(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132253
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】移載装置及び移載方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65G47/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042964
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 史典
(72)【発明者】
【氏名】浜田 佳明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆司
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA11
3F072GA10
3F072GD01
3F072GG03
3F072JA07
3F072JA09
3F072KA01
3F072KA26
3F072KD02
3F072KD17
3F072KD19
3F072KD23
3F072KE11
(57)【要約】
【課題】搬送される対象物を所定の向きで包装容器上に整列させる移載装置及び移載方法を提供する。
【解決手段】一実施形態にかかる移載装置は、搬送される対象物1を保持及び解放可能であるとともに、対象物1の搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンド41と、搬送経路の上方から対象物1を撮影した画像の情報を取得する画像取得部11と、画像から対象物1の画像を切り出し、対象物1の画像の長手方向における、一方側の対象物1の画像の端部および他方側の対象物1の画像の端部の、所定の色の部分の大きさを比較することにより対象物1の向きを判断し、対象物1の向きの判断結果を用いて保持ハンド41の回転角度を制御するコントローラCTR1と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される対象物を保持及び解放可能であるとともに、前記対象物の搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドと、
前記搬送経路の上方から前記対象物を撮影した画像の情報を取得する画像取得部と、
前記画像から前記対象物の画像を切り出し、前記対象物の画像の長手方向における、一方側の前記対象物の画像の端部および他方側の前記対象物の画像の端部の、所定の色の部分の大きさを比較することにより前記対象物の向きを判断し、前記対象物の向きの判断結果を用いて前記保持ハンドの回転角度を制御するコントローラと、を備えた移載装置。
【請求項2】
前記長手方向は、前記対象物の画像に外接する最小外接矩形の長辺と略平行な第1方向である、請求項1記載の移載装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記対象物の画像の重心座標を演算し、画像処理平面において、前記最小外接矩形の前記長辺が前記第1方向と略平行となるように前記対象物の画像を回転させるとともに、前記重心座標が前記画像処理平面の第1座標となるように前記対象物の画像を移動させ、前記第1座標に対し前記第1方向の一方側に設定された第1エリアと重複する前記対象物の画像の部分における前記所定の色の部分の大きさと、前記第1座標に対し前記第1方向の他方側に設定された第2エリアと重複する前記対象物の画像の部分における前記所定の色の部分の大きさと、を比較することにより、前記対象物の向きを判断する、請求項2記載の移載装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記最小外接矩形の長辺と前記対象物の搬送方向とが成す第1角度を演算し、前記第1角度と前記対象物の向きの判断結果を用いて、前記保持ハンドの回転角度を演算する、請求項2記載の移載装置。
【請求項5】
前記対象物のピックアップ処理を待機している状態における前記保持ハンドの回転角度をゼロとし、
前記コントローラは、前記搬送経路における前記対象物の向きが第1向きであるときに、前記保持ハンドの回転角度を前記第1角度として前記搬送経路上の前記対象物を保持させ、
前記搬送経路における前記対象物の向きが前記第1向きの逆である第2向きであるときに、前記保持ハンドの回転角度を前記第1角度と180°との和として前記搬送経路上の前記対象物を保持させる、請求項4記載の移載装置。
【請求項6】
前記搬送経路の側部に配され、前記対象物を収容する容器を容器載置位置に向けて供給する容器供給部を備え、
前記コントローラは、前記容器載置位置において、前記容器の載置部の短手方向における一端側の第1載置位置と、他端側の第2載置位置とを設定し、前記保持ハンドにより、前記第1載置位置に配置される前記対象物と前記第2載置位置に配置される前記対象物との向きが同じになるように前記対象物を前記載置部上に載置する、請求項1記載の移載装置。
【請求項7】
前記搬送経路の側部に配され、前記対象物を収容する容器を容器載置位置に向けて供給する容器供給部を備え、
前記コントローラは、前記容器載置位置において、前記容器の載置部の短手方向における一端側の第1載置位置と、他端側の第2載置位置とを設定し、前記保持ハンドにより、前記第1載置位置に配置される前記対象物と前記第2載置位置に配置される前記対象物との向きが逆になるように前記対象物を前記載置部上に載置する、請求項1記載の移載装置。
【請求項8】
前記搬送経路の側部に配され、前記対象物を収容する容器を容器載置位置に向けて供給する容器供給部を備え、
前記コントローラは、前記容器載置位置において、前記容器の載置部の短手方向における一端側の第1載置位置と、他端側の第2載置位置と、前記第1載置位置と前記第2載置位置との間の第3載置位置とを設定し、前記保持ハンドにより、前記第1載置位置に配置された前記対象物と同じ向きとなるように前記第2載置位置に前記対象物を載置させ、前記第1載置位置に配置された前記対象物と逆の向きとなるように前記第3載置位置に前記対象物を載置させる、請求項1記載の移載装置。
【請求項9】
ガイド部材と、前記容器載置位置において前記載置部の前記他端側の側部から前記載置部上との間で前記ガイド部材を移動させる移動機構と、を備えたガイド装置を備え、
前記コントローラは、前記保持ハンドにより前記第1載置位置に前記対象物が放出される前に、前記移動機構により、少なくとも前記第2載置位置を被うとともに前記第1載置位置が露出されるように、前記ガイド部材を前記載置部の前記他端側の側部から前記載置部上へ移動させ、前記第1載置位置へ前記対象物が放出された後に、前記ガイド部材を前記載置部上から前記載置部の前記他端側の側部へ移動させる、請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の移載装置。
【請求項10】
搬送される対象物を保持及び解放可能であるとともに、前記対象物の搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドを備えた移載装置による移載方法であって、
前記搬送経路の上方から前記対象物を撮影した画像の情報を取得し、
前記画像から前記対象物の画像を切り出し、前記対象物の画像の長手方向における、一方側の前記対象物の画像の端部および他方側の前記対象物の画像の端部の、所定の色の部分の大きさを比較することにより前記対象物の向きを判断し、
