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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132301
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/90 20210101AFI20240920BHJP
   F24F 1/0073 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
F24F8/90 120
F24F8/90 130
F24F1/0073
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043033
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】立花 光哉
(72)【発明者】
【氏名】加茂 千尋
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BA03
3L051BB02
(57)【要約】
【課題】フィルタを自動的に清掃するフィルタ自動清掃ユニットを備えた空気調和機において、安定した動作を可能にする構成を提供する。
【解決手段】本発明の空気調和機は、外部から取り込まれる空気を通過させるフィルタと、フィルタに付着した塵埃を除去するフィルタ自動清掃ユニットと、を備える。フィルタ自動清掃ユニットは、フィルタを支持するフィルタ支持体と、フィルタから除去した塵埃を集積する着脱可能なダストボックスと、を有する。フィルタ支持体は、ダストボックスを着脱可能にする第1状態と着脱不能にする第2状態とを切り替えるよう揺動可能であるとともに、第2状態のときにフィルタの移動をガイドする第1フィルタガイド部を有するフラップ部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から取り込まれる空気を通過させるフィルタと、
前記フィルタに付着した塵埃を除去するフィルタ自動清掃ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記フィルタ自動清掃ユニットは、
前記フィルタを支持するフィルタ支持体と、
前記フィルタから除去した塵埃を集積する着脱可能なダストボックスと、を有し、
前記フィルタ支持体は、前記ダストボックスを着脱可能にする第1状態と着脱不能にする第2状態とを切り替えるよう揺動可能であるとともに、前記第2状態のときに前記フィルタの移動をガイドする第1フィルタガイド部を有するフラップ部を備える、
空気調和機。
【請求項2】
前記第1フィルタガイド部は、前記フィルタの幅方向において、3か所以上の位置で前記フィルタの移動をガイドする、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記フラップ部は、
前記フィルタ支持体により支持される、揺動の回動軸となる揺動軸と、
前記揺動軸が形成された端部とは逆側の端部の近傍に設けられたロックピンと、を有し、
前記ロックピンは、前記フィルタ支持体と係合して前記フラップ部の揺動を規制するロック状態と、前記フィルタ支持体との係合を解除して前記フラップ部を揺動可能にするロックフリー状態とで切替可能である、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1フィルタガイド部は、前記フラップ部の前記フィルタと対向する面から突出するとともに、前記フィルタが延びる面に平行な面における断面がU字状またはH字状となる凸部が、前記フィルタの幅方向において複数配列されて形成される、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記フィルタ支持体は、
使用時に前記フィルタが展開するフィルタ展開部と、
清掃時に、前記フィルタ展開部から移動してきた前記フィルタを巻回しながら収容するフィルタ巻回部と、を有し、
前記フィルタ自動清掃ユニットは、
前記フィルタをガイドしながら移動させる駆動ギアと、
移動する前記フィルタを前記駆動ギアとともに挟持しつつ前記フィルタに当接して付着した塵埃を掻き取るブラシと、を有し、
