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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132250
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】軸流送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20240920BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F04D29/52 B
F04D29/52 E
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042960
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 篤史
(72)【発明者】
【氏名】石原 勝充
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC19
3H130BA42A
3H130BA42H
3H130BA88A
3H130BA88H
3H130CA21
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DF08Z
3H130EA07A
3H130EA07H
3H130EB02A
3H130ED02A
3H130ED02H
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により電気特性の低下を抑制することができる軸流送風機を提供する。
【解決手段】モータ20によって駆動されて回転軸線X回りに回転するインペラ10を有し、モータ20に電力を供給する制御基板21と、制御基板21を覆うカバー部31と、を有し、カバー部31は、制御基板21に向かい合う上面34aと、上面34aから回転軸線X方向に延びる縁部31bと、を有し、天面31aに、リード線が制御基板に取り付けられた部位を封止するポッティング材を導入するための第一窓部が設けられ、側周面に、リード線を引き出すための第二窓部が設けられ、第一窓部と第二窓部とはブリッジ部で隔てられている、軸流送風機。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって駆動されて回転軸線回りに回転するインペラを有する軸流送風機であって、
前記モータに電力を供給する制御基板と、
前記制御基板を覆うカバー部と、を有し、
前記カバー部は、
前記制御基板に向かい合う天面と、
前記天面から前記回転軸線方向に延びる側周面と、を有し、
前記天面に、リード線が前記制御基板に取り付けられた部位を封止するポッティング材を導入するための第一窓部が設けられ、
前記側周面に、前記リード線を引き出すための第二窓部が設けられ、
前記第一窓部と前記第二窓部とはブリッジ部で隔てられている、軸流送風機。
【請求項2】
前記ブリッジ部の少なくとも一部は、前記回転軸線方向に沿って延びている、請求項1に記載の軸流送風機。
【請求項3】
前記インペラはインペラカップと前記インペラカップから径方向に延びる翼部と、を有し、前記ブリッジ部の外周面は前記インペラカップの外周面よりも径方向内側に位置する、請求項1または2に記載の軸流送風機。
【請求項4】
前記第二窓部を形成する縁部によって前記リード線が押圧されている、請求項1または2に記載の軸流送風機。
【請求項5】
前記第一窓部はシールによって覆われている、請求項1または2に記載の軸流送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の軸流送風機においては、騒音の発生を低減できる軸流送風機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-196504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の軸流送風機においては、モータから延びるリード線を引き出すために、ハウジングに切り欠きを設ける構成が一般的であった。
【0005】
しかし、上記構成によればハウジングに設けた切り欠きから空気や埃が流入し、はんだ部等が腐食することで電気的特性が低下してしまう。
【0006】
そこで本発明は簡易な構成により電気特性の低下を抑制する軸流送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る軸流送風機は、
モータによって駆動されて回転軸線回りに回転するインペラを有する軸流送風機であって、
前記モータに電力を供給する制御基板と、
前記制御基板を覆うカバー部と、を有し、
前記カバー部は、
前記制御基板に向かい合う天面と、
前記天面から前記回転軸線方向に延びる側周面と、を有し、
