5、および室内熱交換器32が選択的に、熱媒体の流れに関して直列に接続可能に構成されている。
図1に示す例では、バッテリー装置4および走行用モーター装置5が第2熱媒体回路C2に接続されている。
バッテリー装置4、室外熱交換器31、走行用モーター装置5、および室内熱交換器32のいずれも、第1熱媒体回路C1および第2熱媒体回路C2の一方に直列に接続可能に構成されている。例えば、室外熱交換器31は、冷房モード(図1)のときに第1熱媒体回路C1に接続され、暖房モード(図4)のときに第2熱媒体回路C2に接続される。
【0047】
回路切替装置30は、任意の構造の弁を適宜に組み合わせることで実現することができる。弁の構造を示すと、例えば、図1におけるIIで示す箇所には、図2(a)に示す三方弁Vを使用することができる。a~cのポートは、図1に記載されているa~cに対応している。この三方弁Vは、室外熱交換器31が第1熱媒体回路C1に接続される場合は、弁体がC1Vの状態に切り替えられ、室外熱交換器31が第2熱媒体回路C2に接続される場合は、弁体がC2Vの状態に切り替えられる。
【0048】
熱媒体の経路は、必ずしも、回路切替装置30を示す二重線からなる枠線の内側に図示された線の分岐、集合の状態にはかかわらず、各運転モードや車載装置の温度管理を実現するために適宜に設定される
回路切替装置30は、運転モードや車載装置の温度管理の必要性に応じて、熱媒体の流れを適宜な構造の弁により切り替えるものであればよい。
【0049】
回路切替装置30には、熱媒体回路Cに備わる全ての弁、あるいは大部分の弁を集約することができる。それにより、熱媒体が供給される車載装置や熱交換器の数が増えても、熱媒体の複雑な経路を回路切替装置30に収め、回路切替装置30の外側の配管等を簡素に構成することができるので、温調システム1の全体として小型化を図ることができる。
また、複数の装置(室外熱交換器31、室内熱交換器32、バッテリー装置4、および走行用モーター装置5)が互いに並列接続可能であるのならば、第1熱媒体回路C1および第2熱媒体回路C2のそれぞれに対して、直列接続する/しないを装置毎に切り替える手段を簡素な構成により実現し易い。
なお、回路切替装置30の内部経路は、例えば、積層造形により形成されていてもよい。
【0050】
熱媒体回路Cは、必ずしも回路切替装置30を備えている必要はない。熱媒体回路Cの熱媒体の流れを切り替える複数の弁がそれぞれ、独立した部材であって、熱媒体回路Cの配管に組み付けられていてもよい。
【0051】
〔温調システムの運転例〕
温調システム1は、図1に示すように、車室内の冷房、バッテリー本体41の冷却、および走行用モーター装置5の冷却を行うことができる。
このとき、第1圧縮機11の作動により第1冷媒回路R1が運転され、第2圧縮機21の作動により第2冷媒回路R2が運転されている。また、第1熱媒体回路C1には室外熱交換器31が接続され、第2熱媒体回路C2にはバッテリー用熱交換器43および走行用モーター装置5が接続されている。
【0052】
この運転例によると、第1蒸発器14による冷媒への放熱により、冷却された空気が車室内に吹き出される。第1熱媒体回路C1の室外熱交換器31により熱媒体から外気へと放熱されるとともに、第2熱媒体回路C2の熱媒体の冷熱によりバッテリー装置4のバッテリー本体41と走行用モーター装置5とが冷却される。
【0053】
温調システム1は、図3に示すように、第1、第2冷媒回路R1,R2の運転が停止しているとき、第2熱媒体回路C2の熱媒体を用いて、発熱源であるバッテリー装置4および走行用モーター装置5を冷却することができる。
このとき、第2熱媒体回路C2には、バッテリー装置4のバッテリー用熱交換器43、室外熱交換器31、および走行用モーター装置5が接続されている。そのため、第2熱媒体回路C2を循環する熱媒体は、バッテリー用熱交換器43を介してバッテリー本体41から吸熱するとともに、走行用モーター装置5からも吸熱し、室外熱交換器31により外気へと放熱する。
