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特開2024-132283処理システム、処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132283
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】処理システム、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H02M3/28 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043010
(22)【出願日】2023-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】保坂 勝
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730BB27
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE08
5H730EE14
5H730EE59
5H730FD31
5H730FD41
5H730FG12
5H730XX02
5H730XX22
5H730XX35
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することのできる処理システムを提供する。
【解決手段】処理システムは、トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出する第1検出手段と、前記第1検出手段が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する第1判定手段と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、
前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する第1判定手段と、
を備える処理システム。
【請求項2】
前記第2のスイッチング素子のスイッチングを制御する第1制御手段、
を備え、
前記第1判定手段は、
前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下である場合、前記第2のスイッチング素子を停止させる指示を、前記第1制御手段に出力する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記負荷手段は、
負荷の重さを調整可能であり、
前記第1判定手段は、
前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下である場合、負荷手段に負荷の重さをより重くする指示をする、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記第1回路に流れる電流を検出する第2検出手段、
を備え、
前記第1判定手段は、
前記第2検出手段が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の処理システム。
【請求項5】
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、を備える処理システムが実行する処理方法であって、
前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出することと、
検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定することと、
を含む処理方法。
【請求項6】
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、を備える処理システムに、
前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出することと、
検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理システム、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな分野で情報処理システムや電子機器などの電力源が必要な装置が用いられている。そのような装置では、負荷に電流を供給するフルブリッジコンバータや同期整流方式等を採用しているコンバータ回路が使用される場合がある。特許文献1には、関連する技術として、コンバータに間欠発振が起こった場合の制御の精度の向上させる補正回路および電源装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-167859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムでは、2次側の回路から1次側の回路へ電流が逆流する可能性がある。そのため、トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる処理システム、処理方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、処理システムは、トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出する第1検出手段と、前記第1検出手段が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する第1判定手段と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、を備える処理システムが実行する処理方法であって、前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出することと、検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定することと、を含む。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、を備える処理システムに、前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出することと、検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の各態様によれば、トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態による電力供給システムの構成の一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態による電力供給システムの処理フローの一例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システムにおいて不具合が発生する動作内容を説明するための第1の図である。
