(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132256
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】排水乾燥システムおよび排水乾燥システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/12 20230101AFI20240920BHJP
B01D 1/16 20060101ALI20240920BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
C02F1/12
B01D1/16
C02F1/44 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042967
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】神山 直行
(72)【発明者】
【氏名】福士 一徳
(72)【発明者】
【氏名】長安 弘貢
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉晃
【テーマコード(参考)】
4D006
4D034
4D076
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
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4D076JA01
(57)【要約】
【課題】水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止する。
【解決手段】水処理設備1から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する逆浸透膜250と、濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置160と、噴霧乾燥装置160へ供給される濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁180と、ガス導入ラインL5に設けられるとともに噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2の供給量を調整するダンパ190と、ガス排出ラインL6から排出される乾燥用ガスG2の温度を計測する温度計測部193と、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲内となるように、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御する制御部300と、を備える排水乾燥システム400を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、
前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、
前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、
前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、
前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、
前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、
前記ガス排出ラインから排出される前記乾燥用ガスの温度を計測する温度計測部と、
前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備える排水乾燥システム。
【請求項2】
前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測部を備え、
前記制御部は、前記塩濃度計測部が計測する塩濃度に応じて前記所定温度範囲を変更し、前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度が変更された前記所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する請求項1に記載の排水乾燥システム。
【請求項3】
前記水処理設備から前記分離膜へ前記排水を導く排水導入ラインと、
前記排水導入ラインに設けられる排水供給ポンプと、を備え、
前記制御部は、前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度に応じて、前記排水供給ポンプの吐出量を制御する請求項1または請求項2に記載の排水乾燥システム。
【請求項4】
燃料を燃焼させるボイラと、
前記ボイラから排出されるボイラ排ガス中に含まれる硫黄酸化物を脱硫吸収液で除去する脱硫装置と、
前記脱硫装置から排出される脱硫排水を前記濃縮水供給ラインへ導く脱硫吸収液導入ラインと、を備え、
前記ガス導入ラインは、前記ボイラから排出される前記ボイラ排ガスを前記乾燥用ガスとして前記噴霧乾燥装置に導入する請求項1または請求項2に記載の排水乾燥システム。
【請求項5】
水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、
前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、
前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、
前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、
前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測部と、
前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、
前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、
前記塩濃度計測部が計測する前記濃縮水の塩濃度に応じて、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備える排水乾燥システム。
【請求項6】
前記水処理設備から前記分離膜へ前記排水を導く排水導入ラインと、
前記排水導入ラインに設けられる排水供給ポンプと、を備え、
前記制御部は、前記塩濃度計測部が計測する塩濃度が所定濃度範囲内となるように前記排水供給ポンプの吐出量を制御する請求項5に記載の排水乾燥システム。
【請求項7】
燃料を燃焼させるボイラと、
前記ボイラから排出されるボイラ排ガス中に含まれる硫黄酸化物を脱硫吸収液で除去する脱硫装置と、
前記脱硫装置から排出される脱硫排水を前記濃縮水供給ラインへ導く脱硫吸収液導入ラインと、を備え、
前記ガス導入ラインは、前記ボイラから排出される前記ボイラ排ガスを前記乾燥用ガスとして前記噴霧乾燥装置に導入する請求項5または請求項6に記載の排水乾燥システム。
【請求項8】
前記濃縮水供給ラインは、前記脱硫排水と、前記ボイラとは異なる前記水処理設備から排出される前記排水を前記分離膜で分離した前記濃縮水とを、前記噴霧乾燥装置へ供給する請求項7に記載の排水乾燥システム。
【請求項9】
排水乾燥システムの制御方法であって、
前記排水乾燥システムは、
水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、
前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、
前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、
