(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132230
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】改札システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240920BHJP
【FI】
G07B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042932
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】筑波 聡
(72)【発明者】
【氏名】中園 ▲琢▼巳
(72)【発明者】
【氏名】合田 晶生
(72)【発明者】
【氏名】村上 真衣子
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA21
3E127CA02
3E127CA37
3E127DA20
3E127DA22
3E127FA16
3E127FA24
(57)【要約】
【課題】携帯端末を近づける操作をすることなく利用者が入場できる改札システムを提供する。
【解決手段】本開示は、入退場ゲートとサーバとを備える改札システムである。入退場ゲートは、扉と、検出エリア内で利用者が所有する携帯端末の位置及びIDを取得する取得部と、利用者の顔画像を取得する撮影部と、扉制御部とを有する。サーバは、IDが顔画像と同一の利用者に属するペアリングIDであるか判定する判定部を有する。扉制御部は、携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれ、かつ、判定部がIDをペアリングIDであると判定した場合に扉を開く。判定部は、ペアリングIDであると判定されたIDについては、携帯端末が検出エリアを通過するまで判定の対象から除外する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退場ゲートと、
前記入退場ゲートと通信を行うように構成されたサーバと、
を備え、
前記入退場ゲートは、
利用者の通過を規制するように構成された扉と、
検出エリア内で、前記利用者が所有する携帯端末の位置及びIDを取得するように構成された取得部と、
前記利用者の顔画像を取得するように構成された撮影部と、
前記ID及び前記顔画像を前記サーバに送信するように構成された通信部と、
前記扉の開閉を行うように構成された扉制御部と、
を有し、
前記サーバは、前記通信部から受信した前記IDが、前記通信部から受信した前記顔画像と同一の利用者に属するペアリングIDであるか判定する判定処理を行うように構成された判定部を有し、
前記扉制御部は、前記携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれ、かつ、前記判定部が前記IDを前記ペアリングIDであると判定した場合に前記扉を開き、
前記判定部は、前記ペアリングIDであると判定された前記IDについては、前記携帯端末が前記検出エリアを通過するまで前記判定処理の対象から除外する、改札システム。
【請求項2】
請求項1に記載の改札システムであって、
前記判定部は、前記IDが入場可能登録されている場合に前記判定処理を行い、前記IDが入場可能登録されていない場合には前記判定処理を行わない、改札システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の改札システムであって、
前記判定部は、前記入退場ゲートから入場可能な利用エリアから退出していない前記利用者に属する顔画像を前記判定処理に用いない、改札システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の改札システムであって、
前記取得部は、近距離無線通信により前記携帯端末を検出した後に、前記近距離無線通信よりも帯域の広い広帯域無線通信を前記携帯端末と行う、改札システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物の搭乗エリア、建物の敷地内等に入場する際に、利用者の携帯端末のIDと顔認証とによって扉の開閉を行う改札システムが公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の改札システムでは、IDを読み取るために携帯端末を読み取り部分にかざす必要がある。これに対し、検出エリア内の携帯端末との通信によってIDを取得することで、利用者が携帯端末を所定の位置に近づける作業が不要となる。
【0005】
しかしながら、このようなシステムでは、一度認証されて入場済みとなったIDが再度検出エリア内で検出された場合、入場済みのIDと判定されて通過が拒否される可能性がある。
