(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132318
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】生体情報測定装置、及び生体情報測定装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240920BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043062
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将人
(72)【発明者】
【氏名】星 正彦
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 貴徳
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】無駄な電力消費を抑制し得る、生体情報測定装置を提供すること。
【解決手段】本開示の生体情報測定装置は、生体情報測定部と、生体情報測定部で測定した生体情報を無線送信する無線通信部と、を有する生体情報測定装置であって、無線通信部は、基地局との無線接続に必要な識別情報を所定期間以上受信できない場合に、識別情報のサーチを停止する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報測定部と、前記生体情報測定部で測定した生体情報を無線送信する無線通信部と、を有する生体情報測定装置であって、
前記無線通信部は、基地局との無線接続に必要な識別情報を所定期間以上受信できない場合に、前記識別情報のサーチを停止する、
生体情報測定装置。
【請求項2】
自装置が病院又は診療所に到着したことを検出する到着検出部を、さらに備え、
前記無線通信部は、前記到着検出部によって自装置が前記病院又は診療所に到着したことが検出されたときに、前記識別情報のサーチを再開する、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、サーチ再開後に前記識別情報を検出した場合、記憶された未送信の生体情報を前記基地局に送信する、
請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記到着検出部は、前記無線通信部による無線通信よりも低消費電力のセンサーを用いて到着を検出する、
請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
生体情報測定部と、前記生体情報測定部で測定した生体情報を無線送信する無線通信部と、を有する生体情報測定装置における制御方法であって、
前記無線通信部が基地局との無線接続に必要な識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記無線通信部が前記基地局から所定期間以上前記識別情報を受信できない場合に、前記無線通信部による前記識別情報のサーチを停止するサーチ停止ステップと、
を含む、生体情報測定装置における制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線機能を有する生体情報測定装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の生体情報測定装置が数多く開発され実現されている。
【0003】
携帯型の生体情報測定装置の中には、無線機能を有するものがある。例えば特許文献1には、無線機能を有する携帯型の心電計が記載されている。この種の生体情報測定装置は、測定した生体情報を無線にて例えばスマートフォンやタブレット端末などの電子機器に送信することにより、測定結果を送信先の電子機器で確認できる。また、この種の生体情報測定装置は、測定した生体情報を無線にて院内システムなどに送信することにより、院内システムと連携して患者情報を共有することができる。
【0004】
また、日本政府は、地域包括ケアシステムやIOTを用いた「通院/入院から在宅」への転換を積極的に検討しており、医療分野は、ネットワークを用いた、医療機器及び治療/診断へと向かっていくことが推測される。
【0005】
そのような状況の中で、無線機能を有する生体情報測定装置の需要は益々高まっていくことが推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、無線機能を有する携帯型の生体情報測定装置においては、小型及び軽量であることが大きな長所である一方、動作可能時間が電池容量に依存するといった欠点がある。よって、消費電力をできるだけ少なくすることが求められる。
【0008】
特に、無線通信を行う場合には、基地局のサーチ時に消費電力が増加する。また、無線通信中は、定常時と比べて、デバイスにも依存するが、約2倍程度、消費電力が増加する。
【0009】
無線機能を有する携帯型の生体情報測定装置においては、無線通信のON/OFFはユーザーにより設定されるが、ユーザーが無線通信をOFFにせずに放置することも考えられる。このような場合、電池の電力が想定以上に消費され、患者への訪問や往診の途中で装置が使用不可となるといった問題が生じる。
【0010】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、無駄な電力消費を抑制し得る、生体情報測定装置及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の生体情報測定装置の一つの態様は、
生体情報測定部と、前記生体情報測定部で測定した生体情報を無線送信する無線通信部と、を有する生体情報測定装置であって、
前記無線通信部は、基地局との無線接続に必要な識別情報を所定期間以上受信できない場合に、前記識別情報のサーチを停止する。
【0012】
本開示の生体情報測定装置の制御方法の一つの態様は、
生体情報測定部と、前記生体情報測定部で測定した生体情報を無線送信する無線通信部と、を有する生体情報測定装置における制御方法であって、
前記無線通信部が基地局との無線接続に必要な識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記無線通信部が前記基地局から所定期間以上前記識別情報を受信できない場合に、前記無線通信部による前記識別情報のサーチを停止するサーチ停止ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線通信部が基地局から所定期間以上識別情報を受信できない場合に、無線通信部による識別情報のサーチを停止するようにしたので、無駄な電力消費を抑制し得る、生体情報測定装置及びその制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】実施の形態の動作の説明に供するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明を携帯型の心電計1及びその制御に適用した例を説明するが、本発明は心電計1に限らず、無線機能を有する生体情報測定装置及びその制御方法として広く適用可能である。
【0016】
図1-
図3は、携帯型の心電計1の外観図である。
図1は正面図であり、
図2は
図1の右方向から見た側面図であり、
図3は
図1の左方向から見た側面図である。
【0017】