前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、
前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、
前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、を備え、
前記ガス排出ラインから排出される前記乾燥用ガスの温度を計測する温度計測工程と、
前記温度計測工程が計測する前記乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置を制御する制御工程と、を備える排水乾燥システムの制御方法。
【請求項10】
排水乾燥システムの制御方法であって、
前記排水乾燥システムは、
水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、
前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、
前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、
前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、
前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、
前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、を備え、
前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測工程と、
前記塩濃度計測工程が計測する前記濃縮水の塩濃度に応じて、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置を制御する制御工程と、を備える排水乾燥システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水乾燥システムおよび排水乾燥システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湿式の脱硫装置の排水を缶体内部に噴霧し、ボイラから排出される排ガスの一部を抽気しこれと排水噴霧液滴を接触させる事により蒸発させ乾燥する噴霧乾燥装置を備える無排水化排ガス処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。当該噴霧乾燥装置では、装置出口ガスの温度を、抽気ガス量や排水噴霧量などの各種運転パラメータを調節し排水液滴を蒸発させる様に運転している。無排水化排ガス処理システムにおいては、噴霧乾燥装置内での排水の蒸発に伴って、この排水中に含まれる一部有害成分(例えば水銀、ヒ素、セレン、塩素、ホウ素、マンガン、硝酸イオン等)が揮発し、再度脱硫装置で捕集されることを繰り返す事で、発電所排煙処理プラント系内で当該成分が濃縮し濃度上昇を引き起こす可能性が指摘されている。
【0003】
特許文献1に開示される無排水化排ガス処理システムは、噴霧乾燥装置に導入される脱硫装置からの排水中のpHを計測し、所定のpH(例えばpH6~10)を満たすようにアルカリ剤を添加することで、アルカリ添加量を最適化し、酸性ガスの除去性能の過不足を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される無排水化排ガス処理システムでは、脱硫排水中に薬剤としてのアルカリ剤を添加する必要があるため、アルカリ剤の使用量に応じた薬剤費用がかかってしまう。
【0006】
また、湿式の脱硫装置とは異なる他の水処理設備の排水(例えば、各種工場が備える水処理設備の排水)を無排水化するために噴霧乾燥装置を用いる場合には、他の水処理設備から噴霧乾燥装置に供給される排水の水質(pH,塩濃度等)が他の水処理設備が処理する排水の種類や他の水処理設備の運転状態によって大きく変動する可能性がある。他の水処理設備の排水の水質の変化に対応するようにアルカリ剤の使用量を変動させる場合、アルカリ剤の使用量を適切に調整するため、当該水質変化量に対応可能な十分な容量を備えた設備が必要であり、アルカリ剤の使用量に応じた費用がかかってしまう。
【0007】
また、他の水処理設備から噴霧乾燥装置に供給される排水の塩濃度が過度に上昇すると、それに伴って排水の沸点が上昇したり蒸発塩内部の水分の蒸発速度が低下する現象により完全蒸発に必要な温度が上昇し、塩濃度上昇前の噴霧装置出口の運転温度では排水の蒸発が不十分となってしまう事がある。この場合、噴霧乾燥装置から乾燥用ガスが排出される出口ダクト内に、蒸発途中過程の未蒸発塩水液滴と当該液滴近傍に存在する燃焼灰の混合物(高付着性)が付着、これが当該ダクト内に蓄積して詰まりが生じて当該噴霧乾燥装置の運転に不具合が発生する可能性がある。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、工場等の水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することが可能な排水乾燥システムおよび排水乾燥システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係る排水乾燥システムは、水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、前記ガス排出ラインから排出される前記乾燥用ガスの温度を計測する温度計測部と、前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備える。
【0010】
本開示に係る排水乾燥システムの制御方法は、排水乾燥システムの制御方法であって、前記排水乾燥システムは、水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、を備え、前記ガス排出ラインから排出される前記乾燥用ガスの温度を計測する温度計測工程と、前記温度計測工程が計測する前記乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置を制御する制御工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が乾燥用ガス中で揮発して排煙処理プラント系内で高濃度になることや濃縮水の沸点上昇により排水の蒸発が不十分となることを防止することが可能な排水乾燥システムおよび排水乾燥システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1実施形態にかかる排水乾燥システムを示す概略構成図である。
【
図2】本開示の第1実施形態にかかる排水乾燥システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図3】本開示の第2実施形態にかかる排水乾燥システムを示す概略構成図である。
【
図4】本開示の第2実施形態にかかる排水乾燥システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の第3実施形態にかかる排水乾燥システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態にかかる排水乾燥システム400について、図面を参照して説明する。本実施形態の排水乾燥システム400は、各種の工場における水処理設備1から排出される濃縮水と、ボイラ排ガスを処理するボイラ・排煙処理システム100から排出される脱硫排水とを蒸発させて無排水化するシステムである。