前記天面に、リード線が前記制御基板に取り付けられた部位を封止するポッティング材を導入するための第一窓部が設けられ、
前記側周面に、前記リード線を引き出すための第二窓部が設けられ、
前記第一窓部と前記第二窓部とはブリッジ部で隔てられている、軸流送風機。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成により電気特性の低下を抑制することができる軸流送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る軸流送風機の斜視図である。
図2図1に示す軸流送風機1のII-II断面図である。
図3図1に示す軸流送風機1のII-II断面図である。
図4】従来の軸流送風機1の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る軸流送風機1の一例を示す斜視図である。図1に示すように、軸流送風機1は、矢印で示す送風方向Dに沿って気流Wを生成するファンである。軸流送風機1は、ケーシング2と、ケーシング2に対して回転軸線X回りに回転するインペラ10(図2参照)と、を備えている。図1に上下方向に延びる回転軸線Xの下方を上流側、上方を下流側と呼ぶこともある。
【0012】
図2及び図3は、図1に示す軸流送風機1のII-II断面図である。図2及び図3に示すように、ケーシング2は、外枠部3と、支持筒部30と、固定ブレード35と、を有している。
外枠部3は、インペラ10との間に空気の吸込口3aと送出口3bとに連通する円筒状の内部空間50を形成する部材である。
支持筒部30は、回転軸線X方向に延びる筒状の金属部材である。支持筒部30の中心軸線は回転軸線Xと一致している。支持筒部30の内部に、回転軸部13が設けられている。
【0013】
支持筒部30の外周面には、ステータホルダ23を介してステータコイル24が設けられている。ステータホルダ23の下流側には、ステータコイル24を制御する制御基板21が設けられている。この制御基板21は、支持筒部30の外周面に設けられた段差部とステータホルダ23とに挟まれて固定されている。
【0014】
支持筒部30の下流側端部はカバー部31の一部を形成している。カバー部31は、制御基板21の下流側の面を覆う円板状の部位である。カバー部31は、埃などが下流側から制御基板21に入り込むのを抑制する。
【0015】
カバー部31の径方向外周面と外枠部3との間は、円筒状の内部空間50で隔てられている。固定ブレード35はこの外枠部3とカバー部31とを接続するように設けられている。固定ブレード35は、内部空間50の下流側に設けられ、インペラ10によって生成された気流Wを整流して軸流送風機1の下流へ流し、送風効率を向上させる。
【0016】
インペラ10は、ケーシング2に対して回転軸線X回りに回転する。インペラ10は、インペラカップ11と、翼部12と、回転軸部13と、を有している。
【0017】
回転軸部13は、回転軸線X方向に延びる部材である。回転軸部13は、支持筒部30の内部に設けられている。回転軸部13は、軸受を介して支持筒部30に回転可能に支持されている。
【0018】
インペラカップ11は、有底円筒状の部材である。インペラカップ11は、底部11aが上流側に位置する姿勢で設けられている。インペラカップ11の中心軸線は回転軸線Xと一致するように設けられている。インペラカップ11は、底部11aで回転軸部13と接続されている。
【0019】
インペラカップ11の外周面には翼部12が設けられている。翼部12は、内部空間50に設けられている。インペラカップ11の内周面に磁石22が固定されている。ステータコイル24に通電されると、ステータコイル24と磁石22との相互作用によりインペラカップ11が回転する。
インペラ10は、上記構成により回転軸部13の回転に伴って回転軸線Xの周りを回転し、気流Wを下流側へと送ることができる。
【0020】
ここで従来の軸流送風機1Aの軸方向に沿った断面での断面図を図4に示す。図4に示す軸流送風機1Aの構成は本開示に係る軸流送風機1と概ね一致しており、インペラ10Aによって気流WAを生じさせる構成である。
【0021】
従来の軸流送風機1Aにおいては、制御基板21Aに接続されたリード線を引き出すために、カバー部31に切り欠き部40Aが設けられていた。しかし、図4のAに示すように、カバー部31に切り欠き部40Aが設けられることによって、制御基板21Aとリード線の接合部101Aは大きく露出してしまう。
【0022】
さらに、風洞空間に気流WAが発生させた場合、カバー部31における切り欠き部40Aが設けられている箇所は、気流WAの通る空間においてインペラカップ11Aをはじめとする他の箇所と比べ径方向に凹んでいるため、気流WAが接合部101Aに流入してしまう。これにより、切り欠き部40Aから気流WAが接合部101Aの周辺に流入してしまい、気流WAのロスを引き起こしていた。また、切り欠き部40Aから進入する埃が接合部101Aに堆積し、接合部101Aの腐食を引き起こし、接合部101Aの寿命を低下させていた。
