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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013233
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】建物構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20240124BHJP
   E04B 1/19 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
E04B1/26 A
E04B1/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117551
(22)【出願日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2022114974
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】山崎 靖典
(57)【要約】
【課題】木造部が水平荷重を負担しない構造を実現できる建物構造を提供する。
【解決手段】鉛直荷重を負担可能な木造部2と、木造部2と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部3と、を有し、木造部2は、木造の木造柱5と、木造柱5に架けられる木造の木造梁6と、木造柱5と接合されるとともにコア部3と接合されてコア部3に水平荷重を伝達可能な外周梁7(水平荷重伝達部)と、を有し、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5b(柱頭柱脚部)と外周梁7とは、ピン接合され、木造柱5と木造梁6とは、互いにモーメントを伝達しない構成および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直荷重を負担可能な木造部と、
前記木造部と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部と、を有し、
前記木造部は、
木造の木造柱と、
前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、
前記木造柱と接合されるとともに前記コア部と接合されて前記コア部に水平荷重を伝達可能な水平荷重伝達部と、を有し、
前記木造柱の柱頭柱脚部と前記水平荷重伝達部とは、ピン接合され、
前記木造柱と前記木造梁とは、互いにモーメントを伝達しない構成および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである建物構造。
【請求項2】
鉛直荷重を負担可能な木造部と、
前記木造部と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部と、を有し、
前記木造部は、
木造の木造柱と、
前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、
前記木造柱と接合されるとともに前記コア部と接合されて前記コア部に水平荷重を伝達可能な水平荷重伝達部と、を有し、
前記木造柱の柱頭柱脚部と前記水平荷重伝達部とは、ピン接合され、
前記木造柱と前記木造梁とは、軸力とせん断力を伝達する建物構造。
【請求項3】
鉛直荷重を負担可能な木造部と、
前記木造部と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部と、を有し、
前記木造部は、
木造の木造柱と、
前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、
前記木造柱と接合されるとともに前記コア部と接合されて前記コア部に水平荷重を伝達可能な水平荷重伝達部と、を有し、
前記木造柱の柱頭柱脚部と前記水平荷重伝達部とは、ピン接合され、
前記木造柱と前記木造梁とは、斜材を介さずに互いにピン接合またはローラー接合されている建物構造。
【請求項4】
木造部と、
平面視で前記木造部と重複せずに前記木造部と一体に設けられる構造コア部と、を有し、
前記木造部は、
木造の木造柱と、
前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、
前記木造柱と接合されて前記木造部を前記構造コア部に接合する床スラブと、を有し、
前記木造柱の柱頭柱脚部と前記床スラブとは、ピン接合され、
前記木造柱と前記木造梁とは、斜材を介さずに互いにピン接合またはローラー接合されている建物構造。
【請求項5】
木造部と、
平面視で前記木造部と重複せずに前記木造部と一体に設けられる構造コア部と、を有し、
前記木造部は、
木造の木造柱と、
前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、
前記木造柱と接合されて前記木造部を前記構造コア部に接合する床スラブと、
前記木造柱の柱頭柱脚部と前記床スラブとを接合する柱床スラブ接合部材と、
前記木造柱と前記木造梁とを接合する柱梁接合部材と、を有し、
前記木造柱と前記木造梁とは、斜材を介さずに接合されている建物構造。
【請求項6】
前記柱床スラブ接合部材は、
前記柱頭柱脚部に固定される柱固定鋼板と、
前記柱固定鋼板と接合され前記床スラブに固定される床スラブ固定部と、を有し、
前記柱固定鋼板は、前記柱頭柱脚部に形成された上下方向に延びるスリットに挿入され、水平方向および上下方向のいずれかの方向に間隔をあけた複数個所において前記柱頭柱脚部に固定されている請求項5に記載の建物構造。
【請求項7】
前記柱床スラブ接合部材は、上下方向に延び、一方の端部側が前記柱頭柱脚部に固定され、他方の端部側が前記床スラブに固定される引きボルトである請求項5に記載の建物構造。
【請求項8】
前記柱床スラブ接合部材は、上下方向に延び、一方の端部側が前記柱頭柱脚部に形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填され、他方の端部側が前記床スラブに形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填されるグルーインロッドである請求項5に記載の建物構造。
【請求項9】
前記柱梁接合部材は、
前記木造梁に固定される梁固定鋼板と、
前記梁固定鋼板と接合され前記木造梁に固定される柱固定部と、を有し、
前記梁固定鋼板は、前記木造梁の端部に形成された上下方向に延びるスリットに挿入され、上下方向に間隔をあけた複数個所において前記木造梁に固定されている請求項5から8のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項10】
前記柱梁接合部材は、前記木造梁の長さ方向に延び、一方の端部側が前記木造柱に固定され、他方の端部側が前記木造梁に固定される引きボルトである請求項5から8のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項11】
前記柱梁接合部材は、上下方向に延び、一方の端部側が前記木造柱に形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填され、他方の端部側が前記木造梁に形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填されるグルーインロッドである請求項5から8のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項12】