図1は、本開示の第1実施形態にかかる排水乾燥システム400を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の排水乾燥システム400は、ボイラ・排煙処理システム100と、排水処理設備200と、制御装置(制御部)300と、を備える。
【0014】
ボイラ・排煙処理システム100は、ボイラ110と、脱硝装置111と、エアヒータ(熱回収装置)120と、集塵機130と、脱硫装置140と、煙突150と、噴霧乾燥装置160と、乾燥用排水供給ポンプ170と、濃縮水量調節供給弁180と、ダンパ(乾燥用ガス供給動翼開度調整装置)190と、温度計測部193と、を備える。
【0015】
ボイラ110は、石炭を粉砕した微粉炭等の燃料を燃焼させてその燃焼熱を利用して熱交換器を介してボイラ給水を加熱し蒸気を生成させる装置である。ボイラ110により生成された蒸気は、蒸気タービン(図示略)に供給されて蒸気タービンを回転させ、蒸気タービンに連結された発電機(図示略)を回転させて発電を行う。
【0016】
脱硝装置111は、ボイラから排出されたボイラ排ガスG1に含まれる窒素酸化物を設備内に設置した脱硝触媒に通気し、及び排ガス中へのアンモニアの添加によって無害な窒素に還元し、除去する装置である。窒素酸化物を所定濃度まで除去した後、エアヒータ120に供給される。
【0017】
エアヒータ120は、ボイラ110から排出されるボイラ排ガスG1と空気との熱交換を行ってボイラ排ガスG1から熱回収を行いボイラに供給する空気を予熱する装置である。ボイラ排ガスG1との熱交換により加熱された空気は、ボイラ110へ導かれて燃焼用空気として利用される。
【0018】
集塵機130は、エアヒータ120の後流のボイラ排ガスG1に含まれる煤塵を所定濃度まで除去する装置である。集塵機130で煤塵が除去された後のボイラ排ガスG1は、脱硫装置140に導かれる。
【0019】
脱硫装置140は、集塵機130で煤塵が除去された後のボイラ排ガスG1に含まれる硫黄酸化物を湿式処理により所定濃度となるよう除去する装置である。脱硫装置140では、例えば湿式の脱硫方法として、脱硫吸収液(以下、「吸収液」ともいう)として例えば石灰スラリーを用いる石灰石膏法の脱硫法を用いることができる。また、他の吸収剤を用いる脱硫法として、例えば苛性ソーダ法、炭酸ナトリウム法、炭酸水素ナトリウム法、水酸化マグネシウム法、海水法などを用いることができる。本開示での無排水化処理方法は、前記の湿式脱硫方式のいずれかに限定されるものではない。
【0020】
脱硫装置140を通過した浄化されたボイラ排ガスG1は、煙突150から大気中へ放出される。図示しないが、場合により、エアヒータと集じん機の間にガスガスヒータ熱回収器、脱硫装置と煙突の間にガスガスヒータ再加熱器を設置して、脱硫装置から排出される排ガスを加熱し水蒸気を蒸発させて白煙の排出を防止する事もある。
【0021】
脱硫装置140から排出される脱硫排水は、脱硫吸収液導入ラインL3を介して濃縮水供給ラインL2に導かれる。脱硫吸収液導入ラインL3は、脱硫装置140から排出される脱硫排水を濃縮水供給ラインL2へ導く配管である。
【0022】
噴霧乾燥装置160は、逆浸透膜250で分離されて濃縮水供給ラインL2を介して供給される濃縮水を所定粒子径の液滴になるよう霧化して装置内部に噴霧し、ボイラ排ガスG1と噴霧液滴を接触させて排ガスの熱により濃縮水を完全蒸発させる装置である。ボイラ110から排出されるボイラ排ガスG1の一部である乾燥用ガスG2は、ボイラ110からエアヒータ120にボイラ排ガスG1を導く排ガスラインL4から分岐したガス導入ラインL5を介して噴霧乾燥装置160に供給される。ガス導入ラインL5は、ボイラ110から排出されるボイラ排ガスG1の一部を乾燥用ガスG2として噴霧乾燥装置に導入する配管である。
【0023】
乾燥用ガスG2に燃焼灰が含まれ、濃縮水には溶解塩が含まれているため、噴霧乾燥装置160で発生する蒸発乾燥物中には燃焼灰と蒸発乾燥塩が混合された状態で存在する。噴霧乾燥装置160で濃縮水を蒸発させた当該混合物と乾燥用ガスG2は、ガス排出ラインL6を介して排ガスラインL4の集塵機130の上流側に導かれる。ガス排出ラインL6は、噴霧乾燥装置160で濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスG2を排出する配管である。
【0024】
乾燥用排水供給ポンプ170は、濃縮水供給ラインL2に設けられるとともに排水処理設備200から排出される濃縮水を噴霧乾燥装置160に供給する動力を発生する装置である。
【0025】
濃縮水量調節供給弁180は、濃縮水供給ラインL2に設けられるとともに噴霧乾燥装置160へ供給される濃縮水の供給量を調整する装置である。濃縮水量調節供給弁180の開度は、制御装置300により制御される。
【0026】
ダンパ190は、ガス導入ラインL5に設けられるとともに噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2の供給量を調整する動翼開度調整装置を備えた風量調整装置である。ダンパ190の動翼開度は、制御装置300により制御される。
【0027】
温度計測部193は、ガス排出ラインL6から排出される乾燥用ガスG2の温度を計測する装置である。
【0028】
排水処理設備200は、各種の工場における製造工程で使用される水を処理する水処理設備1で発生する排水を処理する設備である。排水処理設備200は、工場排水供給ポンプ210と、原水槽220と、ろ過膜230と、前処理部240と、逆浸透膜(分離膜)250と、を備える。
【0029】
工場排水供給ポンプ210は、排水導入ラインL0に設けられ、水処理設備1で発生する排水を原水槽220へ供給する装置である。排水導入ラインL0は、水処理設備1から逆浸透膜250へ浄化した透過水を導く配管である。工場排水供給ポンプ210の吐出量は、制御装置300により制御される。工場排水供給ポンプ210が吐出した排水は、原水槽220へ導かれる。水処理設備1は、排水導入ラインL0へ導かれる排水を除く他の排水を、排水ラインL7から外部へ排出する。
【0030】
原水槽220は、工場排水供給ポンプ210が吐出した排水を一時的に貯蔵する装置である。工場排水供給ポンプ210による排水の吐出が継続されると、原水槽220からろ過膜230に排水が導かれる。
【0031】
ろ過膜230は、微粒子等の水に溶解していない粒子状物質をろ過する部材である。ろ過膜230として、例えば精密ろ過膜(MF膜)や限界ろ過膜(UF膜)を用いることができる。ろ過膜230を透過した排水は、前処理部240に導かれる。
【0032】
前処理部240は、逆浸透膜250での排水濃縮、噴霧乾燥装置160での濃縮排水蒸発、ボイラ・排煙処理システム100のエアヒータ120、集塵機130、脱硫装置140等の運転操業に悪影響を及ぼす事を防止する設備である。当該前処理装置は、処理対象となる工場排水の水質に応じて、例えば、設備安定化動を阻害する成分、逆浸透膜内でスケーリング・ファウリング現象を起こし閉塞させる成分、ボイラ排煙処理設備性能阻害や人体に有毒となる成分について、前処理としての除去処理を行うものである。
【0033】
前処理部240の機能として、例えば、強酸、強アルカリ排水に対しては中和処理、濃厚油分含有排水であれば加圧浮上、曝気・生物処理、逆浸透膜内でスケーリング・ファウリング現象を起こす成分に対してはイオン交換処理・スケールインヒビタ注入、高濃度CODやリン酸等が含まれる場合には曝気・活性汚泥・凝集沈殿処理、活性炭吸着などの前処理が必要となる。
【0034】
逆浸透膜250は、前処理部240から導かれる排水を、電解質イオンを含む濃縮水と電解質イオンを含まない透過水とに分離する部材である。逆浸透膜250で分離した浄化された透過水は、透過水供給ラインL1を介して水処理設備1に供給され、水処理設備1で再利用される。一方、逆浸透膜250で分離された濃縮水は、濃縮水供給ラインL2を介して噴霧乾燥装置160に供給される。濃縮水供給ラインL2は、逆浸透膜250から噴霧乾燥装置160へ濃縮水を供給する配管である。
