IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特開2024-132240電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
<>
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図1
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図2
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図3
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図4
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図5
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図6
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図7
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図8
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図9
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図10
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図11
  • 特開-電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132240
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20240920BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20240920BHJP
【FI】
G06F15/02 315G
G06F3/04845
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042948
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 沙里
【テーマコード(参考)】
5B019
5E555
【Fターム(参考)】
5B019HD02
5B019HD06
5B019HD09
5B019HE20
5E555AA22
5E555BA07
5E555BB07
5E555BC08
5E555DB56
5E555DC35
5E555DC45
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】表示画面に複数のグラフを描画する際に各々のグラフの視認性を向上させることを可能にする。
【解決手段】電子機器10のプロセッサ21は、電卓制御プログラム221に従って、第1のグラフ関数式に対応する第1のグラフを第1の表示態様で、ディスプレイ12のグラフ画面に表示させ、また、この第1のグラフが表示されたグラフ画面に、この第1のグラフ関数式とは異なる第2のグラフ関数式に対応する第2のグラフを表示するときの表示態様を仮設定する。そして、プロセッサ21は、第1のグラフの端部の座標値と第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、第1のグラフの第1の表示態様と第2のグラフに仮設定された表示態様とが一致する場合に、この仮設定された第2のグラフの表示態様を変更する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の関数に対応する第1のグラフを第1の表示態様で表示画面に表示する表示手段と、
前記第1のグラフが表示された前記表示画面に、前記第1の関数とは異なる第2の関数に対応する第2のグラフを表示するときの表示態様を仮設定する仮設定手段と、
前記第1のグラフの端部の座標値と前記第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、前記第1のグラフの前記第1の表示態様と前記第2のグラフに仮設定された前記表示態様とが一致する場合に、前記仮設定手段により仮設定された前記第2のグラフの前記表示態様を変更する変更手段と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
前記変更手段により変更された後の前記表示態様で、前記第2のグラフを前記表示画面に表示する表示制御手段を更に備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2のグラフの前記表示態様の変更は、表示色の変更と線種の変更との少なくとも一方である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1のグラフと前記第2のグラフとをそれぞれ作成するための作成手段を更に備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示画面は、第1座標軸と、前記第1座標軸と直交する第2座標軸と、からなる座標系が設定されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記グラフに端部が有るか否かを判定する手段と、
前記端部の座標値を記憶する手段と、
を更に備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記変更手段は、前記第1のグラフの端部の座標値と前記第2のグラフの端部の座標値とが一致するか否かの判定を、前記第1のグラフの一端側の座標値と前記第2のグラフにおける前記第1のグラフの前記一端側の座標値とを比較することにより行う、請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
関数の内容を表示する画面における内容が、前記変更手段により変更された表示態様に応じて変わる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
電子機器が、
第1の関数に対応する第1のグラフを第1の表示態様で表示画面に表示させ、
前記第1のグラフが表示された前記表示画面に、前記第1の関数とは異なる第2の関数に対応する第2のグラフを表示するときの表示態様を仮設定し、
前記第1のグラフの端部の座標値と前記第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、前記第1のグラフの前記第1の表示態様と前記第2のグラフに仮設定された前記表示態様とが一致する場合に、前記仮設定された前記第2のグラフの前記表示態様を変更する、
