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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132325
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】気候情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043071
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】所定の対象エリア内の気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムにおいて、給湯装置の運転状態に関する情報を有効利用しながら、人間が実際に体感した気候の状態に近い指標を得る技術を提供する。
【解決手段】対象エリアA内の各住戸40に設置されている複数の給湯装置30との間で所定の通信ネットワーク50を通じて情報通信可能に構成されており、複数の給湯装置30の夫々から、給湯装置30の運転状態に関する給湯運転情報aを、通信ネットワーク50を通じて収集する情報収集部11と、当該収集した給湯運転情報aを分析して、対象エリアA内の各住戸40の住人41が体感した気候の状態を示す体感気温指標bを生成する指標生成部12と、を備え、当該生成した体感気温指標bに関する情報を気候情報dとして提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象エリア内の気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムであって、
前記対象エリア内の各住戸に設置されている複数の給湯装置との間で所定の通信ネットワークを通じて情報通信可能に構成されており、
前記複数の給湯装置の夫々から、前記給湯装置の運転状態に関する給湯運転情報を、前記通信ネットワークを通じて収集する情報収集部と、
前記情報収集部で前記複数の給湯装置の夫々から収集した給湯運転情報を分析して、前記対象エリア内の各住戸の住人が体感した気候の状態を示す体感気候指標を生成する指標生成部と、を備え、
前記指標生成部が生成した体感気候指標に関する情報を前記気候情報として提供する気候情報提供システム。
【請求項2】
前記給湯運転情報が、所定の対象日における前記給湯装置による給湯量と風呂湯はり運転の実行有無とを認識可能な情報であり、
前記指標生成部が、前記情報収集部で前記複数の給湯装置の夫々から収集した給湯運転情報を用いて、前記対象日における前記対象エリア内の一戸当たりの平均給湯量と風呂湯はり運転実行率を算出し、当該算出した平均給湯量と風呂湯はり運転実行率との間の相関マップを用いて、前記対象日における前記体感気候指標を生成する請求項1に記載の気候情報提供システム。
【請求項3】
前記情報収集部が、連続する複数の対象日の夫々において前記給湯運転情報を収集すると共に、
前記指標生成部が、前記複数の対象日の夫々において前記体感気候指標を生成し、
前記指標生成部が生成した前記複数の前記対象日の夫々における前記体感気候指標を分析して、前記対象エリア内の季節の状態を判定し、当該判定結果である季節状態情報を前記気候情報として出力する季節状態判定部を備える請求項1又は2に記載の気候情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の対象エリア内の気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムが知られている(例えば特許文献1を参照。)。
特許文献1記載の気候情報提供システムでは、気象情報提供サーバから所定の対象エリア内の気温、湿度、及び風速を含んだ気象データを取得し、当該取得した気象データから対象エリア内において人間の肌が感じる気温の感覚を数値化した体感気温を算出する。
また、このような体感気温などのように人間が実際に体感した気候の状態は、例えば衣服などの服飾品や入浴剤などの生活雑貨の市場において、取扱い商品の種類や入荷数を検討するための参考情報として有効に利用される。
【0003】
一方、各住戸に設置されている給湯装置の利用状況を遠隔管理するための管理システムが知られている(例えば特許文献2を参照。)。
