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▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132381
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/02 20060101AFI20240920BHJP
   F04C 18/02 20060101ALI20240920BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F04B39/02 G
F04C18/02 311W
F04C29/02 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043120
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 大智
(72)【発明者】
【氏名】柴田 将希
(72)【発明者】
【氏名】林 志郎
(72)【発明者】
【氏名】掛川 真一
(72)【発明者】
【氏名】宮地 智也
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊裕
【テーマコード(参考)】
3H003
3H039
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AC03
3H003BD05
3H003CD01
3H003CD05
3H039AA02
3H039AA12
3H039BB11
3H039BB28
3H039CC09
3H039CC12
3H039CC22
3H039CC27
3H039CC42
3H129AA02
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB06
3H129BB42
3H129CC08
3H129CC22
3H129CC33
(57)【要約】
【課題】圧縮機の小型化を図りつつも、流体通路の絞り部に異物が詰まってしまうことを抑制すること。
【解決手段】絞り部材60は、筒部材61の端壁63が吐出ハウジング14の端壁14aにおける貯油室41を区画する面14eから貯油室41内に突出した状態で吐出ハウジング14の端壁14aに設けられている。このため、絞り部の一部であるオリフィス孔73が貯油室41内に配置されているため、貯油室41内のスペースが、絞り部の一部を配置するためのスペースとして有効活用されている。オリフィス孔73は、貯油室41と螺旋通路72とを連通している。貯油室41から流体通路76を介して背圧室へ導かれるオイルは、オリフィス孔73及び螺旋通路72を流れる際に減圧される。したがって、従来技術のように、絞り部が螺旋通路72のみで構成されている場合に比べると、オイルの圧力が効率良く減圧される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮機構と、
前記圧縮機構により圧縮された流体が吐出される吐出室を含む高圧領域、及び前記高圧領域よりも圧力が低い低圧領域を有するハウジングと、
前記高圧領域内の流体を前記低圧領域へ導く流体通路と、
前記流体通路に設けられる絞り部を形成する絞り部材と、を備えている圧縮機であって、
前記ハウジングは、前記高圧領域を区画する区画壁を有し、
前記絞り部材は、
筒部材と、
前記筒部材の内側に配置される柱状の流路形成部材と、を有し、
前記筒部材は、端壁と、前記端壁から筒状に延びる周壁と、を有し、
前記周壁の内周面及び前記流路形成部材の外周面の少なくとも一方には、螺旋通路を区画する螺旋溝が形成されており、
前記端壁には、前記高圧領域と前記螺旋通路とを連通するオリフィス孔が形成されており、
前記螺旋通路及び前記オリフィス孔は、前記絞り部を構成しており、
前記絞り部材は、前記端壁が前記区画壁における前記高圧領域を区画する面から前記高圧領域内に突出した状態で前記区画壁に設けられていることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記端壁は、前記周壁から離間するにつれて先細りする先細り形状であり、
前記オリフィス孔は、前記端壁の前記先細り形状の先端部に開口していることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記端壁は、円錐形状であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、圧縮機構と、ハウジングと、を備えている。圧縮機構は、流体を圧縮する。ハウジングは、高圧領域、及び低圧領域を有している。高圧領域は、圧縮機構により圧縮された流体が吐出される吐出室を含む。低圧領域は、高圧領域よりも圧力が低い。また、圧縮機は、高圧領域内の流体を低圧領域へ導く流体通路を備えている場合がある。流体通路には、絞り部が設けられている。そして、高圧領域内の流体は、絞り部によって減圧された状態で流体通路を介して低圧領域へ導かれる。
【0003】
