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  • 特開-燃料電池システム 図1
  • 特開-燃料電池システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132404
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240920BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043148
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】永田 達也
(72)【発明者】
【氏名】平田 和之
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 優杜
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】外部からのエネルギーを必要とすることなく、キャニスターの加熱と燃料電池スタックの冷却との両方を効率的に行うことができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム11は、燃料ガスが充填されたキャニスター29を収容する金属製のキャニスターホルダ13と、燃料電池スタック12とを備える。燃料電池スタック12は、複数の単セル16を水平方向に積層してなる積層体17と、積層体17を単セル16の積層方向Xの両側から挟む一対の金属製のエンドプレート18とを有する。キャニスターホルダ13は、幅方向Yにおいて燃料電池スタック12と隣合う位置に配置され、且つ積層方向Xの長さが燃料電池スタック12よりも短くなるように構成される。キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18とは、キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18との間で熱交換を行う金属製の熱交換部材14を介して接触する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスが充填されたキャニスターを収容した状態で保持する金属製のキャニスターホルダと、前記キャニスターから供給される前記燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されることによって発電を行う燃料電池スタックとを備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池スタックは、複数の単セルを水平方向に積層してなる積層体と、前記積層体を前記単セルの積層方向の両側から挟む一対の金属製のエンドプレートとを有し、
前記キャニスターホルダは、前記積層方向及び鉛直方向の両方と直交する方向において前記燃料電池スタックと隣合う位置に配置されるとともに、前記積層方向の長さが前記燃料電池スタックよりも短くなるように構成され、
前記キャニスターホルダと一対の前記エンドプレートとは、前記キャニスターホルダと一対の前記エンドプレートとの間で熱交換を行う金属製の熱交換部材を介して接触していることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記熱交換部材における前記積層体と対向する部位には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記酸化剤ガスを前記燃料電池スタックに供給するポンプを備え、
前記キャニスターホルダは、前記熱交換部材における前記積層方向の一端側の位置に接触し、
前記ポンプは、前記キャニスターホルダにおける前記積層方向の他端側の面に接触し、且つ前記積層方向及び前記鉛直方向の両方と直交する方向において前記熱交換部材と対向して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記熱交換部材は、アルミニウム製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池システムとして、例えば特許文献1に示す小型燃料電池電源が知られている。こうした燃料電池システムは、燃料電池に水素を供給する水素吸蔵合金を充填したボンベを収容した筐体と、燃料電池を収容した電源本体とを備えている。筐体は、電源本体に対して着脱自在に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-60894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような燃料電池システムでは、ボンベ内の水素を連続して燃料電池へ供給すると、ボンベ内からの水素の放出に伴う吸熱反応によってボンベが冷却される。このため、ボンベ内から燃料電池へ供給される水素の流量が減少してしまう。一方、燃料電池で連続的に発電を行うと、燃料電池が発熱する。このため、燃料電池による発電効率が低下してしまう。
