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特開2024-132357情報処理システム及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132357
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240920BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043089
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟木 翔太
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA47
5B376CA57
5B376CA60
(57)【要約】
【課題】実際に設置する機械とは異なる環境で行った設定を、設置対象の機械に反映する際に、不都合を生じることなく設定を反映することが可能な情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】シミュレータ環境50で特定した設定情報を更新待ちデータ部72に保持し、当該設定情報を実デバイス12に反映する際に、更新待ちデータ部72に保持した設定情報と、画像形成装置12に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、実デバイス12に反映する処理を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
設置対象の機械へ反映する設定情報であって、実際に設定する機械と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、
前記特定設定情報を前記機械に反映する際に、前記予め定めた領域に保持した前記特定設定情報と、前記機械に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、前記機械に反映する処理を行う情報処理システム。
【請求項2】
前記異なる環境は、前記機械の環境を仮想的に再現した再現環境である請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、複数の前記機械を対象に前記処理を行う請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、複数の前記機械を対象とする場合、最初に設定する前記機械に前記特定設定情報を反映した際の規則に従って他の前記機械の設定を行う請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、競合が発生する前記設定情報が前記機械の状態により動的に代わる設定情報の場合は、前記機械に設定済みの設定情報を前記機械に反映する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
コンピュータに、
設置対象の機械へ反映する設定情報であって、実際に設定する機械と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、
前記特定設定情報を前記機械に反映する際に、前記予め定めた領域に保持した前記特定設定情報と、前記機械に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、前記機械に反映する処理を実行させるための情報処理プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置の設定に関する設定情報を管理する管理手段と、画像形成装置が情報処理装置と接続した場合には画像形成装置が保持する設定情報を画像形成装置から受信し、かつ、画像形成装置が情報処理装置と接続した後に画像形成装置が保持する設定情報が更新された場合には該設定情報の更新内容を示す情報を画像形成装置から受信する受信手段と、画像形成装置が情報処理装置と接続した場合における設定情報の受信に対する応答として、更新内容を示す情報を画像形成装置から情報処理装置へ送信させるか否かを示す応答を設定情報の設定項目単位で画像形成装置に送信する送信手段と、を備えた情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-038356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置等の機械の初期設置前に、実際に設置する機械と異なる環境、例えば、クラウド環境等の実際の機械を再現した再現環境で設定を行って、機械の初期設置時に実際に設置する機械に反映することが考えられる。ここで、例えば、機械の設定が初期設定から調整された上で工場から出荷されることがある。このように、初期設置前に機械が初期設定と異なる設定となっていた場合、実際に設置する機械とは異なる環境で初期設定を前提に行われた設定を、初期設定する実際の設置対象の機械に反映すると、例えば、工場出荷時に変更した設定を無視した反映となり、不都合が生じる場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、実際に設置する機械とは異なる環境で行った設定を、設置対象の機械に反映する際に、不都合を生じることなく設定を反映することが可能な情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、設置対象の機械へ反映する設定情報であって、実際に設定する機械と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、前記特定設定情報を前記機械に反映する際に、前記予め定めた領域に保持した前記特定設定情報と、前記機械に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、前記機械に反映する処理を行う。
【0007】
第2態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記異なる環境は、前記機械の環境を仮想的に再現した再現環境である。
【0008】
第3態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、複数の前記機械を対象に前記処理を行う。
【0009】
第4態様に係る情報処理システムは、第3態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、複数の前記機械を対象とする場合、最初に設定する前記機械に前記特定設定情報を反映した際の規則に従って他の前記機械の設定を行う。
【0010】
第5態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、競合が発生する前記設定情報が前記機械の状態により動的に代わる設定情報の場合は、前記機械に設定済みの設定情報を前記機械に反映する。
【0011】
第6態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、設置対象の機械へ反映する設定情報であって、実際に設定する機械と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、前記特定設定情報を前記機械に反映する際に、前記予め定めた領域に保持した前記特定設定情報と、前記機械に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、前記機械に反映する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
