(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132272
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ステアバイワイヤ式操舵装置のモータ制御装置
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20240920BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042993
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】西村 公一
(72)【発明者】
【氏名】石野 嵩人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕康
(72)【発明者】
【氏名】並河 勲
(72)【発明者】
【氏名】中島 信頼
(72)【発明者】
【氏名】富澤 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】前川 拓也
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232CC26
3D232CC33
3D232CC34
3D232CC35
3D232DA03
3D232DA04
3D232DA09
3D232DA10
3D232DA15
3D232DA23
3D232DA63
3D232DC33
3D232DC34
3D232DD17
3D232DE08
3D232EA01
3D232EB04
3D232EB12
3D232EC23
3D232EC34
3D232GG01
3D333CB02
3D333CB29
3D333CB31
3D333CB46
3D333CC14
3D333CD56
3D333CD57
3D333CD58
3D333CE27
3D333CE29
3D333CE30
3D333CE31
3D333CE36
3D333CE40
3D333CE41
3D333CE55
(57)【要約】
【課題】ステアバイワイヤ式操舵装置の、2系統の冗長系を有するモータ制御装置において、急操舵操作時における異常判定の誤判定を回避する。
【解決手段】第1系統L1および第2系統L2が正常なときには、第3プロセッサ68は第1転舵電流指令値It1を出力する。第3プロセッサ68は、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2に乖離が生じていると、第2転舵電流指令値It2を出力する。第3プロセッサ68は、急操舵操作を判定すると、転舵電流指令値It1,It2が乖離しているか否かにかかわらず、第1転舵電流指令値It1を出力する。急操舵操作に伴う転舵電流指令値It1,It2の乖離による誤判定が回避される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアバイワイヤ式操舵装置の転舵アクチュエータに用いられ、第1コイルセットと第2コイルセットを有するモータを制御するモータ制御装置であって、
指令値に基づく駆動電流を前記第1コイルセットに供給する第1駆動回路と、
指令値に基づく駆動電流を前記第2コイルセットに供給する第2駆動回路と、
ステアリングホイールの操舵角の第1検出値に基づき第1指令値を算出し、前記第1指令値を前記第1駆動回路へ送出するように構成された第1プロセッサと、
ステアリングホイールの操舵角の第2検出値に基づき第2指令値を算出するように構成された第2プロセッサと、
前記第1指令値と前記第2指令値が乖離していないときには、前記第1指令値を前記第2駆動回路に送出し、前記第1指令値と前記第2指令値が乖離しているときには、前記第2指令値を前記第2駆動回路に送出するように構成された第3プロセッサと、
を含み、
前記第3プロセッサは、さらに、急操舵状態のときには、前記第1指令値と前記第2指令値が乖離しているか否かにかかわらず、前記第1指令値を前記第2駆動回路に送出するよう構成されている、
モータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置であって、前記第3プロセッサは、さらに、自動操舵状態でないときには、前記第1指令値と前記第2指令値が乖離しているか否かにかかわらず、前記第1指令値を前記第2駆動回路に送出するよう構成されている、モータ制御装置。
【請求項3】
ステアバイワイヤ式操舵装置の転舵アクチュエータに用いられる、第1コイルセットと第2コイルセットを有するモータを制御するモータ制御装置であって、
受けた指令値に基づく駆動電流を前記第1コイルセットに供給する第1駆動回路と、
受けた指令値に基づく駆動電流を前記第2コイルセットに供給する第2駆動回路と、
