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特開2024-13234リニア電気手術ハンマインパクトツール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013234
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】リニア電気手術ハンマインパクトツール
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/92 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A61B17/92
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117628
(22)【出願日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】63/390,354
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/450,316
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502427840
【氏名又は名称】ジンマー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー スローカム
(72)【発明者】
【氏名】ニッティン ゴヤル
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ディットリッチ
(72)【発明者】
【氏名】ニール シンガー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL70
(57)【要約】
【課題】電気手術インパクトツール及びその使用方法を提供する。
【解決手段】リニア電気手術ハンマインパクトツール及びその使用方法が本明細書に開示される。リニア電気手術ハンマインパクトツールは、筐体のキャビティの内側に配置されたシャトルを含み得る。シャトルの壁は、シャトルの第1の端からシャトルの第2の端まで延びる複数の溝を画定する。ピストンは、シャトル内に少なくとも部分的に配置され、筐体の長手方向の軸線に沿って配置され得る。ピストンは突起を含み、突起の各々は、シャトルのそれぞれの溝内で移動するように配置され得る。第1の方向へのピストンの移動は、ピストンをシャトルの第1の端に接触させ、第2の方向へのピストンの移動は、ピストンをシャトルの第2の端に接触させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニア電気手術ハンマインパクトツールであって、
筐体であって、前記筐体の長手方向の軸線に沿って延びるキャビティを画定する筐体と、
前記キャビティの内側に位置し、前記筐体の前記長手方向の軸線に沿って配置されたシャトルであって、前記シャトルは、第1の端と、第2の端と、前記第1の端から前記第2の端まで延びる壁と、を備え、前記壁は、前記壁の外側部分の長さを延びる対向する外側のキー溝を含む、シャトルと、
前記シャトルの近位端内に少なくとも部分的に配置され、前記筐体の前記長手方向の軸線に沿って配置されたハンマアセンブリと、
前記長手方向の軸線に沿って、第1の方向及び第2の方向へピストンを駆動するように構成されたリニア電気モータと、
前記シャトルの遠位端内に少なくとも部分的に配置されたインパクトアセンブリと、
を備え、
前記第1の方向への前記ハンマアセンブリの移動は、前記ハンマアセンブリを前記シャトルの前記第1の端に接触させて前方向のインパクトを発生し、第2の方向の前記ハンマアセンブリの移動は、前記ハンマアセンブリを前記シャトルの前記第2の端に接触させて逆方向のインパクトを発生する、リニア電気手術ハンマインパクトツール。
【請求項2】
前記ハンマアセンブリは、インパクトハンマを取り囲むインパクトピストンを含む、請求項1に記載のインパクトツール。
【請求項3】
前記インパクトハンマは、湾曲した近位接触面を含む、請求項2に記載のインパクトツール。
【請求項4】
前記湾曲した近位接触面は、100mmの半径を含む、請求項3に記載のインパクトツール。
【請求項5】
前記インパクトピストンは、逆方向のインパクトキャップと噛み合って予備のインパクトを発生させるための遠位の円周リッジを含む、請求項2に記載のインパクトツール。
【請求項6】
前記インパクトアセンブリは、前記インパクトハンマからインパクトを受けるように適合されたインパクトボタンを含む、請求項2に記載のインパクトツール。
【請求項7】
前記インパクトアセンブリは、前記インパクトツールの遠位端に隣接するチャックにおいて保持されたインパクトツールに、前記インパクトボタンにおいて受けるインパクトを伝達するように適合された衝撃インタフェイスを含む、請求項6に記載のインパクトツール。
【請求項8】
前記インパクトボタンはポリマー材料であり、前記インパクトハンマは高密度金属である、請求項6に記載のインパクトツール。
【請求項9】
前記インパクトボタンは、前記インパクトハンマの丸みのある近位面を受け入れるように形成されたポケットを含む、請求項6に記載のインパクトツール。
【請求項10】
前記筐体内において前記シャトルを中央に置き、過剰なインパクトエネルギーを吸収するように作動する近位のバイアスばね及び遠位のバイアスばねを更に備える、請求項1に記載のインパクトツール。
【請求項11】
近位のエネルギー吸収アセンブリ及び遠位のエネルギー吸収アセンブリを更に備える、請求項1に記載のインパクトツール。
【請求項12】
前記近位のエネルギー吸収アセンブリは、前方向の吸収リング及び近位のバイアスリングを含む、請求項11に記載のインパクトツール。
【請求項13】
前記前方向の吸収リングは、エネルギー吸収ゴムであり、前記近位のバイアスリングは、近位のバイアスばねを受け入れるように構成された金属リング構造である、請求項12に記載のインパクトツール。
【請求項14】
インパクトシャフトは、前記インパクトアセンブリからのインパクトを伝達し、インパクトシャフトベアリングアセンブリを通って遠位方向へ延びており、前記インパクトシャフトベアリングアセンブリは、前記インパクトシャフト上の自動調心シャフトベアリングとして作動する、請求項1に記載のインパクトツール。
【請求項15】
位置スライダを前記シャトルに取り外し可能に接続するためのスライダクリップを含む位置センサアセンブリを更に備える、請求項1に記載のインパクトツール。
【請求項16】
インパクトツールのホーミングの方法であって、前記方法は、
リニア電気モータを作動させて、シャトル機構を遠位のハードストップまで後退させることと、
前記リニア電気モータの作動中に位置センサアセンブリをモニターすることと、
前記位置センサアセンブリ及び前記リニア電気モータからのフィードバックに基づいて、遠位のホーム位置に到達したことを判定することと、
前記遠位のホーム位置に到達したことを判定すると、前記リニア電気モータを作動させて、前記シャトル機構を近位のホーム位置まで移動させることと、
前記位置センサ及び前記リニア電気モータからのフィードバックに基づいて、前記近位のホーム位置に到達したことを判定することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記遠位のホーム位置に到達したことを判定することは、遠位の位置センサ及び近位の位置センサにおける電圧をモニターすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記遠位のホーム位置及び前記近位のホーム位置における電圧読取値に基づいて前記センサアセンブリを較正することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
インパクトツールを作動させる方法であって、前記方法は、
トリガ機構の起動を検出して、前記インパクトツールからのインパクトを開始することと、
前記インパクトツールの筐体内のシャトルアセンブリの位置を決定することであって、前記シャトルは、インパクトを発生するように適合された構成要素を含む、前記インパクトツールの筐体内のシャトルアセンブリの位置を決定することと、
前記シャトルアセンブリの位置から、意図されるインパクト方向を決定することと、
リニア電気インパクト機構を作動させることによって、前記意図されるインパクト方向にインパクトを加えることと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記インパクトを加えた後、前記トリガ機構の位置に基づいて、前記インパクトを繰り返し加えるかどうかを決定することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記インパクトを繰り返し加えないことを決定すると、前記リニア電気インパクト機構を停めることを更に含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月19日に出願された米国仮特許出願第63/390,354号の利益を主張し、2023年3月6日に出願された米国仮特許出願第63/450,316号の利益も主張し、その各々の優先権の利益は本明細書で主張され、その各々は、その内容全体を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は概して、手術機器及びその使用法に関する。より具体的には、本開示は、電気手術インパクトツール及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科の外科医は通常、骨を切断するか又は彫るためにツールを利用し、当該ツールは、ハンマ又はマレットが埋込力をツールに伝達することを必要とする。一例は、臀部インプラントの軸を受け入れるように大腿骨の近位端を作るために使用されるブローチツールである。当該ブローチは、医師が振るハンマと共に、又は空気圧「ジャックハンマ」状のツールと共に使用され得る。しかしながら、ハンマを用いたブローチツールの打撃は、厄介なことであり得、医師自身の関節、例えば肩関節に対して高い応力をもたらし得る。更に、空気圧インパクトツールは、エアホースへの接続を要し、このことは、不便であり得、ツールを望むような向きにする医師の能力を制限する場合があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の非限定的な例は、特に、課題を解決して本明細書で述べられる利点を提供するための本主題の特定の態様を詳述する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施例1は、リニア電気手術ハンマインパクトツールであって、筐体の長手方向の軸線に沿って延びるキャビティを画定する筐体と、キャビティの内側に位置し、筐体の長手方向の軸線に沿って配置されたシャトルであって、シャトルは、第1の端と、第2の端と、第1の端から第2の端まで延びる壁と、を備え、壁は、シャトルの第1の端からシャトルの第2の端まで延びる複数の溝を画定する、シャトルと、シャトル内に少なくとも部分的に配置され、筐体の長手方向の軸線に沿って配置されたピストンであって、ピストンは、複数の突起を備え、複数の突起の各々は、シャトルの複数の溝のそれぞれの内部で移動するように配置された、ピストンと、第1の方向及び第2の方向へ長手方向の軸線に沿ってピストンを駆動するように構成されたモータと、シャトルに接続されたツールホルダと、を備え、第1の方向へのピストンの移動は、ピストンをシャトルの第1の端に接触させ、第2の方向へのピストンの移動は、ピストンをシャトルの第2の端に接触させる、リニア電気手術ハンマインパクトツールである。