【0054】
バッテリー用熱交換器43と、室外熱交換器31と、走行用モーター装置5とは、第2蒸発器24を含む第2熱媒体回路C2に対して直列かつ互いに並列に接続されている。そのため、第2蒸発器24を流出した熱媒体は、バッテリー用熱交換器43と室外熱交換器31と走行用モーター装置5に分配され(図3のB1参照)、バッテリー用熱交換器43からの吸熱、室外熱交換器31への放熱、および走行用モーター装置5からの吸熱を経た後に合流する(図3のB2参照)。B2で合流した熱媒体は、合流する前におけるそれぞれの熱媒体の温度の中間の温度となり、第2蒸発器24へと流入する。
【0055】
図3に示す運転例によれば、発熱源が室外熱交換器31に接続されない場合は熱媒体の温度が上昇するとしても、バッテリー本体41や走行用モーター装置5等の発熱源から発生した熱を熱媒体により室外熱交換器31へと移送し、室外熱交換器31により外気へと放熱させながら、発熱源を継続して冷却することができる。そのため、充電時のバッテリー本体41のように、発熱が大きい場合であっても、圧縮機11を作動させずに発熱源を十分に冷却することができる。
【0056】
図4は、ヒートポンプ運転による暖房およびバッテリー本体41の加熱を行い、併せて走行用モーター装置5からの排熱回収も行う運転例を示している。
このとき、第1冷媒回路R1の運転は停止し、第2冷媒回路R2のみが運転される。また、第1熱媒体回路C1にバッテリー用熱交換器43および室内熱交換器32が接続され、第2熱媒体回路C2には室外熱交換器31および走行用モーター装置5が接続される
【0057】
この運転例によると、第2熱媒体回路C2を流れる熱媒体は、室外熱交換器31により外気から吸熱するとともに、走行用モーター装置5からも吸熱する。第2熱媒体回路C2の熱媒体は、第2蒸発器24により、作動している第2冷媒回路R2の冷媒と熱交換されるから、外気から第2熱媒体回路C2を介して第2冷媒回路R2へと熱が汲み上げられ、同様に、走行用モーター装置5の排熱が第2熱媒体回路C2を介して第2冷媒回路R2へと回収されることとなる。第2冷媒回路R2の冷媒は熱交換器CDにより第1熱媒体回路C1の熱媒体へと放熱される。それによって加熱された熱媒体が、室内熱交換器32とバッテリー用熱交換器43とに供給されると、車室内には加熱された空気が吹き出し、バッテリー本体41は加熱される。
【0058】
図1図3、および図4の運転例を通じて、第1凝縮器12および第2凝縮器22からなる熱交換器CDの熱媒体流路103には熱媒体が流れている。
図4に示す運転例のとき、第2冷媒回路R2のみが運転され、第1冷媒回路R1は運転されていないものの、第1冷媒回路R1と第2冷媒回路R2とに共通の熱媒体流路103には、両方の冷媒回路R1,R2が運転される場合と同様に熱媒体が流れている。そして、第2凝縮器22により第2冷媒回路R2の冷媒と熱交換された熱媒体が、第1熱媒体回路C1により室内熱交換器32およびバッテリー用熱交換器43へと供給される。
【0059】
上記とは逆に、第1冷媒回路R1のみが運転される場合も同様である。熱媒体流路103には、両方の冷媒回路R1,R2が運転される場合と同様に熱媒体が流れる。そして、第1凝縮器12により第1冷媒回路R1の冷媒と熱交換された熱媒体が、室内熱交換器32およびバッテリー用熱交換器43へと供給される。
【0060】
〔本実施形態による主な作用効果〕
上述のように熱媒体流路103は、第1、第2冷媒回路R1,R2に共通の同一の流路である。第1、第2冷媒回路R1,R2のいずれか一方のみを運転させる場合であっても、両方の冷媒回路R1,R2を運転させる場合と同様に、熱媒体が熱媒体流路103を流れて室外熱交換器31に供給されるので、その室外熱交換器31は、第1、第2冷媒回路R1,R2に共通の空気に対する伝熱領域をなしている。そうすると、2つの冷媒回路に個別に対応する2つの空冷凝縮器を備える従来システムとは異なり、第1、第2冷媒回路R1,R2の一方のみが運転される場合でも、空気に対する伝熱領域が減少することなく、室外熱交換器31には、空気に対する一定の伝熱領域が確保されている。