例えば特許文献1のように、絞り部材がハウジングの内部に設置されている場合がある。ハウジングには、絞り部材が挿入される挿入孔が形成されている。絞り部材の外周面には、螺旋溝が形成されている。そして、螺旋溝と、ハウジングにおける挿入孔を区画する内周面とによって螺旋通路が区画されている。高圧領域から流体通路を介して低圧領域へ導かれる流体は、螺旋通路を流れる際に減圧される。したがって、螺旋通路は、流体通路に設けられる絞り部として機能している。このように、絞り部材は、流体通路に設けられる絞り部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6389957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、螺旋通路を流体が流れることにより、流体の圧力を減圧させる構成では、流体の圧力を十分に減圧させるためには、螺旋通路の長さをある程度確保する必要がある。したがって、螺旋通路の長さを確保する分だけ、絞り部材が挿入される挿入孔の長さも確保する必要があるため、ハウジングの体格が大型化してしまう。その結果、圧縮機が大型化してしまう。よって、圧縮機の小型化を図りつつも、高圧領域から流体通路を介して低圧領域へ導かれる流体の圧力を効率良く減圧させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する圧縮機は、流体を圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構により圧縮された流体が吐出される吐出室を含む高圧領域、及び前記高圧領域よりも圧力が低い低圧領域を有するハウジングと、前記高圧領域内の流体を前記低圧領域へ導く流体通路と、前記流体通路に設けられる絞り部を形成する絞り部材と、を備えている圧縮機であって、前記ハウジングは、前記高圧領域を区画する区画壁を有し、前記絞り部材は、筒部材と、前記筒部材の内側に配置される柱状の流路形成部材と、を有し、前記筒部材は、端壁と、前記端壁から筒状に延びる周壁と、を有し、前記周壁の内周面及び前記流路形成部材の外周面の少なくとも一方には、螺旋通路を区画する螺旋溝が形成されており、前記端壁には、前記高圧領域と前記螺旋通路とを連通するオリフィス孔が形成されており、前記螺旋通路及び前記オリフィス孔は、前記絞り部を構成しており、前記絞り部材は、前記端壁が前記区画壁における前記高圧領域を区画する面から前記高圧領域内に突出した状態で前記区画壁に設けられている。
【0007】
これによれば、絞り部材は、筒部材の端壁が区画壁における高圧領域を区画する面から高圧領域内に突出した状態で区画壁に設けられているため、絞り部の一部であるオリフィス孔を高圧領域内に配置することができる。したがって、高圧領域内のスペースを、絞り部の一部を配置するためのスペースとして有効活用することができる。その結果、圧縮機の小型化を図ることができる。そして、オリフィス孔は、高圧領域と螺旋通路とを連通している。これによれば、高圧領域から流体通路を介して低圧領域へ導かれる流体は、オリフィス孔及び螺旋通路を流れる際に減圧される。したがって、従来技術のように、絞り部が螺旋通路のみで構成されている場合に比べると、高圧領域から流体通路を介して低圧領域へ導かれる流体の圧力を効率良く減圧させることができる。以上により、圧縮機の小型化を図りつつも、高圧領域から流体通路を介して低圧領域へ導かれる流体の圧力を効率良く減圧させることができる。
【0008】
上記圧縮機において、前記端壁は、前記周壁から離間するにつれて先細りする先細り形状であり、前記オリフィス孔は、前記端壁の前記先細り形状の先端部に開口しているとよい。
【0009】
これによれば、高圧領域内の流体が筒部材の端壁の外周面を、端壁の先端部に向けて流れることにより、端壁の先端部に付着しようとする異物が流体によって除去される。したがって、端壁の先端部に開口するオリフィス孔が異物によって詰まってしまうことを抑制することができる。
【0010】
上記圧縮機において、前記端壁は、円錐形状であるとよい。
これによれば、例えば、筒部材の端壁が四角錐形状である場合に比べると、高圧領域内の流体が筒部材の端壁の外周面に対して、いずれの方向からも端壁の先端部に向けて流れ易くなる。よって、筒部材の端壁の先端部に付着しようとする異物を流体によってさらに除去し易くすることができる。したがって、端壁の先端部に開口するオリフィス孔が異物によって詰まってしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、圧縮機の小型化を図りつつも、高圧領域から流体通路を介して低圧領域へ導かれる流体の圧力を効率良く減圧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態におけるスクロール型圧縮機の断面図である。
図2】スクロール型圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図3】絞り部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、圧縮機を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。本実施形態の圧縮機は、スクロール型圧縮機である。スクロール型圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