【0006】
実施例2において、実施例1の主題は任意選択的に、筐体の近位端に接続されたキャップと、シャトルの第1の端とキャップとの間に配置された第1のバイアス部材と、を含む。
【0007】
実施例3において、実施例1から実施例2の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、筐体内に配置された仕切りと、シャトルの第2の端と仕切りとの間に配置された第2のバイアス部材と、を含む。
【0008】
実施例4において、実施例2から実施例3の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材のうちの少なくとも一方がばねを備えるということを含む。
【0009】
実施例5において、実施例1から実施例4の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、複数の突起の各々がポリマーを含むということを含む。
【0010】
実施例6において、実施例5の主題は任意選択的に、ポリマーに潤滑剤を含浸させているということを含む。
【0011】
実施例7において、実施例1から実施例6の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、複数の突起が真っ直ぐであるということを含む。
【0012】
実施例8において、実施例1から実施例7の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、キャビティ内のシャトルの位置を検出するように配置されたセンサを含む。
【0013】
実施例9において、実施例1から実施例8の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、ツールホルダが迅速な接続/分離チャックを備えるということを含む。
【0014】
実施例10において、実施例1から実施例9の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、電子機器及びトリガを受け入れるようなサイズであるキャビティを画定するハンドルを含む。
【0015】
実施例11において、実施例1から実施例10の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、ツールホルダがシャトルにねじで接続されているということを含む。
【0016】
実施例12において、実施例1から実施例11の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、ツールホルダの遠位面がインパクト面を形成しているということを含む。
【0017】
実施例13は、リニア電気手術ハンマインパクトツールであって、筐体の長手方向の軸線に沿って延びるキャビティを画定する筐体と、キャビティの内側に位置し、筐体の長手方向の軸線に沿って配置されたシャトルであって、シャトルは、第1の端と、第2の端と、第1の端から第2の端まで延びる壁と、を備え、壁は、シャトルの第1の端からシャトルの第2の端まで延びる複数の溝を画定する、シャトルと、シャトル内に少なくとも部分的に配置され、筐体の長手方向の軸線に沿って配置されたピストンであって、ピストンは、複数の突起及びフランジを備え、複数の突起の各々は、シャトルの複数の溝のそれぞれの内部で移動するように配置された、ピストンと、第1の方向及び第2の方向へ長手方向の軸線に沿ってピストンを駆動するように構成されたモータと、シャトルにねじで接続されたツールホルダであって、インパクト面を形成した遠位面を備えるツールホルダと、を備え、第1の方向へのピストンの移動は、ピストンをツールホルダのインパクト面に接触させ、第2の方向へのピストンの移動は、ピストンのフランジをシャトルの第2の端に接触させる、リニア電気手術ハンマインパクトツールである。
【0018】
実施例14において、実施例13の主題は任意選択的に、筐体の近位端に接続されたキャップと、シャトルの第1の端とキャップとの間に配置された第1のバイアス部材と、を含む。
【0019】
実施例15において、実施例13から実施例14の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、筐体内に配置された仕切りと、シャトルの第2の端と仕切りとの間に配置された第2のバイアス部材と、を含む。
【0020】
実施例16において、実施例13から実施例15の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材のうちの少なくとも一方がばねを備えるということを含む。
【0021】
実施例17において、実施例13から実施例16の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、複数の突起の各々が、潤滑剤を含浸させたポリマーを含むということを含む。
【0022】
実施例18において、実施例13から実施例17の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、複数の突起が真っ直ぐであるということを含む。
【0023】
実施例19において、実施例13から実施例18の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、キャビティ内のシャトルの位置を検出するように配置されたセンサを含む。
【0024】
実施例20において、実施例13から実施例19の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、ツールホルダが迅速な接続/分離チャックを備えるということを含む。
【0025】
実施例21において、実施例13から実施例20の何れか1つ又は複数の主題は任意選択的に、電子機器及びトリガを受け入れるようなサイズであるキャビティを画定するハンドルを含む。
【0026】
実施例21において、実施例1から実施例20の何れか1つ又は任意の組合せの手術インパクトツール、システム、及び/又は方法は任意選択的に、列挙された全ての要素又はオプションが利用可能であって使用又は選択されるように構成され得る。
【0027】
実施例22は、リニア電気手術ハンマインパクトツールであって、筐体の長手方向の軸線に沿って延びるキャビティを画定する筐体と、キャビティの内側に配置され筐体の長手方向の軸線に沿って配置されたシャトルであって、シャトルは、第1の端と、第2の端と、第1の端から第2の端まで延びる壁と、を備え、壁は、壁の外側の部分の長さを延びる対向する外側のキー溝を含む、シャトルと、シャトルの近位端内に少なくとも部分的に配置され、筐体の長手方向の軸線に沿って配置されたハンマアセンブリと、第1の方向及び第2の方向へ長手方向の軸線に沿ってピストンを駆動するように構成されたリニア電気モータと、シャトルの遠位端内に少なくとも部分的に配置されたインパクトアセンブリと、を備える、リニア電気手術ハンマインパクトツールである。第1の方向へのハンマアセンブリの移動が、ハンマアセンブリをシャトルの第1の端に接触させて前方向のインパクトを発生し、第2の方向へのハンマアセンブリの移動が、ハンマアセンブリをシャトルの第2の端に接触させて逆方向のインパクトを発生することによって、当該リニア電気インパクトツールは作動する。
【0028】
実施例23において、実施例22の主題は任意選択的に、インパクトハンマを取り囲むインパクトピストンを有するハンマアセンブリを含み得る。
【0029】
実施例24において、実施例22又は実施例23の何れか1つの主題は任意選択的に、湾曲した近位接触面を有するインパクトハンマを含み得る。
【0030】
実施例25において、実施例22から実施例24の何れか1つの主題は任意選択的に、100mmの半径を有する湾曲した近位接触面を含み得る。
【0031】
実施例26において、実施例22から実施例25の何れか1つの主題は任意選択的に、逆方向のインパクトキャップと噛み合って予備のインパクトを発生させるための遠位の円周リッジを有するインパクトピストンを含み得る。
【0032】
実施例27において、実施例22から実施例26の何れか1つの主題は任意選択的に、インパクトハンマからインパクトを受けるように適合されたインパクトボタンを有するインパクトアセンブリを含み得る。
【0033】
実施例28において、実施例27の主題は任意選択的に、インパクトボタンにおいて受けるインパクトをインパクトツールに伝達するように適合された衝撃インタフェイスを有するインパクトアセンブリを含み得、インパクトツールは、インパクトツールの遠位端に隣接するチャックにおいて保持されている。
【0034】
実施例29において、実施例27又は実施例28の何れか1つの主題は任意選択的に、インパクトボタンがポリマー材料であり、インパクトハンマが高密度金属であるということを含み得る。
【0035】
実施例30において、実施例27から実施例29の何れか1つの主題は任意選択的に、インパクトハンマの丸みのある近位面を受け入れるように形成されたポケットを有するインパクトボタンを含み得る。