図4】本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システムにおいて不具合が発生する動作内容を説明するための第2の図である。
図5】本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システムにおいて不具合が発生する動作内容を説明するための第3の図である。
図6】本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システムにおいて不具合が発生する動作内容を説明するための第4の図である。
図7】本開示の実施形態による処理システムの最小構成を示す図である。
図8】本開示の実施形態による最小構成の処理システムの処理フローの一例を示す図である。
図9】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<実施形態>
(電力供給システム回路の構成)
本開示の実施形態による電力供給システム1について図面を参照して説明する。電力供給システム1は、トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することのできるシステムである。
【0012】
図1は、本開示の実施形態による電力供給システム1の構成の一例を示す図である。電力供給システム1は、図1に示すように、コンバータ回路10、1次制御回路20、2次制御回路30、インダクタ40、第1キャパシタ50、第2キャパシタ60、負荷部70、1次電流検出回路80、2次負荷電流検出回路90、および1次2次制御回路100を備える。
【0013】
コンバータ回路10は、図1に示すように、第1回路101、第2回路102、およびトランス103を備える。
【0014】
第1回路101は、コンバータ回路10の1次側回路である。第1回路101は、図1に示すように、スイッチング素子101a1、101a2、101a3、101a4を備える。スイッチング素子101a1、101a2、101a3、101a4を総称してスイッチング素子101aということがある。スイッチング素子101aは、ブリッジ回路を構成する。スイッチング素子101aの例としては、MOSFET(Metal Oxide Silicon Field Effect Transistor)などが挙げられる。
【0015】
第2回路102は、コンバータ回路10の2次側回路である。第2回路102は、図1に示すように、スイッチング素子102a1、102a2、102a3、102a4を備える。スイッチング素子102a1、102a2、102a3、102a4を総称してスイッチング素子102aということがある。スイッチング素子102aは、ブリッジ回路を構成する。スイッチング素子102aの例としては、MOSFETなどが挙げられる。
【0016】
トランス103は、第1回路101と、第2回路102とを結合する。トランス103は、1次側の巻線数と2次側の巻線数との比である巻線比に応じて、第1回路101と第2回路102との間での電力のやり取りを実現する。
【0017】
1次制御回路20は、スイッチング素子101aのスイッチング動作を制御する。1次制御回路20は、図1に示すように、1次制御回路スイッチング信号出力部201を備える。1次制御回路スイッチング信号出力部201は、スイッチング素子101aのそれぞれに接続される。1次制御回路スイッチング信号出力部201は、スイッチング素子101aのそれぞれにオンオフパルス信号を出力することにより、スイッチング素子101aのそれぞれをオン状態またはオフ状態に制御する。オンオフパルス信号は、スイッチング素子101aのそれぞれをオン状態またはオフ状態にさせる信号である。
【0018】
また、1次制御回路20は、1次電流検出回路80が検出した第1回路101に流れる電流をモニタリングする。また、1次制御回路20は、モニタリングした電流を示すモニタリング情報に基づいて、信号線L1を介して2次制御回路30に対し制御の指示を通知する。信号線L1は、1次制御回路20と2次制御回路30とを接続する。信号線L1は、1次制御回路20から2次制御回路30を制御するための信号線である。例えば、1次制御回路20は、モニタリングした電流を示すモニタリング情報に基づいて、第1回路101に電流が流れていないと判定した場合、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を2次制御回路30に通知する。この通知により、負荷部70が無負荷および低負荷時であっても、第2回路102が停止し、第2回路102から第1回路101への逆電流の発生を抑制することができる。
【0019】
2次制御回路30は、スイッチング素子102aのスイッチング動作を制御する。2次制御回路30は、図1に示すように、2次制御回路スイッチング信号出力部301を備える。2次制御回路スイッチング信号出力部301は、スイッチング素子102aのそれぞれに接続される。2次制御回路スイッチング信号出力部301は、スイッチング素子102aのそれぞれにオンオフパルス信号を出力することにより、スイッチング素子102aのそれぞれをオン状態またはオフ状態に制御する。オンオフパルス信号は、スイッチング素子102aのそれぞれをオン状態またはオフ状態にさせる信号である。
【0020】