【0061】
ここで、車両においては外気に対する熱交換器の設置場所が限定されており、典型例によると、車両のフロントエンドに外気熱交換器が設置されることから、外気熱交換器の正面面積は制限される。従来システムの2つの空冷凝縮器を並べて配置する場合も重ねて配置する場合も、一方の冷媒回路のみの運転時には、冷媒の流れない領域の分、空冷凝縮器の外気に対する伝熱面積が減少してしまう。これを考慮して空冷凝縮器の正面面積を増加させることは、フロントエンドに設置可能な熱交換器の正面面積の制約から難しい。
本実施形態の第1、第2冷媒回路R1,R2の一方のみを運転させると、冷媒と熱媒体との間の熱交換器である凝縮器12の伝熱領域は減少する。但し、凝縮器12は室外熱交換器31と比べて設置場所の制約が少ないので、予め広い伝熱領域を凝縮器12に与えておくことは容易である。また、凝縮器12の体積あたりの熱交換量が室外熱交換器31と比べて大きいことより、予め広い伝熱領域を凝縮器12に与えても、車両搭載性への影響は小さい。
本実施形態によれば、いずれか一方の冷媒回路のみを運転させる場合であっても、温調システム1のCOP(Coefficient of Performance)を向上させることができ、エネルギー消費効率が高い温調システム1を提供することができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、図5図7を参照し、本開示の第2実施形態に係る温調システム2を説明する。
以下、既に説明した構成要素と同様の構成要素には同じ符号を付している。
第2実施形態の温調システム2は、熱交換器CDに代えて、一体型の熱交換器100を備えている。この点を除き、温調システム2は、第1実施形態の温調システム1と同様に構成されている。
【0063】
熱交換器100は、第1凝縮器12と第2凝縮器22とが一体化されてなる。この熱交換器100は、図6および図7に示すように、積層方向Sに積層される複数の矩形状のプレート100Aと、プレート100Aの積層体100Sとを備えている。
積層方向Sに隣り合うプレート100A間には、第1冷媒流路101、第2冷媒流路102、および熱媒体流路103が形成されている。なお、図7では、プレート100Aの図示が省略されている。
【0064】
図7では、冷媒の流れが実線の矢印で示され、熱媒体の流れが破線の矢印で示されている。図8および図9でも同様である。
【0065】
積層体100Sにおける積層方向Sの一方側S1は、第1凝縮器12としての第1凝縮領域12Rに相当する。積層体100Sにおける積層方向Sの他方側S2は、第2凝縮器22としての第2凝縮領域22Rに相当する。第1凝縮領域12Rおよび第2凝縮領域22Rは、積層方向Sに隣接している。
【0066】
第1冷媒流路101は、第1凝縮領域12Rでプレート100A間をプレート100Aの長手方向Lに延びている。第1冷媒流路101に冷媒を流入させる第1冷媒入口R1INは、積層体100Sにおける積層方向Sの一方側S1の側面100Cにおける長手方向Lの一端に設けられている。第1冷媒流路101から冷媒を流出させる第1冷媒出口R1OUTは、側面100Cにおける長手方向Lの他端に設けられている。
【0067】
第2冷媒流路102は、第2凝縮領域22Rでプレート100A間を長手方向Lに延びている。第2冷媒流路102に冷媒を流入させる第2冷媒入口R2INは、積層体100Sにおける積層方向Sの一方側S1の側面100Dにおける長手方向Lの一端に設けられている。第2冷媒流路102から冷媒を流出させる第2冷媒出口R2OUTは、側面100Dにおける長手方向Lの他端に設けられている。
【0068】