前記フィルタ巻回部の入口開口は、巻回される前記フィルタを90°以上の角度に屈曲させながら収容する方向に延びている、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記ブラシは、ブラシ回動軸を中心に使用位置と待機位置とで回動可能であり、
前記フィルタが前記駆動ギアへの当接を開始する位置における前記フィルタの進行方向と、前記フィルタと前記ブラシとが当接する位置における前記フィルタの進行方向とがなす角度は、90°以上である、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記入口開口は、上側に位置する上側面と、下側に位置する下側面とを有し、
前記上側面と前記下側面とは、前記フィルタ巻回部への前記フィルタの進入方向において互いに近接する傾斜面を有して形成される、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記フィルタ支持体は、前記フィルタ巻回部の直前の位置まで前記フィルタの移動をガイドする第2フィルタガイド部を有し、
前記第2フィルタガイド部と前記下側面との接続部は、前記第2フィルタガイド部に対して前記下側面が下がるような段差になっている、
請求項7に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、フィルタを自動的に清掃するフィルタ自動清掃ユニットを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアーコンディショナー(エアコン)とも呼ばれる空気調和機には、室内機の空気吸入口に、吸入する空気に含まれる塵埃を除去するためのフィルタが設けられており、このフィルタを自動的に清掃する機能を有する空気調和機がある。このようなフィルタの自動清掃機能を有する空気調和機は、室内機の装置内でフィルタに付着した塵埃を除去し、除去した塵埃をダストボックス(塵埃集積部)に集積する。集積された塵埃は、ユーザがダストボックスを取り外して廃棄する。
【0003】
特許文献1に記載の空気調和機は、成形コストを抑えるため、フィルターを室内機前面で円弧状に折り返す場合の、フィルターの横方向中間部におけるガイド手段において、スライド金型を用いて成形する必要のない部品のみで構成可能としている。
【0004】
特許文献2に記載の空気調和機では、空気調和機に備えられた埃集積部(ダストボックス)の取り付け作業をより容易に行うことができる空気調和機について開示している。この空気調和機は、本体部、表面パネル、フィルタ、及び埃集積部(ダストボックス)を備え、埃集積部は本体部に固定させるためのロック機構を有している。ロック機構は、表面パネルを閉める動作時にロック状態となり、埃集積部が本体部に対して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-163685号公報
【特許文献2】特開2018-25330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の空気調和機は、ダストボックスの取り付けを容易にしつつ、安定した動作を可能にするという観点で十分な構成であるとは言い難い構成であった。特許文献2に記載の空気調和機は、ダストボックスの取り付け作業を容易にする構成ではあるが、可動式のロックピンをフィルタ支持体の側壁部の孔に差し込むことでダストボックスがフィルタ支持体に取り付けられる構成である。さらにこの空気調和機では、ダストボックスがフィルタをガイドするフィルタガイドの機能を有しているが、ダストボックスは上記のロックピンだけで支持された構成である。そのため、特許文献2に記載の空気調和機では、フィルタの清掃のためにフィルタが移動する際に、フィルタからダストボックスに与えられる反力によってダストボックスが不安定になり、フィルタと、フィルタを駆動する駆動ギアとの噛み合いが離脱することがあった。すなわち、特許文献2の構成では、フィルタの清掃時に故障が発生することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を提供する。
【0008】
