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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132228
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】点灯回路、及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042929
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 遼
(72)【発明者】
【氏名】中岡 勇人
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339AA28
3K339AA43
3K339BA07
3K339CA12
3K339DA01
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB21
3K339JA02
3K339JA04
3K339JA18
3K339KA09
3K339KA37
3K339KA39
3K339MC68
(57)【要約】
【課題】点灯の期間の均一化を図ることのできる点灯回路を提供する。
【解決手段】電源電圧が供給された後、コンデンサの電圧が上昇して第1閾値電圧となると出力電圧を第1レベルから前記第1レベルより低い第2レベルに変化させ、前記コンデンサの電圧が低下して前記第1閾値電圧より低い第2閾値電圧となると、前記出力電圧を前記第2レベルから前記第1レベルに変化させる矩形波出力回路と、前記電源電圧が前記矩形波出力回路に供給されてから所定期間、前記コンデンサを充電する充電回路と、前記出力電圧に基づいて光源を間欠的に点灯させる駆動回路と、を備え、前記充電回路は、前記所定期間において前記コンデンサを、前記第2閾値電圧よりも高く、前記第1閾値電圧よりも低い電圧まで充電する点灯回路。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が供給された後、コンデンサの電圧が上昇して第1閾値電圧となると出力電圧を第1レベルから前記第1レベルより低い第2レベルに変化させ、前記コンデンサの電圧が低下して前記第1閾値電圧より低い第2閾値電圧となると、前記出力電圧を前記第2レベルから前記第1レベルに変化させる矩形波出力回路と、
前記電源電圧が前記矩形波出力回路に供給されてから所定期間、前記コンデンサを充電する充電回路と、
前記出力電圧に基づいて光源を間欠的に点灯させる駆動回路と、
を備え、
前記充電回路は、前記所定期間において前記コンデンサを、前記第2閾値電圧よりも高く、前記第1閾値電圧よりも低い電圧まで充電する、
点灯回路。
【請求項2】
請求項1に記載の点灯回路であって、
前記充電回路は、
前記電源電圧が印加される第1抵抗と、
前記第1抵抗と前記コンデンサとの間に設けられるスイッチと、
前記電源電圧が印加されてから前記所定期間、前記スイッチをオンするスイッチ制御回路と、
を含む点灯回路。
【請求項3】
請求項2に記載の点灯回路であって、
前記充電回路は、
前記第1抵抗と、接地との間に設けられ、前記第1抵抗に直列接続される第2抵抗、
をさらに含む点灯回路。
【請求項4】
請求項3に記載の点灯回路であって、
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値より大きい
点灯回路。
【請求項5】
請求項1に記載の点灯回路であって、
前記所定期間は、前記出力電圧が前記第2レベルとなる期間の5%以上25%以下である、
点灯回路。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の点灯回路と、
車両が後退する際に、前記電源電圧を生成する電源回路と、