特許文献2記載の管理システムは、各住戸に設置されている複数の給湯装置との間で所定の通信ネットワークを通じて情報通信可能に構成されており、当該複数の給湯装置の夫々から、給湯装置の運転状態に関する情報を、通信ネットワークを通じて収集することができる。そして、特許文献1記載の管理システムは、このように収集した情報を分析して、給湯装置の利用者に対し、省エネルギーに関するガイダンスなどを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-168887号公報
【特許文献1】特開2006-277601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の気象情報提供システムのように、気温、湿度、及び風速を含んだ気象データから算出した体感気温は、実際に人間が感じている体感気温を直接的に表すものではない。即ち、気温、湿度、及び風速などの気象データが同じであっても、実際に人間が感じている体感気温とは差がある場合がある。
そして、例えば服飾品や生活雑貨の市場において、取扱い商品の種類や入荷数の正確な検討を行うべく、実際に人間が実際に体感した気候の状態に近い指標を得ることが望まれる。
【0006】
一方、各住戸に設置されている給湯装置の利用状況を遠隔管理するための従来の管理システムでは、給湯装置の運転状態に関する情報を、当該給湯装置の利用者へのガイダンスなどには利用するものの、全く異なる別の用途に利用することは検討されていなかった。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、所定の対象エリア内の気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムにおいて、給湯装置の運転状態に関する情報を有効利用しながら、人間が実際に体感した気候の状態に近い指標を得る技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、所定の対象エリア内の気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムであって、
前記対象エリア内の各住戸に設置されている複数の給湯装置との間で所定の通信ネットワークを通じて情報通信可能に構成されており、
前記複数の給湯装置の夫々から、前記給湯装置の運転状態に関する給湯運転情報を、前記通信ネットワークを通じて収集する情報収集部と、
前記情報収集部で前記複数の給湯装置の夫々から収集した給湯運転情報を分析して、前記対象エリア内の各住戸の住人が体感した気候の状態を示す体感気候指標を生成する指標生成部と、を備え、
前記指標生成部が生成した体感気候指標に関する情報を前記気候情報として提供する点にある。
【0009】
本構成によれば、上記情報収集部により、対象エリア内の各住戸に設置されている複数の給湯装置の夫々から、例えば前日などの所定の対象日における給湯装置の運転状態に関する給湯運転情報が、通信ネットワークを通じて収集される。このようにして収集された給湯運転情報は、給湯装置が設置された住戸の住人が、対象日において実際に体感した気候の状態に応じて給湯装置に対して行った操作や設定の状態を反映したものとなる。
よって、上記指標生成部により、上記情報収集部で複数の給湯装置の夫々から収集した給湯運転情報を分析することで、対象日において対象エリア内の各住戸の住人が体感した気候の状態を示す体感気候指標を生成することができ、その体感気候指標に関する情報を、当該給湯装置とは全く異なる別の用途に利用するべく、各住戸の住人とは異なる利用者に対して、当該利用者側の提供先における情報端末への送信や表示部への表示などの形態で、気候情報として提供することができる。
従って、本発明により、所定の対象エリア内の気候に関する気候情報を提供する気候情報提供システムにおいて、給湯装置の運転状態に関する情報を有効利用しながら、人間が実際に体感した気候の状態に近い指標を得る技術を提供することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記給湯運転情報が、所定の対象日における前記給湯装置による給湯量と風呂湯はり運転の実行有無とを認識可能な情報であり、
前記指標生成部が、前記情報収集部で前記複数の給湯装置の夫々から収集した給湯運転情報を用いて、前記対象日における前記対象エリア内の一戸当たりの平均給湯量と風呂湯はり運転実行率を算出し、当該算出した平均給湯量と風呂湯はり運転実行率との間の相関マップを用いて、前記対象日における前記体感気候指標を生成する点にある。
【0011】