本発明の一態様の空気調和機は、外部から取り込まれる空気を通過させるフィルタと、フィルタに付着した塵埃を除去するフィルタ自動清掃ユニットと、を備える。フィルタ自動清掃ユニットは、フィルタを支持するフィルタ支持体と、フィルタから除去した塵埃を集積する着脱可能なダストボックスと、を有する。フィルタ支持体は、ダストボックスを着脱可能にする第1状態と着脱不能にする第2状態とを切り替えるよう揺動可能であるとともに、第2状態のときにフィルタの移動をガイドする第1フィルタガイド部を有するフラップ部を備える。
【0009】
上記のような空気調和機によれば、ダストボックス自身ではなくフラップ部が第2状態のときにフィルタの移動をガイドする第1フィルタガイド部を有しているため、フィルタの移動時にダストボックスが大きな反力を受けることを抑制できる。これにより、フィルタを安定して移動させることが可能となり、フィルタが、フィルタを移動させる駆動ギアなどの駆動機構から離脱することを防止できる。
【0010】
また、フラップ部が、ダストボックスの着脱を制御する機能と、フィルタをガイドする機能とを併せ持つため、フィルタ自動清掃ユニットの部品点数を少なくすることができ、比較的簡素な構成にすることができる。
【0011】
上記空気調和機において好ましくは、第1フィルタガイド部は、フィルタの幅方向において、3か所以上の位置でフィルタの移動をガイドする。
【0012】
上記のような空気調和機によれば、フィルタの移動をより安定的に移動させることが可能となるため、フィルタが駆動ギアなどの駆動機構から離脱することをより効果的に防止できる。例えば、第1フィルタガイド部がフィルタを両端部とその中間部でガイドする構成とすると、フィルタのたわみを効果的に抑制することができ、フィルタが駆動ギアなどの駆動機構から離脱することを効果的に防止できる。
【0013】
上記空気調和機において好ましくは、フラップ部は、フィルタ支持体により支持される、揺動の回動軸となる揺動軸と、揺動軸が形成された端部とは逆側の端部の近傍に設けられたロックピンと、を有する。ロックピンは、フィルタ支持体と係合してフラップ部の揺動を規制するロック状態と、フィルタ支持体との係合を解除してフラップ部を揺動可能にするロックフリー状態とで切替可能である。
【0014】
上記のような空気調和機によれば、フラップ部の一端部を揺動軸で支持し、逆側の端部近傍をロックピンで支持する構成となるため、フラップ部をより安定させることができる。そのため、フィルタの移動中にもフラップ部の位置が安定し、より安定的にフィルタの移動をガイド可能となる。
【0015】
上記空気調和機において好ましくは、第1フィルタガイド部は、フラップ部のフィルタと対向する面から突出するとともに、フィルタが延びる面に平行な面における断面がU字状またはH字状となる凸部が、フィルタの幅方向において複数配列されて形成される。
【0016】
上記のような空気調和機によれば、第1フィルタガイド部が、フィルタに接するI字状の凸部だけではなく、フィルタに接する部分を幅方向に繋いだU字状またはH字状の凸部が複数配列された構成となるため、フィルタをより安定してガイド可能となる。また、フィルタの幅方向の複数箇所でフィルタを押さえつつガイド可能であるため、フィルタの幅方向における中間部のたわみを抑制でき、フィルタが駆動ギアなどの駆動機構から離脱することをさらに効果的に防止できる。
【0017】
上記空気調和機において好ましくは、フィルタ支持体は、使用時にフィルタが展開するフィルタ展開部と、清掃時に、フィルタ展開部から移動してきたフィルタを巻回しながら収容するフィルタ巻回部と、を有する。フィルタ自動清掃ユニットは、フィルタをガイドしながら移動させる駆動ギアと、移動するフィルタを駆動ギアとともに挟持しつつフィルタに当接して付着した塵埃を掻き取るブラシと、を有する。フィルタ巻回部の入口開口は、巻回されるフィルタを90°以上の角度に屈曲させながら収容する方向に延びている。
【0018】
従来の空気調和機では、フィルタを移動させる際にフィルタを90°より小さい鋭角で屈曲させながら移動させる構成が採用されており、この構成が駆動ギアからフィルタが離脱する原因になる場合があることを発明者らが発見した。上記のような本発明の一態様の空気調和機によれば、フィルタを90°以上の鈍角に屈曲させながら移動するので、従来のフィルタを90°より小さい鋭角に屈曲させながら移動させる空気調和機と比較して、フィルタの移動時にフィルタから駆動ギアに与えられる反力(応力)が減少する。これにより、駆動ギアからフィルタが離脱しづらい構成にできる。