ステアリングホイールの操舵角の第1検出値に基づき第1指令値を算出し、前記第1指令値を前記第1駆動回路へ送出するように構成された第1プロセッサと、
ステアリングホイールの操舵角の第2検出値に基づき第2指令値を算出するように構成された第2プロセッサと、
前記第1指令値と前記第2指令値が乖離していないときには、前記第1指令値を前記第2駆動回路に送出し、前記第1指令値と前記第2指令値が乖離しているときには、前記第2指令値を前記第2駆動回路に送出するように構成された第3プロセッサと、
を含み、
前記第3プロセッサは、自動操舵状態でないときには、前記第1指令値と前記第2指令値が乖離しているか否かにかかわらず、前記第1指令値を前記第2駆動回路に送出するよう構成されている、
モータ制御装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のモータ制御装置であって、第3プロセッサは、前記操舵角に基づき算出された、車輪の転舵角が所定値以上、かつ前記操舵角に基づき算出された、車輪の転舵角速度が所定値以上のとき、急操舵状態と判定するよう構成されている、モータ制御装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のモータ制御装置であって、
前記第1プロセッサは、車輪の転舵角および転舵角速度に関するフィードバック演算により、前記第1指令値を算出するように構成され、
前記第2プロセッサは、車輪の転舵角および転舵角速度に関するフィードバック演算により、前記第2指令値を算出するように構成され、
第3プロセッサは、
前記第1プロセッサにおける前記転舵角の目標値と実際値の偏差と、前記第2プロセッサにおける前記転舵角の目標値と実際値の偏差との差が所定値以上のとき、または、
前記第1プロセッサにおける前記転舵角速度の目標値と実際値の偏差と、前記第2プロセッサにおける前記転舵角速度の目標値と実際値の偏差との差が所定値以上のとき、または、
前記第1プロセッサにおける転舵角速度の実際値と、前記第2プロセッサにおける転舵角速度の実際値との差が所定値以上のとき、
急操舵状態と判定するように構成されている、
モータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアバイワイヤ式操舵装置に関し、車輪を転舵させる転舵アクチュエータに用いられるモータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の操舵装置は、運転者が操作するステアリングホイールが、転舵される車輪と機械的に連結されている。これに対し、ステアバイワイヤ式操舵装置においては、ステアリングホイールは、転舵される車輪と機械的に連結されていない。ステアバイワイヤ式操舵装置では、ステアリングホイールを操舵操作した角度である操舵角が電気信号に変換される。この電気信号に基づき転舵アクチュエータが車輪を転舵する。ステアリングホイールには、従来の操舵装置における操作の手応えを模擬した操舵反力が反力アクチュエータによって加えられる。転舵アクチュエータおよび反力アクチュエータは、電気モータを用いて構成される。一般的に、操舵角に対する転舵角の比は、ステアバイワイヤ式操舵装置が、従来の操舵装置に比べて大きい。つまり、操舵角が同じ場合、転舵車輪の転舵角は、従来の操舵装置における転舵角よりも、ステアバイワイヤ式操舵装置における転舵角が大きくなる。
【0003】
下記特許文献1には、電動パワーステアリング装置(8)に備わるモータ(80)を制御する制御装置(ECU10)が記載されている。電動パワーステアリング装置においては、ステアリングホイールと転舵輪が機械的に連結されている。モータ(80)は、第1モータ巻線(180)と第2モータ巻線(280)を有する。制御装置(10)は、第1モータ巻線(180)に対応する第1系統(L1)と、第2モータ巻線(280)に対応する第2系統(L2)を含む。第1系統(L1)では、電流指令値(I1’)が算出され、第2系統では、電流指令値(I2’)が算出される。第2系統(L2)において、第1系統の電流指令値(I1’)と第2系統の電流指令値(I2’)が比較され、これらが乖離していない場合(正常時)には、第1系統の電流指令値(I1’)に基づき第1モータ巻線(180)と第2モータ巻線(280)に電流が供給される(協調制御)。第1系統の電流指令値(I1’)と第2系統の電流指令値(I2’)が乖離していた場合(異常時)には、第1系統の電流指令値(I1’)に基づき第1モータ巻線(180)に電流が供給され、また、第2系統の電流指令値(I2’)に基づき第2モータ巻線(280)に電流が供給される(独立制御)(段落0198-0202参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステアバイワイヤ式操舵装置においては、電動パワーステアリング装置等の従来の操舵装置に比して、電流指令値のばらつきが大きくなる傾向がある。この結果、2つの系統の電流指令値の乖離が大きくなる場合がある。例えば、ステアバイワイヤ式操舵装置では、操舵角が電気信号に変換されて転舵制御に用いられるため、操舵角の検出誤差によって指令値にばらつきが生じる。また、ステアバイワイヤ式操舵装置では、操舵角に対する転舵角が従来の操舵装置よりも大きく、操舵角の検出誤差が増幅され、指令値にばらつきが生じる。指令値のばらつきが大きくなると、2つの系統の指令値の乖離が大きくなる場合がある。特に、操舵角が大きく変化する急操舵操作において、この傾向が現れ、異常判定に関して、誤判定されやすくなる。