処理を実行するようにした電子機器の制御方法。
【請求項10】
電子機器の制御部が、
第1の関数に対応する第1のグラフを第1の表示態様で表示画面に表示させ、
前記第1のグラフが表示された前記表示画面に、前記第1の関数とは異なる第2の関数に対応する第2のグラフを表示するときの表示態様を仮設定し、
前記第1のグラフの端部の座標値と前記第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、前記第1のグラフの前記第1の表示態様と前記第2のグラフに仮設定された前記表示態様とが一致する場合に、前記仮設定された前記第2のグラフの前記表示態様を変更する、
処理を実行するように機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、グラフ描画機能を備えた関数電卓と称される電子機器が数学の学習に利用されている(例えば、特許文献を参照)。このような電子機器では、例えば5色のパターンで20個のグラフが描画できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-210598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電子機器では、色数が限られているため、その色数以上のグラフを描画する際には、同じ色で複数のグラフを描画することとなる。
【0005】
このように同色でグラフを描画した場合、それらのグラフの定義域の端部及び端部におけるyの値が一致してしまうことが起こり得る。つまり、2つの異なるグラフがあたかも1つのグラフであるかのように見えてしまう状況が発生する。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、表示画面に複数のグラフを描画する際に各々のグラフの視認性を向上させることが可能になる電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、
第1の関数に対応する第1のグラフを第1の表示態様で表示画面に表示する表示手段と、
前記第1のグラフが表示された前記表示画面に、前記第1の関数とは異なる第2の関数に対応する第2のグラフを表示するときの表示態様を仮設定する仮設定手段と、
前記第1のグラフの端部の座標値と前記第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、前記第1のグラフの前記第1の表示態様と前記第2のグラフに仮設定された前記表示態様とが一致する場合に、前記仮設定手段により仮設定された前記第2のグラフの前記表示態様を変更する変更手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示画面に複数のグラフを描画する際に各々のグラフの視認性を向上させることが可能になる電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器の外観構成を例示する正面図。
図2】電子機器の電子回路の機能構成を示すブロック図である。
図3図2中の電卓制御プログラムに含まれるサブプログラムを示す構成図である。
図4】ディスプレイから表示されるグラフ関数式リスト画面の一例を示す図である。
図5図4のグラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式Y1,Y2のグラフy1,y2を描画した、ディスプレイから表示されるグラフ画面の一例を示す図である。
図6】電子機器の動作例を示すフローチャートである。
図7】グラフ関数式リスト画面の別の例を示す図である。
図8図7のグラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式Y1のグラフy1を描画したグラフ画面の一例を示す図である。
図9図7のグラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式Y1,Y6のグラフy1,y6を設定された表示色により描画した場合のグラフ画面の一例を示す図である。
図10】グラフ関数式Y6の描画色を変更した場合の、図7のグラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式Y1,Y6のグラフy1,y6を描画したグラフ画面の一例を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る電子機器の動作例を示すフローチャートの特徴部を示す図である。
図12】グラフの描画色が変更された場合の、グラフ関数式リスト画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器10の外観構成を例示する正面図である。なお、図1は、電子機器10をグラフ関数電卓として実施した場合を示している。
【0012】
グラフ関数電卓として構成される電子機器10は、その携帯性の必要からユーザが片手で十分把持し片手で操作可能な小型サイズからなり、本体正面にはキー入力部11及びディスプレイ12が設けられる。
【0013】
キー入力部11には、数値や数式を入力したり、計算やプログラムの実行を指示したりするための数値・演算記号キー群111、各種の関数を入力したりメモリ機能を立ち上げたりするための関数機能キー群112、計算モードやグラフモードといった各種機能モードを選択するためのメインメニュー画面を表示させるためのメニューキー「MENU」等を含む設定キー群113、ディスプレイ12の下端に沿って表示された各種の機能を1回のキー操作で立ち上げるためのファンクションキー群114、ディスプレイ12に表示されたカーソルの移動操作やデータ項目の選択操作などを行うためのカーソルキー115が備えられる。
【0014】
数値・演算記号キー群111としては、[0]~[9](数値)キー、[+][-][×][÷](四則記号)キー、[EXE](実行)キー、[AC](クリア)キーなどが配列される。
【0015】
関数機能キー群112としては、[sin](サイン)キー、[cos](コサイン)キー、[tan](タンジェント)キーなどが配列される。
【0016】
設定キー群113としては、メニューキー「MENU」の他に、[EXIT](エグジット)キー、[SHIFT](シフト)キーなどが配列される。
【0017】
ファンクションキー群114としては、[F1]キー~[F6]キーが配列される。
【0018】
なお、数値・演算記号キー群111、関数機能キー群112、設定キー群113、ファンクションキー群114のキーは、[SHIFT]キーが操作された後に続けて操作されることで、そのキートップに記載されたキー機能ではなく、そのキーの上方に記載されたキーとして機能できるようになっている。例えば、[SHIFT]キー操作後に[AC]キーが操作(以下、[SHIFT]+[AC]キーと記す。)されると[OFF](電源オフ)キーとなる。[SHIFT]+[MENU]キーは[SET UP](セットアップ)キー、[SHIFT]+[F3]キーは[V-Window](ビューウインドウ:描画領域設定画面の表示を指示する)キーとなる。