【0019】
上記空気調和機において好ましくは、ブラシは、ブラシ回動軸を中心に使用位置と待機位置とで回動可能であり、フィルタが駆動ギアへの当接を開始する位置におけるフィルタの進行方向と、フィルタとブラシとが当接する位置におけるフィルタの進行方向とがなす角度を90°以上とした構成とする。
【0020】
従来の空気調和機では、移動するフィルタがブラシに接する際に、フィルタが駆動ギアへの当接を開始する位置におけるフィルタの進行方向と、フィルタとブラシとが当接する位置におけるフィルタの進行方向とがなす角度が90°より小さい鋭角となる構成が採用されていた。この構成により、フィルタから駆動ギア及びブラシに比較的大きな反力(応力)が与えられ、駆動ギア及びブラシに対する負荷が大きくなっていた。上記のような空気調和機によれば、フィルタから駆動ギア及びブラシに与えられる反力(応力)を減少させることができる。
【0021】
上記空気調和機において好ましくは、入口開口は、上側に位置する上側面と、下側に位置する下側面とを有し、これらの上側面と下側面とは、フィルタ巻回部へのフィルタの進入方向において互いに近接する傾斜面を有して形成される。
【0022】
上記のような空気調和機によれば、上側面と下側面とによってフィルタがスムーズにガイドされつつフィルタ巻回部に進入可能となる。
【0023】
上記空気調和機において好ましくは、フィルタ支持体は、フィルタ巻回部の直前の位置までフィルタの移動をガイドする第2フィルタガイド部を有する。この第2フィルタガイド部と上記入口開口の下側面との接続部は、第2フィルタガイドに対して下側面が下がるような段差になっている。
【0024】
上記のような空気調和機によれば、フィルタが入口開口に引っ掛かることを防止でき、フィルタをスムーズに移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、空気調和機の外観図である。
図2図2は、フラップ部が下位置にある状態のフィルタ自動清掃ユニットを示す図である。
図3図3は、フラップ部が上位置にある状態のフィルタ自動清掃ユニットを示す図である。
図4図4は、フィルタ自動清掃ユニットの断面図である。
図5図5は、フラップ部を表側から見た図である。
図6図6は、フラップ部を裏側から見た図である。
図7図7は、ロックピンの拡大図である。
図8図8は、ダストボックスを表側から見た図である。
図9図9は、ダストボックスを裏側から見た図である。
図10図10は、ダストボックスの断面図である。
図11図11は、フィルタ自動清掃ユニットの拡大断面図である。
図12図12は、フィルタ自動清掃ユニットの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の空気調和機の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
【0027】
[空気調和機の全体構成]
本実施形態の空気調和機は、室内機1と、表示しない室外機とを含んで構成される。室外機は、既存の空気調和機の室外機と同様の構成であるため説明を省略し、以下の説明では室内機1を中心に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態の室内機1の外観を示す図である。室内機1は、直方体状の外殻を有する筐体を備える。室内機1は、その筐体内に、図示しない熱交換器、及びファン、並びにフィルタ2、及びフィルタ自動清掃ユニット3を含む。熱交換器は、冷媒を利用した熱交換により空気の温度を変化させる。ファンは、室内機1の外部となる室内から空気を吸入し、熱交換器により温度変化された空気を室内に排気するよう空気の流れを生成する。フィルタ自動清掃ユニット3は、後述するように、フィルタ2に付着した塵埃を除去するよう動作する。
【0029】
[フィルタ2]
フィルタ2は、室内機1の外部である室内から取り込まれる空気を通過させ、通過する空気に含まれる塵埃を捕獲する。フィルタ2は、枠体と、この枠体の内側に格子状に張られた樹脂等で形成された網状体とを含んで構成されるが、塵埃を捕獲するのに適した任意の形状を採用してよい。フィルタ2は、清掃時以外の使用時には、後述するフィルタ自動清掃ユニット3のフィルタ展開部12に展開した状態となり、清掃時にはフィルタ展開部12からフィルタ巻回部13に移動する。フィルタ2は、駆動ギア5と噛み合う凹凸部を有する。