熱媒体流路103は、積層体100Sの第1凝縮領域12R側と第2凝縮領域22R側とに亘りプレート100A間を長手方向Lに延びている。熱媒体流路103は、回路切替装置30により室外熱交換器31と接続可能に構成されている。熱媒体流路103に熱交換を流入させる熱媒体入口CINと、熱媒体流路103から熱媒体を流出させる熱媒体出口COUTとは、積層体100Sにおける積層方向Sの第2凝縮領域22R側の側面の端部に設けられている。なお、熱媒体入口CINおよび熱媒体出口COUTは、第1凝縮領域12R側の側面に設けられていてもよい。
【0069】
第1熱媒体回路C1から熱媒体入口CINに導入される熱媒体は、積層方向Sに延びる流路104を通じて複数の熱媒体流路103に流入し、熱媒体流路103を長手方向Lに流れながら、第1冷媒流路101を流れる冷媒および第2冷媒流路102を流れる冷媒と熱交換される。そして、積層方向Sに延びる流路105を流れて、熱媒体出口COUTから第1熱媒体回路C1へと流出する。
【0070】
なお、第1冷媒回路R1から第1冷媒入口R1INに導入される冷媒は、熱媒体と同様に、積層方向Sに延びる流路106を通じて複数の第1冷媒流路101に流入し、各第1冷媒流路101から積層方向Sに延びる流路107を通じて流出する。第2冷媒流路102についても同様であり、積層方向に延びる流路108,109が形成されている。
【0071】
熱交換の過程に亘り熱媒体と冷媒との温度差をより大きくして熱交換能力を高めるため、図7に示すように、熱媒体の流れと冷媒の流れとが逆向きである対向流をなしていることが好ましい。図7に示す例において、熱媒体は長手方向Lの一方側L1から他方側L2に向けて流れ、冷媒は長手方向Lの他方側L2から一方側L1に向けて流れる。
【0072】
熱媒体入口CIN、熱媒体出口COUT、第1冷媒入口R1IN、第1冷媒出口R1OUT、第2冷媒入口R2IN、および第2冷媒出口R2OUTはいずれも、積層体100Sの側壁を貫通する図示しない開口を通じて積層体100S内の流路に連通しているとともに、積層体100Sの外側で冷媒や熱媒体の図示しない配管が接続される。
【0073】
熱媒体入口CIN、熱媒体出口COUT、第1冷媒入口R1IN、第1冷媒出口R1OUT、第2冷媒入口R2IN、および第2冷媒出口R2OUTは、対応する開口の位置と同じ面にある必要はないし、必ずしも積層体100Sの側面における長手方向Lの端部に設けられている必要はない。
例えば、第1冷媒入口R1INおよび第1冷媒出口R1OUTにそれぞれ接続され、第2冷媒入口R2INや第2冷媒出口R2OUT等のある側面に引き回される部材を使用することで、熱媒体入口CIN、熱媒体出口COUT、第1冷媒入口R1IN、第1冷媒出口R1OUT、第2冷媒入口R2IN、および第2冷媒出口R2OUTのいずれも積層体100Sの同一側面に設けることができる。その場合、第1冷媒入口R1INや第1冷媒出口R1OUT等の6つの部材に対して冷媒の配管や熱媒体の配管が積層体100Sの同じ側から接続されるので、配管の組付け作業や点検作業等が容易である。
【0074】
(一体型熱交換器の第1変形例)
図8に示すように、第1凝縮領域12Rおよび第2凝縮領域22Rが長手方向Lに隣接していてもよい。第2凝縮領域22Rは、積層体100Sにおける長手方向Lの一方側L1に相当する。第1凝縮領域12Rは、積層体100Sにおける長手方向Lの他方側L2に相当する。
【0075】
第1冷媒流路101は、積層体100Sにおける第1凝縮領域12R側でプレート100A間を長手方向Lに延びている。第2冷媒流路102は、積層体100Sにおける第2凝縮領域22R側でプレート100A間を長手方向Lに延びている。
第1冷媒入口R1IN、第1冷媒出口R1OUT、第2冷媒入口R2IN、および第2冷媒出口R2OUTのいずれも、積層体100Sの積層方向Sにおける一方側S1の側面に設けることができる。
【0076】
熱媒体流路103は、図7に示す構成と同様である。熱媒体流路103は、積層方向Sにおける一方側S1と他方側S2とに亘りプレート100A間を長手方向Lに延びている。
【0077】
破線の矢印で示す熱媒体の流れと、実線の矢印で示す冷媒の流れとは、対向流をなしていることが好ましい。
【0078】