また、2次制御回路30は、1次制御回路20から信号線L1を介してスイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を受けた場合、その指示に応じて、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる。
【0021】
インダクタ40および第1キャパシタ50は、コンバータ回路10の出力におけるフィルタを構成する。このフィルタにより、コンバータ回路10の出力における電圧のリップルが低減される。
【0022】
第2キャパシタ60は、コンバータ回路10に電力を供給する電源の出力における電圧のリップル、すなわち、コンバータ回路10の入力における電圧のリップルを低減させる。
【0023】
負荷部70は、第2回路102から電力を受ける。すなわち、負荷部70は、コンバータ回路10の負荷である。
【0024】
1次電流検出回路80は、コンバータ回路10の1次側に設けられる。1次電流検出回路80は、第1回路101に流れる電流を検出する。1次電流検出回路80は、信号線L2を介して1次制御回路20に検出した電流を示す情報を通知する。信号線L2は、1次制御回路20と1次電流検出回路80とを接続する。信号線L2は、1次電流検出回路80が検出した第1回路101に流れる電流を示す情報を1次制御回路20に通知するための信号線である。
【0025】
2次負荷電流検出回路90は、コンバータ回路10の2次側に設けられる。2次負荷電流検出回路90は、第2回路102から負荷部70に供給される電流を検出する。2次負荷電流検出回路90は、信号線L5を介して1次2次制御回路100に検出した電流を示す情報を通知する。信号線L5は、2次負荷電流検出回路90と1次2次制御回路100とを接続する。信号線L5は、2次負荷電流検出回路90が検出した第2回路102に流れる電流を示す情報を1次2次制御回路100に通知するための信号線である。
【0026】
1次2次制御回路100は、図1に示すように、制御部1001、および記憶部1002を備える。1次2次制御回路100において、制御部1001は、記憶部1002に接続される。制御部1001は、1次制御回路20が行う第1回路101の制御の状況をモニタリングする。第1回路101の制御の状況の例としては、スイッチング素子101aによるスイッチング動作などの制御の状況などが挙げられる。また、制御部1001は、信号線L3を介して1次制御回路20に動作の指示を通知する。信号線L3は、1次制御回路20と1次2次制御回路100とを接続する。信号線L3は、1次2次制御回路100が1次制御回路20に動作の指示を通知するための信号線である。
【0027】
また、制御部1001は、2次制御回路30が行う第2回路102の制御状況をモニタリングする。第2回路102の制御の状況の例としては、スイッチング素子102aによるスイッチング動作などの制御の状況などが挙げられる。また、制御部1001は、信号線L4を介して2次制御回路30に動作の指示を通知する。信号線L4は、2次制御回路30と1次2次制御回路100とを接続する。信号線L4は、1次2次制御回路100が2次制御回路30に動作の指示を通知するための信号線である。
【0028】
また、制御部1001は、2次負荷電流検出回路90が検出した電流を示す情報をモニタリングする。また、制御部1001は、モニタリングした電流を示すモニタリング情報に基づいて、信号線L4を介して2次制御回路30に対し制御の指示を通知する。信号線L4は、2次制御回路30と1次2次制御回路100とを接続する。信号線L4は、1次2次制御回路100から2次制御回路30を制御するための信号線である。例えば、制御部1001は、モニタリングした電流を示すモニタリング情報に基づいて、第1回路101に電流が流れていないと判定した場合、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を2次制御回路30に通知する。この通知により、負荷部70が無負荷および低負荷時であっても、第2回路102が停止し、第2回路102から第1回路101への逆電流の発生を抑制することができる。
【0029】
また、制御部1001は、モニタリングした1次制御回路20、2次制御回路30、および2次負荷電流検出回路90のそれぞれから得た情報を記憶部1002に書き込む。また、制御部1001は、1次制御回路20および2次制御回路30に対して指示した情報を記憶部1002に書き込む。
【0030】
記憶部1002は、1次制御回路20、2次制御回路30、および2次負荷電流検出回路90のそれぞれから制御部1001が得た情報を記憶する。また、記憶部1002は、1次制御回路20および2次制御回路30に対して制御部1001が指示した情報を記憶する。
【0031】
図2は、本開示の一実施形態による電力供給システム1の処理フローの一例を示す図である。次に、図2を参照して、本開示の一実施形態による電力供給システム1が行う処理について説明する。
【0032】
コンバータ回路10において、1次制御回路20は、スイッチング素子101aのスイッチング動作を制御する(ステップS1)。例えば、1次制御回路スイッチング信号出力部201は、スイッチング素子101aのそれぞれにオンオフパルス信号を出力することにより、スイッチング素子101aのそれぞれをオン状態またはオフ状態に制御する。具体的には、1次制御回路スイッチング信号出力部201は、スイッチング素子101a1と101a4とがオン状態の場合にスイッチング素子101a2と101a3とをオフ状態とし、スイッチング素子101a1と101a4とがオフ状態の場合にスイッチング素子101a2と101a3とをオン状態とすることを繰り返すオンオフパルス信号をスイッチング素子101aに出力する。
【0033】
2次制御回路30は、スイッチング素子102aのスイッチング動作を制御する(ステップS2)。例えば、2次制御回路スイッチング信号出力部301は、スイッチング素子102aのそれぞれにオンオフパルス信号を出力することにより、スイッチング素子102aのそれぞれをオン状態またはオフ状態に制御する。具体的には、2次制御回路スイッチング信号出力部301は、スイッチング素子102a1と102a4とがオン状態の場合にスイッチング素子102a2と102a3とをオフ状態とし、スイッチング素子102a1と102a4とがオフ状態の場合にスイッチング素子102a2と102a3とをオン状態とすることを繰り返すオンオフパルス信号をスイッチング素子102aに出力する。