【0030】
[フィルタ自動清掃ユニット3]
図2及び図3は、本実施形態の室内機1のフィルタ自動清掃ユニット3の構成を示す図であって、図2はフラップ部11が下位置にある状態を示し、図3はフラップ部11が上位置にある状態を示している。図4は、フィルタ自動清掃ユニット3の断面図である。図に示すように、フィルタ自動清掃ユニット3は、フィルタ支持体10、ダストボックス4、駆動ギア5、及びブラシ6を含んで構成される。
【0031】
[フィルタ支持体10]
フィルタ支持体10は、フィルタ2に加え、ダストボックス4、駆動ギア5、及びブラシ6を支持する。フィルタ支持体10は、フラップ部11、フィルタ展開部12、フィルタ巻回部13、及び第2フィルタガイド部14を含んで構成される。
【0032】
[フラップ部11]
図5及び図6はフラップ部11を示す図であり、図5は表側から見た図、図6は裏側から見た図である。フラップ部11は、室内機1の幅方向を長手方向とする矩形状の部材であって、第1フィルタガイド部111、揺動軸112、及びロックピン113を含んで構成される。揺動軸112は、フラップ部11の上側の長辺に沿って幅方向に延びる軸状の部材である。揺動軸112の両端は、フィルタ支持体10に形成された長孔16に挿入され、これによってフラップ部11がフィルタ支持体10により支持される。なお、長孔16は上下方向に延びるよう形成された貫通孔であり、揺動軸112を上下方向へスライド自在に支持している。長孔16に代えて、揺動軸112を上下スライド可能に支持する上下方向に延びた凹部が設けられてもよい。フラップ部11は、揺動軸112を回転軸として上下方向に揺動可能である。これにより、フラップ部11は、図2に示された下位置と、図3に示された上位置とで移動する。フラップ部11が下位置にある状態を閉状態といい、上位置にある状態を開状態ということがある。
【0033】
フラップ部11の、揺動軸112が形成された上側の端部とは逆の下側の端部の近傍であって、幅方向の端部近傍には、ロックピン113が設けられる。図7は、ロックピン113の周辺の拡大図である。ロックピン113は、幅方向に延びるとともに、幅方向に移動することで、先端がフィルタ支持体10の貫通孔15に挿入されたロック状態と、先端が貫通孔15から抜けたロックフリー状態とで切替可能である。ロックピン113が貫通孔15に挿入されたロック状態では、フラップ部11の揺動が規制され、フラップ部11の位置は安定した状態となる。一方、ロックピン113が貫通孔15から抜けたロックフリー状態では、フラップ部11が上下に揺動可能になる。ロック状態とロックフリー状態とは、使用者がロックピン113を操作することで変更可能であるが、駆動機構により自動的に変更される構成としてもよい。フラップ部11は、ロックフリー状態で使用者により持ち上げられることで、下位置から上位置に移動する。
【0034】
フラップ部11の閉状態において揺動軸112が長孔16の下側に位置する下降姿勢では、フラップ部11の下側の端部は、ダストボックス4の上端に設けられた係合部41と、複数個の小突片42の間に差し込まれるように配置されている。このため、フラップ部11が閉状態で下降姿勢にあるときは、ダストボックス4の前面側への移動が規制され、着脱不能になる。フラップ部11を少し上方に持ち上げて揺動軸112が長孔16の上側に位置する上昇姿勢とすることで、フラップ部11の下側の端部がダストボックス4の係合部41と複数個の小突片42の間から離脱して、フラップ部11が上下に揺動可能となる。フラップ部11が上位置にある開状態のときは、ダストボックス4の前面側への移動の規制が解除され、着脱可能になる。
【0035】
