(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132304
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20240920BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B19/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043036
(22)【出願日】2023-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 義一
(72)【発明者】
【氏名】浦川 真一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】受講者の集中度を高めることが可能な講師とのマッチングを実現すること。
【解決手段】講義中における受講者の受講者画像を取得する取得部と、取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定する集中度判定部と、判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行うマッチング部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
講義中における受講者の受講者画像を取得する取得部と、
取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定する集中度判定部と、
判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行うマッチング部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記マッチング部は、前記集中度と前記講師の属性情報とが入力されたときにマッチング結果を出力するように学習されたマッチングモデルを用いて、前記マッチングを行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記マッチング部は、前記受講者の集中度を向上させるように講師とのマッチングを行う、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記マッチング部は、前記受講者が過去に受講した講師の属性情報と紐付けて記録された前記集中度に基づいて、前記マッチングを行う、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記集中度判定部は、前記受講者画像から取得される前記受講者の視線、表情、声の大きさ、および姿勢の少なくとも1つに基づいて、前記集中度を判定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記集中度判定部は、前記受講者画像が入力されたときに前記受講者の集中度を出力するように学習された集中度判定モデルを用いて、前記集中度を判定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記マッチングの結果を、前記受講者の受講者端末装置および前記講師の講師端末装置の少なくとも一方に提供する提供部をさらに備える、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提供部は、判定された前記集中度を、前記講師端末装置に提供する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
講義中における受講者の受講者画像を取得し、
取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定し、
判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行う、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
講義中における受講者の受講者画像を取得させ、
取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定させ、
判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、講義における受講者の理解度の向上を支援することを目的としたシステムについての研究が進められている。例えば、受講者の画像に基づいて、受講者が講義に集中しているか否かを判定し、さらには、講義の内容を理解しているか否かを判定する学習システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、受講者に対して、受講者の希望に応じた指導条件に適合する講師を抽出して紹介するマッチングシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-18408号公報
