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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132321
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240920BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K9/00 G
G09F9/00 309A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043067
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星 正彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 貴徳
【テーマコード(参考)】
5E321
5G435
【Fターム(参考)】
5E321AA03
5E321AA05
5E321AA14
5E321CC22
5E321GG01
5E321GG05
5G435AA07
5G435AA14
5G435EE02
5G435EE04
5G435GG32
5G435GG34
(57)【要約】
【課題】ソフトガスケットによるEMC対策の対象部品の変形を抑制しつつ、十分なEMC対策を行うことができる電子機器を提供すること。
【解決手段】本開示の電子機器は、アースプレートと、EMC対策対象部品と、アースプレート及びEMC対策対象部品に接触するソフトガスケットと、アースプレートの第1の面に対向する位置に設けられた支持部材と、を有する。ソフトガスケットは、アースプレートの第1の面と、支持部材と、EMC対策対象部品におけるアースプレートの第1の面に垂直な面と、に接触するように配置されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アースプレートと、
EMC対策対象部品と、
前記アースプレート及び前記EMC対策対象部品に接触するソフトガスケットと、
前記アースプレートの第1の面に対向する位置に設けられた支持部材と、
を有し、
前記ソフトガスケットは、
前記アースプレートの前記第1の面と、前記支持部材と、前記EMC対策対象部品における前記アースプレートの前記第1の面に垂直な面と、に接触するように配置されている、
電子機器。
【請求項2】
前記支持部材は、前記第1の面に対向する第1の支持面と、前記第1の面に垂直な第2の支持面と、を有し、
前記ソフトガスケットは、前記アースプレートの前記第1の面と、前記支持部材の前記第1及び第2の支持面と、前記EMC対策対象部品の前記第1の面に垂直な面と、の間に配置されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ソフトガスケットは、前記第1の面と、前記第1の支持面と、に垂直な方向に圧縮され、圧縮状態において、前記アースプレートの前記第1の面と、前記EMC対策対象部品の前記第1の面に垂直な面とに圧接する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記EMC対策対象部品は、表示パネルである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記支持部材は、前記電子機器の樹脂ケースである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、EMC(Electro Magnetic Compatibility)対策用のソフトガスケットを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器においては、EMC対策が施されている。EMC対策とは、他の機器に対して電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)とならない性質と、他の機器からの電磁波によって自身の動作が阻害されない電磁感受性(EMS:Electro Magnetic Susceptibility)とを併せ持つようにすることである。
【0003】
EMC対策の一つの方法として、電磁妨害を生じさせ易くかつ電磁波による阻害を受けやすい電子部品を、導電性のソフトガスケットを用いて、グランド電位に接続する方法がある。このような方法は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-005186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ソフトガスケットを用いてEMC対策を行う場合には、対象となる電子部品の間にソフトガスケットを設置し、双方の部品でソフトガスケットを潰すことで、双方の部品間で電気的接触をとるようになっている。
【0006】
しかし、この場合に、設計的要因や部品のばらつき等で下記のような問題が発生することがある。
【0007】
・問題1……ソフトガスケットの潰し量がソフトガスケットの潰し代の限界(つまりソフトガスケットがそれ以上潰れない状態)を超えた場合に、ソフトガスケットによって電子部品が大きな力で押されて、基板や電子部品、あるいは構造部品が膨らむ方向に変形してしまい、最悪の場合、筐体部品の膨らみや部品間の隙間の膨らみ問題として顕在化してしまうことがある。
【0008】
・問題2……ソフトガスケットの潰し量が不十分だった場合に、ソフトガスケットと電子部品との導通が不十分となり、十分な電磁的なシールド効果を得られず、EMC対策が不十分となる。
【0009】
このように、ソフトガスケットの潰し量が大き過ぎると問題1が生じ、潰し量が小さいと問題2が生じる。実際上、潰し量は、ソフトガスケットが配置される部品間の間隙の大きさ等に委ねられる。しかし、部品間の間隙は、ロットごとの部品のばらつきにより多少の誤差が生じる可能性が高い。この結果、安定して良好なEMC対策を行うことが困難であった。