【0036】
実施例31において、実施例22から実施例30の何れか1つの主題は任意選択的に、筐体内でシャトルを中央に置き、過剰なインパクトエネルギーを吸収するように作動する近位のバイアスばね及び遠位のバイアスばねを含み得る。
【0037】
実施例32において、実施例22から実施例32の何れか1つの主題は任意選択的に、近位のエネルギー吸収アセンブリ及び遠位のエネルギー吸収アセンブリを含み得る。
【0038】
実施例33において、実施例32の主題は任意選択的に、前方向の吸収リング及び近位のバイアスリングを有する近位のエネルギー吸収アセンブリを含み得る。
【0039】
実施例34において、実施例33の主題は任意選択的に、エネルギー吸収ゴムである前方向の吸収リングと、近位のバイアスばねを受け入れるように構成された金属リング構造である近位のバイアスリングと、を含み得る。
【0040】
実施例35において、実施例22から実施例34の何れか1つの主題は任意選択的に、インパクトシャフトが、インパクトアセンブリからのインパクトを伝達し、インパクトシャフトベアリングアセンブリを通って遠位方向へ延びており、インパクトシャフトベアリングアセンブリが、インパクトシャフト上の自動調心シャフトベアリングとして作動するということを含み得る。
【0041】
実施例36において、実施例22から実施例35の何れか1つの主題は任意選択的に、位置スライダをシャトルに取り外し可能に接続するためのスライダクリップを含む位置センサアセンブリを含み得る。
【0042】
実施例37は、実施例1から実施例36のインパクトツールの何れか1つのホーミングの方法である。ホーミング方法は、リニア電気モータを作動させて、シャトル機構を遠位のハードストップまで後退させることと、リニア電気モータの作動中に位置センサアセンブリをモニターすることと、位置センサアセンブリ及びリニア電気モータからのフィードバックに基づいて、遠位のホーム位置に到達したことを判定することと、遠位のホーム位置に到達したことを判定すると、リニア電気モータを作動させて、シャトル機構を近位のホーム位置まで移動させることと、位置センサ及びリニア電気モータからのフィードバックに基づいて、近位のホーム位置に到達したことを判定することと、を含み得る。
【0043】
実施例38において、実施例37の主題は任意選択的に、遠位の位置センサ及び近位の位置センサにおける電圧をモニターすることによって遠位のホーム位置に到達したことを判定することを含み得る。
【0044】
実施例39において、実施例37及び実施例38の何れか1つの主題は任意選択的に、遠位のホーム位置及び近位のホーム位置における電圧読取値に基づいてセンサアセンブリを較正することを含み得る。
【0045】
実施例40は、実施例1から実施例36のインパクトツールの何れか1つを作動させる方法である。作動方法は、トリガ機構の起動を検出して、インパクトツールからのインパクトを開始することと、インパクトツールの筐体内のシャトルアセンブリの位置を決定することであって、シャトルは、インパクトを発生するように適合された構成要素を含む、ということと、シャトルアセンブリの位置から、意図されるインパクト方向を決定することと、リニア電気インパクト機構を作動させることによって、意図されるインパクト方向にインパクトを加えることと、を含み得る。
【0046】
実施例41において、実施例40の主題は任意選択的に、インパクトを加えた後、トリガ機構の位置に基づいて、インパクトを繰り返し加えるかどうかを決定することを含み得る。
【0047】
実施例42において、実施例41の主題は任意選択的に、インパクトを繰り返し加えないと決定すると、リニア電気インパクト機構を停めることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
必ずしも縮尺通りに描かれていない図面では、同様の番号は、異なる図において同様の構成要素を表し得る。異なる接尾文字を有する同様の番号は、同様の構成要素の異なる場合を表し得る。図面は概して、限定としてではなく例として、本明細書において述べられる様々な実施形態を示す。
【0049】
図1A図1Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気手術ハンマインパクトツールの断面図を示す。
図1B図1Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気手術ハンマインパクトツールの断面図を示す。
図2図2は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気手術ハンマインパクトツールの断面図を示す。
図3図3は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールの切取図である。
図4A図4Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールの複数のサブアセンブリを示す斜視図である。
図4B図4Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールの複数のサブアセンブリの断面図である。
図5A図5Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールの複数のサブアセンブリの断面図である。
図5B図5Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールのインパクタサブアセンブリの断面図である。
図6A図6Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールのシャトルサブアセンブリの様々な図である。
図6B図6Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールのシャトルサブアセンブリの様々な図である。
図6C図6Cは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールのシャトルサブアセンブリの様々な図である。
図6D図6Dは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールのシャトルサブアセンブリの断面図である。
図7図7は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールについての自動調心インパクトシャフトベアリング構造の断面図である。
図8A図8Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールについての位置センササブアセンブリの様々な図である。
図8B図8Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールについての位置センササブアセンブリの様々な図である。
図9A図9Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール内の様々なインパクタ位置を示す断面図である。
図9B図9Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール内の様々なインパクタ位置を示す断面図である。
図9C図9Cは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール内の様々なインパクタ位置を示す断面図である。
図10図10は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールについてのホーミング及び較正手法を示すフローチャートである。
図11図11は、本開示の少なくとも1つの例と整合する外科医の意図検出手法を示すフローチャートである。
【0050】
対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に記載される例示は、本開示の好ましい実施形態を示し、当該例示は、いかなる方法でも本開示の範囲の限定として解釈されるべきではない。図3から図9Cにおいて使用される参照文字は、必ずしも、前の図において使用された参照文字との任意の対応関係を有しているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0051】
空気圧ピストン駆動のシステムに対する代替として、電気駆動のシステムが本明細書に開示される。具体的には、本明細書に開示されるリニア電気手術ハンマインパクトツールは、シャトル、ツール保持要素などにインパクトを与え得るスライダと呼ばれることもあるインパクト要素を含んでインパクト力を発生し得る。
【0052】
電気モータは、インパクト要素を駆動してインパクト力を発生するように構成され得る。例えば、第1の方向へのピストンの移動は、ピストンを筐体の第1の端に接触させ得、第2の方向へのピストンの移動は、ピストンを筐体の第2の端に接触させ得る。ピストンと筐体との接触は、インパクト力を発生して、骨の管にやすり及び/又はブローチを駆動し、管からやすり及び/又はブローチを引き抜き得る。
【0053】
上記説明は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図したものである。上記説明は、本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図したものではない。以下の説明は、本特許出願に関して更なる情報を提供するために含まれる。
【0054】
ここで、図を参照すると、図1A及び図1Bは各々、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気手術ハンマインパクトツール100の例を示す。本明細書に開示されるように、リニア電気手術ハンマインパクトツール100は、手術処置において使用される、簡易で効率的で且つ頑丈なバッテリ駆動のハンドヘルド型リニア電気手術ハンマインパクトツールを提供し得る。リニア電気手術ハンマインパクトツール100は、遠位端キャップ102と、筐体106の反対の端にある近位端キャップ104と、を含み得る。筐体106は、ツール本体と称されることもあり得、キャビティ108を画定し得る。
【0055】