を備え、前記光源が前記車両の後部に設けられた車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯回路、及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の光源を間欠的に点灯(すなわち点滅)させる際などにおいて矩形波が使用される。この矩形波を生成する回路として、オペアンプとコンデンサを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-70503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回路では、コンデンサを充放電し、コンデンサの電圧が低い閾値と高い閾値となったときにオペアンプの出力レベルを切り替えるようにすることで矩形波を出力している。このような発振回路では、コンデンサを最初に充電するときには、接地レベルから充電を開始するのに対し、2回目目以降では、低い閾値から充電を開始する。このため、この発振回路を点灯回路に用いる場合、1回目の充電を行う期間が、他の充電の期間よりも長くなってしまい、矩形波(つまり、点灯の期間)が均一にならないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、点灯の期間の均一化を図ることのできる点灯回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する主たる本発明は、電源電圧が供給された後、コンデンサの電圧が上昇して第1閾値電圧となると出力電圧を第1レベルから前記第1レベルより低い第2レベルに変化させ、前記コンデンサの電圧が低下して前記第1閾値電圧より低い第2閾値電圧となると、前記出力電圧を前記第2レベルから前記第1レベルに変化させる矩形波出力回路と、前記電源電圧が前記矩形波出力回路に供給されてから所定期間、前記コンデンサを充電する充電回路と、前記出力電圧に基づいて光源を間欠的に点灯させる駆動回路と、を備え、前記充電回路は、前記所定期間において前記コンデンサを、前記第2閾値電圧よりも高く、前記第1閾値電圧よりも低い電圧まで充電する、点灯回路である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、点灯の期間の均一化を図ることのできる点灯回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の車両用灯具1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】一般的な矩形波出力回路12の構成を示す図である。
図3】一般的な矩形波出力回路12の動作を説明するための波形図である。
図4】本実施形態の発振回路10の構成を示す図である。
図5】本実施形態の発振回路10の動作を説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0011】
=====本実施形態=====
<<車両用灯具について>>
図1は、本実施形態における車両用灯具1の構成を示す概略ブロック図である。
【0012】
本実施形態の車両用灯具1は、路面に所定の描画パターン(線、矢印、図形など)を描画する路面描画機能を備えている。なお、本実施形態における路面描画機能は、車両が後退(バック)する際に、車両の後方の路面に描画パターンを描画するものである。
【0013】
車両用灯具1は、光源3と点灯回路5を備えている。
【0014】
光源3は、車両の後部に設けられており、車両後方の路面に光を照射する。また、光源3は、複数(ここでは8個)の発光素子D1~D8を有している。本実施形態では、発光素子D1~D8として発光ダイオード(LED)が用いられている。発光素子D1~D8は、車両の左右一対のハウジングに、各々4個ずつ(計8個)直列接続されて配置されている。このため、光源3の発光素子D1~D8は、同じタイミングで点灯又は消灯する。
【0015】
なお、光源3は、車両が後退(バック)する際に、後述する点灯回路5によって、間欠的に点灯(点滅)するように制御される。これにより、車両が後退する際に、車両後方の路面に間欠的に光を照射(描画パターンを描画)して、周囲の歩行者や他車に注意を促すことができる。
【0016】
点灯回路5は、光源3を点灯させる回路であり、発振回路10、駆動回路20、及び制御IC30を備えている。
【0017】
発振回路10は、電源回路32(後述)からの電源電圧Vccが供給されると動作し、ハイレベル(以下、Hレベル)とローレベル(以下、Lレベル)が交互に切り替わる矩形波(発振電圧Vosc)を出力する。なお、発振回路10の詳細については後述する。
【0018】