本構成によれば、上記情報収集部により、複数の給湯装置の夫々から、対象日における給湯装置による給湯量と風呂湯はり運転の実行有無とを認識可能な情報が、上記給湯運転情報として収集される。このようにして収集された給湯運転情報で認識される給湯装置による給湯量と風呂湯はり運転の実行有無は、給湯装置が設置された住戸の住人が、対象日において実際に体感した気温などの気候の状態に応じて給湯装置に対して行った給湯や風呂湯はり運転の開始などの操作や設定の状態を反映したものとなる。即ち、住人が非常に寒いと実際に感じた対象日では、給湯量が増加して風呂湯はり運転が実行される可能性が高くなり、逆に、住人が非常に暑いと実際に感じた対象日では、給湯量が減少して風呂湯はり運転が実行される可能性が低くなる。
よって、上記指標生成部により、上記情報収集部で複数の給湯装置の夫々から収集した給湯運転情報を用いて、対象日における対象エリア内の一戸当たりの平均給湯量と風呂湯はり運転実行率を算出し、当該算出した平均給湯量と風呂湯はり運転実行率との間の相関マップを用いて、より正確な体感気候指標を生成することができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記情報収集部が、連続する複数の対象日の夫々において前記給湯運転情報を収集すると共に、
前記指標生成部が、前記複数の対象日の夫々において前記体感気候指標を生成し、
前記指標生成部が生成した前記複数の前記対象日の夫々における前記体感気候指標を分析して、前記対象エリア内の季節の状態を判定し、当該判定結果である季節状態情報を前記気候情報として出力する季節状態判定部を備える点にある。
【0013】
本構成によれば、上記情報収集部により、連続する複数の対象日の夫々において給湯運転情報が収集され、上記指標生成部により、複数の対象日の夫々において体感気候指標が生成される。そして、上記季節状態判定部により、上記指標生成部により生成された連続する複数の対象日の夫々における体感気候指標を分析することにより、シーズン開始時期、シーズントップ時期、シーズン終了時期などのような対象エリア内の季節の状態を判定して、その判定結果である季節状態情報を利用者に対し気候情報として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態における気候情報提供システムの構成図
図2】相関マップの実施例を示す図
図3】暖房シーズン判定処理のフロー図
図4】冷房シーズン判定処理のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る気候情報提供システム(以下「本システム」と呼ぶ)10は、所定の対象エリアA内の気候に関する気候情報dを提供するシステムであって、詳細について後述するが、対象エリアA内の各住戸40に設置されている複数の給湯装置30の運転状態に関する情報を有効利用しながら、人間が実際に体感した気候の状態に近い指標を得ることができるように構成されており、以下にその詳細について説明する。
【0016】
各住戸40に設定されている給湯装置30は、給水を加熱して温水を生成する給湯器本体31を備えており、当該住戸40の住人41による操作や設定に従って、上記生成した温水を風呂34に貯める風呂湯はり運転や、上記生成した温水を風呂34や給湯栓36などへ供給する給湯運転等を実行可能なものとして構成されている。
更に、給湯装置30には、インターネット網などの所定の通信ネットワーク50を通じて外部との間で通信可能な通信機能部32が装備されている。そして、通信機能部32は、オンラインでのサ-ビス提供やシステム保守等の機器管理を行うために、外部の中央管理センタ-のサーバ(図示省略)等と間で通信を行うように構成されている。
【0017】
本システム10は、対象エリアA内の各住戸40に設置されている複数の給湯装置30との間で所定の通信ネットワーク50を通じて情報通信可能に構成されている。
本システム10は、インターネット網等の所定の通信ネットワーク50を通じて外部との通信が可能なサーバ10Aで構成されている。このことで、本システム10は、対象エリアA内の各住戸40に設置されている複数の給湯装置30の通信機能部32との間でも、通信ネットワーク50を通じて情報通信可能となる。
【0018】
本システム10が備えるサーバ10Aは、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する情報収集部11、指標生成部12、季節状態判定部13、及び気候情報出力部14として機能する。更に、サーバ10Aは、後述する給湯運転情報a、体感気温指標b、季節状態情報c、気候情報dなどの各種情報を住戸40や対象エリアAの識別情報に関連付けて格納するデータベース16との間で情報の授受が可能に構成されている。