さらに、第1冷媒流路101および第2冷媒流路102のうち、第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2のそれぞれの用途に鑑みて優先度の高い方が、熱媒体流路103における上流側に配置されることが好ましい。ここでは、車室の冷房に対して電池(バッテリー本体41)の冷却を優先するため、熱媒体流路103における上流側には、電池の冷却に用いられる第2冷媒回路R2に含まれる第2冷媒流路102が配置される。熱媒体流路103における下流側には、車室の冷房に用いられる第1冷媒回路R1に含まれる第1冷媒流路101が配置される。
【0079】
第1熱媒体回路C1から熱媒体入口CINに導入される熱媒体は、熱媒体流路103を長手方向Lに流れながら、第2冷媒流路102を流れる冷媒と熱交換された後、第1冷媒流路101を流れる冷媒と熱交換され、熱媒体出口COUTから第1熱媒体回路C1へと流出する。
電池の冷却に使用される第2冷媒流路102が配置されている熱媒体流路103の上流側で、熱媒体と冷媒との温度差が大きいので、電池をより十分に冷却することができる。
【0080】
(一体型熱交換器の第2変形例)
図9に示すように、熱交換器100が第1気液分離器110および第2気液分離器120を備えるとともに、第1凝縮領域12Rおよび第2凝縮領域22Rには過冷却部A2が与えられていてもよい。
【0081】
第1気液分離器110は、第1冷媒回路R1の冷媒を受け入れて気相冷媒と液相冷媒とに分離する。第2気液分離器120は、第2冷媒回路R2の冷媒を受け入れて気相冷媒と液相冷媒とに分離する。
第1気液分離器110および第2気液分離器120は、積層体100Sの例えば積層方向Sの両側面に設けることができる。
【0082】
第1気液分離器110から排出される液相の冷媒は、熱媒体流路103の上流側の過冷却部A2における第1冷媒流路101に導入される。
第2気液分離器120から排出される液相の冷媒は、熱媒体流路103の上流側の過冷却部A2における第2冷媒流路102に導入される。
【0083】
第1冷媒回路R1から第1冷媒入口R1INを通じて第1冷媒流路101に導入される冷媒は、過冷却部A2までの凝縮部A1において第1冷媒流路101を長手方向Lに流れながら、熱媒体流路103を流れる熱媒体と熱交換されることで凝縮する。
同様に、第2冷媒回路R2から第2冷媒入口R2INを通じて第2冷媒流路102に導入される冷媒は、過冷却部A2までの凝縮部A1において第2冷媒流路102を長手方向Lに流れながら、熱媒体流路103を流れる熱媒体と熱交換されることで凝縮する。
【0084】
凝縮した第1冷媒流路101の冷媒は、第1気液分離器110に導入される。第1気液分離器110から流出した液相の冷媒は、第1冷媒流路101に供給され、過冷却部A2にて熱媒体流路103の熱媒体へと放熱することで過冷却の状態となり、第1冷媒回路R1へと流出する。
同様に、凝縮した第2冷媒流路102の冷媒は、第2気液分離器120に導入される。第2気液分離器120から流出した液相の冷媒は、第2冷媒流路102に供給され、過冷却部A2にて熱媒体流路103の熱媒体へと放熱することで過冷却の状態となり、第2冷媒回路R2へと流出する。
【0085】
過冷却により第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2のそれぞれの熱交換能力が増加するため、温調システム1のCOPを向上させることができる。
【0086】
第2変形例は、第1変形例(図8)のように第1凝縮領域12Rおよび第2凝縮領域22Rが長手方向Lに隣接して配置される場合にも適用することができる。
【0087】
〔第2実施形態の変形例〕
図10に示す第2実施形態の変形例は、バッテリー装置4を熱媒体により冷却する手段が第1実施形態(図1)および第2実施形態(図5)とは相違している。図10に示す変形例は、第1実施形態にも適用することができる。
【0088】