前記対象物の向きの判断結果を用いて前記保持ハンドの回転角度を制御する、移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物などの対象物を移載する、移載装置及び移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果実といった農作物は耕地から収穫された後、集出荷場に集約され、卸売り、小売り各店舗まで配送されることで消費者の元に届けられる。この流通過程において集出荷場では、農作物に対し、洗浄、検査、選果等の作業が行われている。農作物は、任意の個体数に整列された後、洗浄や検査、選果といった作業を受け、包装容器内に移設され梱包される。一般的に、この様な作業は人力にて行われているが、一定の処理能力、品質確保、少人化を図るため、農作物をコンベア等で搬送しつつ、上記一連の作業を人手に寄らずに行うことが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「東都生協機関誌 MOGMOG 2022年7・8月号」2-3頁、「今月の産地 橋田農園」、2022年7月10日発行、URL:https://www.tohto-coop.or.jp/mogmog/2022%E5%B9%B47%E3%83%BB8%E6%9C%88%E5%8F%B7/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農作物の中には、包装容器上の所定の位置において、所定の向きとなるように整列された後に梱包される種類がある。例えば、みょうが、ししとう、わさび、オクラ等である。これらは外皮や葉鞘の最外層や柔毛が商品価値の一部であるとともに、不定形な形状であるため、加傷されやすく、また傷によって消費価値を損じてしまう。このため、搬送される対象物を適切に把持し、所定の位置において所定の向きに配して整列させる技術が求められる。
【0006】
そこで、本発明は搬送される対象物を所定の向きで包装容器上に整列させる移載装置及び移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様による移載装置は、搬送される対象物を保持及び解放可能であるとともに、前記対象物の搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドと、前記搬送経路の上方から前記対象物を撮影した画像の情報を取得する画像取得部と、前記画像から前記対象物の画像を切り出し、前記対象物の画像の長手方向における、一方側の前記対象物の画像の端部および他方側の前記対象物の画像の端部の、所定の色の部分の大きさを比較することにより前記対象物の向きを判断し、前記対象物の向きの判断結果を用いて前記保持ハンドの回転角度を制御するコントローラと、を備える。
【0008】
本発明の第2態様による移載方法は、搬送される対象物を保持及び解放可能であるとともに、前記対象物の搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドを備えた移載装置による移載方法であって、前記搬送経路の上方から前記対象物を撮影した画像の情報を取得し、前記画像から前記対象物の画像を切り出し、前記対象物の画像の長手方向における、一方側の前記対象物の画像の端部および他方側の前記対象物の画像の端部の、所定の色の部分の大きさを比較することにより前記対象物の向きを判断し、前記対象物の向きの判断結果を用いて前記保持ハンドの回転角度を制御する、方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送される対象物を包装容器上で所定の向きに整列させる移載装置及び移載方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る移載装置を含む梱包装置の平面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る移載装置の移載ロボットおよび容器供給装置の側面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る移載装置の移載ロボットおよび容器供給装置の側面図の他の例である。
【
図4】
図4は、
図1に示す第1移載装置の保持ハンドの側面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す第1移載ロボットの保持ハンドの正面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す第1移載ロボットの保持ハンドの保持状態を示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す移載装置により対象物を容器上へ移載する動作の一例について説明するための図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の移載装置において、対象物の重心座標と傾きとを検出する動作の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、一実施形態の移載装置において、対象物の向きを検出する動作の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、一実施形態の移載装置において、対象物の向きを検出する動作の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、
図1に示す移載装置の保持ハンドによる対象物の位置補正の一例について説明するための図である。
【
図13】
図13は、
図1に示すガイド装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態にかかる農作物の移載装置及び移載方法について、
図1乃至
図12を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る移載装置を含む梱包装置の平面図である。
図2は、一実施形態に係る移載装置の移載ロボットおよび容器供給装置の側面図である。
図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向を示している。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0012】
本実施形態において、対象物1は例えば野菜や果物などの脆弱な性状または複雑な形状を有する農作物である。本実施形態では農作物の一例としてみょうがを対象物1とした例を示す。
図1に示す梱包装置は、対象物1としてのみょうがを容器3に移載し、梱包する装置である。梱包装置は、第1搬送装置21と、第2搬送装置22と、第1移載装置R1と、第2移載装置R2と、前処理装置70と、を備えている。
【0013】
前処理装置70は、手選別コンベアA1と、振分けコンベアA21、A22と、を備えている。
手選別コンベアA1はローラーコンベア式の搬送機構部であって、対象物1を横臥状態のまま自転させながら搬送方向(Y方向)に搬送する。このとき、作業者により対象物1の目視確認が行われ、商品としての条件を備えていない個体が除去される。
【0014】
振分けコンベアA21、A22はベルトコンベヤ式の搬送機構部であって、手選別コンベアA1により搬送方向Yに搬送された対象物1の搬送経路を、X方向(搬送方向Yと略直交する方向)の一方側と他方側とに分岐させる。なお、以下の説明において、振分けコンベアA21により分岐された搬送経路を第1搬送経路、振分けコンベアA22により分岐された搬送経路を第2搬送経路とする。
【0015】
第1搬送装置21および第2搬送装置22は、例えばベルトコンベヤ式の搬送機構部である。
第1搬送装置21は、振分けコンベアA21から供給された対象物1を搬送方向Yの下流に搬送する。第1搬送装置21は、第1搬送経路に沿って設置された搬送ガイド部材と、搬送ガイド部材に支持され搬送経路に渡って配置された搬送ベルトと、搬送ベルトの裏側に設けられ搬送ベルトを送る複数の搬送ローラと、搬送ローラに取り付けられた搬送速度検出器と、搬送ローラを回転駆動する駆動源となるモータと、を備える。第1搬送装置21は、搬送ローラの回転に伴う搬送ベルトの送り移動により、搬送ベルト上に載置された対象物1を、横臥状態のまま第1搬送経路に沿って案内し、搬送する。
【0016】
