(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132372
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び飛行体
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20240920BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W84/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043109
(22)【出願日】2023-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】船越 水祥
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA22
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067FF03
5K067HH22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成層圏プラットホームとして機能する飛行体の目的高度を決定する情報処理装置を提供する。
【解決手段】飛行体、情報処理装置及び気象予測システムを備えるシステムにおいて、情報処理装置100は、飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部と、成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部(情報取得部)と、飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報を含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部(軌道推定部)と、飛行位置情報及び目的緯度経度情報に基づいて、飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部と、予測風データ及び目的方向に基づいて、飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部と、
成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部と、
前記飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報を含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部と、
前記飛行位置情報及び前記目的緯度経度情報に基づいて、前記飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部と、
前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部と
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記目的方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうちの最大余弦に対応する高度が前記目的高度であると決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記飛行位置情報取得部は、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含む前記飛行位置情報を取得し、
前記高度決定部は、前記最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと前記飛行体の前記飛行高度との間の中間高度に対応する前記余弦に基づいて、前記目的高度を決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記飛行位置情報取得部は、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含む前記飛行位置情報を取得し、
前記高度決定部は、前記最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記最大余弦に対応する複数の高度のうちの前記飛行体の前記飛行高度との高度差が最小の高度が前記目的高度であると決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記高度決定部は、前記飛行体が、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内の通信端末に無線通信サービスを提供する場合において、前記高度差が最小の高度が前記飛行体の前記飛行高度より高い高度及び前記飛行体の前記飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、前記飛行体の前記飛行高度より低い高度が前記目的高度であると決定する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記高度決定部は、前記高度差が最小の高度が前記飛行体の前記飛行高度より高い高度及び前記飛行体の前記飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、前記飛行体が上昇中であるか否かに基づいて、前記目的高度を決定する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記飛行位置情報取得部は、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含む前記飛行位置情報を取得し、
前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記飛行方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうち予め定められた余弦条件を満たす余弦を決定し、前記余弦条件を満たす余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと前記飛行体の前記飛行高度との間の中間高度に対応する前記余弦に基づいて、前記目的高度を決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記方向決定部は、前記飛行体の前記飛行緯度経度から前記目的緯度経度までの目的距離をさらに決定し、
前記高度決定部は、前記目的距離が予め定められた第1目的距離閾値より短い場合、前記予測風速データによって示される各高度の予測風速のうちの最小予測風速に対応する高度が前記目的高度であると決定し、前記目的距離が前記第1目的距離閾値より長い予め定められた第2目的距離閾値より長い場合、前記予測風データによって示される各高度の予測風ベクトル及び前記飛行体による飛行の目的方向ベクトルの内積をそれぞれ決定し、複数の前記内積のうちの最大内積に対応する高度が前記目的高度であると決定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
時間間隔が予め定められた第1時間間隔から前記第1時間間隔より短い第2時間間隔になるように前記予測風データを時間的に補間し、前記飛行体の前記飛行緯度経度の前記予測風データが含まれるように時間的に補間された前記予測風データを空間的に補間することによって、前記予測風データを補間する予測風データ補間部
をさらに備え、
前記高度決定部は、前記予測風データ補間部によって補間された前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記目的高度を決定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記予測風データに基づいて、前記飛行体が前記目的高度に向かって飛行した場合の前記飛行体の軌道を推定する軌道推定部
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置を備える、飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、及び飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地上又は海上に設置された中継局であるゲートウェイを介して、移動通信網のコアネットワークに接続されているHAPS(High Altitude Platform Station)が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2019-054490号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、情報処理装置が提供される。前記情報処理装置は、飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部を備えてよい。前記情報処理装置は、成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部を備えてよい。前記情報処理装置は、前記飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報を含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部を備えてよい。前記情報処理装置は、前記飛行位置情報及び前記目的緯度経度情報に基づいて、前記飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部を備えてよい。前記情報処理装置は、前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部を備えてよい。
【0004】
前記情報処理装置において、前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記目的方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうちの最大余弦に対応する高度が前記目的高度であると決定してよい。
【0005】
前記いずれかの情報処理装置において、前記飛行位置情報取得部は、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含む前記飛行位置情報を取得してよく、前記高度決定部は、前記最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと前記飛行体の前記飛行高度との間の中間高度に対応する前記余弦に基づいて、前記目的高度を決定してよい。
【0006】
前記いずれかの情報処理装置において、前記飛行位置情報取得部は、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含む前記飛行位置情報を取得してよく、前記高度決定部は、前記最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記最大余弦に対応する複数の高度のうちの前記飛行体の前記飛行高度との高度差が最小の高度が前記目的高度であると決定してよい。
【0007】