【0006】
本開示の一局面は、携帯端末を近づける操作をすることなく利用者が入場できる改札システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、入退場ゲートと、入退場ゲートと通信を行うように構成されたサーバと、を備える改札システムである。入退場ゲートは、利用者の通過を規制するように構成された扉と、検出エリア内で、利用者が所有する携帯端末の位置及びIDを取得するように構成された取得部と、利用者の顔画像を取得するように構成された撮影部と、ID及び顔画像をサーバに送信するように構成された通信部と、扉の開閉を行うように構成された扉制御部とを有する。
【0008】
サーバは、通信部から受信したIDが、通信部から受信した顔画像と同一の利用者に属するペアリングIDであるか判定する判定処理を行うように構成された判定部を有する。扉制御部は、携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれ、かつ、判定部がIDをペアリングIDであると判定した場合に扉を開く。判定部は、ペアリングIDであると判定されたIDについては、携帯端末が検出エリアを通過するまで判定処理の対象から除外する。
【0009】
このような構成によれば、顔画像のマッチング判定が行われたIDが再度判定されることが避けられる。そのため、検出エリア内での携帯端末からのIDの自動取得によって、携帯端末を近づける操作をすることなく、利用者が入退場ゲートを通過することができる。
【0010】
本開示の一態様では、判定部は、IDが入場可能登録されている場合に判定処理を行い、IDが入場可能登録されていない場合には判定処理を行わなくてもよい。このような構成によれば、入場できないIDが判定処理の対象から除外されるため、撮影部が取得した顔画像とデータベースに登録された顔画像とのマッチング処理の負荷を低減することができる。
【0011】
本開示の一態様では、判定部は、入退場ゲートから入場可能な利用エリアから退出していない利用者に属する顔画像を判定処理に用いなくてもよい。このような構成によれば、利用エリアへの入場が想定されない利用者の顔画像が判定処理の対象から除外されるため、マッチング処理の負荷低減が促進される。
【0012】
本開示の一態様では、取得部は、近距離無線通信により携帯端末を検出した後に、近距離無線通信よりも帯域の広い広帯域無線通信を携帯端末と行ってもよい。このような構成によれば、携帯端末の消費電力を抑制しつつ、携帯端末の位置の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態における改札システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の改札システムにおける入退場ゲートの模式図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、判定部によるマッチングIDの判定状況の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1の判定部が実行する処理を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す改札システム1は、複数の入退場ゲート10とサーバ20とを備える。複数の入退場ゲート10及びサーバ20は、それぞれインターネット等のネットワーク100に接続されている。
【0015】
<入退場ゲート>
複数の入退場ゲート10はそれぞれ、利用者の利用エリアA1への入場及び退出を管理する装置である。つまり、利用エリアA1は入退場ゲート10から入場可能なエリアである。
【0016】
利用エリアA1は、例えば、鉄道車両、バス、航空機、船舶等の乗物への搭乗エリアが挙げられる。利用エリアA1が搭乗エリアである場合、複数の入退場ゲート10(つまり改札機)は、離れた地点に配置される。すなわち、利用者は、一般に、入場時に通過した入退場ゲート10とは異なる入退場ゲート10から退出する。
【0017】
また、利用エリアA1は、商業施設、管理区域等の入場規制エリアであってもよい。利用エリアA1が入場規制エリアである場合、入場者は入場した入退場ゲート10と同じ入退場ゲート10、又は入場した入退場ゲート10とは異なる入退場ゲート10から退出する。
【0018】
なお、
図1では、2つの入退場ゲート10が図示されているが、改札システム1が備える入退場ゲート10の数は2に限定されず、3以上であってもよい。
【0019】
入退場ゲート10は、地上や施設内に設置される。
図2に示すように、入退場ゲート10は、扉11と、取得部12と、撮影部13と、情報処理装置14とを有する。
【0020】
<扉>
扉11は、利用者の通過を規制するように構成されている。具体的には、扉11は、開状態(つまり、利用者の通行を阻害しない状態)と、閉状態(つまり、利用者の通行路を塞ぐ状態)とに変位する。