第2搬送装置22は、振分けコンベアA22から供給された対象物1を搬送方向Yの下流に搬送する。第2搬送装置22は、第2搬送経路に沿って設置された搬送ガイド部材と、搬送ガイド部材に支持され搬送経路に渡って配置された搬送ベルトと、搬送ベルトの裏側に設けられ搬送ベルトを送る複数の搬送ローラと、搬送ローラに取り付けられた搬送速度検出器と、搬送ローラを回転駆動する駆動源となるモータと、を備える。第2搬送装置22は、搬送ローラの回転に伴う搬送ベルトの送り移動により、搬送ベルト上に載置された対象物1を、横臥状態のまま第2搬送経路に沿って案内し、搬送する。
第1搬送装置21による第1搬送経路、および、第2搬送装置22による第2搬送経路は、一例として図中Y方向に沿って配設される。
【0017】
第1移載装置R1と第2移載装置R2とは、第1搬送装置21および第2搬送装置22それぞれの搬送経路上にある野菜や果実などの対象物1を、容器3上に移載する装置である。
容器3は、例えば対象物1が載置される載置部3aを有するトレイである。例えば容器3は、上側が開口し、上方から対象物1が移載された後に、上方からカバーが被せられる。
【0018】
第1移載装置R1は、第1容器供給装置31と、第1移載ロボットARM1と、第1コントローラCTR1と、第1画像処理装置11と、第1ガイド装置G11、G12と、を備える。第2移載装置R2は、第2容器供給装置32と、第2移載ロボットARM2と、第2コントローラCTR2と、第2画像処理装置12と、第2ガイド装置G21、G22と、を備える。
【0019】
本実施形態では、第1移載装置R1と第2移載装置R2とは同様の構成を備え、第1移載装置R1と第2移載装置R2との同じ機能を有する構成はY方向に対し略線対称となる位置に配されている。以下では、第1移載装置R1の構成について説明し、第2移載装置R2の構成の詳細な説明は省略する。
なお、第1移載装置R1および第2移載装置R2の配置位置は、
図1に示す例に限定されるものではなく、例えば、第1移載装置R1および第2移載装置R2が対象物1の一つの搬送経路に沿って配置されてもよい。その場合、第1移載装置R1の移載ロボットARM1と、第2移載装置R2の移載ロボットARM2とは、搬送経路の側部に配置されてもよく、搬送経路上を跨ぐように設けられた支持台上に配置されてもよい。
【0020】
第1画像処理装置11は、例えば画像センサを備える撮像装置や照明装置を備える。第1画像処理装置11は、第1コントローラCTR1に接続され、第1搬送経路上の対象物を上から撮像して、画像情報を取得する画像取得部である。第1画像処理装置11は、取得した画像情報を第1コントローラCTR1へ送る。
なお、画像処理装置11の二次側には、第1搬送経路における対象物1のピックアップ位置が配され、第1搬送経路のピックアップ位置よりも下流側には、保持完了位置が設定される。
【0021】
第1容器供給装置31は、容器載置位置に向けて間欠的に容器3を押し出す容器供給部31cと、移載処理が行われた後の容器3を下流側に搬送するコンベヤ式の容器搬送機構311、312と、を備え、容器3を、容器搬送経路に沿って搬送する。容器搬送経路は、第1搬送経路の両側部に設けられる。容器搬送経路には、対象物1の移載先となる第1載置位置P1乃至第3載置位置P3(
図7に示す)が設定される。
【0022】
容器供給部31cは、容器3を複数枚積層させた状態で保持する容器ラック31aと、容器ラック31aに保持された容器3を1つずつ容器搬送経路または容器載置位置に供給する供給アーム31bと、を備える。容器供給部31cは、容器3を1つずつ所定のタイミングで順次供給する。容器3が上側に開口した状態で1枚ずつ容器載置位置に配置され、対象物1が配置されるまで容器載置位置にて待機する。
【0023】
容器搬送機構311、312は、例えば容器搬送経路に沿って設置され容器3が容器搬送経路に沿って移動するように誘導する搬送ガイド部材と、搬送ガイド部材上に配置された容器3を容器搬送方向の下流側へスライドさせるスライド機構と、を備える。容器搬送機構311、312は、搬送ガイド部材に支持され容器搬送経路にわたって配置された搬送ベルトと、搬送ベルトの裏側に設けられる複数の搬送ローラと、搬送ローラを回転駆動する駆動源となるモータで構成されていてもよい。容器搬送機構311、312は、例えば容器載置位置の下流側あるいは容器載置位置を通る経路に配置され、第1搬送経路と同方向に沿って、移載後の容器3、すなわち対象物1が配置された状態の容器3を、下流側に搬送する。
【0024】
一例として、容器搬送経路は、Y方向の一方側から他方側に向けて、容器3を搬送するように設定される。例えば容器搬送経路の下流側は、移載後の検査処理、仕分処理、あるいは容器3へのカバー装着処理などの後続処理を行う各種の処理装置が設けられた後続エリアに接続され、各種処理装置より、容器3に順次後続処理が行われる。容器搬送経路の二次側は他の搬送経路に接続されていてもよい。なお、各搬送経路は適宜設定可能であり、湾曲または屈曲、あるいは傾斜していてもよい。
【0025】
第1移載ロボットARM1は、対象物1を保持可能かつ解放可能に構成された保持ハンド41と、保持ハンド41を支持するとともに移動させるハンド移動機構としての移載アーム42と、を備える。
図4は、
図1に示す第1移載装置の保持ハンドの側面図である。
図5は、
図1に示す第1移載ロボットの保持ハンドの正面図である。
図6は、
図1に示す第1移載ロボットの保持ハンドの保持状態を示す正面図である。
【0026】
図2乃至
図5に示す保持ハンド41は、ベース部43と、ベース部43から下方に延出する保持部材44及び押さえ部材45と、を備える。一例として、保持ハンド41は、互いに対向配置されるとともにその間に対象物1を保持可能な複数の保持部材44と、複数の保持部材44の間に配される押さえ部材45と、を備える。保持ハンド41は対象物1を保持及び解放可能であるとともに第1搬送経路に対して接離可能に構成される。保持部材44は対象物1を挟む両側部にそれぞれ配される。本実施形態においては対象物1を挟む両側部にそれぞれ2つずつ、合計4つの保持部材44がベース部43に支持されている。
【0027】
保持部材44は柔軟性を有するとともに弾性変形可能なエラストマー樹脂材、シリコーンゴム等の緩衝材料で形成される。保持部材44は、内部にエア流路44aを有し、膨張可能に構成される。各保持部材44は、複数箇所において屈曲変形可能に構成された指状部材を備える。例えば保持部材44は、互いに向い合う対向面に配されるブレード部44bと、ブレード部44bとは反対側の外側面に配され伸縮変形可能な蛇腹状の伸縮部44cと、を有する。エア流路44aは、駆動機構としてのエア供給機構45dに接続され、内部の空気量が調節可能に構成されている。例えばエア供給機構45dは、第1コントローラCTR1に接続され、第1コントローラCTR1の制御によって、保持部材44へ空気を供給することで、保持部材44を湾曲変形させ、保持ハンド41を開閉駆動する。
【0028】
保持部材44はブレード部44bと伸縮部44cとで伸縮の挙動が異なり、空気量の増減によって、外側の伸縮部44cが内側のブレード部44bよりも大きく伸長する。またブレード部44bは、対向面側に、ブレード部44bを内側に湾曲変形しやすくする変形許容溝が形成される。各保持部材44は、内部のエア流路44aへのエアの供給状態に応じて伸縮部44cが伸縮することで、湾曲変形可能に構成されている。例えば、保持部材44は、エア供給により内部の空気量が増えると、伸縮部44cが伸長するとともに、ブレード部44bの先端が内方に向かって変位するように、湾曲変形する。
【0029】
保持部材44は、長手方向が第1搬送経路に沿って配される対象物1の短手方向の両側部にそれぞれ2つずつ配置され、互いに対向する複数の保持部材44間の隙間に対象物1を挟むように、対向配置される。すなわち、2組の保持部材44は搬送方向と直交する方向に対向し、搬送方向に沿って延出する隙間が形成される。
【0030】
複数の保持部材44は、先端部が互いに近接することで対象物1を保持する保持状態と、先端部が互いに離間することで対象物1を解放する解除状態とで、切替可能に構成される。すなわち保持部材44は駆動機構としてのエア供給機構45dに駆動されて能動的に動作する能動マニピュレータとなる。