【0019】
ディスプレイ12は、ドットマトリクス型のカラー液晶表示ユニットからなる。なお、電子機器10がタブレット端末である場合、ディスプレイ12は、タッチパネルを重ねて設けた液晶表示ユニットからなる。
【0020】
図2は、電子機器10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0021】
この電子機器10の電子回路は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ21を主体とし、バスBを介して、上記キー入力部11、上記ディスプレイ12、メモリ22及び記録媒体読取部23を接続して構成している。
【0022】
メモリ22は、プロセッサ21が実行する動作プログラムや固定データ等が不揮発的に記憶されているROMと、ROMから読み出した各種データ等を展開して保持するRAMとを備え、電卓制御プログラム221記憶すると共に、書込可能データエリア222を確保している。
【0023】
電卓制御プログラム221は、プロセッサ21に、通常モード時の関数演算やグラフモード時のグラフ描画演算を含む各種演算処理を実行させたり、演算結果をディスプレイ12に表示させたりする、ROM内に格納された動作プログラムである。
【0024】
プロセッサ21は、このメモリ22に記憶されている電卓制御プログラム221に従い回路各部の動作を制御し、キー入力部11からのキー入力信号に応じた各種の処理を実行する。電卓制御プログラム221は、メモリ22に予め記憶されていても良いし、或いはメモリカード等の外部記録媒体24から記録媒体読取部23を介してメモリ22に読み込まれて記憶されたものであっても良い。電卓制御プログラム221は、ユーザがキー入力部11の操作によって書き換えできないようになっている。
【0025】
メモリ22には、このようなユーザ書き換え不可能な情報の他に、ユーザが書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、キー入力部11によりキー入力されたキーコードのデータが順次入力され、これにより構成される数式のデータや表データ、グラフデータ等が記憶されるエリアである書込可能データエリア222が確保されている。つまり、この書込可能データエリア222は、プロセッサ21によるプログラム処理実行時のプログラム、データを一時的に保持するRAM内のワークエリアである。
【0026】
記録媒体読取部23は、図示しないカードスロットを介して電子機器10に装着された、メモリカード等の外部記録媒体24から、追加のプログラム等のデータを読み出すために外部記録媒体24と接続するインタフェイスである。読み出された追加プログラム等のデータは、プロセッサ21の制御の下で、バスBを介してメモリ22の書込可能データエリア222に格納される。
【0027】
なお、特に図示はしていないが、電子機器10は、パーソナルコンピュータ等の外部機器と、例えばUSB端子等の通信端子により有線接続したり、或いは無線LANにより無線接続したりすることで、外部のネットワーク(NW)とも接続可能となる通信部を備えていても良い。電子機器10は、この通信部により、必要なデータ等、例えば電卓制御プログラム221のバージョンアップ時におけるデータの送受等を行なうことができる。
【0028】
このように構成された電子機器10は、プロセッサ21が電卓制御プログラム221に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下に説明するように、グラフ描画機能を実現する。すなわち、電卓制御プログラム221は、グラフモードにおいて、ディスプレイ12に、グラフ関数式のグラフを表示させるプログラムである。
【0029】
図3は、電卓制御プログラム221に含まれるサブプログラムを示す構成図である。
【0030】
電卓制御プログラム221は、図3に示すように、グラフ表示サブプログラム221a、線態様仮設定サブプログラム221b、線態様変更サブプログラム221c及びグラフ表示制御サブプログラム221dを備えている。
【0031】
電子機器10のグラフモードへの設定は、設定キー群113における[MENU]キーを押圧することによって開始される。すなわち、電子機器10は、計算モードやグラフモードといった各種動作モードを備えており、「MENU」キーが押圧されると、プロセッサ21は、電子機器10が備える動作モードを例えばアイコンとして並べたメインメニュー画面をディスプレイ12に表示させる。そして、プロセッサ21は、カーソルキー115の操作によるアイコンの選択に応じて、アイコンを反転等の識別表示させ、数値・演算記号キー群111における[EXE]キーが押されたときに識別表示されているアイコンに対応する動作モードに入る。
【0032】
動作モードがグラフモードに入ると、プロセッサ21は、グラフ表示サブプログラム221aに従って、グラフ関数式リスト画面をディスプレイ12に表示させ、数値・演算記号キー群111から、グラフ描画に使用するグラフ関数式の入力を受け付けることが可能な状態となる。
【0033】
図4は、このグラフ関数式リスト画面の一例を示す図である。本実施形態に係る電子機器10では、グラフ関数式リスト画面は、最大6個のグラフ関数式を表示するためのグラフ関数式エリアGF1~GF6と、それらグラフ関数式エリアGF1~GF6に表示されたグラフ関数式に設定された線態様を表示するための線態様エリアLS1~LS6とを含む。ユーザが、数値・演算記号キー群111を操作することによって、グラフ関数式を入力し、例えば最大20個のグラフ関数式Y1~Y20を、書込可能データエリア222に設けた図示されないグラフ関数式メモリに登録することができる。なお、図4では、関数式Y1の表示において、ディスプレイ12の表示エリアの制限により、入力したグラフ関数式「0.1x(x+4)(x-2)」の最後の閉じカッコ「)」が見切れてしまい、表示されない状態となっている。線態様は、グラフ関数式のグラフを描画する際に使用する線の表示態様であり、表示色と線種とを含む。本実施形態では、表示色に関しては青(B)、赤(R)、緑(G)、ピンク(P)、黒(K)の5色、線種としては標準、太線、破線、点線、細線の5種類が設定可能である。初期設定として、図4に示すように、標準の線種で5色が割り当てられている。グラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式エリアGF1~GF6及び線態様エリアLS1~LS6は、その線態様として設定された表示色に従った色で表示される。図4では、その表示色を括弧書きで示している。なお、他の図においても、同様に、表示色を示す必要がある場合には、その色を括弧書きで示す。
【0034】