第1態様によれば、実際に設置する機械とは異なる環境で行った設定を、設置対象の機械に反映する際に、不都合を生じることなく設定を反映することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0013】
第2態様によれば、実際の機械の設定を仮想的に設定することが可能となる。
【0014】
第3態様によれば、複数の機械の設定を一括で行うことが可能となる。
【0015】
第4態様によれば、解消指示を機械毎に受け付けることなく設定を反映できる。
【0016】
第5態様によれば、機械の状態により動的に代わる設定情報の場合は、競合の発生を通知して解消指示を受け付けることなく機械に設定を反映できる。
【0017】
第6態様によれば、実際に設置する機械とは異なる環境で行った設定を、設置対象の機械に反映する際に、不都合を生じることなく設定を反映することが可能な情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成システムにおける画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るローカルサーバ及びクラウドサーバの電気系の要部構成を示すブロック図である。
図4】シミュレータ環境で画像形成装置の設定を行って実際の画像形成装置に設定を反映する様子を示す図である。
図5】工場で変更された設定がデフォルトの設定に変更されることにより不具合例を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る画像形成システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図7】仮想デバイス及び実デバイスで行われる、処理1としての設定変更の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】仮想デバイス及び実デバイスで行われる、処理2としての設定管理サーバとの同期処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】設定管理サーバで行われる、処理3としてのデータ更新通知の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】設定管理サーバの競合データ部に書き込まれた競合データの一例を示す図である。
図11】設定管理サーバの更新待ちデータ部に書き込まれた更新待ちデータと更新要求元情報の一例を示す図である。
図12】設定管理サーバの設定データ部に書き込まれた設定データの一例を示す図である。
図13】設定管理サーバで行われる、処理4としてのデータ取得要求の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】設定管理サーバで行われる、処理5としてのデータ競合の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】仮想デバイス、実デバイス、及び設定変更システムで行われる、処理6としての競合通知の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16】競合通知を受け付けた際に表示する画面の一例を示す図である。
図17】本実施形態に係る画像形成システムにおいて、設定の競合がない場合の具体例を説明するための図である。
図18】本実施形態に係る画像形成システムにおいて、設定の競合がある場合の具体例を説明するための図である。
図19】本実施形態に係る画像形成システムにおいて、設定の競合があり、複数台設定する場合の具体例を説明するための図である。
図20】本実施形態に係る画像形成システムにおいて、Read Onlyな設定の競合がある場合の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。本実施形態では、画像形成システム10を情報処理システムの一例として説明する。
【0020】
本実施形態に係る画像形成システム10は、図1に示すように、ローカルサーバ11、設置対象の機械の一例としての画像形成装置12、及びクラウドサーバ14を備えている。なお、本実施形態では、ローカルサーバ11、画像形成装置12、及びクラウドサーバ14をそれぞれ1つのみ示すがそれぞれ複数備えてもよい。また、ローカルサーバ11は省略した形態としてもよい。
【0021】
ローカルサーバ11及び画像形成装置12は、LAN(Local Area Network)、イントラネット等の内部通信回線17に各々接続されている。また、内部通信回線17及びクラウドサーバ14は、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の外部通信回線18に各々接続されている。そして、ローカルサーバ11、画像形成装置12、及びクラウドサーバ14の各々は、内部通信回線17及び外部通信回線18を介して各種データの送受信を相互に行うことが可能とされている。
【0022】
図2は、本実施形態に係る画像形成システム10における画像形成装置12の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態に係る画像形成装置12は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを含むコントロール・ユニット20を備えている。CPU20Aは、画像形成装置12の全体の動作を司る。RAM20Cは、CPU20Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM20Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。そして、画像形成装置12は、コントロール・ユニット20の各部がシステムバス42によって電気的に接続されている。
【0024】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、各種のデータやアプリケーション・プログラム等を記憶するHDD(hard disk drive)26を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22のディスプレイへの各種の操作画面等の表示を制御する表示制御部28を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22を介して入力される操作指示を検出する操作入力検出部30を備えている。そして、画像形成装置12では、HDD26、表示制御部28、及び操作入力検出部30がシステムバス42に電気的に接続されている。なお、本実施の形態に係る画像形成装置12では、HDD26を備える例を説明するが、これに限らず、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を備えてもよい。