図1に示されているように、心電計1の正面には、液晶や有機EL等からなる表示パネル部10と、心電図の計測のスタート/ストップ操作を行うためのスタート/ストップボタン20と、が設けられている。
【0018】
図2に示されているように、心電計1の右側面には、ECGケーブルが接続されるECGコネクター40と、ECGコネクター40とのEGGケーブルの接続のロックを解除するためのロック解除レバー41と、が設けられている。
【0019】
図3に示されているように、心電計1の左側面には、USBコネクター50と、SDカードが挿入されるSDカード挿入部60と、が設けられている。
【0020】
心電計1は、ECGコネクター40を介して入力した患者の心電図を、表示パネル10に表示するとともに、SDカード挿入部60に挿入されたSDカードに記録する。心電計1は、例えば医師や看護師による患者の往診時に使用される。
【0021】
心電計1の本体ケース70は、表面側ケース71及び裏面側ケース72によって構成されている。表面側ケース71及び裏面側ケース72は、例えば樹脂により形成されている。表面側ケース71及び裏面側ケース72を接合させた際に形成される内部空間に、回路基板などの電子部品が配設される。
【0022】
図4は、本実施の形態の心電計1の要部構成を示すブロック図である。
【0023】
心電計1は、生体情報測定部101、記憶部102、無線通信部103、操作部104、病院到着検出部105、電池106及び制御部110を有する。
【0024】
本実施の形態の場合、生体情報測定部101は心電図測定部である。生体情報測定部101によって測定された生体情報は記憶部102に記憶される。無線通信部103は、生体情報測定部101からの生体情報、又は、記憶部102に記憶された生体情報を無線送信する。
【0025】
無線通信が確立しているときに生体情報測定部101によって測定された生体情報は、リアルタイムで無線通信部103から送信される。一方、無線通信が確立していないときに生体情報測定部101によって測定された生体情報は、一旦記憶部102に記憶され、無線通信が確立したときに無線通信部103から送信される。
【0026】
操作部104は、例えばタッチパネルや操作ボタンにより具現化されている。ユーザーが操作部104を操作すると、操作部104から制御部220に操作に応じた操作信号が出力される。
【0027】
病院到着検出部105は、心電計1が病院に到着したことを検出する。病院到着検出部105は、例えばGPSであり得る。また、病院到着検出部105は、例えばタイマーであり得る。例えば、心電計1が病院から持ち出された後に再び病院に持ち帰る予定時刻を入力しておけば、心電計1の病院到着をタイマーにより検出できる。また、病院到着検出部105は、操作部104であり得る。例えば、医療従事者が心電計1を病院から持ち出した後に再び病院に持ち帰ったときに持ち帰ったことを操作入力すれば、心電計1の病院到着を操作信号により検出できる。
【0028】
さらに、病院到着検出部105は、RFタグによって病院のゲートを通過したことを検出することで病院の到着を検出してもよい。病院到着検出部105は、無線通信部10による無線通信よりも低消費電力のセンサーを用いて心電計1の病院への到着を検出することが好ましい。
【0029】
制御部110は、操作部104及び病院到着検出部105からの信号に基づいて、生体情報測定部101及び無線通信部103を制御する。制御部110は、主たるコンポーネントとして、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して、以下の動作を実現する。
【0030】
図5は、本実施の形態の動作の説明に供するフローチャートである。
【0031】
制御部10は、ステップS1で無線通信をONとされる操作がなされたと判断すると、ステップS2に移ってSSIDを取得する。SSIDの取得は、周辺の基地局から受信したSSIDを自動登録してもよく、手動で登録してもよい。
【0032】
ステップS3では、ステップS2で取得したSSIDを用いて無線通信を行う。
【0033】
続く、ステップS4では、制御部110が所定期間以上SSIDを受信できないかを判断する。制御部110は、所定期間以上SSIDを受信できていないと判断すると、ステップS5に移って、無線通信部103によるSSIDのサーチを停止する。これにより、例えば、心電計1が病院内から病院外に持ち出された場合に、無駄なSSIDのサーチを行わなくてすむようになる。
【0034】
続く、ステップS6では、制御部110が、病院到着検出部105からの信号に基づいて、心電計1が病院に到着したか否かを判断する。制御部110は、心電計1が病院に到着したと判断されると、ステップS7に移って、無線通信部103にSSIDのサーチを再開させる。
【0035】
続く、ステップS8において無線通信部103によってSSIDが検出されると、ステップS9に移って、無線通信部103が記憶部102に記憶されている未送信の生体情報を送信する。これにより、病院から離れた患者への訪問や往診時に記憶された未送信の生体情報が、病院に戻って無線通信が可能にたったときにユーザーによる操作無しに自動で無線送信される。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信部103が基地局から所定期間以上SSIDを受信できない場合に、無線通信部103によるSSIDのサーチを停止したことにより、無駄な電力消費を抑制し得る、生体情報測定装置の制御方法を実現できる。
【0037】
また、自装置が病院に到着したことを検出する到着検出ステップと、自装置が病院に到着したことを検出したときに、無線通信部103によるSSIDのサーチを再開させるサーチ再開ステップと、を行うようにしたことにより、理にかなったタイミングで、無線通信部103のSSIDのサーチ停止を解除できるようになる。
【0038】
さらに、サーチ再開後にSSIDを検出した場合、記憶している未送信の生体情報を基地局に送信するようにしたので、未送信の生体情報を速やかに基地局に送信できる。
【0039】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0040】
上述の実施の形態では、病院到着検出部105は心電計1が病院に到着したことを検出する場合について述べたが、病院以外にも例えば診療所に到着したことを検出してもよい。要は、生体情報測定装置(心電計1)が通信可能な基地局が存在する医療機関への到着を検出する到着検出部を設ければよい。
【0041】
上述の実施の形態では、基地局との無線接続に必要な識別情報としてSSIDを例に挙げ、SSIDをサーチする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、基地局との無線接続に必要な識別情報は例えばIPアドレスでもよく、IPアドレスをサーチする生体情報測定装置にも適用可能である。
【0042】
上述の実施の形態では、本実施の形態の生体情報測定装置及びその制御方法を、心電計1を例に説明したが、本発明はこれに限らず、無線機能を有する生体情報測定装置及びその制御方法として広く適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示は、無線機能を有する生体情報測定装置及びその制御方法に有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 心電計
101 生体情報測定部
102 記憶部
103 無線通信部
104 操作部
105 病院到着検出部
106 電池
110 制御部