前記水平荷重伝達部は、前記コア部に接合され、前記コア部に水平荷重を伝達可能な梁部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項13】
前記梁部は、前記木造部の外周部に設けられ、前記木造部の外周部に設けられた前記木造柱がピン接合される請求項12に記載の建物構造。
【請求項14】
前記水平荷重伝達部は、前記コア部に接合され前記コア部に水平荷重を伝達可能な床部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項15】
前記床部は、前記木造梁と接合されている請求項14に記載の建物構造。
【請求項16】
前記コア部は、鉄骨造である請求項1から3のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項17】
最上階の前記木造梁と、前記最上階よりも下階の前記木造梁とは、断面形状が同じである請求項1から5のいずれか一項に記載の建物構造。
【請求項18】
1階に設けられる前記木造柱と、2階以上に設けられる前記木造柱とは、断面形状が同じである請求項17に記載の建物構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建物構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つの建物に木造の木造部と、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のコア部とを一体に設け、耐震性能などを向上させた混構造が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-84262号公報
【特許文献2】特開2005-83187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような混構造では木造部が水平荷重も負担するため、木造部の柱や梁の断面形状を大きくする必要がある。柱や梁の断面形状が大きくなると、広い空間や高い天井高の実現が困難である。
また、柱梁接合部を強固にする必要があり、工期やコストがかかるという問題がある。また、木造部が水平荷重を負担することにより柱梁接合部の設計や構造計算が複雑になるため、扱える構造技術者が限られるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、木造部が水平荷重を負担しない構造を実現できる建物構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物構造は、鉛直荷重を負担可能な木造部と、前記木造部と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部と、を有し、前記木造部は、木造の木造柱と、前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、前記木造柱と接合されるとともに前記コア部と接合されて前記コア部に水平荷重を伝達可能な水平荷重伝達部と、を有し、前記木造柱の柱頭柱脚部と前記水平荷重伝達部とは、ピン接合され、前記木造柱と前記木造梁とは、互いにモーメントを伝達しない構成および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物構造は、鉛直荷重を負担可能な木造部と、前記木造部と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部と、を有し、前記木造部は、木造の木造柱と、前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、前記木造柱と接合されるとともに前記コア部と接合されて前記コア部に水平荷重を伝達可能な水平荷重伝達部と、を有し、前記木造柱の柱頭柱脚部と前記水平荷重伝達部とは、ピン接合され、前記木造柱と前記木造梁とは、軸力とせん断力を伝達する。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物構造は、鉛直荷重を負担可能な木造部と、前記木造部と一体に設けられ、鉛直荷重および水平荷重を負担可能なコア部と、を有し、前記木造部は、木造の木造柱と、前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、前記木造柱と接合されるとともに前記コア部と接合されて前記コア部に水平荷重を伝達可能な水平荷重伝達部と、を有し、前記木造柱の柱頭柱脚部と前記水平荷重伝達部とは、ピン接合され、前記木造柱と前記木造梁とは、斜材を介さずに互いにピン接合またはローラー接合されている。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物構造は、木造部と、平面視で前記木造部と重複せずに前記木造部と一体に設けられる構造コア部と、を有し、前記木造部は、木造の木造柱と、前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、前記木造柱と接合されて前記木造部を前記構造コア部に接合する床スラブと、を有し、前記木造柱の柱頭柱脚部と前記床スラブとは、ピン接合され、前記木造柱と前記木造梁とは、斜材を介さずに互いにピン接合またはローラー接合されている。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物構造は、木造部と、平面視で前記木造部と重複せずに前記木造部と一体に設けられる構造コア部と、を有し、前記木造部は、木造の木造柱と、前記木造柱に架けられる木造の木造梁と、前記木造柱と接合されて前記木造部を前記構造コア部に接合する床スラブと、前記木造柱の柱頭柱脚部と前記床スラブとを接合する柱床スラブ接合部材と、前記木造柱と前記木造梁とを接合する柱梁接合部材と、を有し、前記木造柱と前記木造梁とは、斜材を介さずに接合されている。
【0011】
本発明では、木造部の木造柱および木造梁は、水平荷重を負担せずに鉛直荷重のみを負担する構造にできる。このため、木造部の木造柱や木造梁の断面形状の大きさを抑えることができる。その結果、木造柱の断面形状が大きくなることによって建物の床面積が小さくなったり、木造梁の断面積が大きくなることによって天井高が低くなったりすることがない。すなわち、広い空間や高い天井高の実現が可能となる。また、木造柱と木造梁との柱梁接合部を強固にする必要がないため、施工工期やコストがかかることがない。さらに、木造部が水平荷重を負担しない構造になることにより柱梁接合部の設計や構造計算が簡便となるため、多くの構造技術者が容易に設計可能になる。「柱頭柱脚部」とは、木造柱の上端部(柱頭部)および下端部(柱脚部)を示す。
【0012】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記柱床スラブ接合部材は、前記柱頭柱脚部に固定される柱固定鋼板と、前記柱固定鋼板と接合され前記床スラブに固定される床スラブ固定部と、を有し、前記柱固定鋼板は、前記柱頭柱脚部に形成された上下方向に延びるスリットに挿入され、水平方向および上下方向のいずれかの方向に間隔をあけた複数個所において前記柱頭柱脚部に固定されている。
【0013】
このような構成とすることにより、木造柱の柱頭柱脚部と床スラブとを容易にピン接合できる。