【0025】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、原稿読取部46による光学的な画像の読み取り動作、及び原稿搬送部による原稿送り動作を制御する読取制御部32と、画像形成部24による画像形成処理、及び搬送部25による画像形成部24への用紙の搬送を制御する画像形成制御部34と、を備えている。また、画像形成装置12は、内部通信回線17に接続され、当該内部通信回線17に接続された他の装置と通信データの送受信を行う通信回線インタフェース(通信回線I/F)部36、及び各種画像処理を行う画像処理部44を備えている。また、画像形成装置12は、図示しない電話回線に接続され、当該電話回線に接続されているファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うファクシミリインタフェース(ファクシミリI/F)部38を備えている。また、画像形成装置12は、ファクシミリインタフェース部38を介したファクシミリデータの送受信を制御する送受信制御部40を備えている。そして、画像形成装置12では、送受信制御部40、読取制御部32、画像形成制御部34、通信回線インタフェース部36、ファクシミリインタフェース部38、及び画像処理部44がシステムバス42に電気的に接続されている。
【0026】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置12は、CPU20Aにより、RAM20C、ROM20B、及びHDD26へのアクセスを各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、表示制御部28を介したユーザインタフェース22のディスプレイへの操作画面、各種のメッセージ等の情報の表示の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、読取制御部32を介した原稿読取部46及び原稿搬送部の作動の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、画像形成制御部34を介した画像形成部24及び搬送部25の作動の制御と、通信回線インタフェース部36を介した通信データの送受信の制御と、を各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、送受信制御部40によるファクシミリインタフェース部38を介したファクシミリデータの送受信の制御を実行する。さらに、画像形成装置12は、CPU20Aにより、操作入力検出部30によって検出された操作情報に基づくユーザインタフェース22における操作内容の把握が行われ、この操作内容に基づく各種の制御を実行する。
【0027】
続いて、本実施形態に係る画像形成システム10におけるローカルサーバ11、及びクラウドサーバ14の電気系の要部構成について説明する。図3は、本実施形態に係るローカルサーバ11及びクラウドサーバ14の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、ローカルサーバ11及びクラウドサーバ14は基本的には一般的なコンピュータの構成とされているので、クラウドサーバ14を代表して説明してローカルサーバ11の説明は省略し、対応する符号のみを図3に示す。
【0028】
本実施の形態に係るクラウドサーバ14は、図3に示すように、CPU14A、ROM14B、RAM14C、ストレージ14D、操作部14E、表示部14F、及び通信回線インタフェース(I/F)部14Gを備えている。CPU14Aは、クラウドサーバ14の全体の動作を司る。ROM14Bは、各種制御を行う情報処理プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM14Cは、CPU14Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ストレージ14Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。操作部14Eは各種の情報を入力するために用いられる。表示部14Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線インタフェース部14Gは、外部通信回線18に接続され、当該外部通信回線18に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上のクラウドサーバ14の各部はシステムバス14Hにより電気的に相互に接続されている。本実施形態に係るクラウドサーバ14では、ストレージ14Dを記憶部として備えるが、ストレージ14Dとしては、例えば、HDDやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部が適用される。なお、ローカルサーバ11の通信回線インタフェース部11Gは、内部通信回線17に接続され、当該内部通信回線17に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。
【0029】
以上の構成により、本実施の形態に係るクラウドサーバ14は、CPU14Aにより、ROM14B、RAM14C、及びストレージ14Dに対するアクセス、操作部14Eを介した各種データの取得、表示部14Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、クラウドサーバ14は、CPU14Aにより、通信回線インタフェース部14Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0030】
上述のように構成されたローカルサーバ11は、複数の画像形成装置12を管理するMPS(Managed Print Service)の機能を有する。なお、以下では、ローカルサーバ11は同符号を記してMPS11と称する場合がある。また、画像形成装置12についても同符号を記して実デバイス12と称する場合がある。
【0031】
また、クラウドサーバ14は、図4に示すように、画像形成装置12を仮想的に再現した仮想デバイス60で画像形成装置12の設定を行うシミュレータ環境50、及びシミュレータ環境50で設定された設定情報を実際の環境51の実デバイス12に反映する設定管理サーバ54として機能する。なお、本実施形態では、シミュレータ環境50と設定管理サーバ54の機能を共に1つのクラウドサーバ14に備えるものとして説明するが、それぞれ別のサーバの機能としてもよい。
【0032】
本実施形態に係る画像形成システム10では、例えば、図4に示すように、画像形成装置12の販売業者が、納入先のお客様専用の設定の検証をシミュレータ環境50で実施し、検証した設定情報Sを設定管理サーバ54に登録する。なお、図4は、シミュレータ環境50で画像形成装置12の設定を行って実際の画像形成装置12に設定を反映する様子を示す図である。
【0033】
そして、検証した画像形成装置12の設定情報Sを設定管理サーバ54からダウンロード、または販売業者が直接インポートして設定情報を実デバイス12に反映することで、画像形成装置12が即時運用可能となる。
【0034】
しかしながら、シミュレータ環境50と実際の画像形成装置12で設定の競合が発生し、片方の設定のみを採用すると不具合が発生する場合がある。例えば、初期設定から設定が調整された上で工場から出荷されることがある。このように、初期設置前に機械が初期設定と異なる設定となっていた場合、実際に設置する画像形成装置12とは異なるシミュレータ環境50で初期設定を前提に行われた設定を、初期設定する実際の設置対象の機械に反映すると、例えば、工場出荷時に変更した設定を無視した反映となり、不都合が生じる場合がある。
【0035】