【0005】
したがって、水素が充填されたボンベの加熱と燃料電池の冷却との両方を効率的に行うことができる燃料電池システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する燃料電池システムは、燃料ガスが充填されたキャニスターを収容した状態で保持する金属製のキャニスターホルダと、前記キャニスターから供給される前記燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されることによって発電を行う燃料電池スタックとを備えた燃料電池システムであって、前記燃料電池スタックは、複数の単セルを水平方向に積層してなる積層体と、前記積層体を前記単セルの積層方向の両側から挟む一対の金属製のエンドプレートとを有し、前記キャニスターホルダは、前記積層方向及び鉛直方向の両方と直交する方向において前記燃料電池スタックと隣合う位置に配置されるとともに、前記積層方向の長さが前記燃料電池スタックよりも短くなるように構成され、前記キャニスターホルダと一対の前記エンドプレートとは、前記キャニスターホルダと一対の前記エンドプレートとの間で熱交換を行う金属製の熱交換部材を介して接触していることを特徴とする燃料電池システム。
【0007】
一般に、キャニスター内の燃料ガスを連続して燃料電池スタックへ供給すると、キャニスター内からの燃料ガスの放出に伴う吸熱反応によってキャニスターが冷却されるので、キャニスター内から燃料電池スタックへ供給される燃料ガスの流量が減少する。一方、燃料電池スタックで連続的に発電を行うと、積層体が発熱するので、積層体による発電効率が低下する。この点、上記構成によれば、キャニスターホルダにおける積層方向の長さが燃料電池スタックよりも短くても、キャニスターホルダと燃料電池スタックの一対のエンドプレートとが熱交換部材を介して熱交換される。これにより、キャニスターホルダを介してキャニスターが加熱されるとともに、一対のエンドプレートを介して積層体が冷却される。したがって、外部からのエネルギーを必要とすることなく、キャニスターの加熱と燃料電池スタックの冷却との両方を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における燃料電池システムの正面模式図である。
図2図1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、燃料電池システムの一実施形態を図面に従って説明する。
<燃料電池システム11>
図1及び図2に示すように、燃料電池システム11は、燃料電池スタック12と、キャニスターホルダ13と、熱交換部材14と、ポンプ15とを備えている。
【0010】
<燃料電池スタック12>
図1及び図2に示すように、燃料電池スタック12は、発電を行う矩形板状をなす単セル16を水平方向に複数積層してなる積層体17と、積層体17を単セル16の積層方向Xの両側から挟む一対の矩形板状をなす金属製のエンドプレート18とを備えている。
【0011】
単セル16は、中央部の矩形状の開口部に膜電極接合体(図示略)を支持した合成樹脂製の支持枠(図示略)と、膜電極接合体を支持した状態の支持枠を挟む一対の金属製のセパレータ(図示略)とを有している。単セル16は、膜電極接合体における積層方向Xの一方側(アノード側)の部分に燃料ガスが供給され且つ他方側(カソード側)の部分に酸化剤ガスが供給されると、燃料ガス及び酸化剤ガスの膜電極接合体での電気化学反応に基づき発電を行う。つまり、燃料電池スタック12は、燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されることによって発電を行う。本実施形態では、燃料ガスが水素であるとともに、酸化剤ガスが空気である。
【0012】
エンドプレート18は、例えばアルミニウムなどの金属によって構成される。エンドプレート18の大きさは、単セル16よりも一回り大きくなるように設定されている。一対のエンドプレート18は、外縁部同士を複数のボルト(図示略)及び複数のナット(図示略)によって互いに締結することにより、積層体17を積層方向Xにおいて圧縮するように押圧している。
【0013】
一方のエンドプレート18には、燃料ガス供給孔19、燃料ガス排出孔20、酸化剤ガス供給孔21、酸化剤ガス排出孔22、冷却媒体供給孔23、及び冷却媒体排出孔24が形成されている。燃料ガス供給孔19は、積層体17に燃料ガスを供給するための孔である。燃料ガス排出孔20は、積層体17から余分な燃料ガスを排出するための孔である。酸化剤ガス供給孔21は、積層体17に酸化剤ガスを供給するための孔である。