温調システム2-1の第2熱媒体回路C2は、熱媒体とバッテリー本体41とを熱交換させる温調熱交換器としてのプレート部材45と、熱媒体(第1熱媒体H1)をプレート部材45に循環可能に構成される温調熱媒体回路46と、温調熱媒体回路46に熱媒体を流入可能に構成される切替弁47とを備えている。
【0089】
切替弁47により経路48を開通するとともに経路49を閉止すると、ポンプ42を作動させて熱媒体を温調熱媒体回路46に循環させることにより、プレート部材45を介してバッテリー本体41を均温化することができる。
【0090】
また、例えば、外気温度が上昇したり走行用モーター装置5の負荷が増加したりした際には、切替弁47により経路48を閉止するとともに経路49を開通させると、第2蒸発器24を流出した熱媒体が温調熱媒体回路46に流入し、第2蒸発器24とプレート部材45とを熱媒体が循環する。そのため、第2蒸発器24から流出した熱媒体の冷熱により、バッテリー本体41を十分に冷却することができる。
【0091】
[第3実施形態]
図11および図12を参照し、本開示の第3実施形態を説明する。
温調システム3の第1冷媒回路R1は、いずれも減圧部としての膨張弁13-1および膨張弁13-2と、蒸発器14-1および蒸発器14-2とを含む。
第2冷媒回路R2は、バッテリー本体41の冷却に使用される。
蒸発器14-2は、回路切替装置30により、室外熱交換器31と接続可能に構成されている。
【0092】
第2冷媒回路R2の第2蒸発器24は、冷媒と、バッテリー用回路40の第2熱媒体H2とを熱交換させることでバッテリー本体41を冷却する。
なお、第2蒸発器24には、バッテリー本体41と熱的に結合したプレート部材45(図2(b))が設けられていてもよい。
【0093】
図11は、車室内の冷房と、電池冷却と、走行用モーター装置5の冷却とを行う運転例を示し、図12は、ヒートポンプ運転による暖房およびバッテリー本体41の加熱を行い、併せて走行用モーター装置5からの排熱回収も行う運転例を示している。
【0094】
第1実施形態のヒートポンプ運転時(図4)には、第2蒸発器24が室外熱交換器31に接続されるため、第2冷媒回路R2を運転させている必要がある。それに対して、第3実施形態のヒートポンプ運転時には、図12に示すように、第1冷媒回路R1の蒸発器14-2を室外熱交換器31に接続させることができるので、第2冷媒回路R2を運転させている必要がない。
【0095】
第2冷媒回路R2は、バッテリー本体41の冷却専用の回路であるため、例えば、第2圧縮機21の回転数、第2膨張弁23の開度、ポンプ42の回転数等の制御により、バッテリー本体41の温度を精度良く最適に調整することができる。
バッテリー用回路40は回路切替装置30を介さずに第2蒸発器24に接続されている。その分、回路切替装置30の構造が簡素となる。
【0096】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0097】
[付記]
以上の開示により、以下に示す構成が把握される。
〔1〕圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器をそれぞれ備える第1冷媒回路(R1)と第2冷媒回路(R2)とを備える車両用温調システムの前記高圧側熱交換器として用いられる熱交換器であって、
前記第1冷媒回路(R1)の前記高圧側熱交換器に備わる第1冷媒流路(101)と、
前記第2冷媒回路(R2)の前記高圧側熱交換器に備わる第2冷媒流路(102)と、
前記第1冷媒回路(R1)の前記高圧側熱交換器および前記第2冷媒回路(R2)の前記高圧側熱交換器に共通の熱媒体流路(103)と、を含み、
前記熱媒体流路(103)は、熱媒体と外気とを熱交換させる外気熱交換器(31)と接続可能に構成される、熱交換器。
【0098】
〔2〕所定の積層方向(S)に積層される複数のプレート(100A)を備え、
前記プレート(100A)間には、前記第1冷媒流路(101)、前記第2冷媒流路(102)、および前記熱媒体流路(103)が形成される、