具体的には、組立工場で実際の画像形成装置12の調整を行って調整結果を反映した設定値を設定し、センサの特性値を設定する。一方、画像形成装置12の販売業者がシミュレータ環境50で行う設定では、組立工場で調整された設定値やセンサ特性は設定変更せずにデフォルトの値を適用する。そして、シミュレータ環境50で設定された設定情報を実際の画像形成装置12に反映すると、工場で設定された設定値がデフォルトの値に上書きされてしまい、不都合が生じる。例えば、図5に示すように、工場での調整が反映された状態が、工場の調整が反映されていない状態となり、印刷を行うと形成された画像が用紙からはみ出る、濃度が薄いといった画質トラブルが発生する。
【0036】
そこで、本実施形態に係る画像形成システム10では、設置対象の画像形成装置12へ反映する設定情報であって、実際に設定する画像形成装置12と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、特定設定情報を画像形成装置12に反映する際に、予め定めた領域に保持した特定設定情報と、画像形成装置12に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、画像形成装置12に反映する処理を行うようになっている。なお、異なる環境の一例としては、本実施形態では、後述するシミュレータ環境50(図6参照)が対応する。また、「異なる」は、別の機器や、実機でなくクラウドというレベルだけでなく、例えば、同じ機器でもいいが、少なくとも1つの設定が違う状態で行うくらいでもよい。具体的には、納入する装置を用いて事前に設定するようなものも含む。この場合、IP(Internet Protocol)アドレスはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)で自動付与され異なるがその他はほぼ同一となる。
【0037】
続いて、本実施形態に係る画像形成システム10において、上述の処理を行うための機能構成について説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成システム10の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0038】
本実施形態に係る画像形成システム10は、再現環境としてのシミュレータ環境50、設定管理サーバ54、設定変更システム52、デフォルト管理サーバ56、及び実デバイス12の機能を有する。なお、シミュレータ環境50、設定管理サーバ54、設定変更システム52、及びデフォルト管理サーバ56は、単一のクラウドサーバ14が提供する機能としてもよいし、少なくとも1以上が他のサーバが提供する機能としてもよいし、それぞれ別のサーバが提供する機能としてもよい。本実施形態では、シミュレータ環境50、設定管理サーバ54、及びデフォルト管理サーバ56をクラウドサーバ14が提供する機能とし、設定変更システム52は、ローカルサーバ(MPS)11が提供する機能として説明する。
【0039】
シミュレータ環境50は、環境制御得部58及び仮想デバイス60の機能を有し、環境制御得部58は、画像形成装置12と異なる仮想的な環境として画像形成装置12を仮想的に再現した仮想デバイス60を作成する。環境制御得部58で作成された仮想デバイス60は、画像形成装置12の納入先のお客様専用の設定の検証し、検証した設定情報を設定管理サーバ54に登録する処理を行う。
【0040】
環境制御得部58は、通信I/F部61、設定取得部62、及び仮想デバイス作成部63の機能を有する。
【0041】
通信I/F部61は、デフォルト管理サーバ56と通信を行って、デフォルトの設定データ等の各種データの送受信を行う。
【0042】
設定取得部62は、デフォルト管理サーバ56から通信I/F部61を介して、シミュレーション対象の画像形成装置12のデフォルトの設定データを取得する。
【0043】
仮想デバイス作成部63は、設定取得部62が取得したデフォルトの設定データを適用した仮想の画像形成装置12となる仮想デバイス60を作成する。
【0044】
仮想デバイス60は、UI64、通信I/F部65、競合解決部66、設定制御部67、設定データ部68、及び更新データ部69の機能を有する。
【0045】
UI64は、仮想デバイス60の設定の検証を行い際の設定情報の表示や、設定値の受け付け等を行う。
【0046】
通信I/F部65は、設定変更システム52と通信を行って、設定情報等の各種データの送受信を行う。
【0047】
競合解決部66は、設定管理サーバ54から更新成功の通知を受信した場合に、更新データ部69を空にし、取得したデータに基づいて設定データを変更し、設定データ部68に変更された設定内容を記憶する。
【0048】
設定制御部67は、UI64によって受け付けた設定値に応じて仮想デバイス60の動作を制御する。例えば、設定制御部67は、設定が変更された場合に変更された設定内容を設定データ部68に記憶し、更新データ部69にも設定管理サーバ54に送信するための変更内容を追加する。
【0049】
設定データ部68は、UI64によって受け付けた設定値を記憶する領域であり、更新データ部69は、更新された設定値等を記憶する領域である。
【0050】
設定管理サーバ54は、通信I/F部70、設定データ更新制御部71、予め定めた領域の一例としての更新待ちデータ部72、設定データ部73、競合判定部74、競合管理部75、競合キー部76、及び競合データ部77の機能を有する。
【0051】
通信I/F部70は、仮想デバイス60、設定変更システム52、及び実デバイス12と通信を行い、各種データの送受信を行う。
【0052】
設定データ更新制御部71は、設定情報を受信した場合に、設定情報の送信元に応じて、更新待ちデータ部72への記憶と、設定データ部73への記憶とを制御する。例えば、実デバイス12から設定情報をお受信した場合には設定データ部73に記憶する。一方、シミュレータ環境50又は設定変更システム52から設定情報を受信した場合には設定データ部73に記憶せずに更新待ちデータ部72に記憶し、競合判定の終了後に設定データ部73に設定情報を記憶する。
【0053】
更新待ちデータ部72は、シミュレータ環境50又は設定変更システム52から送信された、設定情報の変更内容を記憶する領域であり、設定データ部73は、設定情報を記憶する領域である。
【0054】
競合判定部74は、実デバイス12から受信した設定情報と、シミュレータ環境50または設定変更システム52から受信した設定情報とに齟齬が発生しているか否かを判定することにより、設定情報に競合が発生しているか否かを判定する。
【0055】
競合管理部75は、競合判定部74によって競合が発生していると判定された場合に、競合を識別するための競合キーを生成して競合キー部76に記憶し、競合データを競合データ部77に記憶する。
【0056】
競合キー部76は競合管理部75で生成した競合キーを記憶する記憶領域であり、競合データ部77は競合データを記憶する記憶領域である。
【0057】
設定変更システム52は、通信I/F部78及び競合解決部79の機能を有する。
【0058】
通信I/F部78は、シミュレータ環境50、設定管理サーバ54、及び実デバイス12と通信を行って、各種データの送受信を行う。
【0059】
競合解決部79は、複数台の設定を行う際に、同様の競合が発生する場合に、始めに設定された設定情報の選択結果を特定設定情報として記憶しておき、同様の競合が他のデバイスで発生した際に、始めに設定された規則に従って他のデバイスを設定する。
【0060】
デフォルト管理サーバ56は、通信I/F部80、設定データ管理部81、及びデフォルト設定データ部82の機能を有する。
【0061】
通信I/F部80は、シミュレータ環境50と通信を行って、デフォルトの設定データ等の各種データの送受信を行う。
【0062】