【特許文献2】特開2019-175012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受講者の理解度を高めるためには、受講者と講師とを適切にマッチングする必要がある。また、マッチングに際しては、単に、受講者の希望に適しているというだけではなく、受講者が集中できる環境を提供可能な講師を選別して紹介することが重要となる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、受講者の集中度を高めることが可能な講師とのマッチングを実現することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、講義中における受講者の受講者画像を取得する取得部と、取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定する集中度判定部と、判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行うマッチング部とを備える、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、受講者の集中度を高めることが可能な講師とのマッチングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムS1の全体構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る集中度判定モデルM1の入出力データを説明するための図である。
【
図3】第1の実施形態に係るマッチングモデルM2の入出力データを説明するための図である。
【
図4】第1の実施形態に係る受講者情報R1の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る講師情報R2の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る情報処理装置100の集中度判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態に係る情報処理装置100のマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る受講者情報R10の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る講師情報R20の一例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係るマッチングモデルM20の入出力データを説明するための図である。
【
図11】第2の実施形態に係る情報処理装置100のマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12A】第2の実施形態に係るマッチング結果の一例を示す図である。
【
図12B】第2の実施形態に係るマッチング結果の一例を示す図である。
【
図13】第3の実施形態に係る情報処理システムS1の全体構成の一例を示す図である。
【
図14】第3の実施形態に係る受講者情報R15の一例を示す図である。
【
図15】第3の実施形態に係る講師情報R25の一例を示す図である。
【
図16】第3の実施形態に係る情報処理装置100の質問処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
[概要]
第1の実施形態の情報処理装置は、講義における受講者の集中度をリアルタイムで判定し、講師へのフィードバックやマッチングに活用する。講義には、例えば、各種学校(英会話学校、大学、各種専門学校、高等学校等)においてオンラインで行われるオンライン講義、または各種学校の現場において対面で行われる対面型講義が含まれる。
【0011】
[機能構成]
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムS1の全体構成の一例を示す図である。情報処理システムS1は、例えば、1以上の講師端末装置10と、1以上の受講者端末装置20と、情報処理装置100とを備える。講師端末装置10と、受講者端末装置20と、情報処理装置100とは、ネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局、専用回線等のうち一部または全部を含む。
【0012】
[講師端末装置]
講師端末装置10は、講義において受講者を指導する講師により操作される。講師端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等のコンピュータ装置である。
【0013】
[受講者端末装置]
受講者端末装置20は、講義において講師による指導を受ける受講者により操作される。受講者端末装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、PDA等のコンピュータ装置である。
【0014】
[情報処理装置]
情報処理装置100は、ネットワークNWを介して、講師端末装置10および受講者端末装置20と各種情報の受け渡しを行うアプリケーションサーバ装置である。情報処理装置100は、例えば、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを備える。通信部110は、例えば、NIC等の通信インターフェースを含む。通信部110は、ネットワークNWを介して、講師端末装置10および受講者端末装置20と通信する。