前記いずれかの情報処理装置において、前記高度決定部は、前記飛行体が、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内の通信端末に無線通信サービスを提供する場合において、前記高度差が最小の高度が前記飛行体の前記飛行高度より高い高度及び前記飛行体の前記飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、前記飛行体の前記飛行高度より低い高度が前記目的高度であると決定してよい。
【0008】
前記いずれかの情報処理装置において、前記高度決定部は、前記高度差が最小の高度が前記飛行体の前記飛行高度より高い高度及び前記飛行体の前記飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、前記飛行体が上昇中であるか否かに基づいて、前記目的高度を決定してよい。
【0009】
前記いずれかの情報処理装置において、前記飛行位置情報取得部は、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含む前記飛行位置情報を取得してよく、前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記飛行方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうち予め定められた余弦条件を満たす余弦を決定し、前記余弦条件を満たす余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと前記飛行体の前記飛行高度との間の中間高度に対応する前記余弦に基づいて、前記目的高度を決定してよい。
【0010】
前記いずれかの情報処理装置において、前記方向決定部は、前記飛行体の前記飛行緯度経度から前記目的緯度経度までの目的距離をさらに決定してよく、前記高度決定部は、前記目的距離が予め定められた第1目的距離閾値より短い場合、前記予測風速データによって示される各高度の予測風速のうちの最小予測風速に対応する高度が前記目的高度であると決定し、前記目的距離が前記第1目的距離閾値より長い予め定められた第2目的距離閾値より長い場合、前記予測風データによって示される各高度の予測風ベクトル及び前記飛行体による飛行の目的方向ベクトルの内積をそれぞれ決定し、複数の前記内積のうちの最大内積に対応する高度が前記目的高度であると決定してよい。
【0011】
前記いずれかの情報処理装置は、時間間隔が予め定められた第1時間間隔から前記第1時間間隔より短い第2時間間隔になるように前記予測風データを時間的に補間し、前記飛行体の前記飛行緯度経度の前記予測風データが含まれるように時間的に補間された前記予測風データを空間的に補間することによって、前記予測風データを補間する予測風データ補間部をさらに備えてよく、前記高度決定部は、前記予測風データ補間部によって補間された前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記目的高度を決定してよい。
【0012】
前記いずれかの情報処理装置は、前記飛行体の飛行位置情報と、前記飛行体が当該飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの予測風データと、前記飛行体が当該飛行位置にいるときから予め定められた期間が経過した後の前記飛行体の飛行位置を示す、前記飛行体の飛行位置情報とを含む学習データを格納する学習データ格納部と、前記学習データ格納部に格納されている複数の学習データを教師データとして用いて、前記飛行体の飛行位置情報及び前記飛行体が当該飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの予測風データから、前記飛行体が当該飛行位置にいるときから予め定められた期間が経過した後の前記飛行体の飛行位置を推定する飛行位置推定モデルを機械学習により生成するモデル生成部とをさらに備えてよく、前記情報取得部は、前記飛行体が前記飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの前記予測風データを取得してよく、前記軌道推定部は、前記モデル生成部によって生成された前記飛行位置推定モデルを用いて、前記飛行体の当該飛行位置情報及び当該予測風データから、前記飛行体が当該飛行位置にいるときから予め定められた期間が経過した後の前記飛行体の飛行位置を推定することによって、前記飛行体の軌道を推定してよい。
【0013】
前記いずれかの情報処理装置は、前記予測風データに基づいて、前記飛行体が前記目的高度に向かって飛行した場合の前記飛行体の軌道を推定する軌道推定部をさらに備えてよい。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータを、前記情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、前記情報処理装置を備える、飛行体が提供される。
【0016】
尚、前記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の一例を概略的に示す。
【
図3】予測風データを時間的に補間する一例を説明するための説明図である。
【
図4】予測風データを空間的に補間する一例を説明するための説明図である。
【
図5】各高度の予測風向及び目的方向のなす角の余弦の一例を概略的に示す。
【
図6】飛行体200の軌道を推定する一例を説明するための説明図である。
【
図7】情報処理装置100の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図8】情報処理装置100の処理の流れの一例を説明するための説明図である。
【
図9】情報処理装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
成層圏の気象データに基づいて成層圏を飛行する気球のフライトのシミュレーションを行う際に用いられるアルゴリズムの軽量化を図ることが望ましい。本実施形態に係るシステム10は、例えば、アメリカ海洋大気庁(NOAA;National Oceanic and Atmospheric Administration)のGFS(Global Forecast System)から取得した成層圏内の気象データを利用して気球の目的方向ベクトル及び風ベクトルのなす角の余弦を高度毎に決定し、なす角の余弦が最大となる高度を決定し、なす角の余弦が最大の高度まで気球が飛行する軌道を推定する仕組みを採用する。
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、システム10の一例を概略的に示す。システム10は、情報処理装置100を備えてよい。システム10は、飛行体200を備えてよい。システム10は、気象予測システム300を備えてよい。
【0021】
情報処理装置100は、各種処理を実行する。情報処理装置100は、例えば、飛行体200による飛行を予測する。情報処理装置100は、例えば、飛行体200が成層圏を飛行している間の飛行体200による飛行を予測する。
【0022】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200が飛行を開始する前に飛行体200による飛行を事前に予測する。情報処理装置100は、飛行体200が飛行している間に飛行体200による飛行をリアルタイムに予測してもよい。
【0023】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200の飛行方向を予測することによって、飛行体200による飛行を予測する。方向は、緯度方向及び経度方向を含む緯度経度方向であってよい。
【0024】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200による飛行の目的方向を決定することによって、飛行体200の飛行方向を予測する。情報処理装置100は、例えば、飛行体200による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報及び飛行体200の飛行位置を示す飛行位置情報に基づいて、飛行体200による飛行の目的方向を決定する。
【0025】
飛行体200の飛行位置情報は、例えば、飛行体200の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報を含む。飛行体200の飛行位置情報は、飛行体200の飛行高度を示す飛行高度情報をさらに含んでもよい。
【0026】
情報処理装置100は、例えば、予め定められた時間間隔で飛行体200による飛行の目的方向を決定する。時間間隔は、例えば、1秒間隔である。時間間隔は、その他の任意の時間間隔であってもよい。
【0027】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200の飛行位置を推定することによって、飛行体200の飛行位置情報を取得する。情報処理装置100は、例えば、飛行体200から地上の基地局40及びネットワーク20を介して飛行体200の飛行位置情報を受信することによって、飛行体200の飛行位置情報を取得する。情報処理装置100は、飛行体200から通信衛星60及びネットワーク20を介して飛行体200の飛行位置情報を受信することによって、飛行体200の飛行位置情報を取得してもよい。
【0028】
ネットワーク20は、通信事業者によって提供されるコアネットワークを含んでよい。コアネットワークは、例えば、5G(5th Generation)通信システムに準拠する。コアネットワークは、6G(6th Generation)通信システム以降の移動体通信システムに準拠してもよい。コアネットワークは、3G(3rd Generation)通信システムに準拠してもよい。コアネットワークは、LTE(Long Term Evolution)通信システムに準拠してもよい。ネットワーク20は、インターネットを含んでもよい。
【0029】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200の飛行高度を予測することによって、飛行体200による飛行を予測する。情報処理装置100は、例えば、飛行体200による飛行の目的高度を決定することによって、飛行体200の飛行高度を予測する。情報処理装置100は、例えば、予め定められた時間間隔で飛行体200による飛行の目的高度を決定する。
【0030】
情報処理装置100は、例えば、成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データと飛行体200による飛行の目的方向とに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。情報処理装置100は、当該高度範囲内の高度から飛行体200による飛行の目的高度を決定してよい。
【0031】
例えば、情報処理装置100は、予測風データによって示される各高度の予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の余弦をそれぞれ決定する。情報処理装置100は、決定した各高度の予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の余弦に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。
