(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132238
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240920BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042946
(22)【出願日】2023-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 匡史
(72)【発明者】
【氏名】中西 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】三上 秀夫
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA01
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD03
5G503GD06
5H030AS11
5H030FF41
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】バッテリの劣化度合いの予測精度の向上を図る。
【解決手段】情報処理装置10は、制御部11とバッテリ12aを有する。制御部11は、バッテリ12aの充電中において、バッテリ12aの満充電容量が定格容量に対して所定値v1以上ある条件を満たし、かつバッテリ12aの残量変化が連続な増加変化から不連続な増加変化に移行して残量が所定値v2に達する第1の状態を検出した場合、バッテリ12aが劣化状態にあると判定する。または、制御部11は、バッテリ12aの放電中において、該条件を満たし、かつバッテリ12aの残量変化が連続な減少変化から不連続な減少変化に移行して残量が所定値v3に達する第2の状態を検出した場合、バッテリ12aが劣化状態にあると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリの充電中において、前記バッテリの満充電容量が定格容量に対して第1の所定値以上ある条件を満たし、かつ前記バッテリの残量変化が連続な増加変化から不連続な増加変化に移行して前記バッテリの残量が第2の所定値に達する第1の状態を検出した場合、または前記バッテリの放電中において、前記条件を満たし、かつ前記バッテリの残量変化が連続な減少変化から不連続な減少変化に移行して前記残量が第3の所定値に達する第2の状態を検出した場合、前記バッテリが劣化状態にあると判定する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の状態の検出回数が閾値を超えた場合、または前記第2の状態の検出回数が前記閾値を超えた場合、前記バッテリの交換時期であることを示すアラーム通知を行う、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記アラーム通知として、検出した前記残量の第1の値を減少させた第2の値を画面に表示する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記バッテリの充電中において、前記条件を満たし、かつ前記残量が前記第2の所定値に達した際に前記第2の所定値に達する直前の前記残量が前記第2の所定値よりも低い第4の所定値未満であることを判定した場合に前記第1の状態を検出し、
前記バッテリの放電中において、前記条件を満たし、かつ前記残量が前記第3の所定値に達した際に前記第3の所定値に達する直前の前記残量が前記第3の所定値よりも高い第5の所定値以上であることを判定した場合に前記第2の状態を検出する、請求項1記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなど各種の産業製品に搭載されているバッテリは、使用するに伴い劣化して、実質的に満充電できる容量が次第に減少する。このため、残量予測の精度向上のために、バッテリの満充電容量の学習が行われる。
また、バッテリの劣化度合いを定格容量に対する満充電容量の割合で予測する場合、劣化度合い予測の精度向上のためにも、バッテリの満充電容量の学習が行われる。
【0003】
満充電容量の学習は、例えば、バッテリの満充電状態からバッテリの電圧・電流・温度から決定される所定の状態まで放電されたときを条件にして行われる。または、例えば、バッテリを所定の割合の放電状態から100%まで満充電しさらに放電状態になったときの充放電の回数を1サイクルとした際に、そのサイクルカウントがカウントアップされたときを条件にして行われる。
【0004】
関連技術としては、例えば、満充電容量の学習を失敗した回数が所定値を超えた場合、充電開始時刻から所定の待機時間を経過したときに外部充電を開始して充電終了時刻が経過した後に満充電容量を学習する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
満充電容量の学習は、上記のような条件が満たされた場合に行われるが、その条件から外れると満充電容量の学習は行われないことになる。条件から外れる使い方としては、例えば、10%まで放電された場合に満充電容量の学習が行われるとした場合に、50%程度の放電で充電を行うような使い方は条件から外れることになる。または、バッテリを100%の満充電まで充電せずに、例えば、90%程度の充電で使用するような使い方も条件から外れることになる。