【0014】
<スクロール型圧縮機の基本構成>
図1に示すように、スクロール型圧縮機10は、筒状のハウジング11を備えている。ハウジング11は、モータハウジング12と、軸支ハウジング13と、吐出ハウジング14と、を有している。モータハウジング12、軸支ハウジング13、及び吐出ハウジング14は、金属材料製である。モータハウジング12、軸支ハウジング13、及び吐出ハウジング14は、例えば、アルミニウム製である。また、スクロール型圧縮機10は、回転軸15を備えている。回転軸15は、ハウジング11内に収容されている。
【0015】
モータハウジング12は、板状の端壁12aと、筒状の周壁12bと、を有している。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。周壁12bの軸方向は、回転軸15の軸方向に一致している。モータハウジング12は、吸入口12hを有している。吸入口12hは、流体である冷媒ガスを吸入する。冷媒ガスとしては、二酸化炭素が採用されている。なお、冷媒ガスには、ミスト状のオイルが含まれている。吸入口12hは、周壁12bにおける端壁12a側に位置する部分に形成されている。吸入口12hは、モータハウジング12内外を連通している。
【0016】
モータハウジング12は、円筒状の軸受保持部12dを有している。軸受保持部12dは、端壁12aの内面の中央部から突出している。回転軸15の軸方向の一方の端部である第1端部は、軸受保持部12d内に挿入されている。スクロール型圧縮機10は、軸受16を備えている。軸受16は、例えば、転がり軸受である。軸受16は、軸受保持部12dの内周面と回転軸15の第1端部の外周面との間に設けられている。そして、回転軸15の第1端部は、軸受16を介してモータハウジング12に回転可能に支持されている。
【0017】
軸支ハウジング13は、板状の端壁17と、筒状の周壁18と、を有している。周壁18は、端壁17の外周部から筒状に延びている。周壁18の軸方向は、回転軸15の軸方向に一致している。また、軸支ハウジング13は、円環状のフランジ壁19を有している。フランジ壁19は、周壁18の外周面における端壁17とは反対側の端部から回転軸15の径方向外側に向けて延びている。
【0018】
軸支ハウジング13は、円孔状の挿通孔17aを有している。挿通孔17aは、端壁17の中央部に形成されている。挿通孔17aは、端壁17を厚み方向に貫通している。挿通孔17aには、回転軸15が挿通されている。回転軸15の軸方向の他方の端部である第2端部側に位置する先端面15eは、周壁18の内側に位置している。
【0019】
スクロール型圧縮機10は、軸受21を備えている。軸受21は、例えば、転がり軸受である。軸受21は、周壁18の内周面と回転軸15の外周面との間に設けられている。そして、回転軸15は、軸受21を介して軸支ハウジング13に回転可能に支持されている。したがって、軸支ハウジング13は、回転軸15を回転可能に支持する。このように、回転軸15は、ハウジング11に対して回転可能に支持されている。
【0020】
スクロール型圧縮機10は、モータ室20を備えている。モータ室20は、モータハウジング12及び軸支ハウジング13により区画されている。モータハウジング12は、モータ室20を軸支ハウジング13と共に区画する。このように、ハウジング11内には、モータ室20が形成されている。モータ室20は、吸入口12hに連通している。モータ室20内には、吸入口12hからの冷媒ガスが吸入される。
【0021】
スクロール型圧縮機10は、モータ22を備えている。モータ22は、モータ室20内に収容されている。モータ22は、筒状のステータ23と、筒状のロータ24と、を備えている。ロータ24は、ステータ23の内側に配置されている。ロータ24は、回転軸15と一体的に回転する。ステータ23は、ロータ24を取り囲んでいる。ロータ24は、回転軸15に固定されたロータコア24aと、ロータコア24aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。
【0022】
ステータ23は、筒状のステータコア23aと、モータコイル23bと、を有している。ステータコア23aは、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されている。モータコイル23bは、ステータコア23aに巻回されている。そして、図示しないインバータによって制御された電力がモータコイル23bに供給されることによりロータ24が回転する。これにより、回転軸15がロータ24と一体的に回転する。したがって、モータ22は、回転軸15を回転させる。
【0023】
スクロール型圧縮機10は、圧縮機構C1を備えている。圧縮機構C1は、固定スクロール25、及び旋回スクロール26を有している。したがって、スクロール型圧縮機10は、固定スクロール25と、旋回スクロール26と、を備えている。圧縮機構C1は、スクロール式である。旋回スクロール26は、回転軸15の回転によって固定スクロール25に対して公転する。