【0031】
なお、各保持部材44はベース部43に対して着脱可能に構成されていてもよい。例えば対象物1の形状等の特性に応じて、保持部材44が交換可能である。例えば保持部材44のサイズや形状、あるいは数を変更することで、対象物1の形状に合わせた構成とすることができる。
【0032】
押さえ部材45は、対向配置される複数の保持部材44の間に配される。押さえ部材45は保持ハンド41のベース部43から下方に延出するとともにベース部43に対して進退動可能に支持される軸部45aと、軸部45aの先端に設けられる頭部45bと、を備える。軸部45aは上下方向に進退動作可能にベース部43に支持されると。軸部45aは、上方への外力の印加により上方へ移動し、外力の印加が解除されると初期位置へ復元する。例えば軸部45aは重力によって先端方向に突出する自由状態に戻る復元性を有する。したがって、押さえ部材45は、対象物1を所定の押さえ力で先端方向に押圧するとともに、対象物1から受ける力によって後退すなわち退避可能に構成される。すなわち、押さえ部材45は保持部材44の動作に伴う対象物の挙動を受けて受動的に動作する受動マニピュレータである。
【0033】
例えば頭部45bはエラストマー樹脂などの柔軟性を有するとともに弾性変形可能な緩衝体で構成される。押さえ部材45は、対象物1を保持していない自由状態において、保持部材44の先端部よりも下方に向けて突出する。押さえ部材45は、押さえ部材45の自重による所定の押さえ力で、対象物1を先端側に押圧することになる。この押さえ力は、保持部材44による保持力よりも小さく構成されている。例えば、押さえ力は、保持部材44を閉じる動作によって対象物1を保持する際に、対象物1に当接して押されることで、後退する程度の力に構成されている。すなわち、押さえ部材は、対象物1が保持部材44によって掬い上げられる時に、対象物を反対に押しつけたり、傷つけたりせずに、対象物1の姿勢を安定させる程度の力を付与する。なお、押さえ部材45は復元性を有し押さえ力を補助するばねなどの付勢部材をさらに備えていてもよい。
【0034】
保持ハンド41は移動装置としての移載アーム42に支持され、移動可能及び回転可能に構成される。
移載アーム42は、例えば第1搬送経路に隣接して配置された基端部から上方及び平面方向において搬送経路を跨いで延出し、保持ハンド41の例えばベース部43を移動可能かつ回転可能に、支持する。具体例として、移載アーム42は、支柱部46と、第1回動アーム47と、第2回動アーム48と、回転機構部49と、昇降機構部51とを備える。
【0035】
支柱部46は、例えば第1搬送経路の側部または第1搬送経路の終点位置に隣接する基端位置から上方に立設され、第1回動アーム47をZ方向の回転軸周りに回転可能に支持する。なお、たとえば
図3に示すように、支柱部46は天井に接続され、第1の回動アーム47を支持する構造であってもよい。
第1回動アーム47は支柱部46の上端部に接続され、支柱部46の延出方向であるZ軸に直交して延出するアーム部47aと、アーム部47aを回動させる回転モータ等の駆動源47bと、を備える。アーム部47aの先端に、第2回動アーム48が連結される。
【0036】
第2回動アーム48は第1回動アーム47のアーム部47aの先端に接続され、Z軸に直交して延出するアーム部48aと、アーム部48aを回動させる回転モータ等の駆動源48bと、を備える。アーム部48aの先端に、回転機構部49及び昇降機構部51を介して、保持ハンド41のベース部43が連結される。
【0037】
例えば回動アーム47,48の、回動方向及び回動量は、第1画像処理装置11で検出された情報に基づいて決定される。すなわち、移載時に、検出された対象物1の位置に応じて算出された補正条件で回動量を調整することで、個々の対象物1に適した位置に移動させることができる。
【0038】
回転機構部49は、第2回動アーム48の先端部に設けられ、保持ハンド41のベース部43をZ方向に沿う回動軸を中心として回転可能に支持する。回転機構部49の回動動作は第1コントローラCTR1によって制御される。例えば回動の方向及び回転量は、第1搬送経路において第1画像処理装置11で検出された情報に基づいて決定される。すなわち、回転機構部49は、移載時に、検出された対象物1の向きに応じて算出された補正条件でベース部43を回転させることで、保持ハンド41を個々の対象物1の姿勢に合わせて向きに補正する。保持ハンド41の対象物1に合わせた向きの一例は、例えば対象物1の両側部を挟める位置に2組の保持部材44が配置される姿勢である。
【0039】
昇降機構部51は、保持ハンド41のベース部43を、第2の回動アーム48の先端部に対して、Z方向に移動可能に支持する。昇降機構部51、直線運動可能なシリンダ機構を備え、Z方向に移動可能な昇降軸を有する。昇降機構部51は、昇降軸の下端部にベース部43を支持することで、保持ハンド41を昇降可能に支持する。
【0040】
昇降機構部51の昇降動作は第1コントローラCTR1によって制御される。例えば昇降動作のストロークは、第1画像処理装置11で検出された情報に基づいて決定される。すなわち、昇降機構部51は、移載時に、検出された対象物1の位置に応じて算出された補正条件で保持ハンド41を昇降させる。
【0041】
以上のように構成された移載アーム42は、第1搬送経路に隣接する基部から、複数のアームのストロークによって定まる所定の可動面及び可動範囲において、保持ハンド41を任意の位置に位置付けることが可能であるとともに、保持ハンド41の昇降移動及び回転移動が可能に構成される。
【0042】
例えば、移載アーム42は、第1コントローラCTR1の制御によって駆動されることで、保持ハンド41をピックアップ位置における搬送移動と同方向に移動させながら、第1搬送経路に近接させる。また、移載アーム42は、保持ハンド41が閉状態となり対象物1を保持するまでの間も、保持ハンド41をピックアップ位置における搬送移動と同方向に移動させる。また、移載アーム42は、保持ハンド41を、ピックアップ位置における搬送移動と同方向に移動させながら、第1搬送経路から離間させる。
【0043】
第1ガイド装置G11、G12は、容器載置位置の近傍において、容器搬送機構311、312の側部に配置されている。第1ガイド装置G11と第2ガイド装置G12とは、容器搬送方向と直交する方向において、容器搬送機構311、312を挟むように配置されている。すなわち、容器搬送機構311と容器搬送機構312との間には第1移載ロボットARM1が配置され、第1ガイド装置G11は第1移載ロボットARM1が配置されていない側の容器搬送機構311の側部に配置され、第2ガイド装置G12は第1移載ロボットARM1が配置されていない側の容器搬送機構312の側部に配置されている。
【0044】
第1ガイド装置G11、G12は、ガイド部材Gと、容器搬送機構311、312の側部と容器搬送経路の容器載置位置の上部との間でガイド部材Gを移動させる移動機構と、を備えている。ガイド部材Gの移動機構は、例えば、エアシリンダー等を適用することができる。エアシリンダーによりガイド部材Gを移動させる場合には、ガイド部材Gは空圧により移動可能(軽量)であり、対象物1との衝突時に対象物1を傷つけない形状とすることが望ましい。第1ガイド装置G11、G12の動作は、第1コントローラCTR1により制御される。
【0045】
第1コントローラCTR1は、例えば、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)などのプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備えている。
なお、