【0007】
このような、満充電容量の学習が行われる条件から外れた使い方が続けられると、満充電容量の学習が行われない状態が続くことになる。このような状況では満充電容量が精度よく検出することが困難になるため、定格容量に対する満充電容量の割合でバッテリの劣化度合いを判断していると、バッテリの劣化度合いの予測精度が低下してしまうという問題がある。
1つの側面では、本発明は、バッテリの劣化度合いの予測精度の向上を図った情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、情報処理装置が提供される。情報処理装置は、バッテリと、バッテリの充電中において、バッテリの満充電容量が定格容量に対して第1の所定値以上ある条件を満たし、かつバッテリの残量変化が連続な増加変化から不連続な増加変化に移行してバッテリの残量が第2の所定値に達する第1の状態を検出した場合、またはバッテリの放電中において、条件を満たし、かつバッテリの残量変化が連続な減少変化から不連続な減少変化に移行して残量が第3の所定値に達する第2の状態を検出した場合、バッテリが劣化状態にあると判定する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
1側面によれば、バッテリの劣化度合いの予測精度の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】情報処理装置の一例を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】バッテリ状態の画面表示の一例を示す図である。
【
図4】情報処理装置のハードウェアの一例を示す図である。
【
図5】充電中に発生した残量飛びの一例を説明するための図である。
【
図6】放電中に発生した残量飛びの一例を説明するための図である。
【
図7】充電時における劣化度合いの判定動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】放電時における劣化度合いの判定動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は情報処理装置の一例を説明するための図である。情報処理装置10は、制御部11とバッテリ12aを有する。バッテリ12aは、例えば、充電して繰り返し使える二次電池である。制御部11は、バッテリ12aの充電中または放電中において、バッテリ12aの劣化状態の判定を行う。なお、制御部11の機能は、情報処理装置10が備える図示しないプロセッサが、所定のプログラムを実行することによって実現することができる。
【0012】
ここで、制御部11は、バッテリ12aの充電中には、以下のステップS1a~S3a、S4に示す動作を行って、バッテリ12aの劣化状態の判定処理を行う。
〔ステップS1a〕制御部11は、バッテリ12aの充電を行う。
〔ステップS2a〕制御部11は、バッテリ12aの充電中において、バッテリ12aの満充電容量が定格容量に対して所定値v1(第1の所定値)以上である条件を満たすか否かの判定を行う。条件を満たしている場合、満充電容量の学習が行われていないと判定する。
【0013】
〔ステップS3a〕制御部11は、バッテリ12aの残量(残容量)の変化が連続な増加変化から不連続な増加変化に移行して、残量が所定値v2(第2の所定値)に達する第1の状態の検出を行う。
〔ステップS4〕制御部11は、第1の状態を検出した場合、バッテリ12aが劣化状態にあると判定する。
【0014】
さらに、制御部11は、バッテリ12aの放電中には、以下のステップS1b~S3b、S4に示す動作を行って、バッテリ12aの劣化状態の判定処理を行う。
〔ステップS1b〕制御部11は、バッテリ12aの放電を行う。
〔ステップS2b〕制御部11は、バッテリ12aの放電中において、バッテリ12aの満充電容量が定格容量に対して所定値v1(第1の所定値)以上である条件を満たすか否かの判定を行い、条件を満たしていることを検出する。
【0015】
〔ステップS3b〕制御部11は、バッテリ12aの残量変化が連続な減少変化から不連続な減少変化に移行して、残量が所定値v3(第3の所定値)に達する第2の状態の検出を行う。
〔ステップS4〕制御部11は、第2の状態を検出した場合、バッテリ12aが劣化状態にあると判定する。
【0016】
このように、情報処理装置10では、上記のような第1の状態または第2の状態を検出した場合に、バッテリ12aが劣化状態にあると判定する。これにより、満充電容量の学習が行われない状態が続いた場合においても、バッテリ12aの劣化度合いの予測精度の向上を図ることが可能になる。
【0017】
<機能ブロック>
図2は情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。情報処理装置10は、制御部11、バッテリパック12、充電器(Charger)13および表示部14を備える。バッテリパック12は、単品または複数のバッテリ12aを含み、バッテリ12aの充放電を行うための基板や接続部品等がケースで覆われた構成を有する。
【0018】
制御部11は、バッテリ制御部11aおよび運用制御部11bを含む。バッテリ制御部11aは、バッテリパック12から充電に関するバッテリ充電情報を取得して、充電器13を制御してバッテリ12aの充電を行う。