【0024】
固定スクロール25は、固定基板25a、及び固定渦巻壁25bを有している。固定基板25aは、円板状である。固定基板25aの中央には、吐出ポート25hが形成されている。吐出ポート25hは、円孔状である。吐出ポート25hは、固定基板25aを厚み方向に貫通している。固定渦巻壁25bは、固定基板25aから起立している。また、固定スクロール25は、外周壁25cを有している。外周壁25cは、固定基板25aの外周部から起立している。外周壁25cは、固定渦巻壁25bを囲繞している。
【0025】
スクロール型圧縮機10は、弁機構25vを備えている。弁機構25vは、固定基板25aにおける固定渦巻壁25bとは反対側の面に取り付けられている。弁機構25vは、吐出ポート25hを開閉可能に構成されている。
【0026】
旋回スクロール26は、旋回基板26a、及び旋回渦巻壁26bを有している。旋回基板26aは、円板状である。旋回基板26aは、固定基板25aに対向している。旋回渦巻壁26bは、旋回基板26aから固定基板25aに向けて起立している。旋回渦巻壁26bは、固定渦巻壁25bと噛み合っている。旋回スクロール26は、外周壁25cの内側に位置している。旋回スクロール26は、外周壁25cの内側で公転する。固定渦巻壁25bの先端面は、旋回基板26aに接触している。旋回渦巻壁26bの先端面は、固定基板25aに接触している。
【0027】
スクロール型圧縮機10は、圧縮室27を備えている。圧縮室27は、固定基板25a、固定渦巻壁25b、旋回基板26a、及び旋回渦巻壁26bによって区画されている。したがって、圧縮室27は、固定スクロール25と旋回スクロール26との間に区画形成されている。圧縮室27は、外部からの冷媒ガスを取り込み圧縮する。
【0028】
スクロール型圧縮機10は、ボス部28を備えている。旋回基板26aは、円筒状のボス部28を有している。ボス部28は、旋回基板26aにおける固定基板25aとは反対側の端面26eから筒状に突出している。ボス部28の軸方向は、回転軸15の軸方向に一致している。
【0029】
旋回基板26aは、溝部26dを複数有している。複数の溝部26dは、旋回基板26aの端面26eにおけるボス部28の周囲にそれぞれ形成されている。複数の溝部26dは、回転軸15の周方向に所定の間隔をあけて配置されている。なお、図1では、説明の都合上、溝部26dを1つだけ図示している。各溝部26d内には、円環状のリング部材29が嵌着されている。各リング部材29内には、ピン30が挿入されている。各ピン30は、軸支ハウジング13における旋回スクロール26側の端面13eに突設されている。
【0030】
スクロール型圧縮機10は、偏心軸31を備えている。偏心軸31は、回転軸15の先端面15eから突出するとともに回転軸15の軸線L1に対して偏心した位置で回転軸15と平行に延びている。偏心軸31は、回転軸15に一体形成されている。偏心軸31の軸方向は、回転軸15の軸方向に一致している。偏心軸31は、回転軸15の先端面15eから旋回スクロール26に向けて突出している。偏心軸31は、ボス部28内に挿入されている。
【0031】
スクロール型圧縮機10は、ブッシュ32を備えている。ブッシュ32は、円筒状である。ブッシュ32は、偏心軸31の外周面に嵌合されている。ブッシュ32は、偏心軸31を中心に揺動(スイング)可能である。
【0032】
スクロール型圧縮機10は、バランスウェイト33を備えている。バランスウェイト33は、ブッシュ32に一体化されている。バランスウェイト33は、ブッシュ32に一体形成されている。バランスウェイト33は、軸支ハウジング13の周壁18の内側に配置されている。
【0033】
スクロール型圧縮機10は、軸受34を備えている。軸受34は、円筒状の滑り軸受である。軸受34は、ボス部28の内側に配置されている。軸受34は、ボス部28の内周面とブッシュ32の外周面との間に配置されている。ブッシュ32は、軸受34を介してボス部28に回転可能に支持されている。
【0034】
回転軸15の回転は、偏心軸31、ブッシュ32、及び軸受34を介して旋回スクロール26に伝達される。これにより、旋回スクロール26は自転する。そして、各ピン30と各リング部材29の内周面とが接触することにより、旋回スクロール26の自転が阻止されて、旋回スクロール26の公転運動のみが許容される。これにより、旋回スクロール26は、旋回渦巻壁26bが固定渦巻壁25bに接触しながら公転運動する。旋回スクロール26は、回転軸15の回転に伴い、外周壁25cの内側で公転する。バランスウェイト33は、旋回スクロール26が公転運動する際に旋回スクロール26に作用する遠心力を相殺する。これにより、旋回スクロール26のアンバランス量が低減される。
【0035】
スクロール型圧縮機10は、弾性プレート35を備えている。弾性プレート35は、環状である。弾性プレート35は、軸支ハウジング13の端面13eと外周壁25cの開口端面との間に挟持されている。そして、弾性プレート35は、旋回スクロール26を固定スクロール25に向けて常に付勢している。
【0036】
