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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132394
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】車載用電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/66 20200101AFI20240920BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20240920BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20240920BHJP
【FI】
G01R31/66
G01R31/52
H02M1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043136
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】白石 和洋
(72)【発明者】
【氏名】八代 圭司
(72)【発明者】
【氏名】河原 真二
【テーマコード(参考)】
2G014
5H740
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA03
2G014AA04
2G014AB02
2G014AB60
5H740AA08
5H740BA11
5H740BA12
5H740BB05
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740PP03
(57)【要約】
【課題】アイソレータの端子間短絡異常を検出すること。
【解決手段】車載用電力変換装置30は、電力変換装置32と、検査回路82と、アイソレータ110と、を備える。電力変換装置32は、マイクロコントローラ40を備える。マイクロコントローラ40は、出力端子42と、第1検出端子43と、を備える。検査回路82は、反転回路88を備える。アイソレータ110は、検査回路82とマイクロコントローラ40との間を絶縁しつつ矩形波を含む信号を伝達する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43の検出結果に基づいて、端子間短絡異常を判断する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子、前記スイッチング素子を駆動するドライブ回路及び前記ドライブ回路を制御するマイクロコントローラを有し、前記スイッチング素子によって電源からの電力を変換して負荷に供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置を収容する筐体と、
前記電力変換装置に電気的に接続され、前記電源に電気的に接続された外部コネクタが接続される変換装置側コネクタと、を有し、
前記マイクロコントローラは、矩形波を出力する出力端子、出力された矩形波を検出可能な検出端子を有し、
前記変換装置側コネクタは、前記外部コネクタに設けられた検査用導電体に接続可能な一対の検査用端子を有し、
前記出力端子と前記検出端子とは、一対の前記検査用端子及び前記検査用導電体とともに前記変換装置側コネクタと前記外部コネクタとの接続状態を検査する検査回路に電気的に接続されている車載用電力変換装置であって、
前記検査回路と前記マイクロコントローラとの間には、互いの間を絶縁しつつ前記矩形波を含む信号を伝達するアイソレータが電気的に接続され、
前記アイソレータは、前記出力端子に電気的に接続される第1端子と、
前記検出端子に電気的に接続される第2端子と、
前記第1端子とは絶縁され、前記第1端子から伝達された前記矩形波を出力し、一方の前記検査用端子に電気的に接続される第3端子と、
前記第3端子とは絶縁され、入力された前記矩形波を前記第2端子に出力し、他方の前記検査用端子に電気的に接続される第4端子と、を有し、
前記検査回路は、他方の前記検査用端子と前記第4端子との間で前記矩形波を含む前記信号を反転する反転回路を備え、
前記マイクロコントローラは、前記検査用導電体によって一対の前記検査用端子が電気的に接続され、前記出力端子から出力された前記矩形波が前記反転回路によって反転された矩形波を前記検出端子で検出すると、前記変換装置側コネクタ及び前記外部コネクタが正常に接続されていると判断し、
前記検出端子の検出結果に基づいて、以下の異常を判断し、
前記変換装置側コネクタと前記外部コネクタとが接続されていない非接続異常、
前記第1端子と前記第2端子との間の短絡、または、前記第3端子と前記第4端子との間の短絡が生じている端子間短絡異常、
異常信号として出力すること、を特徴とする車載用電力変換装置。
【請求項2】
前記検出端子を第1検出端子とすると、
前記マイクロコントローラは、前記アイソレータを経由し、前記第3端子と一方の前記検査用端子との間で分岐し、前記反転回路を経由しない前記矩形波が入力される第2検出端子を有し、
前記アイソレータは、前記第2検出端子に電気的に接続される第5端子と、
前記第5端子とは絶縁され、前記第3端子から出力された前記矩形波を前記第5端子に伝達する第6端子と、を有し、
前記マイクロコントローラは、前記第1検出端子及び前記第2検出端子の検出結果に基づいて、以下の異常を判断し、
前記検査回路が前記電力変換装置に電圧を印加する電源と短絡する電源短絡異常、
前記検査回路が前記電力変換装置のグランドと短絡するグランド短絡異常、