【0014】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記柱床スラブ接合部材は、上下方向に延び、一方の端部側が前記柱頭柱脚部に固定され、他方の端部側が前記床スラブに固定される引きボルトである。
【0015】
このような構成とすることにより、木造柱の柱頭柱脚部と床スラブとを容易にピン接合できる。
【0016】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記柱床スラブ接合部材は、上下方向に延び、一方の端部側が前記柱頭柱脚部に形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填され、他方の端部側が前記床スラブに形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填されるグルーインロッドである。
【0017】
このような構成とすることにより、木造柱の柱頭柱脚部と床スラブとを容易にピン接合できる。
【0018】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記柱梁接合部材は、前記木造梁に固定される梁固定鋼板と、前記梁固定鋼板と接合され前記木造梁に固定される柱固定部と、を有し、前記梁固定鋼板は、前記木造梁の端部に形成された上下方向に延びるスリットに挿入され、上下方向に間隔をあけた複数個所において前記木造梁に固定されている。
【0019】
このような構成とすることにより、木造柱と木造床とを容易にピン接合できる。
【0020】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記柱梁接合部材は、前記木造梁の長さ方向に延び、一方の端部側が前記木造柱に固定され、他方の端部側が前記木造梁に固定される引きボルトである。
【0021】
このような構成とすることにより、木造柱と木造床とを容易にピン接合できる。
【0022】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記柱梁接合部材は、上下方向に延び、一方の端部側が前記木造柱に形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填され、他方の端部側が前記木造梁に形成された孔部に挿入されて前記孔部との隙間に接着剤が充填されるグルーインロッドである。
【0023】
このような構成とすることにより、木造柱と木造床とを容易にピン接合できる。
【0024】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記水平荷重伝達部は、前記コア部に接合され、前記コア部に水平荷重を伝達可能な梁部を有していてもよい。
【0025】
このような構成とすることにより、木造部に設けられた梁部によってコア部に水平荷重を効率よく伝達できる。
【0026】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記梁部は、前記木造部の外周部に設けられ、前記木造部の外周部に設けられた前記木造柱がピン接合されていてもよい。
【0027】
このような構成とすることにより、木造部の外周部に設けられた木造柱を梁部にピン接合する簡便な構造によって、木造柱に本来作用する水平荷重を効率的にコア部に伝達することができる。
【0028】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記水平荷重伝達部は、前記コア部に接合され前記コア部に水平荷重を伝達可能な床部を有していてもよい。
【0029】
このような構成とすることにより、木造部に設けられた床部によってコア部に水平荷重を効率よく伝達できる。
【0030】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記床部は、前記木造梁と接合されていてもよい。
【0031】
このような構成とすることにより、木造部に本来作用する水平荷重を床部からコア部に効率よく伝達できる。
【0032】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、前記コア部は、鉄骨造であってもよい。
【0033】
このような構成とすることにより、コア部の構造性能が安定し、建物に作用する水平荷重を効率的に負担できる。コア部の施工に係る工期を短縮できるとともに、コア部の内部に広い空間を確保することが可能になる。
【0034】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、最上階の前記木造梁と、前記最上階よりも下階の前記木造梁とは、断面形状が同じであってもよい。
【0035】
従来の建物構造では、上階と比べて下階ほど木造梁の断面寸法が大きくなる。本発明では、木造部は、水平荷重を負担しない構造であるため、各階の木造梁の断面形状を小さくできる。これにより、各階の木造梁の断面形状を揃える際に、下階の木造梁の断面形状を小さくして上階の木造梁と同じ断面形状にできる。すなわち、上階の木造梁の断面形状を大きくすることなく、各階の木造梁の断面形状を揃えることができる。
いずれの階にも同じ断面形状の木造梁を設けることができるため、階ごとに断面形状の異なる木造梁を設ける場合と比べて施工管理が容易となるとともに、木造梁を露出させる設計の場合は、意匠性を向上できる。
【0036】
また、本発明に係る連結柱ユニットでは、1階に設けられる前記木造柱と、2階以上に設けられる前記木造柱とは、断面形状が同じであってもよい。
【0037】
本発明では、木造柱は鉛直荷重のみ負担する構造であるため、水平荷重も負担する場合と比べて各階の木造柱の断面形状を小さくすることができる。従来の建物構造では、上階と比べて下階ほど木造柱の断面寸法が大きくなるが、本発明では、1階の木造柱の断面形状を小さくすることができる分、他の目的・効果を優先し、2階以上に設けられる木造柱の断面形状を1階の断面形状と揃えることができる。
例えば、いずれの階にも同じ断面形状の木造柱を設けることにより、階ごとに断面形状の異なる木造柱を設ける場合と比べて施工管理が容易となるとともに、木造柱を露出させる設計の場合は、意匠性を向上できる。また、本発明によれば、同じ断面形状の木造梁とした上で同じ断面形状の木造柱とすることで、木造梁と木造柱を含む全体としての意匠性を向上できる。
【発明の効果】
【0038】
そこで、本発明は、木造部が水平荷重を負担しない構造を実現できる建物構造を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施形態による建物構造を採用した建物の斜視図である。
図2】建物の平面図である。
図3】木造部を北西から見た斜視図である。
図4】建物のピン接合部を水平荷重の伝達を示す模式図である。
図5】建物の床伏図である。
図6】床ユニットの斜視図である。
図7】床ユニットの分解斜視図である。
図8】連結柱ユニットの斜視図である。
図9】連結柱ユニットの分解斜視図である。
図10】柱脚の斜視図である。
図11図2のA部分の詳細図である。
図12】本発明の実施形態の第1変形例による建物構造の建物の斜視図である。
図13】本発明の実施形態の第2変形例による木造柱と水平荷重伝達部との接合部を示す正面図である。
図14】本発明の実施形態の第3変形例による木造柱と木造梁との接合部の正面図および側面図である。