吐出ハウジング14は、板状の端壁14aと、筒状の周壁14bと、を有している。周壁14bは、端壁14aの外周部から筒状に延びている。周壁14bの軸線方向は、回転軸15の軸線方向に一致している。周壁14bは、固定スクロール25を囲繞している。したがって、固定スクロール25は、ハウジング11内に収容されている。
【0037】
軸支ハウジング13は、モータハウジング12の周壁12bの開口端面に連結されている。吐出ハウジング14は、軸支ハウジング13のフランジ壁19に連結されている。したがって、モータハウジング12、軸支ハウジング13、及び吐出ハウジング14は、この順序で、回転軸15の軸線方向に並んで配置されている。固定スクロール25は、吐出ハウジング14の端壁14aと軸支ハウジング13とによって挟み込まれている。このようにして、固定スクロール25は、ハウジング11に固定されている。
【0038】
スクロール型圧縮機10は、吸入通路36を備えている。吸入通路36は、第1溝36aと、第1孔36bと、第2溝36cと、第2孔36dと、を有している。第1溝36aは、モータハウジング12の周壁12bの内周面の一部に形成されている。第1溝36aは、周壁12bの開口端に開口している。第1孔36bは、軸支ハウジング13のフランジ壁19の外周部に形成されている。第1孔36bは、フランジ壁19を厚み方向に貫通する。第1孔36bは、第1溝36aに連通している。第2溝36cは、吐出ハウジング14の周壁14bの内周面の一部に形成されている。第2溝36cは、第1孔36bに連通している。第2孔36dは、固定スクロール25の外周壁25cに形成されている。第2孔36dは、外周壁25cを厚み方向に貫通している。第2孔36dは、第2溝36cに連通している。第2孔36dは、圧縮室27における最外周部分に連通している。
【0039】
モータ室20内の冷媒ガスは、第1溝36a、第1孔36b、第2溝36c、及び第2孔36dを通過して、圧縮室27に吸入される。圧縮室27に吸入された冷媒ガスは、旋回スクロール26の公転運動に伴って、圧縮室27の容積が減少することにより、圧縮室27内で圧縮される。このように、圧縮機構C1は、ハウジング11内に吸入された冷媒ガスを圧縮する。したがって、圧縮機構C1で圧縮される流体は、冷媒ガス及びオイルを含む。
【0040】
スクロール型圧縮機10は、背圧室37を備えている。背圧室37は、軸支ハウジング13の周壁18と旋回スクロール26の端面26eとで区画される空間である。また、スクロール型圧縮機10は、連通通路38を備えている。連通通路38は、背圧室37と吸入通路36とを連通している。連通通路38は、例えば、軸支ハウジング13と弾性プレート35との間に形成されている。
【0041】
スクロール型圧縮機10は、吐出室40を備えている。吐出室40は、固定基板25aと吐出ハウジング14の端壁14aとの間に区画されている。吐出室40は、吐出ポート25hに連通している。吐出室40には、圧縮機構C1により圧縮された冷媒ガスが吐出される。また、スクロール型圧縮機10は、貯油室41を備えている。貯油室41は、吐出ハウジング14の端壁14aに形成されている。
【0042】
スクロール型圧縮機10は、油分離室42を備えている。油分離室42は、吐出ハウジング14の内部に形成されている。油分離室42は、吐出ハウジング14の端壁14aの一部である細長筒状の外筒43内に形成されている。外筒43の第1端は、冷媒ガスを外部へ吐出する吐出口44になっている。吐出口44は、油分離室42に連通している。貯油室41は、油分離室42に連通している。スクロール型圧縮機10は、貯油室41が油分離室42に対して鉛直方向下側に配置されるように、車両に搭載されている。
【0043】
油分離室42内には、内筒45が嵌め込まれている。内筒45の軸方向は、回転軸15の径方向に一致している。内筒45の第1端は、吐出口44に連通している。内筒45の第2端は、油分離室42内における吐出口44とは反対側に連通している。外筒43には、導入孔46が形成されている。導入孔46は、吐出室40と油分離室42とを連通している。導入孔46は、吐出室40に吐出された冷媒ガスを油分離室42に導入する。
【0044】
圧縮室27内で圧縮されて吐出ポート25hを介して吐出室40内に吐出された冷媒ガスは、導入孔46を介して油分離室42内に導入される。油分離室42内に導入された冷媒ガスは、内筒45の周囲を旋回する。これにより、冷媒ガスに含まれているオイルに遠心力が付与され、油分離室42内でオイルが冷媒ガスから分離される。したがって、油分離室42は、吐出室40に吐出された冷媒ガスに含まれるオイルを分離する。
【0045】
オイルが分離された冷媒ガスは、内筒45内に流入するとともに内筒45内を通過する。そして、内筒45内を通過した冷媒ガスは、吐出口44を介して図示しない外部冷媒回路に流出する。油分離室42内で冷媒ガスから分離されたオイルは、貯油室41に貯留される。
【0046】
<高圧領域及び低圧領域>
吐出室40、貯油室41、及び油分離室42は、吐出圧である。よって、吐出室40、貯油室41、及び油分離室42は、ハウジング11内のうち、圧力が比較的高い高圧領域50である。したがって、高圧領域50は、圧縮機構C1により圧縮された冷媒ガスが吐出される吐出室40を含む。吐出ハウジング14の端壁14aは、吐出室40、貯油室41、及び油分離室42を区画する区画壁である。したがって、吐出ハウジング14の端壁14aは、高圧領域50を区画する区画壁である。