【0034】
ステップS1およびステップS2の処理により、コンバータ回路10が負荷部70で電力を供給することが可能となっている。なお、ステップS1およびステップS2の処理は、常時行われている。また、以下に示すステップS3以降の処理は、ステップS1およびステップS2の処理と並行して行われる処理である。
【0035】
1次制御回路20は、1次電流検出回路80が検出した第1回路101に流れる電流をモニタリングする(ステップS3)。そして、1次制御回路20は、モニタリングした電流を示すモニタリング情報に基づいて、第1回路101に電流が流れているか否かを判定する(ステップS4)。1次制御回路20は、第1回路101に所定の電流しきい値以上の電流が流れていないと判定した場合(ステップS4においてNO)、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を2次制御回路30に通知する(ステップS5)。
【0036】
2次制御回路30は、1次制御回路20から信号線L1を介してスイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を受けた場合、その指示に応じて、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる(ステップS6)。そして、2次制御回路30は、処理を終了する。
【0037】
ステップS5およびステップS6の処理により、負荷部70が無負荷および低負荷時であっても、第2回路102が停止し、第2回路102から第1回路101への逆電流の発生を抑制することができる。ただし、1次電流検出回路80がスイッチング素子101aのスイッチングノイズ等により誤動作することがある。この場合、負荷部70が無負荷または低負荷であるにも関わらずスイッチング素子102aを停止できないことになる。
このような場合に備えて、1次制御回路20が、第1回路101に所定の電流しきい値以上の電流が流れていると判定した場合(ステップS4においてYES)、1次2次制御回路100は、2次負荷電流検出回路90において検出した負荷部70への電流量の情報も加味して、第1回路101に電流が流れているか否かを判定する(ステップS7)。1次2次制御回路100は、第1回路101に電流が流れていると判定した場合(ステップS7においてYES)、ステップS3の処理に戻す。また、1次2次制御回路100は、第1回路101に電流が流れていないと判定した場合(ステップS7においてNO)、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を2次制御回路30に通知する(ステップS8)。
【0038】
2次制御回路30は、1次2次制御回路100から信号線L4を介してスイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる指示を受けた場合、その指示に応じて、スイッチング素子102aのスイッチング動作を停止させる(ステップS9)。そして、2次制御回路30は、処理を終了する。
【0039】
以上、本開示の一実施形態による電力供給システム1(処理システムの一例)について説明した。電力供給システム1において、コンバータ回路10は、トランス103で接続される1次側の第1回路101と2次側の第2回路102であって、スイッチング素子101a(第1のスイッチング素子の一例)から成るブリッジ回路である前記第1回路101とスイッチング素子102a(第2のスイッチング素子の一例)から成るブリッジ回路である前記第2回路102とを有する。負荷部70(負荷手段の一例)は、前記コンバータ回路10の負荷である。2次負荷電流検出回路90(第1検出手段の一例)は、前記第2回路102から前記負荷部70へ供給される電流を検出する。1次2次制御回路100(第1判定手段の一例)は、前記2次負荷電流検出回路90が検出した電流に基づいて、前記第1回路101に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する。
【0040】
この電力供給システム1により、トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することができる。
【0041】
ここで、比較対象の電力供給システムにおいて、コンバータ回路に起因する生じる課題について説明する。フルブリッジコンバータ、同期整流方式等を採用しているコンバータ回路において、負荷が無負荷および低負荷時である場合、電源の出力部のインダクタに蓄えられたエネルギーが消費されない。そのため、この状態でコンバータ回路の2次側のスイッチング素子(例えば、MOSFET)が動作を継続した場合、2次側回路に通常とは反対方向に電流が流れる。このように2次側に逆電流が流れた場合、トランスを介して1次側回路にも逆電流が発生する。1次側回路に逆電流が発生している状態でスイッチング素子が通常のスイッチング動作を行うと1次側のスイッチング素子であるMOSFETに不具合(例えば、破損など)が発生する可能性がある。これを回避するために1次電流検出回路において1次側回路に流れる電流から無負荷および低負荷時であることを検出して、2次側制御回路に2次側スイッチング素子であるMOSFETを停止させる指示を出力する。しかしながら、1次側の電流検出回路が1次側のMOSFETのスイッチングノイズ等により誤動作することにより、負荷が無負荷または低負荷時であるにも関わらず2次側のMOSFETを停止できない場合がある。この場合、1次側のスイッチング素子であるMOSFETの不具合が発生し、コンバータ回路による負荷部への給電が停止する可能性がある。また、この給電停止によりデータ消失等を伴うようなシステム停止となってしまう可能性もある。
【0042】