異常信号として出力すること、を特徴とする請求項1に記載の車載用電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の車載用電動圧縮機は、モータと、インバータ回路と、圧縮機側コネクタと、検査回路と、マイクロコントローラと、絶縁素子と、を備える。圧縮機側コネクタには、外部コネクタが接続される。圧縮機側コネクタに外部コネクタが電気的に接続されることでインバータ回路には、高電圧電源が接続される。インバータ回路は、高電圧電源から供給される直流電力を交流電力に変換してモータに出力する。検査回路は、圧縮機側コネクタと外部コネクタとの接続状態を検査するための回路である。検査回路は、低電圧回路に設けられている。マイクロコントローラは、高電圧回路に設けられている。マイクロコントローラは、出力端子と、検出端子と、を備える。マイクロコントローラは、出力端子から検査回路に矩形波を出力する。マイクロコントローラは、検出端子で信号を検出する。マイクロコントローラは、検出端子で検出した信号から圧縮機側コネクタと外部コネクタとの接続状態を判定する。
【0003】
絶縁素子は、低電圧回路と高電圧回路との絶縁を保ちつつ低電圧回路と高電圧回路との間で信号を伝達する。絶縁素子を設けることによって、高電圧回路に設けられたマイクロコントローラと低電圧回路に設けられた検査回路との間で信号の伝達が可能になる。特許文献1では、絶縁素子としてフォトカプラを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-170907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁素子としてアイソレータを用いる場合がある。一方、車載用電力変換装置を小型化するため、アイソレータの小型化が求められている。この場合、アイソレータの端子間に短絡が生じたことを検出したい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車載用電力変換装置は、スイッチング素子、前記スイッチング素子を駆動するドライブ回路及び前記ドライブ回路を制御するマイクロコントローラを有し、前記スイッチング素子によって電源からの電力を変換して負荷に供給する電力変換装置と、前記電力変換装置を収容する筐体と、前記電力変換装置に電気的に接続され、前記電源に電気的に接続された外部コネクタが接続される変換装置側コネクタと、を有し、前記マイクロコントローラは、矩形波を出力する出力端子、出力された矩形波を検出可能な検出端子を有し、前記変換装置側コネクタは、前記外部コネクタに設けられた検査用導電体に接続可能な一対の検査用端子を有し、前記出力端子と前記検出端子とは、一対の前記検査用端子及び前記検査用導電体とともに前記変換装置側コネクタと前記外部コネクタとの接続状態を検査する検査回路に電気的に接続されている車載用電力変換装置であって、前記検査回路と前記マイクロコントローラとの間には、互いの間を絶縁しつつ前記矩形波を含む信号を伝達するアイソレータが電気的に接続され、前記アイソレータは、前記出力端子に電気的に接続される第1端子と、前記検出端子に電気的に接続される第2端子と、前記第1端子とは絶縁され、前記第1端子から伝達された前記矩形波を出力し、一方の前記検査用端子に電気的に接続される第3端子と、前記第3端子とは絶縁され、入力された前記矩形波を前記第2端子に出力し、他方の前記検査用端子に電気的に接続される第4端子と、を有し、前記検査回路は、他方の前記検査用端子と前記第4端子との間で前記矩形波を含む前記信号を反転する反転回路を備え、前記マイクロコントローラは、前記検査用導電体によって一対の前記検査用端子が電気的に接続され、前記出力端子から出力された前記矩形波が前記反転回路によって反転された矩形波を前記検出端子で検出すると、前記変換装置側コネクタ及び前記外部コネクタが正常に接続されていると判断し、前記検出端子の検出結果に基づいて、以下の異常を判断し、前記変換装置側コネクタと前記外部コネクタとが接続されていない非接続異常、前記第1端子と前記第2端子との間の短絡、または、前記第3端子と前記第4端子との間の短絡が生じている端子間短絡異常、異常信号として出力する。
【0007】
変換装置側コネクタと外部コネクタとが接続されていることで検査用導電体によって一対の検査用端子の間が電気的に接続されている場合、出力端子から出力された矩形波が反転回路で反転される。これにより、マイクロコントローラは、反転された矩形波を検出端子で検出すると、変換装置側コネクタ及び外部コネクタが正常に接続されていると判断することができる。マイクロコントローラは、検出端子の検出結果に基づいて、アイソレータの端子間短絡異常を検出することができる。
【0008】
上記車載用電力変換装置について、前記検出端子を第1検出端子とすると、前記マイクロコントローラは、前記アイソレータを経由し、前記第3端子と一方の前記検査用端子との間で分岐し、前記反転回路を経由しない前記矩形波が入力される第2検出端子を有し、前記アイソレータは、前記第2検出端子に電気的に接続される第5端子と、前記第5端子とは絶縁され、前記第3端子から出力された前記矩形波を前記第5端子に伝達する第6端子と、を有し、前記マイクロコントローラは、前記第1検出端子及び前記第2検出端子の検出結果に基づいて、以下の異常を判断し、前記検査回路が前記電力変換装置に電圧を印加する電源と短絡する電源短絡異常、前記検査回路が前記電力変換装置のグランドと短絡するグランド短絡異常、異常信号として出力してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アイソレータの端子間短絡異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車載用電動圧縮機の一部を破断して示す断面図である。
図2】車載用電力変換装置を示す回路図である。
図3】インバータ回路を示す回路図である。