【0015】
制御部120は、情報処理装置100の動作を制御する。制御部120は、例えば、取得部121と、集中度判定部122と、マッチング部123と、提供部124と、学習部125とを備える。
【0016】
取得部121は、通信部110を介して、受講者端末装置20から、講義中における受講者を撮像することにより得られた受講者画像(音声付き動画を含む)を取得する。受講者画像は、例えば、受講者端末装置20に備えられたカメラにより撮像された画像である。或いは、対面型講義において、受講者画像は、講義が行われる空間(教室等)に備えられたカメラにより撮像された画像であってもよい。また、取得部121は、通信部110を介して、講師端末装置10および受講者端末装置20から各種情報のリクエストを取得する。取得部121は、「取得部」の一例である。
【0017】
集中度判定部122は、取得された受講者画像に基づいて、各受講者の講義に対する集中度を判定する。集中度判定部122は、統計的学的に得られている人が集中するときの動作パターンと、画像から得られる情報とを比較することで、集中度を判定する。例えば、集中度判定部122は、後述する集中度判定モデルM1を用いて、集中度を判定する。集中度は、例えば、数値によって表されるものであってもよいし、高、中、低等のレベルによって表されるものであってもよい。集中度判定部122は、例えば、受講者画像から得られる受講者の視線、表情、声の大きさ、および姿勢の少なくとも1つに基づいて、各受講者の集中度を判定する。集中度判定部122は、「集中度判定部」の一例である。
【0018】
受講者の視線の情報が用いられる場合、例えば、前方を向いている(受講者端末装置20の画面の方向に向いている)、前方と手元のノートの方向と交互に向いていることは、集中度が上がっている事象と判定され、一方、下方等の無関係な方向を向いている(スマートフォンの方向を向いている)ことは、集中度が下がっている事象と判定される。また、受講者の表情の情報が用いられる場合、例えば、満足している表情、他の受講者が笑っているときに笑顔である、表情筋(口角)が上がっている等は、集中度が上がっている事象と判定され、一方、困っている表情、目を閉じている等は、集中度が下がっている事象と判定される。また、受講者の声の大きさ情報が用いられる場合、例えば、質問に対する回答がハキハキしている、声が大きい等は、集中度が上がっている事象と判定され、一方、回答がはっきりしない、声が小さい等は、集中度が下がっている事象と判定される。また、姿勢の情報が用いられる場合、例えば、前のめりの姿勢をとっている等は、集中度が上がっている事象と判定され、一方、ふんぞり返っている等は、集中度が下がっている事象と判定される。また、受講者の目(白目、黒目の割合等)の情報に基づいて、集中度が判定されてもよい。
【0019】
その他、集中度判定部122は、受講者に取り付けられた各種IOTデバイスから得られる体温、発汗等の身体情報に基づいて、集中度を判定してもよい。また、集中度判定部122は、講義の内容(科目)に応じて、集中度の判定方法を変えてもよい。
【0020】
マッチング部123は、判定された集中度に基づいて、講義の受講を希望する受講者と、講義を担当する講師とのマッチングを行う。マッチング部123は、後述するマッチングモデルM2を用いて、受講者の集中度を向上させるように講師とのマッチングを行う。マッチング部123は、受講者が過去に受講した講師の属性情報と紐付けて記録された集中度に基づいて、マッチングを行う。マッチング部123の処理の詳細については、後述する。マッチング部123は、「マッチング部」の一例である。
【0021】
提供部124は、講師端末装置10および受講者端末装置20の少なくとも一方からのリクエストに応じて、対応する情報をリクエスト元に提供する。例えば、提供部124は、受講者端末装置20に対して、マッチング結果を提供する。また、例えば、提供部124は、講師端末装置10に対して、講義中における受講者の集中度をリアルタイムで提供する。提供部124は、「提供部124」の一例である。
【0022】
学習部125は、教師データに基づいて、集中度判定モデルM1およびマッチングモデルM2の学習処理を行う。
図2は、第1の実施形態に係る集中度判定モデルM1の入出力データを説明するための図である。
図2に示すように、集中度判定モデルM1は、受講者画像D1が入力されたときに、受講者画像D1に含まれる受講者の集中度CDを示す情報を出力するように学習されたモデルである。集中度判定モデルM1は、過去に取得された受講者画像と、この受講者画像に対して正解データとしてラベル付けられた集中度との組を教師データとして学習することで、集中度判定モデルM1を生成する。尚、教師データは、汎用的な人物の画像に対して、集中度がラベル付けられたデータであってもよい。
【0023】
図3は、第1の実施形態に係るマッチングモデルM2の入出力データを説明するための図である。