【0032】
情報処理装置100は、例えば、気象予測システム300からネットワーク20を介して予測風データを受信することによって、予測風データを取得する。気象予測システム300は、例えば、NOAAのGFSである。NOAAのGFSは、時間間隔が1時間間隔であり、且つ、格子間隔が0.25degである気象予測データを、16日先まで公開している。格子は、緯度方向ベクトル及び経度方向ベクトルによって規定されてよい。気象予測システム300は、その他の任意のシステムであってよい。
【0033】
情報処理装置100は、例えば、予測風データが飛行体200の飛行緯度経度情報によって示される飛行体200の飛行緯度経度の予測風データを含む場合、飛行体200の飛行緯度経度の予測風データを用いて飛行体200による飛行の目的高度を決定する。情報処理装置100は、例えば、予測風データが飛行体200の飛行緯度経度の予測風データを含まない場合、飛行体200の飛行緯度経度までの距離が最も短い緯度経度の予測風データを用いて飛行体200による飛行の目的高度を決定する。
【0034】
情報処理装置100は、例えば、予測風データを補間し、補間された予測風データに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。例えば、情報処理装置100は、時間間隔が1時間間隔から1秒間隔になるように、予測風データを時間的に補間する。その後、情報処理装置100は、飛行体200の飛行緯度経度の予測風データが含まれるように、時間的に補間された予測風データを空間的に補間する。
【0035】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200が決定した目的高度に向かって飛行した場合の飛行体200の軌道を推定することによって、飛行体200による飛行を予測する。情報処理装置100は、例えば、予測風データに基づいて、飛行体200の軌道を推定する。情報処理装置100は、補間された予測風データに基づいて、飛行体200の軌道を推定してもよい。
【0036】
情報処理装置100は、例えば、地上に設置されている。情報処理装置100は、飛行体200に搭載されてもよい。
【0037】
飛行体200は、成層圏を飛行することが可能な飛行体であれば、どのような飛行体であってもよい。飛行体200は、例えば、気球である。飛行体200は、例えば、飛行船である。飛行体200は、例えば、プレーン型の飛行体である。飛行体200は、その他の任意の飛行体であってもよい。尚、飛行体は、浮揚体や浮遊体を含み得るものとする。
図1では、飛行体200が気球である場合の一例が示されている。
【0038】
飛行体200は、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して無線通信エリア内の通信端末に無線通信サービスを提供してもよい。飛行体200は、例えば、HAPSである。飛行体200は、例えば、カバー対象の地上のエリアの上空を巡回しながら、無線通信エリアによって当該エリアをカバーする。
【0039】
通信端末は、成層圏プラットフォームとして機能する飛行体200と無線通信接続を確立することが可能な通信端末であれば、どのような通信端末であってもよい。例えば、通信端末は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末及びウェアラブル端末等である。通信端末は、PC(Personal Computer)であってもよい。通信端末は、IoT(Internet of Thing)端末であってもよい。通信端末は、IoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0040】
成層圏における風の状況は、高度によって大きく変化する傾向にある。同一緯度経度、且つ、同一時刻において、高度が2km変化すると、風速が10m/s程度変化する場合があり、風向が反対方向となる場合もある。また、20kmから30kmまでの高度のエリアのような、成層圏の中でも比較的高高度のエリアでは、強風が吹いている場合がある。一方で、成層圏における風の状況は、時刻によってあまり変化しない傾向にある。同一緯度経度、且つ、同一高度において、時刻が1時間経過しても風速が2m/s程度しか変化せず、風向もあまり変化しない。したがって、成層圏で飛行体を計画的に飛行させるためには、成層圏における風の予測状況を考慮して飛行体の飛行高度を選定することが重要である。特に、飛行体が気球である場合、緯度経度方向を制御できないので、飛行高度の選定がより重要となる。その一方で、成層圏における風の予測状況を考慮して飛行体の飛行高度を選定する場合、必要な演算量が膨大になる。以上より、成層圏における風の予測状況を考慮しつつ、少ない演算量で飛行体の飛行高度を選定できることが望ましい。
【0041】
これに対して、本実施形態に係るシステム10によれば、情報処理装置100は、飛行体200の目的緯度経度情報及び飛行位置情報に基づいて飛行体200による飛行の目的方向を決定し、成層圏内の予測風データと決定した目的方向とに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。情報処理装置100は、例えば、成層圏内の各高度の予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の余弦に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。情報処理装置100は、成層圏内の予測風データに基づいて飛行体200による飛行の目的高度を決定しているので、成層圏における風の予測状況を考慮して飛行体200の飛行高度を選定できる。さらに、情報処理装置100は、成層圏内の各高度の予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の余弦に基づいて飛行体200による飛行の目的高度を決定することによって、飛行体200の飛行高度を選定するために必要な演算量を少なくできる。これにより、本実施形態に係るシステム10は、成層圏における風の予測状況を考慮しつつ、少ない演算量で飛行体200の飛行高度を選定できる。
【0042】
図2は、予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の一例を概略的に示す。
図2において、x軸の正の方向が東方向であり、y軸の正の方向が北方向であり、z軸の正の方向が高度の上昇方向であるものとする。
【0043】
図2において、r
tarは飛行体200による飛行の目的方向ベクトルであり、v
wind,hは、成層圏内の高度hにおける予測風ベクトルであり、θ
hは目的方向ベクトル及び高度hにおける予測風ベクトルのなす角である。θ
hの範囲は、0°≦θ
h≦180°である。情報処理装置100は、下記の数式を用いて、目的方向ベクトル及び高度hにおける予測風ベクトルのなす角の余弦cosθ
hを決定する。
【0044】
【0045】
上記の数式において、|rtar|は目的方向ベクトルの大きさであり、|vwind,h|は、高度hにおける予測風ベクトルの大きさであり、rtar・vwind,hは目的方向ベクトル及び高度hにおける予測風ベクトルの内積である。
【0046】
cosθhの有効数字は、例えば、7桁である。cosθhの有効数字は、その他の桁数であってもよい。
【0047】
情報処理装置100は、例えば、上記の数式から、成層圏内の各高度のcosθhをそれぞれ決定する。情報処理装置100は、例えば、15km<h<23kmの高度範囲、且つ、100mの高度間隔でcosθhを決定する。尚、高度範囲はその他の任意の高度範囲であってもよく、高度間隔はその他の任意の高度間隔であってもよい。
【0048】
情報処理装置100は、例えば、成層圏内の各高度のcosθhに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度htarを決定する。情報処理装置100は、各高度のcosθhから値が最大となる最大余弦cosθh,tarを決定し、cosθh=cosθh,tarであるときの高度が飛行体200による飛行の目的高度htarであると決定する。すなわち、情報処理装置100は、目的方向ベクトルの向きと予測風ベクトルの向きとが最も一致する高度が飛行体200による飛行の目的高度htarであると決定する。情報処理装置100は、例えば、下記の数式を用いて、15km<h<23kmの高度範囲の各高度のcosθhからcosθh,tarを決定する。
【0049】
【0050】
図3は、予測風データを時間的に補間する一例を説明するための説明図である。ここでは、情報処理装置100が、時間間隔がΔtである予測風データに含まれる、時刻がt
0であり高度がhである予測風ベクトルv
t0=(v
x,t0,v
y,t0)、時刻がt
1であり高度がhである予測風ベクトルv
t1=(v
x,t1,v
y,t1)、時刻がt
2であり高度がhである予測風ベクトルv
t2=(v
x,t2,v
y,t2)、時刻がt
3であり高度がhである予測風ベクトルv
t3=(v
x,t3,v
y,t3)、及び時刻がt
4であり高度がhである予測風ベクトルv
t4=(v
x,t4,v
y,t4)の5つの予測風ベクトルに基づいて、予測風データに含まれない、時刻がt'であり高度がhである予測風ベクトルを時間的に補間する場合の一例を主に説明する。尚、予測風ベクトルvを(v
x,v
y)と表した場合、v
xが予測風ベクトルvの経度方向成分であり、v
yが予測風ベクトルvの緯度方向成分であるものとする。
【0051】
図3の(A)は、予測風ベクトルの経度方向成分を時間的に補間する一例を説明するための説明図である。
図3の(A)に示されるグラフにおいて、横軸が時刻tであり、縦軸が予測風ベクトルvの経度方向成分v
xである。
【0052】
情報処理装置100は、例えば、下記の補間多項式を用いて、時刻がt'であり高度がhである予測風ベクトルの経度方向成分vx,t'を時間的に補間する。
【0053】
【0054】
ここで、情報処理装置100は、時刻が異なり、且つ、高度がhであるn+1個の予測風ベクトルの経度方向成分vx,t0、vx,t1、・・・、vx,tn-1、及びvx,tnを用いて、下記の関係式から、上記の補間多項式中のn+1個の係数a0、a1、・・・、an-1及びanをそれぞれ算出する。
【0055】
【0056】
図3の(A)に示される一例において、情報処理装置100は、5個の予測風ベクトルの経度方向成分v
x,t0、v
x,t1、v
x,t2、v
x,t3及びv
x,t4を用いてa
0、a
1、a
2、a
3、及びa
4をそれぞれ算出することによって補間多項式v
x,t'=a
4t
4+a
3t
3+a
2t
2+a
1t+a
0を導出し、導出した補間多項式にt=t'を代入してv
x,t'を時間的に補間している。
【0057】
図3の(B)は、予測風ベクトルの緯度方向成分を時間的に補間する一例を説明するための説明図である。
図3の(B)に示されるグラフにおいて、横軸が時刻tであり、縦軸が予測風ベクトルvの緯度方向成分v
yである。
【0058】
情報処理装置100は、例えば、下記の補間多項式を用いて、時刻がt'であり高度がhである予測風ベクトルの緯度方向成分vy,t'を時間的に補間する。
【0059】
【0060】