図5に示すように、フラップ部11の長手方向中央位置には奥行方向に貫通して形成された開口部114が設けらる。図6に示すように、フラップ部11中央の開口部114から見える位置に係止爪部115が設けられている。フラップ部11は、閉状態において揺動軸112が長孔16の下側に位置する下降姿勢では、係止爪部115がフィルタ支持体10側の固定部材に係止するよう構成されている。開口部114は、係止爪部115がフィルタ支持体10に係止されているかをフラップ部11の表側から目視で確認できるよう設けられている。なお、開口部114は、フラップ部11を下降姿勢から上昇姿勢へ上げるとき、及び上昇姿勢から下降姿勢へ下げるときの手掛りとして機能する。フラップ部11の係止爪部がフィルタ支持体10に係止することで、フラップ部11の安定感が向上されている。
【0036】
[第1フィルタガイド部111]
第1フィルタガイド部111は、フラップ部11の裏側であって、フラップ部11が閉状態のときにフィルタ2の表側の面と対抗する面に、この面から突出するよう形成される。第1フィルタガイド部111は、フラップ部11の長手方向の両端部に、フィルタ2の進行方向に沿ったI字状の部分を幅方向に接続するような形状の凸部が設けられ、この両端の凸部の間に、フィルタ2が延びる面に平行な面における断面がU字状の凸部が、幅方向に複数配列されて形成されている。本実施形態では、第1フィルタガイド部111は、両端部に2個と、長手方向中間位置に断面U字状のものが6個あり、図6に示すようにフラップ部11の幅方向に合計8個配置される。フラップ部11が有する第1フィルタガイド部111の数は、3以上の任意の数としてよく、フラップ部11の両端部近傍と、この両端部の間に1以上の第1フィルタガイド部111を設けた構成とすることが好ましい。第1フィルタガイド部111は、閉状態のときには移動するフィルタ2に、フィルタ2の移動方向である鉛直方向(上下方向)に沿って当接して、フィルタ2の移動をガイドする。第1フィルタガイド部111は、上下方向の部分を幅方向に接続する部分を有することで、上下方向に延びる部分の剛性を高める。なお、第1フィルタガイド部111の形状は、上記のような断面がU字状の構成に限定されず、フィルタ2の進行方向に沿ったI字状の部分を幅方向に接続するような形状であればよく、例えば断面がH字状などの形状としてもよい。
【0037】
[フィルタ展開部12]
フィルタ展開部12は、室内機1の上面側に配置され、空気調和器が稼働している使用時にフィルタ2が展開する。
【0038】
[フィルタ巻回部13]
フィルタ巻回部13は、室内機1におけるフィルタ展開部12の下側に位置する。フィルタ巻回部13は、フィルタ2の清掃時にフィルタ展開部12から移動してきたフィルタ2を巻回しながら収容する。フィルタ巻回部13の断面は、図4に示すような渦巻き状になっている。
【0039】
図11の拡大図に示されるように、フィルタ巻回部13の入口に位置する入口開口131は、上側面131aと下側面131bとを有する。上側面131a及び下側面131bは、フィルタ巻回部13へのフィルタ2の進入方向においていずれも下げ勾配を有しており、互いに近接する傾斜面を有する。フィルタ2がフィルタ巻回部13に進入する際、フィルタ2の端部は上側面131aに当接して下側に湾曲しながら進入していく。入口開口131は、フィルタ巻回部13に進入していくフィルタ2を、90°以上の鈍角となる角度まで屈曲させながら収容する方向に延びている。すなわち、フィルタ2の屈曲角度を90°以上の鈍角に抑えた構成としているため、屈曲したフィルタ2から下側面131b及び第2フィルタガイド部14などに与えられる応力を抑制可能としている。
【0040】
[第2フィルタガイド部14]
第2フィルタガイド部14は、フィルタ2が清掃される際の移動方向において、第1フィルタガイド部111の後(下)の位置から、フィルタ巻回部13の直前の位置まで設けられている。第2フィルタガイド部14は、フィルタ2のフィルタ展開部12からフィルタ巻回部13への移動をガイドする。第2フィルタガイド部14は、第1フィルタガイド部111の後の位置では鉛直方向に延び、その先(下)の位置でフィルタ巻回部13に向かって湾曲し、その先のフィルタ巻回部13の直前の位置では、下げ勾配を有するよう延びる。第2フィルタガイド部14の上記湾曲部分は、駆動ギア5の軸心を中心とする円弧状に湾曲する。第2フィルタガイド部14と、入口開口131の下側面131bとの接続部14aは、第2フィルタガイド部14に対して下側面131bが下がるような段差となっている。このような段差が設けられることで、フィルタ巻回部13に進入するフィルタ2が入口開口131に引っ掛かることを防止でき、フィルタ2をスムーズに移動させることができる。