コンバータを複数台準備して負荷部に給電することで、何れかのコンバータに異常が発生した場合の給電の停止によるデータ消失等を伴うようなシステム停止を回避することは可能である。しかしながら、この場合、コンバータからの複数の給電経路、また複数のコンバータを準備する必要がある。また、コンバータからの出力電圧値が低く、出力電流値が大きいコンバータの仕様の場合には、システムにおけるコンバータからの給電経路の物量がさらに多くなり、システムが大型になってしまう。
【0043】
上述した1次側の電流検出回路が1次側のMOSFETのスイッチングノイズ等により誤動作することで負荷が無負荷または低負荷時であるにも関わらず2次側のMOSFETを停止できない場合、2次側回路に通常とは反対方向の逆電流が流れ、トランスを介して1次側回路にも逆電流が発生する。1次側回路に逆電流が発生している状態で通常のコンバータにおけるスイッチング素子がスイッチング動作すると1次側スイッチング素子であるMOSFETに不具合が発生する動作内容について説明する。図3は、本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システム1000において不具合が発生する動作内容を説明するための第1の図である。図4は、本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システム1000において不具合が発生する動作内容を説明するための第2の図である。図5は、本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システム1000において不具合が発生する動作内容を説明するための第3の図である。図6は、本開示の一実施形態における比較対象の電力供給システム1000において不具合が発生する動作内容を説明するための第4の図である。ここでは、図3図6を参照して、比較対象の電力供給システム1000において不具合が発生する動作内容について説明する。
【0044】
コンバータ回路の1次側および2次側の各々のスイッチング素子であるMOSFETは、1次制御回路および2次制御回路のスイッチング信号出力部からのスイッチング信号により図3図4に示す様に交互にオンとオフとを繰り返す。この動作により負荷部への給電が可能となる。しかしながら、無負荷および低負荷時には図5図6に示す様に2次側回路の電源の出力近端のインダクタに蓄えられたエネルギーが負荷部により消費されない。この状態で2次側のスイッチング素子であるMOSFETが動作を継続した場合、2次側回路に通常とは反対方向に電流が流れる。このように2次側回路に逆電流が流れた場合、トランスを介して1次側回路にも逆電流が発生する。例えば図5において2次側回路に逆電流が流れた場合、トランスを介して1次側のスイッチング素子であるMOSFETのQ01およびQ04のボディダイオードに逆電流が流れる。ボディダイオードの順方向に電流が流れている状態からMOSFETがオフして逆電圧が印可された場合、逆方向に大きなリカバリ電流が流れ、図6に示す様にQ01のダイオードにリカバリ電流が流れ、かつQ02がオンするためショート電流が流れる。この様なスイッチング動作が行われると1次側スイッチング素子であるMOSFETの不具合が発生する可能性がある。
【0045】
本開示の別の実施形態では、負荷部70は、1次2次制御回路100による制御の下、負荷の重さを調整可能であってもよい。この場合、本開示の一実施形態において、1次2次制御回路100がスイッチング素子102aを停止させる指示を、2次制御回路30に出力する処理に代わって、本開示の別の実施形態では、1次2次制御回路100が図1に示す信号線L6を介して負荷部70に負荷の重さをより重くする指示をすればよい。この指示により負荷部70は、負荷部70に流す電流の大きさを大きくする。その結果、第2回路102から第1回路101への逆電流の発生を抑制することができる。なお、信号線L6は、負荷部70と1次2次制御回路100とを接続する。信号線L6は、1次2次制御回路100が負荷部70に負荷の重さをより重くする指示を通知するための信号線である。
【0046】
本開示の別の実施形態による電力供給システム1は、フルブリッジコンバータ以外のコンバータ回路を備えるものであってもよい。フルブリッジコンバータ以外のコンバータ回路であっても、2次側の回路における逆電流発生による影響について、1次2次制御回路100は、トランス103等を介して1次側の第1回路101に相当する回路に流れる電流値および2次側の第2回路102に相当する回路のコンバータ回路10の出力近端の負荷部70へ流れる電流の電流値の双方の情報を比較することで、実際の正確な電流値の情報を得ることができる。実際の正確な電流値により、フルブリッジコンバータ以外のコンバータ回路を備える電力供給システム1においても、異常発生時に速やかに2次側のスイッチング素子のスイッチング動作を停止することが可能となる。トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することができる。
【0047】
図7は、本開示の実施形態による処理システム300の最小構成を示す図である。処理システム300は、図7に示すように、コンバータ回路3001、負荷手段3002、第1検出手段3003、および第1判定手段3004を備える。コンバータ回路3001は、トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有する。負荷手段3002は、前記コンバータ回路3001の負荷である。第1検出手段3003は、前記第2回路から前記負荷手段3002へ供給される電流を検出する。第1判定手段3004は、前記第1検出手段3003が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する。コンバータ回路3001は、例えば、図1に例示されているコンバータ回路10が有する機能を用いて実現することができる。負荷手段3002は、例えば、図1に例示されている負荷部70が有する機能を用いて実現することができる。第1検出手段3003は、例えば、図1に例示されている2次負荷電流検出回路90が有する機能を用いて実現することができる。第1判定手段3004は、例えば、図1に例示されている1次2次制御回路100が有する機能を用いて実現することができる。