設定データ管理部81は、シミュレータ環境50からの要求に従って、対応する機種のデフォルトの設定データをデフォルト設定データ部82から読み出して、シミュレータ環境50へ送信する。
【0063】
デフォルト設定データ部82は、機種毎に予め定めたデフォルトの設定データ等を記憶する記憶領域である。
【0064】
実デバイス12は、シミュレータ環境50の仮想デバイス60と同様の機能を備えている。すなわち、実デバイス12は、UI64、通信I/F部65、競合解決部66、設定制御部67、設定データ部68、及び更新データ部69の機能を有する。各機能は、シミュレータ環境50の仮想デバイス60と同様の機能のため説明を省略する。
【0065】
すなわち、上述の各機能により本実施形態に係る画像形成システム10では、シミュレータ環境50で特定した設定情報を更新待ちデータ部72に保持し、当該設定情報を実デバイス12に反映する際に、更新待ちデータ部72に保持した設定情報と、画像形成装置12に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、実デバイス12に反映する処理を行う。
【0066】
具体的には、本実施形態に係る画像形成システム10では、各部で以下の処理1~6の処理を行う。処理1~6の詳細については後述する。
【0067】
仮想デバイス60及び実デバイス12は、設定変更の受け付け処理(処理1)、及び設定管理サーバ54との同期処理(処理2)を行う。
【0068】
設定管理サーバ54は、データ更新通知の受付処理(処理3)、データ取得要求の受付処理(処理4)、及びデータ競合の判定処理(処理5)を行う。
【0069】
また、設定データ更新元(仮想デバイス60、実デバイス12、及び設定変更システム52)は、競合通知の受付処理(処理6)を行う。
【0070】
主なケースにおける時系列的な流れは以下の順になる。
更新データなしの場合は、処理2(更新待ちデータ取得を設定管理サーバ54へ要求)→処理4 (更新待ちデータをデバイスに応答)→処理2(終了) となる。なお、以降「更新待ちデータ取得」と略す。
更新データなし、競合ありの場合は、処理2→処理4(競合によるデータ取得失敗とデバイスへ応答)→処理2(デバイスは同期要求待ち状態になる)→処理6(競合を解消したデータ更新通知を設定管理サーバ54に送る) →処理3(サーバでデータ更新通知を受け付ける) →「更新待ちデータ取得」となる。なお、処理6を実デバイス12で行った場合「更新待ちデータ取得」は不要となる。
更新データあり、競合なしの場合は、処理1→処理2(データ更新通知を設定管理サーバ54に送る)→処理3(データ更新通知を受け付ける)→処理5(競合無し)→処理3(更新成功応答)→ 更新待ちデータ取得」となる。
更新データあり、競合ありの場合は、処理1→処理2→処理3まで競合なし時と同じで、処理1→処理2→処理3→処理5(競合あり)→処理3(競合による更新失敗応答)→処理2(更新データを空にし、同期要求待ち状態)→処理6→「更新待ちデータ取得」となる。なお、処理6を実デバイス12で行った場合「更新待ちデータ取得」は不要となる。
【0071】
続いて、本実施形態に係る画像形成システム10の各部で行われる、上述の処理1~処理6の具体的な処理の流れについて説明する。
【0072】
まず、上述の処理1の設定変更の受付処理について説明する。図7は、仮想デバイス60及び実デバイス12で行われる、処理1としての設定変更の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、仮想デバイス60及び実デバイス12の双方で行われる処理であるため、以下では、代表して仮想デバイス60で行われる処理として説明する。
【0073】
ステップ100では、仮想デバイス60が、設定変更要求を受け付けてステップ102へ移行する。すなわち、UI64により設定変更要求を受け付ける。
【0074】
ステップ102では、仮想デバイス60が、同期設定が有効で、かつ、同期処理によらない変更であるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ106へ移行する。なお、同期処理による変更とは、設定管理サーバ54のデータを反映させる処理、及び競合解消をデバイスで選択した際の値に反映する処理である。
【0075】
ステップ104では、仮想デバイス60が、更新データ部69に要求された設定を書き込んでステップ106へ移行する。
【0076】
ステップ106では、仮想デバイス60が、設定データ部68に要求された設定を書き込んで一連の処理を終了する。
【0077】
続いて、上述の処理2の設定管理サーバ54との同期処理について説明する。図8は、仮想デバイス60及び実デバイス12で行われる、処理2の設定管理サーバ54との同期処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、仮想デバイス60及び実デバイス12の双方で行われる処理であるため、以下では、仮想デバイス60を代表として説明する。
【0078】
ステップ200では、仮想デバイス60が、設定管理サーバ54との同期要求を受け付けてステップ202へ移行する。
【0079】
ステップ202では、仮想デバイス60が、更新データが存在するか否かを判定する。すなわち、更新データ部69に更新データが記憶されているか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ204へ移行し、肯定された場合にはステップ210へ移行する。
【0080】
ステップ204では、仮想デバイス60が、設定管理サーバ54の更新待ちデータを取得してステップ206へ移行する。
【0081】
ステップ206では、仮想デバイス60が、更新待ちデータの取得が成功したか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ208へ移行し、否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理を繰り返す。
【0082】
ステップ208では、仮想デバイス60が、取得したデータに基づき設定データを変更して一連の処理を終了する。
【0083】
一方、ステップ210では、仮想デバイス60が、データ更新要求を設定管理サーバ54に送信してステップ212へ移行する。
【0084】
ステップ212では、仮想デバイス60が、更新結果を設定管理サーバ54から受信したか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ214へ移行する。
【0085】
ステップ214では、仮想デバイス60が、更新が成功したか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ216へ移行し、否定された場合にはステップ218へ移行する。
【0086】
ステップ216では、仮想デバイス60が、更新データ部69を空にして上述のステップ204へ移行する。
【0087】
一方、ステップ218では、仮想デバイス60が、競合による失敗であるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理を繰り返し、肯定された場合にはステップ220へ移行する。
【0088】
ステップ220では、仮想デバイス60が、更新データ部69を空にしてステップ200に戻って上述の処理を繰り返す。
【0089】
続いて、処理3のデータ更新通知の受付処理について説明する。図9は、設定管理サーバ54で行われる、処理3としてのデータ更新通知の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0090】