【0019】
例えば、バッテリ制御部11aは、バッテリ充電情報を通じてバッテリ12aの残量を受信した場合、充電器13に対して充電指示を送信する。充電器13は、充電指示を受信すると、AC(Alternating Current)アダプタ3から供給される電源電圧にもとづいてバッテリ12aの充電を行う。
【0020】
また、バッテリ制御部11aは、バッテリ充電情報を通じてバッテリ12aが満充電容量に達していることを検出した場合、充電器13に対して充電停止指示を送信する。充電器13は、充電停止指示にもとづいて、バッテリ12aへの充電を停止する。
【0021】
一方、バッテリ制御部11aは、バッテリの残量、定格容量および満充電容量等の各パラメータのデータ情報を運用制御部11bに送信する。運用制御部11bは、そのデータ情報を受信すると、バッテリ12aの状態を画面に表示させるためのバッテリ状態情報を生成して表示部14に送信する。表示部14は、バッテリ状態情報を画面上に表示するための表示制御を行う。
【0022】
<画面表示例>
図3はバッテリ状態の画面表示の一例を示す図である。情報処理装置10の画面g1に表示されるバッテリ状態情報として、バッテリの消耗状態が表示されている。定格容量に対する満充電容量の割合がバッテリ12aの劣化度合いと判定され、この劣化度合いがバッテリ12aの消耗状態として画面g1上に表示される。
また、
図3の例では、バッテリ12aの消耗状態が51%から100%の範囲内にある場合、画面g1では、キャプションとして「良好な状態です(100~51%)」と表示されている。
【0023】
<ハードウェア構成>
図4は情報処理装置のハードウェアの一例を示す図である。情報処理装置10は、制御部11の機能を実現するプロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現してもよい。
【0024】
メモリ102は、情報処理装置10の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)などの揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0025】
バス109に接続されている周辺機器としては、バッテリパック12、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104および入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108がある。
【0026】
バッテリパック12は、プロセッサ101からの指示にもとづいて充電され、充電された電源電圧を装置内の各構成要素に供給する。ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、情報処理装置10の補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0027】
GPU104は、画像処理を行う演算装置であり、グラフィックコントローラとも呼ばれる。GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0028】
入力インタフェース105には、キーボード22とマウス23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0029】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取り、または光ディスク24へのデータの書き込みを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(Re Writable)などがある。
【0030】
機器接続インタフェース107は、情報処理装置10に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
【0031】
ネットワークインタフェース108は、ネットワークN1に接続されている。ネットワークインタフェース108は、ネットワークN1を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。ネットワークインタフェース108は、例えばスイッチやルータなどの有線通信装置にケーブルで接続される有線通信インタフェースである。またネットワークインタフェース108は、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に電波によって通信接続される無線通信インタフェースであってもよい。
【0032】
情報処理装置10は、以上のようなハードウェアによって、本発明の処理機能を実現することができる。情報処理装置10は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。情報処理装置10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0033】
例えば、情報処理装置10に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。また情報処理装置10に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27などの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0034】