図1に示す第1コントローラCTR1から他の構成に向けて出力される制御信号は第1コントローラCTR1の一部の機能を図示したものであって、第1コントローラCTR1は、例えば、ロボットコントローラ、ビジョン(カメラ)コントローラ、コンベアコントローラ、制御用PLC(Programmable Logic Controller)などの種々の機能を備え、梱包装置に含まれる種々の構成を制御可能に構成され得る。また、第1コントローラCTR1は、例えば、梱包装置に含まれる各装置の各駆動機構や各種センサに接続され、各種センサにより検出された情報を用いて第1移載装置R1の動作を制御する。
【0046】
また、例えば第1コントローラCTR1は、第1搬送装置21を駆動し、対象物1を第1搬送経路に沿って搬送する搬送処理を実行させる。また、第1コントローラCTR1は、第1搬送装置21による搬送速度を搬送速度検出器から取得し、搬送速度に応じた所定のタイミングで第1画像処理装置11のカメラを駆動することにより、対象物1を撮像して画像を取得する。また、第1コントローラCTR1は、第1画像処理装置11のカメラにて撮像した画像のデータを用いて、第1搬送経路上の対象物1の位置座標や状態(傾き、向き)を検出する。
【0047】
また、第1コントローラCTR1は、第1移載ロボットARM1を駆動することにより、保持ハンド41の移動及び開閉動作を行わせ、対象物1をピックアップ位置からピックアップし、第1載置位置P1乃至第3載置位置P3のいずれかの直上に移動させ、当該載置位置へ対象物1を解放する、移載処理を行う。
【0048】
次に、本実施形態に係る移載装置による梱包処理について説明する。
図7は、
図1に示す移載装置により対象物を容器上へ移載する動作の一例について説明するための図である。
本実施形態の梱包処理は、搬送装置21により対象物1を送る搬送処理と、画像処理装置11により対象物1の姿勢等の状態を検出する検出処理と、対象物1を保持して移載する移載処理と、を備える。
【0049】
なお、本実施形態において、第1移載ロボットARM1は3本のみょうがを、トレイ状の容器3の載置部3aに3列に配置し、真ん中のみょうがの葉先の方向が、両側のみょうがとは異なる向きとなるように、配置する。載置部3aは略矩形状であって、第1コントローラCTR1は、載置部3aの長辺とみょうがの長軸(例えば茎側の端と葉先とを結ぶ軸)とが略平行となるように、みょうがの向きを調整する。
【0050】
本実施形態においては、一例として、移載処理は、保持ハンド41を搬送方向に移動しながら第1搬送経路に近接させて対象物1を保持して引き上げるピックアップ処理と、保持ハンド41を第1載置位置P1乃至第3載置位置P3の直上に移動させる移動処理と、保持ハンド41を解放する解放処理と、を備える。なお、一例としてピックアップ処理と、移動処理と、解放処理に分けて3段階で説明するが、個々の処理の条件は適宜変更可能である。例えば、ピックアップ処理におけるZ方向及びY方向の動作と、移動処理におけるX方向の動作とを、一連の移動動作として、同時に行ってもよい。
【0051】
これらの複数の処理は第1コントローラCTR1によって制御され、個々の対象物1に対して、搬入、搬送、検出、保持、移動、解放、の一連の処理が順次行われる。
まず、前工程として、第1搬送経路の上流側において、複数の対象物1を一本ずつ第1搬送経路に搬入する対象物搬入処理が行われる。例えば本実施形態において、第1搬送経路上において対象物1であるみょうがは、茎側の端部から葉先に向かう軸方向が搬送面に沿って横臥した状態で搬送される。一方で、容器搬送経路の上流側において、容器供給処理として、容器3を1つずつ供給する容器供給処理を行う。具体的には、第1コントローラCTR1は、所定の時間間隔で容器搬送装置31を動作させることで、トレイ状の容器3を1つずつ、容器載置位置に供給する。
【0052】
第1コントローラCTR1は、対象物1の搬送処理として、所定の時間間隔で搬送装置21の搬送ベルトの送り運動及び停止を行う。対象物1は搬送ベルトの運転により下流側に送られる。なお、葉先と茎を結ぶ軸方向は、搬送方向に対して傾斜していることもあり、この場合には移載処理と同時に姿勢を揃える補正処理を行う。
【0053】
以下、第1コントローラCTR1による移載処理および補正処理について説明する。
第1コントローラCTR1は、対象物1がピックアップ位置よりも上流側の検査位置を通過する際に、第1画像処理装置11を駆動し、対象物1を撮像し、個々の対象物1の姿勢等の状態を検出する。そして、第1コントローラCTR1は、第1画像処理装置11から第1搬送経路上の対象物1の画像(検出画像)を取得し、対象物1の姿勢条件を検出し、移載処理における保持ハンド41の動作条件を算出する。例えば、動作条件として、保持の際の保持ハンド41の向きや、第1載置位置P1乃至第3載置位置P3の直上への移動中に回転させる補正量等である。なお、第1コントローラCTR1は、この対象物1の検出画像に基づいて、対象物1の商品価値に関わる各種項目の判定等をあわせて行ってもよい。
【0054】
図8は、一実施形態の移載装置において、対象物の重心座標と傾きとを検出する動作の一例を説明するための図である。
第1コントローラCTR1は、まず、対象物1の位置座標を演算する。第1コントローラCTR1は、第1画像処理装置11から取得した画像において、対象物1と背景との色味の違いを元に、画像から対象物1を切り出す。本実施形態では対象物1はみょうがであるので、第1コントローラCTR1は、例えば予め設定された白色系、黄色系、赤色系であると判断された部分を対象物1として切り出す。
【0055】
続いて、第1コントローラCTR1は、切り出された対象物1の画像の重心座標(X、Y)を演算し、当該重心座標(X、Y)を対象物1の位置座標とする。なお、対象物1の位置座標は、第1画像処理装置11から取得した画像において、予め設定された位置の座標を原点とした座標系で演算される。
【0056】
続いて、第1コントローラCTR1は、対象物1の画像の長手方向の回転角を演算する。具体的には、第1コントローラCTR1は、対象物1に外接するとともに面積が最小となる矩形(最小外接矩形)を設定し、搬送方向Yに対する当該矩形の長辺の回転角(第1角度)θ1を演算する。ここで、回転角θ1は、搬送方向Yと一致する角度を0°とし、搬送方向Yから時計回りの角度を負とし、搬送方向Yから反時計回りの角度を正として、±90°の範囲で設定される。
【0057】
なお、
図8には保持ハンド41の回転角度を併せて示している。保持ハンド41の回転角度は、例えば保持ハンド41がピックアップ処理を待機している状態における保持ハンド41の回転角度を0°(初期状態)とし、反時計回りの方向を正の回転角、時計回りを負の回転角として-180°より大きく180°以下の範囲で設定されている。
【0058】
続いて、第1コントローラCTR1は、対象物1の向きを検出する。第1コントローラCTR1は、第1画像処理装置11で撮影された画像から対象物1の画像を切り出し、対象物1の画像の一方側の端部および他方側の端部の、所定の色の部分の大きさを比較することにより、対象物1の向きを判断する。
【0059】
図9および
図10は、一実施形態の移載装置において、対象物の向きを検出する動作の一例を説明するための図である。
【0060】
第1コントローラCTR1は、切り出された対象物1の画像を回転角θ1がゼロとなるように回転させ、位置座標(X、Y)が画像処理平面における中心座標(第1座標)Cとなるように対象物1の画像をセンタリングする(
図9)。すなわち、画像処理平面において、水平方向(第1方向)と対象物1の最小外接矩形の長辺(対象物1の画像の長手方向)とが略平行となる。この状態で、対象物1であるみょうがの画像は、水平方向において、葉先が中心座標Cの一方側に配置され、茎が中心座標Cの他方側に配置される。
【0061】
ここで、画像処理平面には、中心座標Cを挟んで水平方向の一方側と他方側とに対象物1の端部の色を検出するための第1エリアAおよび第2エリアBが設定されている。第1コントローラCTR1は、エリアA、Bと重複する対象物1の部分の色を判断し、エリアA、Bそれぞれにおける白色(若しくは白色系)である部分の面積を演算する。ここで、第1コントローラCTR1が白色と判定する色は、予め設定された色の範囲であればよい。
【0062】