駆動回路20は、定電流出力のDC/DCコンバータを含み、車両用のバッテリー2から供給される電力から、負荷である光源3の発光素子D1~D8を駆動するための定電流(駆動電流Iout)を生成する。なお、駆動回路20は、制御IC30のコントローラ34の制御(換言すると発振回路10の出力)に基づいて、光源3を間欠的に点灯させる(後述)。
【0019】
制御IC30は、点灯回路5の各部(ここでは主に駆動回路20)の動作を制御するための集積回路である。本実施形態の制御IC30は、電源回路32とコントローラ34を備えている。
【0020】
電源回路32は、車両の後退を示す信号SによってスイッチSW1がオンすると、車両用のバッテリー2の電圧Vbat(例えば12V)から電源電圧Vcc(例えば5V)を生成する。なお、信号Sは、車両の運転手がシフトレバーをリバース(以下「R」)に入れるとHレベルとなる信号であり、シフトレバーが他に切り替わるとLレベルとなる。スイッチSW1は、信号Sが、例えばHレベルのときオンになり、Lレベルのときオフになる。よって、電源電圧Vccは、シフトレバーが「R」に入っている期間(車両が後退する期間)に生成され、後退が終わると電源電圧Vccの生成が停止される。
【0021】
なお、本実施形態では電源回路32を点灯回路5の制御IC30に設けているが、これには限られない。例えば、電源回路32を、スイッチSW1と点灯回路5の間のラインに接続するように設けて、点灯回路5の外部で電源電圧Vccを生成してもよい。そして、電源回路32で生成した電源電圧Vccを点灯回路5に供給するようにしてもよい。
【0022】
コントローラ34は、発振回路10から出力される矩形波(発振電圧Vosc)に応じて、駆動回路20を駆動させる。具体的には、発振回路10から出力される矩形波がHレベルのとき、コントローラ34は、駆動回路20から光源3に駆動電流Ioutを供給させる。これにより、光源3の発光素子D1~D8が発光する(光源3が点灯する)。一方、発振回路10から出力される矩形波がLレベルのとき、コントローラ34は、駆動回路20から光源3への駆動電流Ioutの供給を停止させる。これにより、光源3の発光素子D1~D8は発光しない(光源3が消灯する)。
【0023】
<<一般的な発振回路について>>
本実施形態の発振回路10について説明する前に、オペアンプを用いた一般的な発振回路(以下、矩形波出力回路12)について説明する。
【0024】
図2は、一般的な矩形波出力回路12の構成を示す図である。図2の矩形波出力回路12は、オペアンプOP1、抵抗R1~R5、及びコンデンサC1を備えている。
【0025】
抵抗R1と抵抗R2は、直列接続されており、抵抗R1には電源電圧Vccが印加され、抵抗R2は接地されている。
【0026】
抵抗R5は、オペアンプOP1の出力をプルアップさせるための抵抗であり、一端には電源電圧Vccが印加され、他端はオペアンプOP1の出力に接続されている。
【0027】
オペアンプOP1の反転入力端子(-端子)と、接地との間には、コンデンサC1が接続され、反転入力端子(-端子)は、抵抗R4を介して、オペアンプOP1の出力に接続されている。
【0028】
また、オペアンプOP1の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R1と抵抗R2の接続点に接続されているとともに、抵抗R3を介して、オペアンプOP1の出力に接続されている。
【0029】
そして、オペアンプOP1は、+端子の電圧が-端子の電圧よりも高ければHレベル(ここでは電源電圧Vcc)を出力し、+端子の電圧が-端子の電圧よりも低ければLレベル(ここでは接地電圧)を出力する。なお、Hレベルは「第1レベル」に相当し、Lレベルは「第2レベル」に相当する。また、オペアンプOP1は、コンパレータを用いても良い。
【0030】
<+端子の電圧が-端子の電圧より高い場合>
この場合、上述したようにオペアンプOP1の出力(発振電圧Vosc)がHレベル(電源電圧Vcc)となるため、抵抗R3は、抵抗R1と並列に接続された状態となる。すなわち、オペアンプOP1の+端子の電圧は、抵抗R1と抵抗R2のみによる電源電圧Vccの分圧電圧よりも高くなる。このときのオペアンプOP1の+端子の電圧を閾値電圧V1とする。ここでは、例えば、抵抗R1,R2,R3の抵抗値が全て同じであるため、オペアンプOP1の+端子の電圧(閾値電圧V1)は、2/3Vcc(Vccが5Vの場合、約3.3V)となる。なお、閾値電圧V1は、「第1閾値電圧」に相当する。