【0006】
本発明は、急操舵操作時において、装置の異常判定に関する誤判定に基づいた制御が実行される機会を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るモータ制御装置は、ステアバイワイヤ式操舵装置の転舵アクチュエータに用いられ、第1コイルセットと第2コイルセットを有する。モータ制御装置は、指令値に基づく駆動電流を第1コイルセットに供給する第1駆動回路と、指令値に基づく駆動電流を第2コイルセットに供給する第2駆動回路と、ステアリングホイールの操舵角の第1検出値に基づき第1指令値を算出し、第1指令値を第1駆動回路へ送出するように構成された第1プロセッサと、ステアリングホイールの操舵角の第2検出値に基づき第2指令値を算出するように構成された第2プロセッサと、第1指令値と第2指令値が乖離していないときには、第1指令値を第2駆動回路に送出し、第1指令値と第2指令値が乖離しているときには、第2指令値を第2駆動回路に送出するように構成された第3プロセッサと、を含む。第3プロセッサは、急操舵状態のときには、第1指令値と第2指令値が乖離しているか否かにかかわらず、第1指令値を第2駆動回路に送出するよう構成されている。
【0008】
急操舵状態のときに誤判定に基づく制御が実行されることを抑制することができる。
【0009】
上記のモータ制御装置において、第3プロセッサは、上記の急操舵状態に対応した構成に加えて、または替えて、自動操舵状態でないときには、第1指令値と第2指令値が乖離しているか否かにかかわらず、第1指令値を第2駆動回路に送出するよう構成されてよい。
【0010】
急操舵操作が行われない状況のときだけ、異常判定結果が反映される。
【0011】
上記のモータ制御装置において、第3プロセッサは、操舵角に基づき算出された車輪の転舵角が所定値以上、かつ操舵角に基づき算出された車輪の転舵角速度が所定値以上のとき、急操舵状態と判定するよう構成されてよい。
【0012】
上記のモータ制御装置において、第1プロセッサは、車輪の転舵角および転舵角速度に関するフィードバック演算により、第1指令値を算出するように構成されてよく、第2プロセッサは、車輪の転舵角および転舵角速度に関するフィードバック演算により、第2指令値を算出するように構成されてよく、第3プロセッサは、第1プロセッサにおける転舵角の目標値と実際値の偏差と、第2プロセッサにおける転舵角の目標値と実際値の偏差との差が所定値以上のとき、または第1プロセッサにおける転舵角速度の目標値と実際値の偏差と、第2プロセッサにおける転舵角速度の目標値と実際値の偏差との差が所定値以上のとき、または第1プロセッサにおける転舵角速度の実際値と、第2プロセッサにおける転舵角速度の実際値との差が所定値以上のとき、急操舵状態と判定するように構成されてよい。
【発明の効果】
【0013】
操舵装置が急操舵状態であるときに、急操舵操作に起因する誤判定に基づく制御が実行されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ステアバイワイヤ式操舵装置の概略構成を示す図である。
【
図2】ステアバイワイヤ式操舵装置の制御に係るシステム構成を示す図である。
【
図3】転舵制御部の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【
図4】第3プロセッサの制御の流れを示すフローチャートである。
【
図5】他の転舵制御部の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【
図6】他の第3プロセッサの制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、操舵装置10の概略構成を示す図である。操舵装置10は、ステアバイワイヤ式操舵装置である。ステアバイワイヤ式操舵装置では、運転者が操作するステアリングホイールと、ステアリングホイールの動きに応じて転舵する転舵車輪とが機械的な連結を有していない。操舵装置10は、運転者が操作するステアリングホイール12を有する。ステアリングホイール12が中立位置から回転した角度が操舵角である。操舵角は、操舵角センサ14により検出され、検出された操舵角に基づき、転舵アクチュエータ16が転舵車輪18を転舵する。典型的な車両において、前輪が転舵車輪18である。転舵車輪18が中立位置から転向した角度が転舵角である。転舵角は、転舵角センサ20により検出される。車両が直進しているとき、ステアリングホイール12および転舵車輪18は中立位置にあり、操舵角および転舵角は0°である。ステアリングホイール12および転舵車輪18は、時計回りおよび反時計回りのいずれにも回転可能および転向可能である。