【0041】
[駆動ギア5]
駆動ギア5は、室内機1の奥行方向において、フィルタ巻回部13とフラップ部11との間に位置し、フィルタ2を駆動して、フィルタ展開部12とフィルタ巻回部13との間でフィルタ2をガイドしながら移動させる。駆動ギア5は、フィルタ2に設けられた凹凸部と噛み合う凹凸部を外周に有する。駆動ギア5が回動することで、駆動ギア5はフィルタ2を駆動して移動させる。駆動ギア5は、室内機1の奥行方向において、ブラシ回動軸61よりも奥側に位置する。
【0042】
本実施形態の室内機1では、フィルタ2をガイドする機構を、第1フィルタガイド部111及び第2フィルタガイド部14を含む構成によって最適化しているため、駆動ギア5の出力トルクを従来構成より軽減可能となった。そのため、室内機1では、駆動ギア5は、モータの駆動軸との間に減速機を設けることなく、モータの駆動軸に直接連結される構成とすることが可能となっており、このような構成とすることが好ましい。このようにモータの駆動軸に直接駆動ギア5が連結された構成とすると、変速機を必要としない構成となるため故障のリスクを低減できる。
【0043】
[ダストボックス4]
図8及び図9は、ダストボックス4を示す図であり、図8は表側から見た図、図9は裏側から見た図である。ダストボックス4は、ブラシ6がフィルタ2から除去した塵埃を集積する。ダストボックス4は、フィルタ支持体10の前面側に配置され、フィルタ支持体10によって着脱可能に支持される。ダストボックス4は、フラップ部11と係合する係合部41と、複数個の小突片42とを有する。奥行方向において、係合部41は、小突片42よりも前側に位置しており、奥行方向に形成される係合部41と小突片42との隙間に、上記のとおりフラップ部11の下側の端部が差し込まれる。
【0044】
ダストボックス4をフィルタ支持体10から取り外すときは、使用者はフラップ部11のロックピン113を操作してロックフリー状態にし、フラップ部11を少し上方へ持ち上げて上昇姿勢としたうえで、フラップ部11を回動させ上位置に移動させて開状態にする。これにより、ダストボックス4の前面側への移動規制が解除されて着脱可能な状態になり、使用者はダストボックス4を前面側に移動させて取り外すことができる。ダストボックス4を取り外すと、ダストボックス4に集積された塵埃を廃棄することができる。
【0045】
[ブラシ6]
図10は、ダストボックス4の断面図である。図9及び図10に示されるように、ダストボックス4はブラシ6及びサブブラシ62を支持する。ブラシ6は、幅方向に延びたブラシ回動軸61に取り付けられ、ブラシ回動軸61を軸心として回動可能であり、使用位置と待機位置(退避位置)との間で移動する。ブラシ回動軸61は、フィルタ2の清掃時に外部から与えられる駆動力によって回動し、ブラシ6を待機位置から使用位置へと移動させる。フィルタ2に付着した塵埃をダストボックスに落下させる際には、ブラシ回動軸61が回動し、ブラシ6を使用位置から待機位置へと移動させる。
【0046】
サブブラシ62は、幅方向に延びたサブブラシ回動軸63に取り付けられ、サブブラシ回動軸63を軸心として回動可能である。サブブラシ回動軸63は、バネによりサブブラシ62がブラシ6に接近する方向に付勢されている。なお、サブブラシ62は、バネ以外の付勢部材により付勢されてもよい。
【0047】
使用位置にあるブラシ6は、フィルタ2を駆動ギア5とともに挟持する。ブラシ6と駆動ギア5とがフィルタ2を挟持した状態でフィルタ2が移動すると、移動するフィルタ2に当接したブラシ6がフィルタ2に付着した塵埃を掻き取る。フィルタ2によって掻き取られた塵埃はブラシ6に残存する。ブラシ6が使用位置から待機位置に移動すると、ブラシ6がサブブラシ62に当接し、ブラシ6に残存した塵埃をダストボックス4に落下させる。このとき、サブブラシ62は、ブラシ6に押圧されることでバネの付勢力に抗して回動する。ブラシ6に残存し付着した塵埃は、フィルタ2の全体の塵埃を除去する間に、複数回に分けてサブブラシ62により除去されてよい。
【0048】