グラフ関数式の登録後、ユーザは、グラフ描画を指示する。例えば、ファンクションキー群114における[F6]キー又は数値・演算記号キー群111における[EXE]キーを押す。これに応じて、プロセッサ21は、グラフ表示サブプログラム221aに従って、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに登録されたグラフ関数式の内の一つのグラフを描画したグラフ画面を作成し、このグラフ画面をディスプレイ12に表示させる。
【0035】
図5は、図4に示されたグラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式Y1,Y2のグラフy1,y2を描画したグラフ画面の一例を示す図である。グラフ画面は、第1座標軸であるx軸と、この第1座標軸と直交する第2座標軸であるy軸と、からなる座標系が設定されている。まず、プロセッサ21は、一つのグラフ関数式、例えばグラフ関数式Y1のグラフy1を、設定された線態様に従った青(B)で描画する。
【0036】
こうして一つのグラフ関数式のグラフを描画した後、プロセッサ21は、登録された別のグラフ関数式、例えばグラフ関数式Y2のグラフy2を描画することとなる。このとき、プロセッサ21は、線態様仮設定サブプログラム221bに従って、この別のグラフ関数式であるグラフ関数式Y2のグラフy2の表示態様、例えば赤(R)の描画色を仮設定する。
【0037】
その後、プロセッサ21は、線態様変更サブプログラム221cに従って、描画済みのグラフy1の端部の座標値と、この別のグラフ関数式Y2のグラフy2の端部の座標値とが一致し、かつ、描画済みグラフy1の表示態様、この例では青(B)と、この別のグラフ関数式Y2のグラフy2に仮設定された表示態様、この例では赤(R)とが一致するか否か確認する。
【0038】
端部は、端点であり、グラフは、一つ又は二つの端部を有する場合がある。プロセッサ21は、描画済みのグラフである第1のグラフの一端側の座標値と、別のグラフである第2のグラフにおける第1のグラフの一端側の座標値とを比較することにより、第1のグラフの端部の座標値と第2のグラフの端部の座標値とが一致するか否かを判定する。両グラフの端部の座標値が一致し、かつ、線態様も一致する場合には、プロセッサ21は、仮設定された第2のグラフの表示態様を変更する。そうでない場合は、仮設定された第2のグラフの表示態様は維持される。図5の例では、両グラフが端部を有していないため、仮設定されたグラフy2の表示態様である赤(R)が維持される。
【0039】
そして、プロセッサ21は、グラフ表示制御サブプログラム221dに従って、第1のグラフが描画済みのグラフ画面に、第2のグラフをこの仮設定された線態様により描画することで、それらのグラフ関数式のグラフを描画したグラフ画面をディスプレイ12に表示させる。これにより、図5に示されるように、第2のグラフであるグラフy2が、設定された線態様のままの赤(R)で描画されることとなる。
【0040】
次に、以上のように構成した本発明の第1実施形態に係る電子機器10の動作について説明する。
【0041】
図6は、電子機器10の動作例を示すフローチャートである。
【0042】
グラフ関数式の設定動作に関しては従来と同様であるので、その説明は省略し、ここでは、既にグラフ関数式リスト画面での操作により複数のグラフ関数式が書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに登録済みであるとする。
【0043】
ユーザによってグラフ描画が指示されると、プロセッサ21は、グラフ表示サブプログラム221aに従って、まず、例えばメモリ22の書込可能データエリア222に設定した図示されないポインタnの値を「1」に初期設定する(ステップS11)。
【0044】
次に、プロセッサ21は、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに、グラフ関数式Ynが登録されているか否か判断する(ステップS12)。例えば、図4に示されるように、2つのグラフ関数式Y1,Y2が登録済みであるとする。この場合、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynであるグラフ関数式Y1が有ると判断することとなる。
【0045】
グラフ関数式Ynが有ると判断すると(ステップS12(YES))、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynのグラフyn、この場合はグラフy1を描画するための描画座標を演算する(ステップS13)。
【0046】
その後、プロセッサ21は、上記ステップS13で演算した描画座標に基づいて、グラフynが端部を有しているか否か判断する(ステップS14)。グラフynであるグラフy1は、端部を有さない。よって、この場合は、プロセッサ21は、グラフynは端部を有していないと判断することになる。
【0047】
グラフynが端部を有さないと判断すると(ステップS14(NO))、プロセッサ21は、描画済みグラフが有るか否か判断する(ステップS15)。グラフy1を描画する際には、未だ描画済みグラフは無い。
【0048】
描画済みグラフは無いと判断すると(ステップS15(NO))、プロセッサ21は、演算した描画座標に基づいて、グラフyn、この場合はグラフy1を、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに登録されている線態様により描画する(ステップS16)。これにより、グラフ関数式Ynのグラフyn、この場合はグラフ関数式Y1のグラフy1を青(B)の表示色で描画したグラフ画面をディスプレイ12に表示させることができる。
【0049】
その後、プロセッサ21は、ポインタnの値を「+1」する(ステップS17)。この場合は、n=2となる。
【0050】
そして、プロセッサ21は、ポインタnの値が「20」より大きいか否か判断する(ステップS18)。この「20」という値は、グラフ関数式の登録可能数に基づく値である。前述したように、本実施形態に係る電子機器10は、グラフ関数式を最大20個登録可能となっている。ここで、n=2であるので、ポインタの値は20以下であり、その場合(ステップS18(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS12の処理動作に移行する。なお、グラフ関数式を登録可能な最大数は20に限定されず、20より少なくてもよいし、20より多くてもよい。
【0051】