図3に示すように、マッチングモデルM2は、受講を希望する特定の受講者の受講者情報R1(集中度)と、候補となる複数の講師の講師情報R2(講師群情報)が入力されたときに、マッチング結果MRを出力するように学習されたモデルである。マッチング結果MRは、特定の受講者の集中度が上がるのに適した講師を特定する情報を含む。マッチングモデルM2は、過去に取得された受講者情報R1および講師情報R2と、これらの情報に対して正解データとしてラベル付けられたマッチング結果との組を教師データとして学習することで、マッチングモデルM2を生成する。
【0024】
集中度判定モデルM1およびマッチングモデルM2は、ロジスティック回帰分析、決定木分析、サポートベクターマシン、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、多層構造のニューラルネットワーク(DNN)、または畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたディープラーニングに基づく技術等の任意の機械学習により生成されたモデルであってよい。
【0025】
制御部120の各構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ(あるいはプロセッサ回路)が、記憶部130に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、制御部120の構成要素のうち一部または全部は、例えば、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア(回路部:circuitry)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。また、プロセッサにより参照されるプログラムは、予め記憶部130に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体が情報処理装置100のドライブ装置に装着されることで記憶媒体から記憶部130にインストールされてもよい。
【0026】
記憶部130は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、レジスタ等によって実現される。また、記憶部130は、部分的に、或いは全部がNAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置等であってもよい。記憶部130は、例えば、受講者情報R1、講師情報R2、集中度判定モデルM1、マッチングモデルM2等を記憶する。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る受講者情報R1の一例を示す。受講者情報R1では、受講者を識別する受講者IDに対して、受講者の属性および集中度が紐付けられている。属性には、例えば、性別、年代、国籍、学習レベル、最終学歴、性格等が含まれる。属性は、例えば、受講申し込み時に受講者により提供された基本情報に基づいて設定される。集中度は、集中度判定部122により判定された結果に基づいて設定される。集中度は、講義を担当した講師の属性に紐づけられて、受講者情報R1に登録される。例えば、講師が「日本人」の講義において判定された集中度、講師が「ネイティブ」の講義において判定された集中度、「説明速度(速い)」講師の講義において判定された集中度、「質疑中心」の講師の講義において判定された集中度等が、受講者情報R1に登録される。尚、集中度判定部122により判定される集中度のデータが存在しない場合、集中度は、受講者により回答された講師の好みに関するアンケートの結果に基づいて設定されてもよい。
【0028】
図5は、第1の実施形態に係る講師情報R2の一例を示す。講師情報R2では、講師を識別する講師IDに対して、講師の属性が紐付けられている。属性には、例えば、性別、年代、国籍、習得方法、留学経験、講師歴、講義タイプ等が含まれる。属性は、例えば、講師により提供された基本情報に基づいて設定される。講義タイプは、講師が行う講義の特徴を示す情報である。講義タイプには、例えば、説明速度(速い、遅い)、教え方(説明中心、質疑中心)、厳しさ(厳しい、優しい)、雑談(多い、少ない)等の情報が含まれる。尚、講義タイプは、講師の講義中の動画像を解析することにより設定されるものであってもよい。
【0029】
[処理フロー]
(集中度判定処理)
以下、情報処理装置100の処理について説明する。まず、集中度判定処理について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る情報処理装置100の集中度判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示す処理は、例えば、講義中において継続的に繰り返し実行されるか、或いは、講師端末装置10からの集中度に関する情報のリクエストに応じて開始される。以下においては、オンライン授業において、複数の受講者が講義に参加している場合を例に挙げて説明する。
【0030】
まず、取得部121は、講義に参加している受講者の各々の受講者端末装置20から、カメラにより撮像された受講者画像(音声付き動画を含む)を取得する(ステップS101)。
【0031】