以下、本システム10のサーバ10Aが機能する情報収集部11、指標生成部12、季節状態判定部13、及び気候情報出力部14の詳細構成について説明を加える。
【0019】
情報収集部11は、複数の住戸40の夫々に対し、当該住戸40に設置された給湯装置30が有する通信機能部32との間で通信を行って、当該住戸40に設置された給湯装置30の運転状態に関する給湯運転情報aを、通信ネットワーク50を通じて収集するものとして構成されている。
更に、情報収集部11では、1日毎に複数の給湯装置30の夫々の通信機能部32との間で通信が行われ、対象日である前日における給湯運転情報aが収集される。上記給湯運転情報aは、前日における給湯装置30による風呂34や給湯栓36などへの給湯量a1と風呂34の湯はり運転の実行有無a2とを認識可能な情報とされている。
即ち、このような給湯運転情報a、特に給湯量a1と湯はり運転の実行有無a2は、給湯装置30が設置された住戸40の住人41が、対象日において実際に体感した気温(気候の一例)の状態に応じて給湯装置30に対して行った操作や設定の状態を反映したものとなる。例えば、給湯量a1は、住人41が非常に寒いと実際に感じた対象日では増加し、住人41が非常に暑いと実際に感じた対象日では減少する傾向にある。また、湯はり運転についても、上記給湯量a1とは相関に違いはあるものの、住人41が非常に寒いと実際に感じた対象日では実行される可能性が高くなり、住人41が非常に暑いと実際に感じた対象日では実行される可能性が低くなる。
そして、情報収集部11により収集された対象日の対象エリアAにおける各住戸40の給湯運転情報aは、対象日及び対象エリアAに関連付けた状態で、データベース16に格納される。
尚、本実施形態では、給湯量a1と湯はり運転の実行有無a2を給湯運転情報aとしたが、給湯装置30の運転状態に関する別の情報を給湯運転情報aとしてもよい。
【0020】
指標生成部12は、上記情報収集部11で複数の給湯装置30の夫々の通信機能部32から収集した給湯運転情報aを分析して、対象日である前日において対象エリアA内の各住戸40の住人41が体感した気温の状態を示す体感気温指標b(体感気候指標の一例)を生成するものとして構成されている。
即ち、情報収集部11による給湯運転情報aの収集が完了すると、指標生成部12では、対象日である前日の対象エリアAにおける全住戸40の給湯運転情報aがデータベース16から抽出されて、当該抽出された給湯運転情報aから上記体感気温指標bが生成される。
更に、指標生成部12では、情報収集部11で複数の給湯装置30の夫々の通信機能部32から収集された給湯運転情報aが用いられて、対象日である前日における対象エリアA内の一戸当たりの平均給湯量a1aと風呂湯はり運転実行率a2aが算出される。即ち、平均給湯量a1aは、対象エリアA内における給湯量a1の合計を、対象エリアA内における住戸40の戸数で除算した値として算出される。風呂湯はり運転実行率a2aは、対象エリアA内において風呂湯はり運転を実行した戸数を、対象エリアA内における住戸40の戸数で除算した値として算出される。
【0021】
例えば、指標生成部12では、図2に示すような相関マップが予め設定されている。かかる相関マップでは、対象エリアA内の各住戸40の住人41が体感した気温の状態を示す体感気温指標bが、0.00を中心に、寒いほど低くなり、暑いほど高くなる数値で表されている。即ち、非常に寒い場合(厳冬期に相当)に体感気温指標bは-1.00とされ、寒い場合(冬期に相当)に体感気温指標bは-0.50とされ、どちらともいえない場合(中間期に相当)に体感気温指標bは0.00とされ、暑い場合(夏期に相当)に体感気温指標bは+0.50とされ、非常に暑い場合(猛暑に相当)に体感気温指標bは+1.00とされる。即ち、図2に示す相関マップは、体感気温指標bが段階的に設定されており、平均給湯量a1aが大きくなるほど又は風呂湯はり運転実行率a2aが大きくなるほど体感気温指標bが小さくなるように、夫々の体感気温指標bについて平均給湯量a1a及び風呂湯はり運転実行率a2aとの間の相関が示されている。
【0022】
指標生成部12では、このような相関マップを用いて、上述のように算出された対象日である前日における対象エリアA内の平均給湯量a1aと風呂湯はり運転実行率a2aから、対象日である前日におけるより正確な体感気温指標bが生成される。
そして、指標生成部12で生成された対象日の対象エリアAにおける体感気温指標bは、後述する気候情報dとして、対象日及び対象エリアAに関連付けた状態で、データベース16に格納される。
【0023】