〔1〕項に記載の熱交換器。
【0099】
〔3〕前記第1冷媒流路(101)は、前記積層方向(S)における一方側で前記プレート(100A)間を前記プレート(100A)の長手方向(L)に延び、
前記第2冷媒流路(102)は、前記積層方向(S)における他方側で前記プレート(100A)間を前記長手方向(L)に延び、
前記熱媒体流路(103)は、前記積層方向(S)における前記一方側と前記他方側とに亘り前記プレート(100A)間を前記長手方向(L)に延びる、
〔2〕項に記載の熱交換器。
【0100】
〔4〕前記第1冷媒流路(101)は、前記プレート(100A)の長手方向(L)における一方側で前記プレート(100A)間を前記プレート(100A)の長手方向(L)に延び、
前記第2冷媒流路(102)は、前記長手方向(L)における他方側で前記プレート(100A)間を前記長手方向(L)に延び、
前記熱媒体流路(103)は、前記積層方向(S)における前記一方側と前記他方側とに亘り前記プレート(100A)間を前記長手方向(L)に延びる、
〔2〕項に記載の熱交換器。
【0101】
〔5〕前記第1冷媒回路(R1)は、車室の冷房に使用され、
前記第2冷媒回路(R2)は、電池(41)の冷却に使用され、
前記第2冷媒流路(102)は、前記熱媒体流路(103)の上流側に配置され、
前記第1冷媒流路(101)は、前記熱媒体流路(103)の下流側に配置される、
〔4〕項に記載の熱交換器。
【0102】
〔6〕前記第1冷媒回路(R1)の前記冷媒を受け入れる第1気液分離器(110)と、
前記第2冷媒回路(R2)の前記冷媒を受け入れる第2気液分離器(120)と、を備え、
前記熱媒体流路(103)の上流側の領域で、前記第1気液分離器(110)から排出される液相の冷媒が前記第1冷媒流路(101)に供給されるとともに、前記第2気液分離器(120)から排出される液相の冷媒が前記第2冷媒流路(102)に供給される、
〔2〕から〔5〕のいずれか一項に記載の熱交換器。
【0103】
〔7〕車両用の温調システムであって、
圧縮機(11)、高圧側熱交換器(12)、減圧部(13)、および低圧側熱交換器(14)を含む第1冷媒回路(R1)と、
圧縮機(21)、高圧側熱交換器(22)、減圧部(23)、および低圧側熱交換器(24)を含む第2冷媒回路(R2)と、
前記第1冷媒回路(R1)および前記第2冷媒回路(R2)の冷媒に対して、前記第1冷媒回路(R1)および前記第2冷媒回路(R2)のそれぞれの少なくとも前記高圧側熱交換器(12,22)により熱を授受する熱媒体と、外気とを熱交換させる外気熱交換器(31)と、
〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の熱交換器を含み、前記外気熱交換器(31)と接続可能に構成される第1熱媒体回路(C1)と、を備える、
車両用温調システム(1~3)。
【0104】
〔8〕前記第1冷媒回路(R1)は、車室の冷房に使用され、
前記第2冷媒回路(R2)は、電池(41)の冷却に使用される、
〔7〕項に記載の車両用温調システム(1~3)。
【0105】
〔9〕前記第2冷媒回路(R2)の前記低圧側熱交換器(24)により前記冷媒と熱交換される前記熱媒体が循環可能に構成される第2熱媒体回路(C2)と、
前記熱媒体と温調対象(41)とを熱交換させる温調熱交換器(43)と、を備え、
前記温調熱交換器(43)は、
前記第2熱媒体回路(C2)と、前記第1熱媒体回路(C1)とのうち少なくとも前記第2熱媒体回路(C2)と接続可能に構成される、
〔7〕または〔8〕項に記載の車両用温調システム(1,2)。
【0106】
〔10〕前記熱媒体としての第1熱媒体(H1)が循環可能に構成される前記第2熱媒体回路(C2)と、
前記温調対象(41)および前記温調熱交換器(43)を含み、第2熱媒体(H2)が循環可能に構成される温調熱媒体回路(40)と、を備える、
〔9〕項に記載の車両用温調システム(1,2)。
【0107】