次に、集中度判定部122は、取得された受講者画像の各々を集中度判定モデルM1に入力することで、受講者画像に写り込んだ受講者の各々の集中度を判定する(ステップS103)。
【0032】
次に、集中度判定部122は、判定した受講者の集中度を用いて、受講者情報R1を更新する(ステップS105)。例えば、講師が「ネイティブ」である場合、その講義において取得された受講者画像に基づいて判定された集中度は、「ネイティブ」と紐付けられて受講者情報R1に登録される。また、例えば、講師が「説明速度(速い)」である場合、その講義において取得された受講者画像に基づいて判定された集中度は、「説明速度(速い)」と紐付けられて受講者情報R1に登録される。
【0033】
次に、提供部124は、例えば、講師端末装置10に対して、受講者ごとに判定された集中度をリアルタイムで提供する(ステップS107)。これにより、講師は、講義中において、各受講者の集中度の変化をリアルタイムで確認することが可能となる。
【0034】
(マッチング処理)
次に、マッチング処理について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る情報処理装置100のマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、例えば、マッチングを希望する受講者の受講者端末装置20からのマッチングに関するリクエストに応じて開始される。
【0035】
まず、取得部121は、記憶部130から、マッチングを希望する受講者の受講者情報R1および候補となる複数の講師の講師情報R2を取得する(ステップS201)。
【0036】
次に、マッチング部123は、取得された受講者情報R1および講師情報R2を、マッチングモデルM2に入力することで、受講者と講師とのマッチングを行う(ステップS203)。マッチング部123は、マッチング結果として、受講者の集中度が上がるのに適した講師を特定する情報を生成する。マッチング結果は、最も適した一人の講師を特定するものであってもよいし、複数の講師を順位付けしたものであってもよい。
【0037】
次に、提供部124は、マッチング結果を、例えば、リクエスト元の受講者端末装置20に提供する(ステップS205)。これにより、受講者は、マッチング結果(受講者自身の集中度が上がるのに適した講師)を把握することが可能となる。以上により、本フローチャートの処理が終了する。
【0038】
以上において説明した第1の実施形態によれば、受講者の集中度を高めることが可能な講師とのマッチングを実現することができる。これにより、受講者は、マッチング結果(受講者自身の集中度が上がるのに適した講師)を把握し、受講した際に成果を高めることが期待される講師の講義を受けることが可能となる。また、講師は、自身の講義を集中して受けることが期待される生徒に対して講義を行うことができるため、一体感のある良好な学習環境を創出できるとともに、自身の講義に対するモチベーションを高めることができる。
【0039】
<第2の実施形態>
[概要]
以下、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、講師と受講者とのマッチングに着目した構成を説明した。一方、第2の実施形態では、受講者同士のマッチング、さらには、マッチングされた受講者グループと講師とのマッチングに着目する。以下、第1の実施形態との相違点を中心として、第2の実施形態の情報処理装置について説明する。
【0040】
図8は、第2の実施形態に係る受講者情報R10の一例を示す図である。受講者情報R10では、受講者IDに対して、受講者の属性および他受講者相性が紐付けられている。他受講者相性は、その受講者にとって、成果(成績、集中度等)を高めるのに適した他受講者の属性を示すものである。他受講者相性には、例えば、学習レベル、性別、年代等が含まれる。
【0041】
例えば、他受講者相性1(学習レベル)が「同レベル」とは、同じ講義を受ける(グループ化される)他の受講者の学習レベルが「同レベル」である場合に、その受講者の成果が高まることを示す。すなわち、この受講者は、自身と同じ学習レベルの他の受講者の中で受講した方が、成果が伸びるタイプであるといえる。一方、他受講者相性1(学習レベル)が「上位レベル」とは、同じ講義を受ける(グループ化される)他の受講者の学習レベルが「上位レベル」である場合に、その受講者の成果が高まることを示す。すなわち、この受講者は、自身よりも学習レベルが高い他の受講者の中に混じって受講した方が、成果が伸びるタイプであるといえる。一方、他受講者相性1(学習レベル)が「下位レベル」とは、同じ講義を受ける(グループ化される)他の受講者の学習レベルが「下位レベル」である場合に、その受講者の成果が高まることを示す。すなわち、この受講者は、自身よりも学習レベルが低い他の受講者の中に混じって受講した方が、成果が伸びるタイプであるといえる。
【0042】
また、例えば、他受講者相性2(性別)が「同姓」とは、同じ講義を受ける(グループ化される)他の受講者の性別が「同姓」である場合に、その受講者の成果が高まることを示す。一方、他受講者相性2(性別)が「混合」とは、同じ講義を受ける(グループ化される)他の受講者の性別が男女入り混じった「混合」である場合に、その受講者の成果が高まることを示す。