このように、フィルタ2が駆動ギア5への当接を開始する位置におけるフィルタ2の進行方向と、フィルタ2とブラシ6とが当接する位置におけるフィルタ2の進行方向とがなす角度が90°以上の鈍角とする構成にしている。これにより、フィルタ2に与えられる負荷と、フィルタ2が他の部材に与える負荷とを減少させることができ、フィルタ2の移動を安定にすることなどができる。
【0049】
[フィルタ2の清掃時の動作]
図11及び図12は、フィルタ清掃時の動作を説明するためのフィルタ自動清掃ユニット3の拡大断面図である。図11はブラシ6が待機位置にある状態を示し、図12はブラシ6が使用位置にある状態を示す。
【0050】
フィルタ2の清掃前の状態では、フィルタ2はフィルタ展開部12に展開している。フィルタ2の下端は駆動ギア5に噛み合っている。ブラシ6は待機位置にあり、ブラシ6はサブブラシ62に当接している。
【0051】
フィルタ2の清掃が開始されると、図12に示すように、ブラシ回動軸61及びサブブラシ回動軸63が回動して、ブラシ6が使用位置に移動する。このとき、ブラシ6は駆動ギア5の軸心に対向するよう位置する。フィルタ2は、駆動ギア5の軸心とブラシ回動軸61の軸心とを接続する面に垂直な面、すなわち下勾配を有する面に沿って延びる。
【0052】
この図12の状態から、駆動ギア5が回動してフィルタ2を駆動し、フィルタ巻回部13に進入させていく。このとき、移動するフィルタ2にブラシ6が当接し、ブラシ6がフィルタ2に付着した塵埃を除去していく。
【0053】
駆動ギア5によってフィルタ2がある程度移動させられると、駆動ギア5はフィルタ2の移動を一時停止し、ブラシ6に残存している塵埃をサブブラシ62により除去する動作を行う。このとき、ブラシ6が待機位置に移動して、図11に示す状態に戻る。ブラシ6はサブブラシ62に当接し、ブラシ6に残存していた塵埃はサブブラシ62によって除去されてダストボックス4に落下する。
【0054】
その後、ブラシ6は使用位置に戻り、再度図12の状態となる。サブブラシ62は付勢力により回動する。駆動ギア5は、再度回動してフィルタ2を移動させ、ブラシ6がフィルタ2に付着した塵埃を除去していく。これらの動作を所定回数繰り返し、フィルタ2の全体の清掃を実行する。
【0055】
フィルタ2の全体の清掃が完了すると、駆動ギア5が逆方向に回動してフィルタ2を駆動し、フィルタ2がフィルタ巻回部13からフィルタ展開部12向かって移動する。フィルタ2がフィルタ展開部12への移動を完了すると、フィルタ2の清掃動作が完了し、室内機1が使用可能な状態となる。ダストボックス4に落下し集積された塵埃は、使用者がダストボックス4を取り外して適宜廃棄される。
【0056】
[変形例]
本発明の空気調和機及び室内機1は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0057】
室内機1は、実施形態に示された状態から傾斜を有した構成としてもよい。この場合、実施形態における鉛直方向が実際の鉛直方向に対して傾斜してよいが、フィルタ2の屈曲角度は実施形態と同様にした構成とすることが好ましい。そのため、室内機1が実施形態で示した構成に対して傾斜した構成になった場合、各構成も同様に傾斜した構成とすることが好ましい。
【0058】
フィルタ展開部12は、室内機1の稼働時にフィルタ2が展開する位置に形成されるが、室内機1が実施形態とは異なる位置から空気を吸入する構成である場合には、当該位置に形成されることとなる。この場合、室内機1の稼働時におけるフィルタ2の位置も当然に変化する。
【0059】
フィルタ2は、駆動ギア5以外の任意の駆動機構により駆動される構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…室内機
2…フィルタ
3…フィルタ自動清掃ユニット
4…ダストボックス
41…係合部
42…小突片
5…駆動ギア
6…ブラシ
61…ブラシ回動軸
62…サブブラシ
63…サブブラシ回動軸
10…フィルタ支持体
11…フラップ部
111…第1フィルタガイド部
112…揺動軸
113…ロックピン
114…開口部
115…係止爪部
12…フィルタ展開部
13…フィルタ巻回部
131…入口開口
131a…上側面
131b…下側面
14…第2フィルタガイド部
14a…接続部
15…貫通孔
16…長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12