図15】本発明の実施形態の第4変形例による木造柱と水平荷重伝達部との接合部を示す正面図である。
図16】本発明の実施形態の第5変形例による木造柱と木造梁との接合部の正面図および側面図である。
図17】本発明の実施形態の第6変形例による木造柱と水平荷重伝達部との接合部を示す正面図である。
図18】本発明の実施形態の第7変形例による木造柱と木造梁との接合部の正面図および側面図である。
図19】木造柱と木造梁とのピン接合部の変形例を示す図である。
図20】木造柱と木造梁とのローラー接合部を示す図である。
図21図20の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態による建物構造について、図1図11に基づいて説明する。
図1図2に示すように、本実施形態による建物構造は、木造部2と、コア部3と、を有する建物1の構造である。木造部2とコア部3とは、水平方向に隣接しており、一体に設けられる。本実施形態では、1つの木造部2の東側および西側それぞれにコア部3が設けられる。木造部2およびコア部3は、それぞれ3階建てである。建物1は、南北方向よりも東西方向に長い形状である。以下の説明において東西方向を間口方向と表記し、南北方向を奥行き方向と表記することがある。木造部2の東側に設けられるコア部3を東側コア部3aと表記し、西側に設けられるコア部3を西側コア部3bと表記することがある。
【0041】
木造部2およびコア部3は、それぞれ平面視形状が矩形である。東側コア部3aは、木造部2と南北方向(奥行き方向)の寸法が同じである。木造部2と東側コア部3aとは、それぞれの南面が面一であるとともに、それぞれの北面が面一である。西側コア部3bは、木造部2よりも南北方向の寸法が小さい、木造部2と西側コア部3bとは、それぞれの南面が面一であるが、西側コア部3bの北側の面が木造部2の北側の面よりも南側に位置する。
図1に示すように、木造部2の基礎21とコア部3の基礎31とは、一体に設けられる。本実施形態の木造部2の基礎21およびコア部3の基礎31は、鉄筋コンクリートである。図面では、建物1の外周に設けられる外壁材を省略する。
【0042】
建物1は、コア部3が建物1に作用する水平荷重および鉛直荷重を負担し、木造部2が建物1に作用する鉛直荷重のみを負担し、木造部2に本来作用する水平荷重はコア部3に伝達される。コア部3は、特許請求の範囲の「コア部」および「構造コア部」に相当する。
【0043】
コア部3は、鉄骨造である。コア部3は、基礎31と、コア柱32と、コア梁33と、コア床部34と、コア屋根部35と、を有する。
コア柱32およびコア梁33は、鉄骨材である。本実施形態では、コア柱32は、東側コア部3aおよび西側コア部3bそれぞれの角部全てに設けられる。コア梁33は、コア柱32間に架設される。コア柱32とコア梁33とは、接合される。
図3に示すように、西側コア部3bには、北東の角部のコア柱32に接合され、このコア柱32から北側に延びるコア梁33が設けられる。この西側コア部3bの北東の角部のコア柱32から北側に延びるコア梁33を突出コア梁331と表記する。
コア床部34およびコア屋根部35は、例えば、プレキャストコンクリート製のスラブである。本実施形態では、コア部3には、ブレース36が設けられる。
【0044】
木造部2は、基礎21と、木造柱5と、木造梁6と、外周梁7と、床部8と、屋根部22と、を有する。
木造柱5は、木造部2における北側の縁部および南側の縁部に沿って複数設けられる。
木造柱5は、木材の柱である。木造柱5は、断面形状が矩形の角柱である。本実施形態では、建物1の1階に設けられる木造柱5の断面形状は、2階、3階に設けられる木造柱5の断面形状と同じである。すなわち、木造柱5の断面形状は、各階同じである。
木造梁6は、木材の梁である。木造梁6は、南北方向に延びる。木造梁6は、南側の端部が木造部2の南側の縁部に設けられた木造柱5および連結柱ユニット51の柱頭連結部材52(後述する)のいずれかの上に載置され、北側の端部が木造部2の北側の縁部に設けられた木造柱5および連結柱ユニット51の柱頭連結部材52のいずれかの上に載置される。木造梁6の断面形状は、矩形である。本実施形態では、建物1の3階に設けられる木造梁6の断面形状は、1階、2階に設けられる木造梁6の断面形状と同じである。すなわち、木造梁6の断面形状は、各階同じである。
木造柱5と木造梁6とは、互いにモーメントを伝達しない構成、および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである。木造柱5および木造梁6は水平荷重を負担しない。木造柱5と木造梁6とは、軸力とせん断力を伝達する。木造柱5と木造梁6とは、軸力とせん断力のみを伝達する構成としてもよい。
【0045】
外周梁7は、鉄骨梁である。本実施形態では、外周梁7は、H形鋼である。外周梁7は、東西方向に延び、木造部2の北側の縁部および南側の縁部のそれぞれに沿って設けられる。外周梁7は、各階に設けられる。図2に示すように、木造部2の南側の縁部に沿って設けられる外周梁7は、東側の端部7aが東側コア部3aの南西の角にあるコア柱32に接合され、西側の端部7bが西側コア部3bの南東の角にあるコア柱32に接合される。
木造部2の北側の縁部に沿って設けられる外周梁7は、東側の端部7cが東側コア部3aの北西の角にあるコア柱32に接合され、西側の端部7dが突出コア梁331の北側の端部と接合される。外周梁7は、水平荷重をコア部3に伝達可能である。
【0046】
図3に示すように、外周梁7は、下階の木造柱5と上階の複数の木造柱5との間に配置される。図4に示すように、外周梁7には、下階の複数の木造柱5の柱頭部5a(上端部)がピン接合されるとともに、上階の複数の木造柱5の柱脚部5b(下端部)がピン接合される。木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bと外周梁7とのピン接合の詳細については、後述する。木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bは、特許請求の範囲の「柱頭柱脚部」に相当する。
【0047】
図5に示すように、床部8は、複数のプレキャストコンクリート製の床スラブ81が配列される。本実施形態では、南北方向に延びる長尺の床スラブ81が東西方向に複数配列される。隣り合う床スラブ81は、接合される。床部8は、コア部3のコア梁33に接合される。床部8は、水平荷重をコア部3に伝達可能である。図3に示すように、床スラブ81は、南北方向の両端部が外周梁7の上に載置される。床スラブ81と外周梁7とは、接合されない。本実施形態では、図6および7に示すように、床スラブ81は、木造梁6と接合され、木造梁6と床ユニット82を構成する。本実施形態の床ユニット82では、床スラブ81の南北方向の中間部が木造梁6の上に載置されている。床ユニット82は、予め工場などで一体に接合され、建物1に設置される。床ユニット82の詳細については、後述する。
【0048】
図8および図9に示すように、本実施形態では、東西方向に間隔をあけて隣り合う2本の木造柱5が連結されて連結柱ユニット51を構成する。連結柱ユニット51は、2本の木造柱5と、2本の木造柱5それぞれの柱頭部5aどうしを連結する柱頭連結部材52と、2本の木造柱5それぞれの柱脚部5bに取り付けられた柱脚部材53と、2本の木造柱5それぞれの柱脚部5bに取り付けられた柱脚部材53どうしを連結する柱脚連結部材54と、を有する。