例えば、第1コントローラCTR1は、エリアA、Bのそれぞれと重複する対象物1の部分の複数の単位エリア(例えば1画素)それぞれについて、赤色、青色、黄色の割合が予め設定された範囲に含まれるときに、設定された色であると判断することができる。この場合、第1コントローラCTR1は、エリアA、Bの各々において、設定された色であると判断された単位エリア数の和を、設定された色である部分の面積として算出してもよい。
【0063】
なお、エリアAとエリアBとの位置および大きさは、対象物1の形状や対象物1の画像の大きさに応じて設定されればよく、対象物1の位置座標(X、Y)が画像処理平面の中心座標Cと一致するように対象物1を配置したときに、少なくとも対象物1の一部と重複するエリアであればよい。エリアAの大きさとエリアBの大きさとは同じであっても異なっていてもよく、画像処理平面上に3つ以上のエリアが設定されてもよい。
【0064】
本実施形態では、対象物1はみょうがであるので、葉先よりも茎の方が白色の部分の面積が大きくなる。このことから、第1コントローラCTR1は、白色である部分の面積が大きいエリアにみょうがの茎が配置されていると判断する。
【0065】
例えば
図10に示した例では、エリアBと重複する対象物1の部分の白色の面積が、エリアAと重複する対象物1の部分の白色の面積よりも大きいため、第1コントローラCTR1は、エリアBにみょうがの茎が配置されていると判断する。
【0066】
なお、対象物1がみょうが以外の農作物であっても、エリアと重複した箇所における所定の色の面積を比較することにより、第1コントローラCTR1により対象物1の向きを判断することが可能である。例えば、白ネギや白菜のように根に近い部分と、根から離れた葉先との色が異なる農作物や、いちごのように果実の部分と茎および葉の部分とで色が異なる農作物であれば、色により向きを判断することができる。またキュウリのように同色の農作物であっても、頭尾で突起形状分布に差異があり光沢度が変わる農作物であれば、反射色の分布を白色の面積と換算することで判断することも可能である。
【0067】
図11は、
図1に示す移載装置の保持ハンドによる対象物の位置補正の一例について説明するための図である。ここでは、第1搬送経路の上から見た対象物1と、保持ハンド41が対象物1を保持する際の4つの保持部材44と、の位置を示している。
移載処理として、第1コントローラCTR1は、算出された動作条件にて第1移載ロボットARM1を駆動し、ピックアップ処理、移動処理、解放処理、を順番に行う。
【0068】
第1コントローラCTR1は、対象物1の位置座標(X、Y)と搬送速度とから、対象物1がピックアップ位置に到達する時間と、ピックアップ時の対象物1の重心位置とを算出する。
【0069】
まず、ピックアップ処理として、対象物1の到達時刻までに、移載アーム42を制御して保持ハンド41の把持中心P0を、ピックアップ位置の上方(準備位置)へ移動させる。なお準備位置は例えばピックアップ位置よりも第1搬送経路の上流側にずれた位置の直上など、後の近接移動を行うことで、ピックアップ位置に到達できる所定の位置に設定される。また、保持ハンド41の把持中心P0は、保持ハンド41が対象物1を把持した際の対象物1の重心位置を想定したものである。把持中心P0は、例えば、押さえ部材45の頭部45bが上下移動する軸の位置に対応し、4つの保持部材44の間に設定される。本実施形態では、把持中心P0は4つの保持部材44からの距離が等しくなる位置である。
【0070】
第1コントローラCTR1は、移載アーム42を制御し、保持ハンド41が、第1搬送経路のピックアップ位置に対象物1が搬送される前の所定のタイミングで、ピックアップ位置に向けて接離方向となるZ方向の下降動作と搬送方向の移動動作とを組み合わせた湾曲経路にて移動させ、対象物1及び保持ハンド41の先端がピックアップ位置に到達するタイミングで閉状態に切替える。
【0071】
また、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41を移動させると同時に、保持ハンド41を対象物1の回転角θ1だけ回転させ、対象物1の重心位置の両側を保持部材44により挟んで把持させる。
図11に示す例では、対象物1の向きがみょうがの葉先が搬送方向の上流側に配置された向き(第2向き)であり、対象物1の回転角θ1が-30°である。この場合、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41を150°(=180°+θ1)回転させた状態で、みょうがの重心位置の両側を保持部材44により挟んで把持する。
【0072】
また、例えば、対象物1の向きがみょうがの葉先が搬送方向の下流側に配置された向き(第1向き)であり、対象物1の回転角θ1が-30°である場合、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41を-30°(=θ1)回転させた状態で、みょうがの重心位置の両側を保持部材44により挟んで把持する。
上記のように、本実施形態では、保持ハンド41が対象物1を保持している状態において、回転角度が0°のときに対象物1の葉先が搬送方向の下流側となり、回転角度が180°のときに対象物1の葉先が搬送方向の上流側となるように、対象物1を把持する際の保持ハンド41の回転角が制御される。
【0073】
第1コントローラCTR1は、保持ハンド41が開状態から閉状態となり対象物1を保持するまでの間も、保持ハンド41を第1搬送経路と同速で同方向に移動させる。例えば保持ハンド41により対象物1の保持が完了する保持完了位置は、ピックアップ位置よりも搬送方向の二次側(下流側)にある。そして、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41が対象物1を保持した状態で、保持ハンド41を保持完了位置から上昇動作と搬送方向の移動動作とを組み合わせた経路で移動させて、引き上げ位置まで、引き上げる。
【0074】
これら一連のピックアップ処理において、移載アーム42は、昇降機構部51によるZ方向の昇降動作と、回動アーム47,48の回動による搬送移動と同じ方向及び同じ速度での移動とを、同時に行うことで、搬送経路の側面(Y方向)方向から見た保持ハンド41の移動軌跡は、第1搬送経路に対して上側が開口するように弓状に湾曲した鍋底形状を描く軌跡となる。そして、この湾曲形状の移動経路の最下点において保持ハンド41が閉じられて対象物1を保持する間も、保持ハンド41は第1搬送経路と同方向及び搬送速度と同速度で移動する。
【0075】
対象物1が開状態にある複数の保持部材44の間に配置された状態から、閉状態に変形すると、例えば伸縮部44cが伸長することで、先端部が内側に向かって移動し互いに近接するように湾曲する、閉状態となる。対象物1が第1搬送経路の搬送面に横臥状態で置かれている時に、第1搬送経路の搬送面との間に形成される両側部の隙間に、複数の保持部材44の先端が入り込むことで、対象物1を保持する。例えば対象物1の保持として、複数の保持部材44により対象物1を把持する他、1つあるいは複数の保持部材44により対象物1を掬い上げ、押さえ部材45と保持部材44とで対象物1を保持してもよい。
【0076】
このとき、保持部材44よりも突出した押さえ部材45が、対象物1を所定の力で第1搬送経路側に押しつけて仮固定しているため、複数の保持部材44と押さえ部材45とによって対象物1の姿勢を保持しながら安定してすくい上げることができる。すなわち、保持部材44が対象物1の下部に入り込んだ場合に、押さえ部材45が上部から対象物1を抑えつける動作を行うため、対象物1を跳ね上げて把持しそこなうことが防止できる。
なお、押さえ部材45の押さえ力は、保持力よりも弱く、対象物1に押されることによって後退可能であることから、対象物を傷つけることがない。
【0077】
以上により、保持ハンド41が、複数の保持部材44と押さえ部材45とで対象物1を把持した保持状態となる。さらに保持ハンド41は、搬送方向の動作と同期しながら、移載アーム42を駆動することで、保持ハンド41をZ方向上方向に引き上げる。