図4】車載用電力変換装置の状態と検出端子の検出結果との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車載用電力変換装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10は、車両空調装置11と、高電圧電源12と、外部コネクタ71と、を備える。車両空調装置11は、外部冷媒回路13と、車載用電動圧縮機20と、を備える。外部冷媒回路13は、車載用電動圧縮機20に対して冷媒を供給する。外部冷媒回路13は、蒸発器、凝縮器、膨張弁などを有している。外部冷媒回路13は、外部と冷媒との熱交換を行うことによって、車両10の室内の冷暖房を行う。
【0012】
<車載用電動圧縮機>
車載用電動圧縮機20は、ハウジング21と、冷媒を圧縮する圧縮部27と、モータ28と、車載用電力変換装置30と、を備える。
【0013】
ハウジング21は、第1ハウジング22と、第2ハウジング24と、を備える。第1ハウジング22は、吸入口23を備える。吸入口23は、外部冷媒回路13に接続されている。第2ハウジング24は、第1ハウジング22に固定されている。第2ハウジング24は、吐出口25を備える。吐出口25は、外部冷媒回路13に接続されている。
【0014】
圧縮部27は、吸入口23からハウジング21内に吸入された冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は、吐出口25から吐出される。圧縮部27としては、スクロールタイプ、ピストンタイプ、ベーンタイプ等任意の型式を用いることができる。モータ28は、圧縮部27を駆動させる。モータ28は、3相モータである。圧縮部27及びモータ28は、第1ハウジング22に収容されている。モータ28によって圧縮部27が駆動されることで吸入口23から吸入された冷媒が圧縮されて、吐出口25から吐出される。なお、圧縮部27はハウジング21に収容されていなくてもよい。
【0015】
<車載用電力変換装置>
図1及び図2に示すように、車載用電力変換装置30は、筐体26を備える。筐体26は、第1ハウジング22に固定されている。筐体26が第1ハウジング22に固定されることで収容空間A1が画定されている。
【0016】
図2に示すように、車載用電力変換装置30は、高電圧回路31と、低電圧回路81と、を備える。高電圧回路31と低電圧回路81とは、互いに異なる電圧が印加される。例えば、高電圧回路31は、高電圧電源12から400V~800Vの電圧が印加されて動作する。低電圧回路81は、図示しない低電圧電源から12Vまたは24Vの電圧が印加されて動作する。高電圧回路31のグランドと低電圧回路81のグランドとは絶縁されている。
【0017】
車載用電力変換装置30は、アイソレータ110を備える。アイソレータ110は、高電圧側電源端子111と、第1高電圧側信号端子112と、第2高電圧側信号端子113と、第3高電圧側信号端子114と、第4高電圧側信号端子115と、高電圧側グランド端子116と、を備える。第1高電圧側信号端子112と第2高電圧側信号端子113とは、互いに隣り合って設けられている。第1高電圧側信号端子112は、第1端子である。第2高電圧側信号端子113は、第2端子である。
【0018】
アイソレータ110は、低電圧側電源端子121と、第1低電圧側信号端子122と、第2低電圧側信号端子123と、第3低電圧側信号端子124と、第4低電圧側信号端子125と、低電圧側グランド端子126と、を備える。第1低電圧側信号端子122と第2低電圧側信号端子123とは、互いに隣り合って設けられている。第1低電圧側信号端子122は、第1高電圧側信号端子112とは絶縁されている。第2低電圧側信号端子123は、第1低電圧側信号端子122とは絶縁されている。第1低電圧側信号端子122は、第3端子である。第2低電圧側信号端子123は、第4端子である。
【0019】
高電圧側電源端子111は、高電圧回路31の電源P1に接続されている。高電圧側グランド端子116は、高電圧回路31のグランドに接続されている。低電圧側電源端子121は、低電圧回路81の電源P2に接続されている。低電圧側グランド端子126は、低電圧回路81のグランドに接続されている。
【0020】
アイソレータ110は、高電圧回路31と低電圧回路81との絶縁を保ちつつ高電圧回路31と低電圧回路81との間で信号を伝達する絶縁素子である。アイソレータ110は、第1高電圧側信号端子112から第1低電圧側信号端子122に信号を伝達する。従って、第1低電圧側信号端子122は、第1高電圧側信号端子112から伝達された矩形波を含む信号を出力する。アイソレータ110は、第2低電圧側信号端子123から第2高電圧側信号端子113に信号を伝達する。従って、第2低電圧側信号端子123は、入力された矩形波を含む信号を第2高電圧側信号端子113に出力する。アイソレータ110は、第3低電圧側信号端子124から第3高電圧側信号端子114に信号を伝達する。第3高電圧側信号端子114は、第5端子である。第3低電圧側信号端子124は、第3高電圧側信号端子114とは絶縁されている。第3低電圧側信号端子124は、第1低電圧側信号端子122から出力された矩形波を第3高電圧側信号端子114に伝達する。第3低電圧側信号端子124は、第6端子である。アイソレータ110は、第4高電圧側信号端子115から第4低電圧側信号端子125に信号を伝達する。アイソレータ110は、磁気結合型であってもよいし、容量結合型であってもよい。磁気結合型は、コイルの磁気結合を利用したアイソレータである。容量結合型は、コンデンサを利用したアイソレータである。
【0021】
高電圧回路31は、電力変換装置32を備える。電力変換装置32は、筐体26に収容されている。詳細にいえば、電力変換装置32は、収容空間A1に収容されている。