<残量の補正>
バッテリ制御部11aでは、バッテリ12aの実際の残量と、残量表示の値とが乖離することを防ぐため、残量の検出を行って、検出した残量と現時点の残量表示との補正を行っている。
【0035】
例えば、バッテリ制御部11aは、バッテリ12aの放電時において、バッテリ12aの放電電圧および放電電流からバッテリ12aの実際の残量が5%であることを検出し、そのときの残量表示が7%であったような場合、残量表示を5%に補正して表示する。または、例えば、制御部バッテリ11aでは、充電完了や過充電を検出し、そのときの残量表示が98%であったような場合、残量表示を100%に補正して表示する。
【0036】
<残量の急峻変化>
満充電容量の学習が行われずに劣化度合いが進行したバッテリ12aでは、残量の急峻な変化(急峻な増加変化・急峻な減少変化)が生じることがある。なお、以降の説明では、残量の急峻変化を残量飛びと呼ぶ場合がある。
【0037】
図5は充電中に発生した残量飛びの一例を説明するための図である。横軸は時間、縦軸はバッテリ12aの残量(%)である。バッテリ12aの充電中において、時間帯t1では、残量が0%から徐々に充電して増加している連続な増加変化であるが、時刻t11では、不連続な増加変化になっており、残量が所定値v4(第4の所定値)から所定値v2(例えば、100%)まで急峻に増加する残量飛びが発生している。
このように、満充電容量の学習が行われずに劣化度合いが進行したバッテリ12aでは、充電中に残量が所定値v2まで急峻に増加する残量飛びの現象が生じる場合がある。
【0038】
図6は放電中に発生した残量飛びの一例を説明するための図である。横軸は時間、縦軸はバッテリ12aの残量(%)である。時間帯t2では、残量が100%から徐々に放電して減少している連続な減少変化であるが、時刻t12では、不連続な減少変化になっており、残量が所定値v5(第5の所定値)から所定値v3(例えば、5%)まで急峻に減少する残量飛びが発生している。
このように、満充電容量の学習が行われずに劣化度合いが進行したバッテリ12aでは、放電中に残量が所定値v3まで急峻に減少する残量飛びの現象が生じる場合がある。
【0039】
<劣化度合いの判定>
図7は充電時における劣化度合いの判定動作の一例を示すフローチャートである。
〔ステップS11〕制御部11は、バッテリ12aの満充電容量が定格容量の所定値v1(例えば、70%)以上あるか否かを判定する。所定値v1以上ある場合は満充電容量の学習が行われておらず劣化傾向にある可能性が高いと認識してステップS12の処理に進む。また、満充電容量が所定値v1以上ない場合は満充電容量の学習が行われて劣化傾向にある可能性は低いと認識して処理を終了する。
【0040】
なお、バッテリ12aは、充放電を繰り返すにしたがって経時的に満充電できる満充電容量が減少する。したがって、満充電容量の学習ができている場合、満充電容量の減少が学習されていることになるので、例えば、満充電容量が定格容量の70%未満であれば、満充電容量の学習はできていると判断する。また、満充電容量の学習ができていない場合、満充電容量の減少が学習されていないので、例えば、満充電容量が定格容量の70%以上あれば満充電容量の学習ができていない可能性があると判断する。
【0041】
〔ステップS12〕制御部11は、バッテリ12aの残量が所定値v2(例えば、100%)に達しているか否かを判定する。残量が所定値v2に達している場合はステップS13の処理に進み、所定値v2に達していない場合は処理を終了する。
【0042】
〔ステップS13〕制御部11は、残量が所定値v2に達する前の直前の残量が所定値v4(例えば、70%)未満であるか否かを判定する。所定値v4未満の場合は残量の不連続な増加変化である残量飛びが発生している可能性が高いと認識してステップS14の処理に進む。所定値v4以上の場合は残量飛びが発生していないと認識して処理を終了する。
【0043】
〔ステップS14〕制御部11は、残量飛びの発生をカウントする(残量飛び発生カウントをインクリメントする)。なお、ステップS14において残量飛びの発生をカウントすることは、
図1で上述した第1の状態の検出回数をカウントすることと同じである。
【0044】
〔ステップS15〕制御部11は、ステップS11からステップS13の処理を定期的に繰り返した場合、残量飛び発生カウントの値が閾値を超えるか否かを判定する。閾値を超える場合はステップS16の処理に進み、超えない場合は処理を終了する。
【0045】
〔ステップS16〕制御部11は、残量飛びの発生カウント数が閾値を超えた場合、バッテリ12aの交換時期であることを示すアラーム通知を行う。アラーム通知としては、例えば、実際の残量(検出した残量の第1の値)よりも減少させた残量(第2の値)を画面に表示するなどを行う(満充電容量を定格容量の20%で上書き表示するなど)。
【0046】
図8は放電時における劣化度合いの判定動作の一例を示すフローチャートである。
〔ステップS21〕制御部11は、バッテリ12aの満充電容量が定格容量の所定値v1(例えば、70%)以上あるか否かを判定する。所定値v1以上ある場合は満充電容量の学習が行われておらず劣化傾向にある可能性が高いと認識してステップS22の処理に進む。また、満充電容量が所定値v1以上ない場合は満充電容量の学習が行われて劣化傾向にある可能性は低いと認識して処理を終了する。