ここまでの動作において、対象物1に加えられる応力は、押さえ部材45の移動により逃がすことができ、対象物1が加傷されることは無い。以上によりピックアップ動作が完了する。
【0078】
続いて、移動処理として、第1コントローラCTR1は、引き上げ位置から、保持ハンド41をX方向あるいはX方向及びZ方向に移動し、容器3が配される容器載置位置の直上に移動する。なお、移動処理においては解放位置の条件に応じて、X方向の移動のみ、あるいはX方向の移動に加えZ方向の移動を行ってもよく、さらにY方向の移動を組み合わせてもよい。
【0079】
このとき、第1コントローラCTR1は画像から検出した対象物1の初期姿勢に応じた条件で、保持ハンド41を移動及び回動させることで、個々の対象物1の向きや位置を補正する。例えば、第1コントローラCTR1は、1つの容器3に3つの対象物1を移載する場合において、葉先と茎側の端部がそれぞれ搬送方向の前方(下流側)あるいは後方(上流側)に向くように、保持ハンド41を移動させ、容器3に収容する姿勢となるように、対象物1の姿勢を定める。すなわち、第1コントローラCTR1は、解放処理の直前において、みょうがの複数の葉の先が搬送方向の一方に向き、茎側が他方に向く姿勢に保持した状態で、第1載置位置P1乃至第3載置位置P3のいずれかの直上に配置される。
【0080】
ここで、第1コントローラCTR1は、上記移動処理において、対象物1の初期姿勢および容器3の載置部3a上に対象物1を配置する方向に応じた角度で保持ハンド41を回転させる。
【0081】
例えば
図11に示す例において、対象物1であるみょうがの葉先が搬送方向の上流側となる向き(第2向き)となるように、載置部3a上に対象物1を配置する場合には、第1コントローラCTR1は保持ハンド41の回転角度が180°となるように、対象物1を保持した保持ハンド41をさらに30°回転させる。対象物1であるみょうがの葉先が搬送方向の下流側となる向き(第1向き)となるように、載置部3a上に対象物1を配置する場合には、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41の回転角度が0°となるように、対象物1を保持した保持ハンド41をさらに-150°回転させる。
【0082】
なお、本実施形態では、保持ハンド41の回転角度は、搬送方向の下流側を0°とし、搬送方向の上流側を180°としている。また、保持ハンド41の回転角度は、例えば保持ハンド41がピックアップ処理を待機している状態における保持ハンド41の回転角度は0°(初期状態)であり、反時計回りの方向を正の回転角、時計回りを負の回転角として-180°より大きく180°以下の範囲で設定される。換言すると、保持ハンド41の回転角度が0°の状態は、葉先が下流側であり茎が上流側である向きの対象物1が、搬送方向Yに対する回転角θ1が0°の姿勢で搬送されているときに、当該対象物1の重心の両側を保持部材44により把持可能な状態である。
【0083】
解放処理として、第1コントローラCTR1は、予め空の容器3がセットされている容器載置位置の直上で、対象物1を保持した状態から、保持ハンド41を開状態に切替える。容器3の容器載置位置において、載置部3aに複数の対象物1を載置する位置(第1載置位置P1乃至第3載置位置P3)が設定されている。本実施形態では、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41の把持中心P0が、対応する第1載置位置P1乃至第3載置位置P3の直上となる位置において、保持ハンド41を開状態に切り替える。
【0084】
解放処理において、閉状態において対象物1が複数の保持部材44の間に保持された状態から、駆動機構であるエア供給機構45dによってエア流路44a内の空気量を減少させると、保持部材44は、伸縮部44cが縮み、先端部が外側に向かって移動し、互いに離間する開状態に変形することで、対象物1を解放する。そして解放にともない対象物1が落下すると、押さえ部材45が復元する。すなわち対象物1が落下して押さえ部材45を後退させる力が解除されることにより、対象物1の落下に追従して、押さえ部材45が下方の対象物1に向けて突出する。このため、押さえ部材45が対象物1を下方に押しつけることで対象物1が容器3の載置部3aでバウンドする移動が規制されるため、対象物1の位置ずれや容器3からの飛出しを防ぐことが出来る。なお、押さえ部材45は、対象物1に押された場合には後退可能であることから、対象物1が衝突したとしても、対象物1を傷つけずに、力を逃がすことができる。以上により移載動作が完了する。
【0085】
第1コントローラCTR1は、対象物1の移載動作の終了後、再び移載アーム42を準備位置に移動させる。そして、所定のタイミングで対象物1の保持、移動、解放処理を繰り返すことで、搬送処理と並行して、移載処理を順次行う。
【0086】
例えば、容器3の載置部3a上に対象物1を3つ移載する場合、第1コントローラCTR1は、容器3の載置部3aの短手方向における一端側の第1載置位置P1と、他端側の第2載置位置P2と、第1載置位置P1と第2載置位置P2との間の第3載置位置P3と、を設定する。本実施形態では、第1載置位置P1は第1移載ロボットARM1に近い側の載置位置であり、第2載置位置P2は第1移載ロボットARM1から離れた側の載置位置であるが、第1載置位置P1と第2載置位置P2とが逆の位置であっても構わない。
【0087】
第1コントローラCTR1は、第1載置位置P1に配置される対象物1と第2載置位置P2に配置される対象物1とが同じ向きとなり、第1載置位置P1に配置される対象物1と第3載置位置P3に配置される対象物1との向きが逆になるように、第1載置位置P1、第2載置位置P2、第3載置位置P3の順に対象物1を移載する。
【0088】
ガイド装置G11は、保持ハンド41に保持された対象物1が第1載置位置P1へ解放されるときに、対象物1が所定の位置に載置されるように誘導する。
以下、ガイド装置によるガイド処理の一例について説明する。
図12は、
図1に示すガイド装置の動作の一例を説明するための図である。
図13は、
図1に示すガイド装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0089】
第1コントローラCTR1は、容器載置位置に空の容器3が配置されているときに(ステップS1)、ガイド装置G11の移動機構により、ガイド部材Gを容器3の上部へ移動させる(ステップS2:ガイドIN)。ガイド部材Gは、載置部3aに対し所定の角度θ2傾斜するように、第2載置位置P2側の容器3側部から載置部3a上に向けて挿入される。このとき、ガイド部材Gは、容器3と離間した位置で、保持ハンド41に対し容器3の第2載置位置P2を少なくとも被うように、容器3の第2載置位置P2側から載置部3aに向けて移動する。
【0090】
容器搬送方向において、ガイド部材Gの幅d1は、例えば載置部3aの幅よりも小さく、対象物1の長手方向における幅の1/2以上であることが望ましい。ガイド部材Gの短手方向の幅d2は、ガイド部材Gが容器3上に移動したときに、ガイド部材Gにより第2載置位置P2が少なくとも被われる大きさであることが望ましく、ガイド部材Gの第1載置位置P1側の端部が載置部3aの短手方向における中心よりも第1載置位置P1側まで到達し、かつ、第1載置位置P1が露出される大きさであることが更に望ましい。
【0091】
ガイド部材Gの移動が完了した後、第1コントローラCTR1は、保持ハンド41により1本目の対象物1を第1載置位置P1へ放出させる(ステップS3)。
1本目の対象物1が放出された後に、第1コントローラCTR1は、ガイド装置G11の移動機構により、ガイド部材Gを容器3の側部へ移動させ、容器3の第2載置位置P2及び第3載置位置P3を露出させる(ステップS4:ガイドOUT)。
【0092】