【0010】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、ソフトガスケットによるEMC対策の対象部品の変形を抑制しつつ、十分なEMC対策を行うことができる電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の電子機器の一つの態様は、
アースプレートと、
EMC対策対象部品と、
前記アースプレート及び前記EMC対策対象部品に接触するソフトガスケットと、
前記アースプレートの第1の面に対向する位置に設けられた支持部材と、
を有し、
前記ソフトガスケットは、
前記アースプレートの前記第1の面と、前記支持部材と、前記EMC対策対象部品における前記アースプレートの前記第1の面に垂直な面と、に接触するように配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ソフトガスケットによるEMC対策の対象部品の変形を抑制しつつ、十分なEMC対策を行うことができる電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の携帯型の心電計の正面図
図2】心電計の右側面図
図3】心電計の左側面図
図4】心電計の分解斜視図
図5】表面側ケースに金属板が取り付けられた状態を示す斜視図
図6図5においてソフトガスケットを含む位置をXZ平面で切った斜視断面図
図7図5においてソフトガスケットを含む位置をXZ平面で切った断面図
図8図7におけるソフトガスケットの近傍の拡大断面図
図9】実施の形態に対する比較例として、従来のソフトガスケットの配置例を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明を携帯型の心電計1に適用した例を説明するが、本発明は心電計1に限らず、導電性のソフトガスケットを用いてEMC対策を行う種々の電子機器に適用可能である。
【0015】
図1図3は、本発明を適用した携帯型の心電計1の外観図である。図1は正面図であり、図2図1の右方向から見た側面図であり、図3図1の左方向から見た側面図である。
【0016】
図1に示されているように、心電計1の正面には、液晶や有機EL等からなる表示パネル部10と、心電図の計測のスタート/ストップ操作を行うためのスタート/ストップボタン20と、が設けられている。
【0017】
図2に示されているように、心電計1の右側面には、ECGケーブルが接続されるECGコネクター40と、ECGコネクター40とのEGGケーブルの接続のロックを解除するためのロック解除レバー41と、が設けられている。
【0018】
図3に示されているように、心電計1の左側面には、充電用のUSBケーブルが接続されるUSBコネクター50と、SDカードが挿入されるSDカード挿入部60と、が設けられている。
【0019】
心電計1は、ECGコネクター40を介して入力した患者の心電図を、表示パネル10に表示するとともに、SDカード挿入部60に挿入されたSDカードに記録する。心電計1は、例えば医師や看護師による患者の往診時に使用される。
【0020】
心電計1の本体ケース70は、表面側ケース71及び裏面側ケース72によって構成されている。表面側ケース71及び裏面側ケース72は、例えば樹脂により形成されている。表面側ケース71及び裏面側ケース72を接合させた際に形成される内部空間に、回路基板などの電子部品が配設される。
【0021】
図4は、心電計1の分解斜視図である。図4では、主に、導電性のソフトガスケット100に関わる構成が示されており、裏面側ケース72(図2図3)等は省略されている。また、以下の説明では、主にソフトガスケット100に関わる構成を説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0022】
本実施の形態において「ソフトガスケット」とは、圧力を受けると、その方向の厚みが減少し(つまり圧し潰され)、圧し潰された量に応じて圧力を受けた方向と垂直な方向に伸長する(逃げると言ってもよい)性質を有する部材を言う。
【0023】
表面側ケース71には、表示パネル10及びソフトガスケット100が取り付けられる。表示パネル10は、表面側ケース71に形成された開口部から表示面が露出した状態で表面側ケース71に取り付けられる。ソフトガスケット100の取り付けについては、後で詳しく説明する。
【0024】
表面側ケース71には、回路基板80が取り付けられる。また、回路基板80と表面側ケース71の間には金属板90が配置される。回路基板80及び金属板90は、ネジ73による締結により表面側ケース71に取り付けられる。回路基板80には、CPUやメモリ、増幅回路などの各種の回路が搭載されている。金属板90は所謂アースプレートである。
【0025】
ネジ73によって表面側ケース71に金属板90が取り付けられると、金属板90にソフトガスケット100が圧接する。より具体的には、ネジ73の締結によって金属板90によってソフトガスケット100が圧し潰されて金属板90に圧接する。
【0026】
図5は、表面側ケース71に金属板90が取り付けられた状態を示す斜視図である。図6は、図5においてソフトガスケット100を含む位置をXZ平面で切った斜視断面図である。図7は、図5においてソフトガスケット100を含む位置をXZ平面で切った断面図である。図8は、図7におけるソフトガスケット100の近傍の拡大断面図である。
【0027】
本実施の形態の特徴が最もよく表れているのは図8なので、以下、図8を参照して説明する。
【0028】
シールド対象である表示パネル10と、アースプレートである金属板90は互いに隣り合って設けられている。ソフトガスケット100は、表示パネル10と金属板90の両方に接触することにより、表示パネル10を接地状態にして電磁的なシールドを実現している。