シャトル110は、キャビティ108内に配置され、筐体106の長手方向の軸線112に沿って配置され得る。ツールホルダ114は、シャトル110に接続され得る。例えば、図1A及び図1Bに示されるように、シャトル110は、第1のねじ山116を含み得、シャトル110は、ツールホルダ114をシャトル110にねじで接続することを可能にする第2のねじ山118を有し得る。ツールホルダ114をシャトル110に取り付ける他の形態には、接着剤、圧入、溶接、ねじなどが含まれ得る。
【0056】
やすり、ブローチなどのツールは、ツールホルダ114に向けて取り付けられ得る。例えば、ブローチは、ピン、ねじなどを介してツールホルダ114に固定され得る。本明細書に開示される実施形態と整合して、チャック120がツールホルダ114に取り付けられ得る。チャック120は、外科医又は他の手術室スタッフが、ツールを迅速に接続し、リニア電気手術ハンマインパクトツール100からツールを迅速に分離することを可能にする迅速な接続/分離チャックであり得る。例えば、チャック120により、外科医は、リニア電気手術ハンマインパクトツール100から第1のやすりを迅速に分離し、第1のやすりとは異なるサイズ及び/又は形状であり得る第2のやすりをリニア電気手術ハンマインパクトツール100に迅速に接続することができ得る。
【0057】
チャック120は、ボルト121を介してツールホルダ114に取り付けられ得る。例えば、チャック120は、貫通孔123を画定し得る。ボルト121は、貫通孔123を通ってチャック120をツールホルダ114に固定し得る。ボルト121の使用によって、外科医又は他のスタッフは、外科医の好みに応じてチャックを変更することができ得る。例えば、第1の外科医は、第1のタイプのチャックを好み得、第2の外科医は、第2のタイプのチャックを好み得る。ボルト121の使用によって、スタッフは、第1及び第2の外科医によって行われる手術間でチャックを変更することができ得る。
【0058】
リニア電気手術ハンマインパクトツール100は、筐体106内に少なくとも部分的に配置されたピストン122を更に含み得る。作動中、ピストン122は、矢印124(図1A)によって示されるような第1の方向へ移動し得る。第1の方向の移動は、ピストン122の面126をシャトル110の面128に接触させて、インパクト力を発生し骨にツールを駆動し得る。シャトル110の面128は、インパクト面と呼ばれることもある、ツールホルダ114の面であり得る。
【0059】
矢印125(図1B)によって示されるような第2の方向のピストン122の移動は、ピストン122のフランジ130に対して、シャトル110の遠位部132にインパクトを与えさせ得る。遠位部132とのフランジ130のインパクトは、ブローチ、やすりなどのツールを骨から除去することを可能にし得る引抜力を発生し得る。
【0060】
ピストン122は、発生されるインパクト力を増加させるために、高密度材料で構成され得る。例えば、ピストン122は、材料の所与の体積についてより多くの質量を含む、タングステンなどの金属で構成され得る。その結果、所与の速度について、ピストン122は、より多くの運動エネルギーを有し得、当該運動エネルギーは、本明細書に開示されるようなツールホルダ114及び/又はシャトル110にインパクトを与えるピストン122を介して、ツールホルダ114及び/又はシャトル110に伝達され得る。
【0061】
シャトル110は、壁134を含み得る。壁134は、(溝136A及び136Bとして個々にラベル付けされた)溝136を画定し得る。ピストン122は、溝136のそれぞれに嵌まる1つ又は複数の突起138を含み得る。突起138は、特定の向きにピストン122を固定するベアリングとして機能し、加えて、壁134とピストン122との間に隙間を提供して摩擦を最小にし得る。
【0062】
突起138は、ポリマーで構成され得る。摩擦及び摩耗を更に低減するために、ポリマー突起に潤滑剤を含浸させ得る。突起138は、ねじ、接着剤、圧入などを介してピストン122に固定され得る。ツールホルダ114とシャトル110との間のねじ山境界面により、ピストン122をシャトル110内に配置することができ得る。シャトル110内に入ると、突起138は、溝136を通りピストン122に取り付けられ、それによって、所望の向きにピストン122を固定し得る。
【0063】
ピストン122は、2つの構成要素を備え得る。例えば、ピストン122は、本体部138及び重り140を含み得る。本体部138及び重り140の両方が、金属、ポリマー、セラミック、又はそれらの組合せで作られ得る。例えば、重り140は、タングステンなどの高密度材料で作られ得、本体部138は、ポリマーで作られ得る。重り140は、本体部138に圧入され得る。重り140は、モータ146の磁石144などの移動可能部にピストンを固定するために使用され得るねじ山部142を含み得る。
【0064】
モータ146は、リニア電気モータであり得、磁石144及びステータ148を含み得る。電子機器150は、モータ146をトリガ152に電気的に接続し得る。本明細書に開示されるように、作動中、ユーザは、トリガ152を押して、リニア電気手術ハンマインパクトツール100にインパクト力を発生させ、骨にツールを駆動し、及び/又は骨からツールを引っ込め得る。
【0065】
センサ154は、シャトル110内のピストン122の位置を決定するために使用され得る。例えば、センサ154は、磁石144によって発生する磁束を決定し得るホール効果センサであり得る。磁束又は磁束の変化に基づいて、ピストン122の位置が決定され得る。ピストン122の位置に基づいて、電子機器150は、電流をステータ148に印加してピストン122を駆動し、埋込力及び引込力を発生し得る。例えば、モータ146は、筐体106の内側に固定された、コイル構造、例えばステータ148を有する管状電磁リニアモータであり得る。コイル構造は、ピストン122に接続された磁性又は強磁性の機械的インパクト移動要素、例えば磁石144を作動させて、センサ154によって決定されるような磁石の位置に基づいて移動をもたらす。
【0066】
筐体106は、仕切り156を含み得る。本明細書に開示されるように、シャトル110は、矢印124によって示されるような第1の方向及び矢印125によって示されるような第2の方向に振動し得る。ピストン122が面128又は遠位部132と接触していない場合、シャトル110は、(バイアス要素158A及び158Bとして個々にラベル付けされた)バイアス要素158によって中立位置に向けて付勢され得る。バイアス要素158は、ばね(引張及び/又は圧縮)、ゴム構造、エアバッグなどであり得る。
【0067】
作動中、ピストン122は、第1の方向に移動して面128を打撃し得る。面128を打撃した後、バイアス要素158Bは、ツールホルダ114及びシャトル110を第2の方向に押して、ピストン122が面128を繰り返し打撃するときの追加のインパクトのためにシャトルをリセットし得る。シャトル110はまた、ユーザが骨に対してリニア電気手術ハンマインパクトツール100を押すことによって第2の方向に付勢され得る。この場合、バイアス要素158Aは、ピストン122が面128を打撃した後にシャトルが仕切り156にインパクトを与えるのを軽減するようにショックアブソーバとして機能し得る。
【0068】
また、作動中、ピストン122は、第2の方向に移動して遠位部132を打撃し得る。遠位部132を打撃した後、バイアス要素158Aは、シャトル110を第1の方向に押して、ピストン122が遠位部132を繰り返し打撃するときの追加のインパクトのためにシャトルをリセットし得る。シャトル110はまた、ユーザが骨から離れる方向にリニア電気手術ハンマインパクトツール100を引っ張ることによって第1の方向に付勢され得る。この場合、バイアス要素158Bは、ピストン122が遠位部132を打撃した後にシャトル110がキャップ104にインパクトを与えるのを軽減するようにショックアブソーバとして機能し得る。
【0069】
壁134はまた、(孔160A、160B、160C、及び160Dとして個々にラベル付けされた)孔160を画定し得る。(プラグ162A、162B、162C、及び162Dとして個々にラベル付けされた)プラグ162は、孔160に挿入され得る。プラグ162は、潤滑剤を含浸させたポリマープラグであり得る。したがって、プラグ162は、シャトル110を支持しつつ摩擦低減を提供し得る。シャトル110の支持は、突起138が溝136内で整列した状態を維持するように機能して、インパクト力を低減し得る摩擦及び/又は結合を最小にし得る。
【0070】
図2は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気手術ハンマインパクトツール200の例を示す。本明細書に開示されるように、リニア電気手術ハンマインパクトツール200は、手術処置において使用される、簡易で効率的で且つ頑丈なバッテリ駆動のハンドヘルド型リニア電気手術ハンマインパクトツールを提供し得る。リニア電気手術ハンマインパクトツール200は、遠位端キャップと、筐体204の反対の端にある近位端キャップ202と、を含み得る。筐体204は、ツール本体と称されることもあり得、キャビティ206を画定し得る。
【0071】
シャトル210は、キャビティ206内に配置され、筐体204の長手方向の軸線212に沿って配置され得る。ツールホルダ214は、シャトル210に接続され得る。例えば、図2に示されるように、ねじ接続208により、ツールホルダ214をシャトル210にねじで接続することができ得る。ツールホルダ214をシャトル210に取り付ける他の形態には、接着剤、圧入、溶接、ねじなどが含まれ得る。
【0072】
やすり、ブローチなどのツールは、ツールホルダ214に向けて取り付けられ得る。例えば、ブローチは、ピン、ねじなどを介してツールホルダ214に固定され得る。本明細書に開示される実施形態と整合して、チャック220がツールホルダ214に取り付けられ得る。チャック220は、外科医又は他の手術室スタッフが、ツールを迅速に接続し、リニア電気手術ハンマインパクトツール200からツールを迅速に分離することを可能にする迅速な接続/分離チャックであり得る。例えば、チャック220により、外科医は、リニア電気手術ハンマインパクトツール200から第1のやすりを迅速に分離し、第1のやすりとは異なるサイズ及び/又は形状であり得る第2のやすりをリニア電気手術ハンマインパクトツール200に迅速に接続することができ得る。チャック220は、チャック120に関して本明細書に開示されているように、ボルト又は他の機構を介してツールホルダ214に取り付けられ得る。