連結柱ユニット51は、2本の木造柱5、柱頭連結部材52、柱脚部材53、柱脚連結部材54が枠体を構成する。連結柱ユニット51は、予め工場などで製作され、建物1に設置される。
【0049】
本実施形態では、連結柱ユニット51は、上述しているように2本の木造柱5が東西方向に間隔をあけて配置される向きで、木造部2における北側の縁部および南側の縁部に沿って複数配列される。東西方向に隣り合う連結柱ユニット51は、それぞれの隣り合う側の木造柱5が近接して配置される。このため、本実施形態では、木造部2の角部に木造柱5が1本ずつ設けられ、木造部2の角部以外には、近接する2本の木造柱5の組が東西方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0050】
柱頭連結部材52は、長尺の鋼材である。柱頭連結部材52は、柱頭挿入板部521と、上板部522と、連結板部523と、を有する。
上板部522は、平板状であり、板面が木造柱5の上端面と略同じ形状である。上板部522は、板面が水平面となる姿勢で木造柱5の上端面の上に重なる。上板部522は、1本の木造柱5に対して1つずつ設けられる。1つの柱頭連結部材52には、2つの上板部522が設けられる。上板部522は、木造柱5の上端面の上に重なる。
連結板部523は、長尺の平板状である。連結板部523は、一方の端部が一方の上板部522と接合され、他方の端部が他方の上板部522と接合される。連結板部523は、板面が水平面となる向きで2本の木造柱5の間の上に配置される。
【0051】
柱頭挿入板部521は、上板部522の下面から下方に突出する。柱頭挿入板部521は、平板状であり、板面が南北方向を向く姿勢で木造柱5の柱頭に設けられた柱頭溝部55に挿入される。柱頭溝部55は、東西方向に延び上方に開口する。柱頭挿入板部521は、2つの上板部522それぞれに接合される。1つの柱頭連結部材52には、2つの柱頭挿入板部521が設けられる。柱頭溝部55に挿入された柱頭挿入板部521は、東西方向に間隔をあけて一列に並んだ複数のドリフトピン524によって木造柱5にピン接合される。柱頭挿入板部521の東西方向の長さ寸法は、木造柱5の東西方向の長さ寸法よりも小さい。柱頭挿入板部521の上下方向の長さ寸法は、柱頭溝部55の深さと略同じである。柱頭溝部55に挿入された柱頭挿入板部521は、木造柱5の側面および上端面から突出しない。
【0052】
柱脚部材53は、柱脚挿入板部531と、下板部532と、を有する。
下板部532は、平板状であり、板面が複数の木造柱5の下端面よりも大きい矩形である。下板部532は、板面が水平面となる姿勢で木造柱5の下端面の下に重なる。連結柱ユニット51における東側の木造柱5の下端面に重なる下板部532は、東側の縁部が木造柱5の東側の縁部の下に重なり、西側の縁部が木造柱5の西側の縁部よりも西側に突出する。連結柱ユニット51における西側の木造柱5の下端面に重なる下板部532は、西側の縁部が木造柱5の西側の縁部の下に重なり、東側の縁部が木造柱5の東側の縁部よりも東側に突出する。木造部2の南側の縁部に沿って設けられる連結柱ユニット51の下板部532は、南側の縁部が木造柱5の南側の縁部の下に重なり、北側の縁部が木造柱5の北側の縁部よりも北側に突出する。木造部2の北側の縁部に沿って設けられる連結柱ユニット51の下板部532は、北側の縁部が木造柱5の北側の縁部の下に重なり、南側の縁部が木造柱5の南側の縁部よりも北側に突出する。
【0053】
柱脚挿入板部531は、下板部532の上面から上方に突出する。柱脚挿入板部531は、平板状であり、板面が南北方向を向く姿勢で木造柱5の柱脚部5bに設けられた柱脚溝部56に挿入される。柱脚溝部56は、東西方向に延び上方に開口する。柱脚溝部56に挿入された柱脚挿入板部531は、東西方向に間隔をあけて一列に並んだ複数のドリフトピン534によって木造柱5にピン接合される。柱脚挿入板部531の東西方向の長さ寸法は、木造柱5の東西方向の長さ寸法よりも大きい。連結柱ユニット51における東側の木造柱5に挿入される柱脚挿入板部531は、東側の縁部が木造柱5の東側の面よりも木造柱5の内側(西側)に配置され、西側の縁部が木造柱5の西側の面よりも西側に突出する。
連結柱ユニット51における西側の木造柱5に挿入される柱脚挿入板部531は、西側の縁部が木造柱5の西側の面よりも木造柱5の内側(東側)に配置され、東側の縁部が木造柱5の東側の面よりも西側に突出する。柱脚挿入板部531の上下方向の長さ寸法は、柱脚溝部56の深さと同じである。柱脚溝部56に挿入された柱脚挿入板部531は、木造柱5の下端面から突出しない。
【0054】
図10に示すように、下板部532には、木造柱5の縁部よりも突出する3つの角部および木造柱5と重なる1箇所それぞれに上下方向に貫通するネジ孔535が設けられている。これらのネジ孔535それぞれには、第1ボルト536が接合されている。第1ボルト536は、頭部が下側、軸部が上側となる向きでネジ孔535に下方から接合される。
第1ボルト536は、下板部532から下方に突出する。
下板部532には、木造柱5の縁部よりも東西方向のいずれかに突出する部分に上下方向に貫通する孔部537が南北方向に間隔をあけて2つ設けられている。
【0055】
図8および図9に戻り、柱脚連結部材54は、長尺の鋼材である。柱頭連結部材52は、一方の端部が一方の木造柱5に取り付けられた柱脚部材53の柱脚挿入板部531に固定され、他方の端部が他方の木造柱5に取り付けられた柱脚部材53の柱脚挿入板部531に固定される。柱脚連結部材54は、柱脚挿入板部531における木造柱5から突出する部分に固定される。柱脚連結部材54は、柱脚挿入板部531に着脱可能である。連結柱ユニット51が建物1に設置された後には、柱脚連結部材54を柱脚部材53から取り外してもよい。
【0056】
図11に示すように、連結柱ユニット51は、床部8の上に設置され、床部8の下方にある外周梁7と接合される。以下の説明では、連結柱ユニット51は、図11において外周梁7よりも上側に示されている連結柱ユニット51を示す。連結柱ユニット51が床スラブ81の上に設置されると、第1ボルト536(図10参照)の頭部が床スラブ81の上面と接触する。下板部532と床スラブ81の上面との間には隙間が形成される。この隙間には、グラウト材539が充填される。
【0057】
下板部532の2つの孔部537は、それぞれ下方の外周梁7に接合された高ナット74の上に重なる。高ナット74は、外周梁7の上フランジ71に接合されている。高ナット74には、外周梁7の上フランジ71に形成された孔部72に下方から挿通された第3ボルト73が締結される。2つの高ナット74は、床部8の床スラブ81に形成された孔部811に配置されている。孔部811は、上下方向から見た平面視形状が南北方向に延びる長孔である(図6参照)。本実施形態では、2つの高ナット74が1つの長孔(孔部811)に配置されているが、2つの高ナット74がそれぞれ1つずつ孔部に配置されてもよい。この場合、孔部は、例えば丸孔など、長孔以外であってもよい。
孔部811の内周面と高ナット74との間には、グラウト材が充填される。2つの高ナット74それぞれには、下板部532の孔部537に上方から挿入された第2ボルト538が締結される。これにより、木造柱5の柱脚部5bが高ナット74を介して外周梁7に接合される。このように、木造柱5の柱脚部5bと外周梁7とは接合される。
【0058】