【0029】
ここで、ソフトガスケット100は、Z方向において、金属板90の第1の面90aと、表面側ケース71の第1の支持面71aとの間に圧接されている。また、ソフトガスケット100は、X方向において、表示パネル10における金属板90の第1の面90aに垂直な面10aに圧接されている。これにより、ソフトガスケット100を介して、表示パネル10が金属板90と電気的に接続され、表示パネル10のEMC対策が実現される。
【0030】
さらに、表面側ケース71には凸部71Xが形成されている。これにより、表面側ケース71は、第1の面90aに対向する第1の支持面71aと、第1の面90aに垂直な第2の支持面71bと、を有する形状とされている。ソフトガスケット100は、金属板90の第1の面90aと、表面側ケース71の第1及び第2の支持面71a、71bと、表示パネル10の面10aとの間に配置される。
【0031】
以上の構成において、ネジ73の締結によりソフトガスケット100が圧し潰されると、ソフトガスケット100が金属板90の面90aと表示パネル10の面10aに圧接し、表示パネル10の電磁的シールドが実現される。
【0032】
このとき、ソフトガスケット100の潰し方向(Z方向)には表示パネル10が存在しないので、表示パネル10には大きな力がかからない。よって、表示パネル10の変形を防止でき、変形によるモアレの発生などを防止できる。
【0033】
さらに、ソフトガスケット100が圧接するのは、表示パネル10のパネル面に垂直な面(換言すればパネルの厚みに相当する面)であり、この面はパネル面よりも強度が格段に高いので多少強い力が加わっても変形しない。よって、EMC対策対象部品(本実施の形態の場合、表示パネル10)の変形を防止できる。
【0034】
ここで、ソフトガスケット100の潰し方向(Z方向)の力を受ける支持部材としての表面側ケース71は、表示パネル10等の電気部品とは異なり、形状や強度などの設計の自由度が高く、例えばリブなどを設けることで十分な強度を確保できる。よって、変形が生じることを容易に防止できる。
【0035】
また、本実施の形態では、ソフトガスケット100による表示パネル10の変形を無視できるので、Z方向の厚みが十分に大きなソフトガスケット100を採用できる。これにより、ソフトガスケット100を圧し潰した際に、ソフトガスケット100が金属板90の面90aと表示パネル10の面10aに十分な力で圧接するので、十分な電磁的なシールド効果を得ることができる。
【0036】
さらに、表面側ケース71に凸部71Xを形成し、ソフトガスケット100を、金属板90の第1の面90aと、表面側ケース71の第1及び第2の支持面71a、71bと、表示パネル10の面10aとの間に配置したので、ソフトガスケット100が圧し潰されたときに、表示パネル10の面10aから逆方向に逃げるソフトガスケット100を第2の支持面71bで止めることができ、この結果、表示パネル10の面10aでのソフトガスケット100の圧接力をより高めることができるようになる。
【0037】
図9は、本実施の形態に対する比較例として、従来のソフトガスケット100の配置例を示した断面図である。図に示したような構成では、ソフトガスケット100がZ方向に圧し潰されと、表示パネル10が圧し潰し方向の力を直接受けるので、表示パネル10が変形するおそれがある。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、アースプレート(金属板90)と、EMC対策対象部品(表示パネル10)と、アースプレート(金属板90)及びEMC対策対象部品(表示パネル10)に接触するソフトガスケット100と、アースプレート(金属板90)の第1の面90aに対向する位置に設けられた支持部材(表面側ケース71)と、を有し、ソフトガスケット100は、アースプレート(金属板90)の第1の面90aと、支持部材(表面側ケース71)と、EMC対策対象部品(表示パネル10)におけるアースプレート(金属板90)の第1の面90aに垂直な面10aと、に接触するように配置されている。
【0039】
これにより、ソフトガスケット100によるEMC対策の対象部品(表示パネル10)の変形を抑制しつつ、十分なEMC対策を行うことができる電子機器(携帯型心電計1)を実現できる。
【0040】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0041】
上述の実施の形態では、表面側ケース71によって支持部材を実現した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。支持部材は、EMC対策対象部品(表示パネル10)と別体の部材であればよい。
【0042】
上述の実施の形態では、EMC対策対象部品が表示パネル10である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、EMC対策対象部品は例えば回路基板であってもよく、その他の電気部品であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示は、EMC対策用のソフトガスケットを有する電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 心電計
10 表示パネル
10a 面
20 スタート/ストップボタン
40 ECGコネクター
41 ロック解除レバー
50 USBコネクター
60 SDカード挿入部
70 本体ケース
71 表面側ケース
71a 第1の支持面
71b 第2の支持面
71X 凸部
72 裏面側ケース
73 ネジ
80 回路基板
90 金属板
90a 第1の面
100 ソフトガスケット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9