【0031】
この結果、コンデンサC1は、オペアンプOP1の出力(発振電圧Vosc)が抵抗R4を介して印加されるため充電される。よって、オペアンプOP1の-端子の電圧は上昇する。
【0032】
<+端子の電圧が-端子の電圧より低い場合>
この場合、上述したようにオペアンプOP1の出力(発振電圧Vosc)がLレベル(接地電圧)となるため、抵抗R3は、抵抗R2と並列に接続された状態となる。すなわち、オペアンプOP1の+端子の電圧は、抵抗R1と抵抗R2のみによる電源電圧Vccの分圧電圧よりも低くなる。このときのオペアンプOP1の+端子の電圧を閾値電圧V2とする。ここでは、例えば、抵抗R1,R2,R3の抵抗値が全て同じであるため、オペアンプOP1の+端子の電圧(閾値電圧V2)は、1/3Vcc(Vccが5Vの場合、約1.7V)となる。なお、閾値電圧V2は、「第2閾値電圧」に相当する。
【0033】
この結果、コンデンサC1は、オペアンプOP1の出力がLレベルであるため、抵抗R4を介して放電される。よって、オペアンプOP1の-端子の電圧は低下する。
【0034】
図3は、一般的な矩形波出力回路12の動作を説明するための波形図である。図において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。なお、動作開始時におけるコンデンサC1の充電電圧は接地レベル(0V)である。
【0035】
時刻t0で電源電圧Vccが印加されると、プルアップ用の抵抗R5により、オペアンプOP1の出力(発振電圧Vosc)がHレベル(電源電圧Vcc)になる。これにより、オペアンプOP1の+端子の電圧は閾値電圧V1となる。また、コンデンサC1は充電され、オペアンプOP1の-端子の電圧が上昇していく。
【0036】
時刻t1でコンデンサC1の電圧(オペアンプOP1の-端子の電圧)が閾値電圧V1になると、オペアンプOP1の出力がLレベルになる。これにより、オペアンプOP1の+端子の電圧は閾値電圧V1よりも低い閾値電圧V2となる。また、コンデンサC1は放電され、オペアンプOP1の-端子の電圧が低下していく。
【0037】
時刻t2でコンデンサC1の電圧(オペアンプOP1の-端子の電圧)が閾値電圧V2になると、オペアンプOP1の出力がHレベルになる。これにより、オペアンプOP1の+端子の電圧は閾値電圧V1となる。また、コンデンサC1は充電され、オペアンプOP1の-端子の電圧が上昇していく。以下同様の動作を繰り返すことにより、オペアンプOP1の出力は、HレベルとLレベルを交互に繰り返す矩形波となる。
【0038】
この矩形波出力回路12の出力(発振電圧Vosc)に基づいて、車両用灯具1の光源3を間欠的に点灯(点滅)させることができる。例えば、発振電圧VoscがHレベルのとき、光源3を点灯させ、発振電圧VoscがLレベルのとき、光源3を消灯させることで、光源3は、間欠的に点灯する。
【0039】
ただし、この場合、図2に示すように、1回目(時刻t0~t1)のコンデンサC1の充電の際には0Vから充電を開始しているのに対し、2回目(時刻t2~t3)以降では、閾値電圧V2から充電を開始している。このため、1回目のHレベルの出力期間(図2のT0で示す期間)は、他のHレベルの出力期間(図2のTで示す期間)よりも長くなってしまう。よって、この矩形波(発振電圧Vosc)に基づいて光源3を間欠的に点灯(点滅)させると、点灯の期間が均一でないため、例えば見栄えが悪くなることがある。そこで、本実施形態では、点灯の期間の均一化を図っている。
【0040】
<<本実施形態の発振回路10について>>
図4は、本実施形態の発振回路10の構成を示す図である。
【0041】
本実施形態の発振回路10は、矩形波出力回路12と、充電回路14とを備えている。矩形波出力回路12については図2と同じであるので同一構成の部分に同一符号を付し説明を省略する。なお、矩形波出力回路12のコンデンサC1は「コンデンサ」に相当する。
【0042】
充電回路14は、電源電圧Vccが矩形波出力回路12に供給されてから所定期間(後述)、矩形波出力回路12のコンデンサC1を充電する回路である。本実形態の充電回路14は、上記所定期間において、コンデンサC1を閾値電圧V2よりも高く、閾値電圧V1よりも低い電圧(後述する電圧V3)まで充電する。充電回路14は、抵抗R6,R7、PMOSトランジスタQ1、及びスイッチ制御回路40を備えている。