ここで、情報処理装置100は、時刻が異なり、且つ、高度がhであるn+1個の予測風ベクトルの緯度方向成分vy,t0、vy,t1、・・・、vy,tn-1、及びvy,tnを用いて、下記の関係式から、上記の補間多項式中のn+1個の係数b0、b1、・・・、bn-1及びbnをそれぞれ算出する。
【0061】
【0062】
図3の(B)に示される一例において、情報処理装置100は、5個の予測風ベクトルの緯度方向成分v
y,t0、v
y,t1、v
y,t2、v
y,t3及びv
y,t4を用いてb
0、b
1、b
2、b
3、及びb
4をそれぞれ算出することによって補間多項式v
y,t=b
4t
4+b
3t
3+b
2t
2+b
1t+b
0を導出し、導出した補間多項式にt=t'を代入してv
b,t'を時間的に補間している。
【0063】
情報処理装置100は、時間的に補間したvx,t'及びvy,t'から、時刻がt'であり高度がhである予測風ベクトルvt'=(vx,t',vy,t')を時間的に補間する。
【0064】
図4は、予測風データを空間的に補間する一例を説明するための説明図である。情報処理装置100が、格子間隔がΔdである予測風データに含まれる、時刻がtであり位置が点aである予測風ベクトルv
a、時刻がtであり位置が点bである予測風ベクトルv
b、時刻がtであり位置が点cである予測風ベクトルv
c及び時刻がtであり位置が点dである予測風ベクトルv
dの4つの予測風ベクトルに基づいて、予測風データに含まれない、時刻がtであり位置が点pである予測風ベクトルを空間的に補間する場合の一例を主に説明する。
図4において、x軸の正の方向が東方向であり、y軸の正方向が北方向であり、z軸の正の方向が高度の上昇方向であるものとする。
【0065】
例えば、情報処理装置100は、点pから点a、点b、点c、及び点dのそれぞれまでの距離を決定する。次に、情報処理装置100は、点pから点a、点b、点c、及び点dのそれぞれまでの距離に基づいて、v
a、v
b、v
c、及びv
dに対して重み付けを行う。情報処理装置100は、重み付けされたv
a、v
b、v
c、及びv
dの平均から、時刻がtであり位置が点pである予測風ベクトルを空間的に補間する。
図4に示される一例において、情報処理装置100は、時刻がtであり位置がpである予測風ベクトルv
pを空間的に補間している。
【0066】
図5は、各高度の予測風向及び目的方向のなす角の余弦の一例を概略的に示す。
図5では、15km<h<23kmの高度範囲、且つ、100mの高度間隔のcosθ
hの一例が示されている。ここでは、各高度のcosθ
hが
図5に示される一例である場合において、情報処理装置100が飛行体200による飛行の目的高度を決定する場合の一例を主に説明する。
【0067】
情報処理装置100は、例えば、15km<h<23kmの高度範囲においてcosθ
hが最大余弦であるときの高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
図5に示される一例では、高度が19.5kmであるときのcosθ
h=19.5km及び高度が20.5kmであるときのcosθ
h=20.5kmが0.50で最大余弦である。
【0068】
情報処理装置100は、例えば、最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応するcosθhに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。ここでは、飛行体200の飛行高度が20.0kmであるものとして、説明を続ける。
【0069】
図5に示される一例において、情報処理装置100は、19.5kmと20.0kmとの間の中間高度に対応するcosθ
hであるcosθ
h=19.6km=0.45、cosθ
h=19.7km=0.40、cosθ
h=19.8km=0.35、及びcosθ
h=19.9km=0.30と、20.0kmと20.5kmとの間の中間高度に対応するcosθ
hであるcosθ
h=20.1km=0.25、cosθ
h=20.2km=0.30、cosθ
h=20.3km=0.30、及びcosθ
h=20.4km=0.40とに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。
【0070】
情報処理装置100は、例えば、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応するcosθ
hの平均が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
図5に示される一例において、19.5kmと20.0kmとの間の中間高度に対応するcosθ
hの平均が(cosθ
h=19.6km=0.45+cosθ
h=19.7km=0.40+cosθ
h=19.8km=0.35+cosθ
h=19.9km=0.30)÷4≒0.38であり、20.0kmと20.5kmとの間の中間高度に対応するcosθ
hの平均が(cosθ
h=20.1km=0.25+cosθ
h=20.2km=0.30+cosθ
h=20.3km=0.30+cosθ
h=20.4km=0.40)÷4≒0.31であるので、情報処理装置100は、19.5kmが飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
【0071】
情報処理装置100は、例えば、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応するcosθ
hの合計が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
図5に示される一例において、19.5kmと20.0kmとの間の中間高度に対応するcosθ
hの平均がcosθ
h=19.6km=0.45+cosθ
h=19.7km=0.40+cosθ
h=19.8km=0.35+cosθ
h=19.9km=0.30)=1.50であり、20.0kmと20.5kmとの間の中間高度に対応するcosθ
hの平均がcosθ
h=20.1km=0.25+cosθ
h=20.2km=0.30+cosθ
h=20.3km=0.30+cosθ
h=20.4km=0.40=1.25であるので、情報処理装置100は、19.5kmが飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
【0072】
図5に示される一例の場合のように、最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、情報処理装置100は、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応するcosθ
hを考慮して、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。これにより、情報処理装置100は、最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、最大余弦に対応する複数の高度のうち中間高度の風の予測状況がより良好な高度を選定できる。
【0073】
図6は、飛行体200の軌道を推定する一例を説明するための説明図である。ここでは、情報処理装置100が予測風データに基づいて飛行体200の軌道を推定する一例を主に説明する。
【0074】
例えば、情報処理装置100は、時刻tにおける飛行体200の飛行位置である点pt=(xpt,ypt,zpt)と、時刻がtであり位置が点ptである予測風ベクトルvt=(vx,t,vy,t)とに基づいて、時刻tからδt後の飛行体200の飛行位置である点pt+δt=(xpt+δt,ypt+δt,zpt+δt)を推定する。尚、点pを(xp,yp,zp)と表した場合、xpが点pの経度であり、ypが点pの緯度であり、zpが点pの高度であるものとする。δtは、例えば、1秒である。δtは、その他の任意の値であってもよい。
【0075】
情報処理装置100は、例えば、点pt+δt=(xpt+vx,tδt,ypt+vy,tδt,zpt+δz)であると推定する。ここで、δzは、時刻tで決定された飛行体200による飛行の目的高度に向かって飛行体200が飛行した場合にδt間で変化する飛行体200の高度である。例えば、飛行体200が気球であり、δtが1秒である場合、δzは、おおよそ3.0m~5.0mである。
【0076】
情報処理装置100は、点pt+δtを推定した場合と同様にして、推定した点pt+δtと、時刻がt+δtであり位置が点pt+δtである予測風ベクトルvt+δtとに基づいて、時刻t+δtからδt後の飛行体200の飛行位置である点pt+2δtを推定する。そして、前述の演算処理を繰り返し実行することによって、情報処理装置100は、飛行体200の軌道を推定する。
【0077】
情報処理装置100は、予測風データに含まれる予測誤差を考慮して、点pt+δtを推定してもよい。例えば、NOAAのGFSの予測風データは、実際の風速との間に4.5m/s~5.5m/s程度の誤差が発生する場合がある。
【0078】
情報処理装置100は、例えば、点pt+δt=(xpt+(vx,t+Δvx,t)δt,ypt+(vy,t+Δvy,t)δt,zpt+δz)であると推定する。ここで、Δvx,tは、予測風ベクトルvtの経度方向成分の予測誤差であり、Δvy,tは、緯度方向成分の予測誤差である。
【0079】
情報処理装置100は、予め定められた数のΔvx,t及びΔvy,tの組み合わせのそれぞれについて、点pt+δtを推定してもよい。情報処理装置100は、例えば、10個のΔvx,t及びΔvy,tの組み合わせを取得する。
【0080】
例えば、情報処理装置100は、Δvx,tの確率がガウス分布に従うと仮定することによって、複数のΔvx,tを取得する。情報処理装置100は、同様にして、複数のΔvy,tを取得する。情報処理装置100は、取得した複数のΔvx,t及び複数のΔvy,tをそれぞれ組み合わせることによって、予め定められた数のΔvx,t及びΔvy,tの組み合わせを取得する。
【0081】
予測風データに含まれる予測誤差を考慮して飛行体200の軌道を推定することによって、予測風データに含まれる予測誤差が、推定した飛行体200の軌道の距離の誤差に対してどの程度影響を与えているかを評価できる。
【0082】
図7は、情報処理装置100の機能構成の一例を概略的に示す。情報処理装置100は、情報格納部102、初期条件設定部103、情報取得部104、予測風データ補間部106、方向決定部108、高度決定部110、制御部112、軌道推定部114、学習データ格納部116、モデル生成部118、モデル格納部120、モデル取得部122、強化学習部124、予測風データ評価部126、滞在可能期間予測部128、受信信号強度予測部130、及び配置決定部132を決定する。尚、情報処理装置100がこれらの全ての構成を備えることが必須とは限らない。
【0083】
情報格納部102は、各種情報を格納する。情報格納部102は、例えば、飛行体200の目的緯度経度情報を格納する。
【0084】
情報格納部102は、例えば、飛行体200が成層圏を飛行している間に滞在すべきエリアである滞在エリアを示す滞在エリア情報を格納する。滞在エリアは、例えば、飛行体200を用いた電池試験等の任意の試験が行われるエリアである。滞在エリアは、その他の任意のエリアであってもよい。