続いて、第1コントローラCTR1は、1本目の対象物1と同様に、保持ハンド41により2本目の対象物1と3本目の対象物1とを、順次、載置部3aの第2載置位置P2と第3載置位置P3とに放出させる。3本目の対象物1が保持ハンド41から第3載置位置P3へ放出された後(ステップS5)、第1コントローラCTR1は、容器搬送装置31により移載が完了した容器3を下流側へ搬送させて、空の容器3を容器載置位置にセットする(ステップS6)。
【0093】
上記のように、1本目の対象物1を容器3へ放出する際に、ガイド部材Gを容器3上へ挿入することにより、対象物1が保持ハンド41から放出されたときに、例えば対象物1が載置部3aでバウンドして第2載置位置P2側へ転がっても、ガイド部材Gにより対象物1が第1載置位置P1側へ誘導されるため、対象物1を所望の位置に載置することができる。このことにより、1本目の対象物1が2本目や3本目の対象物1が載置される位置を占拠することなく、容器3に3つの対象物1の全てを所望の位置および姿勢で載置することが可能となる。
第2移載装置R2による対象物1の移載処理も、上述の第1移載装置R1による移載処理と同様に行われる。
【0094】
本実施形態の移載装置及び移載方法によれば、搬送経路において様々な姿勢で搬送される対象物1の方向を判定し、複数の対象物1をそれぞれ所定の向きで容器3に収容させることが可能である。また、本実施形態では、1本目の対象物1を容器3に移載するときに、ガイドGにより対象物1が所望の位置に載置されるように誘導することができ、対象物1を所望の位置に載置することができる。したがって、本実施形態の移載装置および移載方法によれば、対象物1を移載先に収めることができ、移載精度を向上できる。
すなわち、本実施形態によれば、搬送される対象物を所定の向きで包装容器上に整列させる移載装置及び移載方法を提供することができる。
【0095】
また、本実施形態にかかる移載装置及び移載方法によれば、搬送経路上から、対象物1に負荷をかけずに、対象物1をピックアップすることができる。すなわち、搬送による慣性力を逃がしながら、ピックアップ処理を行える。すなわち、上記実施形態において、保持ハンド41は、搬送経路に接離するピックアップ処理の際、Y方向においては対象物1の搬送移動と同期して移動することにより、搬送によって対象物1にY方向に加わる慣性力を逃がし、過剰な応力が加わることを防止できる。したがって、ピックアップ処理のために搬送を停止させて間欠動作をさせる必要が無く、処理効率を向上できる。また、昇降による接離動作に搬送移動と同様の移動を加えるだけであるため、特別な機構を必要とせず、単純な装置構成で実現可能である。
【0096】
また、上記実施形態においては把持及び解放を切替える保持部材44と、後退可能な押さえ部材45とによって、対象物1を保持するため、対象物1にかかる過剰な力を吸収できる。すなわち、保持ハンド41の押さえ部材45は、対象物をZ方向に仮固定しつつ、対象物1の力をうけて後退可能に構成されているため、対象物への過剰な応力を逃がしながら姿勢を安定させることができる。よって把持力を調整する為の複雑なフィードバック機構を用いることなく、適度な保持力を実現できる。したがって、例えば、脆弱な性状と複雑な形状を有する農作物を、安定的に、無傷で、移載することが可能である。例えば特に、薄柔な外皮を持つ桃、葉鞘が可食部となるみょうが、果実の柔毛が商品価値を左右するオクラ等、外皮や葉鞘の最外層や柔毛が商品価値の一部であるとともに、不定形な形状である品種を、加傷せずに、移載でき、傷によって消費価値を損じてしまうことを回避できる。
【0097】
また、保持部材44が第1載置位置P1乃至第3載置位置P3のいずれかの上部で対象物1を放出する場合に、復元性を有する押さえ部材45により対象物1の移動を規制でき、対象物1が容器3でバウンドする等の場合にも、対象物1を移載先に収め、移載精度を向上できる。
【0098】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態において保持ハンド41は対象物を把持する複数の保持部材と、受動マニピュレータとなる押さえ部材とで保持する構成を示したが、これに限られるものではない。例えば保持部材と、能動マニピュレータとで、対象物を把持する構成としてもよい。
【0099】
上記実施形態においては、保持の直前及び直後に搬送経路対して保持ハンド41を近接させるピックアップ処理の間、搬送移動と同期した移動を行い、その後のX方向の移動処理においては同期した移動を伴わない例を示したが、これに限られるものではない。例えば第2位置に移動するまで、搬送移動と並行した移動を併用してもよい。また、移動処理において、X方向の移動に加えZ方向の移動、すなわち第2位置の直上への下降処理を行ってもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、容器3に3本の対象物1を並べて載置する例について説明したが、容器3に載置する対象物1の数はこれに限定されるものではない。例えば容器3の載置部3aに4つ以上の対象物1を整列させてもよく、2つの対象物1を整列させても構わない。例えば載置部3aに2本のみょうがを2列に整列させてもよい。このとき、一方のみょうがの葉先の方向と他方のみょうがの葉先の方向とが異なるようにみょうがの向きを設定して整列させてもよく、2本のみょうがの葉先の方向が同じになるようにみょうがの向きを設定して整列させてもよい。
【0101】
3本の対象物1を容器3に載置する際、第1載置位置P1に配置される対象物1と第2載置位置P2に配置される対象物1とが同じ向きとし、第1載置位置P1に配置される対象物1と第3載置位置P3に配置される対象物1との向きが逆になるように、第1載置位置P1、第2載置位置P2、第3載置位置P3の順に対象物1を移載することで、移載後の容器3の搬送が安定する。つまり、この様に対象物1が配置された状態の容器3は重量の配分が優れ容器搬送機構上で傾斜等が生じることなく搬送を行うことが出来る。2本の対象物1に向きが逆となる場合も同様の効果が得られる。また搬送安定性が得られる場合は、2本の対象物1を同方向で整列しても良い。この場合、後工程にてカバー上にラベルが貼合される際、みょうがの葉先をラベルで被覆することなく美観を維持することが出来る。
【0102】
また、対象物1はみょうがに限られない。例えば他に、薄柔な外皮を持つ桃、果実の柔毛が商品価値を左右するオクラ、花弁その他の農産物に適用できる。
なお、移載アーム42の構成は上述の2軸の回動アームに限らず、3軸以上の移動機構によって3軸方向以上の移動が可能に構成されていてもよい。
その他、搬送速度を演算する為のエンコーダー装置、対象物を自動で洗浄する装置、対象物の投入を自動化する為のホッパーや整列装置、撮像装置で判定された不良品を受理する為の装置等が設けられていてもよい。
また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0103】
この他、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造等を変更してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…対象物、3…容器、3a…載置部、11、12…画像処理装置(画像取得部)、21、22…搬送装置、31、32…容器供給装置、31a…容器ラック、31b…供給アーム、31c…容器供給部、41…保持ハンド、42…移載アーム、43…ベース部、44…保持部材、44a…エア流路、44b…ブレード部、44c…伸縮部、45…押さえ部材、45a…軸部、45b…頭部、45d…エア供給機構、46…支柱部、47…回動アーム、47a…アーム部、47b…駆動源、48…回動アーム、48a…アーム部、48b…駆動源、49…回転機構部、51…昇降機構部、70…前処理装置、311、312…容器搬送機構、A1…手選別コンベア、A21、A22…振分けコンベア、ARM1…第1移載ロボット、ARM2…第2移載ロボット、CTR1…第1コントローラ、CTR2…第2コントローラ、G11、G12、G21、G22…ガイド装置、P0…把持中心、P1…第1載置位置、P2…第2載置位置、P3…第3載置位置、R1…第1移載装置、R2…第2移載装置