ステップ300では、設定管理サーバ54が、更新データ通知を受け付けてステップ302へ移行する。具体的には、設定データ更新制御部71が、仮想デバイス60、実デバイス12、または設定変更システム52から更新データ通知を受け付ける。更新データ通知としては、例えば、設定Aが「1」に更新されたことを表す通知として、{”A”:1}を受け付ける。なお、更新データ通知の要求元の情報は、例えば、HTTPの場合は、ヘッダで書かれたユーザエージェントやIPアドレスなどのメタデータから取得する。
【0091】
ステップ302では、設定管理サーバ54が、更新待ちデータと競合するか否かを判定する。該判定は、設定データ更新制御部71が、更新待ちデータ部72に記憶された更新待ちデータと、設定データ部73に記憶された設定データとに齟齬があるか否かを判定する。該判定が、肯定された場合にはステップ304へ移行し、否定された場合にはステップ312へ移行する。
【0092】
ステップ304では、設定管理サーバ54が、更新通知に設定管理サーバ54で管理する競合キーと一致するものがあるか否かを判定する。競合キーと一致するものがなく判定が否定された場合にはステップ306へ移行し、肯定された場合にはステップ322へ移行する。
【0093】
ステップ306では、設定管理サーバ54が、更新待ちデータの情報と今回の情報を競合データ部77に書き込んでステップ308へ移行する。図10に設定管理サーバ54の競合データ部77に書き込まれた競合データの一例を示す。図10では、実デバイス12と仮想デバイス60とで設定Aで競合が発生し、競合キーが1とされている例を示す。
【0094】
ステップ308では、設定管理サーバ54が、競合データの他の要求元及び登録された通知先へ競合通知を送信してステップ310へ移行する。
【0095】
ステップ310では、設定管理サーバ54が、「競合発生による更新失敗」と競合データを応答して一連の処理を終了する。
【0096】
一方、ステップ302の判定が否定されてステップ312へ移行すると、ステップ312では、設定管理サーバ54が、実デバイス12からの通知であるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ314へ移行し、肯定された場合にはステップ316へ移行する。
【0097】
ステップ314では、設定管理サーバ54が、更新待ちデータ部72に設定データと更新要求元情報を書き込んでステップ320へ移行する。図11に設定管理サーバ54の更新待ちデータ部72に書き込まれた更新待ちデータと更新要求元情報の一例を示す。図11の例では、仮想デバイス60からデバイスIDが「000001」の設定Aの値として「2」を更新待ちデータ部72に書き込み、MPS11からデバイスIDが「000001」の設定Bとして「true」を更新待ちデータ部72に書き込み、MPS11からデバイスIDが「000002」の設定Bとして「true」を更新待ちデータ部72に書き込んだ例を示す。
【0098】
ステップ316では、設定管理サーバ54が、設定データ部73に受け付けた更新データを書き込んでステップ318へ移行する。図12に設定管理サーバ54の設定データ部73に書き込まれた設定データの一例を示す。図12の例では、デバイスIDが「000001」の設定Aとして「1」、設定Bとして「fales」、設定Cとして「5」が書き込まれ、デバイスIDが「000002」の設定Aとして「1」が書き込まれた例を示す。
【0099】
ステップ318では、設定管理サーバ54が、更新待ちデータ部72のRead Onlyデータを削除してステップ320へ移行する。なお、Read Onlyデータとは、設定項目として後から変更できる設定ではなく、ハードディスクの接続の有無等の実デバイス12の状態によって動的に代わってしまう設定である。
【0100】
ステップ320では、設定管理サーバ54が、「更新成功」と応答して一連の処理を終了する。
【0101】
一方、ステップ304の判定が肯定されてステップ322へ移行すると、ステップ322では、設定管理サーバ54が、競合管理部75が保持する当該機の競合キーを削除して上述のステップ312へ移行する。なお、競合キーの削除と共に、競合キーに対応する競合データも削除する。
【0102】
続いて、処理4のデータ取得要求の受付処理について説明する。図13は、設定管理サーバ54で行われる、処理4としてのデータ取得要求の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0103】
ステップ400では、設定管理サーバ54が、データ取得通知を受け付けてステップ402へ移行する。
【0104】
ステップ402では、設定管理サーバ54が、当該機の競合キーがあるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ404へ移行し、競合キーがなく判定が否定された場合にはステップ406へ移行する。
【0105】
ステップ404では、設定管理サーバ54が、競合によるデータ取得失敗と競合通知と同様の内容を応答して一連の処理を終了する。
【0106】
一方、ステップ406では、設定管理サーバ54が、データ取得成功と更新待ちデータを応答してステップ408へ移行する。
【0107】
ステップ408では、設定管理サーバ54が、実デバイス12からの通知である化否かを判定する。該判定が否定された場合には一連の処理を終了し、肯定された場合にはステップ410へ移行する。
【0108】
ステップ410では、設定管理サーバ54が、更新待ちデータを設定データに反映して一連の処理を終了する。
【0109】
続いて、処理5のデータ競合の判定処理について説明する。図14は、設定管理サーバ54で行われる、処理5としてのデータ競合の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0110】
ステップ500では、設定管理サーバ54が、更新データと更新待ちデータの値が異なるか否かを判定する。更新データと更新待ちデータが同一で判定が否定された場合にはステップ502へ移行し、判定が肯定された場合にはステップ510へ移行する。
【0111】
ステップ502では、設定管理サーバ54が、通知元が実デバイス12、更新待ちデータにRead Only設定を含み、かつ更新データに同じRead Only設定が含まれないか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ504へ移行し、否定された場合にはステップ506へ移行する。
【0112】
ステップ504では、設定管理サーバ54が、競合なしと判定して一連の処理を終了する。
【0113】
一方、ステップ506では、設定管理サーバ54が、Read Only設定の実機優先がオフであるか否かを判定する。該判定が否定された場合には上述のステップ504へ移行し、肯定された場合にはステップ508へ移行する。
【0114】
ステップ508では、設定管理サーバ54が、競合ありと判定して一連の処理を終了する。
【0115】
続いて、処理6の競合通知の受付処理について説明する。図15は、仮想デバイス60、実デバイス12、及び設定変更システム52で行われる、処理6としての競合通知の受付処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、仮想デバイス60、実デバイス12、及び設定変更システム52のそれぞれで行われる処理であるため、代表して仮想デバイス60で行われる処理として説明する。また、図16は、競合通知を受け付けた際に表示する画面の一例を示す図である。