【0085】
滞在エリアは、例えば、エリア中心の緯度経度からの距離が240kmのエリアである。当該距離は、その他の任意の長さであってもよい。
【0086】
情報格納部102は、例えば、飛行体200が成層圏プラットフォームとして機能する場合、無線通信エリアを形成するビームを照射するアンテナの性能を示すアンテナ性能情報を含む。アンテナ性能情報は、例えば、アンテナの指向性を示す指向性情報を含む。アンテナ性能情報は、例えば、アンテナの出力パワーを示す出力パワー情報を含む。アンテナ性能情報は、アンテナが出力するビームの周波数を示す周波数情報を含んでもよい。
【0087】
情報格納部102は、地上の環境を示す環境情報を格納してもよい。環境情報は、例えば、道路情報を含む。環境情報は、例えば、基地局40の設置位置を示す基地局設置位置情報を含む。環境情報は、飛行体200を用いた任意の試験に用いられる観測装置の設置位置を示す観測装置設置位置情報を含んでもよい。
【0088】
初期条件設定部103は、飛行体200による飛行を予測するための初期条件を設定する。初期条件設定部103は、設定した初期条件を初期条件情報として情報格納部102に格納してよい。
【0089】
初期条件は、例えば、飛行体200による飛行の予測を開始するときの飛行体200の飛行位置を含む。飛行体200による飛行の予測を開始するときの飛行体200の飛行位置は、成層圏に含まれてよい。初期条件は、例えば、飛行体200による飛行の予測を開始するときの開始時刻を含む。初期条件は、例えば、飛行体200による飛行の目的緯度経度を含む。
【0090】
初期条件設定部103は、例えば、情報格納部102に格納されている環境情報に基づいて、飛行体200の目的緯度経度を設定する。初期条件設定部103は、例えば、基地局設置位置情報によって示される基地局40の設置位置の緯度経度を目的緯度経度に設定する。初期条件設定部103は、例えば、観測装置設置位置情報によって示される観測装置の設置位置の緯度経度を目的緯度経度に設定する。初期条件設定部103は、情報処理装置100が備える入力部が入力を受け付けた緯度経度を目的緯度経度に設定してもよい。
【0091】
情報取得部104は、各種情報を取得する。情報取得部104は、例えば、外部装置からネットワーク20を介して各種情報を受信することによって、各種情報を取得する。情報取得部104は、情報処理装置100が備える入力部が各種情報の入力を受け付けることによって、各種情報を取得してもよい。情報取得部104は、取得した各種情報を情報格納部102に格納してよい。
【0092】
情報取得部104は、例えば、飛行体200の飛行位置情報を取得する。情報取得部104は、例えば、飛行体200から飛行体200の飛行位置情報を取得する。情報取得部104は、飛行位置情報取得部の一例であってよい。
【0093】
情報取得部104は、例えば、成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風データを取得する。情報取得部104は、例えば、気象予測システム300から予測風データを取得する。情報取得部104は、予測風データ取得部の一例であってよい。
【0094】
予測風データ補間部106は、情報格納部102に格納されている予測風データを補間する。予測風データ補間部106は、補間した予測風データを情報格納部102に格納してよい。
【0095】
予測風データ補間部106は、例えば、予測風データに含まれる予め定められた数の予測風ベクトルに基づいて、予測風データを時間的に補間する。予測風データ補間部106は、例えば、時間間隔が予め定められた第1時間間隔から第1時間間隔より短い第2時間間隔になるように、予測風データを時間的に補間する。
【0096】
予測風データ補間部106は、例えば、時間的に補間された予測風データに含まれる予め定められた数の予測風ベクトルに基づいて、時間的に補間された予測風データを空間的に補間する。予測風データ補間部106は、例えば、情報格納部102に格納されている飛行体200の飛行位置情報によって示される飛行体200の飛行緯度経度の予測風データが含まれるように、時間的に補間された予測風データを空間的に補間する。
【0097】
方向決定部108は、飛行体200による飛行の目的方向を決定する。方向決定部108は、例えば、情報格納部102に格納されている飛行体200の飛行位置情報及び飛行体200の目的緯度経度情報に基づいて、飛行体200による飛行の目的方向を決定する。方向決定部108は、例えば、飛行体200の飛行位置情報によって示される飛行体200の飛行緯度経度から飛行体200の目的緯度経度情報によって示される目的緯度経度に向かって飛行体200が飛行するように、飛行体200による飛行の目的方向を決定する。
【0098】
方向決定部108は、例えば、飛行体200の飛行緯度経度から飛行体200の目的緯度経度までの目的距離を決定する。方向決定部108は、例えば、飛行体200による飛行の目的方向ベクトルを決定する。
【0099】
高度決定部110は、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、情報格納部102に格納されている予測風データ及び方向決定部108によって決定された飛行体200による飛行の目的方向に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、補間された予測風データ及び飛行体200による飛行の目的方向に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、情報格納部102に格納されている飛行体200の飛行位置情報にさらに基づいて、飛行体200による飛行の飛行高度を決定してもよい。
【0100】
高度決定部110は、例えば、予測風データに含まれる予測風向データによって示される各高度の予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の余弦をそれぞれ決定することによって、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、決定した複数の余弦のうちの最大余弦に対応する高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
【0101】
高度決定部110は、例えば、最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200に飛行位置情報によって示される飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の平均が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の合計が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0102】
高度決定部110は、例えば、最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、最大余弦に対応する複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、例えば、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の平均が最も大きい高度が複数存在する場合、余弦の平均が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の合計が最も大きい高度が複数存在する場合、余弦の合計が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0103】
高度決定部110は、例えば、高度差が最小の高度が飛行体200の飛行高度より高い高度及び飛行体200の飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、飛行体200が上昇中であるか否かに基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。例えば、情報処理装置100は、飛行体200が上昇中である場合、高度差が最小であり、且つ、飛行体200の飛行高度より高い高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。情報処理装置100は、飛行体200が上昇でない場合、高度差が最小であり、且つ、飛行体200の飛行高度より低い高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
【0104】
高度差が最小の高度が飛行体200の飛行高度より高い高度及び飛行体200の飛行高度より低い高度にそれぞれ存在し、且つ、飛行体200が上昇中である場合、飛行体200は、高度差が最小であり、且つ、飛行体200の飛行高度より高い高度の方が、高度差が最小であり、且つ、飛行体200の飛行高度より低い高度より早期に到着できる。一方で、高度差が最小の高度が飛行体200の飛行高度より高い高度及び飛行体200の飛行高度より低い高度にそれぞれ存在し、且つ、飛行体200が上昇中でない場合、飛行体200は、高度差が最小であり、且つ、飛行体200の飛行高度より低い高度の方が、高度差が最小であり、且つ、飛行体200の飛行高度より高い高度より早期に到着できる。したがって、高度差が最小の高度が飛行体200の飛行高度より高い高度及び飛行体200の飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合に、飛行体200が上昇中であるか否かに応じて飛行体200による飛行の目的高度を決定することによって、情報処理装置100は、飛行体200が飛行体200による飛行の目的高度により早期に到達できるように、飛行体200による飛行の目的高度を決定できる。
【0105】
情報処理装置100は、例えば、飛行体200が、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して無線通信エリア内の通信端末に無線通信サービスを提供する場合において、高度差が最小の高度が飛行体200の飛行高度より高い高度及び飛行体200の飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、飛行体200の飛行高度より低い高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。飛行体200と通信端末との間の無線通信の品質は飛行体200と通信端末との距離が短いほど高くなる傾向にあるので、高度差が最小の高度が飛行体200の飛行高度より高い高度及び飛行体200の飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合に、飛行体200の飛行高度がより低くなるように飛行体200による飛行の目的高度を決定することによって、飛行体200が提供する無線通信サービスの品質を高めることができる。
【0106】
高度決定部110は、例えば、飛行体200の飛行位置情報によって示される飛行体200の飛行高度が予め定められた余弦条件を満たす場合、飛行体200の飛行高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。余弦条件は、例えば、余弦が予め定められた余弦閾値より大きいことである。
【0107】