【0043】
PMOSトランジスタQ1のゲート電極は、スイッチ制御回路40(具体的には、後述する抵抗R9を介してNPNトランジスタQ2のコレクタ電極)に接続されている。また、PMOSトランジスタQ1のソース電極は、電源電圧Vccと接地との間に直列接続された抵抗R6と抵抗R7の接続点に接続されている。また、PMOSトランジスタQ1のドレイン電極は、コンデンサC1の非接地側の電極(換言するとオペアンプOP1の-端子)に接続されている。なお、抵抗R6は、「第1抵抗」に相当し、抵抗R7は「第2抵抗」に相当する。また、PMOSトランジスタQ1は、抵抗R6とコンデンサC1との間に設けられており、「スイッチ」に相当する。
【0044】
PMOSトランジスタQ1は、ゲート電圧が閾値よりも高い場合にオフとなり、ゲート電圧が閾値以下の場合にオンとなる。そして、PMOSトランジスタQ1がオンすると、電源電圧Vcc→抵抗R6→PMOSトランジスタQ1→コンデンサC1の経路で電流が流れる。なお、このときPMOSトランジスタQ1には、抵抗R6と抵抗R7との分圧電圧に応じた電流が流れる。よって、抵抗R7の抵抗値を調整することにより、コンデンサC1を充電する電流の値を調整できる。
【0045】
<スイッチ制御回路40>
スイッチ制御回路40は、電源電圧Vccが供給されてから所定期間のみ、PMOSトランジスタQ1をオンさせる回路であり、コンデンサC2、抵抗R8~R11、及びNPNトランジスタQ2を備えている。
【0046】
コンデンサC2の一方の電極には電源電圧Vccが印加され、コンデンサC2の他方の電極は、抵抗R10を介してNPNトランジスタQ2のベース電極に接続されている。
【0047】
NPNトランジスタQ2のエミッタ電極は、接地されているとともに、抵抗R11を介して当該NPNトランジスタQ2のベース電極に接続されている。NPNトランジスタQ2のコレクタ電極は、抵抗R8を介して電源電圧Vccが印加されとともに、抵抗R9を介して、PMOSトランジスタQ1のゲート電極に接続されている。
【0048】
なお、コンデンサC2、抵抗R10,R11は、微分回路を構成しており、ハイパスフィルタとして機能する。具体的には、電源電圧Vccが印加された(立ち上がった)後の所定期間のみ、NPNトランジスタQ2のベース電極に電流を供給する。これにより、NPNトランジスタQ2がオンする。
【0049】
NPNトランジスタQ2がオンすると、PMOSトランジスタQ1のゲート電圧が閾値電圧よりも低くなり、PMOSトランジスタQ1がオンする。これにより、前述したように電源電圧Vcc→抵抗R6→PMOSトランジスタQ1→コンデンサC1の経路の電流が流れ、コンデンサC1が充電される。
【0050】
一方、NPNトランジスタQ2がオフの場合、PMOSトランジスタQ1のゲート電極には抵抗R8,R9を介して電源電圧Vccが印加される。このため、PMOSトランジスタQ1もオフとなる。よって、コンデンサC1は、PMOSトランジスタQ1を介した経路では充電されなくなる。
【0051】
<<発振回路10の動作について>>
図5は本実施形態の発振回路10の動作を説明するための波形図である。
【0052】
車両の運転手がシフトレバーを「R」に入れることにより、信号SがHレベルになりスイッチSW1がオンする。これにより、バッテリー2の電圧Vbatに基づいて、電源回路32で電源電圧Vccが生成される。
【0053】
時刻t0で、図4の発振回路10に電源電圧Vccが供給されると、プルアップ用の抵抗R5により、オペアンプOP1の出力がHレベル(電源電圧Vcc)になる。これにより、オペアンプOP1の+端子の電圧は閾値電圧V1となり、コンデンサC1は抵抗R4を介して充電される。
【0054】
また、電源電圧Vccの立ち上がりの所定期間(図5の時刻t0から時刻txまでの期間Ta)では、NPNトランジスタQ2がオンしPMOSトランジスタQ1がオンする。これにより、コンデンサC1は、電源電圧Vcc→抵抗R10→PMOSトランジスタQ1→コンデンサC1の経路からも充電される。
【0055】
よって、時刻t0から時刻txまでの期間Ta(所定期間)ではコンデンサC1は、2つの充電経路(オペアンプOP1の出力からの経路、充電回路14からの経路)で充電されるため、急速に充電される。これにより、時刻txにおいて、コンデンサC1は、閾値電圧V2よりも高く、閾値電圧V1よりも低い電圧V3まで充電される。