【0116】
ステップ600では、仮想デバイス60が、競合発生通知を受け取ってステップ602へ移行する。例えば、図16に示す競合通知を受け取る。図16では、設定Aの値が実デバイス12では「1」、仮想デバイス60では「2」とされ、設定Bの値が仮想デバイス60では「true」とされ、競合キーが「1fas3f5415sf]の競合が発生していることを示す競合通知の一例を示す。
【0117】
ステップ602では、仮想デバイス60が、各設定変更要求元の情報と変更内容を表示してステップ604へ移行する。例えば、図16に示すように、競合が発生している設定の選択を受け付ける選択画面84を表示する。
【0118】
ステップ604では、仮想デバイス60が、反映する設定の選択結果を受け付けたか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ606へ移行する。例えば、図16の選択画面84の選択が行われ、「確認」が選択されて、実行確認画面86を表示して、「書き換え実行」が指示されるまで待機する。
【0119】
ステップ606では、仮想デバイス60が、競合発生通知に含まれる競合キーを含むデータ更新通知を出力して一連の処理を終了する。例えば、図16に示す競合キーを含む更新通知を設定管理サーバ54に出力する。図16では、競合キーが「1fas3f5415sf]の設定Aが「2」、設定Bが「true」であることを表す更新通知の一例を示す。
【0120】
ここで、本実施形態に係る画像形成システム10で行われる上述の処理について具体例を挙げて説明する。
【0121】
まず、設定の競合がない場合について図17を参照して説明する。図17は、本実施形態に係る画像形成システム10において、設定の競合がない場合の具体例を説明するための図である。なお、図17中の[]内は、以下の説明の番号に対応する。また、図17中の(+更新データ)と記載されている箇所は、設定データ部68、73に加え括弧内の領域にも同じ値を持ち、+がない場合は括弧の領域のみでその値を持ち、括弧がない場合は、設定データ部68、73にのみ値を持つ。
【0122】
設定に競合がない場合には、工場での組み立てから実デバイス12の設置までの流れは以下のように行われる。
[0] 組立工場で実デバイス12の設定Aを1に変更する。この時、設定制御部67は変更内容を更新データ部69にも追加する。
[0’]販売業者が機種を選択してシミュレータ環境50で仮想デバイス60を作成する。仮想デバイス60の設定Aはデフォルトで0が設定されている。
[1]販売業者が仮想デバイス60で設定Bを変更する。この時、設定制御部67は変更内容を更新データ部69にも追加する。
[2]仮想デバイス60がシミュレータ環境50で更新された設定値Bを設定管理サーバ54に登録する。
[3]設定管理サーバ54は、設定値Bを更新待ちデータ部72に記録する。
[4]販売業者が実デバイス12を設置する。
[5]販売業者が実デバイス12で一括設定を実施し、 設定Aを設定管理サーバ54に登録し([5-1])、設定Bを実デバイス12に反映する([5-2])。設定管理サーバ54の更新待ちデータを削除する([5-3])。
【0123】
次に、設定の競合がある場合について図18を参照して説明する。図18は、本実施形態に係る画像形成システム10において、設定の競合がある場合の具体例を説明するための図である。なお、図18中の[]内は、以下の説明の番号に対応する。また、図18中の(+更新データ)と記載されている箇所は、設定データ部68、73に加え括弧内の領域にも同じ値を持ち、+がない場合は括弧の領域のみでその値を持ち、括弧がない場合は、設定データ部68、73にのみ値を持つ。
【0124】
設定に競合がある場合には、工場での組み立てから実デバイス12の設置までの流れは以下のように行われる。
[0]組立工場で実デバイス12の設定Aを1に変更する。この時、設定制御部67は変更内容を更新データ部69にも追加する。
[0’]販売業者が機種を選択してシミュレータ環境50で仮想デバイス60を作成する。仮想デバイス60の設定Aはデフォルトで0が設定されている。
[1]販売業者がシミュレータ環境50で仮想デバイス60の設定A、Bを変更する。この時、設定制御部67は変更内容を更新データ部69にも追加する。
[2]販売業者がシミュレータ環境50の仮想デバイス60で競合発生時の通知先の設定ZにMPS11を追加する。
[3]仮想デバイス60が更新された設定A、B、Zの値を設定管理サーバ54に登録する。
[4]設定管理サーバ54は、設定値A、B、Zを更新待ちデータ部72に記録し、設定値Zを競合管理部75が競合データ部77に記録する。
[5]販売業者が実デバイス12を設置する。
[6]販売業者が実デバイス12で一括設定を実施し、設定Aを設定管理サーバ54に登録しようとし、競合が発生する。
[7]設定管理サーバ54は、競合通知を実デバイス12、シミュレータ環境50、及びMPS11に出す。
[8]販売業者は、MPS11で実デバイス12の設定Aが2、設定Bが有効、設定ZがMPSであることを選択する。
[9]MPS11は、競合キーを含む更新データを設定管理サーバ54へ通知する。
[10]実デバイス12は、一括設定を再実施し、設定A:2、設定B:有効、設定A:MPSを受信して設定データに反映し([10-1])、設定管理サーバ54は、設定データにA:2、B:有効、Z:MPSを反映し、更新待ちデータ部72を空にする([10-2])。
【0125】
次に、設定の競合があり、複数台設定する場合について図19を参照して説明する。図19は、本実施形態に係る画像形成システム10において、設定の競合があり、複数台設定する場合の具体例を説明するための図である。なお、図19中の[]内は、以下の説明の番号に対応する。また、図19中の(+更新データ)と記載されている箇所は、設定データ部68、73に加え括弧内の領域にも同じ値を持ち、+がない場合は括弧の領域のみでその値を持ち、括弧がない場合は、設定データ部68、73にのみ値を持つ。また、以下では、複数の実デバイス12として実デバイスαと実デバイスβの2つの実デバイス12の場合を一例として説明する。
【0126】
設定の競合があり、複数台設定する場合には、工場での組み立てから実デバイス12の設置までの流れは以下のように行われる。
[0]-[4]は、上述の設定に競合がある場合の[0]-[4]まで同じ流れを実デバイスα及び仮想デバイスαに加え、実デバイスβ及び仮想デバイスβでも行う。
[5]販売業者が実デバイスαを設置する。
[6]販売業者が実デバイスαで一括設定を実施すると、設定Aを設定管理サーバ54に登録しようとし、競合が発生する。
[7]設定管理サーバ54は、実デバイス12、シミュレータ環境50、及びMPS11に競合通知する。
[8]販売業者は、MPS11で実デバイスαの設定Aが2、設定Bが有効、設定ZがMPSであることを選択する。
[9]MPS11は、競合キーを含む更新データを設定管理サーバ54へ通知する。
[10]MPS11は、設定A、B、Zで仮想デバイス60からの設定データを選択したことを、競合解決部79に記録する。
[11]販売業者は、実デバイスαで一括設定を再実施し、設定A:2、設定B:有効、設定Z:MPSを設定データに反映し([11-1]、設定管理サーバ54は、設定データ部73にA:2、B:有効、Z:MPSを反映し、更新待ちデータ部72を空にする([11-2])。
[12]販売業者は、MPS11に競合通知受理時に[6]で記録された選択内容を他の機械にも適用する。
[13]販売業者は、実デバイスβを設置する。