【0043】
図9は、第2の実施形態に係る講師情報R20の一例を示す図である。講師情報R20では、講師IDに対して、講師の属性および受講者グループ相性が紐付けられている。受講者グループ相性は、その講師にとって、受講者の成果(成績、集中度等)を高めるのに適した受講者グループの特性を示すものである。受講者グループ相性には、例えば、学習レベル、性別、年代等が含まれる。例えば、受講者グループ相性1(学習レベル)が「同レベル」とは、受講者グループが同レベルの学力の受講者により構成される場合に、その受講者グループの成果が高まることを示す。また、例えば、受講者グループ相性2(性別)が「同姓」とは、受講者グループが同姓により構成される場合に、その受講者グループの成果が高まることを示す。
【0044】
図10は、第2の実施形態に係るマッチングモデルM20の入出力データを説明するための図である。
図10に示すように、マッチングモデルM20は、複数の受講者(受講者群)の受講者情報R10と、複数の講師(講師群)の講師情報R20とが入力されたときに、マッチング結果MRを出力するように学習されたモデルである。マッチング結果MRは、グループ化される受講者の各々の成果または全体の成果(例えば、成果の全体平均等)を向上させるのに適した受講者グループと講師との組を特定する情報を含む。マッチングモデルM20は、過去に取得された受講者情報R10および講師情報R20と、これらの情報に対して正解データとしてラベル付けられたマッチング結果との組を教師データとして学習することで、マッチングモデルM20を生成する。マッチング結果MRは、例えば、グループを構成する受講者の各々について、受講者自身の基準となる成果に対して、成果が上がるか下がるかといった情報を示すものであってよい。マッチングモデルM20には、講義の科目の情報がさらに入力されるようにしてもよい。
【0045】
[処理フロー]
(マッチング処理)
次に、マッチング処理について説明する。
図11は、第2の実施形態に係る情報処理装置100のマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
図11に示す処理は、例えば、グループ分けを担当する講師の講師端末装置10からのマッチングに関するリクエストに応じて開始される。
【0046】
まず、取得部121は、記憶部130から、グループ分けの対象となる複数の受講者の各々の受講者情報R10および候補となる複数の講師の各々の講師情報R20を取得する(ステップS301)。受講者情報R10は、他の受講者との相性情報を含む。講師情報R20は、グループ化された受講者群との相性情報を含む。
【0047】
次に、マッチング部123は、取得された受講者情報R10および講師情報R20を、マッチングモデルM20に入力することで、複数の受講者のマッチングおよびグループ化された受講者群と講師とのマッチングを行う(ステップS303)。
【0048】
図12Aおよび12Bは、第2の実施形態に係るマッチング結果MRの一例を示す図である。
図12Aに示すマッチング結果MR1では、1人の講師(講師ID;K0001)と、3人の受講者(受講者ID;J0001,J0005,J0011)とがマッチングされており、2人の受講者(受講者ID;J0001,J0011)については成果が下がるが、1人の受講者(受講者ID;J0005)については成果が上がることが示されている。一方、
図12Bに示すマッチング結果MR2では、1人の講師(講師ID;K0001)と、3人の受講者(受講者ID;J0001,J0002,J0004)とがマッチングされており、2人の受講者(受講者ID;J0001,J0002)については成果が上がるが、1人の受講者(受講者ID;J0004)については成果が下がることが示されている。
【0049】
次に、提供部124は、マッチング結果MRを、例えば、リクエスト元の講師端末装置10に提供する(ステップS305)。これにより、グループ分けを担当する講師は、マッチング結果を把握することが可能となる。また、提供部124は、マッチング結果MRを、受講者端末装置20に提供してもよい。以上により、本フローチャートの処理が終了する。
【0050】
尚、受講者情報R10には、受講者IDに対して、受講者グループの規模が紐付けられて登録されていてもよい。受講者グループの規模は、例えば、その受講者にとって、成果(成績、集中度等)を高めるのに適した受講者グループを構成する受講者数の程度(大、中、小)や、受講者数(3人以上、5人以下等)を示す。例えば、オンライン授業の場合、グループ規模は統一されている必要なく、大小様々なグループが混在した状態で講義を行い、合間にその受講者が心地よいと感じる規模のグループで講義内容に関するディスカッションが可能になる。マッチング部123は、このような受講者グループの規模を含む受講者情報R10をマッチングモデルM20に入力することで、各受講者の受講者グループの規模に対する相性を考慮したマッチングおよびグループ化が可能となる。
【0051】
以上において説明した第2の実施形態によれば、受講者が十分な成果を達成するための受講者間のマッチングを実現することができる。さらには、受講者が十分な成果を達成するための受講者グループと講師とのマッチングも実現することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