【0073】
リニア電気手術ハンマインパクトツール200は、筐体204内に少なくとも部分的に配置されたピストン222を更に含み得る。作動中、ピストン222は、矢印224によって示されるような第1の方向に移動し得る。第1の方向の移動は、ピストン222の第1の端226を、ツールホルダ214によって定められた凹部227内に取り付けて、インパクト力を発生し骨にツールを駆動し得る。
【0074】
矢印225によって示されるような第2の方向のピストン222の移動は、ピストン222のフランジ230に対して、シャトル210の遠位部232にインパクトを与えさせ得る。遠位部232とのフランジ230のインパクトは、ブローチ、やすりなどのツールを骨から除去することを可能にし得る引抜力を発生し得る。
【0075】
ピストン222は、発生するインパクト力を増加させるために、高密度材料で構成され得る。例えば、ピストン222は、材料の所与の体積についてより多くの質量を含む、タングステンなどの金属で構成され得る。その結果、所与の速度について、ピストン222は、より多くの運動エネルギーを有し得、当該運動エネルギーは、本明細書に開示されるようなツールホルダ214及び/又はシャトル210にインパクトを与えるピストン222を介して、ツールホルダ214及び/又はシャトル210に伝達され得る。
【0076】
シャトル210は、壁234を含み得る。壁234は、(溝236A及び236Bとして個々にラベル付けされた)溝236を画定し得る。ピストン222は、溝236のそれぞれに嵌まる、突起138に関して本明細書に開示されたような1つ又は複数の突起を含んで、特定の向きにピストン222を固定するベアリングとして機能し、加えて、壁234とピストン222との間に隙間を提供して摩擦を最小にし得る。突起は、潤滑剤を含浸させたポリマーで構成され、本明細書に開示されるようにピストン222に接続され得る。
【0077】
ピストン222は、接続部材235を介してスライダ要素233に接続され得る。接続部材235は、ねじ山ロッド、スライダ要素233及びピストン222の両方に圧入されるロッド、スライダ要素233に溶接されるロッド、及び/又は接着剤を介したロッドであり得る。ピストン222は、重りを含み得、ピストン122に関して開示されたような複数の構成要素であり得る。
【0078】
スライダ要素233は、モータ246の一部であり得、モータ246は、リニア電気モータであり得、磁石244及びステータ248を含み得る。本明細書に開示されるように、電子機器は、モータ246をトリガに電気的に接続し得る。本明細書に開示されるように、作動中、ユーザは、トリガを押して、リニア電気手術ハンマインパクトツール200にインパクト力を発生させ、骨にツールを駆動し、及び/又は骨からツールを引っ込め得る。
【0079】
センサ254は、シャトル210内のピストン222の位置を決定するために使用され得る。例えば、センサ254は、磁石244によって発生する磁束を決定し得るホール効果センサであり得る。磁束又は磁束の変化に基づいて、ピストン222の位置が決定され得る。ピストン222の位置に基づいて、電子機器は、電流をステータ248に印加してピストン222を駆動し、埋込力及び引込力を発生し得る。例えば、モータ246は、筐体204の内側に固定された、コイル構造、例えばステータ248を有する管状電磁リニアモータであり得る。コイル構造は、ピストン222に接続された磁性又は強磁性の機械的インパクト移動要素、例えば磁石244を作動させて、センサ254によって決定されるような磁石の位置に基づいて移動をもたらす。
【0080】
筐体204は、仕切り256を含み得る。本明細書に開示されるように、シャトル210は、矢印224によって示されるような第1の方向及び矢印225によって示されるような第2の方向に振動し得る。ピストン222がツールホルダ214又は遠位部232と接触していない場合、シャトル210は、(バイアス要素258A及び258Bとして個々にラベル付けされた)バイアス要素258によって中立位置に向けて付勢され得る。バイアス要素258は、ばね(引張及び/又は圧縮)、ゴム構造、エアバッグなどであり得る。
【0081】
作動中、ピストン222は、第1の方向に移動してツールホルダ214を打撃し得る。ツールホルダ214を打撃した後、バイアス要素258Bは、ツールホルダ214及びシャトル210を第2の方向に押して、ピストン222がツールホルダ214を繰り返し打撃するときの追加のインパクトのためにシャトルをリセットし得る。シャトル210は、また、ユーザが骨に対してリニア電気手術ハンマインパクトツール200を押すことによって第2の方向に付勢され得る。この場合、バイアス要素258Aは、ピストン222がツールホルダ214を打撃した後にシャトル210が仕切り256にインパクトを与えるのを軽減するようにショックアブソーバとして機能し得る。
【0082】
また、作動中、ピストン222は、第2の方向に移動して遠位部232を打撃し得る。遠位部232を打撃した後、バイアス要素258Aは、シャトル210を第1の方向に押して、ピストン222が遠位部232を繰り返し打撃するときの追加のインパクトのためにシャトルをリセットし得る。シャトル210はまた、ユーザが骨から離れる方向にリニア電気手術ハンマインパクトツール200を引っ張ることによって第1の方向に付勢され得る。この場合、バイアス要素258Bは、ピストン222が遠位部232を打撃した後にシャトルがキャップ202にインパクトを与えるのを軽減するようにショックアブソーバとして機能し得る。
【0083】
以下は、手術処置の中でも特に整形外科関節置換処置において使用されるように設計されたインパクト機器の追加の実施形態を記載する。以下に記載されるインパクト機器は、リニア電気モータを利用し、シャトル構造内でハンマアセンブリを駆動して、ブローチ又はやすりなどの取り付けられた機器に対して前方向及び/又は逆方向のインパクトを発生する別の機器である。上述のツールと同様に、電気モータは、インパクト要素を駆動してインパクト力を発生するように構成され得る。以下の説明は、この例示的なインパクト機器が上述のデバイスとは異なっている領域に焦点を当てたものである。2つの例は、いずれも同様のリニア電気モータを利用し、ハンマアセンブリを駆動して、ブローチ又はやすりなどの取り付けられたインパクト機器においてインパクト力を発生するため、基本的な動作特性は、2つの例の間で同様である。
【0084】
図3は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300の切取図である。この例では、インパクトツール300は、ツール内の特定のサブアセンブリの可視化を可能にするために筐体302の一部が除去された部分切取図で示されている。筐体302の切取部は、シャトルアセンブリ310及びリニア電気モータアセンブリ320を見せている。シャトルアセンブリ310は、チャック330に接続された機器に伝達されるインパクト力を発生する構造である。シャトルは、インパクトを受ける構造を遠位端及び近位端の両方に含む円筒本体を含み得る。シャトルはまた、インパクト力を発生するように移動するインパクトツール300の一部であるインパクトハンマアセンブリを保持する。インパクトハンマアセンブリは、リニア電気モータアセンブリ320によって直線的に移動する。これらのサブアセンブリについての詳細は、図4Aから図8Bを参照して以下で述べられる。
【0085】
インパクトツール300はまた、バッテリアセンブリ340及びハンドル350を含む。この例では、ハンドル350は、インパクトツール300の起動のためのトリガ352を含む。筐体302はまた、筐体302の近位端にねじ込まれた近位端キャップ304を含む。インパクトツール300の近位端を密閉する近位キャップシール306が近位端キャップ304に隣接している。
【0086】
この例では、インパクトツール300の筐体302は、組立プロセス中に合わせてレーザ溶接された射出成形プラスチック又はポリマーである。具体的には、筐体302は、リニア電気モータアセンブリ320のモータダイナミクスにおけるインパクトを最小にするように設計されている。射出成形プラスチックの使用は、リニア電気モータに対する渦電流制動効果を回避するために、アルミニウムなどの金属筐体よりも有利であった。渦電流インパクトを同様に回避するために使用され得る別の筐体材料選択肢は、筐体302を形成する積層非導電性又は低導電性金属である。
【0087】
図4Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300の複数のサブアセンブリを示す斜視図である。この例では、図4Aは、インパクトツール300から取り出されたシャトルアセンブリ310及びリニア電気モータアセンブリ320を示す。この例では、シャトルアセンブリ310は、複数のシャトル通気孔402及びシャトルキー405を受け入れるための少なくとも2つの対向するキー溝を有する円筒シャトル筐体401を含む。シャトル通気孔402は、シャトル筐体401の内部を排気するように動作し、これにより、ハンマアセンブリ430における空気圧縮誘導抗力が低減される。シャトルキー405は、インパクトツール300の筐体302に対するシャトル筐体401の回転を制限する。シャトルアセンブリ310はまた、以下で詳細に論じられる遠位のエネルギー吸収アセンブリ440を含む。リニア電気モータアセンブリ320は、リニア電気モータを制御してシャトル筐体401内のハンマアセンブリに関する位置フィードバックを提供するために制御電子機器を含む回路基板を含む制御回路アセンブリ322を含み得る。図はまた、チャック330及びチャックロック332の図を含む。チャックロック332は、インパクト機器をインパクトツール300にロックするように回転する。
【0088】
図4Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300の複数のサブアセンブリの断面図である。この例では、上述のサブアセンブリは、各サブアセンブリ内の追加の構成要素を詳述するために断面で示されている。この例では、リニア電気モータアセンブリ320は、リニア電気モータと、制御回路アセンブリ322と、位置センサアセンブリ470と、を含み得る。位置センサアセンブリ470は、シャトル筐体401に留められて作動中にシャトルアセンブリ310の位置をモニターする構造を含む。(上記で詳細に述べられた)リニア電気モータは、ハンマアセンブリ430の位置に対するフィードバックを提供するための内部センサを含む。