【0035】
逆浸透膜 250としては、スケーリング、ファウリング防止の観点から、例えば、脱塩率が95%以上のものが好ましく、97%以上のものがより好ましく、99%以上のものが更に好ましい。但しこれらは排水中に含まれるイオン種や逆浸透膜の運転方法によっても前記範囲とする事が必須ではなく、定期的な逆浸透膜の運転号機の系列切替や逆洗操作などにより膜差圧の管理を適切に行う事で、これら脱塩率を低く設定した運転が可能な場合もあり、初期調整運転時の見極めが肝要である。
【0036】
制御装置300は、排水乾燥システム400の各部を制御する装置である。制御装置300は、記憶部(図示略)に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
図2に示す制御方法における各処理を行う。
【0037】
次に、本実施形態の排水乾燥システム400の制御方法について、
図2を参照して説明する。
図2は、本開示の第1実施形態にかかる排水乾燥システム400の制御方法を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS101で、制御装置300は、逆浸透膜250への排水の供給を開始するよう工場排水供給ポンプ210の動作を開始させる。工場排水供給ポンプ210の動作が開始すると、水処理設備1から排出される排水が、原水槽220、ろ過膜230、前処理部240を介して逆浸透膜250へ供給される。逆浸透膜250は、排水を濃縮水と透過水とに分離し、透過水を透過水供給ラインL1へ供給し、濃縮水を濃縮水供給ラインL2へ供給する。
【0039】
ステップS102で、制御装置300は、噴霧乾燥装置160への乾燥用ガスG2の供給を開始するようダンパ190の開度を制御する。
ステップS103で、制御装置300は、噴霧乾燥装置160への濃縮水の供給を開始するよう濃縮水量調節供給弁180の開度を制御する。
【0040】
ステップS104で、制御装置300は、噴霧乾燥装置160からガス排出ラインL6へ排出される乾燥用ガスG2の温度を計測する。制御装置300は、温度計測部193が計測する温度を読み取ることにより、乾燥用ガスG2の温度を計測する。
【0041】
ステップS105で、制御装置300は、乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲であるかどうかを判定し、YESであればステップS107に処理を進め、NOであればステップS106に処理を進める。ここで、所定温度範囲とは、濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発せず、かつ、濃縮水の蒸発が十分に行われる温度範囲である。
【0042】
この温度範囲は、例えば、140℃以上かつ160℃以下の範囲とした場合、塩水液滴の完全蒸発の観点で最小温度を140℃、有害成分の揮発抑制の観点で最大温度を160℃としているが、この範囲はある1点の濃縮水質の場合の運転条件であり排水処理設備200から噴霧乾燥装置160に供給される濃縮水の水質を予め把握することにより設定される。
【0043】
ステップS106で、制御装置300は、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲内となるように、温度調整処理を行う。温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲を超える場合、ダンパ190の開度を減少させて噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2を減少させる。
【0044】
また、制御装置300は、濃縮水量調節供給弁180の開度を増加させて噴霧乾燥装置160へ供給される濃縮水を所定範囲内で増加させ、かつダンパ190の開度を変化させないようにしてもよい。また、制御装置300は、濃縮水量調節供給弁180の開度を変化させず、かつダンパ190の開度を減少させて噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2を減少させるようにしてもよい。
【0045】
温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲を下回る場合、制御装置300は、濃縮水量調節供給弁180の開度を減少させて噴霧乾燥装置160へ供給される濃縮水を減少させ、かつダンパ190の開度を増加させて噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2を増加させる。
【0046】
また、制御装置300は、濃縮水量調節供給弁180の開度を減少させて噴霧乾燥装置160へ供給される濃縮水を減少させ、かつダンパ190の開度を変化させないようにしてもよい。また、制御装置300は、濃縮水量調節供給弁180の開度を変化させず、かつダンパ190の開度を増加させて噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2を増加させるようにしてもよい。
【0047】
以上のように、ステップS106で、制御装置300は、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲内となるように、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御する。
【0048】
ステップS107で、制御装置300は、本フローチャートの動作を停止させる指示が入力されたかどうかを判定し、YESであればステップS108へ処理を進め、NOであればステップS104へ処理を進める。
【0049】
ステップS108で、制御装置300は、噴霧乾燥装置160への濃縮水の供給を停止するよう濃縮水量調節供給弁180の開度を制御する。
ステップS109で、制御装置300は、噴霧乾燥装置160への乾燥用ガスG2の供給を停止するようダンパ190の開度を制御する。
【0050】
ステップS110で、制御装置300は、逆浸透膜250への排水の供給を停止するよう工場排水供給ポンプ210の動作を停止させる。工場排水供給ポンプ210の動作が停止すると、水処理設備1から排出される排水が、逆浸透膜250へ供給されない状態となる。以上により、本フローチャートの処理が終了する。
【0051】
本実施形態において、制御装置300は、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度に応じて、排水導入ラインL0に設けられる工場排水供給ポンプ210の吐出量を制御するようにしてもよい。例えば、制御装置300は、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が上昇する場合に、ダンパ190の開度を減少させて噴霧乾燥装置160へ供給される乾燥用ガスG2を減少させつつ、工場排水供給ポンプ210の吐出量を所定範囲内で増加させることにより、逆浸透膜250から噴霧乾燥装置160へ単位時間あたりに供給される濃縮水の供給量を増加させる。
【0052】
これにより、濃縮水が過度に加熱されて濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入する不具合を抑制することができる。また、例えば、制御装置300は、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が降下する場合に、工場排水供給ポンプ210の吐出量を減少させることにより、逆浸透膜250から噴霧乾燥装置160へ単位時間あたりに供給される濃縮水の供給量を減少させる。これにより、濃縮水の加熱が過度に不足して濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【0053】