電力変換装置32は、インバータ回路33を備える。インバータ回路33は、電源としての高電圧電源12から供給される直流電力を交流電力に変換して出力する三相インバータである。インバータ回路33とモータ28とは、電気的に接続されている。モータ28は、負荷である。
【0022】
図3に示すように、インバータ回路33は、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6と、ドライブ回路D1,D2,D3,D4,D5,D6と、を備える。
スイッチング素子Q1~Q6は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、又はMOSFETである。各スイッチング素子Q1~Q6は、ダイオードDを備える。U相上アームを構成するスイッチング素子Q1と、U相下アームを構成するスイッチング素子Q2とは直列接続されている。V相上アームを構成するスイッチング素子Q3と、V相下アームを構成するスイッチング素子Q4とは直列接続されている。W相上アームを構成するスイッチング素子Q5と、W相下アームを構成するスイッチング素子Q6とは直列接続されている。各上アームを構成するスイッチング素子Q1,Q3,Q5と、各下アームを構成するスイッチング素子Q2,Q4,Q6との接続点は、相毎にモータ28に接続されている。電力変換装置32は、スイッチング素子Q1~Q6によって高電圧電源12からの電力を変換してモータ28に供給する。
【0023】
ドライブ回路D1~D6は、スイッチング素子Q1~Q6毎に個別に設けられている。ドライブ回路D1~D6は、スイッチング素子Q1~Q6を駆動する。
図2に示すように、電力変換装置32は、マイクロコントローラ40を備える。マイクロコントローラ40は、プロセッサ41を備える。プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)である。
【0024】
マイクロコントローラ40は、出力端子42と、第1検出端子43と、第2検出端子44と、第3検出端子45と、通信端子46と、A/D変換部47と、を備える。A/D変換部47は、出力端子42、第1検出端子43、第2検出端子44、及び第3検出端子45のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。プロセッサ41は、A/D変換部47を介して出力端子42の電位をハイレベル、又はローレベルにできる。これにより、出力端子42は矩形波を出力する。プロセッサ41は、A/D変換部47を介して第1検出端子43、第2検出端子44、及び第3検出端子45の電位がハイレベルかローレベルかを判定できる。第1検出端子43、第2検出端子44、及び第3検出端子45は、出力端子42から出力された矩形波を検出可能である。第1検出端子43は、検出端子である。
【0025】
出力端子42は、第1高電圧側信号端子112に電気的に接続されている。第1検出端子43は、第2高電圧側信号端子113に電気的に接続されている。第2検出端子44は、第3高電圧側信号端子114に電気的に接続されている。第3検出端子45は、出力端子42に電気的に接続されている。通信端子46は、第4高電圧側信号端子115に電気的に接続されている。
【0026】
高電圧回路31は、高電圧側抵抗素子51を備える。高電圧側抵抗素子51は、電源P1と出力端子42との間に設けられている。高電圧回路31は、高電圧側コンデンサ52を備える。高電圧側コンデンサ52は、電源P1と高電圧側グランド端子116との間に設けられている。
【0027】
車載用電力変換装置30は、変換装置側コネクタ61を備える。変換装置側コネクタ61は、第1接続端子62と、第2接続端子63と、一対の検査用端子64,65と、を備える。一対の検査用端子64,65のうちの1つを第1検査用端子64とする。一対の検査用端子64,65のうち第1検査用端子64とは異なる検査用端子65を第2検査用端子65とする。第1接続端子62及び第2接続端子63は、インバータ回路33に電気的に接続されている。これにより、変換装置側コネクタ61は、電力変換装置32に電気的に接続されている。変換装置側コネクタ61には、外部コネクタ71が接続される。
【0028】
外部コネクタ71は、第1外部端子72と、第2外部端子73と、検査用導電体74と、を備える。第1外部端子72及び第2外部端子73は、高電圧電源12に電気的に接続されている。これにより、外部コネクタ71は、高電圧電源12に電気的に接続されている。外部コネクタ71が変換装置側コネクタ61に接続されると、第1外部端子72と第1接続端子62とが電気的に接続される。外部コネクタ71が変換装置側コネクタ61に接続されると、第2外部端子73と第2接続端子63とが電気的に接続される。これにより、高電圧電源12からインバータ回路33に直流電力が供給される。そして、モータ28が駆動可能になる。第1検査用端子64及び第2検査用端子65は、検査用導電体74に接続可能である。外部コネクタ71が変換装置側コネクタ61に接続されると、第1検査用端子64及び第2検査用端子65と検査用導電体74とが電気的に接続される。これにより、検査用導電体74を介して第1検査用端子64と第2検査用端子65とが導通する。
【0029】
車両10は、車両ECU14と、パワースイッチ15と、システムメインリレー16と、第1通信コネクタ17と、第2通信コネクタ18と、を備える。車両ECU14は、システムメインリレー16を制御するECU(Electronic Control Unit)である。車両ECU14は、パワースイッチ15がオン操作されると、システムメインリレー16を閉じる。車両ECU14は、パワースイッチ15がオフ操作されると、システムメインリレー16を開く。システムメインリレー16は、高電圧電源12と外部コネクタ71との間に設けられている。第1通信コネクタ17は、車両ECU14に接続されている。第1通信コネクタ17は、第2通信コネクタ18に接続される。