【0021】
扉11は、利用エリアA1へ入場可能な利用者が通過する場合は開状態となり、入場不可能な利用者が通過しようとした場合は閉状態となる。扉11の状態は、情報処理装置14によって制御される。
【0022】
なお、
図2では、入退場ゲート10の前後に1つずつ板状の扉11が設けられているが、入退場ゲート10は、1つの扉11を有してもよい。また、扉11は、バーであってもよいし、上下に移動することで開閉してもよい。
【0023】
<取得部>
取得部12は、検出エリアA2内で、利用者が所有する携帯端末の位置及びIDを取得するように構成されている。携帯端末としては、例えばスマートフォンが挙げられる。
【0024】
取得部12は、少なくとも検出エリアA2内で、携帯端末との近距離無線通信及び広帯域無線通信が可能なアンテナである。検出エリアA2は、例えば、入退場ゲート10が構成する通路と、この通路の手前の領域とを含む。また、検出エリアA2は、利用者が保持する携帯端末が存在する高さ(例えば地面から高さ2m程度まで)を少なくともカバーする。
【0025】
広帯域無線通信は、近距離無線通信よりも帯域の広い通信である。広帯域無線通信は、近距離無線通信よりも通信速度及び位置検出精度が高い。一方、広帯域無線通信は、近距離無線通信よりも消費電力が大きい。
【0026】
近距離無線通信としては、例えばブルートゥース(登録商標)が使用される。広帯域無線通信としては、例えばUWB(ウルトラワイドバンド)が使用される。UWBの帯域は、3.1GHz以上10.6GHz以下である。
【0027】
取得部12は、近距離無線通信により携帯端末を検出した後に、広帯域無線通信をこの携帯端末と行う。具体的には、取得部12は、携帯端末との通信を確立した後、携帯端末に広帯域無線通信機能をオンにする指令を送信する。
【0028】
携帯端末との広帯域無線通信による位置の検出後、取得部12は、携帯端末に広帯域無線通信機能をオフにする指令を送信する。これにより、利用者が携帯端末を操作することなく、携帯端末の通信機能を切り替えることができる。
【0029】
携帯端末のIDは、例えば、予め利用者がサーバ20に自身の携帯端末を登録することで付与される。また、取得部12は、携帯端末のIDとして、携帯端末固有の識別番号(例えばMACアドレスなど)を取得してもよい。
【0030】
<撮影部>
撮影部13は、入退場ゲート10を通過する利用者の顔画像を取得するように構成されたカメラである。
【0031】
撮影部13は、検出エリアA2内の画像を取得し、この画像から利用者の顔を認識して顔画像を取得する。画像における顔の認識は、例えば、AI(人工知能)によって行われる。
【0032】
<情報処理装置>
情報処理装置14は、通信部141と、扉制御部142とを有する。情報処理装置14は、例えば、プロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。
【0033】
<通信部>
通信部141は、取得部12が取得した携帯端末のIDと、撮影部13が取得した顔画像とを紐づけてサーバ20に送信するように構成されている。
【0034】
<扉制御部>
扉制御部142は、扉11の開閉を行うように構成されている。扉制御部142は、取得部12が取得した携帯端末の位置と、サーバ20から送信されるID判定結果とに基づいて、扉11の開閉を行う。
【0035】
具体的には、扉制御部142は、取得部12が取得した携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれ、かつ、サーバ20の判定部21が、IDを顔画像と同一の利用者に属するペアリングID(つまり認証済ID)であると判定した場合に扉11を開く。
【0036】
一方、扉制御部142は、携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれないか、又は、携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれても、ID及び顔画像が同一の利用者に属しない(つまり、ペアリングIDではない)と判定した場合には、扉11を閉じる。
【0037】
改札利用エリアは、入退場ゲート10を利用する可能性が高い利用者の携帯端末が存在すると想定されるエリアである。改札利用エリアは、検出エリアA2と同じであってもよいし、検出エリアA2の一部であってもよい。
【0038】
<サーバ>
図1に示すサーバ20は、複数の入退場ゲート10と通信を行うように構成されている。サーバ20は、例えばプロセッサと、記憶媒体と、入出力装置とを備える1又は複数の情報処理装置で構成される。
【0039】