以上で説明した本実施形態の排水乾燥システム400が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の排水乾燥システム400によれば、水処理設備1から排水が逆浸透膜250により濃縮水と透過水とに分離され、濃縮水供給ラインL2により逆浸透膜250から噴霧乾燥装置160へ濃縮水が供給される。噴霧乾燥装置160は、濃縮水供給ラインL2から供給される濃縮水を噴霧し、ガス導入ラインL5から導入される乾燥用ガスG2により蒸発させる。濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスG2は、ガス排出ラインL6から排出される。ガス排出ラインL6から排出される乾燥用ガスG2の温度は、温度計測部193により計測される。
【0054】
本実施形態の排水乾燥システム400によれば、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が所定温度範囲内となるように、制御装置300は、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御する。例えば、所定温度範囲を、濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発せず、かつ、濃縮水の蒸発が十分に行われる適切な範囲とすることにより、水処理設備1から排出される排水を逆浸透膜250で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスG2に混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態の排水乾燥システム400によれば、ボイラ排ガスG1に含まれる硫黄酸化物を脱硫装置140で除去する際に生成される脱硫排水を蒸発させる噴霧乾燥装置160を用いて、脱硫排水とともに水処理設備1から逆浸透膜250を介して供給される濃縮水を蒸発させて無排水化することができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態にかかる排水乾燥システム400Aについて図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0057】
第1実施形態の排水乾燥システム400は、ガス排出ラインL6から排出される乾燥用ガスG2の温度を計測する温度計測部193を備え、温度計測部193が計測する温度が所定温度範囲となるように、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御するものであった。
【0058】
それに対して、本実施形態の排水乾燥システム400Aは、濃縮水供給ラインL2に設けられるとともに濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測部195を備え、塩濃度計測部195が計測する濃縮水の塩濃度に応じて、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御するものである。
【0059】
図3は、本開示の第2実施形態にかかる排水乾燥システム400Aを示す概略構成図である。
図3に示すように、本実施形態の排水乾燥システム400Aは、塩濃度計測部195を備える。塩濃度計測部195は、濃縮水供給ラインL2に設けられるとともに濃縮水の塩濃度を計測する装置である。塩濃度計測部195は、例えば、濃縮水の電気伝導率を測定することにより濃縮水の塩濃度を計測する。
【0060】
次に、本実施形態の排水乾燥システム400Aの制御方法について、
図4を参照して説明する。
図4は、本開示の第2実施形態にかかる排水乾燥システム400Aの制御方法を示すフローチャートである。
【0061】
図4のステップS201からステップS203の処理、およびステップS207からステップS210の処理は、それぞれ
図2のステップS101からステップS103の処理、およびステップS107からステップS110の処理と同様であるため、以下での説明を省略する。
【0062】
ステップS204で、制御装置300は、濃縮水供給ラインL2を流通する濃縮水の塩濃度を計測する。制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する塩濃度を読み取ることにより、濃縮水の塩濃度を計測する。
【0063】
ステップS205で、制御装置300は、塩濃度計測部195が計測した塩濃度に応じて濃縮水の供給量を調整する。制御装置300は、例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも高い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも高くなるため、噴霧乾燥装置160への濃縮水の供給量を減少させるよう濃縮水量調節供給弁180の開度を制御する。また、制御装置300は、例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも低い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも低くなるため、噴霧乾燥装置160への濃縮水の供給量を増加させるよう濃縮水量調節供給弁180の開度を制御する。
【0064】
ステップS206で、制御装置300は、塩濃度計測部195が計測した塩濃度に応じて乾燥用ガスG2の供給量を調整する。制御装置300は、例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも高い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも高くなるため、噴霧乾燥装置160への乾燥用ガスG2の供給量を増加させるようダンパ190の開度を制御する。また、制御装置300は、例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも低い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも低くなるため、噴霧乾燥装置160への乾燥用ガスG2の供給量を減少させるようダンパ190の開度を制御する。
【0065】
なお、以上の説明では、塩濃度計測部195が計測した塩濃度に応じて、濃縮水量調節供給弁180の開度とダンパ190の開度の双方を制御するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、濃縮水量調節供給弁180の開度を変化させずにダンパ190の開度のみを制御してもよい。また、例えば、ダンパ190の開度を変化させずに濃縮水量調節供給弁180の開度のみを制御してもよい。
【0066】
以上のように、ステップS205およびステップS206で、制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する濃縮水の塩濃度に応じて、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御する。
【0067】