【0056】
時刻txで、NPNトランジスタQ2がオフとなり、PMOSトランジスタQ1もオフとなる。よって、時刻tx以降においては、コンデンサC1は、オペアンプOP1の出力からの経路によって充電される(図2の場合と同様)。よってコンデンサC1の充電速度は、時刻t0~txのときより遅くなる(図における傾きが緩やかになる)。
【0057】
そして、時刻t1でコンデンサC1の電圧(オペアンプOP1の-端子の電圧)が閾値電圧V1になると、オペアンプOP1の出力がLレベルになる。これにより、オペアンプOP1の+端子の電圧は閾値電圧V1よりも低い閾値電圧V2となる。また、コンデンサC1が放電されるためオペアンプOP1の-端子の電圧が降下していく。以下の動作は、矩形波出力回路12と同じである。すなわち、高い方の閾値電圧V1と、低い方向の閾値電圧V2との間で充電と放電が交互に行われる(コンデンサC1が充放電される)。
【0058】
なお、オペアンプOP1の出力がHレベルの期間、駆動回路20は、コントローラ34に制御されて光源3に駆動電流Ioutを供給する。よって、オペアンプOP1の出力がHレベルの期間、光源3は点灯する(車両の後方の路面に描画パターンが描画される)。一方、オペアンプOP1の出力がLレベルの期間、駆動回路20は、光源3に駆動電流Ioutの供給を停止する。よって、オペアンプOP1の出力がLレベルの期間、光源3は消灯する。このように発振回路10の出力(発振電圧Vosc)に基づいて、光源3は間欠的に点灯(点滅)する。
【0059】
車両の運転手がシフトレバーを「R」以外に入れると、信号SがLレベルになり、スイッチSW1がオフになる。これにより、電源回路32での電源電圧Vccの生成が停止し、光源3の点滅(車両後方の路面への描画パターンの描画)が終了する。
【0060】
矩形波出力回路12のみ(図2)では、矩形波のHレベルの期間が1回目だけ長くなっていたが、本実施形態では、充電回路14を設けて、電源電圧Vccが供給されてから所定期間、コンデンサC1を2つの充電経路で充電するので、矩形波の各Hレベルの期間を均等にすることが可能である。よって、矩形波の均一化を図ることができ、点灯の期間の均一化を図ることができる。
【0061】
なお、期間Ta(時刻t0から時刻txまでの期間)が、オペアンプOP1の出力のHレベルの期間(期間T)の5%より短いと、コンデンサC1の充電が急峻になりすぎて、制御が困難になる。例えば、ばらつきやノイズなどで電圧V3が閾値電圧V1を超えるおそれがある。一方、期間Taが、オペアンプOP1の出力がHレベルとなる期間(期間T)の25%より長いと、電圧V3を閾値電圧V2以上、閾値電圧V1以下にしつつ、他のHレベルの期間と合わせる(矩形波を均一化する)ことが困難になる。そこで、精度よく1回目のHレベルの期間を2回目以降の期間(期間T)に合わせるべく、期間Taを、オペアンプOP1の出力がHレベルとなる期間(期間T)の5%以上25%以下にしている。
【0062】
また、本実施形態の充電回路14は、期間Taにおいて、閾値電圧V2よりも高く、閾値電圧V1よりも低い電圧V3となるまで、コンデンサC1を充電する。つまり、時刻txで電圧V3となるように、コンデンサC1と抵抗R6とによる時定数が設定されている。
【0063】
ここで、仮に抵抗R7を設けていない場合、電源電圧Vccが抵抗R6を介してコンデンサC1にダイレクトに印加される。このため、期間TaにおけるコンデンサC1の充電が急峻になりすぎるおそれがある(例えば、高い側の閾値電圧V1に達してしまうおそれがある)。
【0064】
そこで、本実施形態では、抵抗R6と接地との間に、抵抗R6と直列に抵抗R7を設けており、PMOSトランジスタQ1に電源電圧Vccの分圧電圧に応じた電流が流れるようにしている。こうすることで、抵抗R7の抵抗値によって、コンデンサC1の充電速度を制御しやすくでき、設計の自由度を高めることができる。
【0065】
ただし、抵抗R6と接地との間に抵抗R7を接続していることにより、PMOSトランジスタQ1がオフの場合においても、電源電圧Vccから抵抗R6,R7を介して接地に電流が流れてしまう。このため、抵抗R7の抵抗値は、大きい(具体的には抵抗R6の抵抗値よりも大きい)ことが望ましい。
【0066】