【0016】
ステアリングホイール12は、ステアリングシャフト22に結合している。ステアリングシャフト22には、接続機構24を介して反力アクチュエータ26が接続している。接続機構24は、反力アクチュエータ26の動作とステアリングシャフト22の回転が一意の関係となるようにこれらを接続している。反力アクチュエータ26は、回転型の電気モータで構成されてよい。この場合、反力アクチュエータ(電気モータ)の回転角と操舵角とが、一意の関係となる。接続機構24は、歯車機構であってよく、特にウォームとウォームホイールから構成される歯車対であってよい。反力アクチュエータ26は、車両速度、操舵角および操舵角速度などに応じた反力トルクをステアリングホイール12に付与する。車両速度は、車速センサ27によって検出される。ステアリングシャフト22には、運転者の操舵によってステアリングシャフト22に加わるトルクを検出する操舵トルクセンサ28が設けられている。操舵トルクセンサ28により検出される操舵トルクTは、反力アクチュエータ26のフィードバック制御に用いられる。反力トルクが付与されることで、運転者は操舵操作の手応えを感じることができる。また、前述の操舵角センサ14は、反力アクチュエータ26である電気モータのロータの回転角度を検出するセンサであってよい。
【0017】
転舵車輪18は、ステアリングナックル(不図示)に回転可能に支持されている。ステアリングナックルのナックルアーム30がタイロッド32に、連結点において屈曲可能に連結している。タイロッド32はステアリングラック34と連結点において屈曲可能に連結している。ステアリングラック34はラック歯34aを有し、ラック歯34aはピニオン36とかみ合っている。ピニオン36は、ピニオンシャフト38上に同軸に固定されている。ピニオンシャフト38は、接続機構40を介して、転舵アクチュエータ16に接続している。接続機構40は、歯車機構であってよく、特にウォームとウォームホイールから構成される歯車対であってよい。接続機構40は、転舵アクチュエータ16の動作とピニオンシャフト38の回転とが一意の関係となるようにこれらを接続している。転舵アクチュエータ16は、回転型の電気モータで構成されてよい。転舵アクチュエータ16が動作すると、ピニオン36が回転し、さらにステアリングラック34が長手方向に沿って移動する。ステアリングラック34の移動が、タイロッド32およびナックルアーム30を介して転舵車輪18に伝わり、その結果転舵車輪18が転舵する。転舵アクチュエータ16が回転型の電気モータで構成された場合、電気モータのロータの回転角度と、転舵角度が一意の関係にある。また、前述の転舵角センサ20は、転舵アクチュエータ16である電気モータのロータの回転角度を検出するセンサであってよい。転舵アクチュエータ16は、転舵角センサ20により検出された転舵角に基づきフィードバック制御される。
【0018】
反力アクチュエータ26および転舵アクチュエータ16は、制御装置42により制御される。制御装置42は、車速センサ27からの車両速度v、操舵トルクセンサ28からの操舵トルクTおよび操舵角センサ14からの操舵角θsに基づき、制御目標となる目標反力T*を算出する。制御装置42は、操舵トルクTが目標反力T*となるよう反力アクチュエータ26を制御する。また、制御装置42は、操舵角θsに基づき制御目標となる目標転舵角θt*を算出する。制御装置42は、転舵角θtが目標転舵角θt*となるよう転舵アクチュエータ16を制御する。
【0019】
自動運転または運転支援が可能な車両が知られている。自動運転は、車両の操縦の全てまたは一部を人の手によらず、機械が自立的に行うシステムである。自動運転のうち、車両の加減速の操作と操舵操作の一方または両方を行う場合、運転支援と呼ばれる場合がある。操舵装置10を備える車両が自動運転システム44を備える場合、自動運転時には、制御装置42は自動運転システム44からの指令に基づき転舵の制御を行う。運転者に代わって、制御装置42が操舵している状態を自動操舵状態と記す。
【0020】
制御装置42は、1つのプロセッサで構成されてよい。また、制御装置42は、制御装置42の機能を分担して処理する複数のプロセッサから構成されてもよい。
【0021】