本実施形態において、制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する濃縮水の塩濃度が所定濃度範囲内となるように、排水導入ラインL0に設けられる工場排水供給ポンプ210の吐出量を制御するようにしてもよい。制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する濃縮水の塩濃度が所定濃度範囲を超える場合は、工場排水供給ポンプ210の吐出量を減少させる。また、制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する濃縮水の塩濃度が所定濃度範囲を下回る場合は、工場排水供給ポンプ210の吐出量を増加させる。このようにすることで、逆浸透膜250で処理される排水の処理量が過度に大きくなって逆浸透膜250に詰まり等の不具合が発生することを適切に防止することができる。
【0068】
以上で説明した本実施形態の排水乾燥システム400Aが奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の排水乾燥システム400Aによれば、水処理設備1から排水が逆浸透膜250により濃縮水と透過水とに分離され、濃縮水供給ラインL2により逆浸透膜250から噴霧乾燥装置160へ濃縮水が供給される。噴霧乾燥装置160は、濃縮水供給ラインL2から供給される濃縮水を噴霧し、ガス導入ラインL5から導入される乾燥用ガスG2により蒸発させる。濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスG2は、ガス排出ラインL6から排出される。濃縮水供給ラインL2から噴霧乾燥装置160に供給される濃縮水の塩濃度は、塩濃度計測部195により計測される。
【0069】
本実施形態の排水乾燥システム400Aによれば、制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する濃縮水の塩温度に応じて、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御する。例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも高い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも高くなるため、噴霧乾燥装置160への濃縮水の供給量を減少させるか、噴霧乾燥装置160への乾燥用ガスG2の供給量を増加させるか、少なくともいずれかを行う。これにより、噴霧乾燥装置160から排出される乾燥用ガスG2の温度を適切な温度とし、水処理設備1から排出される排水を逆浸透膜250で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスG2に混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【0070】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態にかかる排水乾燥システム400Bについて図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
図5は、本開示の第3実施形態にかかる排水乾燥システム400Bを示す概略構成図である。
【0071】
第1実施形態の排水乾燥システム400は、ガス排出ラインL6から排出される乾燥用ガスG2の温度を計測する温度計測部193を備え、温度計測部193が計測する温度が所定温度範囲となるように、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御するものであった。
【0072】
それに対して、本実施形態の排水乾燥システム400Bは、温度計測部193に加えて、濃縮水供給ラインL2に設けられるとともに濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測部195を備えたものである。そして、本実施形態の排水乾燥システム400Bの制御装置300は、塩濃度計測部195が計測する塩濃度に応じて所定温度範囲を変更し、温度計測部193が計測する乾燥用ガスG2の温度が、変更された所定温度範囲内となるように、濃縮水量調節供給弁180およびダンパ190の少なくともいずれかを制御するものである。
【0073】
塩濃度の測定としては、例えば、導電率計を用い、被検液中に一対の通電用電極を備えた電気伝導率セルを浸漬しこれに交流電流を流し抵抗を測定する。溶液に含まれるイオン種に応じた目的イオン種濃度の測定、溶液のイオン総量を測定する事ができる。
【0074】
濃縮水の塩濃度が高いほど沸点上昇により濃縮水の蒸発に要する温度が上昇する。一方で、濃縮水の塩種及び塩濃度が予め判っていれば、所定の噴霧液滴径塩水液滴の完全蒸発に必要な温度が把握可能となり、ダンパ190のボイラ抽気排ガス量、濃縮水量調節供給弁180から供給される濃縮水量のいずれか、または両方の調整制御において温度計測部193が測定する排ガス温度の最適運転が可能となる。
【0075】
また、重金属等の一部成分の揮発の観点では、温度計測部193が計測する温度が高すぎると、濃縮水からの有害成分の揮発成分量が増加し、温度計測部193が計測する温度が低すぎれば蒸発途中過程の未蒸発塩水液滴と当該液滴近傍に存在する燃焼灰の混合物(高付着性)が付着・蓄積して生じる詰まりにより噴霧乾燥装置の運転に不具合が発生する可能性がある。本実施形態の排水乾燥システム400Bによれば、制御装置300が、塩濃度計測部195が計測する塩濃度に応じて、温度計測部193が計測した温度の制御目標である所定温度範囲を変更する。これにより、水処理設備1から排出される排水を逆浸透膜250で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや、濃縮水の蒸発が不十分となることをより確実に防止することができる。
【0076】
〔他の実施形態〕
以上の説明において、更に以下の態様とするのが好ましい。例えば、制御装置300は、噴霧乾燥装置160からガス排出ラインL6に供給される乾燥用ガスG2の温度が、硫黄酸化物(SO3)の酸露点を上回るように、ダンパ190の開度を制御するのが好ましい。例えば、乾燥用ガスG2の水分が15%以下の場合には、硫黄酸化物(SO3)の酸露点を上回るようにガス排出ラインL6に供給される乾燥用ガスG2の温度を140℃以上とするのが好ましい。硫黄酸化物(SO3)の酸露点を上回るようにすることにより、硫黄酸化物が水と反応して硫酸が生成されて、噴霧乾燥装置160の下流側で硫酸腐食が発生する不具合を防止することができる。
【0077】
また、以上の説明において、集塵機130に蒸発乾燥塩を含む煤塵を供給しない事が好ましい場合には、ガス排出ラインL6に乾燥用ガスG2に含まれる煤塵を除去する集塵装置(図示略)と、集塵装置から集塵機130へ煤塵が除去された乾燥用ガスG2を送風する送風機(図示略)を設置するようにしてもよい。このようにすることで、噴霧乾燥装置160からガス排出ラインL6に供給される乾燥用ガスG2に含まれる蒸発乾燥塩を含む煤塵を集塵機130に導かれることを適切に防止することができる。
【0078】
以上説明した各実施形態に記載の排水乾燥システムは例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る排水乾燥システム(400)は、水処理設備(1)から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜(250)と、前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置(160)と、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ライン(L2)と、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁(180)と、前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ライン(L5)と、前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置(190)と、前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ライン(L6)と、前記ガス排出ラインから排出される前記乾燥用ガスの温度を計測する温度計測部(193)と、前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する制御部(300)と、を備える。