すると、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに、グラフ関数式Yn、この場合はグラフ関数式Y2が登録されているので、上記ステップS12において、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynが有ると判断する(ステップS12(YES))。よって、プロセッサ21は、上記ステップS13において、グラフ関数式Ynのグラフyn、この場合はグラフy2を描画するための描画座標を演算する。そして、上記ステップS14において、プロセッサ21は、グラフynであるグラフy2は、端部を有さないと判断し(ステップS14(NO))、上記ステップS15において、描画済みグラフが有るか否か判断することとなる。この場合、既にグラフy1が描画済みであるので、プロセッサ21は、描画済みグラフが有ると判断する。
【0052】
このように描画済みグラフが有ると判断した場合(ステップS15(YES))、プロセッサ21は、線態様仮設定サブプログラム221bに従って、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリにグラフ関数式Ynのグラフynの線態様として登録されている表示色、この場合はグラフy2の描画色である赤(R)を、描画に使用する表示色として仮設定する(ステップS20)。この仮設定は、書込可能データエリア222に設けた仮設定レジスタに記憶される。
【0053】
その後、プロセッサ21は、線態様変更サブプログラム221cに従って、描画済みグラフと端部が一致するか否か判断する(ステップS21)。描画済みのグラフy1は端部を有しておらず、また、上記ステップS13で演算したグラフyn、この場合はグラフy2の描画座標においても端部を有していないので、プロセッサ21は、描画済みグラフと端部は一致しないと判断することとなる。
【0054】
描画済みグラフと端部は一致しないと判断すると(ステップS21(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS16の処理動作に移行する。この場合のステップS16においては、プロセッサ21は、グラフ表示制御サブプログラム221dに従った処理動作を行う。すなわち、プロセッサ21は、演算した描画座標に基づいて、グラフyn、この場合はグラフy2を、書込可能データエリア222の仮設定レジスタに記憶されている線態様により描画することとなる。これにより、グラフ関数式Ynのグラフyn、この場合はグラフ関数式Y2のグラフy2を赤(R)の表示色で描画したグラフ画面をディスプレイ12に表示させることができる。
【0055】
その後、プロセッサ21は、上記ステップS17において、ポインタnの値を「+1」し、上記ステップS18において、ポインタnの値が「20」より大きいか否か判断する。ここで、n=3であるので、プロセッサ21は、上記ステップS12の処理動作に移行する。
【0056】
すると、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに、グラフ関数式Yn、この場合はグラフ関数式Y3が登録されていないので、上記ステップS12において、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynが無いと判断する。グラフ関数式Ynが無いと判断した場合(ステップS12(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS17の処理動作に移行する。
【0057】
こうして、グラフ関数式Y20まで確認していき、上記ステップS17においてポインタnの値を「+1」してn=21となると、上記ステップS18において、ポインタnの値が「20」より大きいと判断されることとなる。プロセッサ21は、ポインタnの値が「20」より大きいと判断した場合(ステップS18(YES))、このフローチャートに示す動作を終了する。
【0058】
図7は、グラフ関数式リスト画面の別の例を示す図である。次に、このようなグラフ関数式が登録された場合の電子機器10の動作を説明する。
【0059】
この場合、グラフ関数式Y1については、プロセッサ21は、上記ステップS14において、グラフynであるグラフy1が端部を有していると判断する。グラフynが端部を有すると判断すると(ステップS14(YES))、プロセッサ21は、上記ステップS19において、その端部のx座標及びy座標を、書込可能データエリア222に設けた端部メモリに保存する。その後、プロセッサ21は、上記ステップS15の処理動作を経由して、上記ステップS16の処理動作に移行して、上記ステップS13で演算した描画座標に基づいて、グラフy1を、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに登録されている線態様により描画する。これにより、グラフ関数式Y1のグラフy1を青(B)の表示色で描画したグラフ画面をディスプレイ12に表示させることができる。図8は、このグラフ関数式Y1のグラフy1を描画したグラフ画面の一例を示す図である。
【0060】
その後、プロセッサ21は、上記ステップS17において、ポインタnの値を「+1」し、上記ステップS18において、ポインタnの値が「20」より大きいか否か判断する。ここで、n=2となっているので、プロセッサ21は、上記ステップS12の処理動作に移行する。
【0061】
すると、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに、グラフ関数式Yn、この場合はグラフ関数式Y2が登録されていないので、上記ステップS12において、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynが無いと判断する。グラフ関数式Ynが無いと判断した場合(ステップS12(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS17の処理動作に移行する。こうして、グラフ関数式Y5まで確認していき、上記ステップS17においてポインタnの値を「+1」してn=6とした後、上記ステップS18を経由して上記ステップS12に移行すると、今度は、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに、グラフ関数式Y6が登録されているので、上記ステップS12において、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynが有ると判断する(ステップS12(YES))。よって、プロセッサ21は、上記ステップS13において、グラフ関数式Ynのグラフyn、この場合はグラフy6を描画するための描画座標を演算する。そして、上記ステップS14において、プロセッサ21は、グラフynであるグラフy6が端部を有するか否か判断する。
【0062】
図9は、図7のグラフ関数式リスト画面におけるグラフ関数式Y1,Y6のグラフy1,y6を設定された表示色により描画した場合のグラフ画面の一例を示す図である。図9に示されるように、グラフy6は端部を有する。よってこの場合、プロセッサ21は、グラフynであるグラフy6が端部を有すると判断し(ステップS14(YES))、上記ステップS19において、その端部のx座標及びy座標を、書込可能データエリア222の端部メモリに保存することとなる。