高度決定部110は、例えば、決定した複数の余弦のうち余弦条件を満たす余弦が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、例えば、余弦条件を満たす余弦に対応する高度が複数存在する場合、余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。
【0108】
高度決定部110は、例えば、余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の平均が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の合計が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0109】
高度決定部110は、例えば、余弦条件を満たす余弦に対応する高度が複数存在する場合、余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、例えば、余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の平均が最も大きい高度が複数存在する場合、余弦の平均が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の合計が最も大きい高度が複数存在する場合、余弦の合計が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0110】
高度決定部110は、例えば、決定した複数の余弦を、値が大きい順に順位付けし、順位が高い順に予め定められた数の余弦に対応する複数の高度をそれぞれ決定し、決定した複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、決定した複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の平均が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、決定した複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の合計が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0111】
高度決定部110は、決定した複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の平均が最も大きい高度が複数存在する場合、余弦の平均が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。高度決定部110は、決定した複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する余弦の合計が最も大きい高度が複数存在する場合、余弦の合計が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0112】
高度決定部110は、例えば、飛行体200の飛行高度に基づいて、余弦を決定する高度間隔を決定する。高度決定部110は、例えば、飛行体200の飛行高度との高度差が予め定められた高度閾値より小さい高度範囲では第1高度間隔で余弦を決定し、飛行体200の飛行高度との高度差が高度閾値より大きい高度範囲では第1高度間隔より大きい第2高度間隔で余弦を決定する。例えば、情報処理装置100が15km<h<23kmの高度範囲で余弦を決定し、飛行体200の飛行高度が20kmであり、高度閾値が1kmである場合において、情報処理装置100は、19km<h<21kmの高度範囲では100mの第1高度間隔で余弦を決定し、15km<h≦19km及び21km≦h<23kmの高度範囲では500mの第2高度間隔で余弦を決定する。
【0113】
高度決定部110は、方向決定部108によって決定された目的距離に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する方法を変更してもよい。高度決定部110は、例えば、目的距離が予め定められた第1目的距離閾値より短い場合、予測風速データによって示される各高度の予測風速のうちの最小予測風速に対応する高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。
【0114】
高度決定部110は、例えば、最小予測風速に対応する高度が複数存在する場合、最小予測風速に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200に飛行位置情報によって示される飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する予測風速に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、最小予測風速に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する予測風速の平均が最も小さい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、最小予測風速に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する予測風速の合計が最も小さい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0115】
高度決定部110は、例えば、最小予測風速に対応する高度が複数存在する場合、最小予測風速に対応する複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、例えば、最小予測風速に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する予測風速の平均が最も小さい高度が複数存在する場合、予測風速の平均が最も小さい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、最小予測風速に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する予測風速の合計が最も小さい高度が複数存在する場合、予測風速の合計が最も小さい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0116】
情報処理装置100は、目的距離が第1目的距離閾値より短い場合、予測風速がより小さい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。これにより、情報処理装置100は、目的距離が第1目的距離閾値より短い場合に、飛行体200の目的緯度経度の近辺で滞空飛行することをより優先して飛行体200による飛行の目的高度を決定できる。
【0117】
高度決定部110は、例えば、目的距離が第1目的距離閾値より長い予め定められた第2目的距離閾値より長い場合、予測風データによって示される各高度の予測風ベクトル及び飛行体200による飛行の目的方向ベクトルの内積をそれぞれ決定し、複数の内積のうちの最大内積に対応する高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、例えば、最大内積に対応する高度が複数存在する場合、最大内積に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200に飛行位置情報によって示される飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する内積に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。高度決定部110は、例えば、最大内積に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する内積の平均が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、最大内積に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する内積の合計が最も大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0118】
高度決定部110は、例えば、最大内積に対応する高度が複数存在する場合、最大内積に対応する複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、例えば、最大内積に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する内積の平均が最も大きい高度が複数存在する場合、内積の平均が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。高度決定部110は、最大内積に対応する複数の高度のそれぞれと飛行体200の飛行高度との間の中間高度に対応する内積の合計が最も大きい高度が複数存在する場合、内積の合計が最も大きい複数の高度のうちの飛行体200の飛行高度との高度差が最小の高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定してもよい。
【0119】
情報処理装置100は、目的距離が第2目的距離閾値より長い場合、予測風ベクトル及び飛行体200による飛行の目的方向ベクトルに内積がより大きい高度が飛行体200による飛行の目的高度であると決定する。これにより、情報処理装置100は、目的距離が第2目的距離閾値より長い場合に、飛行体200の目的緯度経度に向かって飛行体200が高速飛行することをより優先して飛行体200による飛行の目的高度を決定できる。
【0120】
情報処理装置100は、目的距離が第1目的距離閾値より長く、且つ、第2目的距離閾値より短い場合、予測風データに含まれる予測風向データによって示される各高度の予測風向及び飛行体200による飛行の目的方向のなす角の余弦に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定してよい。
【0121】
制御部112は、飛行体200による飛行を制御する。制御部112は、例えば、飛行体200の飛行高度を制御する。制御部112は、例えば、飛行体200が、高度決定部110によって決定された飛行体200による飛行の目的高度に向かって飛行するように、飛行体200の飛行高度を制御する。
【0122】
制御部112は、飛行体200の飛行緯度経度を制御してもよい。制御部112は、例えば、飛行体200が、方向決定部108によって決定された飛行体200による飛行の目的方向に向かって飛行するように、飛行体200の飛行緯度経度を制御する。
【0123】
軌道推定部114は、飛行体200の軌道を推定する。軌道推定部114は、例えば、予め定められた軌道推定期間の飛行体200の軌道を推定する。軌道推定期間は、例えば、1週間である。軌道推定期間は、その他の任意の期間であってもよい。軌道推定部114は、推定した飛行体200の軌道を示す推定軌道情報を情報格納部102に格納してよい。
【0124】