【0030】
低電圧回路81は、検査回路82を備える。検査回路82は、変換装置側コネクタ61と外部コネクタ71との接続状態を検査するための回路である。検査回路82は、第1接続線83を備える。第1接続線83は、第1検査用端子64と第1低電圧側信号端子122とを接続している。これにより、第1低電圧側信号端子122は、第1検査用端子64に電気的に接続されている。第1検査用端子64は、一方の検査用端子である。検査回路82は、第1低電圧側抵抗素子84を備える。第1低電圧側抵抗素子84は、第1接続線83に設けられている。第1低電圧側抵抗素子84は、第1検査用端子64と第1低電圧側信号端子122との間に設けられている。検査回路82は、ダイオード85を備える。ダイオード85は、第1接続線83に設けられている。ダイオード85は、第1検査用端子64と第1低電圧側抵抗素子84との間に設けられている。ダイオード85のアノードは、第1低電圧側抵抗素子84に接続されている。ダイオード85のカソードは、第1検査用端子64に接続されている。
【0031】
検査回路82は、第1低電圧側コンデンサ86を備える。第1低電圧側コンデンサ86は、第1接続線83と低電圧回路81のグランドとの間に設けられている。検査回路82は、第1バリスタ87を備える。第1バリスタ87は、第1接続線83と低電圧回路81のグランドとの間に設けられている。
【0032】
検査回路82は、反転回路88を備える。反転回路88は、トランジスタ89を備える。トランジスタ89は、例えば、NPN型のトランジスタである。トランジスタ89のコレクタは、第2低電圧側信号端子123に接続されている。トランジスタ89のエミッタは、低電圧回路81のグランドに接続されている。反転回路88は、第2低電圧側抵抗素子90を備える。第2低電圧側抵抗素子90は、トランジスタ89のベースとトランジスタ89のエミッタとの間に設けられている。反転回路88は、プルアップ抵抗91を備える。プルアップ抵抗91は、高電圧回路31の電源P1とトランジスタ89のコレクタとを接続している。
【0033】
検査回路82は、第2接続線93を備える。第2接続線93は、第2検査用端子65とトランジスタ89のベースとを接続している。第2接続線93及びトランジスタ89によって、第2低電圧側信号端子123は、第2検査用端子65に電気的に接続されている。第2検査用端子65は、他方の検査用端子である。反転回路88には、第1低電圧側信号端子122が出力した信号が入力される。反転回路88は、入力された信号のローレベルとハイレベルとを反転する。反転回路88は、入力された信号を反転して第2低電圧側信号端子123に出力する。反転回路88は、第2検査用端子65と第2低電圧側信号端子123との間で矩形波を含む信号を反転する。検査回路82は、第3低電圧側抵抗素子94を備える。第3低電圧側抵抗素子94は、第2接続線93に設けられている。第3低電圧側抵抗素子94は、トランジスタ89のベースに接続されている。検査回路82は、第2低電圧側コンデンサ95を備える。第2低電圧側コンデンサ95は、第2接続線93と低電圧回路81のグランドとの間に設けられている。検査回路82は、第2バリスタ96を備える。第2バリスタ96は、第2接続線93と低電圧回路81のグランドとの間に設けられている。
【0034】
検査回路82は、第3接続線98を備える。第3接続線98は、第1接続線83のうちダイオード85と第1低電圧側抵抗素子84との間の箇所と第3低電圧側信号端子124とを接続している。検査回路82は、第4低電圧側抵抗素子99を備える。第4低電圧側抵抗素子99は、第3接続線98に設けられている。第1低電圧側信号端子122が出力した信号は、第3接続線98を介して第3低電圧側信号端子124に入力される。これにより、第2検出端子44には、反転回路88を経由しない信号が入力される。詳細にいえば、第2検出端子44には、アイソレータ110を経由し、第1低電圧側信号端子122と第1検査用端子64との間で分岐し、反転回路88を経由しない矩形波が入力される。第4低電圧側抵抗素子99は、第1接続線83のうちダイオード85と第1低電圧側抵抗素子84との間の箇所と第3低電圧側信号端子124との間に設けられている。検査回路82は、第3低電圧側コンデンサ100を備える。第3低電圧側コンデンサ100は、第3接続線98と低電圧回路81のグランドとの間に設けられている。
【0035】
検査回路82は、第4低電圧側コンデンサ101を備える。第4低電圧側コンデンサ101は、低電圧回路81の電源P2と低電圧側グランド端子126との間に設けられている。検査回路82とマイクロコントローラ40との間には、アイソレータ110が電気的に接続されている。アイソレータ110は、検査回路82とマイクロコントローラ40との間を絶縁しつつ矩形波を含む信号を伝達する。
【0036】
出力端子42と第1検出端子43とは、一対の検査用端子64,65及び検査用導電体74とともに変換装置側コネクタ61と外部コネクタ71との接続状態を検査する検査回路82に電気的に接続されている。
【0037】
低電圧回路81は、通信部102を備える。通信部102は、車両ECU14とマイクロコントローラ40とが通信を行うためのトランシーバである。通信部102は、第2通信コネクタ18に接続されている。通信部102は、第4低電圧側信号端子125に接続されている。
【0038】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用について、マイクロコントローラ40が行う制御とともに説明する。