【0014】
酸化剤ガス排出孔22は、積層体17から余分な酸化剤ガス及び発電で生成された水を排出するための孔である。冷却媒体供給孔23は、積層体17に冷却媒体を供給するための孔である。冷却媒体排出孔24は、積層体17を冷却することによって温められた冷却媒体を排出するための孔である。
【0015】
積層体17と一対のエンドプレート18との間には、矩形板状をなすとともに絶縁性を有した一対の絶縁プレート25がそれぞれ配置されている。絶縁プレート25は、例えば合成樹脂によって構成される。絶縁プレート25の大きさは、エンドプレート18とほぼ同じになるように設定されている。
【0016】
積層体17と一対の絶縁プレート25との間には、矩形板状をなすとともに集電を行う一対のターミナルプレート26がそれぞれ配置されている。ターミナルプレート26の大きさは、単セル16とほぼ同じになるように設定されている。ターミナルプレート26は、上端に端子27を有している。
【0017】
上記孔19~24が形成されたエンドプレート18側に位置する一方の絶縁プレート25及び一方のターミナルプレート26における上記孔19~24と積層方向Xで対応する位置には、それぞれ貫通孔(図示略)が形成されている。積層体17における上記孔19~24と積層方向Xで対応する位置には、それぞれ積層方向Xに延びる流路(図示略)が形成されている。
【0018】
<キャニスターホルダ13>
図1及び図2に示すように、キャニスターホルダ13は、鉛直方向Zに延びる直方体状をなしている。キャニスターホルダ13は、例えばアルミニウムなどの金属によって構成される。キャニスターホルダ13は、その上面に開口する収容部28を有している。キャニスターホルダ13は、燃料ガスが充填されたキャニスター29を収容部28に収容した状態で保持する。キャニスター29を収容部28に収容した状態では、キャニスター29の上端部が収容部28の開口から突出する。キャニスターホルダ13は、例えばアルミニウムなどの金属によって構成されている。
【0019】
キャニスターホルダ13は、積層方向X及び鉛直方向Zの両方と直交する方向である幅方向Yにおいて燃料電池スタック12と隣合う位置に配置されるとともに、積層方向Xの長さが燃料電池スタック12よりも短くなるように構成されている。キャニスターホルダ13は、鉛直方向Zにおける長さが燃料電池スタック12の鉛直方向Zにおける長さよりも長くなっている。すなわち、キャニスターホルダ13の上端の高さは、燃料電池スタック12の上端の高さよりも高くなっている。
【0020】
キャニスター29は、可撓性のチューブ(図示略)によって燃料ガス供給孔19と連結されるとともに、内部に充填された燃料ガス(水素)を燃料ガス供給孔19から燃料電池スタック12に対して供給する。
【0021】
<熱交換部材14>
図1及び図2に示すように、熱交換部材14は、矩形板状をなすとともに、キャニスターホルダ13と燃料電池スタック12との間に配置されている。熱交換部材14は、金属(本例では、アルミニウム)によって構成されている。熱交換部材14は、鉛直方向Zにおける長さがキャニスターホルダ13の鉛直方向Zにおける長さとほぼ同じになっている。熱交換部材14は、積層方向Xにおける長さが燃料電池スタック12の積層方向Xにおける長さとほぼ同じになっている。
【0022】
熱交換部材14は、燃料電池スタック12のエンドプレート18に対してボルト(図示略)によって固定されている。熱交換部材14は、キャニスターホルダ13に対してボルト(図示略)によって固定されている。したがって、燃料電池スタック12のエンドプレート18とキャニスターホルダ13とは、熱交換部材14を介して連結されている。
【0023】
すなわち、キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18とは、熱交換部材14を介して接触している。つまり、熱交換部材14は、キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18との両方と接触することにより、キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18との間で熱交換を行う。
【0024】
熱交換部材14における積層体17と幅方向Yにおいて対向する部位、すなわち熱交換部材14の燃料電池スタック12側の面における積層方向Xの中央部には、鉛直方向Zの全体にわたって延びる凹部30が形成されている。このため、熱交換部材14と積層体17との間には、十分な隙間が形成される。熱交換部材14の燃料電池スタック12側の面における積層方向Xの両端部は、一対のエンドプレート18とそれぞれ接触している。
【0025】