【0047】
〔ステップS22〕制御部11は、バッテリ12aの残量が所定値v3(例えば、5%)に達しているか否かを判定する。残量が所定値v3に達している場合はステップS23の処理に進み、所定値v3に達していない場合は処理を終了する。
【0048】
〔ステップS23〕制御部11は、残量が所定値v3に達する前の直前の残量が所定値v5(例えば、50%)以上であるか否かを判定する。所定値v5以上の場合は残量の不連続な減少変化の残量飛びが発生している可能性が高いと認識してステップS24の処理に進む。所定値v5未満の場合は残量飛びが発生していないと認識して処理を終了する。
【0049】
〔ステップS24〕制御部11は、残量飛びの発生をカウントする(残量飛び発生カウントをインクリメントする)。なお、ステップS24において残量飛びの発生をカウントすることは、
図1で上述した第2の状態の検出回数をカウントすることと同じである。
【0050】
〔ステップS25〕制御部11は、ステップS21からステップS23の処理を定期的に繰り返した場合、残量飛び発生カウントの値が閾値を超えたか否かを判定する。閾値を超えた場合はステップS26の処理に進み、超えない場合は処理を終了する。
【0051】
〔ステップS26〕制御部11は、残量飛びの発生カウント数が閾値を超えた場合、バッテリ12aの交換時期であることを示すアラーム通知を行う。アラーム通知としては、例えば、実際の残量(検出した残量の第1の値)よりも減少させた残量(第2の値)を画面に表示するなどを行う(満充電容量を定格容量の20%で上書き表示するなど)。
【0052】
このように、情報処理装置10の制御部11は、バッテリ12aの残量変化の特性を利用して、満充電容量が学習されないまま劣化が進んだバッテリ12aを検出する。この場合、制御部11は、満充電容量が定格容量の所定値v1未満(例えば、70%未満)になっている場合は、満充電容量の学習ができていると判断し、満充電容量が所定値v1以上になっている場合は、満充電容量の学習ができていないと判断する。
【0053】
一方、満充電容量の学習ができずに劣化したバッテリ12aは、充電時には、残量が所定値v2(例えば、100%)に飛ぶ現象が発生する場合があるので、所定値v4から所定値v2に飛ぶ(例えば、70%未満から100%に飛ぶ)バッテリ12aは劣化状態にあると判断する。
【0054】
または、満充電容量の学習ができずに劣化したバッテリ12aは、放電時には、残量が所定値v3(例えば、5%)に飛ぶ現象が発生する場合があるので、所定値v5から所定値v3に飛ぶ(例えば、50%以上から5%に飛ぶ)バッテリ12aは劣化状態にあると判断する。
【0055】
そして、制御部11は、残量飛びが発生する回数をカウントし、カウント値が閾値を超えて残量飛びが発生するバッテリ12aは劣化度合いが進行している(異常である)ものと判断して、アラーム通知を行う。アラーム通知としては、例えば、満充電容量が減っているように見せる画面表示を行うことで、ユーザに対してバッテリ12aの交換を促す。
【0056】
ここで、通常、バッテリ12aの残量の検出は行われているが、満充電容量の学習が行われずに満充電容量が正確に検出できなかったバッテリ12aでは、実際には劣化度合いが進行しているのに画面表示では十分な容量があるような表示がなされてしまう可能性がある。
【0057】
これに対し、本発明の情報処理装置10では、上記のように、満充電容量が学習されていないと見做されるバッテリ12aに対しては、残量飛びの発生の現象を検出することで、バッテリ12aが劣化状態にあると判定する。
【0058】
これにより、バッテリの劣化度合いの予測精度の向上を図ることができる。また、残量飛びの発生回数が閾値を超えるバッテリが使用されている場合には、アラーム通知が行われることにより、バッテリの交換時期をユーザに適切に通知することが可能になる。
【0059】
上記で説明した本発明の情報処理装置の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。この場合、情報処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0060】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶部、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶部には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD-ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0061】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶部に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0062】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0063】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 情報処理装置
11 制御部
12a バッテリ
v1 第1の所定値
v2 第2の所定値
v3 第3の所定値