【0063】
そして、プロセッサ21は、上記ステップS15において、描画済みグラフが有ると判断し(ステップS15(YES))、上記ステップS20において、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリにグラフ関数式Ynのグラフynの線態様として登録されている表示色、この場合はグラフy6の描画色である青(B)を、描画に使用する表示色として仮設定することとなる。
【0064】
その後、プロセッサ21は、上記ステップS21において、描画済みグラフと端部が一致するか否か判断する。この場合、書込可能データエリア222の端部メモリにそれぞれ保存されている、描画済みのグラフy1の端部と、今回のグラフynであるグラフy6の端部とが一致しているので、プロセッサ21は、描画済みグラフと端部は一致すると判断することとなる。
【0065】
描画済みグラフと端部が一致すると判断すると(ステップS21(YES))、プロセッサ21は、線態様変更サブプログラム221cに従って、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリにグラフ関数式Ynのグラフynの線態様として登録されている表示色、この場合はグラフy6の描画色である青(B)が、その端部が一致していると判断された描画済みグラフの描画色と一致しているか否か判断する(ステップS22)。描画済みのグラフy1は、青(B)で描画されているため、プロセッサ21は、描画済みグラフの描画色と一致していると判断することになる。
【0066】
描画済みグラフの描画色と一致していると判断した場合(ステップS22(YES))、プロセッサ21は、未だ一致を判断していない色が残っているか否か、つまり残色が有るか否か判断する(ステップS23)。
【0067】
未だ残色が有ると判断した場合(ステップS23(YES))、プロセッサ21は、書込可能データエリア222に設けた仮設定レジスタに記憶されているグラフ関数式Ynのグラフynの仮設定表示色、つまり、グラフy2の描画に使用するとして仮設定された表示色を、残色の一つに変更する(ステップS24)。例えば、プロセッサ21は、一つ前の表示色である黒(K)を仮設定表示色として、書込可能データエリア222の仮設定レジスタに記憶させる。その後、プロセッサ21は、上記ステップS22の処理動作に移行する。
【0068】
そして、上記ステップS22において、プロセッサ21は、この変更した仮設定表示色である黒(K)が、その端部が一致していると判断された描画済みグラフの描画色と一致しているか否か判断する。描画済みのグラフy1は青(B)で描画されているため、プロセッサ21は、描画済みグラフの描画色とは一致していないと判断することになる。このように描画済みグラフの描画色とは一致していないと判断した場合(ステップS22(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS21の処理動作に移行して、更に別の描画済みのグラフの端部と、今回のグラフynであるグラフy6の端部とが一致しているか判断していくこととなる。
【0069】
上記ステップS21において、グラフy6の端部が他の何れの描画済みグラフの端部とは一致しないと判断した場合(ステップS21(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS16の処理動作に移行し、グラフ表示制御サブプログラム221dに従った処理動作を行う。すなわち、プロセッサ21は、演算した描画座標に基づいて、グラフyn、この場合はグラフy6を、書込可能データエリア222の仮設定レジスタに記憶されている線態様により描画する。これにより、グラフ関数式Y6のグラフy6を黒(K)の表示色で描画したグラフ画面をディスプレイ12に表示させることができる。図10は、この場合のグラフ関数式Y1,Y6のグラフy1,y6を描画したグラフ画面の一例を示す図である。
【0070】
なお、特に図示はしていないが、グラフ関数式Y7~Y20のグラフy7~y20の何れかとして、これらグラフy1,y6のどちらかの端部の座標値とこの何れかのグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、グラフy1,y6のどちらかの表示色とこの何れかのグラフに仮設定された表示態様とが一致する場合が有り得る。また、グラフy1,y6描画後に、グラフ関数式Y2~Y5として新たにグラフ関数式を登録することもでき、その新たに登録したグラフ関数式のグラフが、このような関係となる場合も有り得る。このような場合、そのグラフ関数式のグラフを描画する際には、上記ステップS23において残色が有ると判断される限り、仮設定表示色を変更しながら、一致しない表示色を探索していく。そして、上記ステップS23において、残色が無いと判断された場合(ステップS23(NO))、つまり、もはや色を変更できないとなった場合には、プロセッサ21は、線種を、描画済みのグラフとは異なる線種に変更する(ステップS25)。そして、プロセッサ21は、上記ステップS16の処理動作に移行して、その線種によりグラフを描画することとなる。
【0071】
以上、詳述したように、本実施形態に係る電子機器10によれば、表示手段として機能するプロセッサ21は、第1のグラフ関数式に対応する第1のグラフを第1の表示態様で、ディスプレイ12のグラフ画面に表示させ、また、仮設定手段として機能するプロセッサ21は、この第1のグラフが表示されたグラフ画面に、この第1のグラフ関数式とは異なる第2のグラフ関数式に対応する第2のグラフを表示するときの表示態様を仮設定する。そして、変更手段として機能するプロセッサ21は、第1のグラフの端部の座標値と第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、第1のグラフの第1の表示態様と第2のグラフに仮設定された表示態様とが一致する場合に、この仮設定された第2のグラフの表示態様を変更する。よって、端部が一致する二つのグラフの表示態様を互いに異ならせることができるので、グラフ画面に複数のグラフを描画する際に各々のグラフの視認性を向上させることが可能になる。
【0072】
そして、本実施形態に係る電子機器10によれば、表示制御手段として機能するプロセッサ21は、変更された後の表示態様で、第2のグラフをグラフ画面に表示する。よって、端部が一致する二つのグラフを、互いに異なる表示態様でグラフ画面に表示することができる。
【0073】
なお、第2のグラフの表示態様の変更は、表示色の変更と線種の変更(点線、破線、点線など)とであることができる。よって、描画済みのグラフと表示色を変更することで、各々のグラフの視認性を向上させることが可能になる。更に、表示色を変更できない場合には、描画済みグラフと線種を変更することで、各々のグラフの視認性を向上させることが可能になる。