図2は、操舵装置10の制御に係るシステム構成を示すブロック図である。操舵装置10の制御システムは、2系統の冗長系を構成している。第1系統が「L1」で示され、第2系統が「L2」で示される。第1系統L1に属する要素に対して、その要素名に「第1」の語を付し、参照符号には必要に応じて「-1」または「1」の添え字を付す。第2系統L2に属する要素に対して、その要素名に「第2」の語を付し、参照符号には必要に応じて「-2」または「2」の添え字を付す。
【0022】
転舵アクチュエータ16の電気モータは、2つのコイルセット52-1,52-2を有する。第1コイルセット52-1は、ステータの第1ティース(不図示)にセットされ、第2コイルセット52-2は、第1ティースとは異なる第2ティース(不図示)にセットされる。第1ティースと第2ティースは同位相に配置してよい。また、第1ティースと第2ティースは位相差をもって配置してよい。位相差は例えば30°であってよい。位相差を設けることでコギングトルクを軽減でき、滑らかな駆動が可能となる。また、2つのコイルセット52-1,52-2は、共通のティースにセットされてもよい。
【0023】
反力アクチュエータ26の電気モータも、前述の転舵アクチュエータ16の電気モータと同様、2つのコイルセット50-1,50-2を有する。2つのコイルセット50-1,50-2のティースに対するセットの態様も転舵アクチュエータ16の場合と同様である。
【0024】
反力アクチュエータ26は、操舵トルクTに基づき制御される。ステアリングホイール12の操作による操舵トルクTが操舵トルクセンサ28-1,28-2によって検出される。第1系統L1では、操舵トルクセンサ28-1に検出された第1操舵トルクT1に基づき、第1反力制御部54-1が目標反力を算出し、さらに目標反力に対応した第1反力電流指令値Ir1を第1反力駆動回路56-1に送出する。第1反力駆動回路56-1は、第1反力電流指令値Ir1に基づく駆動電流を反力アクチュエータ26の第1コイルセット50-1に供給する。一方、第2系統L2では、第2操舵トルクセンサ28-2に検出された操舵トルクT2に基づき第2反力制御部54-2が目標反力を算出し、さらに目標反力に対応した第2反力電流指令値Ir2を算出する。第2反力制御部54-2は、この第2反力電流指令値Ir2を、第1系統L1で算出された第1反力電流指令値Ir1と比較し、これらが乖離していなければ、第1反力電流指令値Ir1を第2反力駆動回路56-2に送出する。一方、第1反力電流指令値Ir1と第2反力指令値Ir2が乖離していれば、第2反力制御部54-2は、第2反力電流指令値Ir2を第2反力駆動回路56-2に送出する。第2反力駆動回路56-2は、受けた第1または第2反力電流指令値Ir1またはIr2に基づく駆動電流を第2コイルセット50-2に供給する。
【0025】
転舵アクチュエータ16は、操舵角θsに基づき制御される。第1系統L1では、第1操舵角センサ14-1によって検出された操舵角θs1に基づき第1転舵制御部60-1が目標転舵角θt1
*(
図3参照)を算出し、さらに目標転舵角θt1
*に対応した第1転舵電流指令値It1を第1転舵駆動回路62-1に送出する。第1転舵駆動回路62-1は、第1転舵電流指令値It1に基づく駆動電流を転舵アクチュエータ16の第1コイルセット52-1に供給する。一方、第2系統L2では、第2操舵角センサ14-2によって検出された操舵角θs2に基づき第2転舵制御部60-2が目標転舵角θt2
*(
図3参照)を算出し、さらに目標転舵角θt2
*に対応した第2転舵電流指令値It2を算出する。第2転舵制御部60-2は、この第2転舵電流指令値It2を第2系統L1で算出された第1転舵電流指令値It1と比較し、これらが乖離していなければ、第1転舵電流指令値It1を第2転舵駆動回路62-2に送出する。一方、第2転舵電流指令値It2と第1転舵電流指令値It1が乖離していれば、第2転舵制御部60-2は、第2転舵電流指令値It2を第2転舵駆動回路62-2に供給する。ただし、後に詳述するように、急操舵操作に関連して、転舵電流指令値の乖離が生じた場合でも、第2転舵制御部60-2が、第2転舵駆動回路62-2に第1転舵電流指令値It1を供給することがある。
【0026】
第1系統L1と第2系統L2は同一の構成を有しており、第1系統の第1転舵電流指令値It1と第2系統の第2転舵電流指令値It2は、理想的には等しくなる。第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2の差の絶対値が所定値以下であれば、第2転舵制御部60-2は、第1系統L1および第2系統L2が正常であると判定する。また、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2の差の絶対値が所定値を超えていれば、第2転舵制御部60-2は、第1系統L1と第2系統L2のいずれかが異常であると判定する。正常が判定された場合は、同一の指令値(第1転舵電流指令値It1)に基づき第1系統L1および第2系統L2が制御される。これにより、アクチュエータの発生する音や振動が低いレベルに抑えられる。第1系統L1に異常が発生した場合、第2系統L2の制御が第1系統L1から独立することで、第1系統L1の異常が第2系統L2に伝播することを防止することができる。第2系統L2に異常が発生した場合、第1系統L1は正常である。第1系統L1と第2系統L2の一方に異常が発生しても、他方は正常に動作する。操舵装置10は、第1系統L1と第2系統L2の一方が正常であれば、動作が許容範囲内に収まるよう構成されている。以下において、「差の絶対値」を単に「差」と表記する。