【0047】
モータ室20及び吸入通路36は、吸入圧である。よって、モータ室20及び吸入通路36の圧力は、吐出圧よりも低い。また、背圧室37の圧力は、吸入圧よりも高く、且つ、吐出圧よりも低い中間圧である。よって、背圧室37、モータ室20、及び吸入通路36は、高圧領域50よりも圧力が低い低圧領域51である。したがって、ハウジング11は、高圧領域50、及び低圧領域51を有している。
【0048】
吐出ハウジング14の端壁14aには、取付孔52が形成されている。取付孔52は、吐出ハウジング14の端壁14aを厚み方向に貫通している。取付孔52は、吐出ハウジング14の端壁14aにおいて、貯油室41を区画する面のうち、貯油室41における固定スクロール25側に位置する面14eに形成されている。取付孔52は、円孔状である。
【0049】
図2に示すように、吐出ハウジング14の端壁14aにおける取付孔52を区画する内周面には、被係止部53が複数設けられている。なお、以下の説明では、「吐出ハウジング14の端壁14aにおける取付孔52を区画する内周面」のことを単に「取付孔52の内周面」と記載する場合もある。
【0050】
各被係止部53は、取付孔52の内周面に形成される凹部である。複数の被係止部53は、取付孔52の内周面に対して、取付孔52の内周面の周方向に90度間隔置きに配置されている。
【0051】
<絞り部材>
図2及び図3に示すように、スクロール型圧縮機10は、絞り部材60を備えている。絞り部材60は、筒部材61と、流路形成部材62と、を有している。筒部材61は、円筒状である。流路形成部材62は、円柱状である。流路形成部材62は、筒部材61の内側に配置されている。
【0052】
筒部材61は、端壁63と、周壁64と、を有している。周壁64は、端壁63の外周部から筒状に延びている。周壁64は、円筒状である。端壁63は、周壁64から離間するにつれて先細りする先細り形状である。端壁63は、円錐形状である。
【0053】
筒部材61は、複数の係止部65を有している。各係止部65は、周壁64の開口端縁から延びる細長板状である。各係止部65は、係止部65の基端部を基点として弾性変形可能になっている。各係止部65の先端部は、鉤状になっている。複数の係止部65は、周壁64の開口端縁に対して、周壁64の周方向に90度間隔置きに配置されている。したがって、筒部材61は、係止部65を4つ有している。
【0054】
各係止部65は、各被係止部53に係止可能になっている。具体的には、絞り部材60が取付孔52に挿入されると、各係止部65が筒部材61の径方向内側に向けて撓むように弾性変形する。そして、各係止部65の先端部が各被係止部53に位置するまで絞り部材60が取付孔52に対して挿入されると、各係止部65が弾性変形する前の原形状に復帰することにより、各係止部65の先端部が各被係止部53に係止される。したがって、各被係止部53には、各係止部65が係止される。そして、絞り部材60は、各係止部65が各被係止部53に係止されることにより、取付孔52に取り付けられている。このように、取付孔52には、絞り部材60が取り付けられる。絞り部材60は、端壁63が吐出ハウジング14の端壁14aにおける貯油室41を区画する面14eから貯油室41内に突出した状態で吐出ハウジング14の端壁14aに設けられている。
【0055】
筒部材61の周壁64の外周面には、装着溝66が形成されている。装着溝66は、環状である。装着溝66は、筒部材61の周壁64の外周面における周壁64の開口端縁寄りの部分に形成されている。装着溝66には、シール部材67が装着されている。シール部材67は、円環状である。シール部材67は、筒部材61の周壁64と取付孔52の内周面との間をシールする。
【0056】
流路形成部材62の軸方向の長さは、筒部材61の周壁64の軸方向の長さよりも短い。流路形成部材62の第1端面62aは、筒部材61の周壁64の内側に位置する。流路形成部材62の第2端面62bは、筒部材61の周壁64の開口端縁と周壁64の径方向で重なっている。流路形成部材62は、周壁64の内周面に対して圧入されることにより、筒部材61に固定されている。
【0057】
流路形成部材62の外周面には、螺旋溝71が形成されている。螺旋溝71の第1端は、流路形成部材62の第1端面62aに開口している。螺旋溝71の第2端は、流路形成部材62の第2端面62bに開口している。螺旋溝71は、周壁64の内周面と共に螺旋通路72を区画している。
【0058】
筒部材61の端壁63には、オリフィス孔73が形成されている。オリフィス孔73は、端壁63を貫通している。オリフィス孔73の第1端は、端壁63の先細り形状の先端部に開口している。オリフィス孔73の第2端は、周壁64の内側に連通している。螺旋通路72の第1端は、周壁64の内側を介してオリフィス孔73の第2端に連通している。オリフィス孔73は、貯油室41と螺旋通路72とを連通している。螺旋通路72の第2端は、取付孔52の内側であって、且つ、筒部材61の周壁64の開口端縁よりも貯油室41とは反対側に位置する空間74に連通している。