連結柱ユニット51の上には、外周梁7が設置される。以下の説明では、連結柱ユニット51は、図11において外周梁7よりも下側に示されている連結柱ユニット51を示す。連結柱ユニット51の柱頭連結部材52の上面の上に外周梁7の下フランジ75が重なる。連結柱ユニット51の柱頭連結部材52と外周梁7の75とが第4ボルト76によって接合される。連結柱ユニット51の柱頭連結部材52が外周梁7とボルト接合されることによって、木造柱5の柱頭部5aと外周梁7とが接合される。
木造柱5に作用する鉛直荷重は、床部8を介して下方の外周梁7に伝達される。なお、木造柱5に自重以上の上向きの荷重が作用した場合には、高ナット74、第2ボルト538および第3ボルト73による接合力、およびグラウト材539の付着力によって抵抗する。
【0059】
上述しているように、外周梁7の下方には、連結柱ユニット51が設けられ、外周梁7の上方には、床部8を介して連結柱ユニット51設けられている。木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bは、それぞれ外周梁7とピン接合される。
【0060】
図6および図7に示すように、床ユニット82は、1つの床スラブ81とその下方に設けられる複数の木造梁6で構成される。本実施形態では、床ユニット82は、1つの床スラブ81と4本の木造梁6で構成される。木造梁6の本数は、例えば2本など適宜設定されてよい。4本の木造梁6は、床ユニット82の東西方向の両縁部に沿って1本ずつ設けられ、東西方向の中央部に2本隣接して設けられる。図7に示すように、木造梁6の上部には、下方に窪む凹部83が複数形成されている。床スラブ81の下部には、下方に突出する凸部(不図示)が形成されている。床スラブ81と木造梁6とが接合されると、木造梁6の凹部83に床スラブ81の凸部が嵌めこまれる。接合された床スラブ81と木造梁6とは互いに水平荷重を伝達可能である。なお、本実施形態の建物構造では、木造梁6による水平荷重の負担は期待されていない。床スラブ81は、水平荷重をコア部3に伝達可能である。
【0061】
床ユニット82の幅寸法(東西方向の寸法)は、連結柱ユニット51の幅寸法(東西方向の寸法)と同じである。床ユニット82の幅方向の両端に設けられる木造梁6は、連結柱ユニット51の幅方向の両端に設けられる木造柱5の柱頭部5aに柱頭連結部材52の上板部522を介して載置される。床ユニット82の幅方向の中央部に設けられる2本の木造梁6は、連結柱ユニット51の柱頭連結部材52の連結板部523に上に載置される。床ユニット82の木造梁6は、連結柱ユニット51の木造柱5および柱頭連結部材52とボルト等で接合されていない。木造柱5と木造梁6とは、互いにモーメント伝達しない構成および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである。
【0062】
上述している床スラブ81を上下方向に貫通し、高ナット74が配置される孔部811は、床スラブ81の南北方向の両端部それぞれに東西方向に間隔をあけて複数設けられる。複数の孔部811のうち、木造柱5の柱脚部材53の下板部532と重ならない孔部811にも高ナット74が配置される。この高ナット74には、下側から床部8の下方の外周梁7の上フランジ71の孔部72に挿通された第5ボルト77が接合される。施工時には、外周梁7に高ナット74を第3ボルト73または第5ボルト77で接合し、床ユニット82を外周梁7の上に設置する際に、床スラブ81の複数の孔部811に高ナット74を挿入させる。床ユニット82を外周梁7の上に設置した後に、複数の孔部811にグラウト材を充填する。
【0063】
図5に示すように、隣り合う床ユニット82の床スラブ81間には、グラウト材85が充填される。隣り合う床ユニット82は、互いに水平荷重を伝達可能である。本実施形態では、床スラブ81には、幅方向の両端部にコッター84が設けられている。コッター84は、床スラブ81の幅方向の端部に位置し平面視形状が半円状の半円部841と、半円部841から幅方向の中央側に直線状に延びる直線溝部842と、を有する。半円部841は、床スラブ81を上下方向に貫通している。直線溝部842は、床スラブ81を上下方向に貫通せず、床スラブ81の上部側に形成されて上方に開口している。隣り合う床スラブ81のコッター84は、それぞれの半円部841が東西方向に隣接する。コッター84の内部には、グラウト材85が充填される。コッター84の内部のグラウト材85と隣り合う床ユニット82の床スラブ81間に充填されるグラウト材85とは、一体化している。コッター84の内部には、鉄筋が設けられ、鉄筋がグラウト材85に埋設されていてもよい。本実施形態の床ユニット82は、半円部841が床スラブ81を上下方向に貫通しているが、半円部841の下方には木造梁6が配置されるため、半円部841に充填されたグラウト材85が下方に漏れないように構成されている。
【0064】
図5および図11に示すように、木造部2における東西方向の両端部に設けられた床ユニット82の床スラブ81は、コア部3と隣接する側の縁部(長辺)がコア部3のコア梁33にアングル材87を介して接合される。アングル材87は、一方の片871がコア梁33の上フランジ332の上面にボルト接合され、他方の片872が床スラブ81に埋設されたインサート材88と接合される。アングル材87は、南北方向に延び、床スラブ81を南北方向(長辺方向)の全体にわたってコア梁33に接合している。アングル材87で接合された床スラブ81とコア部3とは、互いに水平荷重を伝達可能である。
【0065】
地震が発生した場合に、床部8に発生する東西方向の慣性力は、高ナット74、第3ボルト73および第5ボルト77を介して外周梁7に伝達する。地震が発生した場合に、床部8に発生する南北方向の慣性力は、床スラブ81同士ではコッター84で伝達し、床部8からアングル材87を介してコア部3に伝達する。
【0066】
屋根部22は、床スラブ81と同様のプレキャストコンクリート製の屋根スラブを有し、木造部2の3階の木造梁6と屋根ユニットを構成している。屋根ユニットは、床ユニット82と同様に複数配列される。屋根スラブは、コア部3のコア梁33に接合されている。屋根部22に作用する水平荷重は、コア部3に伝達される。
【0067】
次に、上述した本発明の実施形態による建物構造の作用・効果について図面を用いて説明する。
本発明の実施形態による建物構造では、木造柱5がコア部3に水平荷重を伝達可能な外周梁7とピン接合されるとともに、木造柱5と木造梁6とが互いにモーメントを伝達しない構成および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである。これにより、木造部2の木造柱5および木造梁6は、水平荷重を負担せずに鉛直荷重のみを負担する構成とできる。このため、木造部2の木造柱5や木造梁6の断面形状大きさを抑えることができる。その結果、木造柱5の断面形状が大きくなることによって建物1の床面積が小さくなったり、木造梁6の断面積が大きくなることによって天井高が小さくなったりすることがない。すなわち、広い空間や高い天井高の実現が可能となる。また、木造柱5と木造梁6との柱梁接合部を強固にする必要がないため、施工工期やコストがかかることがない。さらに、木造部2が水平荷重を負担しないことにより柱梁接合部の設計や構造計算が簡便となるため、多くの構造技術者が容易に設計可能になる。
【0068】
本発明の実施形態による建物構造では、木造部2の木造柱5を外周梁7にピン接合する簡便な構造によって、木造柱5に本来作用する水平荷重を効率的にコア部3に伝達することができる。
【0069】
本発明の実施形態による建物構造では、床スラブ81は、木造梁6と接合されている。