【0079】
本開示の第1態様に係る排水乾燥システムによれば、水処理設備から排水が分離膜により濃縮水と透過水とに分離され、濃縮水供給ラインにより分離膜から噴霧乾燥装置へ濃縮水が供給される。噴霧乾燥装置は、濃縮水供給ラインから供給される濃縮水を噴霧し、ガス導入ラインから導入される乾燥用ガスにより蒸発させる。濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスは、ガス排出ラインから排出される。ガス排出ラインから排出される乾燥用ガスの温度は、温度計測部により計測される。
【0080】
本開示の第1態様に係る排水乾燥システムによれば、温度計測部が計測する乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、制御部は、濃縮水量調節供給弁および乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する。例えば、所定温度範囲を、濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発せず、かつ、濃縮水の蒸発が十分に行われる適切な範囲とすることにより、水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【0081】
本開示の第2態様に係る排水乾燥システムは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測部(195)を備え、前記制御部は、前記塩濃度計測部が計測する塩濃度に応じて前記所定温度範囲を変更し、前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度が変更された前記所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する。
【0082】
濃縮水の塩濃度が高いほど濃縮水の蒸発温度が上昇し、濃縮水に含まれる重金属等の揮発可能な成分が増加する。本開示の第2態様に係る排水乾燥システムによれば、制御部が、塩濃度計測部が計測する塩濃度に応じて所定温度範囲を変更することにより、水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることをより確実に防止することができる。
【0083】
本開示の第3態様に係る排水乾燥システムは、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記水処理設備から前記分離膜へ前記排水を導く排水導入ライン(L0)と、前記排水導入ラインに設けられる排水供給ポンプ(210)と、を備え、前記制御部は、前記温度計測部が計測する前記乾燥用ガスの温度に応じて、前記排水供給ポンプの吐出量を制御する。
【0084】
本開示の第3態様に係る排水乾燥システムによれば、温度計測部が計測する乾燥用ガスの温度に応じて、排水供給ポンプの吐出量が制御される。例えば、温度計測部が計測する乾燥用ガスの温度が上昇する場合に、ダンパの開度を減少させて噴霧乾燥装置へ供給される乾燥用ガスを減少させつつ、排水供給ポンプの吐出量を所定範囲内で増加させることにより、分離膜から噴霧乾燥装置へ単位時間あたりに供給される濃縮水の供給量を増加させる。これにより、濃縮水が過度に加熱されて濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入する不具合を抑制することができる。
【0085】
本開示の第4態様に係る排水乾燥システムは、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、燃料を燃焼させるボイラ(110)と、前記ボイラから排出されるボイラ排ガス中に含まれる硫黄酸化物を脱硫吸収液で除去する脱硫装置(140)と、前記脱硫装置から排出される脱硫排水を前記濃縮水供給ラインへ導く脱硫排水導入ライン(L3)と、を備え、前記ガス導入ラインは、前記ボイラから排出される前記ボイラ排ガスの一部を前記乾燥用ガスとして前記噴霧乾燥装置に導入する。
【0086】
本開示の第4態様に係る排水乾燥システムによれば、ボイラからのボイラ排ガスは、脱硫装置に導かれて硫黄酸化物が除去される。脱硫装置から排出される脱硫排水は、脱硫排水導入ラインから濃縮水供給ラインに導かれて濃縮水に混合される。濃縮水と混合した脱硫排水は、噴霧乾燥装置に供給されて濃縮水とともに蒸発する。ボイラから排出されるボイラ排ガスの一部は、乾燥用ガスとして噴霧乾燥装置に導かれる。
【0087】
本開示の第4態様に係る排水乾燥システムによれば、ボイラ排ガスに含まれる硫黄酸化物を脱硫装置で除去する際に生成される脱硫排水を蒸発させる噴霧乾燥装置を用いて、脱硫排水とともに水処理設備から分離膜を介して供給される濃縮水を蒸発させて無排水化することができる。
【0088】
本開示の第5態様に係る排水乾燥システムは、水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測部(195)と、前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、前記塩濃度計測部が計測する前記濃縮水の塩濃度に応じて、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備える。
【0089】
本開示の第5態様に係る排水乾燥システムによれば、水処理設備から排水が分離膜により濃縮水と透過水とに分離され、濃縮水供給ラインにより分離膜から噴霧乾燥装置へ濃縮水が供給される。噴霧乾燥装置は、濃縮水供給ラインから供給される濃縮水を噴霧し、ガス導入ラインから導入される乾燥用ガスにより蒸発させる。濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスは、ガス排出ラインから排出される。濃縮水供給ラインから噴霧乾燥装置に供給される濃縮水の塩濃度は、塩濃度計測部により計測される。
【0090】
本開示の第5態様に係る排水乾燥システムによれば、制御部は、塩濃度計測部が計測する濃縮水の塩温度に応じて、濃縮水量調節供給弁および乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する。例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも高い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも高くなるため、噴霧乾燥装置への濃縮水の供給量を減少させるか、噴霧乾燥装置への乾燥用ガスの供給量を増加させるか、少なくともいずれかを行う。これにより、噴霧乾燥装置から排出される乾燥用ガスの温度を適切な温度とし、水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【0091】
本開示の第6態様に係る排水乾燥システムは、第5態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記水処理設備から前記分離膜へ前記排水を導く排水導入ライン(L0)と、前記排水導入ラインに設けられる排水供給ポンプ(210)と、を備え、前記制御部は、前記塩濃度計測部が計測する塩濃度が所定濃度範囲内となるように前記排水供給ポンプの吐出量を制御する。