外部コネクタ71が変換装置側コネクタ61に装着されている状態でパワースイッチ15のオン操作が行われると、システムメインリレー16が閉じる。これにより、高電圧電源12とインバータ回路33とが電気的に接続される。マイクロコントローラ40は、車載用電力変換装置30の状態を診断する。診断される車載用電力変換装置30の状態は、コネクタの接続状態と、検査回路82の状態と、を含む。コネクタの接続状態は、外部コネクタ71と変換装置側コネクタ61との接続状態である。
【0039】
図4に示すように、コネクタの接続状態としては正常接続、及び非接続異常を挙げることができる。検査回路82の状態としては電源短絡異常、グランド短絡異常、出力異常、及び端子間短絡異常を挙げることができる。
【0040】
正常接続は、外部コネクタ71が変換装置側コネクタ61に装着されることによって外部コネクタ71と変換装置側コネクタ61とが正常に接続されている状態である。詳細にいえば、正常接続は、第1外部端子72と第1接続端子62とが電気的に接続されており、かつ、第2外部端子73と第2接続端子63とが電気的に接続されている状態である。
【0041】
非接続異常、グランド短絡異常、出力異常、及び端子間短絡異常は、車載用電力変換装置30の異常である。非接続異常は、外部コネクタ71と変換装置側コネクタ61とが接続されていない状態である。電源短絡異常は、検査回路82が電力変換装置32に電圧を印加する電源と短絡している状態である。グランド短絡異常は、検査回路82が電力変換装置32のグランドと短絡する状態である。出力異常は、出力端子42から出力される信号の異常である。端子間短絡異常は、第1低電圧側信号端子122と第2低電圧側信号端子123との間の短絡、又は第1高電圧側信号端子112と第2高電圧側信号端子113との間の短絡が生じている状態である。
【0042】
マイクロコントローラ40は、非接続異常、電源短絡異常、グランド短絡異常、出力異常、及び端子間短絡異常が生じているか否かを判断する。マイクロコントローラ40は、いずれの異常かを示す信号を異常信号として出力する。異常信号は、通信部102を介して車両ECU14に入力される。車両ECU14は、異常信号が入力されると、警報を行う。警報は、例えば、ランプの点灯やブザーの駆動によって行われる。
【0043】
マイクロコントローラ40がコネクタの接続状態と、検査回路82の状態とを判断する際には、出力端子42から矩形波を出力する。矩形波は、ハイレベル信号とローレベル信号とが周期的に切り替わる信号である。マイクロコントローラ40は、出力端子42から矩形波を出力した際に、第1検出端子43、第2検出端子44、及び第3検出端子45での検出結果に基づいてコネクタの接続状態と検査回路82の状態を判断する。第1検出端子43、第2検出端子44、及び第3検出端子45での検出結果とは、第1検出端子43、第2検出端子44、及び第3検出端子45で検出される信号の種類である。
【0044】
<正常接続>
コネクタの接続状態が正常接続の場合、出力端子42から出力した矩形波を反転した矩形波が第1検出端子43で検出される。出力端子42から出力した矩形波を反転した矩形波を反転波とする。反転波は、出力端子42が出力した矩形波とハイレベル信号とローレベル信号とが反転した信号である。即ち、出力端子42が出力する矩形波がハイレベルの場合、反転波はローレベルである。出力端子42が出力する矩形波がローレベルの場合、反転波はハイレベルである。
【0045】
コネクタの接続状態が正常接続の場合、検査用導電体74を介して第1検査用端子64と第2検査用端子65とが導通している。出力端子42が矩形波を出力すると、アイソレータ110、第1検査用端子64、検査用導電体74、及び第2検査用端子65を介して反転回路88に矩形波が入力される。反転回路88に矩形波が入力されることで、ハイレベルとローレベルとが反転する。これにより、反転回路88は、反転波を第2低電圧側信号端子123に出力する。第2低電圧側信号端子123に入力された反転波は、第2高電圧側信号端子113から出力される。これにより、第1検出端子43では反転波が検出される。
【0046】
コネクタの接続状態が正常接続の場合、第2検出端子44、及び第3検出端子45では、出力端子42の出力と同一の信号が検出される。即ち、第2検出端子44、及び第3検出端子45では、出力端子42が出力した矩形波を反転していない矩形波が検出される。出力端子42が出力した矩形波を反転していない矩形波を非反転波とする。出力端子42が矩形波を出力すると、第3接続線98を介して第3低電圧側信号端子124に矩形波が入力される。第3接続線98は、反転回路88を介すことなく第1低電圧側信号端子122と第3低電圧側信号端子124とを電気的に接続しているため、第3低電圧側信号端子124には出力端子42が出力した矩形波が入力される。第3低電圧側信号端子124に入力された矩形波は、第3高電圧側信号端子114から第2検出端子44に出力される。これにより、第2検出端子44では、非反転波が検出される。第3検出端子45は、第1検出端子43に接続されているため、第1検出端子43から出力された矩形波が入力される。これにより、第3検出端子45では、非反転波が検出される。マイクロコントローラ40は、検査用導電体74によって一対の検査用端子64,65の間が電気的に接続されることで反転波を第1検出端子43で検出すると、正常接続と判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43で反転波を検出し、かつ第2検出端子44で非反転波を検出すると、正常接続と判断してもよい。
【0047】
上記したように、マイクロコントローラ40は、検査用導電体74によって一対の検査用端子64,65が電気的に接続され、出力端子42から出力された矩形波が反転回路88によって反転された矩形波を第1検出端子43で検出すると、変換装置側コネクタ61及び外部コネクタ71が正常に接続されていると判断する。
【0048】
<非接続異常>