【0089】
この例では、シャトルアセンブリ310は、シャトル筐体401と、インパクトアセンブリ410と、ハンマアセンブリ430と、遠位のエネルギー吸収アセンブリ440と、近位のエネルギー吸収アセンブリ450と、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460と、を含む。インパクトアセンブリ410は、インパクトボタン412及び衝撃インタフェイス414を含み得る。インパクトボタン412は、インパクトハンマ432からの前方向のインパクトを受けるためのものである。振動によるエネルギー損失を最小にするために、インパクトボタン412は、Acetal(登録商標)又はDelrin(登録商標)などの低損失ポリマー材料で作られ得る。低損失ポリマーは、インパクトアセンブリ410が長期の耐用寿命を提供することを可能にする低摩耗特性を有する。この例では、インパクトハンマ432は、逆方向のインパクトピストン434も含むハンマアセンブリ430の一部である。インパクトボタン412は、また、インパクトハンマ432の丸みのある近位面を受け入れるように形成されたポケットを含み、これにより、インパクトハンマ432とインパクトボタン412との間のエネルギー伝達が更に向上する。近位面の半径は、インパクトハンマ432のインパクトゾーンのエッジがインパクトボタン412の面との接触を回避することを可能にする。近位面の半径は、インパクトボタン412の直径の10%から25%の範囲内であり、エッジ接触を回避する目的を達成し得る。この例では、インパクトボタン412は、衝撃インタフェイス414内の凹部において保持される。衝撃インタフェイス414は、インパクトボタン412が受けるエネルギーを、チャック330において保持されたインパクトツールに伝達する。衝撃インタフェイス414は、チャック330から遠位方向に延びるインパクトシャフトの遠位端に接続して作動する、シャトル筐体401の外側で延びる近位シャフトを含む。インパクトシャフトは、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460によって所定の位置に保持されている。
【0090】
この例では、インパクトハンマ432は、インパクトボタン412へのインパクトエネルギー伝達を向上させるために高密度金属材料である。高密度金属のインパクトハンマ432及び堅いポリマーのインパクトボタン412の組合せは、デッドブローハンマのように作動して、チャック330に接続されたインパクト機器にインパクト力を効率的に伝達する。ハンマアセンブリ430の他の構成要素は、逆方向のインパクトピストン434であり、逆方向のインパクトピストン434はまた、高密度金属材料であり得、シャトル筐体401の遠位端にねじ込まれた逆方向のインパクトキャップ416に対して逆方向(又は遠位)のインパクトを与えるように設計されている。インパクトボタン412と同様に、逆方向のインパクトキャップ416は、逆方向のインパクト力をシャトル筐体401に効率的に伝達するために堅いポリマー材料で作られ得る。特定の例では、システムがシャトル筐体401によって発生する長い力経路に依拠して逆方向のインパクトの間に発生する任意の振動を減衰させつつ、逆方向のインパクトキャップ416は、摩耗特性を向上させるために金属材料で作られ得る。
【0091】
この例では、シャトルアセンブリ310はまた、近位バイアスばね408及び遠位バイアスばね409(本明細書で、まとめて「バイアスばね」として述べる)を含む。バイアスばねは、作動中、シャトル筐体401が筐体302内で中央に置かれた状態を維持するように作動する。バイアスばねは、また、インパクト機器に伝達されない過剰なインパクトエネルギーを散逸するように作動する。例では、エネルギー散逸は、近位のエネルギー吸収アセンブリ450及び遠位のエネルギー吸収アセンブリ440(本明細書で、まとめて「エネルギー吸収アセンブリ」として述べる)によって向上する。エネルギー吸収アセンブリは、空打ちの場合、又はインパクト機器が充分に噛み合っていないか、若しくは他の場合には、ツールによって発生するインパクトエネルギーを充分に吸収することができない状況において、インパクト力を散逸するための追加のエネルギー吸収構成要素を含む。エネルギー吸収アセンブリは、筐体302、最終的にはインパクトツール300のユーザへの好ましくない力の伝達を最小にするように作動する。この例では、遠位のエネルギー吸収アセンブリ440は、逆方向の吸収リング442及び遠位のバイアスリング444を含む。逆方向の吸収リング442は、Sorbothane(登録商標)などのエネルギー吸収ゴムで作られ得る。遠位のバイアスリング444は、遠位のバイアスばね409からバイアス力を受ける金属リングであり得る。近位のエネルギー吸収アセンブリ450は、前方向の吸収リング452及び近位のバイアスリング454を含み得る。逆方向の吸収リング442と同様に、近位の吸収リング452は、Sorbothane(登録商標)などのエネルギー吸収ゴムコンパウンドで作られ得る。近位のバイアスリング454は、近位のバイアスばね408を受け、且つ近位の吸収リング452を保護するように設計された金属リング構造である。遠位のバイアスリング444及び近位のバイアスリング454は、また、バイアスばねが前方向又は逆方向のインパクトによって圧縮されるときにバイアスばねからの力を分散するように作動する。
【0092】
インパクトシャフトベアリングアセンブリ460は、シャフトアセンブリ310からチャック330にインパクトを伝達するインパクトシャフト上の自動調心シャフトベアリングとして作動する。例では、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460は、シャフトベアリング462と、ベアリング筐体464と、筐体Oリング466と、シャフトシール468と、スナップリング469と、を含み得る。シャフトベアリング462は、インパクトシャフトをガイドして、インパクトシャフトの直線的な横運動を可能にする。ベアリング筐体464及び筐体Oリング466は、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460内でインパクトシャフトの微小な角運動を可能にすることによって、自動調心ベアリングアセンブリを発生するように協働する。シャフトシール468は、異物がインパクトシャフトを介してインパクトツール300内に入らないことを保証する。そして、スナップリング469は、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460を近位端キャップ304に保持する。
【0093】
図5Aは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300の複数のサブアセンブリの断面図である。本図は、インパクトツール300の追加の筐体構成要素を取り除いて、シャトルアセンブリ310及びリニア電気モータアセンブリ320(本図ではリニア電気モータのみが示されていることに留意されたい)の追加の詳細図を提供する。示された例は、シャトルアセンブリ310の一部として、インパクトアセンブリ410と、ハンマアセンブリ430と、遠位のエネルギー吸収アセンブリ440と、近位のエネルギー吸収アセンブリ450と、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460と、を含む。示されたアセンブリの各々の構成要素については上述している。図5Aはまた、位置センサアセンブリ470の構成要素である位置スライダ472及び位置磁石474を含む。
【0094】
図5Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300のインパクタサブアセンブリの断面図である。この例では、インパクタサブアセンブリは、図4Aから図5Aを参照して上述したシャトルアセンブリ310に対応している。この例では、衝撃インタフェイス414から延びるインパクトシャフトに接続されたチャック330と共にシャトルアセンブリ310のみが示されている。図5Bは、インパクトハンマ432の近位面における曲率など、追加の詳細の可視化を可能にする。例では、インパクトハンマ432の近位面は、100mmの半径を含む。インパクトハンマ432は、ステンレス鋼又はタングステンなどの金属材料からミーリング又は鋳造され得る。
【0095】
図6Aから図6Cは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300のシャトルサブアセンブリ310の様々な図である。この例では、シャトルアセンブリ310は、インパクトツール300の残りの部分から取り出されて示されている。シャトルアセンブリ310は、シャトル筐体401と、複数のシャトル通気孔402と、シャトルキー405を受け入れるための対向するキー溝406と、を含み得る。図はまた、遠位のエネルギー吸収アセンブリ440及び遠位のバイアスばね409などの構成要素を含む。インパクトハンマ432のねじ山の端は、逆方向のインパクトピストン434から遠位方向に延びて示されている。例では、リニア電気モータは、インパクトハンマ432にねじ込まれている。シャトル筐体401の近位端において、衝撃インタフェイス414の近位端が示されている。衝撃インタフェイス414の近位端は、チャック330に接続されたインパクトシャフトを受け入れる。
【0096】
図6B及び図6Cは、位置スライダ472、位置磁石474、及びスライダクリップ476などの位置センサアセンブリ470の部品の図を含む。スライダクリップ476は、位置センサアセンブリ470をシャトル筐体401に接続する構成要素である。より具体的には、スライダクリップ476は、スライダクリップ476に収容されるように絞られた断面を含む位置スライダ472の上方の端に接続されている。スライダクリップ476は、電子機器及びバッテリが筐体302内に組み立てられた後、シャトルアセンブリ310及びリニア電気モータアセンブリ320の部品をツール筐体302に容易に挿入することを可能にする。スライダクリップ476は、角度が付いたアームにより、低い結合力を要し、アームにおける急峻な延びにより、高い分離力を要するように設計されている。したがって、シャトル及びモータアセンブリは、除去されることを可能(困難ではあるが)にもしつつ、容易に挿入され得る。スライダクリップ476は、充分な力がかかった場合にシャトルアセンブリ310を解放するように設計されており、これらの重要な構成要素のメンテナンス又は修理を可能にする。