【0059】
<流体通路>
図1に示すように、スクロール型圧縮機10は、導入路75を備えている。導入路75は、取付孔52の内側と背圧室37とを接続している。図2に示すように、導入路75の第1端は、取付孔52の内周面における各被係止部53よりも貯油室41とは反対側に位置する部分に開口している。よって、導入路75の第1端は、取付孔52の内側であって、且つ、筒部材61の周壁64の開口端縁よりも貯油室41とは反対側に位置する空間74に連通している。図1に示すように、導入路75の第2端は、吐出ハウジング14及び軸支ハウジング13を貫通して背圧室37に連通している。
【0060】
オリフィス孔73、螺旋通路72、空間74、及び導入路75は、流体通路76を形成している。流体通路76は、貯油室41と背圧室37とを接続している。したがって、流体通路76は、高圧領域50と低圧領域51とを接続している。そして、流体通路76は、貯油室41内に貯留されているオイルを背圧室37へ導く。したがって、流体通路76は、高圧領域50内の流体であるオイルを低圧領域51へ導く。このように、スクロール型圧縮機10は、高圧領域50内の流体を低圧領域51へ導く流体通路76を備えている。
【0061】
貯油室41から流体通路76を介して背圧室37へ導かれるオイルは、オリフィス孔73及び螺旋通路72を流れる際に減圧される。したがって、螺旋通路72及びオリフィス孔73は、流体通路76に設けられる絞り部を構成している。したがって、螺旋通路72は、絞り部の一部であるとともに、オリフィス孔73も、絞り部の一部である。このように、絞り部材60は、流体通路76に設けられる絞り部を形成している。
【0062】
[実施形態の作用]
次に、実施形態の作用について説明する。
貯油室41内に貯留されているオイルは、オリフィス孔73及び螺旋通路72を通過することにより減圧される。螺旋通路72を通過したオイルは、空間74及び導入路75を介して背圧室37へ導入される。背圧室37へ導入されたオイルの圧力は、旋回スクロール26を固定スクロール25に向けて付勢する背圧として寄与する。背圧室37へ導入されたオイルは、連通通路38に流れ込む。連通通路38に流れ込んだオイルは、連通通路38を通過することにより減圧される。そして、連通通路38を通過したオイルは、吸入通路36へ還流される。
【0063】
ところで、貯油室41内に異物が存在する場合、異物が筒部材61の端壁63の先端部に付着しようとする。このとき、筒部材61の端壁63が、周壁64から離間するにつれて先細りする先細り形状である。このため、貯油室41内のオイルが筒部材61の端壁63の外周面を、端壁63の先端部に向けて流れることにより、端壁63の先端部に付着しようとする異物がオイルによって除去される。したがって、端壁63の先端部に異物が付着してしまうことが抑制されている。
【0064】
[実施形態の効果]
実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)絞り部材60は、筒部材61の端壁63が吐出ハウジング14の端壁14aにおける貯油室41を区画する面14eから貯油室41内に突出した状態で吐出ハウジング14の端壁14aに設けられている。このため、絞り部の一部であるオリフィス孔73を貯油室41内に配置することができる。したがって、貯油室41内のスペースを、絞り部の一部を配置するためのスペースとして有効活用することができる。その結果、スクロール型圧縮機10の小型化を図ることができる。そして、オリフィス孔73は、貯油室41と螺旋通路72とを連通している。これによれば、貯油室41から流体通路76を介して背圧室37へ導かれるオイルは、オリフィス孔73及び螺旋通路72を流れる際に減圧される。したがって、従来技術のように、絞り部が螺旋通路72のみで構成されている場合に比べると、貯油室41から流体通路76を介して背圧室37へ導かれるオイルの圧力を効率良く減圧させることができる。以上により、スクロール型圧縮機10の小型化を図りつつも、貯油室41から流体通路76を介して背圧室37へ導かれるオイルの圧力を効率良く減圧させることができる。
【0065】
(2)貯油室41内のオイルが筒部材61の端壁63の外周面を、端壁63の先端部に向けて流れることにより、端壁63の先端部に付着しようとする異物がオイルによって除去される。したがって、端壁63の先端部に開口するオリフィス孔73が異物によって詰まってしまうことを抑制することができる。
【0066】
(3)筒部材61の端壁63は、円錐形状である。これによれば、例えば、筒部材61の端壁63が四角錐形状である場合に比べると、貯油室41内のオイルが筒部材61の端壁63の外周面に対して、いずれの方向からも端壁63の先端部に向けて流れ易くなる。よって、筒部材61の端壁63の先端部に付着しようとする異物をオイルによってさらに除去し易くすることができる。したがって、端壁63の先端部に開口するオリフィス孔73が異物によって詰まってしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0067】