コネクタの接続状態が非接続異常の場合、第1検出端子43はハイレベル信号のみを検出する。コネクタの接続状態が非接続異常の場合、第1検査用端子64と第2検査用端子65とが導通していない。出力端子42が矩形波を出力しても、反転回路88に矩形波が入力されない。第2低電圧側信号端子123には、プルアップ抵抗91によってハイレベル信号のみが入力される。従って、コネクタの接続状態が非接続異常の場合、第1検出端子43はハイレベル信号のみを検出する。コネクタの接続状態が非接続異常の場合、第2検出端子44、及び第3検出端子45では、出力端子42の出力と同一の信号が検出される。出力端子42が矩形波を出力すると、第3接続線98を介して第3低電圧側信号端子124に矩形波が入力される。第3接続線98は、第1接続線83と第3低電圧側信号端子124とを電気的に接続しているため、コネクタの接続状態に関わらず矩形波を第3低電圧側信号端子124に伝達する。このため、第2検出端子44では非反転波が検出される。第3検出端子45は、第1検出端子43に接続されているため、第1検出端子43から出力された矩形波が入力される。これにより、第3検出端子45では、非反転波が検出される。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でハイレベル信号のみを検出すると、非接続異常と判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でハイレベル信号のみを検出し、かつ第2検出端子44で非反転波を検出すると、非接続異常と判断してもよい。
【0049】
<電源短絡異常>
検査回路82の状態が電源短絡異常の場合、第1検出端子43はローレベル信号のみを検出する。電源短絡異常が生じると、高電圧電源12または低電圧電源から加わる電圧によって第2接続線93に電流が流れる。第2接続線93はハイレベルに維持されるため、反転回路88の出力はローレベルに維持される。これにより、第1検出端子43には常にローレベル信号が入力される。電源短絡異常が生じた場合であってもダイオード85によって第3低電圧側信号端子124に電流が流れることは抑止されている。このため、検査回路82の状態が電源短絡異常の場合、第2検出端子44では、出力端子42の出力と同一の信号が検出される。第3検出端子45は、第1検出端子43に接続されているため、第1検出端子43から出力された矩形波が入力される。これにより、第3検出端子45では、非反転波が検出される。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でローレベル信号のみを検出し、かつ第2検出端子44で非反転波を検出すると、電源短絡異常と判断する。
【0050】
<グランド短絡異常>
検査回路82の状態がグランド短絡異常の場合、第1検出端子43はハイレベル信号のみを検出する。グランド短絡異常が生じると、第1検出端子43が矩形波を出力しても反転回路88に矩形波が入力されない。即ち、第1接続線83及び第2接続線93はローレベルに維持される。反転回路88の出力は、ハイレベルに維持されるため、第1検出端子43はハイレベル信号のみを検出する。グランド短絡異常が生じると、第1接続線83及び第2接続線93がローレベルに維持されるため、出力端子42がハイレベル信号を出力した場合であっても第1接続線83及び第2接続線93を介してグランドに電流が流れる。第3低電圧側信号端子124にはハイレベル信号が入力されないため、第2検出端子44はローレベル信号のみを検出する。第3検出端子45では、出力端子42の出力と同一の信号が検出される。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でハイレベル信号のみを検出し、かつ第2検出端子44でローレベル信号のみを検出した場合、グランド短絡異常と判断する。
【0051】
<出力異常>
検査回路82の状態が出力異常の場合、第1検出端子43は矩形波とは異なる信号、即ち、ハイレベル信号のみ又はローレベル信号のみを検出する。検査回路82の状態が出力異常の場合、出力端子42から矩形波が出力されるようにマイクロコントローラ40が制御を行っているにも関わらず、出力端子42から矩形波とは異なる信号、即ち、ハイレベル信号のみ又はローレベル信号のみが出力され、矩形波が出力されない。第2検出端子44、及び第3検出端子45では、矩形波とは異なる信号が検出される。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43が矩形波とは異なる信号を検出しており、かつ、第3検出端子45が矩形波とは異なる信号を検出する場合、出力異常と判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43が矩形波とは異なる信号を検出しており、かつ、第2検出端子44及び第3検出端子45が矩形波とは異なる信号を検出する場合、出力異常と判断してもよい。マイクロコントローラ40は、第3検出端子45が矩形波とは異なる信号を検出する場合、出力異常と判断してもよい。
【0052】
<端子間短絡異常>
検査回路82の状態が端子間短絡異常の場合、第1検出端子43は非反転波を検出する。検査回路82の状態が端子間短絡異常の場合、第1高電圧側信号端子112と第2高電圧側信号端子113、又は第1低電圧側信号端子122と第2低電圧側信号端子123とが短絡している。このため、短絡しているこれらの端子を介して反転回路88を経由することなく、出力端子42から出力された矩形波が第1検出端子43に入力される。これにより、検査回路82の状態が端子間短絡異常の場合、第1検出端子43は非反転波を検出する。第2検出端子44、及び第3検出端子45では、出力端子42の出力と同一の信号が検出される。出力端子42が矩形波を出力すると、第3接続線98を介して第3低電圧側信号端子124に矩形波が入力される。このため、第2検出端子44では非反転波が検出される。第3検出端子45は、出力端子42に接続されているため、出力端子42から出力された矩形波が入力される。これにより、第3検出端子45では、非反転波が検出される。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43で非反転波を検出すると、端子間短絡異常が生じていると判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43、及び第2検出端子44で非反転波を検出すると、端子間短絡異常が生じていると判断してもよい。