【0074】
また、本実施形態に係る電子機器10は、作成手段として機能するプロセッサ21は、第1のグラフ関数式に従って第1のグラフの描画座標を演算し、また、第2のグラフ関数式に従って第2のグラフの描画座標を演算する。これにより、表示作成手段として機能するプロセッサ21は、第1のグラフと第2のグラフとをそれぞれ作成することができる。
【0075】
なお、グラフ画面には、第1座標軸であるx軸と、これと直交する第2座標軸であるy軸と、からなる座標系が設定されており、各グラフの端部の座標値はx値とy値とにより表すことができる。よって、端部の座標値を数値で表すことで、単純な数値比較により、二つのグラフの端部が一致するか否かを判断することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る電子機器10によれば、グラフに端部が有るか否かを判定する手段として機能するプロセッサ21は、グラフ関数式に従って演算したグラフの描画座標に基づいて、グラフに端部が有るか否かを判定し、端部がある場合、端部の座標値を記憶する手段として機能するプロセッサ21は、その端部の座標値をメモリ22の書込可能データエリア222に設けた端部メモリに記憶させる。よって、端部メモリに記憶された座標値が一致するか否かを確認するだけで、二つのグラフの端部が一致するか否かを容易に判断することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る電子機器10によれば、プロセッサ21は、第1のグラフの端部の座標値と第2のグラフの端部の座標値とが一致するか否かの判定を、第1のグラフの一端側の座標値と第2のグラフにおける第1のグラフの一端側の座標値とを比較することにより行う。よって、第2のグラフが二つの端部を有していても、一致判定に使用する端部を容易に決定して、素早く一致判定を行うことができる。
【0078】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、或るグラフ関数式Ynのグラフynについて、その表示色等の線態様を変更して描画したとしても、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに登録されている、当該グラフ関数式Ynの線態様は変更していない。本実施形態は、描画する線態様の変更に応じて、この登録された線態様を変更するものである。
【0079】
図11は、本発明の第2実施形態に係る電子機器10の動作例を示すフローチャートの特徴部を示す図である。本実施形態では、第1実施形態に係る電子機器10の動作において、上記ステップS16と上記ステップS17との間に、以下の処理動作を追加している。
【0080】
すなわち、上記ステップS16においてグラフ関数式Ynのグラフynを描画した後、プロセッサ21は、そのグラフynの描画色が、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに、当該グラフ関数式Ynの線態様として登録されている設定色であるか否か判断する(ステップS31)。
【0081】
図7に示された例におけるグラフ関数式Y1のグラフy1を描画した場合、このグラフy1は設定色で描画されるので、プロセッサ21は、描画色はグラフ関数式Ynの設定色であると判断することになる(ステップS31(YES))。よって、この場合には、プロセッサ21は、上記ステップS17の処理動作に移行する。
【0082】
これに対して、図7に示された例におけるグラフ関数式Y6のグラフy6を描画した場合、このグラフy6は設定色とは異なる表示色で描画される。よって、この場合には、プロセッサ21は、描画色はグラフ関数式Ynの設定色ではないと判断することになる。
【0083】
描画色はグラフ関数式Ynの設定色ではないと判断した場合(ステップS31(NO))、プロセッサ21は、グラフ関数式Ynであるグラフ関数式Y6の描画色、この場合は黒(K)と同一色が設定されている未登録のグラフ関数式を、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリから検索する(ステップS32)。この場合、グラフ関数式Yn-1から降順で検索していく。
【0084】
そして、該当する未登録グラフ関数式が有ったか否か判断する(ステップS33)。該当する未登録グラフ関数式が無いと判断した場合(ステップS33(NO))、プロセッサ21は、上記ステップS17の処理動作に移行する。
【0085】
図7の例では、グラフ関数式Y6の描画色である黒(K)と同一色が設定されている未登録のグラフ関数式として、グラフ関数式Y5が検索される。このように該当する未登録グラフ関数式が有ったと判断した場合(ステップS33(YES))、プロセッサ21は、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリにおける当該未登録グラフ関数式の設定色を、同じくグラフ関数式メモリにおけるグラフ関数式Ynの設定色に変更する(ステップS34)。よって、図7の例では、未登録グラフ関数式Y5の設定色である黒(K)が、グラフ関数式Y6の設定色である青(B)に変更される。
【0086】
また、プロセッサ21は、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリにおける登録グラフ関数式Ynの設定色を、描画色に変更する(ステップS35)。よって、図7の例では、グラフ関数式Y6の設定色である青(B)が、描画色である黒(K)に変更される。その後、プロセッサ21は、上記ステップS17の処理動作に移行する。
【0087】
図12は、こうしてグラフy6の描画色が変更された場合の、グラフ関数式リスト画面の一例を示す図である。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10によれば、或るグラフ関数式Ynのグラフynについて、線態様、例えば表示色等の表示態様を変更して描画した場合に、グラフ関数式の内容を表示するグラフ関数式リスト画面における内容が、この変更された表示態様に応じて変わるようにしている。具体的には、グラフy6を描画する線態様の変更に応じて、書込可能データエリア222のグラフ関数式メモリに登録されている、当該グラフ関数式Y6の線態様を変更することで、グラフ関数式リスト画面における変更したグラフ関数式Y6に対応するグラフ関数式エリアGF6及び線態様エリアLS6の表示色が青(B)から黒(K)に変わる。よって、グラフ画面に表示されたグラフの表示色と、グラフ関数式リスト画面における表示色とを合わせることができるので、グラフ関数式とグラフとの対応関係を容易に判別可能となる。
【0089】
更に、グラフ関数式Ynの描画色と同一色が設定されている未登録のグラフ関数式として検索されたグラフ関数式に初期設定されている線態様を、変更したグラフ関数式Ynに対して変更前に設定された線態様に変更することで、グラフ関数式リスト画面における検索されたグラフ関数式Y5に対応するグラフ関数式エリアGF5及び線態様エリアLS5の表示色が黒(K)から青(B)に変わる。よって、線態様の種別毎の設定個数は変化しない。