[14]販売業者が実デバイスβで一括設定を実施すると、設定Aを設定管理サーバ54に登録しようとし、競合が発生する。
[15]設定管理サーバ54は、実デバイス12、シミュレータ環境50、及びMPS11に競合通知する。
[16]競合通知を受け取ったMPS11は、[10]で記録した選択データを用いて、競合キーを含む更新データを作成し設定管理サーバ54へ通知する。
[17][11]同様の操作を実デバイスβで行い、一括設定を完了する。
【0127】
次に、Read Onlyな設定の競合がある場合について図20を参照して説明する。図20は、本実施形態に係る画像形成システム10において、Read Onlyな設定の競合がある場合の具体例を説明するための図である。なお、図20中の[]内は、以下の説明の番号に対応する。また、図20中の(+更新データ)と記載されている箇所は、設定データ部68、73に加え括弧内の領域にも同じ値を持ち、+がない場合は括弧の領域のみでその値を持ち、括弧がない場合は、設定データ部68、73にのみ値を持つ。
【0128】
Read Onlyな設定に競合がある場合には、工場での組み立てから実デバイス12の設置までの流れは以下のように行われる。
[0]組立工場で実デバイスα、βを生産する。
[0’]販売業者が機種を選択して仮想デバイスα及び仮想デバイスβを作成する。
[1]販売業者が仮想デバイスαにオプションのハードディスク(HDD)を付ける。仮想デバイスαの設定EのHDD接続状態が接続有に切り替わる。この時、設定制御部67は変更内容を更新データ部69に追加する。
[2]仮想デバイス60は仮想デバイスαの設定EのHDD接続状態(接続有)を設定管理サーバ54に登録する。
[3]設定管理サーバ54は、仮想デバイスαの設定Eを更新待ちデータ部72に記録する。
[4]設置対応時にお客様よりHDD接続機を変更する依頼を受ける。
[5]設定管理サーバ54でRead Only設定の実機優先をオンにする。
[6]販売業者が実デバイスα、βを設置する。
[7]HDDを実デバイスβに取り付ける。
[8]販売業者が実デバイスαで一括設定を実施すると競合なしで設定管理サーバ54の更新待ちデータ部72から設定Eは削除される。
[9]販売業者が実デバイスαで一括設定を実施すると競合なしで設定管理サーバ54の設定データ部73に設定Eの接続有が登録される。
【0129】
なお、上記の実施形態では、シミュレータ環境50は、クラウド上の仮想的な環境を適用した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、販売会社で実機を用意して、実機をシミュレータ環境50として適用してもよい。
【0130】
また、上記の実施形態では、設置対象の機械の一例として画像形成装置12を一例として説明したが、機械はこれに限定されるものではない。例えば、画像処理装置や、画像読取装置等の他の各種機械を適用してもよい。
【0131】
また、上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0132】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0133】
また、上記の実施形態に係る画像形成システム10の各部で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、画像形成システム10の各部で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0134】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0135】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
設置対象の機械へ反映する設定情報であって、実際に設定する機械と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、
前記特定設定情報を前記機械に反映する際に、前記予め定めた領域に保持した前記特定設定情報と、前記機械に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、前記機械に反映する処理を行う情報処理システム。
【0136】
(((2)))
前記異なる環境は、前記機械の環境を仮想的に再現した再現環境である(((1)))に記載の情報処理システム。
【0137】
(((3)))
前記プロセッサは、複数の前記機械を対象に前記処理を行う(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理システム。
【0138】
(((4)))
前記プロセッサは、複数の前記機械を対象とする場合、最初に設定する前記機械に前記特定設定情報を反映した際の規則に従って他の前記機械の設定を行う(((3)))に記載の情報処理システム。
【0139】
(((5)))
前記プロセッサは、競合が発生する前記設定情報が前記機械の状態により動的に代わる設定情報の場合は、前記機械に設定済みの設定情報を前記機械に反映する(((1)))~(((4)))の何れか1つに記載の情報処理システム。
【0140】
(((6)))
コンピュータに、
設置対象の機械へ反映する設定情報であって、実際に設定する機械と異なる環境で特定した特定設定情報を予め定めた領域に保持し、
前記特定設定情報を前記機械に反映する際に、前記予め定めた領域に保持した前記特定設定情報と、前記機械に設定済みの設定情報とに競合が発生すると判断される場合に、予め定められた通知先に通知して競合の解消指示を受け付けて、前記機械に反映する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【0141】
(((1)))によれば、実際に設置する機械とは異なる環境で行った設定を、設置対象の機械に反映する際に、不都合を生じることなく設定を反映することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0142】
(((2)))によれば、実際の機械の設定を仮想的に設定することが可能となる。
【0143】
(((3)))によれば、複数の機械の設定を一括で行うことが可能となる。
【0144】
(((4)))によれば、解消指示を機械毎に受け付けることなく設定を反映できる。
【0145】
(((5)))によれば、機械の状態により動的に代わる設定情報の場合は、競合の発生を通知して解消指示を受け付けることなく機械に設定を反映できる。
【0146】
(((6)))によれば、実際に設置する機械とは異なる環境で行った設定を、設置対象の機械に反映する際に、不都合を生じることなく設定を反映することが可能な情報処理プログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0147】
10 画像形成システム
11 ローカルサーバ(MPS)
11A、14A CPU
12 画像形成装置(実デバイス)
14 クラウドサーバ
50 シミュレータ環境
52 設定変更システム
54 設定管理サーバ
60 仮想デバイス
72 更新待ちデータ部
74 競合判定部
75 競合管理部
76 競合キー部
77 競合データ部
79 競合解決部
84 選択画面
86 実行確認画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
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図18
図19
図20