【0048】
図8は、本開示の実施形態による最小構成の処理システム300の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の処理システム300の処理について図8を参照して説明する。
【0049】
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路3001と、前記コンバータ回路3001の負荷である負荷手段3002と、を備える処理システム300において、
第1検出手段3003は、前記第2回路から前記負荷手段3002へ供給される電流を検出する(ステップS101)。第1判定手段3004は、前記第1検出手段3003が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0050】
以上、本開示の実施形態による最小構成の処理システム300について説明した。この処理システム300により、トランスを介して1次側の回路と2次側の回路とを有するスイッチング素子を含むコンバータ回路を有する処理システムにおいて、2次側の回路から1次側の回路へ流れる逆電流の発生を抑制することができる。
【0051】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0052】
本開示の実施形態について説明したが、上述の電力供給システム1、1次制御回路20、2次制御回路30、負荷部70、1次電流検出回路80、2次負荷電流検出回路90、1次2次制御回路100、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0053】
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、図9に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0054】
例えば、上述の電力供給システム1、1次制御回路20、2次制御回路30、負荷部70、1次電流検出回路80、2次負荷電流検出回路90、1次2次制御回路100、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0055】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0056】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【0058】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0059】
(付記1)
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、
前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する第1判定手段と、
を備える処理システム。
【0060】
(付記2)
前記第2のスイッチング素子のスイッチングを制御する第1制御手段、
を備え、
前記第1判定手段は、
前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下である場合、前記第2のスイッチング素子を停止させる指示を、前記第1制御手段に出力する、
付記1に記載の処理システム。
【0061】
(付記3)
前記負荷手段は、
負荷の重さを調整可能であり、
前記第1判定手段は、
前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下である場合、負荷手段に負荷の重さをより重くする指示をする、
付記1に記載の処理システム。
【0062】
(付記4)
前記第1回路に流れる電流を検出する第2検出手段、
を備え、
前記第1判定手段は、
前記第2検出手段が検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定する、
付記1から付記3の何れか1つに記載の処理システム。
【0063】
(付記5)
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、を備える処理システムが実行する処理方法であって、
前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出することと、
検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定することと、
を含む処理方法。
【0064】
(付記6)
トランスで接続される1次側の第1回路と2次側の第2回路であって、第1のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第1回路と第2のスイッチング素子から成るブリッジ回路である前記第2回路とを有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の負荷である負荷手段と、を備える処理システムに、
前記第2回路から前記負荷手段へ供給される電流を検出することと、
検出した電流に基づいて、前記第1回路に流れる電流が所定の電流値以下であるか否かを判定することと、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0065】
1・・・電力供給システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・コンバータ回路
20・・・1次制御回路
30・・・2次制御回路
40・・・インダクタ
50・・・第1キャパシタ
60・・・第2キャパシタ
70・・・負荷部
80・・・1次電流検出回路
90・・・2次負荷電流検出回路
100・・・1次2次制御回路
101・・・第1回路
101a、102a・・・スイッチング素子
102・・・第2回路
103・・・トランス
201・・・1次制御回路スイッチング信号出力部
301・・・2次制御回路スイッチング信号出力部
1001・・・制御部
1002・・・記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9