【0090】
なお、各実施形態に係る電子機器10では、ディスプレイ12としてグラフ表示可能なものを採用しているが、モノクロディスプレイであっても構わない。この場合には、線態様として設定される表示態様は、線種のみとなる。すなわち、この場合には、第1のグラフの端部の座標値と第2のグラフの端部の座標値とが一致し、かつ、第1のグラフの第1の線種と第2のグラフに仮設定された線種とが一致する場合に、この仮設定された第2のグラフの線種を変更することとなる。このようにしても、端部が一致する二つのグラフの表示態様を互いに異ならせることができるので、表示画面であるグラフ画面に複数のグラフを描画する際に各々のグラフの視認性を向上させることが可能になる。このように、グラフの表示態様の変更は、表示色の変更と線種の変更(点線、破線、点線など)との少なくとも一方であることができる。
【0091】
また、各実施形態では、プロセッサ21が電卓制御プログラム221に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウエアとが協働して動作することで、グラフ描画機能を実現するものとしたが、このグラフ描画機能の内の少なくとも一部について、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(field-programmable gate array)、GPU(Graphics Processing Unit)、等の集積回路により実現するようにしても良い。
【0092】
更に、フローチャートを参照して説明した各処理の流れは、説明した手順に限定されるものではない。例えば、図11におけるステップS34の処理とステップS35の処理の順番を逆にしても良いし、同時併行で実施しても良い。このように、いくつかのステップの順序が入れ替えられても良いし、いくつかのステップが同時併行で実施されても良い。更には、いくつかのステップの処理内容が修正されても構わない。
【0093】
なお、各実施形態は、電子機器10が、自身が備えるディスプレイ12にグラフを表示させる例を説明したが、電子機器10は、外部表示装置に対してグラフ画面のデータを送信して、その外部表示装置からグラフを表示させるようにしてもよい。この場合、LANやインターネット等のネットワークを介して、複数の外部出力装置に直接、或いはサーバコンピュータ等を経由して複数の外部出力装置に、グラフ画面のデータを送信することで、それら複数の外部出力装置からグラフを表示させてもよい。
【0094】
また、グラフ表示サブプログラム221a、線態様仮設定サブプログラム221b、線態様変更サブプログラム221c及びグラフ表示制御サブプログラム221dを、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータ等で実行させるように構成し、電子機器10は、グラフ関数式と線態様のデータをサーバコンピュータ等に送信し、グラフ画面のデータをサーバコンピュータ等から受信してディスプレイ12にグラフを表示させるものとしてもよい。この場合、サーバコンピュータ等は、グラフ画面のデータを、グラフ関数式及び線態様のデータの送信元の電子機器10だけでなく、他の電子機器10や外部出力装置にも送信するようにしても良い。
【0095】
更に、グラフ関数式と線態様の設定自体も、サーバコンピュータ等で行うようにしてもよい。すなわち、サーバコンピュータ等が電子機器10として動作し、グラフ関数電卓は外部出力装置の一つであってよい。このように、各実施形態は、電子機器10をグラフ関数電卓として実施した場合を例に説明したが、電子機器10は、グラフ関数電卓として構成されるのに限定されず、サーバコンピュータ等として構成することもできる。その他、電子機器10は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、タッチパネル式PDA(personal digital assistants)、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成することもできる。なお、電子機器10を、グラフ関数電卓のような物理的なキー(ボタン)が実装されていないタブレット端末とした場合には、グラフ関数電卓のキーと同様なソフトウェアキーボードを表示し、このソフトウェアキーボードに対するキー操作に応じて処理を実行する。
【0096】
また、以上の各実施形態において記載した電子機器10による各処理の手法、すなわち、図6のフローチャートに示す処理、図11のフローチャートに示す処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカードなど)、磁気ディスク(フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの外部記録装置の媒体に格納して配布することができる。そして、情報処理装置(電子機器)の制御部(CPU)は、この外部記録装置の媒体に記録されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、各実施形態において説明した各種の機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0097】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク上を伝送させることができ、この通信ネットワークに接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から、前記プログラムのデータを情報処理装置(電子機器)に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述した各種の機能を実現することもできる。
【0098】
なお、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0099】
10…電子機器
11…キー入力部
12…ディスプレイ
21…プロセッサ
22…メモリ
23…記録媒体読取部
24…外部記録媒体
111…数値・演算記号キー群
112…関数機能キー群
113…設定キー群
114…ファンクションキー群
115…カーソルキー
221…電卓制御プログラム
221a…グラフ表示サブプログラム
221b…線態様仮設定サブプログラム
221c…線態様変更サブプログラム
221d…グラフ表示制御サブプログラム
222…書込可能データエリア
B…バス
GF1~GF6…グラフ関数式エリア
LS1~LS6…線態様エリア
y1,y2,y6…グラフ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12