なお、抵抗R7を用いずに、時刻txにおけるコンデンサC1の電圧V3が、閾値電圧V2よりも大きく、閾値電圧V1よりも低くなるように設計できれば、抵抗R7は設けなくてもよい。これにより、無駄な消費電力を削減することが出来る。
【0067】
===まとめ===
以上、本実施形態の点灯回路5について説明した。点灯回路5は、矩形波出力回路12と、充電回路14と、駆動回路20を備えている。矩形波出力回路12は、電源電圧Vccが供給された後、コンデンサC1の電圧が上昇して閾値電圧V1となると発振電圧VoscをHレベルからLレベルに変化させ、コンデンサC1の電圧が低下して閾値電圧V1よりも低い閾値電圧V2となると、発振電圧VoscをLレベルからHレベルに変化させる。駆動回路20は、発振回路10(矩形波出力回路12)の発振電圧Voscに基づいて、光源3を間欠的に点灯させる。充電回路14は、電源電圧Vccが矩形波出力回路12に印加されてから所定期間(時刻t0~txの期間Ta)において、コンデンサC1を閾値電圧V2よりも高く、閾値電圧V1よりも低い電圧V3まで充電する。
【0068】
これにより、電源電圧Vccが供給されてからの最初の期間TaのみコンデンサC1を急速に充電できるので、矩形波の均一化(換言すると点灯の期間の均一化)を図ることができる。
【0069】
充電回路14は、電源電圧Vccが印加される抵抗R6と、抵抗R6とコンデンサC1との間に設けられるPMOSトランジスタQ1と、電源電圧Vccが印加されてから所定期間、PMOSトランジスタQ1をオンするスイッチ制御回路40とを含む。
【0070】
これにより、所定期間の間、スイッチ制御回路40がPMOSトランジスタQ1をオンすることで、電源電圧Vccが、抵抗R6、PMOSトランジスタQ1を介してコンデンサC1に印加される。よって、コンデンサC1を急速に充電できる。
【0071】
また、充電回路14は、抵抗R6と、接地との間に設けられ、抵抗R6に直列接続される抵抗R7をさらに含む。
【0072】
これにより、PMOSトランジスタQ1には、抵抗R6と抵抗R7による電源電圧Vccの分圧電圧が印加される。よって、コンデンサC1の充電速度を制御しやすく(急峻になりすぎないように)でき、設計の自由度を高めることができる。
【0073】
また、抵抗R7の抵抗値は、抵抗R6の抵抗値よりも大きい値に設定されている。
【0074】
これにより、PMOSトランジスタQ1がオフのときに、消費される電力の低減を図ることができる。
【0075】
また、期間Taは、発振回路10(矩形波出力回路12)の発振電圧VoscがHレベルとなる期間Tの5%以上25%以下である。
【0076】
これにより、電圧V3を閾値電圧V2よりも高く、閾値電圧V1よりも低くなるように設定しつつ、Hレベルの期間を均一にすることができる。
【0077】
また、本実施形態の車両用灯具1は、上記の点灯回路5と、車両が後退する際に電源電圧Vccを生成する電源回路32を備え、光源3が車両の後部に設けられている。
【0078】
これにより、車両が後退する際に、車両後方の路面に間欠的に光を照射(描画パターンを描画)することができる。
【0079】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0080】
前述の実施形態では、車両用灯具1の光源3は車両の後部に設けられていたがこれには限られない。例えば、車両の前部に設けられてもよい。そして、車両が前進する際に、車両前方の路面に描画パターンを描画してもよい。
【0081】
また、前述の実施形態の点灯回路5は、路面に描画パターンを描画する光源3を間欠的に点灯(点滅)させていたが、これには限られない。例えば、方向指示灯(ターンシグナルランプ)やハザードランプを点滅させる際などにも適用できる。また、車両以外に設けられた光源を点滅させる際にも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 車両用灯具
2 バッテリー
3 光源
5 点灯回路
10 発振回路
12 矩形波出力回路
14 充電回路
20 駆動回路
30 制御IC
32 電源回路
34 コントローラ
40 スイッチ制御回路
R1~R11 抵抗
C1,C2 コンデンサ
D1~D8 発光素子
OP1 オペアンプ
Q1 PMOSトランジスタ
Q2 NPNトランジスタ
SW1 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5