例えば、平均給湯量a1aが0.30m以下であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.50以下である場合には、体感気温指標bは+1.00(非常に暑い、猛暑に相当)とされる。また、平均給湯量a1aが0.30m超且つ0.40m以下の範囲内であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.50以下である場合、平均給湯量a1aが0.40m以下であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.50超且つ0.60以下の範囲内である場合、又は、平均給湯量a1aが0.30m以下であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.60超である場合には、体感気温指標bは+0.50(暑い、夏期に相当)とされる。また、平均給湯量a1aが0.40m超であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.60以下である場合、又は、平均給湯量a1aが0.30m超であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.60超且つ0.70以下の範囲内である場合には、体感気温指標bは+0.00(どちらともいえない、中間期に相当)とされる。また、平均給湯量a1aが0.30m超であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.70超且つ0.75以下の範囲内である場合、又は、平均給湯量a1aが0.30m超且つ0.40m以下の範囲内であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.75超である場合には、体感気温指標bは-0.50(寒い、冬期に相当)とされる。また、平均給湯量a1aが0.40m超であると共に風呂湯はり運転実行率a2aが0.75超である場合には、体感気温指標bは-1.00(非常に寒い、厳冬期に相当)とされる。
【0024】
尚、図2に示す相関マップは一例であり、体感気温指標bを判定するための平均給湯量a1aと風呂湯はり運転実行率a2aの閾値等については適宜変更可能である。
また、本実施形態では、指標生成部12において、より正確な体感気温指標bを生成するために、平均給湯量a1と風呂湯はり運転実行率a2との複数種の給湯運転情報aを用いたが、平均給湯量a1及び風呂湯はり運転実行率a2の一方のみで体感気温指標bを生成することもできる。
また、本実施形態では、給湯運転情報aから体感気温指標bを生成するために、相関マップを用いたが、別の方法で給湯運転情報aから体感気温指標bを生成しても構わない。
【0025】
上述した情報収集部11及び指標生成部12では、1日毎に給湯運転情報aが収集されて体感気温指標bが生成されることから、連続する複数の対象日が経過すると、データベース16には、当該連続する複数の対象日における体感気温指標bが蓄積されることになる。
そして、季節状態判定部13は、上記指標生成部12が生成した複数の前記対象日の夫々における体感気温指標bを分析して、対象エリアAにおける季節の状態を判定し、当該判定結果である季節状態情報cを、後述する気候情報dとして出力するものとして構成されている。
即ち、季節状態判定部13では、当日までの連続する複数の対象日の夫々における体感気温指標bがデータベース16から抽出されて、当該抽出された複数の体感気温指標bから上記季節状態情報cが生成される。
例えば、季節状態判定部13では、図3に示す暖房シーズン判定処理や図4に示す冷房シーズン判定処理が実行される。以下、夫々の判定処理について説明を加える。
【0026】
図3に示す暖房シーズン判定処理では、先ず、判定日数変数nが0にリセットされ(ステップ#10)、体感気温指標bが-0.50以下であるか否かが判定され(ステップ#11)、体感気温指標bが-0.50以下である場合には判定日数変数nに1が加算され(ステップ#12)、体感気温指標bが-0.50超である場合には判定日数変数nが0にリセットされる(ステップ#10)。そして、これらの処理が1日毎に繰り返されて、上記ステップ#11にて7日間連続して体感気温指標bが-0.50以下である判定された場合(ステップ#13のyes)には、暖房が必要となる暖房シーズンの開始時期であると判定されて(ステップ#14)、その判定結果が季節状態情報cとして出力される。
【0027】