【0053】
[本実施形態の効果]
(1)検査回路82は、反転回路88を備える。コネクタの接続状態が正常接続の場合、検査用導電体74によって一対の検査用端子64,65の間が電気的に接続されていることで、反転回路88に矩形波が入力される。反転回路88で矩形波が反転されることで、第1検出端子43では反転波が検出される。マイクロコントローラ40は、反転波を第1検出端子43で検出すると、変換装置側コネクタ61と外部コネクタ71とが接続されていると判断することができる。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43の検出結果に基づいて非接続異常を判断する。コネクタの接続状態が非接続異常の場合、反転回路88に矩形波が入力されないため、反転回路88はハイレベル信号を出力する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でハイレベル信号のみを検出すると、非接続異常であると判断することができる。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43の検出結果に基づいて端子間短絡異常を判断する。端子間短絡異常が生じている場合、出力端子42から出力された矩形波が短絡した端子間を介して第1検出端子43に入力される。出力端子42から出力された矩形波が反転回路88を介することなく第1検出端子43に入力されるため、第1検出端子43では非反転波が検出される。これにより、マイクロコントローラ40は、第1検出端子43で非反転波を検出すると、端子間短絡異常が生じていると判断することができる。このように、第1検出端子43に入力される信号を検出することによって、マイクロコントローラ40は、アイソレータ110の端子間短絡異常を検出することができる。
【0054】
(2)反転回路88は、トランジスタ89を備える。トランジスタ89を設けることによって、アイソレータ110と検査用導電体74とがトランジスタ89を介して接続される。アイソレータ110に加わる電圧を低減することができるため、アイソレータ110の耐圧を向上させることができる。
【0055】
(3)マイクロコントローラ40は、第1検出端子43及び第2検出端子44の検出結果に基づいて電源短絡異常を判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でローレベル信号のみを検出し、かつ第2検出端子44で非反転波を検出した場合に電源短絡異常が生じたと判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43及び第2検出端子44の検出結果に基づいてグランド短絡異常を判断する。マイクロコントローラ40は、第1検出端子43でハイレベル信号のみを検出し、かつ第2検出端子44でローレベル信号のみを検出した場合にグランド短絡異常が生じたと判断する。これにより、マイクロコントローラ40は、電源短絡異常及びグランド短絡異常を検出することができる。
【0056】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
○アイソレータ110は、第4低電圧側信号端子125及び第4高電圧側信号端子115を備えていなくてもよい。この場合、通信端子46と通信部102との間にフォトカプラを設ければよい。
【0058】
○車載用電力変換装置30は、車両10で用いられるものであればよく、車載用電動圧縮機20とは異なる装置で用いられていてもよい。車載用電力変換装置30が用いられる装置に応じて、電力変換装置32は走行用モータを駆動する主機系インバータや、高圧電圧を低圧電圧に変換するDC/DCコンバータに変更してもよい。
【0059】
○外部コネクタ71は、車載用電動圧縮機20の工場出荷前に車載用電力変換装置30の異常を診断する診断テスタに繋がる検査用コネクタであってもよい。
○マイクロコントローラ40は、少なくとも正常接続、非接続異常、及び端子間短絡異常を検出できればよい。この場合、マイクロコントローラ40は、第2検出端子44及び第3検出端子45を備えていなくてもよい。
【0060】
○マイクロコントローラ40は、電源短絡異常、及びグランド短絡異常の少なくとも1つを検出できればよい。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0061】
D1~D6…ドライブ回路、Q1~Q6…スイッチング素子、12…電源としての高電圧電源、26…筐体、30…車載用電力変換装置、32…電力変換装置、40…マイクロコントローラ、42…出力端子、43…第1検出端子、44…第2検出端子、61…変換装置側コネクタ、64…第1検査用端子、65…第2検査用端子、71…外部コネクタ、74…検査用導電体、82…検査回路、88…反転回路、110…アイソレータ、112…第1端子である第1高電圧側信号端子、113…第2端子である第2高電圧側信号端子、114…第5端子である第3高電圧側信号端子、122…第3端子である第1低電圧側信号端子、123…第4端子である第2低電圧側信号端子、124…第6端子である第3低電圧側信号端子。
図1
図2
図3
図4