(4)冷媒ガスとして二酸化炭素を採用しているスクロール型圧縮機10においては、圧縮比が比較的高い。このため、貯油室41から背圧室37へオイルを導入する際には、オリフィス孔73及び螺旋通路72によってオイルの圧力を中間圧まで効率良く減圧させるために、例えば、オリフィス孔73の孔径を極力小さくすることが好ましい。しかしながら、オリフィス孔73の孔径を小さくするほど、オリフィス孔73が異物によって詰まり易くなる虞がある。
【0068】
そこで、本実施形態では、筒部材61の端壁63の外周面に対して端壁63の先端部に向けてオイルを流すことにより、端壁63の先端部に付着しようとする異物をオイルによって除去し、端壁63の先端部に異物が付着してしまうことを抑制している。このため、オリフィス孔73の孔径を極力小さくしても、オリフィス孔73が異物によって詰まってしまうことを抑制することができる。
【0069】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0070】
○ 実施形態において、流路形成部材62の外周面に螺旋溝71が形成されておらず、筒部材61の周壁64の内周面に螺旋溝71が形成されていてもよい。また、流路形成部材62の外周面及び筒部材61の周壁64の内周面の双方に、互いに連通するように延びる螺旋溝71がそれぞれ形成されていてもよい。要は、筒部材61の周壁64の内周面及び流路形成部材62の外周面の少なくとも一方に、絞り部の一部である螺旋通路72を区画する螺旋溝71が形成されていればよい。
【0071】
○ 実施形態において、筒部材61の端壁63は、例えば、四角錐形状であったり、流線形状であったりしてもよい。要は、筒部材61の端壁63は、周壁64から離間するにつれて先細りする先細り形状であればよい。
【0072】
○ 実施形態において、筒部材61の端壁63が、周壁64から離間するにつれて先細りする先細り形状でなくてもよい。要は、筒部材61の端壁63は、貯油室41と螺旋通路72とを連通するオリフィス孔73が形成されている構成であれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0073】
○ 実施形態において、絞り部材60は、係止部65を複数有している構成に限らず、例えば、筒部材61の周壁64の開口端縁から環状に延びる係止部を有している構成であってもよい。この場合、取付孔52の内周面に形成されている被係止部53は、環状の凹部である。
【0074】
○ 実施形態において、被係止部53は、取付孔52の内周面に形成される凸部であってもよい。そして、係止部65が、当該凸部に係止可能な凹部であってもよい。
○ 絞り部材60は、係止部65を有していなくてもよい。この場合、絞り部材60は、例えば、筒部材61が取付孔52に対して圧入されることにより、取付孔52に取り付けられていてもよい。
【0075】
○ 実施形態において、流体通路76は、貯油室41と背圧室37とを接続していたが、これに限らず、例えば、貯油室41と吸入通路36とを接続していてもよい。このように、流体通路76は、貯油室41内のオイルを吸入通路36へ導く構成であってもよい。要は、流体通路76は、高圧領域50内の流体を低圧領域51へ導く構成であればよい。したがって、流体通路76は、例えば、吐出室40内に吐出された冷媒ガスを背圧室37や吸入通路36へ導く構成であってもよい。この場合、例えば、絞り部材60は、固定スクロール25の固定基板25aに取り付けられていてもよい。よって、固定基板25aは、高圧領域50を区画する区画壁であり、固定スクロール25は、ハウジング11の一部を構成する。
【0076】
○ 実施形態において、スクロール型圧縮機10は、モータ22によって駆動されるタイプでなくてもよく、例えば、車両のエンジンによって駆動されるタイプであってもよい。
【0077】
○ 実施形態において、スクロール型圧縮機10は、車両空調装置に用いられていたが、これに限らない。要は、スクロール型圧縮機10は、冷媒ガスを圧縮するものであればよく、スクロール型圧縮機10の用途は適宜変更可能である。
【0078】
○ 実施形態において、冷媒ガスとして二酸化炭素を採用したが、これに限らず、例えば、冷媒ガスとしてフロンを採用してもよい。
○ 実施形態において、スクロール型圧縮機10の圧縮対象は冷媒ガスに限らず、例えば、空気などの流体であってもよい。
【0079】
○ 実施形態において、圧縮機構C1は、固定スクロール25と旋回スクロール26とで構成されるスクロール型であったが、これに限らず、例えば、ピストン式であったり、ベーン式であったりしてもよい。要は、圧縮機構C1の構成は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
10…圧縮機であるスクロール型圧縮機、11…ハウジング、14a…区画壁である端壁、14e…面、40…吐出室、50…高圧領域、51…低圧領域、60…絞り部材、61…筒部材、62…流路形成部材、63…端壁、64…周壁、71…螺旋溝、72…絞り部の一部である螺旋通路、73…絞り部の一部であるオリフィス孔、76…流体通路、C1…圧縮機構。
図1
図2
図3