[概要]
以下、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、講義内容についてある受講者が質問を行った際に、講師または他の受講者が回答を行うための仕組みおよび回答を行った者へのインセンティブ(報酬)の付与の仕組みをさらに提供する。以下、第1の実施形態との相違点を中心として、第3の実施形態の情報処理装置について説明する。
【0053】
[情報処理装置]
図13は、第3の実施形態に係る情報処理システムS1の全体構成の一例を示す図である。情報処理システムS1に含まれる情報処理装置100の制御部120Aは、取得部121、集中度判定部122、マッチング部123、提供部124、および学習部125に加えて、質問処理部126と、報酬付与部127とをさらに備える。
【0054】
質問処理部126は、ある受講者(受講者端末装置20のいずれか1つ)から取得された質問を、講師(講師端末装置10)および他の受講者(他の受講者端末装置20)に共有し、講師端末装置10および他の受講者端末装置20から取得された回答を、質問元の受講者端末装置20に出力する。これとともに、質問処理部126は、回答者の特定を行う。質問処理部126は、例えば、講師端末装置10および受講者端末装置20から閲覧可能な講義内容を示すファイル(レジュメ)に対して、受講者端末装置20のいずれか1つから質問が書き込まれる(追加される)ことで質問が共有され、同ファイルに対して、回答が書き込まれる(追加される)ことで質問に対する回答が行われる。或いは、講義に参加する受講者および講師により構成されるグループがメッセージをやり取りすることが可能なツールにおいて質問および回答が行われるようにしてもよい。対面型の講義の場においては、質問処理部126は、教室に設置されたカメラおよびマイクから得られる情報に基づいて、質問および回答を取得し、質問者および回答者を特定してよい。すなわち、質問処理部126は、受講者からの質問を講師および他の受講者に公開し、講師および他の受講者からの質問に対する回答を受け付け、受け付けた回答を受講者に提供する。質問処理部126は、「質問処理部」の一例である。
【0055】
報酬付与部127は、質問処理部126により特定された回答者(講師および他の受講者)に対して、報酬の付与を行う。報酬は、回答の回数が多くなるほど、回答が速いほど、解決率が高いほど、質問した受講者の満足度が高いほど、増大するように設定される。報酬付与部127は、回答の速さ、解決率に応じて、報酬の度合いを変更する。回答者としての受講者が報酬を得た場合、講義料等のキャッシュバックや講義の申込時等に使用できるクーポン等の金銭的な優遇や、講師への質問を優先的に行うことができる権利等のメリットを享受することができる。回答者としての講師が報酬を得た場合、報酬に応じて、キャッシュを獲得することができる。報酬付与部127は、「報酬付与部」の一例である。
【0056】
図14は、第3の実施形態に係る受講者情報R15の一例を示す図である。受講者情報R15では、受講者IDに対して、受講者の属性および報酬が紐付けられている。
図15は、第3の実施形態に係る講師情報R25の一例を示す図である。講師情報R25では、講師IDに対して、受講者の属性および報酬が紐付けられている。報酬の数値は、報酬付与部127により更新される。
【0057】
[処理フロー]
(質問処理)
次に、質問処理について説明する。
図16は、第3の実施形態に係る情報処理装置100の質問処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示す処理は、例えば、受講者端末装置20のいずれか1つから質問が出力された場合に開始される。
【0058】
まず、質問処理部126は、受講者端末装置20のいずれか1つから出力された質問を取得する(ステップS401)。例えば、質問処理部126は、講師端末装置10および受講者端末装置20から閲覧可能な講義内容を表示するファイル(レジュメ)に対して、受講者端末装置20のいずれか1つにより書き込まれた質問を取得する。
【0059】
次に、質問処理部126は、取得された質問を講師端末装置10および他の受講者端末装置20に共有する(ステップS403)。例えば、質問処理部126は、ファイル(レジュメ)上に質問を表示することで、質問を共有する。
【0060】
次に、質問処理部126は、講師端末装置10および他の受講者端末装置20により入力された回答を、質問元の受講者端末装置20に出力する(ステップS405)。例えば、質問処理部126は、ファイル(レジュメ)上に回答を表示することで、回答を出力する。これとともに、質問処理部126は、回答者の特定を行う。
【0061】
次に、報酬付与部127は、質問処理部126により特定された回答者に対して、報酬の付与を行う(ステップS407)。報酬は、回答の回数に加えて、回答の速さ、解決率、質問した受講者の満足度等に応じて大きくなるように設定される。以上により、本フローチャートの処理が終了する。
【0062】