【0027】
図3は、第1および第2転舵制御部60-1,60-2の詳細な機能構成を示すブロック図である。第1転舵制御部60-1は、1つのプロセッサである第1プロセッサ64で構成されてよい。第2転舵制御部60-2は、2つのプロセッサである第2プロセッサ66と第3プロセッサ68で構成されてよい。また、第2転舵制御部60-2は、第2プロセッサ66の機能と第3プロセッサ68の機能を備えた1つのプロセッサで構成されてよい。さらにまた、以下で説明する第2プロセッサ66の機能の一部が第3プロセッサ68で実行されるよう構成されてよく、また以下で説明する第3プロセッサ68の機能の一部が第2プロセッサ66で実行されるよう構成されてよい。各プロセッサ64,66,68に属する機能要素は、各プロセッサ64,66,68が所定のプログラムに従って動作することにより実現される。
【0028】
第1転舵制御部60-1について説明する。目標転舵角演算部70-1は、操舵角θs1に基づき制御目標となる目標転舵角θt1*を算出する。また、目標転舵角演算部70-1は、操舵角θs1に加えて車速vに基づき目標転舵角θt1*を算出してもよい。車速vに基づく制御を行うことで、例えば、車速vが低いとき、車輪がより大きく転舵されるように設定することができる。目標転舵角速度演算部72-1は、目標転舵角θt1*に基づき、目標転舵角速度ωt1*を算出する。ゲイン調整部74-1は、転舵角のフィードバック演算に係るゲインKp1,Ki1,Kd1,Kdmpを、車速vなどの走行状況に応じて調整する。
【0029】
転舵電流指令値演算部76-1は、設定されたゲインを用い、制御対象のパラメータである転舵角θt1および転舵角速度ωt1に基づき第1転舵電流指令値It1を、次式(1)に従ってフィードバック演算により算出する。
【0030】
【0031】
式(1)において、Kp1、Ki1、Kd1およびKdmp1は、PID+Dmp制御における比例項のゲイン、微分項のゲイン、積分項のゲイン、および減衰項のゲインである。また、A1は転舵角偏差(θt1*-θt1)の絶対値、B1は転舵角速度偏差(ωt1*-ωt1)の絶対値、C1は実角速度(ωt1)である。
【0032】
第1転舵制御部60-1は、第1転舵電流指令It1を第1転舵駆動回路62-1に送出する。
【0033】
第2転舵制御部60-2について説明する。第2プロセッサ66は、第1プロセッサ64と同一の構成を有し、対応する符号を付して説明を省略する。第2プロセッサ66は、第2転舵電流指令値It2を第1プロセッサ64と同様に次式(2)に従ってフィードバック演算により算出する。
【0034】
【0035】
式(2)において、Kp2、Ki2、Kd2およびKdmp2は、PID+Dmp制御における比例項のゲイン、微分項のゲイン、積分項のゲイン、および減衰項のゲインである。また、A2は転舵角偏差(θt2*-θt2)の絶対値、B2は転舵角速度偏差(ωt2*-ωt2)の絶対値、C2は実角速度(ωt2)である。
【0036】
第3プロセッサ68は、車両が自動操舵状態であることを示す信号を、自動運転システム44から受信する自動操舵受信部78を有する。自動操舵状態は、運転者の操作によらず、自動運転システム44が転舵車輪18の転舵を制御する状態である。また、第3プロセッサ68は、操舵角θs2に基づき転舵角θtc2を算出する転舵角演算部80を有する。さらに、第3プロセッサ68は、操舵角θs2に基づき転舵角速度ωtc2を算出する転舵角速度演算部82を有する。転舵角演算部80および転舵角速度演算部82は、目標転舵角演算部70-2と同様に、操舵角θs2と車速vに基づき転舵角θtc2および転舵角速度ωtc2を算出してもよい。
【0037】
第3プロセッサ68は、第1プロセッサ64で算出された第1転舵電流指令値It1と、第2プロセッサ66で算出された第2転舵電流指令値It2とが乖離しているかを判定する指令値乖離判定部84を有する。指令値乖離判定部84は、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2の差が所定値以下であれば乖離していないと判定する。また、指令値乖離判定部84は、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2の差が所定値を超えていれば乖離していると判定する。
【0038】