更に、上記ステップ#14にて暖房シーズン開始時期であると判定された後に、体感気温指標bが-1.00以下になった場合(ステップ#15のyes)には、最も厳しい寒さとなる暖房シーズンのトップ時期であると判定されて(ステップ#16)、その判定結果が季節状態情報cとして出力される。
【0028】
更に、ステップ#16にて暖房シーズンのトップ時期であると判定された後に、判定日数変数nが0にリセットされ(ステップ#17)、体感気温指標bが0.00以上であるか否かが判定され(ステップ#18)、体感気温指標bが0.00以上である場合には判定日数変数nに1が加算され(ステップ#19)、体感気温指標bが0.00未満である場合には判定日数変数nが0にリセットされる(ステップ#17)。そして、これらの処理が1日毎に繰り返されて、上記ステップ#18にて7日間連続して体感気温指標bが0.00以上であると判定された場合(ステップ#20のyes)には、暖房が不要となる暖房シーズンの終了時期であると判定されて(ステップ#21)、その判定結果が季節状態情報cとして出力される。
【0029】
図4に示す冷房シーズン判定処理では、先ず、判定日数変数nが0にリセットされ(ステップ#30)、体感気温指標bが+0.50以上であるか否かが判定され(ステップ#31)、体感気温指標bが+0.50以上である場合には判定日数変数nに1が加算され(ステップ#32)、体感気温指標bが+0.50未満である場合には判定日数変数nが0にリセットされる(ステップ#30)。そして、これらの処理が1日毎に繰り返されて、上記ステップ#31にて7日間連続して体感気温指標bが+0.50以上である判定された場合(ステップ#33のyes)には、冷房が必要となる冷房シーズンの開始時期であると判定されて(ステップ#34)、その判定結果が季節状態情報cとして出力される。
【0030】
更に、上記ステップ#34にて冷房シーズン開始時期であると判定された後に、体感気温指標bが+1.00以上になった場合(ステップ#35のyes)には、最も厳しい暑さとなる冷房シーズンのトップ時期であると判定されて(ステップ#36)、その判定結果が季節状態情報cとして出力される。
【0031】
更に、ステップ#36にて冷房シーズンのトップ時期であると判定された後に、判定日数変数nが0にリセットされ(ステップ#37)、体感気温指標bが0.00以下であるか否かが判定され(ステップ#38)、体感気温指標bが0.00以下である場合には判定日数変数nに1が加算され(ステップ#39)、体感気温指標bが0.00超である場合には判定日数変数nが0にリセットされる(ステップ#37)。そして、これらの処理が1日毎に繰り返されて、上記ステップ#38にて7日間連続して体感気温指標bが0.00以下であると判定された場合(ステップ#40のyes)には、冷房が不要となる冷房シーズンの終了時期であると判定されて(ステップ#41)、その判定結果が季節状態情報cとして出力される。
【0032】
気候情報出力部14は、指標生成部12で生成された対象日である前日における対象エリアA内の各住戸40の住人41が体感した気温の状態を示す体感気温指標bや、季節状態判定部13で生成された対象日である前日における対象エリアA内の季節の状態を示す季節状態情報cなどの気候情報dをデータベース16から抽出し、通信ネットワーク50を通じて、各住戸40の住人41とは異なる利用者の情報端末20に送信可能に構成されている。よって、情報端末20側の利用者は、このように受信した気候情報dを参照して給湯装置30とは全く異なる別の用途に利用することができ、例えば衣服などの服飾品や入浴剤などの生活雑貨の市場において、情報端末20を通じて対象エリアAの体感気温指標bや季節状態情報cを参照して、それらを用いて対象エリアAにおける取扱い商品の種類や入荷数を検討することができる。
尚、本実施形態では、季節状態判定部13で生成された季節状態情報cについても、上記気候情報dとして外部に提供するように構成したが、季節状態判定部13を省略して、指標生成部12で生成された体感気温指標bのみを上記気候情報dとして外部に提供するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0033】
10 気候情報提供システム
11 情報収集部
12 指標生成部
13 季節状態判定部
30 給湯装置
40 住戸
41 住人
50 通信ネットワーク
A 対象エリア
a 給湯運転情報
a1 給湯量
a1a 平均給湯量
a2 実行有無
a2a 運転実行率
b 体感気温指標(体感気候指標)
c 季節状態情報
d 気候情報
図1
図2
図3
図4