軌道推定部114は、例えば、情報格納部102に格納されている予測風データに基づいて、飛行体200の軌道を推定する。軌道推定部114は、予測風データに含まれる予測誤差を考慮して、飛行体200の軌道を推定してもよい。軌道推定部114は、例えば、飛行体200が高度決定部110によって決定された飛行体200による飛行の目的高度に向かって飛行した場合の飛行体200の軌道を推定する。
【0125】
飛行体200の軌道を推定することは、飛行体200の飛行位置を推定することを含んでよい。軌道推定部114は、飛行位置情報取得部の一例であってよい。
【0126】
情報取得部104は、学習データを取得してもよい。学習データは、飛行体200の飛行位置情報と、飛行体200が当該飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの予測風データと、飛行体200が当該飛行位置にいるときから予め定められた期間が経過した後の飛行体200の飛行位置を示す、飛行体200の飛行位置情報とを含む。情報取得部104は、取得した学習データを学習データ格納部116に格納してよい。
【0127】
モデル生成部118は、飛行体200の飛行位置を推定する飛行位置推定モデルを機械学習により生成する。モデル生成部118は、例えば、学習データ格納部116に格納されている複数の学習データを教師データとして用いて、飛行体200の飛行位置情報及び飛行体200が当該飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの予測風データから、飛行体200が当該飛行位置にいるときから予め定められた期間が経過した後の飛行体200の飛行位置を推定する飛行位置推定モデルを機械学習により生成する。モデル生成部118は、生成した飛行位置推定モデルをモデル格納部120に格納してよい。
【0128】
情報取得部104は、飛行体200が飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの予測風データを取得してよい。軌道推定部114は、モデル格納部120に格納されている飛行位置推定モデルを用いて、飛行体200の当該飛行位置情報及び当該予測風データから、飛行体200が当該飛行位置にいるときから予め定められた期間が経過した後の飛行体200の飛行位置を推定することによって、飛行体200の軌道を推定してよい。
【0129】
モデル取得部122は、各種モデルを取得する。モデル取得部122は、取得した各種モデルをモデル格納部120に格納してよい。
【0130】
モデル取得部122は、例えば、飛行位置推定モデルを取得する。モデル取得部122は、例えば、モデル生成部118によって生成された飛行位置推定モデルと同様の飛行位置推定モデルを取得する。
【0131】
モデル取得部122は、予測風データから飛行体200による飛行の目的高度を決定する目的高度決定モデルを取得してもよい。モデル取得部122は、例えば、強化学習が行われていない初期状態の目的高度決定モデルを取得する。
【0132】
強化学習部124は、モデル格納部120に格納されている目的高度決定モデルを強化学習する。強化学習部124は、例えば、飛行体200が目的高度決定モデルによって決定された飛行体200による飛行の目的高度に向かって飛行した場合において、飛行体200の目的距離が短くなった場合に報酬を与え、飛行体200の目的距離が長くなった場合にペナルティを与えることによって、報酬が最大となるように目的高度決定モデルを強化学習する。強化学習部124は、強化学習した目的高度決定モデルをモデル格納部120に格納してよい。高度決定部110は、強化学習部124によって強化学習された目的高度決定モデルを用いて、予測風データから飛行体200による飛行の目的高度を決定してよい。
【0133】
情報取得部104は、飛行体200が実際に飛行したときに測定された飛行体200の軌道を示す測定軌道情報を取得してもよい。情報取得部104は、推定軌道情報に測定軌道情報を対応付けて情報格納部102に格納してよい。
【0134】
予測風データ評価部126は、予測風データを評価する。予測風データ評価部126は、例えば、情報格納部102に対応付けて格納されている、飛行体200の推定軌道情報及び測定軌道情報に基づいて、予測風データを評価する。
【0135】
予測風データ評価部126は、例えば、飛行体200の推定軌道情報及び測定軌道情報を比較することによって、予測風データを評価する。予測風データ評価部126は、例えば、推定軌道情報によって示される推定された飛行体200の軌道と測定軌道情報によって示される測定された飛行体200の軌道との間の誤差が予め定められた誤差閾値より大きい場合、測定された飛行体200の軌道のうちの当該誤差が誤差閾値より大きい軌道を飛行体200が飛行している間に、予測風データにおいて予測されていない、ジェット気流、突風、乱気流等が発生していたと評価することによって、予測風データを評価する。
【0136】
予測風データ評価部126は、予測風データを評価した評価結果を、気象予測システム300にフィードバックしてもよい。これにより、情報処理装置100は、気象予測システム300による予測風データの予測精度の向上に貢献できる。
【0137】
滞在可能期間予測部128は、情報格納部102に格納されている滞在エリア情報によって示される滞在エリアに飛行体200が滞在可能な期間である滞在可能期間を予測する。滞在可能期間予測部128は、例えば、情報格納部102に格納されている飛行体200の推定軌道情報に基づいて、飛行体200の滞在可能期間を予測する。滞在可能期間予測部128は、例えば、飛行体200の推定軌道情報によって示される、推定された飛行体200の軌道のうちの滞在エリアに含まれる軌道の期間を決定することによって、飛行体200の滞在可能期間を予測する。
【0138】
受信信号強度予測部130は、成層圏プラットフォームとして機能する飛行体200により照射されたビームによって搬送された信号を通信端末が受信する受信信号強度を予測する。受信信号強度予測部130は、例えば、情報格納部102に格納されている飛行体200のアンテナ性能情報及び飛行体200の飛行位置情報に基づいて、飛行体200が当該飛行位置情報によって示される飛行位置にいるときの当該受信信号強度を予測する。
【0139】
受信信号強度予測部130は、情報格納部102に格納されている飛行体200の推定軌道情報に基づいて、当該受信信号強度を予測してもよい。受信信号強度予測部130は、例えば、飛行体200の推定軌道情報によって示される、推定された飛行体200の軌道内の各飛行位置にいるときの当該受信信号強度をそれぞれ予測する。
【0140】
配置決定部132は、移動体の配置を決定する。移動体は、例えば、基地局を搭載している。移動体は、飛行体200を用いた任意の試験に用いられる観測装置を搭載していてもよい。移動体は、例えば、車両である。移動体は、ドローン等の飛行体であってもよい。
【0141】
配置決定部132は、例えば、移動体を配置する配置位置を決定することによって、移動体の配置を決定する。配置決定部132は、例えば、移動体を配置する配置期間を決定することによって、移動体の配置を決定する。
【0142】
配置決定部132は、例えば、情報格納部102に格納されている飛行体200の推定軌道情報によって示される、推定された飛行体200の軌道に基づいて、移動体の配置を決定する。配置決定部132は、例えば、推定された飛行体200の軌道を飛行体200が飛行した場合に、移動体と飛行体200との間の装置間距離が予め定められた装置間距離閾値より短い期間がより長くなるように、移動体の配置を決定する。
【0143】
配置決定部132は、移動体が車両である場合、情報格納部102に格納されている環境情報に含まれる道路情報にさらに基づいて、移動体の配置を決定してもよい。配置決定部132は、例えば、移動体が停車可能な地上のエリアに配置されるように、移動体の配置を決定する。
【0144】
図8は、情報処理装置100の処理の流れの一例を説明するための説明図である。ここでは、情報処理装置100が飛行体200による飛行を予測するための初期条件を設定していない状態を開始状態として説明する。
【0145】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102において、初期条件設定部103が、情報処理装置100が飛行体200による飛行を予測するための初期条件を設定する。S104において、情報取得部104が、気象予測システム300から予測風データを取得する。S106において、予測風データ補間部106が、S104で情報取得部104によって取得された予測風データを補間する。
【0146】
S108において、方向決定部108が、S102で初期条件設定部103によって設定された初期条件に含まれる、飛行体200による飛行の予測を開始するときの飛行体200の飛行位置情報及び目的緯度経度情報に基づいて、飛行体200による飛行の目的方向を決定する。S110において、高度決定部110が、S106で予測風データ補間部106によって補間された予測風データ及びS108で方向決定部108によって決定された飛行体200による飛行の目的方向に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。S112において、軌道推定部114が、S106で予測風データ補間部106によって補間された予測風データに基づいて、飛行体200による飛行の予測を開始するときの飛行体200の飛行位置からS110で高度決定部110によって決定された飛行体200による飛行の目的高度に向かって飛行体200が飛行した場合の1秒後の飛行体200の飛行位置を推定する。
【0147】
S114において、軌道推定部114は、飛行体200の軌道の推定が完了したか否かを判定する。軌道推定部114は、例えば、1週間分の飛行体200の軌道の推定が完了した場合に飛行体200の軌道の推定が完了したと判定し、1週間分の飛行体200の軌道の推定が完了していない場合に飛行体200の軌道の推定が完了していないと判定する。
【0148】
S114で飛行体200の軌道の推定が完了していないと軌道推定部114が判定した場合、S108に戻る。S114で飛行体200の軌道の推定が完了していないと軌道推定部114が判定した後のS108(S108'と記載する場合がある。)において、方向決定部108が、S112で軌道推定部114によって推定された飛行体200の飛行位置を示す飛行体200の飛行位置情報及び目的緯度経度情報に基づいて、飛行体200による飛行の目的方向を決定する。S114で飛行体200の軌道の推定が完了していないと軌道推定部114が判定した後のS110(S110'と記載する場合がある。)において、高度決定部110が、補間された予測風データ及びS108'で方向決定部108によって決定された飛行体200による飛行の目的方向に基づいて、飛行体200による飛行の目的高度を決定する。S114で飛行体200の軌道の推定が完了していないと軌道推定部114が判定した後のS112において、軌道推定部114が、補間された予測風データに基づいて、S112で軌道推定部114によって推定された飛行体200の飛行位置からS110'で高度決定部110によって決定された飛行体200による飛行の目的高度に向かって飛行体200が飛行した場合の1秒後の飛行体200の飛行位置を推定する。S114で飛行体200の軌道の推定が完了したと軌道推定部114が判定した場合、飛行体200の軌道を推定する処理が終了する。
【0149】