さらに、指令値乖離判定部84は、急操舵操作されたかを判定する。急操舵操作された状態では、各系統における検出のタイミング、検出値の受信のタイミングなどのばらつきが大きくなる。このため、急操舵操作状態においては、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2の差が大きくなる場合がある。急操舵操作に伴う指令値It1,It2の乖離は装置の異常でなないので、第3プロセッサ68は、急操舵操作が検出された場合、乖離判定の結果にかかわらず、第2転舵制御部60-2から出力される転舵電流指令値を第1転舵電流指令値It1とする。急操舵操作は、転舵角演算部80で算出された転舵角θtc2が所定値以上、かつ転舵角速度演算部82で算出された転舵角速度ωtc2が所定値以上であるときに、判定される。これに加えて、またこれに替えて、指令値乖離判定部84は、自動操舵状態か否かをもって、急操舵操作がなされる状態か否かを判定する。自動操舵状態ではないときには、急操舵操作が行われる可能性があるので、指令値乖離判定部84は、乖離判定の結果にかかわらず、第1転舵電流指令値It1を出力する。第3プロセッサ68は、(i)転舵電流指令値It1,It2が乖離したとき、かつ(ii)急操舵操作状態でない、または急操舵操作がなされる状態ではないときに、第2転舵電流指令値It2を出力する。これにより、第2転舵制御部60-2から出力される転舵電流指令値が第2転舵電流指令値It2となる。これ以外の場合、第3プロセッサ68は、第1転舵電流指令値It1を出力する。これにより、第2転舵制御部60-2から出力される転舵電流指令値が第1転舵電流指令値It1となる。
【0039】
図4は、第3プロセッサ68の制御フローを示すフローチャートである。まず、第3プロセッサ68は、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2が乖離しているか判定する(S100)。乖離していなければ、第3プロセッサ68は、第1転舵電流指令値It1を出力する(S102)。乖離していれば、第3プロセッサ68は、自動操舵状態かを判定する(S104)。自動操舵状態でなければ、第3プロセッサ68はステップS102の処理を実行する。自動操縦状態であれば、第3プロセッサ68は、転舵角演算部80で算出された転舵角θtc2が所定値未満であるかを判断する(S106)。転舵角θtc2が所定値未満でなければ、第3プロセッサ68は、ステップS102の処理を実行する。転舵角θtc2が所定値未満であれば、第3プロセッサ68は、転舵角速度演算部82で算出された転舵角速度ωtc2が所定値未満であるかを判断する(S108)。転舵角速度ωtc2が所定値未満でなければ、第3プロセッサ68は、ステップS102の処理を実行する。転舵角速度ωtc2が所定値未満であれば、第3プロセッサ68は、第2転舵電流指令値It2を出力する(S110)。
【0040】
第3プロセッサ68は、自動操舵状態の判定(S104)と、急操舵操作の判定(S106,S108)のいずれか一方を備えるようにしてもよい。ステップS100,S104,S106,S108の順序は、入れ替えることができる。例えば、まず、第3プロセッサ68は、自動操舵状態かを判定し(S104)、自動操舵状態であるときに指令値の乖離を判定する(S100)ように構成されてよい。
【0041】
図5は、第1および第2転舵制御部60-1,60-2に代替可能な第1および第2転舵制御部160-1,160-2の機能構成を示すブロック図である。前述の第1および第2転舵制御部60-1,60-2と同様の構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。第1転舵制御部160-1は、1つのプロセッサである第1プロセッサ164で構成されてよい。第2転舵制御部160-2は、2つのプロセッサである第2プロセッサ166と第3プロセッサ168で構成されてよい。また、第2転舵制御部160-2は、第2プロセッサ166の機能と第3プロセッサ168の機能を備えた1つのプロセッサで構成されてよい。さらにまた、第2プロセッサ166の機能の一部が第3プロセッサ168で実行されるよう構成されてよく、また第3プロセッサ168の機能の一部が第2プロセッサ166で実行されるよう構成されてよい。各プロセッサ164,166,168に属する機能要素は、各プロセッサ164,166,168が所定のプログラムに従って動作することにより実現される。
【0042】
第1プロセッサ164は、前述の第1プロセッサ64と同様の構成を有する。第1プロセッサ164は、フィードバック制御における制御対象パラメータである転舵角の目標値θt1*と実際値θt1の偏差(転舵角偏差A1=θt1*-θt1)を第2プロセッサ166に送出することができる。また、第1プロセッサ164は、フィードバック制御における制御対象パラメータである転舵角速度の目標値ωt1*と実際値ωt1の偏差(転舵角速度偏差B1=ωt1*-ωt1)を第2プロセッサ166に送出することができる。さらに、第1プロセッサ164は、フィードバック制御における制御対象パラメータである転舵角速度の実際値(角速度C1=ωt1)を第2プロセッサ166に送出することができる。