〔11〕前記第1冷媒回路(R1)の前記低圧側熱交換器(14)、および、空気と前記熱媒体とを熱交換させる室内熱交換器(32)を含む室内ユニット(U)を備え、
前記室内熱交換器(32)は、前記第1熱媒体回路(C1)と接続可能に構成される、
〔7〕から〔10〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム(1~3)。
【0108】
〔12〕前記第1冷媒回路(R1)の前記圧縮機(11)と前記第2冷媒回路(R2)の前記圧縮機(21)とが停止している状態で、前記熱媒体が温調対象(41)から吸熱し、前記外気熱交換器(31)により前記外気へと放熱することで、前記温調対象(41)を冷却する、
〔7〕から〔11〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム(1,2)。
【0109】
〔13〕前記熱媒体と温調対象(41)とを熱交換させる温調熱交換器(43)と、
前記温調熱交換器(43)に前記熱媒体を循環可能に構成される温調熱媒体回路(46)と、
前記温調熱媒体回路(46)に前記熱媒体を流入可能に構成される切替弁(47)と、を備える、
〔7〕から〔12〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム(1~3)。
【0110】
〔14〕前記第1冷媒回路(R1)は、前記減圧部(13)としての第1減圧部(13-1)および第2減圧部(13-2)と、前記低圧側熱交換器(14)としての第1低圧側熱交換器(14-1)および第2低圧側熱交換器(14-2)と、を含み、
前記第2冷媒回路(R2)は、温調対象(41)の冷却に使用され、
前記第2低圧側熱交換器(14-2)は、前記外気熱交換器(31)と接続可能に構成されている、
〔7〕、〔8〕、〔11〕、および〔13〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム(3)。
【符号の説明】
【0111】
1,2,2-1,3 温調システム
4 バッテリー装置
5 走行用モーター装置
6 制御装置
11 第1圧縮機
12 第1凝縮器(高圧側熱交換器)
12R 第1凝縮領域
13 第1膨張弁(減圧部)
13-1 膨張弁(第1減圧部)
13-2 膨張弁(第2減圧部)
14 第1蒸発器(低圧側熱交換器)
14-1 蒸発器(第1蒸発器)
14-2 蒸発器(第2蒸発器)
21 第2圧縮機
22 第2凝縮器(高圧側熱交換器)
22R 第2凝縮領域
23 第2膨張弁(減圧部)
24 第2蒸発器(低圧側熱交換器)
30 回路切替装置
31 室外熱交換器(外気熱交換器)
32 室内熱交換器
32A ヒーター
40 バッテリー用回路(温調熱媒体回路)
41 バッテリー本体(電池)
42 ポンプ
43 バッテリー用熱交換器(温調熱交換器)
44 ヒーター
45 プレート部材(温調熱交換器)
46 温調熱媒体回路
47 切替弁
48,49 経路
51 ポンプ
100 熱交換器
100A プレート
100C,100D 側面
100S 積層体
101 第1冷媒流路
102 第2冷媒流路
103 熱媒体流路
104~109 流路
110 第1気液分離器
120 第2気液分離器
122 凝縮器出口
221 凝縮器入口
241 蒸発器入口
242 蒸発器出口
A1 凝縮部
A2 過冷却部
A~N ポート
B 室内送風機
C 熱媒体回路
C1 第1熱媒体回路
C2 第2熱媒体回路
CD 熱交換器
IN 熱媒体入口
OUT 熱媒体出口
H1 第1熱媒体
H2 第2熱媒体
L 長手方向
L1 一方側
L2 他方側
P1 第1ポンプ
P2 第2ポンプ
R1 第1冷媒回路
R1IN 第1冷媒入口
R1OUT 第1冷媒出口
R2 第2冷媒回路
R2IN 第2冷媒入口
R2OUT 第2冷媒出口
S 積層方向
S1 一方側
S2 他方側
U HVACユニット
V 三方弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12