【0023】
なお、従来の軸流送風機1Aにおいては、図4のBに示すように接合部101Aを保護するため、接合部101Aを封止するポッティング剤41Aを塗布することもあった。しかし、切り欠き部40Aからポッティング剤41Aを導入すると、ポッティング剤41Aは制御基板からはみ出し、気流WAの流れを阻害してしまうことが多い。そのため、作業者は軸流送風機1Aの組み立て過程において、ポッティング剤41Aの塗布の際は塗布量および塗布箇所に注意しなければならないという煩雑さがあった。
【0024】
そこで、本開示に係る軸流送風機1は、制御基板21を保護するためのカバー部31が設けられている。
カバー部31は、インペラカップ11の送出口3b方向の開口を閉じる板状の部材である。カバー部31は回転軸線X方向に対向する天面31aと、インペラカップ11の径方向に対向する縁部31bと、を有する。縁部31bの少なくとも一部は回転軸線X方向に延びている。
【0025】
カバー部31はさらに天面31aに開口する第一窓部32と、縁部31bに開口する第二窓部33を有する。
第一窓部32と第二窓部33はブリッジ部34によって隔てられている。ブリッジ部34は回転軸線X方向に面する上面34aと、インペラカップ11の径方向に面する側周面34bと、を有する。なお、ブリッジ部34の側周面34b及びカバー部31の縁部31bはインペラカップ11の側面よりも径方向内側に位置するように設けられる。
【0026】
図2に示すように、軸流送風機1の内部には、カバー部31と、ブリッジ部34と、制御基板21と、によって接合室40が構成されている。モータ20の制御基板21はこの接合室40において、リード線100と接合部101によって接続される。接合部101には例えばはんだ等が用いられる。本開示に係る軸流送風機1では、接合部101を保護し、接続強度を高めることを目的として、接合室40にポッティング剤41が導入されていてもよい。
【0027】
カバー部31に設けられる第一窓部32は軸流送風機1の組み立て工程において、制御基板21とリード線100とを接合する際に用いることができる。例えば接合部101の作成及びポッティング剤41の導入は第一窓部32を通して行うことができる。
また、カバー部31に設けられる第二窓部33は制御基板21と接続されたリード線100を接合室40の外に引き出す際に用いることができる。
【0028】
上記構成によれば、第一窓部32によってポッティング剤41の導入を可能にしつつ、ブリッジ部34を設けることによって空気が制御基板21側に回り込むことを防ぎ、リード線100の接合部101の耐久力を向上させることができる。また、ブリッジ部34によってポッティング剤41のはみだしを封止しながらも、空気の流れのロスを少なくすることができる。
【0029】
また、本開示に係る軸流送風機1においては、ブリッジ部34の少なくとも一部は、回転軸線方向に延びている。これにより、リード線100の接合部101にポッティング剤41を塗布した際のポッティング剤41のはみだしを防止することができ、空気の流れのロスを防ぐことが可能である。
【0030】
また、本開示に係る軸流送風機1においては、ブリッジ部34の外周面はインペラカップ11の外周面よりも径方向内側に位置する。これにより、気流Wが下流側に流れる際に、流れを阻害することが無い。
【0031】
以上、本開示の軸流送風機1について詳述したが、本開示は上記構成に限られない。例えば、第二窓部33を形成する縁部31bによってリード線100が押圧されていてもよい。上記構成によれば、リード線100に外力が加わった際にも、第二窓部33を形成する縁部31bによってリード線100が押圧されているため、接合部101の耐久性が向上する。
【0032】
また、第一窓部32はシールによって覆われていてもよい。上記構成によれば、第一窓部32はシールによって覆われているため、リード線100と制御基板21とが接合される接合室40に空気が侵入しづらく、リード線100の接合部101の耐久力を向上させることができる。
【0033】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0034】
1,1A 軸流送風機
2 ケーシング
3 外枠部
3a 吸込口
3b 送出口
10,10A インペラ
11,11A インペラカップ
11a 底部
12 翼部
13 回転軸部
20 モータ
21,21A 制御基板
22 磁石
23 ステータホルダ
24 ステータコイル
30 支持筒部
31 カバー部
31a 天面
31b 縁部
32 第一窓部
33 第二窓部
34 ブリッジ部
34a 上面
34b 側周面
35 固定ブレード
40 接合室
40A 切り欠き部
41,41A ポッティング剤
50 内部空間
100 リード線
101,101A 接合部
図1
図2
図3
図4