【0043】
第2プロセッサ166は、前述の第2プロセッサ66と同様の構成を有する。第2プロセッサ166は、フィードバック制御における制御対象パラメータである転舵角の目標値θt2*と実際値θt2の偏差(転舵角偏差A2=θt2*-θt2)を第3プロセッサ168に送出することができる。また、第2プロセッサ166は、フィードバック制御における制御対象パラメータである転舵角速度の目標値ωt2*と実際値ωt2の偏差(転舵角速度偏差B2=ωt2*-ωt2)を第3プロセッサ168に送出することができる。さらに、第2プロセッサ166は、フィードバック制御における制御対象パラメータである転舵角速度の実際値(角速度C2=ωt2)を第3プロセッサ168に送出することができる。
【0044】
さらに、第2プロセッサ166は、第1プロセッサ164から受けた転舵角偏差A1、転舵角速度偏差B1および角速度C1を第3プロセッサ168に送出することができる。
【0045】
第3プロセッサ168は、第1プロセッサ164で算出された第1転舵電流指令値It1と、第2プロセッサ166で算出された第2転舵電流指令値It2とが乖離しているかを判定する指令値乖離判定部184を有する。指令値乖離判定部184は、前述の指令値乖離判定部84と同様に乖離判定を行う。
【0046】
さらに、指令値乖離判定部184は、第1系統L1の転舵角偏差A1と第2系統L1の転舵角偏差A2の差ΔA(=abs(A1-A2))、転舵角速度偏差B1と転舵角速度偏差B2の差ΔB(=abs(B1-B2))および角速度C1と角速度C2の差ΔC(=abs(C1-C2))を算出する。これらの差ΔA,ΔB,ΔCは、急操舵状態においては大きくなる。したがって、指令値乖離判定部184は、差ΔA,ΔB,ΔCが大きいことをもって急操舵状態と判定することができる。差ΔA,ΔB,ΔCのいずれかが所定値以上であれば、第3プロセッサ168は、乖離判定の結果にかかわらず、第1転舵電流指令値It1を出力する。第3プロセッサ68は、転舵電流指令値It1,It2が乖離したとき、かつ急操舵操作状態でないとき(すなわち、差ΔA,ΔB,ΔCが所定値未満のとき)には、第2転舵電流指令値It2を出力する。これにより、第2転舵制御部160-2から出力される転舵電流指令値が第2転舵電流指令値It2となる。これ以外の場合、第3プロセッサ68は、第1転舵電流指令値It1を出力する。これにより、第2転舵制御部160-2から出力される転舵電流指令値が第1転舵電流指令値It1となる。
【0047】
図6は、第3プロセッサ168の制御フローを示すフローチャートである。まず、第3プロセッサ168は、第1転舵電流指令値It1と第2転舵電流指令値It2が乖離しているか判定する(S200)。乖離していなければ、第3プロセッサ168は、第1転舵電流指令値It1を出力する(S202)。乖離していれば、第3プロセッサ68は、転舵角偏差の差ΔAの差が所定値未満であるかを判定し(S204)、転舵角速度偏差の差ΔBが所定値未満であるかを判定し(S206)、角速度の差ΔCが所定値未満であるかを判定する(S208)。3つのステップS204,S206,S208における判定が全て肯定であれば、第3プロセッサ168は、第2転舵電流指令値It2を出力する(S210)。3つのステップS204,S206,S208における判定が1つでも否定であれば、第3プロセッサ168は、ステップS202の処理を実行する。ステップS200,S204,S206,S208の順序は、入れ替えることができる。例えば、まず、第3プロセッサ68は、急操舵状態かを判定し(S204-S208)、急操舵状態でなければ転舵電流指令値の乖離を判定する(S200)ように構成されてよい。
【0048】
以上、急操舵操作時の転舵アクチュエータ16の制御について説明した。反力アクチュエータ26についても、急操舵操作時に同様の制御を行ってよい。
【符号の説明】
【0049】
10 操舵装置、12 ステアリングホイール、14 操舵角センサ、16 転舵アクチュエータ、18 転舵車輪、20 転舵角センサ、26 反力アクチュエータ、28 操舵トルクセンサ、42 制御装置、44 自動運転システム、60-1,60-2 転舵制御部、64 第1プロセッサ、66 第2プロセッサ、68 第3プロセッサ、θs1,θs2 操舵角、θt1,θt2 実転舵角、θt1*,θt2* 目標転舵角、ωt1,ωt2 実転舵角速度、ωt1*,ωt2* 目標転舵角速度、It1,It2 転舵電流指令値、v 車両速度、A1,A2 転舵角偏差、B1、B2 転舵角速度偏差、C1,C2 角速度偏差。