このため、木造部2に本来作用する水平荷重を床部8からコア部3に効率よく伝達できる。
【0070】
本発明の実施形態による建物構造では、コア部3は、鉄骨造である。このような構成とすることにより、コア部3の構造性能が安定し、建物1に作用する水平荷重を効率的に負担できる。コア部3の施工に係る工期を短縮できるとともに、コア部3の内部に広い空間を確保することが可能になる。
【0071】
本発明の実施形態による建物構造では、建物1の3階に設けられる木造梁6の断面形状は、1階、2階に設けられる木造梁6の断面形状と同じである。
従来の建物構造では、上階と比べて下階ほど木造梁の断面寸法が大きくなる。本実施形態では、木造部2は、水平荷重を負担しない構造であるため、各階の木造梁6の断面形状を小さくできる。これにより、各階の木造梁6の断面形状を揃える際に、下階の木造梁6の断面形状を小さくして上階の木造梁6と同じ断面形状にできる。すなわち、上階の木造梁6の断面形状を大きくすることなく、各階の木造梁6の断面形状を揃えることができる。
いずれの階にも同じ断面形状の木造梁6を設けることができるため、階ごとに断面形状の異なる木造梁6を設ける場合と比べて施工管理が容易となるとともに、木造梁6を露出させる設計の場合は、意匠性を向上できる。
【0072】
本発明の実施形態による建物構造では、建物1の1階に設けられる木造柱5の断面形状は、2階、3階に設けられる木造柱5の断面形状と同じである。
本実施形態では、木造柱5は鉛直荷重のみ負担する構造であるため、水平荷重も負担する場合と比べて各階の木造柱5の断面形状を小さくすることができる。従来の建物構造では、上階と比べて下階ほど木造柱5の断面寸法が大きくなるが、本実施形態では、1階の木造柱5の断面形状を小さくすることができる分、他の目的・効果を優先し、2階以上に設けられる木造柱5の断面形状を1階の断面形状と揃えることができる。
例えば、いずれの階にも同じ断面形状の木造柱5を設けることにより、階ごとに断面形状の異なる木造柱5を設ける場合と比べて施工管理が容易となるとともに、木造柱5を露出させる設計の場合は、意匠性を向上できる。また、本実施形態によれば、同じ断面形状の木造梁6とした上で同じ断面形状の木造柱5とすることで、木造梁6と木造柱5を含む全体としての意匠性を向上できる。
【0073】
以上、本発明による建物構造の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、コア部3は、鉄骨造であるが、鉄筋コンクリート造や、鉄骨鉄筋コンクリート造であってもよい。
上記の実施形態では、外周梁7は、鉄骨梁であるが、木造部2に本来作用する水平荷重をコア部3に伝達可能であれば鉄骨梁以外であってもよい。
上記の実施形態では、床部8は、プレキャストコンクリート製の床スラブ81であるが、現場打ちによる鉄筋コンクリートの床スラブや、CLT(直交集成板)による床パネルなどであってもよい。
【0074】
上記の実施形態では、木造部2の東西方向の両側に2つのコア部3が設けられているが、木造部2とコア部3との配置や数は、木造部2に本来作用する水平荷重をコア部3に伝達可能な構成であれば上記以外であってもよい。例えば、図12に示す建物1Bのように、平面形状が矩形であり、平面形状が十字形のコア部3Bの周囲に4つの木造部2Bが設けられていてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、木造部2に本来作用する水平荷重を、木造部2の外周に設けられる外周梁7および床部8がコア部3に伝達しているが、外周梁7および床部8以外の水平荷重伝達部がコア部3に伝達するようにしてもよい。例えば、外周梁7に代わって木造部2の内側に鉄骨梁などの木造以外の梁を設け、この梁が水平荷重をコア部3に伝達するようにしてもよい。
【0076】
上記の実施形態では、東西方向に間隔をあけて隣り合う2本の木造柱5が連結された連結柱ユニット51が外周梁7に接合されているが、複数の木造柱5が連結されず、複数の木造柱5それぞれが外周梁7(水平荷重伝達部)と接合されていてもよい。また、上記の実施形態では、木造梁6が木造柱5の上に載置され、木造柱5と木造梁6とは、互いにモーメントを伝達しない構成および互いにモーメントの伝達を期待しない構成のいずれかである。木造梁6が木造柱5の上に載置される形態に代わって、木造梁6と木造柱5とが、筋違や火打ちなどの斜材を介さずピン接合またはローラー接合されていてもよい。また、木造梁6と木造柱5とが、ラーメン構造とならない接合をしてもよい。
【0077】
木造柱5と外周梁7(水平荷重伝達部)との接合、木造柱5と木造梁6との接合は、以下のような接合により構成されていてもよい。また、外周梁7に代わって床部8の床スラブ81と木造柱5とが以下のように接合されていてもよい。
【0078】
例えば、図13に示すように、木造柱5の柱脚部5bと外周梁7とは、接合部材57によって接合されていてもよい。接合部材57は、木造柱5の柱脚部5bに固定される柱固定鋼板571と、柱固定鋼板571と接合され外周梁7に固定される外周梁固定部572と、を有する。柱固定鋼板571は、木造柱5の柱脚部5bに形成されたスリット501に挿入され、木造柱5の柱脚部5bと水平方向および上下方向のいずれかに配列された複数のドリフトピン573で固定されている。柱固定鋼板571は、全体が木造柱5の柱脚部5bに挿入されてもよいし、上部側が木造柱5の柱脚部5bに挿入され、下部側が木造柱5の柱脚部5bよりも下方に突出していてもよい。木造柱5の柱頭部5aについても柱脚部5bと同様に、接合部材57によって外周梁7と接合されていてもよい。この場合、接合部材57の柱固定鋼板571は、木造柱5の柱頭部5aに形成されたスリットに挿入される。
木造柱5の柱頭部5aおよび5bと外周梁7とは、接合部材57で接合されることによってピン接合されていてもよい。
また、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bは、外周梁7に代わって床部8の床スラブ81と、上記の接合部材57と同様の接合部材57C(柱床スラブ接合部材)によって接合されていてもよい。この場合、接合部材57Cが、接合部材57の柱固定鋼板571と同様の柱固定鋼板571Cと、外周梁固定部572と同様の床スラブ固定部572Cと、を有する。床スラブ固定部572Cは、柱固定鋼板571Cと接合され、床スラブ81に固定される。図13には、木造柱5の柱脚部5bが床スラブ81と接合部材57Cで接合されている例を、対応する符号を上記括弧書きで示している。
木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bと床スラブ81とは、接合部材57Cで接合されることによってピン接合されていてもよい。
【0079】
図14に示すように、木造柱5と木造梁6とは、柱梁接合部材66によって接合されていてもよい。柱梁接合部材66は、木造梁6に固定される梁固定鋼板661と、梁固定鋼板661と接合され木造柱5に固定される柱固定部662と、を有する。梁固定鋼板661は、木造梁6の端部に形成されたスリット6cに挿入され、上下方向に配列されたドリフトピン663で木造梁6に固定されている。柱固定部662は、木造梁6の長さ方向に延びる複数の引きボルトであり、上下方向に配列されている。柱固定部662は、梁固定鋼板661と接合されるとともに、木造柱5に接合されている。
木造柱5と木造梁6とは、柱梁接合部材66で接合されることによってピン接合されていてもよい。
【0080】