熱交換部材14のキャニスターホルダ13側の面における積層方向Xの一端側の位置には、キャニスターホルダ13が接触している。熱交換部材14の積層方向Xの一端面31は、キャニスターホルダ13の積層方向Xの一端面32とほぼ面一になっている。熱交換部材14の積層方向Xの一端面31は、燃料電池スタック12の積層方向Xの一端面33とほぼ面一になっている。
【0026】
<ポンプ15>
図1及び図2に示すように、ポンプ15は、キャニスターホルダ13における積層方向Xの他端側の面34に接触している。ポンプ15は、幅方向Yにおいて熱交換部材14における積層方向Xの他端側の部分35と対向して配置されている。すなわち、ポンプ15は、熱交換部材14におけるキャニスターホルダ13よりも積層方向Xの他端側に突出した部分35と幅方向Yにおいて対向している。ポンプ15は、熱交換部材14と接触していない。
【0027】
ポンプ15は、可撓性のチューブ(図示略)によって酸化剤ガス供給孔21と連結されるとともに、駆動されることによって酸化剤ガス(空気)を酸化剤ガス供給孔21から燃料電池スタック12に対して供給する。
【0028】
<燃料電池システム11の作用>
図1及び図2に示すように、燃料電池システム11において発電を行う場合には、次のようにする。すなわち、キャニスター29内に充填された燃料ガス(水素)を燃料ガス供給孔19から燃料電池スタック12に対して供給するとともに、ポンプ15の駆動により酸化剤ガス(空気)を酸化剤ガス供給孔21から燃料電池スタック12に対して供給する。これにより、燃料電池スタック12では、燃料ガス及び酸化剤ガスの積層体17における膜電極接合体での電気化学反応に基づき発電が行われる。
【0029】
このとき、キャニスター29内の燃料ガス(水素)を連続して燃料電池スタック12へ供給していると、キャニスター29内からの燃料ガスの放出に伴う吸熱反応によってキャニスター29が冷却される。このため、キャニスター29内から燃料電池スタック12へ供給される燃料ガスの流量が減少するという問題がある。一方、燃料電池スタック12で連続的に発電を行っていると、積層体17が発熱するので、積層体17による発電効率が低下するという問題がある。
【0030】
この点、本実施形態の燃料電池システム11は、キャニスターホルダ13における積層方向Xの長さが燃料電池スタック12よりも短くても、キャニスターホルダ13と燃料電池スタック12の一対のエンドプレート18とが熱交換部材14を介して接触している。このため、キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18とが熱交換部材14を介して熱交換される。
【0031】
これにより、キャニスターホルダ13を介してキャニスター29が加熱されるとともに、一対のエンドプレート18を介して積層体17が冷却される。したがって、外部からのエネルギーを必要とすることなく、キャニスター29の加熱と燃料電池スタック12の冷却との両方が効率的に行われる。
【0032】
したがって、キャニスター29内から燃料電池スタック12へ供給される燃料ガスの流量が十分に確保されるとともに、燃料電池スタック12の積層体17の発熱による温度上昇が抑制される。この結果、燃料電池システム11としての発電効率が向上する。
【0033】
<実施形態の効果>
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)燃料電池システム11は、燃料ガスが充填されたキャニスター29を収容した状態で保持する金属製のキャニスターホルダ13と、キャニスター29からの燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されることによって発電を行う燃料電池スタック12とを備える。燃料電池スタック12は、複数の単セル16を水平方向に積層してなる積層体17と、積層体17を単セル16の積層方向Xの両側から挟む一対の金属製のエンドプレート18とを有している。キャニスターホルダ13は、積層方向X及び鉛直方向Zの両方と直交する幅方向Yにおいて燃料電池スタック12と隣合う位置に配置されるとともに、積層方向Xの長さが燃料電池スタック12よりも短くなるように構成される。キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18とは、キャニスターホルダ13と一対のエンドプレート18との間で熱交換を行う金属製の熱交換部材14を介して接触している。
【0034】
上記構成によれば、キャニスターホルダ13における積層方向Xの長さが燃料電池スタック12よりも短くても、キャニスターホルダ13と燃料電池スタック12の一対のエンドプレート18とが熱交換部材14を介して熱交換される。これにより、キャニスターホルダ13を介してキャニスター29が加熱されるとともに、一対のエンドプレート18を介して積層体17が冷却される。したがって、外部からのエネルギーを必要とすることなく、キャニスター29の加熱と燃料電池スタック12の冷却との両方を効率的に行うことができる。