尚、講義の中でグループに分かれて行われるディスカッション等においては、ある受講者の主張が、他の受講者が漠然と感じている疑問に対する答えとなる場合もある。このような場合、質問者および回答者を明確に特定することができないため、受講者同士の投票・選択形式で、回答者が特定されるようにしてもよい。例えば、質問処理部126は、受講者(受講者端末装置20)からの入力に応じて、回答者の特定を行い、報酬付与部127は、特定された回答者に対して報酬の付与を行うようにしてもよい。報酬付与部127は、受講者(受講者端末装置20)からの入力(評価点)に応じて、報酬を決定するようにしてもよい。
【0063】
以上において説明した第3の実施形態によれば、受講者からの質問に対する回答を活発化させることができる。質問への回答が迅速的確な講師や指導力のある受講者を条件で優遇することで、講義に参加した受講者の理解度を高めることができる。質問に対する回答のモチベーションを与えることで、先を争って回答するという好循環を生むことができる。また、受講者は、他の受講者の質問に回答することで、自身の理解度を高めることができる。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0065】
上記においては、情報処理システムS1が、講師端末装置10、受講者端末装置20、および情報処理装置100により構成される例を挙げて説明したが、これに限られない。講師端末装置10および受講者端末装置20の各々にアプリケーションプログラムをインストールすることで、情報処理システムS1が実現されてもよい。この場合、講師端末装置10および受講者端末装置20の一方またはその組み合わせが、情報処理装置の一例となる。
【符号の説明】
【0066】
10…講師端末装置
20…受講者端末装置
100…情報処理装置
110…通信部
120,120A…制御部
121…取得部
122…集中度判定部
123…マッチング部
124…提供部
125…学習部
126…質問処理部
127…報酬付与部
130…記憶部
NW…ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
講義中における受講者の受講者画像を取得する取得部と、
取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定する集中度判定部と、
判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行うマッチング部と、
を備え、
前記マッチング部は、前記受講者が過去に受講した講師の属性情報と紐付けられて記録された前記集中度と、前記講師の属性情報とが入力されたときにマッチング結果を出力するように学習されたマッチングモデルを用いて、前記マッチングを行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記マッチング部は、前記受講者の集中度を向上させるように講師とのマッチングを行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記集中度判定部は、前記受講者画像から取得される前記受講者の視線、表情、声の大きさ、および姿勢の少なくとも1つに基づいて、前記集中度を判定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記集中度判定部は、前記受講者画像が入力されたときに前記受講者の集中度を出力するように学習された集中度判定モデルを用いて、前記集中度を判定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記マッチングの結果を、前記受講者の受講者端末装置および前記講師の講師端末装置の少なくとも一方に提供する提供部をさらに備える、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提供部は、判定された前記集中度を、前記講師端末装置に提供する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
講義中における受講者の受講者画像を取得し、
取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定し、
判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行う、
情報処理方法であって、
前記受講者が過去に受講した講師の属性情報と紐付けられて記録された前記集中度と、前記講師の属性情報とが入力されたときにマッチング結果を出力するように学習されたマッチングモデルを用いて、前記マッチングを行う、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
講義中における受講者の受講者画像を取得させ、
取得された前記受講者画像に基づいて、前記受講者の前記講義に対する集中度を判定させ、
判定された前記集中度に基づいて、前記受講者と講師とのマッチングを行わせる、
プログラムであって、
前記受講者が過去に受講した講師の属性情報と紐付けられて記録された前記集中度と、前記講師の属性情報とが入力されたときにマッチング結果を出力するように学習されたマッチングモデルを用いて、前記マッチングを行わせる、
プログラム。