サーバ20は、判定部21と、データベース22とを備える。判定部21は、判定プログラムによって後述する処理を実行する。データベース22には、判定プログラムが参照するIDと顔画像との対応テーブル(つまり利用者登録情報)が記憶されている。
【0040】
判定部21は、入退場ゲート10の通信部141から受信したIDが、通信部141から同時に受信した(つまり受信したIDと紐づけられた)顔画像と同一の利用者に属するペアリングIDであるか判定する判定処理を行うように構成されている。
【0041】
具体的には、まず、判定部21は、受信したIDに基づいて、データベース22に登録されている利用者の顔画像の候補を検出する。次に、判定部21は、IDに基づいて検出した顔画像と、受信した顔画像とが一致するかマッチングする。
【0042】
顔画像についての判定は、例えば、画像の類似判定を行うAIや統計学的手法に基づいて生成された判定式によって行われる。判定部21は、登録されている顔画像と、入退場ゲート10から取得した顔画像とが一定の確からしさで一致していれば、受信したIDが受信した顔画像とデータベース22上でペアリングされている「ペアリングID」であると判定する。
【0043】
判定部21は、IDが入場可能登録されている場合のみに判定処理を行い、IDが入場可能登録されていない場合には判定処理を行わない。入場可能登録されているIDとは、入場用の入退場ゲート10を通過する前に予めサーバ20に対し、入場予約(例えば、チケットの購入、座席予約など)を行った利用者の携帯端末のIDである。
【0044】
したがって、判定部21は、入場予約又は利用登録(つまりIDのデータベース22への登録)をしていないIDを検出した場合は、顔画像の判定は行わない。そのため、入場可能登録されていないIDについては、ペアリングIDであるとは判定されない。また、判定部21は、入退場ゲート10を通過した(つまり判定処理を一度行った)IDの入場可能登録を解除する。
【0045】
さらに、判定部21は、ペアリングIDであると判定されたIDについては、このIDを有する携帯端末が検出エリアA2を通過するまで判定処理の対象から除外する。つまり、ペアリングIDを有すると判定された携帯端末のIDが同一の入退場ゲート10から再度送信された場合は、判定部21は判定処理を省略し、この携帯端末が検出エリアA2から出るまで、ペアリングIDであることを維持する。
【0046】
したがって、判定処理によって入場可能登録が解除されたIDが「ペアリングIDではない」と判定されて、入場可能登録されたIDの利用者が入退場ゲート10を通過している途中で扉11が閉じてしまうことが防がれる。
【0047】
また、判定部21は、利用エリアA1から退出していない(つまり利用エリアA1でサービスを利用中の)未退出利用者に属する顔画像を判定処理に用いない。例えば、鉄道車両に乗った状態(つまりホームから退出していない状態)の利用者が未退出利用者に相当する。
【0048】
具体的には、判定部21は、入退場ゲート10から利用エリアA1に入場した利用者のIDに未退出ラベルを付与すると共に、未退出ラベルが付与されたIDを顔画像のマッチング候補から除外する。判定部21は、利用エリアA1から利用者が退出すると、この利用者のIDから未退出ラベルを除去する。
【0049】
なお、入退場ゲート10の通信部141は、取得部12が取得した携帯端末の位置が改札利用エリアに含まれない場合は、この携帯端末のIDをサーバ20に送信しなくてもよい。その結果、判定部21はこの携帯端末のIDについては判定処理を行わない。
【0050】
<判定例>
図3Aに示すように、利用者Uが2つの携帯端末(つまり第1携帯端末M1及び第2携帯端末M2)を所有した状態で入退場ゲート10を通る場合、取得部12は、第1携帯端末M1及び第2携帯端末M2それぞれの位置及びIDを取得する。
【0051】
利用者Uは、第2携帯端末M2のみで入場予約を行っている。そのため、第2携帯端末M2のIDは、入場可能登録されているが、第1携帯端末M1のIDは、入場可能登録されていない。したがって、判定部21は、第2携帯端末M2のIDについてのみ、撮影部13で撮影された顔画像PCと登録された顔画像PRとのマッチングを行う。
【0052】
判定部21は、撮影された顔画像PCと登録された顔画像PRとの一致により、扉制御部142に第2携帯端末M2のIDがペアリングIDであることを通知する。その結果、扉11が開いて、利用者Uが利用エリアA1に入場できる。
【0053】
また、
図3Bに示すように、2人の利用者(つまり第1利用者U1及び第2利用者U2)が近接して入退場ゲート10を通る場合、取得部12は、第1利用者U1が所有する第1携帯端末M1、及び第2利用者U2が所有する第2携帯端末M2それぞれの位置及びIDを取得する。
【0054】