図15に示すように、木造柱5の柱脚部5bと外周梁7とは、引きボルト59によって接合されていてもよい。引きボルト59は、上下方向に延び、上部側が木造柱5の柱脚部5bに固定され、下部側が床スラブに固定されている。木造柱5の柱頭部5aについても柱脚部5bと同様に、外周梁7と引きボルト59によって接合されていてもよい。
木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bと外周梁7とは、引きボルト59で接合されることによってピン接合されていてもよい。
また、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bは、外周梁7に代わって床部8の床スラブ81と、上記の引きボルト59C(柱床スラブ接合部材)によって接合されていてもよい。この場合、引きボルト59Cは、上下方向に延び、上部側が木造柱5の柱脚部5bに固定され、下部側が床スラブ81に固定される。図15には、木造柱5の柱脚部5bが床スラブ81と引きボルト59Cで接合されている例を、対応する符号を上記括弧書きで示している。
木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bと床スラブ81とは、引きボルト59Cで接合されることによってピン接合されていてもよい。
【0081】
図16に示すように、木造柱5と木造梁6とは、引きボルト67によって接合されていてもよい。引きボルト67は、複数の木造梁6の長さ方向に延び、一方の端部側が木造柱5に固定され、他方の端部側が木造梁6に固定されている。図16に示す例では、引きボルト67は、水平方向に2つ並んで設けられている。
木造柱5と木造梁6とは、引きボルト67で接合されることによってピン接合されていてもよい。
【0082】
図17に示すように、木造柱5の柱脚部5bと外周梁7とは、グルーインロッド60によって接合されていてもよい。グルーインロッド60は、長尺の鋼棒で接着剤601によって木造柱5の柱脚部5bと接合される。ある。グルーインロッド60は、上下方向に延びる向きで、下部側が外周梁7に接合され、上部側が木造柱5の柱脚部5bに形成された孔部5cに挿入されて孔部5cの内周面との隙間に接着剤601が充填されている。木造柱5の柱頭部5aについても柱脚部5bと同様に、外周梁7とグルーインロッド60によって接合されていてもよい。
木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bと外周梁7とは、グルーインロッド60で接合されることによってピン接合されていてもよい。
また、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bは、外周梁7に代わって床部8の床スラブ81と、グルーインロッド60C(柱床スラブ接合部材)によって接合されていてもよい。この場合、グルーインロッド60Cは、上下方向に延びる向きで、上部側が木造柱5の柱脚部5bに形成された孔部5cに挿入されて孔部5cの内周面との隙間に接着剤601が充填され、下部側が床スラブ81に形成された孔部に挿入されて孔部との隙間に接着剤601が充填されている。
木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bと床スラブ81とは、グルーインロッド60Cで接合され鵜ことによってピン接合されていてもよい。
【0083】
図18に示すように、木造柱5と木造梁6とがグルーインロッド68によって接合されていてもよい。グルーインロッド68は、木造梁6の長さ方向に延びる向きで、一方の端部側が木造柱5に形成された孔部5dに挿入されて孔部5dの内周面との隙間に接着剤681が充填され、他方の端部が木造梁6に形成された孔部6dに挿入されて孔部6dとの隙間に接着剤681が充填されている。図18に示す例では、グルーインロッド68は、水平方向に2つ並んで設けられている。
【0084】
図19に示すように、木造梁6は、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bが接合された外周梁7に接合部材691によって接合されていてもよい。接合部材691は、外周梁7に溶接などによって接合された鋼板である。接合部材691は、木造梁6の端部に形成されたスリット6cに挿入され、上下方向に間隔をあけた複数の箇所においてドリフトピン692によって固定されている。木造柱5と木造梁6との間には、筋違や方杖などの斜材が設けられていない。
木造梁6は、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bがピン接合された外周梁7に接合部材691によってピン接合されていてもよい。
【0085】
図20および図21に示すように、木造梁6は、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bが接合された外周梁7に接合部材693によって接合されていてもよい。接合部材693は、外周梁7に接合された第1鋼板694と、木造梁6に接合された第2鋼板695と、第1鋼板694と、第2鋼板695とを固定する固定具696と、を有する。第1鋼板694および第2鋼板695は、いずれも平板状であり、板面が外周梁7の長さ方向を向く鉛直面となる向きで木造梁6または外周梁7に接合されている。第1鋼板694は、外周梁7に溶接などによって接合された鋼板である。第2鋼板695は、木造梁6の端部に形成されたスリット6cに挿入され、上下方向に間隔をあけた複数の箇所においてドリフトピン697によって固定されている。
第1鋼板694には、上下方向に間隔をあけた複数個所に、板面に沿った水平方向(外周梁7の長さ方向に直交する水平方向)に延びる長孔694aが形成されている。第2鋼板695には、上下方向に間隔をあけた複数個所に、丸孔695aが形成されている。第1鋼板694と第2鋼板695は、長孔694aと丸孔695aとが重なる位置で重ねられて、長孔694aおよび丸孔695aに挿入されたボルトなどの固定具696によって固定されている。第1鋼板694と第2鋼板695とは、長孔694aの長さ範囲において水平方向に相対変位可能である。木造柱5と木造梁6との間には、筋違や方杖などの斜材が設けられていない。
木造梁6は、木造柱5の柱頭部5aおよび柱脚部5bがピン接合された外周梁7に接合部材693によってローラー接合されていてもよい。
【0086】
上記の実施形態では、建物1の1階に設けられる木造柱5の断面形状は、2階、3階に設けられる木造柱5の断面形状と同じである。各階に設けられる木造柱5の断面形状は、適宜設定されてよい。
上記の実施形態では、建物1の3階に設けられる木造梁6の断面形状は、1階、2階に設けられる木造梁6の断面形状と同じである。各階に設けられる木造梁6の断面形状は、適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0087】
1 建物
2 木造部
3 コア部(構造コア部)
5 木造柱
5a 柱頭部(柱頭柱脚部)
5b 柱脚部(柱頭柱脚部)
5c 孔部
6 木造梁
7 外周梁(水平荷重伝達部、梁部)
8 床部(水平荷重伝達部)
81 床スラブ
57C 接合部材(柱床スラブ接合部材)
59C 引きボルト(柱床スラブ接合部材)
60C グルーインロッド(柱床スラブ接合部材)
501 スリット
571C 柱固定鋼板
572C 床スラブ固定部
図1
図2
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