【0097】
図6Dは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300のシャトルサブアセンブリ310の断面図である。本図は、示された様々な構成要素の向きにおける追加の視点を提供するために含まれる。示された構成要素の各々の詳細は、上記に含まれる。
【0098】
図7は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300についての自動調心インパクトシャフトベアリング構造の断面図である。この例では、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460は、筐体302の近位端キャップ304内に位置するように示されている。前方向の吸収リング452及び近位のバイアスリング454を含む近位のエネルギー吸収アセンブリ450もこの図に含まれる。近位のエネルギー吸収アセンブリ450は、近位端キャップ304の遠位側の深い円筒溝内に位置している。近位端キャップ304はまた、スナップリング溝を有する中央の円筒ボアを含んで、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460を保持する。上述のように、インパクトシャフトベアリングアセンブリは、シャフトベアリング462と、ベアリング筐体464と、筐体Oリング466と、シャフトシール468と、を含む。この例では、筐体Oリング466は、ベアリング筐体464の外側の面におけるOリング溝内で描写されている。筐体Oリング466は、この例ではベアリング筐体464の近位端に向けて付勢される。別の例では、筐体Oリング466は、ベアリング筐体464の近位端及び遠位端間の中央に置かれたOリング溝内に位置し得る。中央に置かれたOリング溝は、異なる角自動調心特性を提供する。同様に、Oリング溝は、ベアリング筐体464の遠位端の近くに位置し得るが、この位置では、インパクトシャフトベアリングアセンブリ460を保持するスナップリングが近いことによって、角自動調心が制限され得る。
【0099】
図8Aから図8Bは、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツール300についての位置センササブアセンブリ470の様々な図である。この例では、位置センサアセンブリ470は、位置スライダ472と、位置磁石474と、トラック475と、スライダクリップ476と、位置センサ478A、478B(まとめて位置センサ478として参照される)と、を含む。位置スライダ472は、位置スライダ472をシャトル筐体401に接続するためのスライダクリップ476に留められている。位置センサアセンブリ470の目的は、シャトルアセンブリ310、より具体的にはシャトル筐体401についての位置追跡情報を提供することである。シャトル筐体401の位置は、ユーザの意図(外科医の意図の特徴)の予測を含む多数の制御機能に使用される。インパクトツール300は、位置センサアセンブリ470を含んで、前方向又は逆方向のインパクトに関するユーザの意図を予測するための制御回路を含む。外科医の意図は、図11のフローチャートを参照して以下でより詳細に述べられる。
【0100】
位置センサアセンブリ470は、必要とされる移動距離をカバーし、且つ運動の位置及び方向性の両方を提供するために2つの位置センサ478を含む。センサ構成は、また、オンザフライ較正及び起動時のツール機能確認を可能にする(図10を参照して以下でより詳細に述べられる)。例では、位置センサ478は、ホール効果センサである。「ホール効果」の原理は、通電導体又は半導体が垂直磁場に対して導入されることを伴い、電圧は、電流経路に対して直角で測定され得る。本システムでは、位置磁石474は、磁場を発生し、次いで、当該磁場は、0から3.3ボルトの範囲の電圧を発生する位置センサ478によって検知される。制御回路アセンブリ322は、2つのセンサからの出力を組み合わせてシャトル筐体401の位置を決定する処理命令及び/又は回路を含む。処理命令及び/又は回路は、また、センサ出力から運動方向を決定し得る。センサ出力処理は、図12A及び図12Bを参照して以下でより詳細に述べられる。
【0101】
図9Aから図9Cは、シャトルアセンブリ310及びリニア電気モータアセンブリ320の部品の断面図であり、インパクトツール300の作動中の様々なハンマアセンブリ430の位置を示す。図9Aは、ハンマアセンブリ430についての逆方向のインパクト位置を示す。この位置では、ハンマアセンブリ430は、インパクトツール300内で最も遠位の位置にある。シャトル筐体401は、遠位のバイアスばね409を圧縮しており、チャック330に取り付けられた任意のインパクト機器に対して逆方向のインパクトを与えている。図9Bは、前方向のインパクト位置におけるハンマアセンブリ430及びシャトル筐体401を示す。前方向のインパクト位置では、ハンマアセンブリ430は、インパクトボタン412にインパクトを与えており、チャック330に取り付けられたインパクト機器にインパクト力を伝達している。近位のバイアスばね408は、この位置で充分に圧縮されている。図9Cは、中立位置におけるインパクトアセンブリ430及びシャトル筐体401を示す。中立位置では、両方のバイアスばねが、シャトル筐体401を中央に置くように動作している。図9Cに示されるように、ハンマアセンブリ430が中立位置で停められた状態で、シャトル筐体401は、インパクトツール300に取り付けられたインパクト機器をユーザが押し下げるか又は引き戻すことによって遠位又は近位に付勢され得る。シャトル筐体401のバイアス、及び位置センサアセンブリからの信号における結果として生じる変化は、ユーザの意図を予測するために(例えば、トリガが引かれた場合に、前方向のインパクトが望まれているか又は逆方向のインパクトが望まれているかを予測するために)制御回路によって利用される。前方向のインパクトが意図される場合、ユーザはインパクト機器を押し下げ、これにより、シャトル筐体401は遠位に付勢される。逆に、逆方向のインパクトが意図される場合、ユーザはインパクトツールを引き戻し、これにより、シャトル筐体401は近位に付勢される。もちろん、これは、インパクト機器を引き出してシャトル筐体401のバイアスをもたらすのに何らかの抵抗が存在することを想定している。外科医(ユーザ)の意図の手法は、図11を参照して以下で更に述べられる。
【0102】
図10は、本開示の少なくとも1つの例と整合するリニア電気インパクトツールについてのホーミング及び較正手法1000を示すフローチャートである。この例では、手法1000は、1002においてホーミングシーケンスを開始すること、1004においてハードストップまで後退すること、1006においてセンサをモニターすること、1008において遠位のホーム位置にあるかどうかを判定すること、1010において前方向のホーム位置まで移動すること、1012においてセンサをモニターすること、1014において近位のホーム位置にあるかどうかを判定すること、及び任意選択的に1016においてセンサを較正することなどの操作を含み得る。
【0103】
1002において、手法1000は、インパクトツール300を起動して、ホームシーケンスを開始することを始め得る。ホームシーケンスは、制御回路が動作不良を検出した場合、又は必要に応じた手動の開始を通じて、他の時に開始され得る。1004において、リニア電気モータアセンブリ320が逆方向にハンマアセンブリ430を移動させてハードストップに達して、手法1000は継続する。リザーブからハードストップまでの作動の間、1006において制御回路がセンサ出力を監視して、手法1000が継続する。制御回路は、リニア電気モータアセンブリ320及び位置センサアセンブリ470からのセンサ出力をモニターする。監視される出力のうちの1つがモータトルクであり、制御回路は、逆方向のハードストップに到達したことを示しているはずであるモータトルクのスパイクをモニターする。モータトルクのスパイクが、予め規定した閾値を上回る場合、ハンマアセンブリ430が、予期される逆方向のハードストップ位置に到達したかどうかを見るために、位置センサが読み取られる。予期される完全に逆方向の位置では、遠位の位置センサ478Aは、3.3ボルトのピーク電圧であるか又はそれに近く、近位の位置センサ478Bは、2.5ボルト未満又は1.25ボルト未満などの予め規定された閾値未満であろう。これらのアルゴリズムにおいて使用される閾値は、較正中に調整され得る。1008において、モータ及びハンマアセンブリ430が逆方向のハードストップ位置(例えば、遠位のホーム)に到達したことをモータトルク及びセンサ出力読取値が示しているかどうかを制御回路が判定して、手法1000が継続し、確認された場合、手法1000は操作1010に続く。そうでない場合、手法1000は操作1006にループバックし、1006に戻って、制御回路は継続してセンサをモニターする。
【0104】
1010において、リニア電気モータアセンブリ320はゆっくりと、近位のホーム位置(ここで、ツールの近位端がインパクト機器を含む)に向けて前方向にハンマアセンブリ430を移動させて、手法1000が継続する。1012において、モータがハンマアセンブリ430を近位ホーム位置へ移動させつつ、制御回路がセンサ出力を監視して、手法1000が継続する。1012において監視されるセンサ出力は、モータトルクと、移動した距離と、位置センサ478(特に、近位の位置センサ478B)と、を含み得る。1014において、近位のホーム位置に到達したかどうかを制御回路が判定して、手法1000が継続する。ハンマアセンブリ430が近位のホーム位置に到達したことの表示は、(リニア電気モータアセンブリ320によって測定されるような)移動した距離と、モータトルクピークの検知と、近位の位置センサ478Bにおけるピークの検知と、を含み得る。予め規定されたパラメータが満たされる場合、手法1000は継続し、任意選択的に1016で位置センサを較正し得る。パラメータが満たされない場合、手法1000は操作1012にループバックして、制御回路は継続してセンサ出力をモニターする。1016において、制御回路が、遠位及び近位のホーム位置における位置センサ出力を使用して位置センサ478の出力を較正し、手法1000が終わり得る。様々なホーミング操作中、制御回路は、各センサから出力の範囲(最大電圧及び最小電圧)を収集し得る。最小電圧値及び最大電圧値から、制御回路は、各センサのオフセット及び範囲を捕捉し、そしてこれにより、制御回路は、このデータに基づいて各センサについてのオフセット及びゲインを較正することができる。