図9は、情報処理装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、上記実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0150】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブ1226は、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0151】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0152】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1227等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0153】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0154】
プログラムは、DVD-ROM1227又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0155】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM1227、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0156】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ1226(DVD-ROM1227)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0157】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0158】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0159】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0160】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0161】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0162】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0163】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0164】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0165】
10 システム、20 ネットワーク、40 基地局、60 通信衛星、100 情報処理装置、102 情報格納部、103 初期条件設定部、104 情報取得部、106 予測風データ補間部、108 方向決定部、110 高度決定部、112 制御部、114 軌道推定部、116 学習データ格納部、118 モデル生成部、120 モデル格納部、22 モデル取得部、124 強化学習部、126 予測風データ評価部、128 滞在可能期間予測部、130 受信信号強度予測部、132 配置決定部、200 飛行体、300 気象予測システム、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1226 DVDドライブ、1227 DVD-ROM、1230 ROM、1240 入出力チップ、1242 キーボード
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部と、
成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部と、
前記飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報と、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報とを含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部と、
前記飛行位置情報及び前記目的緯度経度情報に基づいて、前記飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部と、
前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部と
を備え、
前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記目的方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうちの最大余弦に対応する高度が前記目的高度であると決定し、
前記高度決定部は、前記最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記最大余弦に対応する複数の高度のそれぞれと前記飛行体の前記飛行高度との間の中間高度に対応する前記余弦に基づいて、前記目的高度を決定する、
情報処理装置。
【請求項2】
飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部と、
成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部と、
前記飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報と、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報とを含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部と、
前記飛行位置情報及び前記目的緯度経度情報に基づいて、前記飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部と、
前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部と
を備え、
前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記目的方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうちの最大余弦に対応する高度が前記目的高度であると決定し、
前記高度決定部は、前記最大余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記最大余弦に対応する複数の高度のうちの前記飛行体の前記飛行高度との高度差が最小の高度が前記目的高度であると決定する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記高度決定部は、前記飛行体が、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内の通信端末に無線通信サービスを提供する場合において、前記高度差が最小の高度が前記飛行体の前記飛行高度より高い高度及び前記飛行体の前記飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、前記飛行体の前記飛行高度より低い高度が前記目的高度であると決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記高度決定部は、前記高度差が最小の高度が前記飛行体の前記飛行高度より高い高度及び前記飛行体の前記飛行高度より低い高度にそれぞれ存在する場合、前記飛行体が上昇中であるか否かに基づいて、前記目的高度を決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部と、
成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部と、
前記飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報と、前記飛行体の飛行高度を示す飛行高度情報とを含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部と、
前記飛行位置情報及び前記目的緯度経度情報に基づいて、前記飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部と、
前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部と
を備え、
前記高度決定部は、前記予測風向データによって示される各高度の予測風向及び前記飛行方向のなす角の余弦をそれぞれ決定し、複数の前記余弦のうち予め定められた余弦条件を満たす余弦を決定し、前記余弦条件を満たす余弦に対応する高度が複数存在する場合、前記余弦条件を満たす余弦に対応する複数の高度のそれぞれと前記飛行体の前記飛行高度との間の中間高度に対応する前記余弦に基づいて、前記目的高度を決定する、
情報処理装置。
【請求項6】
飛行体による飛行の目的緯度経度を示す目的緯度経度情報を格納する情報格納部と、
成層圏内の予め定められた高度範囲の予測風速データ及び予測風向データを含む予測風データを取得する予測風データ取得部と、
前記飛行体の飛行緯度経度を示す飛行緯度経度情報を含む飛行位置情報を取得する飛行位置情報取得部と、
前記飛行位置情報及び前記目的緯度経度情報に基づいて、前記飛行体による飛行の目的方向を決定する方向決定部と、
前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記飛行体による飛行の目的高度を決定する高度決定部と
を備え、
前記方向決定部は、前記飛行体の前記飛行緯度経度から前記目的緯度経度までの目的距離をさらに決定し、
前記高度決定部は、前記目的距離が予め定められた第1目的距離閾値より短い場合、前記予測風速データによって示される各高度の予測風速のうちの最小予測風速に対応する高度が前記目的高度であると決定し、前記目的距離が前記第1目的距離閾値より長い予め定められた第2目的距離閾値より長い場合、前記予測風データによって示される各高度の予測風ベクトル及び前記飛行体による飛行の目的方向ベクトルの内積をそれぞれ決定し、複数の前記内積のうちの最大内積に対応する高度が前記目的高度であると決定する、
情報処理装置。
【請求項7】
時間間隔が予め定められた第1時間間隔から前記第1時間間隔より短い第2時間間隔になるように前記予測風データを時間的に補間し、前記飛行体の前記飛行緯度経度の前記予測風データが含まれるように時間的に補間された前記予測風データを空間的に補間することによって、前記予測風データを補間する予測風データ補間部
をさらに備え、
前記高度決定部は、前記予測風データ補間部によって補間された前記予測風データ及び前記目的方向に基づいて、前記目的高度を決定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記予測風データに基づいて、前記飛行体が前記目的高度に向かって飛行した場合の前記飛行体の軌道を推定する軌道推定部
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置を備える、飛行体。