【0092】
本開示の第6態様に係る排水乾燥システムによれば、塩濃度計測部が計測する濃縮水の塩濃度が所定濃度範囲内となるように排水供給ポンプの吐出量が制御される。このようにすることで、分離膜で処理される排水の処理量が過度に大きくなって分離膜に詰まり等の不具合が発生することを適切に防止することができる。
【0093】
本開示の第7態様に係る排水乾燥システムは、第5態様または第6態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、燃料を燃焼させるボイラと、前記ボイラから排出されるボイラ排ガス中に含まれる硫黄酸化物を脱硫吸収液で除去する脱硫装置と、前記脱硫装置から排出される脱硫排水を前記濃縮水供給ラインへ導く脱硫吸収液導入ラインと、を備え、前記ガス導入ラインは、前記ボイラから排出される前記ボイラ排ガスを前記乾燥用ガスとして前記噴霧乾燥装置に導入する。
【0094】
本開示の第7態様に係る排水乾燥システムによれば、ボイラからのボイラ排ガスは、脱硫装置に導かれて硫黄酸化物が除去される。脱硫装置から排出される脱硫排水は、脱硫排水導入ラインから濃縮水供給ラインに導かれて濃縮水に混合される。濃縮水と混合した脱硫排水は、噴霧乾燥装置に供給されて濃縮水とともに蒸発する。ボイラから排出されるボイラ排ガスの一部は、乾燥用ガスとして噴霧乾燥装置に導かれる。
【0095】
本開示の第7態様に係る排水乾燥システムによれば、ボイラ排ガスに含まれる硫黄酸化物を脱硫装置で除去する際に生成される脱硫排水を蒸発させる噴霧乾燥装置を用いて、脱硫排水とともに水処理設備から分離膜を介して供給される濃縮水を蒸発させて無排水化することができる。
【0096】
本開示の第8態様に係る排水乾燥システムは、第7態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記濃縮水供給ラインは、前記脱硫排水と、前記ボイラとは異なる前記水処理設備から排出される前記排水を前記分離膜で分離した前記濃縮水とを、前記噴霧乾燥装置へ供給する。
本開示の第8態様に係る排水乾燥システムによれば、ボイラ排ガスに含まれる硫黄酸化物を脱硫装置で除去する際に生成される脱硫排水を蒸発させる噴霧乾燥装置に対して、ボイラとは異なる水処理設備から分離膜を介して供給される濃縮水を蒸発させて無排水化することができる。
【0097】
本開示の第9態様に係る排水乾燥システムの制御方法は、排水乾燥システムの制御方法であって、前記排水乾燥システムは、水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、を備え、前記ガス排出ラインから排出される前記乾燥用ガスの温度を計測する温度計測工程と、前記温度計測工程が計測する前記乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置を制御する制御工程と、を備える。
【0098】
本開示の第9態様に係る排水乾燥システムの制御方法によれば、水処理設備から排水が分離膜により濃縮水と透過水とに分離され、濃縮水供給ラインにより分離膜から噴霧乾燥装置へ濃縮水が供給される。噴霧乾燥装置は、濃縮水供給ラインから供給される濃縮水を噴霧し、ガス導入ラインから導入される乾燥用ガスにより蒸発させる。濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスは、ガス排出ラインから排出される。ガス排出ラインから排出される乾燥用ガスの温度は、温度計測工程により計測される。
【0099】
本開示の第9態様に係る排水乾燥システムの制御方法によれば、温度計測工程が計測する乾燥用ガスの温度が所定温度範囲内となるように、制御部は、濃縮水量調節供給弁および乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する。例えば、所定温度範囲を、濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発せず、かつ、濃縮水の蒸発が十分に行われる適切な範囲とすることにより、水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【0100】
本開示の第10態様に係る排水乾燥システムの制御方法は、排水乾燥システムの制御方法であって、前記排水乾燥システムは、水処理設備から排出される排水を濃縮水と透過水とに分離する分離膜と、前記分離膜で分離された前記濃縮水を噴霧する噴霧乾燥装置と、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ前記濃縮水を供給する濃縮水供給ラインと、前記濃縮水供給ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の供給量を調整する濃縮水量調節供給弁と、前記噴霧乾燥装置に前記濃縮水を蒸発させる乾燥用ガスを導入するガス導入ラインと、前記ガス導入ラインに設けられるとともに前記噴霧乾燥装置へ供給される前記乾燥用ガスの供給量を調整する乾燥用ガス供給動翼開度調整装置と、前記噴霧乾燥装置で前記濃縮水を蒸発させた前記乾燥用ガスを排出するガス排出ラインと、を備え、前記分離膜から前記噴霧乾燥装置へ供給される前記濃縮水の塩濃度を計測する塩濃度計測工程(S204)と、前記塩濃度計測工程が計測する前記濃縮水の塩濃度に応じて、前記濃縮水量調節供給弁および前記乾燥用ガス供給動翼開度調整装置を制御する制御工程(S205,S206)と、を備える。
【0101】
本開示の第10態様に係る排水乾燥システムの制御方法によれば、水処理設備から排水が分離膜により濃縮水と透過水とに分離され、濃縮水供給ラインにより分離膜から噴霧乾燥装置へ濃縮水が供給される。噴霧乾燥装置は、濃縮水供給ラインから供給される濃縮水を噴霧し、ガス導入ラインから導入される乾燥用ガスにより蒸発させる。濃縮水を蒸発させた乾燥用ガスは、ガス排出ラインから排出される。濃縮水供給ラインから噴霧乾燥装置に供給される濃縮水の塩濃度は、塩濃度計測工程により計測される。
【0102】
本開示の第10態様に係る排水乾燥システムの制御方法によれば、制御工程は、塩濃度計測工程が計測する濃縮水の塩温度に応じて、濃縮水量調節供給弁および乾燥用ガス供給動翼開度調整装置の少なくともいずれかを制御する。例えば、濃縮水の塩濃度が所定濃度よりも高い場合には、濃縮水の蒸発温度が所定温度よりも高くなるため、噴霧乾燥装置への濃縮水の供給量を減少させるか、噴霧乾燥装置への乾燥用ガスの供給量を増加させるか、少なくともいずれかを行う。これにより、噴霧乾燥装置から排出される乾燥用ガスの温度を適切な温度とし、水処理設備から排出される排水を分離膜で分離した濃縮水に含まれる重金属等の一部成分が揮発して乾燥用ガスに混入することや濃縮水の蒸発が不十分となることを防止することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 水処理設備
100 ボイラ・排煙処理システム
110 ボイラ
111 脱硝装置
120 エアヒータ
130 集塵機
140 脱硫装置
150 煙突
160 噴霧乾燥装置
170 乾燥用排水供給ポンプ
180 濃縮水量調節供給弁
190 ダンパ(乾燥用ガス供給動翼開度調整装置)
193 温度計測部
195 塩濃度計測部
200 排水処理設備
210 工場排水供給ポンプ
220 原水槽
230 ろ過膜
240 前処理部
250 逆浸透膜(分離膜)
300 制御装置(制御部)
400,400A,400B 排水乾燥システム
G1 ボイラ排ガス
G2 乾燥用ガス
L0 排水導入ライン
L1 透過水供給ライン
L2 濃縮水供給ライン
L3 脱硫吸収液導入ライン
L4 排ガスライン
L5 ガス導入ライン
L6 ガス排出ライン