第2利用者U2よりも先に入退場ゲート10を通過しようとしている第1利用者U1は、入場予約を行っていない。一方で、第2利用者U2は、第2携帯端末M2で入場予約を行っている。そのため、第2携帯端末M2のIDは、入場可能登録されているが、第1携帯端末M1のIDは、入場可能登録されていない。したがって、判定部21は、第2携帯端末M2のIDについてのみ、撮影部13で撮影された顔画像PCと登録された顔画像PRとのマッチングを行う。
【0055】
このケースでは、第2携帯端末M2のIDに対する登録された顔画像PRが第2利用者U2の顔画像であるのに対し、撮影された顔画像PCは、第1利用者U1の顔画像となり、これらの顔画像が一致しない。
【0056】
そのため、判定部21は、扉制御部142に第1携帯端末M1及び第2携帯端末M2のいずれもがペアリングIDでないことを通知する。その結果、扉11が閉じて、第1利用者U1は利用エリアA1に入場できない。
【0057】
その後、第1利用者U1が立ち退いて、第2利用者U2が入退場ゲート10の通過を図ると、判定部21によって第2携帯端末M2のIDがペアリングIDであると判定されるため、第2利用者U2が利用エリアA1に入場することができる。
【0058】
[1-2.処理]
以下、
図4のフロー図を参照しつつ、サーバ20の判定部21が実行する処理の一例について説明する。
【0059】
本処理では、判定部21は、最初に、取得部12が取得したIDと、撮影部13が取得した顔画像とを受信する(ステップS110)。ID及び顔画像の受信後、判定部21は、IDがすでに判定済みのペアリングIDであるか否か判定する(ステップS120)。
【0060】
IDがペアリングIDである場合(S120:YES)、判定部21は、処理を終了する。一方、IDがペアリングIDでない場合(S120:NO)、判定部21は、IDが入場可能登録されているか否か判定する(ステップS130)。
【0061】
IDが入場可能登録されていない場合(S130:NO)、判定部21は、処理を終了する。一方、IDが入場可能登録されている場合(S130:YES)、判定部21は、データベース22を参照して、取得したIDと同一の利用者の顔画像を検索する(ステップS140)。
【0062】
顔画像の検索後、判定部21は、受信した顔画像と検索した顔画像とが一致するか否か判定する(ステップS150)。つまり、判定部21は、IDがペアリングIDであるか判定する。
【0063】
顔画像が一致しない場合(S150:NO)、判定部21は、処理を終了する。一方、顔画像が一致する場合(S150:YES)、判定部21は、IDがペアリングIDであることを入退場ゲート10に通知する(ステップS160)。
【0064】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)判定部21がペアリングIDを判定処理の対象から除外することで、顔画像のマッチング判定が行われたIDが再度判定されることが避けられる。そのため、検出エリア内での携帯端末からのIDの自動取得によって、携帯端末を近づける操作をすることなく、利用者が入退場ゲート10を通過することができる。
【0065】
(1b)判定部21が入場可能登録されているIDに対してのみ判定処理を行うことで、入場できないIDが判定処理の対象から除外される。そのため、撮影部13が取得した顔画像とデータベース22に登録された顔画像とのマッチング処理の負荷を低減することができる。
【0066】
(1c)判定部21が利用エリアから退出していない利用者に属する顔画像を判定対象から除外することで、利用エリアへの入場が想定されない利用者の顔画像が判定処理の対象から除外される。そのため、マッチング処理の負荷低減が促進される。
【0067】
(1d)取得部12が近距離無線通信により携帯端末を検出した後に広帯域無線通信を携帯端末と行うことで、携帯端末の消費電力を抑制しつつ、携帯端末の位置の検出精度を高めることができる。
【0068】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0069】
(2a)上記実施形態の改札システムにおいて、取得部は、必ずしも近距離無線通信と広帯域無線通信とを行わなくてもよい。例えば、取得部は、近距離無線通信及び広帯域無線通信のいずれか一方のみを行ってもよい。
【0070】
(2b)上記実施形態の改札システムにおいて、改札システムは、利用エリアへの入場時に利用者が通過する入場専用の入退場ゲートのみ、又は利用エリアからの退出時に利用者が通過する退出専用の入退場ゲートのみを備えてもよい。また、改札システムは、1つの入退場ゲートのみを備えてもよい。
【0071】
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0072】
1…改札システム、10…入退場ゲート、11…扉、12…取得部、13…撮影部、
14…情報処理装置、20…サーバ、21…判定部、22…データベース、
100…ネットワーク、141…通信部、142…扉制御部。