【0105】
図11は、本開示の少なくとも1つの例と整合する外科医の意図検出手法1100を示すフローチャートである。外科医(例えば、ユーザ)の意図検出手法は、インパクトツール300が外科医の入力に応答してどの方向にインパクト力を発生するか(例えば、前方向のインパクト対逆方向のインパクト)を決定する方法を記載する。本手法は、リニア電気モータアセンブリ320の一部、より具体的には制御回路アセンブリ322の一部である制御回路内で実装される。この例では、手法1100は、1102においてトリガの引っ張りを検出すること、1104においてシャトル筐体位置を決定すること、1106においてインパクト方向を決定すること、1108において前方向のインパクトを開始すること又は1110において逆方向のインパクトを開始すること、1112においてインパクトを繰り返すかどうかを決定すること、及び1114においてインパクトハンマを停めることなどの操作を含み得る。
【0106】
この例では、トリガの引っ張りが生じたことを制御回路が検出して、手法1100が1102において始まる。1104において、制御回路が、位置センサアセンブリ470に照会してインパクトツール300内のシャトル筐体401の位置を決定して、手法1100が継続する。1106において、制御回路が、シャトル筐体401の位置に基づいて、意図されるインパクト方向を決定して、手法1100が継続する。シャトルがインパクトツール内に遠位に押されていることを位置センサアセンブリ470が示す場合、前方向のインパクトが意図される。シャトルが近位に引かれていることを位置センサアセンブリ470が示す場合、逆方向のインパクトが意図される。シャトル筐体401が中立位置にある場合、制御回路は、前のインパクトと同じ方向にインパクトを開始する。
【0107】
操作1106の一部として、手法1100は、制御回路が両方の位置センサ478から位置情報を受信することを含む。インパクトの意図方向を決定するための第1のオプションは、論理フリップフロップ機能を伴う。論理フリップフロップを用いて、位置センサの各々からの出力は、位置センサの各々からのオン又はオフ信号(例えば、バイナリ信号)をもたらす予め規定された閾値電圧値を含むリレー機能を通じて供給される。そして、遠位の位置センサ478Aがオンであり且つ近位の位置センサ478Bがオフである場合、意図方向が前方向に設定され、遠位の位置センサ478Aがオフであり且つ近位の位置センサ478Bがオンである場合、意図方向が逆方向に設定されるように、バイナリ信号がフリップフロップ回路に供給される。
【0108】
インパクトの意図方向を決定するための第2のオプションは、位置センサの出力を結合すること、並びにリレー機能を使用して前方向の意図と逆方向の意図との間で切り換えることを伴う。このオプションでは、制御回路は、各位置センサ478からの出力を読み取り、出力値からオフセットを引いて、結果をアーク消弧機能に供給する。出力のジャンプを回避するために、アーク消弧機能の出力がアンラップ機能を通じて供給され、アンラップ機能の出力は、シャトル筐体401の位置のリニア出力をもたらす。そして、アンラップ機能の出力は、意図方向を切り換えるための2方向の閾値を伴うリレー機能を通じて供給される。最も遠位の位置で開始して、シャトル筐体401の位置が近位に移動するとき、処理された位置データが近位の閾値を超えたことを示すまで前方向の意図方向が維持され、その時に、意図方向が逆方向のインパクトに切り換えられる。遠位方向に戻る移動が遠位の閾値を超えたことをシャトル筐体位置が示すまで、制御回路は逆方向のインパクトの意図を維持する。近位及び遠位の閾値は、制御回路内でプログラムされ得る予め規定された位置である。
【0109】
1108において、シャトル筐体401がインパクトツール300内でより遠位に位置していることが判定される場合、手法1100は継続して前方向のインパクトを開始する。この状態において、制御回路は、前方向のインパクト軌道をトリガし、当該前方向のインパクト軌道は、予め規定された位置へ向けてハンマアセンブリ430を遠位に移動させ、ハンマアセンブリ430を近位へ加速させてインパクトボタン412をインパクトすることを伴う。制御回路は、ツールをどの強度設定にするかを決定し、それに従って前方向のインパクト軌道を選択する。低い設定において、ハンマアセンブリ430は、ツールがより高い強度設定に設定される場合よりも近位である第1の位置で前方向のインパクト軌道を開始し得る。より高い強度設定において、ハンマアセンブリ430は、リニア電気モータアセンブリ320についての運動の最も遠位の範囲の近くまで移動し得る。
【0110】
1110において、シャトル筐体401がインパクトツール300内でより近位に位置していることが判定される場合、制御回路は逆方向のインパクトを開始して、手法1100が継続し得る。この状態において、制御回路は、逆方向のインパクト軌道をトリガし、当該逆方向のインパクト軌道は、停められた位置から予め規定された開始位置へハンマアセンブリ430を近位に移動させ、ハンマアセンブリ430を遠位に加速させて逆方向のインパクトキャップ416をインパクトすることを伴う。例では、逆方向のインパクトは全て、中立停止位置に近位の予め定められた同じ位置から開始され得る。
【0111】
1112において、インパクトツール300がインパクトを繰り返すように構成されているかどうか(トリガが起動された状態のままであるかどうかを含む)を制御回路が判定し、手法1100が継続する。繰り返されるインパクト状態が検出されない場合、制御回路が、ハンマアセンブリ430を停めるようにリニア電気モータアセンブリ320に命令して、手法1100は1114において終わり得る。繰り返されるインパクト状態が検出される場合、手法1100は操作1104に戻り、シャトル筐体401の位置を決定して、次のインパクトのために外科医の意図を評価する。このように外科医の意図を継続してモニターすることで、鋸引きなどのインパクト手法を、インパクトツール300を用いて行うことができる。
【0112】
注記
上記で詳述した説明は、詳細な説明の一部を形成した添付図面に対する参照を含む。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。当該実施形態はまた、本明細書で「例」と称される。当該例は、示された又は記載された要素に追加の要素を含み得る。しかしながら、本発明者はまた、示された又は記載された当該要素のみが提供される例を想定する。更に、本発明者はまた、特定の例(若しくはその1つ又は複数の態様)に関して、又は本明細書に示された又は記載された他の例(若しくはその1つ又は複数の態様)に関して、示された又は記載された当該要素(又はその1つ又は複数の態様)の任意の組合せ又は並べ替えを用いた例を想定する。
【0113】
本明細書と、参照により援用されるような任意の明細書との間で語法が矛盾している場合、本明細書における語法に支配される。
【0114】
特許明細書では一般的なことであるが、本明細書では、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の場合又は語法と独立して、1つ又は1つよりも多くを含めるために使用される。本明細書では、「又は」という用語は、非排他的なもの、特に示さない限り「A又はB」が「BではなくA」、「AではなくB」、並びに「A及びB」を含むようなものを指すために使用される。本明細書では、「含む(including)」及び「そこにおいて(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「そこにおいて(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語に相当するものとして使用される。また、以下の請求項では、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語はオープンエンドのものである、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されたものに対して追加の要素を含むシステム、デバイス、物品、構成物、配合物、又はプロセスは依然、その請求項の範囲内に入るものと見なされる。更に、以下の請求項では、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの物体に対して数値要件を課すことを意図したものではない。
【0115】
上記説明は、例示であることを意図したものであり、制限することを意図したものではない。例えば、上述の例(又はその1つ又は複数の態様)は、互いに組み合わされて使用され得る。上記説明を再検討する際に当業者などによって他の実施形態が使用され得る。要約書は、読者が技術的な開示の本質を迅速に確かめることができるように37C.F.R.§1.72(b)に準拠して提供される。それは、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないという理解を伴って提出される。また、上記の詳細な説明では、様々な特徴は、本開示を簡素化するために合わせてまとめられ得る。これは、請求されていない開示特徴が任意の請求項に対して必須であることを意図したものであると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、開示された特定の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に存在し得る。したがって、以下の請求項は、本明細書で例又は実施形態として詳細な説明に援用され、各請求項は、それ自体で別の実施形態として置かれており、当該実施形態は、様々な組合せ又は並べ替えにおいて互いに組み合わされ得ることが想定される。本発明の範囲は、添付の請求項を参照して、当該請求項に権利が与えられる均等物の全範囲と共に決定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11
【外国語明細書】