【0035】
(2)燃料電池システム11において、熱交換部材14における積層体17と対向する部位には、凹部30が形成されている。
上記構成によれば、凹部30の形成によって熱交換部材14が積層体17に接触することをより確実に回避することができる。
【0036】
(3)燃料電池システム11は、酸化剤ガスを燃料電池スタック12に供給するポンプ15を備える。キャニスターホルダ13は、熱交換部材14における積層方向Xの一端側の位置に接触する。ポンプ15は、キャニスターホルダ13における積層方向Xの他端側の面34に接触し、且つ積層方向X及び鉛直方向Zの両方と直交する幅方向Yにおいて熱交換部材14と対向して配置されている。
【0037】
上記構成によれば、キャニスターホルダ13の積層方向Xの長さが燃料電池スタック12よりも短いことによって形成されるスペースにポンプ15が配置されるので、当該スペースを有効活用することができる。加えて、ポンプ15がキャニスターホルダ13に直接接触しているので、ポンプ15の駆動によって発生する熱により、キャニスターホルダ13を介してキャニスター29を加熱することができる。
【0038】
(4)燃料電池システム11において、熱交換部材14は、アルミニウム製である。
上記構成によれば、アルミニウムは、金属の中でも比較的熱伝導性が高く、且つ入手もし易い。このため、熱交換部材14による熱交換効率を容易に高めることができる。
【0039】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0040】
・熱交換部材14は、例えば銅などのアルミニウム以外の金属によって構成してもよい。
・ポンプ15は、省略してもよい。この場合、燃料電池システム11外の装置によって燃料電池スタック12に酸化剤ガス(空気)が供給される。
【0041】
・ポンプ15は、キャニスターホルダ13から離して配置してもよい。
・ポンプ15は、キャニスターホルダ13と接触するとともに、幅方向Yにおいて熱交換部材14とでキャニスターホルダ13を挟むように配置してもよい。
【0042】
・熱交換部材14において、凹部30は省略してもよい。
<付記>
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
【0043】
[付記1]燃料ガスが充填されたキャニスターを収容した状態で保持する金属製のキャニスターホルダと、前記キャニスターから供給される前記燃料ガスと酸化剤ガスとが供給されることによって発電を行う燃料電池スタックとを備えた燃料電池システムであって、前記燃料電池スタックは、複数の単セルを水平方向に積層してなる積層体と、前記積層体を前記単セルの積層方向の両側から挟む一対の金属製のエンドプレートとを有し、前記キャニスターホルダは、前記積層方向及び鉛直方向の両方と直交する方向において前記燃料電池スタックと隣合う位置に配置されるとともに、前記積層方向の長さが前記燃料電池スタックよりも短くなるように構成され、前記キャニスターホルダと一対の前記エンドプレートとは、前記キャニスターホルダと一対の前記エンドプレートとの間で熱交換を行う金属製の熱交換部材を介して接触していることを特徴とする燃料電池システム。
【0044】
[付記2]前記熱交換部材における前記積層体と対向する部位には、凹部が形成されていることを特徴とする[付記1]に記載の燃料電池システム。
[付記3]前記酸化剤ガスを前記燃料電池スタックに供給するポンプを備え、前記キャニスターホルダは、前記熱交換部材における前記積層方向の一端側の位置に接触し、前記ポンプは、前記キャニスターホルダにおける前記積層方向の他端側の面に接触し、且つ前記積層方向及び前記鉛直方向の両方と直交する方向において前記熱交換部材と対向して配置されていることを特徴とする[付記1]または[付記2]に記載の燃料電池システム。
【0045】
[付記4]前記熱交換部材は、アルミニウム製であることを特徴とする[付記1]~[付記3]のうちいずれか一つに記載の燃料電池システム。
【符号の説明】
【0046】
11…燃料電池システム
12…燃料電池スタック
13…キャニスターホルダ
14…熱交換部材
15…ポンプ
16…単セル
17…積層体
18…エンドプレート
19…燃料ガス供給孔
20…燃料ガス排出孔
21…酸化剤ガス供給孔
22…酸化剤ガス排出孔
23…冷却媒体供給孔
24…冷却媒体排出孔
25…絶縁プレート
26…ターミナルプレート
27…端子
28…収容部
29…キャニスター
30…凹部
31,32,33…一端面
34…面
35…部分
X…積層方向
Y…幅方向
Z…鉛直方向
図1
図2